JP2002289409A - セラミックス素子の製造方法、セラミックス素子および同素子を用いた避雷器 - Google Patents

セラミックス素子の製造方法、セラミックス素子および同素子を用いた避雷器

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秀泰 安藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた放電エネルギー耐量特性、あるいは雷イ
ンパルス耐量特性を持つセラミック素子単体、または複
数のセラミック素子を積層・接合した接合体に電極端子
を接合したセラミック素子、その製造方法、同セラミッ
クス素子を用いた避雷器を提供する。 【解決手段】セラミックス基材の表面に金属電極端子を
接合してセラミックス素子を製造する。接合面となるセ
ラミックス基材の表面を金属粉末の高速吹き付け法によ
り金属化した後に、その金属化した面に金属電極端子を
接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス素子
の製造方法、セラミックス素子および同素子を用いた避
雷器に関する。詳しくは、例えば抵抗体、非直線抵抗
体、半導体コンデンサ、IC基板、着火素子、圧電フィ
ルタ、表面波デバイス、圧電トランス、圧電振動子、サ
ーミスタ、ガス吸着形半導体等として適用されるセラミ
ックス、および同セラミックス素子の製造方法に関す
る。また、セラミックス素子を用いたケーブルシース用
避雷器、配電用柱上内蔵用避雷器またはポリマー型配電
用避雷器等の避雷器に関する。さらに詳しくは、特に酸
化アルミニウムを主成分とする抵抗体、酸化チタン、チ
タン酸ストロンチウムを主成分とするコンデンサ、窒化
アルミ、窒化ケイ素を主成分とする基板、および酸化亜
鉛を主成分とする非直線抵抗体などに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、避雷器には、酸化アルミニウム
を主成分とする抵抗体、酸化チタン、チタン酸ストロン
チウムを主成分とするコンデンサ、窒化アルミ、窒化ケ
イ素を主成分とする基板、および酸化亜鉛を主成分とす
る非直線抵抗体など機能性セラミックスが用いられてい
る。これらの機能性セラミックスの製造方法は、概略以
下の通りである。
【0003】例えば、酸化アルミニウムは、主成分酸化
アルミニウムと炭素などの原料を水及び有機バインダー
とともに十分混合した後スプレードライヤーなどで造粒
し、成形及び焼結される。この後、焼結体の側面に沿面
閃絡を防止するため高抵抗物質を塗布し再焼成して高抵
抗層が形成される。そして、必要に応じ、焼結体の両端
面を研磨し電極皮膜を取付けて、非直線抵抗体が製造さ
れる。コンデンサや基板、非直線抵抗体の製造方法は概
略同様であり、原料粉を混合し、乾燥して造粒した後、
成形および焼成し、その後必要形状に応じた加工および
電極形成をおこなって、機能性セラミックスとする。
【0004】電力系統では、一般に正常な電圧に重畳さ
れる過電圧を除去し、電力系統や電気機器を保護するた
め、避雷器やサージアブソーバなどの過電圧保護装置が
用いられている。そして、過電圧保護装置には、正常な
電圧ではほぼ絶縁特性を示し、過電圧が印加されると低
抵抗値となる特性を有する非直線抵抗体が用いられてい
る。非直線抵抗体は、酸化亜鉛を主成分とし、非直線特
性を得るために、少なくとも一種類以上の金属酸化物を
添加して、混合、造粒、成形、焼結する。非直線抵抗体
は、酸化亜鉛焼結体の側面に絶縁層、両端面にアルミニ
ウムなどの電極が形成されている。
【0005】近年の電力需要の増大に伴い、送電系統の
電圧は増加されつつある。この中で、非直線抵抗体は、
放電エネルギー耐量や雷インパルス耐量の向上が求めら
れている。その理由は、非直線抵抗体に大きな放電エネ
ルギーが印加されると、機械的または電気的に破壊して
しまうため、非直線抵抗体が破壊するまでの放電エネル
ギー耐量あるいは雷インパルス耐量を増加させる必要が
ある。
【0006】非直線抵抗体の放電エネルギー吸収時にお
ける破壊形態の一つに、非直線抵抗体の電極や側面絶縁
層が原因となる破壊がある。非直線抵抗体を積み重ねた
とき、電極の表面が平坦でないため、積み重ねた電極間
で放電が起こり、破壊に至る場合や、電極中に空隙があ
るとその空隙内で放電が起こり、破壊に至る場合や、電
極の端部の形状や電極内部の空隙が原因となり、非直線
抵抗体に部分的な電流集中が起こり、破壊する場合など
がある。また、側面絶縁層中に空隙があると沿面せん絡
が起こり、破壊する場合がある。
【0007】このような状況の中で、非直線抵抗体のエ
ネルギー耐量特性を向上させるため、各種技術が開発さ
れている。例えば、電極溶射材料としてマグネシウム、
カルシウム、チタンのいずれかを含むアルミニウムを用
いる技術が、本出願人による特公平7−44087号公
報に開示されている。さらに、電極の端部と外周縁との
距離の最大値と最小値の差、つまり、円盤形状電極の絶
縁層を含む焼結体に対する偏心を1mm以下とする技術
が、特開平3−125401号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これらの機能性セラミ
ックスの設置方法においては、1枚のセラミックス基材
または複数枚を積層したセラミック素子に、絶縁物を介
して電極端子を圧接し、この電極端子を電気的に接続す
ることにより行っている。
【0009】ところで近年、電力系統は送電コスト低減
のため機器構造の小形化が進んでおり、これらの絶縁物
による設置構造の小型化が要求されている。これらの電
力用機能性セラミックス機器小形化のためには、セラミ
ック素子単体、またはセラミック素子を積層し、接合し
た接合体に、電極端子を接合したセラミック素子ユニッ
トとすることが有効である。
【0010】また、上述した特公平7−44087号公
報、特開平3−125401号公報に開示された技術で
は、非直線抵抗体に求められているエネルギー耐量を十
分には満足できない。
【0011】本発明は、上記の点を考慮しなされたもの
で、優れた放電エネルギー耐量特性、あるいは雷インパ
ルス耐量特性を持つセラミック素子単体、または複数の
セラミック素子を積層・接合した接合体に電極端子を接
合したセラミック素子、その製造方法、同セラミックス
素子を用いた避雷器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明においては、機能性セラミック素子を1個ま
たは複数個積層、接合し、その両端面に金属電極端子を
接合する。また、本発明においては、セラミックス素子
の電極を形成する方法、その中でも非直線抵抗体におい
て、電極あるいは側面絶縁層を形成する方法や、電極あ
るいは側面絶縁層の材料および形状等を限定することに
より、放電エネルギー印加時の電極に起因する破壊や、
沿面せん絡を防止し、放電エネルギー耐量特性や、雷イ
ンパルス耐量特性に優れた非直線抵抗体を提供する。
【0013】すなわち、請求項1記載の発明では、セラ
ミックス基材の表面に金属電極端子を接合してセラミッ
クス素子を製造する方法において、接合面となる前記セ
ラミックス基材の表面を金属粉末の高速吹き付け法によ
り金属化した後に、その金属化した面に前記金属電極端
子を接合することを特徴とするセラミックス素子の製造
方法を提供する。
【0014】請求項2記載の発明では、セラミックス原
料を成形および焼結して、機能性を示す焼結体としての
セラミックス基材を形成し、このセラミックス基材同士
またはセラミックス基材に電極皮膜層を形成したものを
複数個積層接合して、積層型のセラミックス素子を製造
する方法において、積層接合面となる前記セラミックス
基材の表面を金属粉末の高速吹き付け法により金属化し
た後に、積層接合を行うことを特徴とするセラミックス
素子の製造方法を提供する。
【0015】請求項3記載の発明では、高速吹き付け法
により、セラミックス基材同士の接合面、またはセラミ
ックス基材と金属電極端子との接合面となるセラミック
ス基材の表面を金属化する金属粉末として、アルミニウ
ム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、タングステン、またはそ
れらの合金からなる群より選ばれた少なくとも一種のも
のを使用することを特徴とする請求項1または2記載の
セラミックス素子の製造方法を提供する。
【0016】請求項4記載の発明では、高速吹き付け法
により、セラミックス基材同士の接合面、またはセラミ
ックス基材と金属電極端子との接合面となるセラミック
ス基材の表面を金属化する金属粉末として、粒径が0.
1μm〜200μmの範囲内のものを使用することを特
徴とする請求項1から3までのいずれかに記載のセラミ
ックス素子の製造方法を提供する。
【0017】請求項5記載の発明では、セラミックス基
材同士の接合面、またはセラミックス基材と金属電極端
子との接合面となるセラミックス基材の表面を、窒素、
空気、アルゴンからなる群より選ばれた少なくとも一種
を含む搬送ガス中で、金属粉末の高速吹き付け法により
金属化することを特徴とする請求項1から4までのいず
れかに記載のセラミックス素子の製造方法を提供する。
【0018】請求項6記載の発明では、セラミックス基
材同士の接合面、またはセラミックス基材と金属電極端
子との接合面となるセラミックス基材の表面への高速吹
き付け法による金属粉末吹き付け速度を、30m/s〜
300m/sの範囲内で行うことを特徴とする請求項1
から5までのいずれかに記載のセラミックス素子の製造
方法を提供する。
【0019】請求項7記載の発明では、セラミックス基
材同士の接合面、またはセラミックス基材と金属電極端
子との接合面となるセラミックス基材の表面を、50℃
〜350℃の範囲内で予熱した後に、金属粉末の高速吹
き付け法により金属化することを特徴とする請求項1か
ら6までのいずれかに記載のセラミックス素子の製造方
法を提供する。
【0020】請求項8記載の発明では、セラミックス基
材同士の接合面、またはセラミックス基材と金属電極端
子との接合面となるセラミックス基材の表面を、50℃
〜350℃の範囲内で予熱した金属粉末を使用した高速
吹き付け法により金属化することを特徴とする請求項1
から7までのいずれかに記載の機能性セラミックス素子
の製造方法を提供する。
【0021】請求項9記載の発明では、セラミックス基
材の表面に金属電極端子を接合してなる単層構造または
多層構造のセラミックス素子において、セラミックス基
材同士、またはセラミックス基材と金属電極端子との接
合面となる前記セラミックス基材の表面に、厚み200
μm以下の金属皮膜が存在することを特徴とするセラミ
ック素子を提供する。
【0022】請求項10記載の発明では、セラミックス
基材同士、またはセラミックス基材と金属電極端子との
接合面に存在する前記セラミックス基材の金属皮膜は、
アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、タングステ
ン、またはそれらの合金からなる群より選ばれた少なく
とも一種であり、かつ13wt%以下の酸化物を含むこ
とを特徴とする請求項9記載のセラミックス素子を提供
する。
【0023】請求項11記載の発明では、セラミックス
基材同士、またはセラミックス基材と金属電極端子との
接合面に存在する前記セラミックス基材の金属皮膜の面
積は、前記セラミックス基材の表面の10%以上である
ことを特徴とする請求項9または10記載のセラミック
ス素子を提供する。
【0024】請求項12記載の発明では、セラミックス
基材同士、またはセラミックス基材と金属電極端子との
接合面に存在する前記セラミックス基材の金属皮膜は、
平均表面粗さ8μm以下のものであることを特徴とする
請求項9から11までのいずれかに記載のセラミックス
素子を提供する。
【0025】請求項13記載の発明では、セラミックス
基材同士、またはセラミックス基材と金属電極端子との
接合面に存在する前記セラミックス基材の金属皮膜の表
面は、前記セラミックス基材の表面から、1μm〜1m
mの範囲の距離内にあることを特徴とする請求項9から
12までのいずれかに記載のセラミックス素子を提供す
る。
【0026】請求項14記載の発明では、セラミックス
基材同士、またはセラミックス基材と金属電極端子との
接合面に存在する前記セラミックス基材の金属皮膜は、
その表面に±0.5mm以下の高さ範囲の凹凸を有する
ことを特徴とする請求項9から13でのいずれかに記載
のセラミックス素子を提供する。
【0027】請求項15記載の発明では、請求項1から
8までのいずれかに記載のセラミックス素子を用いて構
成したことを特徴とする避雷器を提供する。特に、ケー
ブルシース用避雷器、配電用柱上内蔵用避雷器またはポ
リマー型配電用避雷器に適している。
【0028】なお、本発明では、セラミックス基材は、
酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウ
ム、窒化アルミ、窒化ケイ素、または酸化亜鉛を主成分
とすることが望ましい。また、本発明のセラミックス素
子を製造する方法において、電極端子は金属皮膜上に溶
射法により形成することが望ましい。また、溶射法によ
り形成される電極端子の材料として、アルミニウム、
銅、亜鉛、ニッケル、銀、またはそれらの合金を使用す
ることが望ましい。また、上記工程を使用して、セラミ
ックス素子を製造する方法において、電極短端子は金属
皮膜上に半田により接合することが望ましい。
【0029】さらに、本発明では、半田により接合され
る電極端子の材料として、アルミニウム、銅、亜鉛、ニ
ッケル、銀、またはそれらの合金を使用し、金属電極端
子は、アルミニウム、アルミニウム合金にニッケル、ス
ズ、銀もしくはクロムからなるメッキを施したもの、ま
たは鉄、銅、亜鉛、もしくはそれらの合金であることが
望ましい。
【0030】以上の本発明によれば、電極の形成方法、
材料成分、状態、条件を限定することにより、金属電極
端子とセラミックス基材、およびセラミックス基材複数
個を積層した場合のセラミックス基材間の接合強度を向
上させ、さらに放電エネルギー吸収時の電流分布の不均
一化を防止し、高い放電エネルギー耐量や高い雷インパ
ルス耐量を得ることができる。
【0031】また、上記の構成を有するセラミック素子
によれば、セラミック基材と電極端子とを強固に接合
し、ユニット化することができるため、絶縁構造部材が
不要となり、電力機器を小型化することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0033】第1実施形態(図1、図2) 図1は本発明の第1実施形態によるセラミックス素子の
構成を示す断面図であり、図2は同素子を適用した非直
線抵抗体の特性図である。
【0034】(1)構成 まず、本実施形態によるセラミックス素子の製造方法に
ついて説明する。
【0035】酸化亜鉛に、二酸化マンガン、酸化コバル
トをそれぞれ0.5mol%、酸化ビスマス、酸化アン
チモン、酸化ニッケルをそれぞれ1mol%添加する。
次いで、上記原料を、水と有機分散剤、バインダー類と
ともに混合し、この混合物をスプレードライヤーで噴霧
造粒する。これらの造粒粉を金型に入れ加圧し、直径1
00mm、厚さ30mmの円板を成形し、1200℃で
焼成し、セラミックス基材としての焼結体1を得た。
【0036】次に、図1に示すように、焼結体1の側面
に、例えばアルミナ系の無機絶縁物を塗布し、例えば4
00℃の温度で焼き付けて側面絶縁層2を形成した。側
面絶縁層2を設けた焼結体の上下面を研磨した後、焼結
体にガードマスクを被せ、上下の研磨面を、金属粉末の
高速吹き付け法により金属化させ、この金属化した焼結
体の表面に金属電極端子(以下、単に「電極」という)
3を溶射により形成し、もしくは半田により電極3と接
合して、非直線抵抗体を作製した。
【0037】本実施形態では、この電極を形成するセラ
ミックス基材の表面を金属化させる金属粉末による高速
吹き付け方法、および高速吹き付け条件を変化させるこ
とにより非直線抵抗体を作製した。
【0038】以上のようにして得られたセラミックス素
子の電気特性については、電極を溶射により形成した場
合と同じ特性が得られることを確認した。次に、セラミ
ックス基材と金属電極端子、セラミックス基材とセラミ
ックス基材の接合強度を調べるため、引張り試験を行っ
た。具体的には、電極を設けたタップに治具をとりつ
け、引張り強度を測定した。
【0039】(2)放電エネルギー耐量試験 3枚積層した非直線抵抗体を上記のように作製し、2m
sの矩形波放電エネルギーを200J/ccから、20
J/ccずつ放電エネルギー量を増加させながら5分間
隔で印加し、非直線抵抗体が電気的に破壊するまでの破
壊試験を実施した。このとき、破壊するまでに吸収した
最大値の放電エネルギー量を、放電エネルギー耐量(J
/cc)とした。また、各電極形成条件、電極形状の非
直線抵抗体について、各10セットの非直線抵抗体の放
電エネルギー耐量試験を実施した。
【0040】図2は、電極形成方法を異ならせて製造し
た非直線抵抗体について、放電エネルギー耐量試験の結
果を示す特性図である。この図2において、特性点4は
大気中アーク溶射により電極を形成した場合を示し、特
性点5は大気中プラズマ溶射により電極を形成した場合
を示し、特性点6は高速吹き付け方法でセラミックス基
材の表面を金属化させた上に、プラズマ溶射にて電極を
形成した場合を示している。
【0041】図2の特性点6から明らかなように、金属
粉末の高速吹き付け法により電極を形成した非直線抵抗
体においては、顕著に優れた放電エネルギー耐量特性が
得られた。これは、金属粉末の高速吹き付け法により形
成した非直線抵抗体の電極は表面が平滑であり、電極中
の気孔、酸化物、窒化物等が少なく、また所定の形状の
電極が製造されるため、優れた放電エネルギー耐量が得
られることを示している。
【0042】また、特性点5から明らかなように、アー
ク溶射により形成した非直線抵抗体の電極は、溶融噴霧
する溶射粒子が大きいため電極の表面が平滑でなく、ま
た電極に気孔や酸化物を多く含むため、優れた放電エネ
ルギー耐量の非直線抵抗体が得られていない。
【0043】さらに、特性点4から明らかなように、プ
ラズマ溶射により電極を形成した非直線抵抗体の電極
は、電極に含まれる気孔や酸化物は少ないが、素子と電
極の接合強度は低く、さらに所定の形状の電極が形成で
きないため、優れた放電エネルギー耐量の非直線抵抗体
が得られていない。
【0044】以上説明したように、非直線抵抗体の電極
を、高速吹き付け法によりセラミックス基材の表面を金
属化することにより、優れた放電エネルギー耐量特性を
持つ非直線抵抗体を提供することができる。
【0045】第2実施形態(図3、図4) 図3および図4は、本発明の第2実施形態によるセラミ
ックス素子を適用した非直線抵抗体の特性図である。
【0046】本実施形態では、前記第1実施形態で示し
た非直線抵抗体の製造工程において、少なくとも第1実
施形態における電極の形成方法の条件、すなわち「金属
粉末の高速吹き付け法によりセラミックス基材の表面を
金属化させた上に、電極を形成する」条件を満たし、か
つ電極形成条件は第1実施形態と異なる条件とした複数
種類の非直線抵抗体を作製した。
【0047】この場合、具体的には(1)金属粉末の材
料及び平均粒径、(2)吹き付けプロセスにおける搬送
ガス、速度、予熱(素子及び金属粉末)という複数の条
件対象の各々について、複数の形成条件によって複数種
類の非直線抵抗体を作製した。
【0048】そして、これらの各条件対象毎に、複数種
類の非直線抵抗体に対して、前記の第1の実施形態と同
様の条件により、放電エネルギー耐量試験を行った。以
下に、各条件に関して具体的に設定した複数種類の形成
条件と、その複数種類の形成条件によって形成された電
極を持つ複数種類の非直線抵抗体の耐量試験結果につい
て、個別に説明する。
【0049】(1)金属粉末の材料及び平均粒径 図3は、非直線抵抗体の電極材料と、金属原料粉末の平
均粒径(μm)と、放電エネルギー耐量(J/cc)と
の関係を示すグラフである。具体的には、高速吹き付け
法により電極を形成するセラミックス基材の表面を金属
化させる際の原料粉末と、粉末粒径を変えた非直線抵抗
体の放電エネルギー耐量試験の結果を示している。
【0050】図3において、特性線7は電極材料をアル
ミニウムとした場合を示し、特性線8は炭素鋼とした場
合をそれぞれ示している。ここで、平均粒径は粉末をレ
ーザー回折法により求めた50%粒径である。
【0051】図3の特性線7から明らかなように、電極
を形成するセラミックス基材の表面を金属化させる材料
をアルミニウムで、その粉末の平均粒径が0.1〜20
0μmのものを使用した非直線抵抗体の場合は、平均し
て、500J/cc以上の優れた放電エネルギー耐量を
示している。これに対し、特性線8から明らかなよう
に、電極を形成するセラミックス基材の表面を金属化さ
せる材料を炭素鋼とし、平均粒径が0.1μmより小さ
いか、または200μmを超えるアルミニウム粉末を用
いて電極を形成した非直線抵抗体においては、放電エネ
ルギー耐量が低くなっている。
【0052】すなわち、電極を形成するセラミックス基
材の表面を金属化させる材料に炭素鋼を用いて電極を形
成した非直線抵抗体は、導電率が低く、また焼結体と電
極との密着力が低いため、非直線抵抗体の放電エネルギ
ー耐量が低いものである。また、電極を形成するセラミ
ックス基材の表面を金属化させる際、平均粒径が0.1
μmより小さい原料粉末を用いて作製した非直線抵抗体
は、粉末粒径が細かすぎるため、吹き付け時に形成され
る電極層が薄くなり、非直線抵抗体中の電流分布が不均
一となるため、放電エネルギー量が低くなる。
【0053】一方、電極形成時に平均粒径が200μm
を超える原料粉末を用いて作製した非直線抵抗体は、原
料粉末が大きすぎるため、焼結体の表面がエロージョン
摩耗を起こし、電極が形成されていない領域が発生する
ため、放電エネルギー耐量が低くなる。
【0054】なお、図3においては、セラミックス基材
の電極形成用表面を金属化させる材料としてアルミニウ
ムを適用した場合の結果を示したが、銅、亜鉛、ニッケ
ル、銀、タングステン、またはそれらの合金を用いた場
合においても、同様な放電エネルギー耐量に対する効果
が確認された。
【0055】以上のように、高速吹き付け法により非直
線抵抗体の電極を形成する際に、電極を形成するセラミ
ックス基材の表面を金属化させる材料として、アルミニ
ウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、タングステン、または
それらの合金を用い、かつ平均粒径が0.1μmから2
00μmの金属粉末を用いて、高速吹き付け法により電
極形成を行った場合には、優れた放電エネルギー耐量特
性の非直線抵抗体を提供することができる。
【0056】(2)吹き付けプロセスにおける搬送ガ
ス、吹き付け速度、予熱(焼結体及び金属粉末) 図4は、吹き付けプロセスにおける、搬送ガス、吹き付
け速度、予熱の有無、および放電エネルギー耐量(J/
cc)の関係を示すグラフである。すなわち、高速吹き
付け法により電極を形成するセラミックス基材の表面を
金属化させる際の搬送ガス、吹き付け速度、予熱の有無
の各条件を変えて作製した非直線抵抗体について、放電
エネルギー耐量試験の結果を示している。この図4にお
いて、特性線9は大気中で予熱しない場合を示し、特性
線10は大気中で焼結体の少なくとも表面層を300℃
に予熱した場合を示している。
【0057】図4から明らかなように、余熱を行った特
性線10の場合には、粉末を30m/sから300m/
sの速度で吹き付けて金属化させた非直線抵抗体におい
ては、平均的に500J/cc以上の高い放電エネルギ
ー耐量を示している。これに対し、余熱を行わない特性
線9の場合には、粉末を30m/sより遅いか、または
300m/sより速い速度で吹き付けて金属化させた非
直線抵抗体においては、放電エネルギー耐量が低くなっ
ている。
【0058】すなわち、300m/sを超える吹き付け
速度で電極を形成した非直線抵抗体においては、焼結体
の表面がエロージョン摩耗を起こし、所定形状の電極が
得られにくく、かつ電極膜中の残留応力が高くなり、電
極端部にて剥離が起こりやすくなるため、放電エネルギ
ー耐量が低くなるものである。逆に、30m/s以下の
吹き付け速度で電極を形成した非直線抵抗体において
は、速度が遅すぎるため、金属原料粉末が焼結体表面で
溶融せず、電極が形成されていない領域が生じ、その部
分では非直線抵抗体の焼結体中の電流分布が不均一とな
るため放電エネルギー耐量が低くなるものである。
【0059】これに対して、30m/sから300m/
sの吹き付け速度で電極を形成した非直線抵抗体におい
ては、所定形状の電極が得られやすく、また、電極膜中
の残留応力が低いため、密着性の高い電極が得られ、放
電エネルギー耐量が高くなる。また、焼結体または金属
粉末を予め加熱した場合には、所定形状の電極が得られ
やすく、また電極膜中の残留応力が低いため、密着性の
高い電極が得られ、放電エネルギー耐量が高くなる。た
だし、ZnOを主成分とする焼結体については、420
℃以上に加熱すると特性が低下するため、予熱の温度は
50℃から350℃が望ましい。
【0060】以上のように、非直線抵抗体の電極を形成
する焼結体の表面を金属化させる際の金属原料粉末の速
度は、30m/sから300m/sにすることにより、
優れた放電エネルギー耐量を持つ非直線抵抗体が得られ
る。さらに、予め焼結体または金属粉末を加熱した状態
で吹き付けると、さらに優れた放電エネルギー耐量を持
つ非直線抵抗体を提供することができる。
【0061】第3実施形態(図5〜図8) 図5〜図8は、本発明の第3実施形態によるセラミック
ス素子を適用した非直線抵抗体の特性図である。
【0062】本実施形態では、前記第1実施形態で示し
た非直線抵抗体の製造工程において、少なくとも第1実
施形態における電極の形成方法の条件、すなわち「金属
粉末の高速吹き付け法によりセラミックス基材の表面を
金属化させた上に、電極を形成する」条件を満たし、か
つ電極を形成する条件を種々変えることにより、種々異
なる特性の電極を持つ複数種類の非直線抵抗体を作製し
た。
【0063】具体的には、(1)皮膜の厚み、(2)皮
膜の純度、(3)皮膜接着面積、(4)皮膜の粗さ等の
複数の条件対象の各々について、複数の形成条件によっ
て複数種類の非直線抵抗体を作製した。
【0064】そして、これらの各条件対象毎に、複数種
類の非直線抵抗体に対して、前記第1実施形態と同様の
条件により、放電エネルギー耐量試験を行った。以下、
複数種類の形成条件によって焼結体の表面を金属化させ
た複数種類の非直線抵抗体の耐量試験結果について個別
に説明する。
【0065】(1)皮膜の厚み 図5は電極を形成する焼結体の表面を金属化させた厚み
(μm)と、接合強度の関係を示すグラフである。具体
的には、高速吹き付け法により、電極を形成する焼結体
の表面を金属化させる場合の条件を変化させることによ
って、皮膜の厚みを変化させた複数種類の非直線抵抗体
における引張強度試験結果を示している。
【0066】この図5に示す特性点12a,12b,1
2cから明らかなように、電極を形成する焼結体の表面
を金属化させた厚みが200μm以下の非直線抵抗体に
おいては、50MPa以上の高い接合強度を平均して示
している。一方、特性点13a,13bから明らかなよ
うに、電極を形成する焼結体の表面を金属化させた厚み
が200μmを超えると、接合強度は低くなる。
【0067】すなわち、電極を形成する焼結体の表面を
金属化させた厚みが200μm以下の場合には、セラミ
ックス/金属間は薄く均質な界面層で接合できるため、
特に優れた引張強度が得られるものである。
【0068】以上のように、電極を形成する焼結体の表
面を金属化させた厚みを200μm以下にすることによ
り、優れた接合強度を持つ非直線抵抗体を提供すること
ができる。
【0069】(2)皮膜の純度 図6は、電極中の金属酸化物の重量割合(%)と放電エ
ネルギー耐量(J/cc)との関係を示すグラフであ
る。具体的には、高速吹き付け法により電極を形成する
焼結体の表面を金属化させる場合の条件を変化させるこ
とによって、皮膜中の金属酸化物の重量割合を変化させ
た複数種類の非直線抵抗体の放電エネルギー耐量試験を
示している。ここで、金属酸化物の重量割合は、酸素量
を燃焼法により求め、金属酸化物としての重量割合を算
出したものである。
【0070】図6に示す特性線14から明らかなよう
に、皮膜中の金属酸化物の重量割合が13wt%以下の
非直線抵抗体においては、平均して500J/cc以上
の高い放電エネルギー耐量を示しているのに対し、皮膜
中の金属酸化物の重量割合が13wt%を超える非直線
抵抗体においては、放電エネルギー耐量が低くなってい
る。
【0071】すなわち、皮膜中の金属酸化物の重量割合
が13wt%を超えると、非直線抵抗体が放電エネルギ
ーを吸収した時に、非直線抵抗体の焼結体と電極の界面
において、金属酸化物が存在すると、非直線抵抗体の電
流分布が不均一になり、放電エネルギー耐量が低くな
る。これに対し、皮膜中の金属酸化物の重量割合が13
wt%以下の場合には、非直線抵抗体の焼結体と電極の
界面における金属酸化物に起因する非直線抵抗体内の電
流分布の不均一化を防止できるため、優れた放電エネル
ギー耐量が得られる。
【0072】以上のように、非直線抵抗体における皮膜
中の金属酸化物の重量割合を13wt%以下にすること
により、優れた放電エネルギー耐量特性を持つ非直線抵
抗体を提供することができる。
【0073】(3)皮膜接着面積 図7は、電極を形成する焼結体の表面を金属化させた皮
膜と焼結体の接着面積割合(%)と放電エネルギー耐量
(J/cc)との関係を示すグラフである。具体的に
は、高速吹き付け法により、電極を形成する焼結体の表
面を金属化させる場合の条件を変化させることによっ
て、電極を形成する焼結体の表面を金属化させた皮膜の
接着面積を変化させた複数種類の非直線抵抗体の放電エ
ネルギー耐量試験結果を示している。
【0074】図7に示す特性点15a,15b,15c
から明らかなように、皮膜接着面積が10%以上におい
ては、500J/cc程度以上の高い放電エネルギー耐
量をそれぞれ平均して示している。これに対し、特性点
16から明らかなように、皮膜接着面積が10%未満に
おいては、300J/cc以下の低い放電エネルギー耐
量を示している。すなわち、皮膜接着面積が10%より
小さい場合には、非直線抵抗体が放電エネルギーを吸収
した時に、接合面近傍の空隙において放電が起こりやす
くなり、放電エネルギー耐量が低くなる。これに対し、
皮膜接着面積が10%以上の場合には、積層した非直線
抵抗体間の空隙に起因する放電をほぼ完全に防止できる
ため、特に優れた放電エネルギー耐量が得られるもので
ある。
【0075】以上のように、非直線抵抗体の電極を形成
する焼結体の表面を金属化させた皮膜と、焼結体の接着
面積割合(%)を、10%以上にすることにより、優れ
た放電エネルギー耐量を持つ非直線抵抗体を提供するこ
とができる。
【0076】(4)平均表面粗さ 図8は、電極を形成する焼結体の表面を金属化させた皮
膜の平均表面粗さ(μm)と放電エネルギー耐量(J/
cc)との関係を示すグラフである。具体的には、高速
吹き付け法により、電極を形成する焼結体の表面を金属
化させる場合の条件を変化させることによって、平均表
面粗さを変化させた複数種類の非直線抵抗体の放電エネ
ルギー耐量試験結果を示している。
【0077】図8に示す特性線17から明らかなよう
に、電極を形成する焼結体の表面を金属化させた皮膜の
平均表面粗さが8μm以下の非直線抵抗体においては、
電極は500J/ccの高い放電エネルギー耐量、側面
絶縁層は200kAの高い電流耐量をそれぞれ平均して
示している。
【0078】すなわち、電極を形成する焼結体の表面を
金属化させた皮膜の平均表面粗さが8μmを超えると、
非直線抵抗体が放電エネルギーを吸収した時に、積層し
た非直線抵抗体の空隙において、放電が起こりやすくな
り、放電エネルギー耐量が低くなるものである。
【0079】したがって、非直線抵抗体の電極を形成す
る焼結体の表面を金属化させた皮膜の平均表面粗さを8
μm以下にすることにより、優れた放電エネルギー耐量
を持つ非直線抵抗体を提供することができる。
【0080】第4実施形態(図9〜図11) 図9は本発明の第4実施形態を示す構成図であり、図1
0および図11は特性図である。
【0081】本実施形態においても、第1実施形態で示
した非直線抵抗体の製造工程における「金属粉末の高速
吹き付け法により形成する」という条件を満たし、かつ
電極形成条件を種々変えることにより、種々異なる形状
の電極を持つ複数種類の非直線抵抗体を作製した。
【0082】この場合、本実施形態では、前記の非直線
抵抗体の製造工程のうち、電極3を形成する方法や、そ
の条件を多様に変化させることにより、電極3の寸法や
その端部の凹凸寸法を種々変化させ、異なる寸法、形状
の電極を有する複数種類の非直線抵抗体を作製した。
【0083】図9は、このようにして作製した非直線抵
抗体の電極端部を拡大して示す模式図である。この図9
に示すように、焼結体端部21は電極22の端部23の
外側に配置されている。また、図中Lは,電極22の径
方向における端部の平均位置を示す平行線24と焼結体
端部21との距離、すなわち電極端部23と焼結体端部
21との間の平均距離を示している。さらに、図中H
は、電極端部23の凹凸の最大値を示している。具体的
には、(1)電極端部と焼結体端部の距離、(2)電極
の端部における主表面方向の凹凸の最大値という複数の
条件対象の各々について、複数の電極形成条件によって
複数種類の非直線抵抗体を作製した。
【0084】そして、これらの各条件対象毎に、複数種
類の非直線抵抗体に対して、第1実施形態と同様の放電
耐量試験条件により、放電エネルギー耐量試験を行っ
た。以下に、各条件に関して具体的に設定した複数種類
の電極形成条件と、その複数種類の電極形成条件によっ
て形成された電極を持つ複数種類の非直線抵抗体の耐量
試験結果について、個別に説明する。
【0085】(1)電極端部と焼結体端部の距離 図10は非直線抵抗体の焼結体端部と電極端部との距離
(mm)と、非直線抵抗体の放電エネルギー耐量(J/
cc)との関係を示すグラフである。具体的には、電極
を形成する場合の条件を変化させることによって電極の
形状を変化させた複数種類の非直線抵抗体の放電エネル
ギー耐量試験結果を示している。
【0086】この図10に示す特性線18から明らかな
ように、焼結体端部と電極端部の距離が0.01〜1.
0mmの範囲内の非直線抵抗体においては、平均して5
00J/cc以上の高い放電エネルギー耐量を示してい
るのに対し、焼結体端部と電極端部の距離が0.01m
mよりも短い非直線抵抗体、または焼結体端部と電極端
部との距離が1.0mmを超える非直線抵抗体において
は、放電エネルギー耐量が低くなっている。
【0087】すなわち、非直線抵抗体の電極端部23と
焼結体端部21との距離が0.01よりも短い場合に
は、非直線抵抗体が放電エネルギーを吸収したときに、
非直線抵抗体の焼結体と側面絶縁層の界面、または、側
面絶縁層内部や側表面において絶縁破壊が起こりやすく
なるため、非直線抵抗体の放電エネルギー耐量が低くな
る。
【0088】また、電極端部と焼結体端部の距離が1.
0mmよりも長くなると、非直線抵抗体が放電エネルギ
ーを吸収したときに、非直線抵抗体の焼結体内部での電
流分布が不均一になるため、非直線抵抗体の放電エネル
ギー耐量が低くなる。
【0089】これに対して、焼結体端部23と電極端部
23との距離が0.01mm〜1.0mmの範囲内であ
る場合には、放電エネルギー吸収時の焼結体と側面絶縁
層の界面、側面絶縁層内部、および、側面絶縁層の側表
面における絶縁破壊、または、非直線抵抗体内の電流分
布の不均一化を防止できるため、優れた放電エネルギー
耐量が得られる。
【0090】以上のように、非直線抵抗体の焼結体端部
と電極端部の距離を0.01mm〜1.0mmの範囲内
にすることにより、優れた放電エネルギー耐量を持つ非
直線抵抗体を提供することができる。
【0091】(2)電極端部の凹凸の最大値 図11は、非直線抵抗体における電極端部の凹凸の最大
値(±mm)と、非直線抵抗体の放電エネルギー耐量
(J/cc)との関係を示すグラフである。具体的に
は、電極を形成する場合の条件を変化させることによっ
て電極の形状を変化させた複数種類の非直線抵抗体の放
電エネルギー耐量試験結果を示している。
【0092】この図11に示す試験結果から明らかなよ
うに、電極端部の凹凸の最大値が±0.5mm以下の非
直線抵抗体においては、平均して500J/cc以上の
高い放電エネルギー耐量を示しているのに対し、電極端
部の凹凸の最大値が±0.5mmより大きい非直線抵抗
体においては、放電エネルギー耐量が低くなっている。
【0093】すなわち、非直線抵抗体における電極端部
の凹凸の最大値が±0.5mmよりも大きい場合には、
非直線抵抗体が放電エネルギーを吸収したときに、非直
線抵抗体の電極端部の凸部先端において、非直線抵抗体
の焼結体内部での電流分布が不均一になるため、非直線
抵抗体の放電エネルギー耐量が低くなる。これに対し
て、非直線抵抗体における電極端部の凹凸の最大値が±
0.5mm以下の場合には、電極端部の凸部先端に起因
する非直線抵抗体内の電流分布の不均一化を防止できる
ため、優れた放電エネルギー耐量が得られる。
【0094】以上のように、本実施形態では非直線抵抗
体における電極端部の凹凸の最大値を±0.5mm以下
にすることにより、優れた放電エネルギー耐量を持つ非
直線抵抗体を提供することができる。
【0095】第5実施形態(図12、表1,2) 図12は、本発明の第5実施形態を示す構成図である。
また、下記の表1、2は作用を説明するための表であ
る。なお、本実施形態では、機能性セラミックスとし
て、酸化アルミニウムを主成分としたセラミック抵抗体
について説明する。すなわち、酸化アルミニウムに、副
成分炭素および粘土を所定量秤量し、原料とする。この
原料を水及び分散剤などの有機バインダーとともに混合
装置にて混合する。次に、混合物を例えばスプレードラ
イヤーで所定の粒径、例えば100μmに噴霧造粒す
る。
【0096】そして、この造粒粉を金型に入れて加圧
し、円板等の所定形状に成形することにより、成形体を
得る。こうして得られた成形体は、添加した有機バイン
ダー類を除去するために空気中で例えば500℃で焼成
し、さらに空気中1250℃で2時間焼成する。これに
より、図12に示すように、焼結体25、電極端子2
6、金属皮膜27および電極28の多層構造体を得るこ
とができる。
【0097】(1)電極の成分 酸化アルミニウム主成分の抵抗体を得た後、金属粉末の
高速吹き付け法により、電極を形成する抵抗体の表面を
金属化させ(金属皮膜27)、その後アルミニウム、黄
銅等からなる電極28を、溶射法または半田を用いて、
金属皮膜を形成した(電極28(図12))。
【0098】このようにして作製した抵抗体を用いて、
抵抗体セラミック素子ユニットを作製した。以上のよう
にして作製した抵抗体セラミック素子ユニットについ
て、接合強度を調査した結果を、下記の表1に示す。い
ずれも30MPa以上の接合強度であり、接合強度が高
く、優れたセラミック素子ユニットを提供することがで
きる。
【0099】なお、表に示した実施形態以外のアルミニ
ウム、銅、ニッケル、銀、またはそれらの合金でも同様
の効果を得ることを確認している。
【0100】(2)電極端子の材質 酸化アルミニウム主成分の抵抗体を得た後、電極端子2
0(図12)の材質を変え、抵抗体セラミック素子ユニ
ットを作製した。すなわち、電極端子の材質は、アルミ
ニウムにクロムからなるメッキを施したもの、あるいは
黄銅(銅−亜鉛合金)とした。
【0101】以上のようにして得られた抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、前記同様に、接合強度を調査
した。結果を表1に示す。この結果から明らかなよう
に、アルミニウムにクロムからなるメッキを施したもの
に、黄銅(銅−亜鉛合金)を用いた電極端子を接合した
とき、接合強度は、30MPa以上となり、接合強度が
高く、優れたセラミック素子ユニットを提供することが
できる。また、表に示した実施形態以外のアルミニウ
ム、アルミニウム合金にニッケル、スズ、銀、クロムの
メッキを施したもの、鉄、銅、亜鉛、またはそれらの合
金でも同様の効果を得ることを確認している。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【発明の効果】以上で詳述したように、本発明によれ
ば、電極を形成する方法、材料成分、状態、条件を限定
することにより、金属電極端子とセラミックス基材、お
よびセラミックス基材複数個を積層した場合のセラミッ
クス基材間の接合強度を向上させ、さらに放電エネルギ
ー吸収時の電流分布の不均一化を防止し、高い放電エネ
ルギー耐量を得ることができる。
【0105】また、上記のような構成を有するセラミッ
ク素子によれば、セラミック基材と電極端子を強固に接
合し、ユニット化することができるため、絶縁構造部材
が不要となるなり、電力機器を小型化することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すもので、非直線抵
抗体の断面図。
【図2】同実施形態における非直線抵抗体の電極を形成
する時の形成方法と放電エネルギー耐量の関係を示す特
性図。
【図3】本発明の第2実施形態を示すもので、非直線抵
抗体の電極材料と、高速吹き付け方法の金属原料粉末の
平均粒径と、放電エネルギー耐量の関係を示す特性図。
【図4】同実施形態による非直線抵抗体の金属皮膜を形
成するときの吹き付け速度と、予熱の有無と、放電エネ
ルギー耐量の関係を示す特性図。
【図5】本発明の第3実施形態を示すもので、非直線抵
抗体の金属皮膜の厚みと、焼結体/電極間の引張強度の
関係を示す特性図。
【図6】同実施形態による非直線抵抗体の金属皮膜中の
酸化物量と、放電エネルギー耐量の関係を示す特性図。
【図7】同実施形態による非直線抵抗体の金属皮膜と焼
結体の接着面積比率と、放電エネルギー耐量の関係を示
す特性図。
【図8】同実施形態による非直線抵抗体金属皮膜の表面
粗さと、放電エネルギー耐量の関係を示す特性図。
【図9】本発明の第4実施形態を示すもので、非直線抵
抗体の電極端部を示す図。
【図10】同実施形態による非直線抵抗体の電極端部と
焼結体端部の距離と放電エネルギー耐量関係を示す特性
図。
【図11】同実施形態による非直線抵抗体の電極端部の
凹凸と放電エネルギー耐量の関係を示す特性図。
【図12】本発明の第5実施形態を示すもので、抵抗体
セラミック素子ユニットの断面図。
【符号の説明】
1 焼結体 2 側面絶縁層 3 電極(金属皮膜+電極) 4〜17,18,19 特性線 21 焼結体端部 22 電極 23 電極端部 24 電極端部の平均位置を示す平行線 L 電極12の径方向における端部の平均位置を示す1
4と焼結体端部11の距離 H 電極端部13の凹凸の最大値 25 焼結体 26 金属電極端子 27 金属皮膜 28 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇田川 剛 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 安藤 秀泰 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 伊藤 義康 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 4G026 BA02 BA03 BA16 BA17 BB21 BB22 BB24 BB27 BB28 BC01 BD02 BF13 BF14 BG02 BH06 5E034 EA07 EC04

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス基材の表面に金属電極端子
    を接合してセラミックス素子を製造する方法において、
    接合面となる前記セラミックス基材の表面を金属粉末の
    高速吹き付け法により金属化した後に、その金属化した
    面に前記金属電極端子を接合することを特徴とするセラ
    ミックス素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 セラミックス原料を成形および焼結し
    て、機能性を示す焼結体としてのセラミックス基材を形
    成し、このセラミックス基材同士またはセラミックス基
    材に電極皮膜層を形成したものを複数個積層接合して、
    積層型のセラミックス素子を製造する方法において、積
    層接合面となる前記セラミックス基材の表面を金属粉末
    の高速吹き付け法により金属化した後に、積層接合を行
    うことを特徴とするセラミックス素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 高速吹き付け法では、セラミックス基材
    同士の接合面、またはセラミックス基材と金属電極端子
    との接合面となるセラミックス基材の表面を金属化する
    金属粉末として、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、
    銀、タングステン、またはそれらの合金からなる群より
    選ばれた少なくとも一種のものを使用することを特徴と
    する請求項1または2記載のセラミックス素子の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 高速吹き付け法では、セラミックス基材
    同士の接合面、またはセラミックス基材と金属電極端子
    との接合面となるセラミックス基材の表面を金属化する
    金属粉末として、粒径が0.1μm〜200μmの範囲
    内のものを使用することを特徴とする請求項1から3ま
    でのいずれかに記載のセラミックス素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 セラミックス基材同士の接合面、または
    セラミックス基材と金属電極端子との接合面となるセラ
    ミックス基材の表面を、窒素、空気、アルゴンからなる
    群より選ばれた少なくとも一種を含む搬送ガス中で、金
    属粉末の高速吹き付け法により金属化することを特徴と
    する請求項1から4までのいずれかに記載のセラミック
    ス素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 セラミックス基材同士の接合面、または
    セラミックス基材と金属電極端子との接合面となるセラ
    ミックス基材の表面への高速吹き付け法による金属粉末
    吹き付け速度を、30m/s〜300m/sの範囲内で
    行うことを特徴とする請求項1から5までのいずれかに
    記載のセラミックス素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 セラミックス基材同士の接合面、または
    セラミックス基材と金属電極端子との接合面となるセラ
    ミックス基材の表面を、50℃〜350℃の範囲内で予
    熱した後に、金属粉末の高速吹き付け法により金属化す
    ることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記
    載のセラミックス素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 セラミックス基材同士の接合面、または
    セラミックス基材と金属電極端子との接合面となるセラ
    ミックス基材の表面を、50℃〜350℃の範囲内で予
    熱した金属粉末を使用した高速吹き付け法により金属化
    することを特徴とする請求項1から7までのいずれかに
    記載の機能性セラミックス素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 セラミックス基材の表面に金属電極端子
    を接合してなる単層構造または多層構造のセラミックス
    素子において、セラミックス基材同士、またはセラミッ
    クス基材と金属電極端子との接合面となる前記セラミッ
    クス基材の表面に、厚み200μm以下の金属皮膜が存
    在することを特徴とするセラミック素子。
  10. 【請求項10】 セラミックス基材同士、またはセラミ
    ックス基材と金属電極端子との接合面に存在する前記セ
    ラミックス基材の金属皮膜は、アルミニウム、銅、亜
    鉛、ニッケル、銀、タングステン、またはそれらの合金
    からなる群より選ばれた少なくとも一種であり、かつ1
    3wt%以下の酸化物を含むことを特徴とする請求項9
    記載のセラミックス素子。
  11. 【請求項11】 セラミックス基材同士、またはセラミ
    ックス基材と金属電極端子との接合面に存在する前記セ
    ラミックス基材の金属皮膜の面積は、前記セラミックス
    基材の表面の10%以上であることを特徴とする請求項
    9または10記載のセラミックス素子。
  12. 【請求項12】 セラミックス基材同士、またはセラミ
    ックス基材と金属電極端子との接合面に存在する前記セ
    ラミックス基材の金属皮膜は、平均表面粗さ8μm以下
    のものであることを特徴とする請求項9から11までの
    いずれかに記載のセラミックス素子。
  13. 【請求項13】 セラミックス基材同士、またはセラミ
    ックス基材と金属電極端子との接合面に存在する前記セ
    ラミックス基材の金属皮膜の表面は、前記セラミックス
    基材の表面から、1μm〜1mmの範囲の距離内にある
    ことを特徴とする請求項9から12までのいずれかに記
    載のセラミックス素子。
  14. 【請求項14】 セラミックス基材同士、またはセラミ
    ックス基材と金属電極端子との接合面に存在する前記セ
    ラミックス基材の金属皮膜は、その表面に±0.5mm
    以下の高さ範囲の凹凸を有することを特徴とする請求項
    9から13でのいずれかに記載のセラミックス素子。
  15. 【請求項15】 請求項1から8までのいずれかに記載
    のセラミックス素子を用いて構成したことを特徴とする
    避雷器。
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