JP2002286669A - 可燃性ガス検知器の検査方法及び装置 - Google Patents

可燃性ガス検知器の検査方法及び装置

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JP2002286669A
JP2002286669A JP2001085203A JP2001085203A JP2002286669A JP 2002286669 A JP2002286669 A JP 2002286669A JP 2001085203 A JP2001085203 A JP 2001085203A JP 2001085203 A JP2001085203 A JP 2001085203A JP 2002286669 A JP2002286669 A JP 2002286669A
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methane
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Takayuki Genma
隆之 玄間
Masahiko Maeda
真彦 前田
Shozo Hama
正造 濱
Hiroshi Kaino
洋 貝野
Kenji Nishiie
健司 西家
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New Cosmos Electric Co Ltd
Tokyo Gas Co Ltd
Original Assignee
New Cosmos Electric Co Ltd
Tokyo Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱線型半導体式ガス検知素子を備えた可燃性
ガス検知器の劣化が、珪素化合物被毒による劣化による
場合に、現場でも簡便かつ容易に判別することができる
検査方法及び装置を提供する。 【解決手段】 熱線型半導体式ガス検知素子のメタンに
対する応答時間を測定し、その測定時間が劣化していな
いものの基準応答時間と比べて第一許容値以上である場
合、被検査対象の熱線型半導体式ガス検知素子が、珪素
化合物被毒により劣化しているものと判定する。あるい
は、水素の出力が、基準出力値と比べて第二許容値以上
であるものを珪素化合物被毒により劣化しているものと
判定する。あるいは、熱線型半導体式ガス検知素子の水
素の出力が、劣化していないものの基準出力値と比べて
第二許容値未満、第三許容値以上であるもののメタンに
対する応答時間を測定し、上記判断基準に照らし合わせ
て判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱線型半導体式ガ
ス検知素子を備えた可燃性ガス検知器の検査方法及び装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】天然ガスはメタンが主成分であり、化学
プラント等の工業の現場や一般家庭において燃料として
広く普及している。その天然ガス等に対する可燃性ガス
検知器として、金属酸化物半導体(SnO2等)を用い
た熱線型半導体式ガス検知素子を備えた警報装置付きの
可燃性ガス検知器が使用されている。一方、工業の現場
や一般家庭において、電気絶縁体やシリコーン樹脂等の
多様な用途で珪素化合物が広範囲に使用されており、前
記珪素化合物が熱等の影響により揮発して可燃性ガス検
知器の周囲に到達すると、可燃性ガス検知器内の熱線型
半導体式ガス検知素子に対して被毒現象を引き起こす。
珪素化合物で被毒された熱線型半導体式ガス検知素子に
よる出力特性の変化は、前記熱線型半導体式ガス検知素
子の半導体粒子表面に吸着している酸素と珪素化合物が
結合して不活性なSi−O−の結合を形成するために引
き起こされると考えられている。つまり、正常な状態の
熱線型半導体式ガス検知素子では、酸化しやすい水素
は、前記熱線型半導体式ガス検知素子の外面側で酸化除
去されるために、水素ガスに対するガス感度は低くおさ
えらる。これに対し、被毒された熱線型半導体式ガス検
知素子は、その半導体粒子表面が不活性化されているか
ら、水素がその熱線型半導体式ガス検知素子の外面側で
十分に酸化除去されずに内部の電極近傍にまで到達し易
く、また、電極近傍で水素ガスが酸化されると、熱線型
半導体式ガス検知素子の抵抗変化に大きく寄与する事に
なるから、水素ガスに対するガス感度は高くなる。一
方、メタンガスは、元々酸化しにくいガスであるから上
述の不活性化の影響を受けにくい。従って、熱線型半導
体式ガス検知素子が珪素化合物被毒により劣化すると、
水素ガスに対して感度が鋭敏化するという特徴的な変化
が観測される。
【0003】熱線型半導体式ガス検知素子の被毒現象に
より、センサ特性が変化し、センサの劣化を招く。一般
に、可燃性ガス検知器は数年間に亘って使用されるた
め、長期使用に伴う熱線型半導体式ガス検知素子の被毒
現象は徐々に進行する。このように、被毒現象は、前記
熱線型半導体式ガス検知素子を搭載した機器類の安定し
た使用の障害となる。このため、可燃性ガス検知器の性
能保全のためには定期的な検査の実施が必要となる。
【0004】一般に、可燃性ガス検知器内の熱線型半導
体式ガス検知素子の性能低下原因は、前述の珪素化合物
被毒現象の他に、経年による熱線型半導体式ガス検知素
子の劣化が考えられる。経年劣化は、主に熱線型半導体
式ガス検知素子の金属酸化物半導体の焼結が進行した
り、その金属酸化物半導体に含まれる触媒が劣化したり
することによるものと考えられている。また、特開平1
0−170463等に示される従来技術においては、珪
素被毒現象による熱線型半導体式ガス検知素子の性能低
下と経年劣化による熱線型半導体式ガス検知素子の性能
低下の区別は困難であり、別途種々の分析装置を用いる
などして分析する必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】熱線型半導体式ガス検
知素子の劣化が珪素化合物による劣化であるのか、経年
劣化によるものであるのかを区別するための一つの方法
として、劣化した熱線型半導体式ガス検知素子を現場か
ら持ち帰り分析機器を用いて精密分析を行い、半導体粒
子表面に珪素元素が付着しているかどうかを調べること
が考えられるが、従来このような分析手段を用いても珪
素化合物被毒の程度によっては分析機器の検出限界以下
である場合もあり、いつでも明確に区別出来るとは限ら
なかった。しかも、このような方法は高価な分析機器が
必要であって費用もかかるばかりか、可燃性ガス検知器
を設置した現場においては実施不可能な方法であり、時
間と手間もかかるため、いつでも実施できるとは限らな
い。
【0006】従って、本発明の目的は、熱線型半導体式
ガス検知素子を備えた可燃性ガス検知器の劣化が、珪素
化合物被毒による劣化による場合に、現場でも簡便かつ
容易に判別することができる検査方法及び装置を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明の熱線型半導体式ガス検知素子を備えた可燃性
ガス検知器の検査方法の特徴構成は、熱線型半導体式ガ
ス検知素子のメタンに対する応答時間を測定し、測定さ
れた応答時間が、劣化していない熱線型半導体式ガス検
知素子により測定したメタンの基準応答時間と比べて第
一許容値以上である場合、前記熱線型半導体式ガス検知
素子が、珪素化合物被毒により劣化しているものと判定
することにあり、また、前記熱線型半導体式ガス検知素
子の水素の出力値が、劣化していない熱線型半導体式ガ
ス検知素子の水素の基準出力値と比べて著しく大きな第
二許容値以上である場合、前記熱線型半導体式ガス検知
素子が、珪素化合物被毒により劣化しているものと判定
することもでき、前記熱線型半導体式ガス検知素子の水
素の出力値が、劣化していない熱線型半導体式ガス検知
素子の水素の基準出力値と比べて第三許容値未満である
場合、前記熱線型半導体式ガス検知素子が、珪素化合物
被毒によっては劣化していないものと判定することもで
きる。さらに、前記熱線型半導体式ガス検知素子の水素
の出力値が、劣化していない熱線型半導体式ガス検知素
子の水素の基準出力値と比べて著しく大きな第二許容値
未満、第三許容値以上である場合に、熱線型半導体式ガ
ス検知素子のメタンに対する応答時間を測定し、測定さ
れた応答時間が、劣化していない熱線型半導体式ガス検
知素子により測定したメタンの基準応答時間と比べて第
一許容値以上である場合、前記熱線型半導体式ガス検知
素子が、珪素化合物被毒により劣化しているものと判定
することもできる。
【0008】尚、前記第一許容値としては、1.5倍以
上とすることができ、前記第二許容値としては、5倍以
上とすることができ、前記第三許容値としては、2.5
倍以上で、5倍未満の値とすることができる。
【0009】また、本発明の可燃性ガス検知器の検査装
置の特徴構成は、ガス検知器に対する水素ガス供給部及
びメタンガス供給部を備え、前記ガス検知器のメタンガ
スに対する応答時間を測定可能で、かつ、前記ガス検知
器からの水素ガスに対する出力を受ける演算部を備えた
点にある。
【0010】〔作用効果〕ここで、珪素化合物被毒によ
り劣化した熱線型半導体式ガス検知素子及び経年劣化し
た熱線型半導体式ガス検知素子の、水素とメタンに対す
る出力特性とメタン検知の応答時間を、劣化していない
熱線型半導体式ガス検知素子の水素とメタンに対する出
力特性とメタン検知の応答時間と比較した結果を表1に
示した。
【0011】尚、劣化していない熱線型半導体式ガス検
知素子とは、例えば、製造後に実使用していない熱線型
半導体式ガス検知素子や、ほとんど使用されていない状
態の熱線型半導体式ガス検知素子で、出力特性が実使用
前の出力特性と比べて実質的に変化が無い熱線型半導体
式ガス検知素子を指す。また、経年劣化した熱線型半導
体式ガス検知素子とは、長期に亘り実使用された熱線型
半導体式ガス検知素子で、出力特性が実使用前の出力特
性と比べ低下した熱線型半導体式ガス検知素子を指す。
また、珪素化合物被毒により劣化した熱線型半導体式ガ
ス検知素子とは、珪素化合物が存在する現場で使用さ
れ、珪素化合物が熱線型半導体式ガス検知素子の表面に
被膜を形成したものである。また応答時間とは、熱線型
半導体式ガス検知素子が被検知ガスを検知した際には、
メーターの指示値が変化するのであるが、この指示値の
変化が始まってから、センサ出力が100%である飽和
出力に至るまでの特定範囲に収まるまでに要した時間の
ことであり、通常前記指示値の変化傾向は変化しないた
めに、例えば、飽和出力の90%出力に至るまでの時間
をもって、前記応答時間とすることができる。
【0012】
【表1】
【0013】この出力特性の比較によると、(1)の水
素に対する出力は、経年劣化した熱線型半導体式ガス検
知素子(a)と珪素化合物被毒により劣化した熱線型半
導体式ガス検知素子(b)のいずれにおいても増加す
る。特に(b)の水素に対する出力が極端に増加する場
合は水素に対する出力特性を検査するだけで珪素化合物
被毒による劣化であるとほぼ断定できる。しかし、水素
に対する出力の増加が極端でない場合には(a)(b)
の両方共に水素に対する出力が増加するため、水素に対
する出力特性を検査するだけではセンサ特性低下の原因
が珪素化合物被毒による劣化であるか経年劣化によるの
かを明確に判別できない。(2)のメタンに対する出力
は、(a)(b)の両方共に減少する特性を示すため、
センサ特性低下の原因が珪素化合物被毒による劣化であ
るか経年劣化であるかの明確な判別は不可能である。
(3)のメタンに対する応答時間は、(a)ではほとん
ど変わらないが(b)では長くなり、センサ特性低下の
原因は珪素化合物被毒による劣化であると明確に判別で
きる。
【0014】つまり、被検査対象となっている熱線型半
導体式ガス検知素子のメタンに対する応答時間を測定
し、測定された応答時間と、劣化していない熱線型半導
体式ガス検知素子で測定したメタンの応答時間とを比較
することにより、センサ特性低下の原因が、珪素化合物
被毒による劣化であるか経年劣化であるかの明確な判別
が可能になる。
【0015】また、このような検査方法によると、瞬時
に出力を得て、速やかに判断を行える。そのため、先述
のメタンガスに対する応答時間に基づく検査方法を行う
際に、先行して水素の出力値に基づいて珪素化合物被毒
の有無を判断しておけば、明らかに珪素化合物被毒の有
るものについて、検査をする時間を節約することができ
ることになる。また、前記熱線型半導体式ガス検知素子
の水素の出力値が、劣化していない熱線型半導体式ガス
検知素子の水素の基準出力値と比べて著しく大きな第二
許容値以上である場合、前記熱線型半導体式ガス検知素
子が、珪素化合物被毒により劣化しているものと判定す
ると、先のメタンに対する応答時間により珪素化合物被
毒の有無を判断するまでもなく、明らかに珪素化合物被
毒により熱線型半導体式ガス検知素子の劣化したガス検
知器を知ることができる。さらに、前記熱線型半導体式
ガス検知素子の水素の出力値が、劣化していない熱線型
半導体式ガス検知素子の水素の基準出力値と比べて第三
許容値未満である場合、前記熱線型半導体式ガス検知素
子が、珪素化合物被毒によっては劣化していないものと
判定しておけば、先のメタンに対する応答時間により珪
素化合物被毒の有無を判断するまでもなく、珪素化合物
被毒が問題とならない熱線型半導体式ガス検知素子をあ
らかじめ知ることができ、検査に要する時間を節約する
ことができる。
【0016】また、被検査対象となっている熱線型半導
体式ガス検知素子の水素に対する出力が、劣化していな
い熱線型半導体式ガス検知素子の水素に対する出力に比
べて著しく増加した場合には、センサ特性低下の原因が
珪素化合物被毒による劣化であるか経年劣化であるかの
明確な判別が可能になり、さらに、水素に対する出力に
比べて著しくとは言えないまでも増加している場合に
は、熱線型半導体式ガス検知素子に対してメタンに対す
る応答時間を測定し、測定された応答時間を、劣化して
いない熱線型半導体式ガス検知素子により測定したメタ
ンに対する応答時間と比較することにより、センサ特性
低下の原因が珪素化合物被毒による劣化であるか経年劣
化であるかの明確な判別が可能になる。
【0017】つまり、被検査対象となっている熱線型半
導体式ガス検知素子が、珪素化合物被毒による劣化であ
ると判定されれば、熱線型半導体式ガス検知素子の周囲
に珪素化合物を吸着するような通気性フィルターを装着
する等の対応が考えられる。また、経年劣化と判定され
れば、製造工程における初期エージングを強化するとい
う対応の他に、可燃性ガスに対する出力特性が補正によ
り実使用が可能になるという程度の劣化である場合に
は、感度補正等を行うことにより使用を継続することも
可能である。すなわち、熱線型半導体式ガス検知素子の
出力特性低下の原因を明確にすることで、原因に対処す
るための的確な手段を選ぶことが可能となる。また、本
発明の検査方法であれば可燃性ガス検知器を設置した現
場における実施が可能なので速やかに検査を実施でき、
原因への対処手段を迅速にとることが可能となる。
【0018】さらに、ガス検知器の検査装置としては、
ガス検知器に対するメタンガス供給部を備えてあれば、
前記ガス検知器の検査方法に必要なガスを、検知対象の
ガス検知器に対して供給でき、前記ガス検知器のメタン
ガスに対する応答時間を測定可能な演算部を備えていれ
ば、その測定された応答時間から前記ガス検知器が珪素
化合物被毒により劣化しているか否かを検査することが
できる。また、さらに、ガス検知器に対するメタンガス
供給部を備えるとともに、前記ガス検知器からの水素ガ
スに対する出力を受ける演算部を備えれば、その水素ガ
スに対する出力をもとに、前記ガス検知器が明らかに珪
素化合物被毒により劣化していると認められる場合や、
明らかに劣化していないと認められる場合に、効率よく
ガス検知器の珪素化合物被毒を検査することができるよ
うになる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。劣化していない熱線型半導体式
ガス検知素子(A1〜A4)と、経年劣化した熱線型半
導体式ガス検知素子(B1〜B4)と、珪素化合物被毒
により劣化した熱線型半導体式ガス検知素子(C1〜C
4)の各4個づつに対して、(1)水素100ppmに
対する出力、(2)メタン100ppmに対する出力、
(3)メタン100ppmを検知する際の90%応答時
間をそれぞれ測定した。
【0020】ここで、90%応答時間とは、メーターの
指示値の変化が始まってから、飽和出力の90%に達す
るまでに要した時間のことである。尚、ここでは、用い
られるメタンの濃度を100ppmとし、応答時間をメ
タンに対する90%応答時間として測定したが、実際に
は、用いられるメタンの濃度や、応答時間の測定方法
は、これらに限られるものではない。
【0021】図1にメタン100ppmに対するセンサ
出力応答波形の例を示す。経年劣化B−1の場合では、
90%応答時間は飽和出力21mVに対しその90%に
相当する出力(約18.9mV)に達するまでに要した
時間であり、図1より約5.7秒であることが分かる。
同様に、珪素化合物被毒劣化C−1の場合では、C−1
の飽和出力33mVの90%(約29.7mV)に達す
るまでに要した時間のことであり、図1より約30秒で
あることが分かる。
【0022】尚、ここで用いた熱線型半導体式ガス検知
素子は、図2に示すように、Pt、Pd−Pt合金等の
貴金属線コイル1を、酸化スズ、酸化インジウム等の金
属酸化物半導体からなるガス感応部2で覆ったものであ
る。
【0023】表2に劣化していない熱線型半導体式ガス
検知素子を使用して測定した(1)水素100ppmに
対する出力、(2)メタン100ppmに対する出力、
(3)メタン100ppmを検知する際の90%応答時
間の結果を示す。
【0024】
【表2】
【0025】表2より劣化していない熱線型半導体式ガ
ス検知素子の(1)、(2)、(3)の平均値はそれぞ
れ31.5mV、31.0mV、6.80秒であった。
【0026】表3に経年劣化した熱線型半導体式ガス検
知素子を使用して測定した(1)水素100ppmに対
する出力、(2)メタン100ppmに対する出力、
(3)メタン100ppmを検知する際の90%応答時
間の結果を示す。
【0027】
【表3】
【0028】表4に珪素化合物被毒劣化した熱線型半導
体式ガス検知素子を使用して測定した(1)水素100
ppmに対する出力、(2)メタン100ppmに対す
る出力、(3)メタン100ppmを検知する際の90
%応答時間の結果を示す。
【0029】
【表4】
【0030】表2〜4より珪素化合物被毒により劣化し
た熱線型半導体式ガス検知素子では、水素100ppm
に対する出力は87〜263mVであり、劣化していな
い熱線型半導体式ガス検知素子の水素に対する100p
pm出力の平均値に対する比は2.8〜8.3倍と大き
な値になっており、珪素化合物被毒が水素に対するセン
サ出力を増加あるいは極端に増加させることを示してい
る。一方、経年劣化した熱線型半導体式ガス検知素子の
水素100ppmに対する出力(1)は57〜79mV
であり、劣化していない熱線型半導体式ガス検知素子の
水素に対する100ppm出力の平均値に対する比は
1.8〜2.4倍程度の増加率となっている。
【0031】従って、熱線型半導体式ガス検知素子で
は、水素の出力値が2.5倍以上であれば珪素化合物被
毒を受けている可能性があり、水素の出力値が2.5倍
未満であれば、珪素化合物被毒を受けていないものと考
えられることが分かる。
【0032】また、表4中のC−1、3、4のように劣
化していない熱線型半導体式ガス検知素子の水素に対す
る100ppm出力の平均値に対する比が一律5倍以上
であれば、経年劣化した熱線型半導体式ガス検知素子と
珪素化合物被毒した熱線型半導体式ガス検知素子は、水
素に対する100ppm出力の測定をするだけで明確に
判別することが可能になる。しかし、表4中のC−2の
ような劣化していない熱線型半導体式ガス検知素子の水
素に対する100ppm出力の平均値に対する比が2.
8倍程度のガス検知素子の場合は、珪素化合物被毒によ
る劣化であるか経年劣化であるか、いずれの原因かを明
確に判別することは困難である。
【0033】また、表2〜4よりメタン100ppmに
対する出力では、珪素化合物被毒した熱線型半導体式ガ
ス検知素子C−2、4の測定結果が、劣化していない熱
線型半導体式ガス検知素子のメタンに対する100pp
m出力の平均値に対する比で0.8〜0.9倍となって
おり、これは経年劣化した熱線型半導体式ガス検知素子
B−1〜4の測定結果が、劣化していない熱線型半導体
式ガス検知素子のメタンに対する100ppm出力の平
均値に対する比で0.6〜0.8倍と同様の範囲であ
り、明確な判別は不可能である。
【0034】また、表2〜4よりメタン100ppmに
対する90%応答時間の測定結果は、経年劣化した熱線
型半導体式ガス検知素子では4.9〜7.8秒であり、
劣化していない熱線型半導体式ガス検知素子のメタン1
00ppmに対する90%応答時間の平均値との比は
0.7〜1.1となっており、大きな差はない。しか
し、珪素化合物被毒した熱線型半導体式ガス検知素子の
測定結果では、劣化していない熱線型半導体式ガス検知
素子のメタン100ppmに対する90%応答時間の平
均値との比は1.9〜8.8倍となっており、増加ある
いは極端に増加している。特に最も90%応答時間が短
い珪素化合物被毒した熱線型半導体式ガス検知素子でも
2倍近い比を示しており、経年劣化した熱線型半導体式
ガス検知素子の測定結果とは明らかに判別することが可
能である。
【0035】つまり、熱線型半導体式ガス検知素子を備
えた可燃性ガス検知器を検査し、検査結果を評価する
際、被検査対象である熱線型半導体式ガス検知素子のメ
タン100ppmに対する90%応答時間と、劣化して
いない熱線型半導体式ガス検知素子のメタン100pp
mに対する90%応答時間との比が、1.5倍未満を経
年劣化した熱線型半導体式ガス検知素子とし、1.5倍
以上を珪素化合物被毒した熱線型半導体式ガス検知素子
と判定するようにすれば、明確に判別することが可能で
ある。すなわち、劣化していない熱線型半導体式ガス検
知素子のメタン100ppmに対する90%応答時間が
基準応答時間となり、前記基準応答時間に対して1.5
倍の時間を第一許容値として設定することにより、セン
サ特性変化の原因を判定する基準とする。
【0036】さらに、あらかじめ、熱線型半導体式ガス
検知素子の水素100ppmの出力と、劣化していない
熱線型半導体式ガス検知素子の水素100ppmの出力
との比が5倍以上を示す熱線型半導体式ガス検知素子に
ついては、水素に対する出力を調べるだけで明らかに珪
素化合物被毒により劣化している熱線型半導体式ガス検
知素子を見いだすことができることになるから、熱線型
半導体式ガス検知素子の水素100ppmの出力と、劣
化していない熱線型半導体式ガス検知素子の水素100
ppmの出力との比が第二許容値としての5倍以上を示
す熱線型半導体式ガス検知素子のみについてメタン10
0ppmに対する90%応答時間を測定するようにすれ
ば、さらに、劣化の度合いが大きいことが明らかで、そ
の劣化が珪素化合物被毒によることが明らかな場合に、
わざわざ前記応答時間の測定を待って判断をしなければ
ならないような状況を回避できるので、検査時間および
経費の節約を実現できる検査方法となる。
【0037】ここで、応答時間を測定する際、本実施例
のC−4のようにメタン100ppmに対する90%応
答時間が60秒も要する場合がある。このような珪素化
合物被毒した熱線型半導体式ガス検知素子が多数あれ
ば、検査作業に手間取り、さらに検査準備のために可燃
性ガス検知器を分解して熱線型半導体式ガス検知素子を
露にするための経費もかさむことになる。そのため、迅
速に検査作業を進める必要がある場合は、被検査対象の
熱線型半導体式ガス検知素子の水素100ppmの出力
と、劣化していない熱線型半導体式ガス検知素子の水素
100ppmの出力との比が2.5倍以上を示す熱線型
半導体式ガス検知素子のみについてメタン100ppm
に対する90%応答時間を測定するようにすれば、劣化
の度合いが少なくその劣化が珪素化合物被毒によるもの
か否かを判断するまでもないような場合に、わざわざ前
記応答時間の測定を待って判断をしなければならないよ
うな状況を回避できるので、検査時間および経費の節約
を実現できる検査方法となる。従って、劣化していない
熱線型半導体式ガス検知素子の水素100ppmに対す
る出力が基準出力値となり、前記基準出力値に対して
2.5倍の値を第三許容値として設定することにより、
メタン100ppmに対する90%応答時間を測定する
工程に進む際の判定基準とする。
【0038】尚、前記第一許容値、前記第二許容値、前
記第三許容値は、熱線型半導体式ガス検知素子を構成す
る貴金属線材や金属酸化物半導体の材料によって、適宜
設定することが出来る。
【0039】上述の可燃性ガス検知器の検査を行うガス
検知器検査装置は、図3に示すように、ガス検知器10
に対する水素ガス供給部20及びメタンガス供給部30
を備え、さらに、供給されるガス濃度を調整するための
流量調整部40を設け、前記ガス検知器10のメタンガ
スに対する出力を受け、かつ、前記ガス検知器10から
の水素ガスに対する出力を受ける演算部50を備えると
ともに、その演算部50には前記メタンガスに対する出
力波形を基に、90%応答時間を測定する応答時間演算
手段51及び熱線型半導体式ガス検知素子からの水素出
力値を受けて、劣化していない熱線型半導体式ガス検知
素子の水素の基準出力値との比を演算する出力比演算手
段52を備え、前記応答時間演算手段51及び出力比演
算手段52からの演算結果に基づき、そのガス検知器の
熱線型半導体式ガス検知素子が珪素化合物被毒を受けて
いるものであるか否かの判断を行う判断機構53を備
え、前記判断機構からの判断結果は前記演算部に連設さ
れる表示装置60に表示されるように構成してある。
尚、上述の構成において前記演算部は、複数の前記ガス
検知器の設置場所から、各ガス出力を受信して集中管理
容易な計器室に設けてあっても良く、このような場合
に、前記ガス出力は無線出力されるように構成する。
【0040】従って、例えば、前記熱線型半導体式ガス
検知素子のメタンに対する応答時間を測定し、測定され
た応答時間が、劣化していない熱線型半導体式ガス検知
素子により測定したメタンの基準応答時間と比べて第一
許容値以上である場合、前記熱線型半導体式ガス検知素
子が、珪素化合物被毒により劣化しているものと判定す
る場合には、図4に示すように、ガス検知装置に対して
メタンガスを供給しその90%応答時間を測定し(#
1)、その応答時間の基準応答時間に対する比率が第一
許容値以上である場合に、珪素化合物被毒があり、第一
許容値(例えば上述の場合1.5倍)に達していない場
合、珪素化合物被毒が無いと判断することができる(#
2)。また、前記熱線型半導体式ガス検知素子の水素の
出力値が、劣化していない熱線型半導体式ガス検知素子
の水素の基準出力値と比べて著しく大きな第二許容値未
満、第三許容値以上である場合に、前記熱線型半導体式
ガス検知素子のメタンに対する応答時間を測定し、測定
された応答時間が、劣化していない熱線型半導体式ガス
検知素子により測定したメタンの基準応答時間と比べて
第一許容値以上である場合、前記熱線型半導体式ガス検
知素子が、珪素化合物被毒により劣化しているものと判
定する場合には、図5に示すように、まず、ガス検知装
置に対して水素ガスを供給してその水素ガスに対する濃
度出力を測定し(#1)、その濃度出力が前記第二許容
値(例えば上述の場合5倍)以上であれば、珪素化合物
被毒があるものと判断し、前記第二許容値に達していな
ければ、その濃度出力が第三許容値(例えば上述の場合
2.5倍)以上であるかをチェックする(#3)。この
とき、濃度出力が第三許容値に満たないと、このガス検
知装置の熱線型半導体式ガス検知素子は、珪素化合物被
毒を受けていないものと判断できる。一方、前記濃度出
力が第三許容値以上であれば、このガス検知装置の熱線
型半導体式ガス検知素子の劣化が経年劣化によるもの
か、珪素化合物被毒によるものか、判断できないため
に、さらに、前記ガス検知装置にメタンガスを供給し
て、そのメタンガスに対する応答速度を調べる(#
4)。その応答時間の基準応答時間に対する比率が第一
許容値以上である場合に、珪素化合物被毒があり、第一
許容値(例えば上述の場合1.5倍)に達していない場
合、珪素化合物被毒が無いと判断することができる(#
5)。
【図面の簡単な説明】
【図1】メタン100ppmに対するセンサ出力応答波
形の例
【図2】熱線型半導体式ガス検知素子の概略図
【図3】ガス検知器の検査装置の概略図
【図4】ガス検知方法のフロー図
【図5】ガス検知方法のフロー図
【符号の説明】
1 貴金属線コイル 2 ガス感応部 10 ガス検知器 20 水素ガス供給部 30 メタンガス供給部 40 流量調整部 50 演算部 51 応答時間演算手段 52 出力比演算手段 53 判断機構 60 表示装置
フロントページの続き (72)発明者 前田 真彦 東京都港区海岸1丁目5番20号 東京瓦斯 株式会社内 (72)発明者 濱 正造 東京都港区海岸1丁目5番20号 東京瓦斯 株式会社内 (72)発明者 貝野 洋 大阪府大阪市淀川区三津屋中2丁目5番4 号 新コスモス電機株式会社内 (72)発明者 西家 健司 大阪府大阪市淀川区三津屋中2丁目5番4 号 新コスモス電機株式会社内 Fターム(参考) 2G046 AA05 AA19 BA02 BA09 BE02 BE07 BE08 CA03 DC04 DC11 DC18 FB02 FE15 FE29 FE31 FE39 2G060 AA02 AB03 AB17 AE19 AE27 HC07 HC09 HC10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱線型半導体式ガス検知素子を備えた可
    燃性ガス検知器の検査方法であって、 前記熱線型半導体式ガス検知素子のメタンに対する応答
    時間を測定し、測定された応答時間が、劣化していない
    熱線型半導体式ガス検知素子により測定したメタンの基
    準応答時間と比べて第一許容値以上である場合、前記熱
    線型半導体式ガス検知素子が、珪素化合物被毒により劣
    化しているものと判定する可燃性ガス検知器の検査方
    法。
  2. 【請求項2】 前記熱線型半導体式ガス検知素子の水素
    の出力値が、劣化していない熱線型半導体式ガス検知素
    子の水素の基準出力値と比べて著しく大きな第二許容値
    以上である場合、前記熱線型半導体式ガス検知素子が、
    珪素化合物被毒により劣化しているものと判定する可燃
    性ガス検知器の検査方法。
  3. 【請求項3】 前記熱線型半導体式ガス検知素子の水素
    の出力値が、劣化していない熱線型半導体式ガス検知素
    子の水素の基準出力値と比べて第三許容値未満である場
    合、前記熱線型半導体式ガス検知素子が、珪素化合物被
    毒によっては劣化していないものと判定する可燃性ガス
    検知器の検査方法。
  4. 【請求項4】 前記熱線型半導体式ガス検知素子の水素
    の出力値が、劣化していない熱線型半導体式ガス検知素
    子の水素の基準出力値と比べて著しく大きな第二許容値
    未満、第三許容値以上である場合に前記請求項1記載の
    可燃性ガス検知器の検査方法を行う可燃性ガス検知器の
    検査方法。
  5. 【請求項5】 前記第一許容値が1.5倍以上である請
    求項1に記載の可燃性ガス検知器の検査方法。
  6. 【請求項6】 前記第二許容値が5倍以上である請求項
    2又は4に記載の可燃性ガス検知器の検査方法。
  7. 【請求項7】 前記第三許容値が2.5倍以上で、か
    つ、5倍未満である請求項3又は4に記載の可燃性ガス
    検知器の検査方法。
  8. 【請求項8】 ガス検知器に対するメタンガス供給部を
    備え、前記ガス検知器のメタンガスに対する応答時間を
    測定可能で、前記請求項1記載の可燃性ガス検知器の検
    査方法を行う演算部を備えた可燃性ガス検知器の検査装
    置。
  9. 【請求項9】 ガス検知器に対する水素ガス供給部及び
    メタンガス供給部を備え、前記ガス検知器のメタンガス
    に対する応答時間を測定可能で、かつ、前記ガス検知器
    からの水素ガスに対する出力を受け、前記請求項1〜7
    のいずれかに記載の可燃性ガス検知器の検査方法を行う
    演算部を備えた可燃性ガス検知器の検査装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016145738A (ja) * 2015-02-06 2016-08-12 新コスモス電機株式会社 ガス濃度測定装置及びガス濃度測定方法

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