JP4422874B2 - ガス検知性能診断方法およびガス検知装置 - Google Patents

ガス検知性能診断方法およびガス検知装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属酸化物半導体を主成分とする半導体式ガス検知素子のガス検知性能診断方法、および、被検知ガスと接触自在に設けられた金属酸化物半導体を主成分とする半導体式ガス検知素子に、ガス検知電圧を印加して前記半導体式ガス検知素子の抵抗値を測定可能なガス検知回路を設けたガス検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体式ガス検知素子は金属酸化物半導体を主成分とするガス感応部を有し、検知対象ガス(以下被検知ガスとする)と接触自在に設けられている。前記被検知ガスが前記半導体式ガス検知素子に接触して、前記ガス感応部において前記金属酸化物半導体により酸化され、その酸化反応に伴う電子の授受に伴い前記半導体式ガス検知素子の抵抗値が定量的に変化する。そのため、前記半導体式ガス検知素子を備えたガス検知装置は、前記抵抗値の変化に基づく出力値から被検知ガスの濃度を求めることが出来るのである。
【0003】
このような半導体式ガス検知素子は、実使用されている過程において、被検知ガス等との反応に伴い、その感応部の被検知ガスとの反応性が次第に変化して、十分な反応性が得られなくなる劣化が起きることが知られている。このような劣化は自然劣化であるが、この他に、被毒性ガスの存在により、前記半導体式ガス検知素子を被毒することにより生じる劣化等が知られている。
【0004】
また、このような感応部の反応性の変化が起きた場合に、前記半導体式ガス検知素子は、ガス検知出力が通常の出力に比して異常に大きくなったり、異常に小さくなったりする場合がある。そのような場合には、被検知ガスを含まない検知対象ガスに対する安定出力を基に、所定濃度の被検知ガスに対して前記半導体式ガス検知素子がどれだけの出力を示すのかを求め、その出力と、前記半導体式ガス検知素子が劣化していないときの出力との出力比から、前記半導体式ガス検知素子の被検知ガスに対する検知出力を較正して被検知ガスを検知することが行われている。このような調整をゼロスパンの調整と呼ぶ。この際、前記出力比が、前記ガス検知装置の較正可能な容量(たとえば、前記ガス検知装置に設けられるアンプの容量)を越えるような場合は、前記半導体式ガス検知素子が劣化してガス検知性能が低下していると診断することが行われている。
【0005】
また、このような半導体式ガス検知素子を備えたガス検知装置としては、前記安定出力が得られると、前記ガス検知装置は、そのまま被検知ガスの検知に用いられるために、前記安定出力が得られるまでの出力安定時間は問題視されていないものが用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のように半導体式ガス検知素子のガス検知性能を診断する場合、前記半導体式ガス検知素子が劣化しているものと診断されたときには、すでに、その半導体式ガス検知素子が使用に耐えないものとして取り扱われるものとなっている。しかも、実使用者が半導体式ガス検知素子の異常に気づくのは、このような明らかに使用に耐えない状態になってからのことが多い。
【0007】
また、特に高い精度で被検知ガスを検知したいような場合には、前記半導体式ガス検知素子の特性が変わっていたとすると、前述のように出力比により検知出力を較正したとしても、正確さが補償されるとは言い難い。さらに、検知出力を較正することによる半導体式ガス検知素子の再調整により、使用可能な場合においても、初期安定時間の長期化や被検知ガス以外のガスに対する感度の上昇といった、正常な半導体式ガス検知素子であれば保持している特性を維持できていない状態である場合が多い。
【0008】
このような場合、前記半導体式ガス検知素子がどの程度の特性を有しているか、あるいは、特性変化があるとすればどの程度の劣化であるかを、事前に調査できればそれに対応する適切な対処、例えば、前記半導体式ガス検知素子の交換、前記半導体式ガス検知素子のセンサ感度の調整、得られたガス検知出力値の較正などを行うことによって対応することが出来ると考えられる。
【0009】
また、他の原因で較正できない条件がそろった場合にも半導体式ガス検知素子自体の劣化が判定できるほうが好ましく、ガス検知装置のメンテナンス時に半導体式ガス検知素子の交換が必要か否かの判断が出来れば手際よい。また、ガス検知装置としても、半導体式ガス検知素子の評価が簡単に出来るほうが好ましい。
【0010】
また、特性変化により劣化が認められた半導体式ガス検知素子と劣化していない半導体式ガス検知素子との交換の必要性は、半導体式ガス検知素子の特性変化が大きい場合に生じる。つまり、実使用中の半導体式ガス検知素子が劣化していない半導体式ガス検知素子が示す特性とは大きく異なった挙動を示し、ゼロスパンの再調整等を行ったとしても劣化していない半導体式ガス検知素子が示す特性と同程度にまで出力が得られない場合に交換の必要性が生じる。
【0011】
しかし、上述のゼロスパンの再調整により半導体式ガス検知素子の交換時期を知る方法によると、交換が必要な時期までその劣化の程度を知ること無しにゼロスパンの調整を行っているため、半導体式ガス検知素子の特性変化が軽微な状態で半導体式ガス検知素子の劣化度合いを判断することは困難であった。
また、半導体式ガス検知素子の特性変化が起きた場合、前記半導体式ガス検知素子が原因であるか、前記半導体式ガス検知素子以外のガス検知回路等が原因であるかの判断を一般の実使用者が判別するのは困難であった。
【0012】
従って、本発明の目的は、半導体式ガス検知素子の劣化の度合いがどの程度であるのかをより詳細に評価することのできるガス検知性能診断方法およびガス検知装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、劣化した半導体式ガス検知素子が、無通電状態から通電状態に切り替えられた際に、その通電に基づき得られる前記半導体式ガス検知素子からの出力が、安定化するまでに必要となる初期安定化時間が、その半導体式ガス検知素子の劣化度合いに応じて変化することを経験的に見いだすとともに、前記初期安定化時間は、初期通電時には前記無通電状態の持続時間に依存するのに対して、複数回の通電、無通電の切り替えが繰り返された時の再通電時には、前記無通電状態の持続時間には依存しないことを新たに見いだし、本発明に想到した。
【0014】
尚、本発明にいう出力安定時間とは、半導体式ガス検知素子に通電したときに、その半導体式ガス検知素子が晒されている雰囲気下において予定される出力が安定して得られるまでの時間を指す。通常、半導体式ガス検知素子を無通電状態から通電状態に切り替えた際には、時間経過とともに、その雰囲気中の被検知ガス濃度に見合う出力まで変化し、被検知ガスの存在しない空気中であれば、被検知ガス濃度0に相当する出力が予定され、その出力値が安定するまでに、予定される出力と違った出力が一時的に生じることが知られている。
また、劣化していない半導体式ガス検知素子とは、例えば、製造後に実使用していない半導体式ガス検知素子や、ほとんど使用されていない状態の半導体式ガス検知素子等で、出力特性が実使用前の出力特性と比べて実質的に変化が無い半導体式ガス検知素子を指す。
また、診断対象である半導体式ガス検知素子とは、通常、実使用に供されている半導体式ガス検知素子である。このような半導体式ガス検知素子は、一般に、無通電状態がどれだけの期間にわたって持続されていたものであるかを、外見上判断することは困難である。
【0015】
〔構成1〕
この目的を達成するための本発明の特徴構成は、請求項1に記載のように、
金属酸化物半導体を主成分とする半導体式ガス検知素子のガス検知性能診断方法であって、
劣化していない半導体式ガス検知素子の、ガス検知性能診断のために複数回の通電、無通電の切り替えが繰り返された時の再通電時に測定した標準出力安定時間と、診断対象である半導体式ガス検知素子の、ガス検知性能診断のために複数回の通電、無通電の切り替えが繰り返された時の再通電時に測定した測定出力安定時間とを比較し、前記測定出力安定時間と前記標準出力安定時間との比が所定値を超過すれば、前記診断対象である半導体式ガス検知素子が劣化していると診断することにある。
【0016】
〔作用効果1〕
つまり、診断対象である半導体式ガス検知素子の、ガス検知性能診断のために複数回の通電、無通電の切り替えが繰り返された時の2回目以降の通電を行う再通電時に測定出力安定時間を測定すると、その測定出力安定時間は、診断対象である半導体式ガス検知素子の劣化度合いを示すものとなり、その劣化の度合いが高いものほど、安定時間は長くなる傾向にある。また、この場合、無通電状態の持続時間がほぼゼロに相当する場合の出力安定時間が求められることになるから、その劣化度合いは、診断対象の半導体式ガス検知素子が、どれだけの期間にわたって無通電状態を持続していたものであるかによらず、客観的に判断できるものとなる。
【0017】
ここで、一般に、半導体式ガス検知素子の出力安定時間は、初期通電時より2回目以降の再通電時の方が短くなる。これは、初期通電により前記半導体式ガス検知素子が暖められているため、2回目以降の再通電時には前記半導体式ガス検知素子の出力が安定する温度に速く達するためと考えられる。
【0018】
また、上述の初期通電時には、パージ電圧をパルス印加して通電加熱するのと同様の効果が得られ、前記半導体式ガス検知素子に吸着したガスや水分等の付着物を揮散除去することが出来る。すると、前記再通電時の出力は、前記付着物に依存しにくいものとなるため、素早く安定出力に達すると共に、その安定出力値もばらつきにくいものとなる。
【0019】
以上により、劣化していない半導体式ガス検知素子の、ガス検知性能診断のために複数回の通電、無通電の切り替えが繰り返された時の再通電時に測定した標準出力安定時間と、診断対象である半導体式ガス検知素子の、ガス検知性能診断のために複数回の通電、無通電の切り替えが繰り返された時の再通電時に測定した測定出力安定時間とを比較することにより、どれだけの期間にわたって無通電状態を持続していたものであるかによらず、また、無通電状態の持続時間がほぼゼロに相当する条件でガス検知素子の性能を診断する方法を提供できる。つまり、劣化していない半導体式ガス検知素子と診断対象である半導体式ガス検知素子との診断時の通電条件を等しく設定し、夫々の半導体式ガス検知素子が有する特性を出力安定時間として数値化することで、劣化の程度を客観的に判断できるのである。
【0020】
そのため、このような評価をもとに、劣化の度合いを診断すると、測定出力安定時間/標準出力安定時間が所定の比を超過しなければ劣化していない半導体式ガス検知素子と同等の特性を有しまだ使用に耐えるものであり、測定出力安定時間/標準出力安定時間が所定の比を超過すれば劣化していない半導体式ガス検知素子の特性と異なった特性を有するために、精度の高いガス検知には使用し得ないもの、つまり劣化した半導体式ガス検知素子であると見なすことができる。
【0021】
つまり、前記測定出力安定時間と前記標準出力安定時間とを比較した結果が、劣化していない半導体式ガス検知素子との交換の必要性の有無を判断する基準となり、また、交換の必要が無いと判断された場合でも特性が変化している場合は、診断対象となった半導体式ガス検知素子のゼロスパンの再調整等の対応により継続使用が可能であると判断されるため、単に劣化しているか否かだけでなくどの程度劣化しているのかを、客観的な数値として示すことが出来、目的、用途等に応じてその交換時期の判断を行い、かつ劣化の程度に応じた対応が出来るようになった。
【0022】
また、客観的に得られた比のみをもって診断することが出来るから、ガス検知装置の調整操作により診断していた従来の方法に比べて、一般の実使用者でも容易かつ迅速に判断することができるガス検知性能診断方法を提供することができるようになった。
【0023】
〔構成2〕
この目的を達成するための本発明の特徴構成は、請求項2に記載のように、請求項1の発明において、
前記半導体式ガス検知素子を非通電状態から通電状態に切り替えたときに、通電開始後の出力変動が0.2mV/秒以内に達するまでに要した時間により、前記測定出力安定時間及び前記標準出力安定時間を求め、前記測定出力安定時間が前記標準出力安定時間の1.5倍を超過した場合に前記診断対象である半導体式ガス検知素子が劣化していると診断することにある
【0025】
〔作用効果2〕
上述の作用効果1に述べた診断方法を行うに当たって、多数の半導体式ガス検知素子が同様の挙動を示すことが明らかな場合、診断の基準となる標準出力安定時間を数値として与えて、その所定値倍の出力安定時間と、実際の測定出力安定時間との比較により劣化の有無の判断を行うことが出来るものと考えられる。また、通電初期の出力変動が0.2mV/秒以内に達するまでの時間を出力安定化時間として用いると、再現性良くその初期出力は安定化したと見なすことが出来る。この出力安定基準に基づいて出力安定時間を測定し、測定出力安定時間が標準出力安定時間の1.5倍を越えるか否かでの劣化の有無を判断すれば、客観的かつ明確にに診断対象となる半導体式ガス検知素子診断対象となる半導体式ガス検知素子の劣化の程度を診断することができると考えられる。
【0026】
後述の実施例で示したように、図6中の(1)の劣化していない半導体式ガス検知素子の2回目の通電時に測定した標準出力安定時間を予め測定しておき、診断対象となる図6中の(2)(3)の半導体式ガス検知素子の2回目の通電時に測定した測定出力安定時間を測定し、診断対象となる半導体式ガス検知素子の劣化の程度を判断するために測定出力安定時間/標準出力安定時間の値を求めるのである。この結果、(2)の半導体式ガス検知素子の測定出力安定時間において、前記標準出力安定時間との比の値は基準値である1.5を超過していないため、劣化はしていると考えられるが劣化の程度は軽微であると考えられる。また、(3)の半導体式ガス検知素子の測定出力安定時間において、前記標準出力安定時間との比の値は基準値である1.5を大きく超過しているため、劣化の程度は大きいと考えられる。
【0027】
つまり、測定出力安定時間/標準出力安定時間の比が1.5を超過しない場合は、診断対象となった半導体式ガス検知素子は劣化はしていると考えられるが劣化の程度は軽微であると考えられるため、ゼロスパンの再調整等の対応により使用が可能であると判断されることになるのであるから、交換の必要がなく、実使用上は劣化していないと考えて差し支えない。再調整後は、劣化していない半導体式ガス検知素子と同等の特性を有しており、劣化していないものとして継続使用が可能となるのである。また、測定出力安定時間/標準出力安定時間の比が1.5を超過した場合は、診断対象となった半導体式ガス検知素子の劣化の度合いは大きく、かつ、劣化していない半導体式ガス検知素子とは異なる特性を有すると考えられるため、交換の必要があると判断されるのである。
【0029】
以上より、診断対象である半導体式ガス検知素子の実状に即した判断が可能なガス検知性能診断方法を提供することが可能になった。
【0030】
つまり、出力安定化時間を明確にするための出力安定基準や、劣化の有無を判断するための比である測定出力安定時間/標準出力安定時間の基準を設定したため、一般の実使用者でも容易かつ迅速に診断対象である半導体式ガス検知素子の劣化の程度を判断することができるのである。
【0031】
〔構成3〕
この目的を達成するための本発明の特徴構成は、請求項3に記載のように、
被検知ガスと接触自在に設けられた金属酸化物半導体を主成分とする半導体式ガス検知素子に、ガス検知電圧を印加して前記半導体式ガス検知素子の抵抗値を測定可能なガス検知回路を設けたガス検知装置において、
ガス検知性能診断のために複数回の通電が繰り返された時の再通電時の出力安定時間を測定する出力測定機構を設けてあることにある。
【0032】
〔作用効果3〕
つまり、被検知ガスと接触自在に設けられた金属酸化物半導体を主成分とする半導体式ガス検知素子に、ガス検知電圧を印加して前記半導体式ガス検知素子の抵抗値を測定可能なガス検知回路を設けることにより、前記ガス検知素子から前記抵抗値の変化に基づく出力を得ることが可能なガス検知装置を構成することができる。
【0033】
また、ガス検知性能診断のために複数回の通電が繰り返された時の再通電時の出力安定時間を測定する出力測定機構を設けてあるから、測定出力安定時間を知ることが出来る。そのため、前記測定出力安定時間を前記標準出力安定時間や基準となる閾値と比較して、診断対象である半導体式ガス検知素子の測定出力安定時間を一般の実使用者であっても容易に測定することができ、迅速にガス検知性能の診断を行い、劣化していない半導体式ガス検知素子との交換の必要性の有無を判断することができる構成となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。
本発明のガス検知装置は、図1に示すように、半導体式ガス検知素子10を、前記半導体式ガス検知素子10にガス検知電圧を印加して前記半導体式ガス検知素子10の抵抗値を測定可能なガス検知回路20に組み込み、前記半導体式ガス検知素子10を被検知ガスと接触自在に設けて構成してある。また、前記半導体式ガス検知素子10の抵抗値が変化した時に、その抵抗値に基づく電気信号を受け出力を発する出力部30を設け、通電時の出力安定時間を測定する出力測定機構40を設けてある。
【0035】
前記半導体式ガス検知素子10は、図2に示すように白金、パラジウム、白金−パラジウム合金等の貴金属線11に酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を主成分とする金属酸化物半導体を塗布、乾燥後焼結成型してあるガス感応部12を備えた、いわゆる熱線型半導体式ガス検知素子を用いることができる。
さらに、半導体式ガス検知素子の形態は熱線型に限らず、基板型など種々の形態のものが適用できる。
【0036】
前記ガス検知回路20は、前記半導体式ガス検知素子10の抵抗値変化を測定する電圧検出器21と抵抗素子(R1)22、抵抗素子(R2)23、補償抵抗素子(RL)24より構成されるブリッジ回路となっている。ここで、被検知ガスの検出は、雰囲気中で被検知ガスを検知する際にガス検知電圧が印加され、前記半導体式ガス検知素子10の抵抗値の変化を測定することによりガス検知を行う。
また、前記抵抗素子(R1)22、前記抵抗素子(R2)23、前記補償抵抗素子(RL)24の抵抗値は既知であり、前記抵抗素子(R1)22、前記抵抗素子(R2)23は固定抵抗、前記補償抵抗素子(RL)24は可変抵抗となっている。ここで、前記抵抗素子(R1)22の抵抗値をr1、前記抵抗素子(R2)23の抵抗値をr2、前記補償抵抗素子(RL)24の抵抗値をrL、前記半導体式ガス検知素子の抵抗値をrS、センサ出力をV、ブリッジ電圧をEとすると、センサ出力は以下の数1によって得られる。
【0037】
【数1】
V=−E{rS/(rS+rL)−r1/(r1+r2)}
【0038】
前記出力部30には、前記半導体式ガス検知素子10の抵抗値が変化した時に、その抵抗値に基づく電気信号を受け、警報出力を発する警報装置を設置することも可能である。また、警報出力を発するものに替え、測定濃度値をデジタル表示するものであっても良いし、これらの複合的な出力であっても良い。
【0039】
前記出力測定機構40は通電時のガス検知回路からの出力を基に、単位時間あたりの出力の減衰度合いを演算する演算部に連動して、前記ガス検知素子に通電し始めてから、その減衰度合いが所定値を下回るまでの前記出力安定時間を測定するためにタイマー等を設けている。また、ガス検知性能診断を行う際のガス検知装置の電源の通電切換は手動で制御可能であるが、自動制御するためにプログラム等を内蔵することにより、より簡便に出力安定時間を求め、前記ガス検知素子の劣化診断に供することがができる。
【0040】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図4〜5に、劣化していない半導体式ガス検知素子と特性が変化した半導体式ガス検知素子を、それぞれ1日の無通電期間をおいた後の通電後の出力(初期出力)を測定し比較した結果を示す。実使用に供され、特性が変化した半導体式ガス検知素子のうち、実使用期間が6ヶ月で、特性変化の軽微な劣化(劣化度軽微)である半導体式ガス検知素子を使用した実施例を図4に、先の半導体式ガス検知素子と同じ使用条件下での実使用期間が2年で、特性変化の大きい劣化(劣化度大)が認められる半導体式ガス検知素子を使用した実施例を図5に示し、それぞれ劣化していない半導体式ガス検知素子(正常)と比較している。出力測定は、前記各半導体式ガス検知素子ともに、1日の無通電期間をおいた後の最初の通電(1回目の通電)を行った時と、1回目の通電後に電源を切り直後に再通電 (2回目の通電)を行った時に行った。尚、両実施例ともに300秒後のセンサ出力はゼロとなっている。また、再通電は通常、初期通電後数秒〜10分以内に行うように設定する。
【0041】
尚、正常、劣化度軽微、劣化度大の半導体式ガス検知素子の出力特性は、図8(a)、(b)に示すような相違があることが判っている。つまり、図8(a)は、13A都市ガスを被検知ガスとした場合の正常、劣化度軽微、劣化度大の半導体式ガス検知素子の出力特性を比較したグラフである。このグラフによると、正常な半導体式ガス検知素子と劣化度が軽微な半導体式ガス検知素子との出力特性はあまり変化はないものの、劣化度が大きい半導体式ガス検知素子の出力特性は前述の正常、劣化度軽微な半導体式ガス検知素子と比べてかなり変化していることが判る。また、図8(b)は、H2 を被検知ガスとした場合の正常、劣化度軽微、劣化度大の半導体式ガス検知素子の出力特性を比較したグラフである。このグラフによると、各半導体式ガス検知素子の出力特性は明らかに異なり、特に劣化度が大きい半導体式ガス検知素子については、かなりH2 に対して鋭敏化することが判明した。このような出力特性を有する各半導体式ガス検知素子を用いて出力測定を行った。
【0042】
つまり、1回目の通電時の初期出力において、劣化していない半導体式ガス検知素子の出力(標準出力)と特性が変化した半導体式ガス検知素子の出力との区別は明確にできる。一方、2回目の通電時の初期出力において、劣化していない半導体式ガス検知素子の出力と特性が変化した半導体式ガス検知素子の出力は、1回目の通電時の出力より出力レベルが低下するのが早くなり、前記標準出力と似た挙動を示した。
尚、2回目の通電となる再通電後の出力測定の後に電源を切り、以後再び同様の測定を行った場合、つまり3回目以降の通電後に初期出力を測定した場合には、上述の2回目の再通電時の初期出力と同様の結果が得られた(図示しない)。これは、半導体式ガス検知素子の初期出力の挙動は、2回目以降の通電後の初期出力の挙動と比べて変化が認められないことを意味する。つまり、半導体式ガス検知素子の初期出力を測定する場合に必要となる通電は2回でよいことがわかる。
【0043】
上述の結果において、通電初期の出力変動が0.2mV/秒に達した時点で出力が安定したと判断し、さらに、出力が安定するまでに要した時間を出力安定時間とする。このような条件で無通電期間を0〜20日まで設定した場合の出力安定時間を、(1)劣化していない半導体式ガス検知素子(正常)、(2)特性変化の軽微な劣化である半導体式ガス検知素子(劣化度軽微)、(3)特性変化の大きい劣化である半導体式ガス検知素子(劣化度大)を使用して出力安定時間を出力測定機構により測定した結果を図6に示す。
【0044】
つまり、(1)の半導体式ガス検知素子は2回目の通電時に測定した標準出力安定時間は約9秒である。一方、診断対象となる(2)(3)の半導体式ガス検知素子の2回目の通電時に測定した測定出力安定時間は、それぞれ約13.5秒、約36秒である。尚、これらは無通電期間が1日であった場合の値である。
ここで、診断対象となる半導体式ガス検知素子の劣化の程度を判断するために測定出力安定時間/標準出力安定時間の値を求めたところ、(2)が約1.5、(3)が約4.0であった。また、図6より、無通電期間が1日以上の場合であっても、測定出力安定時間/標準出力安定時間の値は同様の値が得られるものと考えられる。
【0045】
つまり、(2)の半導体式ガス検知素子の測定出力安定時間において、前記標準出力安定時間との比の値は基準値である1.5を超過していないため、劣化はしていると考えられるが劣化の程度は軽微であると考えられる。この時、前記半導体式ガス検知素子はゼロスパンの再調整や劣化の程度に応じた対応により継続使用が可能である。
【0046】
また、(3)の半導体式ガス検知素子の測定出力安定時間において、前記標準出力安定時間との比の値は基準値である1.5を大きく超過しているため、劣化の程度は大きく、H2 感度が鋭敏化しているなど、使用に耐えない状態であると考えられる。この時、前記半導体式ガス検知素子は、劣化していない半導体式ガス検知素子と交換する必要がある。
【0047】
また、この時の通電初期の出力変動が0.2mV/秒に達するのに要した時間は13.5秒である。ここで、通電初期の出力変動が0.2mV/秒以内に達するまでの時間を出力安定化時間として用いると、再現性良くその初期出力は安定化したと見なすことが出来る。つまり、この出力安定化時間を15秒と設定することにより、この15秒を超過すれば前記診断対象である半導体式ガス検知素子が劣化していると診断することも可能であることが判る。
【0048】
〔別実施形態〕
以下に別実施形態を説明する。
図7に、ガス検知性能診断の際に、内蔵したプログラムによりガス検知装置の電源の通電切換制御を行った実施例を示す。半導体式ガス検知素子として、劣化していない半導体式ガス検知素子(正常)と特性変化の認められる半導体式ガス検知素(劣化)を用いた。
この制御パターンでは、初期通電時に2.5Vの電圧を2分間印加し、この間に出力安定時間を測定する。通電時から2分経過後に電源を切り、その10秒後に再び2.5Vの電圧を印加することにより再通電を行い、この間に出力安定時間を測定し、再通電時から2分経過後に電源を切ることでガス検知性能診断の操作を終了する。得られた結果により、診断対象となっている半導体式ガス検知素子の劣化の有無や劣化の程度を判断する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス検知装置の概略図
【図2】半導体式ガス検知素子の概略図
【図3】ブリッジ回路の概略図
【図4】無通電期間(1日)後に通電した時の初期出力を比較したグラフ(1)
【図5】無通電期間(1日)後に通電した時の初期出力を比較したグラフ(2)
【図6】無通電期間後に通電した時の出力安定時間を比較したグラフ
【図7】ガス検知性能診断プログラムによる制御パターンを例示したグラフ
【図8】正常、劣化度軽微、劣化度大の半導体式ガス検知素子の出力特性を比較したグラフ
(a)13A都市ガスを被検知ガスとした場合
(b)H2 を被検知ガスとした場合
【符号の説明】
10 半導体式ガス検知素子(S)
11 貴金属線
12 ガス感応部
20 ガス検知回路
21 電圧検出器
22 抵抗素子(R1)
23 抵抗素子(R2)
24 補償抵抗素子(RL)
30 出力部
40 出力測定機構

Claims (3)

  1. 金属酸化物半導体を主成分とする半導体式ガス検知素子のガス検知性能診断方法であって、
    劣化していない半導体式ガス検知素子の、ガス検知性能診断のために複数回の通電、無通電の切り替えが繰り返された時の再通電時に測定した標準出力安定時間と、診断対象である半導体式ガス検知素子の、ガス検知性能診断のために複数回の通電、無通電の切り替えが繰り返された時の再通電時に測定した測定出力安定時間とを比較し、前記測定出力安定時間と前記標準出力安定時間との比が所定値を超過すれば、前記診断対象である半導体式ガス検知素子が劣化していると診断するガス検知性能診断方法。
  2. 前記半導体式ガス検知素子を非通電状態から通電状態に切り替えたときに、通電開始後の出力変動が0.2mV/秒以内に達するまでに要した時間により、前記測定出力安定時間及び前記標準出力安定時間を求め、前記測定出力安定時間が前記標準出力安定時間の1.5倍を超過した場合に前記診断対象である半導体式ガス検知素子が劣化していると診断する請求項1に記載のガス検知性能診断方法。
  3. 被検知ガスと接触自在に設けられた金属酸化物半導体を主成分とする半導体式ガス検知素子に、ガス検知電圧を印加して前記半導体式ガス検知素子の抵抗値を測定可能なガス検知回路を設けたガス検知装置であって、
    ガス検知性能診断のために複数回の通電が繰り返された時の再通電時の出力安定時間を測定する出力測定機構を設けてあるガス検知装置。
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