JP2002286086A - 車両用制振装置 - Google Patents

車両用制振装置

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JP2002286086A
JP2002286086A JP2001089662A JP2001089662A JP2002286086A JP 2002286086 A JP2002286086 A JP 2002286086A JP 2001089662 A JP2001089662 A JP 2001089662A JP 2001089662 A JP2001089662 A JP 2001089662A JP 2002286086 A JP2002286086 A JP 2002286086A
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vibration
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damping device
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JP2001089662A
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Masaaki Hamada
真彰 濱田
Yuji Hashimoto
有史 橋本
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防振すべき振動が互いに異なる複数の方向に
入力される場合や、或いは振動入力方向に対して装置取
付方向が制限される場合等においても、有効な制振効果
を発揮することの出来る、新規な構造の車両用制振装置
を提供することを目的とする。 【解決手段】 振動部材30に固定的に設けられたハウ
ジング12によって形成された収容空間14内に円形断
面の独立マス部材16を収容配置せしめた車両用制振装
置10において、主たる振動入力方向となる独立マス部
材16の径方向で、独立マス部材16をハウジング12
に対して隙間を隔てて非接着で独立変位可能に配設せし
めて、独立マス部材16がハウジング12に対して直接
的且つ弾性的に当接せしめられるようにすると共に、独
立マス部材16が当接せしめられるハウジング12の当
接面の少なくとも一部を、かかる主たる振動入力方向に
対して傾斜した傾斜当接面24とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、自動車のボデー等の振動部材に
装着されて振動部材の振動を低減する車両用制振装置に
係り、特に防振すべき振動が複数方向の振動成分を有す
る振動部材や制振装置の取付方向に対して傾斜した方向
の振動成分を有する振動部材に対しても、有効な制振効
果を発揮し得る、新規な構造の車両用制振装置に関する
ものである。
【0002】
【背景技術】従来から、自動車の車体等のように振動が
問題となる振動部材においては、その振動を低減するた
めの制振装置として、制振すべき振動部材にばね部材を
介してマス部材を弾性支持せしめることにより、振動部
材に対する副振動系を構成するようにしたダイナミック
ダンパが、好適に採用されている。このようなダイナミ
ックダンパにおいては、副振動系の固有振動数を、主振
動系たる振動部材で問題となる振動周波数にチューニン
グすることにより、振動部材におけるチューニング周波
数域の振動に対して有効な制振効果が発揮されることと
なる。
【0003】ところで、振動部材において問題となる振
動は、その周波数や振動方向が、必ずしも一つではな
く、また、制振装置の取付スペース等の制約から、振動
部材で問題となる振動方向に対して、制振装置を一定の
方向性をもって取り付けることが困難な場合もある。特
に、自動車では、寸法やデザイン等の制約から制振装置
の装着スペースが制限されることによって制振装置の取
付方向性が制約を受けることも多い。
【0004】ところが、従来のダイナミックダンパは、
副振動系の共振作用に基づいて制振効果を発揮するもの
であることから、狭いチューニング周波数域の振動だけ
にしか有効な制振効果を得難いことに加えて、振動方向
が異なるとチューニング周波数が変化してしまって有効
な制振効果が発揮され難いという問題があり、更に、副
振動系を構成するばね部材とマス部材の支持方向を制振
装置の取付スペースに応じて変更して対応することも難
しいという問題があった。
【0005】具体的には、例えば自動車のステアリング
コラムは、鉛直方向に対して傾斜配設されることからダ
イナミックダンパの装着面と制振すべき振動方向が相違
し易く、そのために、制限されたスペースにおいて、ダ
イナミックダンパを振動方向に対応して傾斜配置するこ
とが難しい場合があった。また、ステアリング系におい
ては、固有振動数だけでなくアイドリング振動周波数な
どを加えた複数の乃至は広い周波数域の振動に対して制
振効果が要求される場合があるが、従来のダイナミック
ダンパでは、そのような複数の広い周波数域の振動に対
して有効な制振効果を得ることが極めて困難であった。
更にまた、ステアリング系では、片持梁構造のステアリ
ングコラムの振動によって複数方向の振動が発生し易い
が、従来のダイナミックダンパではチューニング自由度
が小さくことから、そのような複数方向の振動に対して
有効な制振効果を得ることの出来るようなチューニング
が難しかったのである。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、制振効果が有効に発揮される振動入力方向
を制振装置の取付方向に対して任意に設定することが可
能とされて、制限された装着スペースにも容易に取り付
けることが出来ると共に、特に従来構造のダイナミック
ダンパに比して、複数の乃至は広い周波数域の振動に対
して有効な制振効果を容易に得ることが可能とされた、
新規な構造の車両用制振装置を提供することを目的とす
る。
【0007】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
【0008】すなわち、本発明の第一の態様は、振動部
材に固定的に設けられた剛性のハウジングによって収容
空間を形成すると共に、該収容空間に球状乃至は円形ロ
ッド状を有する円形断面の独立マス部材を収容配置せし
めて、主たる振動入力方向となる該独立マス部材の径方
向において、該独立マス部材を該ハウジングに対して隙
間を隔てて非接着で独立変位可能に配設せしめて、該独
立マス部材が該ハウジングに対して直接的且つ弾性的に
当接せしめられるようにすると共に、該独立マス部材が
主たる振動入力方向で当接せしめられる該ハウジングの
当接面の少なくとも一部を、かかる主たる振動入力方向
に直交する直交面に対して所定角度傾斜する傾斜当接面
とした車両用制振装置を、特徴とする。
【0009】このような本態様に従う構造とされた車両
用制振装置においては、振動部材に固定的に設けられた
ハウジングに振動部材の振動が入力されると、ハウジン
グ内に収容配置された独立マス部材が、ハウジングから
独立して収容空間内で飛び跳ね変位せしめられて、ハウ
ジングに対して打ち当たり(当接)せしめられることと
なり、独立マス部材のハウジングへの当接作用に基づい
て、振動部材に対して制振効果が発揮されるのである。
それ故、従来の副振動系の共振作用を利用したダイナミ
ックダンパに比して、広い周波数域の振動に対して有効
な制振効果を得ることが出来るのである。
【0010】しかも、本態様に係る車両用制振装置にお
いては、当接面の少なくとも一部が、主たる振動入力方
向に対して傾斜した傾斜当接面とされていることから、
当接面への独立マス部材の打ち当たり(当接)に基づい
て、主たる振動入力方向とは異なる方向の振動に対して
も、有効な制振効果を得ることが可能となるのである。
【0011】さらに、本態様に係る車両用制振装置にお
いては、傾斜当接面の傾斜角度を変更することによっ
て、独立マス部材のハウジングに対する当接に基づく制
振効果が有効に発揮される振動方向を適宜に且つ容易に
調節設定することが出来るのであり、それ故、例えばス
ペース等の理由でハウジングの振動部材に対する取付方
向が制限される場合でも、任意の方向の振動に対して有
効な制振効果を得ることが可能となるのである。
【0012】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に従う構造とされた車両用制振装置において、前記
ハウジングの当接面を、前記独立マス部材の径方向で前
記主たる振動入力方向両側に位置せしめると共に、少な
くとも一方の当接面に前記傾斜当接面を設けたことを、
特徴とする。このような本態様においては、独立マス部
材が振動入力方向の両側でハウジングに対して打ち当た
り(当接)せしめられることとなり、独立マス部材のハ
ウジングへの当接作用に基づく制振効果をより効率的に
得ることが可能となる。
【0013】さらに、本発明の第三の態様は、振動部材
に固定的に設けられた剛性のハウジングによって収容空
間を形成すると共に、該収容空間に球状乃至は円形ロッ
ド状を有する円形断面の独立マス部材を収容配置せしめ
て、主たる振動入力方向となる該独立マス部材の径方向
において、該独立マス部材を該ハウジングに対して隙間
を隔てて非接着で独立変位可能に配設せしめて、該独立
マス部材が該ハウジングに対して直接的且つ弾性的に当
接せしめられるようにすると共に、該独立マス部材が主
たる振動入力方向で当接せしめられる該ハウジングの当
接面を、互いに角度の異なる複数の当接面によって構成
した車両用制振装置を、特徴とする。
【0014】このような本態様においては、前記第一の
態様に係る車両用制振装置と同様に、独立マス部材のハ
ウジングへの当接作用に基づいて、振動部材に対する制
振効果が、広い周波数域の振動に対して発揮され得ると
共に、特に、互いに角度の異なる複数の当接面を採用し
たことにより、かかるマス部材のハウジングへの当接作
用に基づいて有効な制振効果を得ることの出来る振動入
力方向を、一層大きな自由度で容易に調節することが可
能となるのであり、例えば、互いに角度の異なる3つ以
上の当接面を採用することにより、有効な制振効果が発
揮される振動入力方向を3次元的に調節設定したり、ま
た、主たる振動入力方向とは異なる複数の方向の振動に
対して、当接面への独立マス部材の打ち当たり(当接)
に基づく制振効果を得ることも可能となるのである。
【0015】なお、本発明においては、傾斜当接面が形
成されたハウジングに対して、独立マス部材が主たる振
動入力方向両側で当接せしめられるようにすると共に、
かかる主たる振動入力方向両側の当接面間において、独
立マス部材のハウジングに対する相対的な往復可動距離
を0.1〜1.6mmとした構成が、好適に採用され得
ることとなり、より好ましくは独立マス部材のハウジン
グに対する相対的な往復可動距離が0.1〜1.0mm
とされる。このような微小可動範囲を設定することによ
り、例えば、振幅が小さい自動車の振動に対しても、独
立マス部材が主たる振動入力方向の両側でハウジングに
当接せしめられ易くなり、より優れた制振効果を得るこ
とが可能となる。
【0016】また、本発明においては、ハウジングおよ
び独立マス部材を、何れも、5×103 MPa以上の弾
性率を有する硬質材によって形成すると共に、ハウンジ
ングと独立マス部材の少なくとも一方における他方への
当接面に弾性材を配設することが望ましく、それによっ
て、独立マス部材のハウジングに対する繰り返しの打ち
当たり(当接)に基づく制振効果を有利に確保すること
が出来ると共に、独立マス部材がハウジングに当接せし
められる際の当接音を軽減することが出来るのである。
なお、本発明においては、ハウジングと独立マス部材を
構成する硬質材としては、例えば、弾性率が5×103
〜5×104 MPaとされた硬質の合成樹脂材等も採用
可能であって、そのような硬質材は、当接音の軽減や低
周波数域での防振特性の向上等に望ましい場合がある
が、特に、中乃至高周波数域でより有効な制振効果を得
るためには、5×104 MPa以上の弾性率を有する金
属等の硬質材が好適に採用される。
【0017】また、本発明においては、独立マス部材の
総質量は、振動部材の質量の5〜10%となるように設
定されることが望ましい。蓋し、かかる独立マス部材の
総質量が振動部材の質量の5%に満たないと有効な制振
効果を得ることが難しい場合があり、一方、10%を超
えると装置全体の重量化が問題となるからである。な
お、複数個の制振装置を振動部材に装着する場合には、
全ての独立マス部材の合計質量が、振動部材の質量の5
〜10%になるように設定することが望ましい。
【0018】また、本発明においては、当接音の軽減と
制振効果を有利に得るために、ハウジングと独立マス部
材の主たる振動入力方向における当接面の少なくとも一
方は、ASTM規格D2240のショアD硬さが、好ま
しくは80以下、より好ましくは20〜40を有する弾
性部材で形成される。更に、かかる弾性部材は、当接音
の軽減と制振効果の向上のために、圧縮弾性率が好まし
くは1〜104 MPa、より好ましくは1〜103 MP
aで、損失正接(tanδ)が好ましくは10 -3以上、
より好ましくは0.01〜10とされる。
【0019】
【発明の実施形態】以下、本発明を更に具体的に明らか
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ、詳細に説明する。
【0020】先ず、図1には、本発明の第一の実施形態
としての車両用制振装置10が示されている。この車両
用制振装置10は、ハウジング12によって形成された
収容空間14内に独立マス部材16が収容配置された構
造とされている。
【0021】より詳細には、ハウジング12は、ハウジ
ング本体18と蓋体20によって構成されている。この
ハウジング本体18は、上側に開口する凹所22を有す
る矩形箱体形状を有している。また、ハウジング本体1
8の凹所22は、互いに直交する二方向の内法寸法が同
じとされた正方形状で深さ方向に延びていると共に、凹
所22の底面24が、その全面に亘って、一つの対辺方
向において所定角度:αで傾斜した傾斜面とされてい
る。なお、本実施形態では、傾斜方向の略中央部分にお
ける深さ寸法が、凹所22の内法寸法と略同じとされて
いる。
【0022】また、ハウジング本体18には、凹所22
の深底側に位置する側壁板26aに対して、底壁側端縁
部と開口側端縁部からそれぞれ外方に向かって突出する
一対の取付片28,28が一体形成されている。そし
て、図1中に仮想線で示されているように、これらの取
付片28,28が、振動部材30の取付面32に重ね合
わせられて、取付片28,28に形成されたボルト孔3
4,34に挿通されるボルト36,36によって、ハウ
ジング本体18が振動部材30に対して固定的に取り付
けられるようになっている。
【0023】また一方、蓋体20は、ハウジング本体1
8の開口端面に対応した矩形平板形状を有している。そ
して、かかる蓋体20は、ハウジング本体18の開口部
に重ね合せられて、溶接やボルト等によってハウジング
本体18に固定されており、それによって、ハウジング
本体18の凹所22が覆蓋されて、外部空間から独立し
た収容空間14が形成されている。
【0024】なお、ハウジング本体18および蓋体20
は、弾性率が5×103 〜5×10 4 MPaとされた硬
質の合成樹脂材等や、弾性率が5×104 MPa以上と
された金属等によって形成されることが望ましい。
【0025】そして、このようにして形成されたハウジ
ング12の収容空間14に対して、1個の独立マス部材
16が収容配置されている。この独立マス部材16は、
鉄等の高比重な金属材によって形成された中実球体形状
のマス金具38を有しており、かかるマス金具38の表
面には、ゴム弾性体やエラストマ等の弾性材によって形
成された当接層40が、略一定の肉厚寸法で全体に亘っ
て被着形成されている。なお、当接層40は、ASTM
規格D2240のショアD硬さが、好ましくは80以
下、より好ましくは20〜40とされる。
【0026】また、独立マス部材16が収容空間14内
に収容配置された状態下において、独立マス部材16と
収容空間14の内壁面との間には、独立マス部材16の
全周囲に亘って、所定の隙間が形成されており、独立マ
ス部材16が収容空間14の内壁面に対して、独立的に
相対変位可能となっている。
【0027】ここにおいて、図1に示されているよう
に、独立マス部材16が重力によって収容空間14の下
方でハウジング本体18の底面24と、深底側の側壁部
26aに当接せしめられた静止状態下においては、独立
マス部材16の表面と浅底側の側壁部26bの対向面間
に寸法:δの隙間が形成されるようになっていると共
に、独立マス部材16の表面と蓋体20の対向面間にも
寸法:δの隙間が形成されるようになっている。なお、
図面上に明示はされていないが、底面24の幅方向(紙
面に垂直な方向)で対向位置する両側壁部26c,26
cと独立マス部材16の表面の対向面間には、トータル
で寸法:δの隙間が形成されるようになっている。そし
て、本実施形態では、かかる隙間寸法:δが、好ましく
は0.1〜1.6mm、より好ましくは0.1〜1.0
mmとされている。
【0028】すなわち、独立マス部材16を収容空間1
4内の移動中心に位置せしめた状態下では、独立マス部
材16の表面とハウジング本体18によって形成された
収容空間14の壁部内面との間には、相対向する側壁部
26aと側壁部26b、側壁部26cと側壁部26c、
底面30と蓋体20に対して、それぞれ、δ/2の隙間
が形成されるようになっている。そして、かかる隙間寸
法:δ/2が、何れも、好ましくは0.05〜0.8m
mに設定されており、より好ましくは0.05〜0.5
mmとされている。これにより、独立マス部材16のハ
ウジング12への当接面間での往復可動距離(2δ)
が、上述の各対向壁部の各対向方向において、何れも、
好ましくは0.1〜1.6mmとされており、より好ま
しくは0.1〜1.0mmとされている。
【0029】このような構造とされた車両用制振装置1
0は、前述の如く、ステアリングコラム等の振動部材3
0に対して固定的に取り付けられて装着されて、振動部
材30と一体的にハウジング12が加振変位せしめられ
るようにされる。そして、かかる装着状態下で振動が入
力されると、ハウジング12内に収容配置された独立マ
ス部材16が、ハウジング12から独立して収容空間1
4内で飛び跳ね変位せしめられて、ハウジング12に対
して打ち当たり(当接)せしめられることとなり、かか
る独立マス部材16のハウジング12への当接作用に基
づいて、振動部材30に対して制振効果が発揮されるの
である。
【0030】ここにおいて、例えば、図1中の上下方向
を鉛直方向とすると、防振すべき主たる振動が鉛直方向
に及ぼされた際に、独立マス部材16が鉛直上下方向に
飛び跳ね変位することによって、運動下端点で独立マス
部材16が、ハウジング12の傾斜当接面(底面)24
に打ち当たる。そして、独立マス部材16が傾斜当接面
24に打ち当たることによってハウジング12には、主
たる振動入力方向に対して、傾斜当接面24の傾斜角
度:αに相当する角度だけ傾斜した斜め下方に向かう当
接力:F1が及ぼされることとなる。それ故、独立マス
部材16のハウジング12への打ち当りによって、主た
る振動入力方向(鉛直方向)の作用力:F2と、それに
直交する方向の作用力:F3が、それぞれ分力としてハ
ウジング12に及ぼされることとなるのであり、それら
の作用力:F2,F3によって、各方向の入力振動に対
して有効な制振効果が発揮され得るのである。
【0031】また、本実施形態では、独立マス部材16
の当接面が球形状とされていることから、独立マス部材
16の飛び跳ね変位に際してのハウジング12に対する
摺接面積が小さくされて引掛り的な変位抵抗が軽減され
ることから、振動入力時に独立マス部材16が一層効率
的に飛び跳ね変位せしめられることとなり、独立マス部
材16のハウジング12に対する打ち当たり(当接)に
基づく制振効果が、より効率的に発揮され得る。
【0032】なお、上述の如き構造とされた車両用制振
装置10においては、独立マス部材16の質量を変更し
たり、ハウジング本体18や蓋体20に対する当接層4
0の当接部位におけるばね定数を変更すること等によっ
て、制振効果が特に有効に発揮される周波数域をチュー
ニングすることが可能である。
【0033】また、かかる車両用制振装置10において
は、傾斜当接面24のハウジング本体12の底面に対す
る傾斜角度:αを変更することによって、防振すべき振
動入力方向であるF1の方向を、適宜に調節,変更する
ことが出来るのであり、それによって、例えばハウジン
グ12の振動部材30に対する取付方向が制限される場
合でも、独立マス部材16のハウジング12への当接に
基づく制振効果が発揮される振動方向を、容易に調節設
定することが出来るのである。
【0034】以上、本発明の一実施形態について詳述し
てきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、
かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、
限定的に解釈されるものではない。
【0035】例えば、前記実施形態では、独立マス部材
16の表面に弾性材層としての当接層40が被着形成さ
れていたが、図2に示されているように、ハウジング1
2における収容空間14の内面を覆うように、弾性材層
としてゴム当接層42を被着形成しても良い。
【0036】また、前記実施形態では、独立マス部材1
6の主たる振動入力方向一方の側におけるハウジング1
2への当接面が、全体に亘って主たる振動入力方向(図
中の上下方向)に対して一定の傾斜角度:αを有する単
一の平面からなる傾斜当接面24によって形成されてい
たが、例えば、図3や図4に示されているように、かか
る当接面を、主たる振動入力方向に対して互いに異なる
角度で傾斜せしめられた二つの当接面44a,44bや
46a,46bによって構成することも可能であり、更
には、3つ以上の異なる角度を有する当接面を形成する
ことも可能である。特に、このように互いに異なる方向
を持った複数の当接面を設けることにより、独立マス部
材16のハウジング12に対する当接に基づいて制振効
果が発揮される振動入力方向を、より大きな自由度でチ
ューニングすることが可能となるのである。
【0037】更にまた、前記実施形態では、独立マス部
材16の主たる振動入力方向一方の側におけるハウジン
グ12への当接面だけが、主たる振動入力方向に対して
傾斜した傾斜当接面24とされていたが、例えば図5に
示されているように、主たる振動入力方向両側で当接せ
しめられる上底部48および下底部50の各当接面を、
主たる振動入力方向に対して傾斜した傾斜当接面52
a,52bとすることも、勿論、可能である。このよう
に独立マス部材16の振動入力方向両側での当接面を傾
斜当接面52a,52bとすれば、独立マス部材16に
おける主たる振動入力方向両側の当接部において、それ
ぞれ、主たる振動入力方向に対して傾斜した方向の振動
に対する制振効果を得ることが出来ることから、かかる
傾斜方向の振動に対する制振効果を一層有利に得ること
が可能となる。
【0038】なお、理解を容易とするために、図2〜5
に示された各車両用制振装置において、図1に示された
車両用制振装置(10)と同様な部材及び部位について
は、図中に、図1に示された車両用制振装置(10)と
同一の符号を付しておく。
【0039】また、前記実施形態では、独立マス部材1
6は、球形状とされていたが、円形断面を有するロッド
形状であっても良く、それによって、独立マス部材の質
量を有利に確保することが出来るのである。なお、円形
ロッド形状の独立マス部材を採用した制振装置は、例え
ば、図1における独立マス部材16とハウジング12
を、それぞれ紙面に垂直な方向に一定断面形状で所定長
さ延びる構造とすることによって、実現可能である。
【0040】また、前記実施形態では、収容空間14
は、全体として矩形箱体形状とされていたが、例えばハ
ウジング本体18の周壁部の内周面を円形断面で深さ方
向に延びる円筒状面とすることも可能である。
【0041】更にまた、マス部材の質量の調節のため
に、マス部材を中空構造としたり、マス部材の外周面に
被着されるゴム弾性体層を厚肉としたり、或いは独立マ
ス部材の全体を所定の弾性を有するゴム弾性体や合成樹
脂材等によって形成することも可能である。
【0042】また、一つの収容空間内に複数個の独立マ
ス部材を採用することも可能である。その際、同じ大き
さを有する複数の独立マス部材を収容しても良いし、大
きさの異なる複数個の独立マス部材を収容しても良い。
なお、一つの収容空間内に複数個の独立マス部材を配設
するに際しては、それら複数個の独立マス部材を、主た
る振動入力方向で並列に配することが望ましい。
【0043】また、前記実施形態では、ハウジングに一
つの収容空間しか形成されていなかったが、一つのハウ
ジングで複数の収容空間を形成して、それぞれの収容空
間に独立マス部材を収容配置することも、勿論可能であ
る。その際、それら複数の収容空間の大きさや形状、或
いは収容配置される独立マス部材の質量等を互いに異な
らせることも可能である。
【0044】また、前記実施形態では、振動入力方向両
側に形成された傾斜当接面52a,52bが、独立マス
部材16の当接によって同じ方向の分力を発生するよう
に傾斜方向が設定されていたが、それら両方の傾斜当接
面52a,52bにおける傾斜角度を、独立マス部材1
6の当接によって互いに異なる方向の分力を発生するよ
うに設定することも、勿論、可能である。
【0045】また、本発明において、独立マス部材とハ
ウジングの間の往復可動距離は、防振すべき振動入力方
向以外において限定されるものでなく、主たる振動入力
方向以外における独立マス部材とハウジングの間の往復
可動距離は、大きくても特に問題はない。
【0046】また、本発明に従う構造とされた車両用制
振装置の適用範囲は、上述の記載によって、何等、限定
的に解釈されるものでなく、自動車における各種部材や
部位の制振を目的とする用いられる制振装置として、広
い範囲に亘って採用可能であることは、言うまでもな
い。
【0047】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもない。
【0048】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた車両用制振装置においては、独立マ
ス部材のハウジングへの当接作用に基づいて、従来の副
振動系の共振作用を利用したダイナミックダンパより
も、広い周波数域の振動に対して有効な制振効果を得る
ことが出来ると共に、傾斜した当接面への独立マス部材
の打ち当たりによって、制振効果が発揮される振動入力
方向を、主たる振動入力方向や取付方向と異なる方向に
チューニングすることも可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての車両用制振装
置を示す断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態としての車両用制振装置
を示す断面図である。
【図3】本発明の更に別の実施形態としての車両用制振
装置を示す断面図である。
【図4】本発明の更に別の実施形態としての車両用制振
装置を示す断面図である。
【図5】本発明の更に別の実施形態としての車両用制振
装置を示す断面図である。
【符号の説明】
10 車両用制振装置 12 ハウジング 14 収容空間 16 独立マス部材 24 傾斜当接面

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動部材に固定的に設けられた剛性のハ
    ウジングによって収容空間を形成すると共に、該収容空
    間に球状乃至は円形ロッド状を有する円形断面の独立マ
    ス部材を収容配置せしめて、主たる振動入力方向となる
    該独立マス部材の径方向において、該独立マス部材を該
    ハウジングに対して隙間を隔てて非接着で独立変位可能
    に配設せしめて、該独立マス部材が該ハウジングに対し
    て直接的且つ弾性的に当接せしめられるようにすると共
    に、該独立マス部材が主たる振動入力方向で当接せしめ
    られる該ハウジングの当接面の少なくとも一部を、かか
    る主たる振動入力方向に直交する直交面に対して所定角
    度傾斜する傾斜当接面としたことを特徴とする車両用制
    振装置。
  2. 【請求項2】 前記ハウジングの当接面が、前記独立マ
    ス部材の径方向で前記主たる振動入力方向両側に位置せ
    しめられていると共に、少なくとも一方の当接面が前記
    傾斜当接面を備えている請求項1に記載の車両用制振装
    置。
  3. 【請求項3】 振動部材に固定的に設けられた剛性のハ
    ウジングによって収容空間を形成すると共に、該収容空
    間に球状乃至は円形ロッド状を有する円形断面の独立マ
    ス部材を収容配置せしめて、主たる振動入力方向となる
    該独立マス部材の径方向において、該独立マス部材を該
    ハウジングに対して隙間を隔てて非接着で独立変位可能
    に配設せしめて、該独立マス部材が該ハウジングに対し
    て直接的且つ弾性的に当接せしめられるようにすると共
    に、該独立マス部材が主たる振動入力方向で当接せしめ
    られる該ハウジングの当接面を、互いに角度の異なる複
    数の当接面によって構成したことを特徴とする車両用制
    振装置。
  4. 【請求項4】 前記ハウジングに対して、前記独立マス
    部材が前記主たる振動入力方向両側で当接せしめられる
    ようにすると共に、かかる主たる振動入力方向両側の当
    接面間において、該独立マス部材の該ハウジングに対す
    る相対的な往復可動距離を0.1〜1.6mmとした請求
    項1乃至3の何れかに記載の車両用制振装置。
  5. 【請求項5】 前記ハウジングおよび前記独立マス部材
    を、何れも、5×103 MPa以上の弾性率を有する硬
    質材によって形成すると共に、該ハウンジングと該独立
    マス部材の少なくとも一方における他方への当接面に弾
    性材を配設した請求項1乃至4の何れかに記載の車両用
    制振装置。
  6. 【請求項6】 前記独立マス部材の総質量が、前記振動
    部材の5〜10%である請求項1乃至5の何れかに記載
    の車両用制振装置。
  7. 【請求項7】 前記ハウジングと前記独立マス部材の前
    記主たる振動入力方向における前記当接面の少なくとも
    一方を、ショアD硬さ80以下の弾性部材で形成した請
    求項1乃至6の何れかに記載の車両用制振装置。
  8. 【請求項8】 前記マス部材の単体の質量が10〜10
    00gである請求項1乃至7の何れかに記載の車両用制
    振装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007255549A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Tokai Rubber Ind Ltd 内燃機関用制振装置

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