JP2002285650A - 冷房システムおよびそれに使用する天井、並びに冷房方法 - Google Patents

冷房システムおよびそれに使用する天井、並びに冷房方法

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JP2002285650A JP2001089899A JP2001089899A JP2002285650A JP 2002285650 A JP2002285650 A JP 2002285650A JP 2001089899 A JP2001089899 A JP 2001089899A JP 2001089899 A JP2001089899 A JP 2001089899A JP 2002285650 A JP2002285650 A JP 2002285650A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 屋根面を持たない階に適用できる水の蒸散作
用を利用した冷房システムを提供する。 【解決手段】 上階10aと下階10bとの間に形成さ
れる天井裏13と、天井下空間Aとを、天井12により
区画する。天井裏13に通じる通気孔14に、開閉可能
に蓋16を設ける。天井12の天井裏13側を皿状に形
成し、皿部分に水Wを薄く張る。通風孔14より外気を
天井裏13内に通し、かかる天井裏13内を通過する風
により水Wの蒸散を促進する。水Wの蒸散により天井1
2を冷却し、冷却した天井12により天井下空間A内を
冷房する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水などの蒸散材の
蒸散に際して潜熱を周囲から奪うことによる冷却効果を
利用して、天井裏側から天井を冷却し、冷却した天井を
介して天井下の空間を冷房する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、動力機器を用いた冷房システムと
しては、圧縮式冷凍機を使用した構成と、吸収式冷凍機
を使用した構成とが知られている。圧縮式冷凍機を使用
するシステムは、高温の冷媒ガスを高圧にして凝縮さ
せ、再び蒸発するときに得られる「蒸発潜熱」を利用し
て、媒体となる水や空気を冷却するシステムである。圧
縮に用いられる機械の方式の違いにより、「往復式冷凍
機」、「遠心式冷凍機」に区別される。また、大規模な
凝縮器では大量の冷却水が必要となるため、建物屋上に
「冷却塔」を設置している。
【0003】吸収式冷凍機を使用するシステムは、冷媒
ガスの「蒸発潜熱」を利用する点では、圧縮式冷凍機と
同様のシステムである。しかし、圧縮式では、冷媒ガス
を高圧にする際に機械の動力を使用するが、吸収式では
高温に熱することによって得られる圧力を利用する。か
かる圧縮式冷凍機を使用するシステムでも、冷却水が必
要となるため、冷却塔の設置が必要となる。
【0004】かかる動力機器を用いる冷房システムとは
別に、近年、特別な動力機器を用いないで室内の気候調
節を行なう自然エネルギーを利用したシステムが、積極
的に提案されている。かかるシステムでは、太陽放射、
夜間放射、水の蒸散、風の4要素が自然エネルギーとし
て利用されている。
【0005】従来提案されている自然エネルギーを利用
したシステムの適用対象は、主に戸建建物が中心であ
る。それまでの動力機器を用いたシステムに対抗するも
のとして提案され、技術的にも新しい。そのため、実地
適用が簡単に行なえ、その検証が比較的に行ない易い戸
建建物を中心に応用技術の開発が図られてきた。
【0006】かかるシステムは、主な自然エネルギーを
「屋外空間」から得ることで成立するため、どうして
も、冷房対象とする空間当たりの自然エネルギーとの接
触割合が大きい建物表面積の広い低層建物が中心と成り
易かった。例えば、冬期では、南開口部からの日射取
得、夏期では屋根面における夜間放射、蒸散潜熱の取得
を中心に、自然エネルギーの利用が図られてきた。
【0007】このうち、水の蒸発作用に基づく自然エネ
ルギーを利用する冷房システムとしては、例えば、特開
平6−185131号公報がある。かかる公報には、工
場や体育館等の金属又は膜屋根を持つ建造物に対して、
屋根面からの日射による熱負荷を減少させる目的で、屋
根面での滞留時間を長くした水を散水する構成が提案さ
れている。水に石鹸などの薬剤を混入することで、噴霧
時に泡を発生させ、泡を多量に含んだ泡状の散水が屋根
勾配に沿ってゆっくりと降下するようになっている。
【0008】水だけの場合に比べて、泡状の散水は屋根
面上の滞留時間が長くなるため、その分、屋根面と十分
に熱交換を行なうことができ、熱面を有効に冷却(顕熱
冷却)することができるとしている。また、泡状の散水
がゆっくりと降下する間には、当然に水の蒸発潜熱を屋
根面から奪うことによる潜熱冷却も併せて行なわれ、顕
熱冷却と潜熱冷却との双方の冷却効果が得られる旨記載
されている。
【0009】また、「 Passive And Low Energy Coolin
g Of Building 」(ISBN:0471284734著者: Givoni Brauc
h, 1997 年 12月、Van Nostrand Reinhold Company 刊)
なる外国刊行物には、最上階の屋根に人工池を設け、こ
の池に張った水の蒸散により、人工池を設けた屋根下方
の室内空間の冷房を行なうソーラーポンドシステムの構
成が示されている。かかる構成では、屋上のパラペット
内に水が張られており、水には直射日光を必要に応じて
適宜避けられるように、開閉可能な日除けが設けられて
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】既存の機械設備による
冷房システムでは、冷媒ガスを圧縮する際に大量の化石
燃料(圧縮式では主に電気、吸収式では主にガス)によ
るエネルギーを必要とする。また、オフィスビル、ショ
ッピングセンター、工場などの大規模施設で使用する際
には、特別に冷凍機を設置しなければならなず、そのた
めの設置空間を設けなければならない。併せて、屋上な
どに別途冷却塔を設置する必要もある。また、かかる従
来構成の冷房システムでは、実際に居室空間の室温を下
げる際に、「空気調和室」、「ダクト・配管」、「送風
機」など、複雑なシステムと機器類が必要とされる。
【0011】かかる従来構成の冷熱源による空調システ
ムでは、大量の化石燃料の使用(因みに、電力消費のピ
ーク値は、ほぼ冷凍機の使用量で決定される)、設備配
置用のスペースの確保(配管、ダクト、冷却塔、熱源器
などの配置)、システムの複雑化によるメンテナンス性
(保守・制御)などの問題点が指摘されている。
【0012】一方、水の蒸散作用に基づく自然エネルギ
ーを利用した冷房システムについては、前記の如く幾つ
か提案されてはいるが、しかし、その構成は屋根面を有
する階に適用が限定されている。最上階の屋根の屋根面
を冷却する構成でしかない。そのため、かかる構成の冷
房システムは、屋根面のない中間階、あるいは最下階を
有する建物構造では、最上階にしか適用できず、中間階
などは適用外となる。
【0013】また、屋根は、外気温の変化を遮る目的か
ら、通常は、熱伝導抵抗が高くなるように構成されてお
り、屋根表面が冷えても内部へは伝わりにくく、屋内を
十分に冷却することはできない。
【0014】通常は、複数階を有する建物では、中間階
に属する空間容積の方が、最上階に属する空間容積より
も格段に大きい。そこで、本発明者は、屋根面を持たな
い中間階、最下階などの空間を自然エネルギーを利用し
たシステムに基づき冷房できるようにする技術の開発が
極めて重要であると考えた。すなわち、中間階において
も水の蒸散作用に基づく自然エネルギーを利用した冷房
システムが図れないかと考えた。
【0015】しかし、従来の技術的考えでは、中間階に
水の蒸散作用に基づく自然エネルギーを利用した冷房シ
ステムを適用することについては、否定的な見解が多か
った。例えば、中間階は、屋根面を持たない階であるた
め、一室当たりの自然エネルギーに触れる面積が少な
く、必要とされる自然エネルギーとの接触面積という観
点からは、その適用は困難と考えられていた。
【0016】また、建物構造では、その雨仕舞、防水、
漏水は特に神経を使う部分であるが、建物構造内には水
が溜まり易い箇所を設けることは、設計的に嫌われる構
成である。特に、中間階を設けた建物構造では、階下へ
の漏水、壁面からの居室内への雨水の進入などは、致命
的な構造欠陥となるため、設計上はかかる構成は極力避
けることが求められていた。
【0017】従って、本発明者が提案する水の蒸散作用
に基づく自然エネルギーを利用した中間階における冷房
システムは、それまでの技術常識に真っ向から反対する
技術思想であると言える。
【0018】また、従来構成の動力機器を用いた空調シ
ステムを使用するに際しても、その一部を自然エネルギ
ーを利用したシステムに置き換えることができれば、従
来構成の空調システムの冷房負荷を大幅に低減させるこ
とができ、電力消費などの省力化が積極的に図れると考
えられる。
【0019】本発明の目的は、屋根面を持たない階に適
用できる自然エネルギーを利用した冷房技術を提供する
ことにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、天井を有する
空間の冷房システムであって、天井裏と、前記天井裏に
連通する通風孔と、水などの蒸散材を天井裏側に収容す
る天井とを有し、前記通風孔を介して前記天井裏に導入
する風により前記蒸散材を蒸散させて前記天井を冷却
し、冷却した前記天井を介して天井下空間の冷房を行な
うことを特徴とする。前記通風孔には、開閉可能な蓋が
設けられていることを特徴とする。前記蓋は、その開放
時には、前記通風孔より下方に設けた窓などの開口部へ
の陽射しを遮る庇を兼ねることを特徴とする冷房システ
ム。
【0021】前記天井は、前記天井裏に面する側が、前
記蒸散材の収容可能な皿状に形成されていることを特徴
とする。前記蒸散材は、不織布などの保持材に含浸させ
られた状態で、前記天井に収容されていることを特徴と
する。前記冷房システムが、複数階を有する建物の屋根
面を持たない階に適用されていることを特徴とする。
【0022】また、本発明は、水などの蒸散材の蒸散に
より冷却された天井を介して天井下空間の冷房を行なう
ために使用する天井であって、前記天井を、前記蒸散材
を収容可能に構成されていることを特徴とする。
【0023】本発明の冷房方法は、天井裏で、天井に収
容する水などの蒸散材を、前記天井裏を通る風により蒸
散させて前記天井を冷却し、冷却した前記天井を介して
天井下空間の冷房を行なうことを特徴とする。前記天井
裏に通ずる通風孔に開閉調節により、前記天井裏に通す
通風量を調節して前記蒸散材の蒸散量を調節し、前記天
井下空間の冷房調節を行なうことを特徴とする。
【0024】かかる構成を有する本発明は、具体的に
は、例えば、天井を熱伝導率の高い材料で皿状に形成し
ておき、その皿部内に蒸散材として水の層を薄く張った
り、あるいは、水を十分にしみ込ませた不織布を設けて
おけばよい。外気を天井裏に通し、皿部内に張った水の
水面、若しくは、不織布表面での水の蒸散を促すことに
より、水温を湿球温度近くまで冷やすことができる。
【0025】このようにして蒸発潜熱が奪われて冷やさ
れた水により、天井が冷却されることとなるため、天井
に使用する材質を熱伝導率の良好な材質にしておけば、
天井の室内側表面もほぼ同時に冷やされることとなる。
冷やされた天井の室内側表面と、天井面近傍の室内空気
(熱気)との間で対流による熱交換が行なわれ、天井下
空間である室内の冷房が行なわれる。
【0026】本発明では、かかる作用により、室内冷房
を水の蒸散作用に基づき、すなわち自然エネルギーを利
用して行なうこととなるが、水面からの蒸散量は、その
面での近傍風速と接する空気の温度や水蒸気圧に大きく
依存するため、天井裏空間には十分な通風量が確保でき
るようにしなければならない。天井には、耐水性に優
れ、熱貫流率の大きい材料を使用し、天井内部での温度
勾配をできるだけ少なくする。
【0027】また、かかる構成では、天井面の天井下空
間である居室側表面温度は、湿球温度以下に下がること
がないため、本システムによって結露が発生する心配は
ない。
【0028】かかる構成の本発明は、従来構成の空調シ
ステムと併用することもできるが、勿論、単独で使用し
ても構わない。併用すれば、冷房負荷を軽減させること
ができる。夏期若しくは中間期の暑い日にのみ使用すれ
ばよく、またシステムを可動させないときは、通風孔を
閉じたり、あるいは水分を抜くなどして、蒸散潜熱の発
生を停止させるようにすればよい。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0030】(実施の形態1)図1は、本発明の冷房シ
ステムを中間階に適用した様子を示す断面説明図であ
る。図2は通風孔に設けた蓋の開口状態を示す斜視図で
あり、(B)はその閉じ状態を示す斜視図である。図3
(A)は4個の通風孔の蓋を一括開口する開閉機構を示
す斜視図であり、(B)はその閉じ状態を示す斜視図で
ある。図4は天井下空間の対流状況を模式的に示す断面
説明図である。図5は、本発明の冷房システムの中高層
建物への適用を模式的に示す断面説明図である。図6
は、本発明の冷房システムの大規模平面単層建物への適
用を模式的に示す断面説明図である。
【0031】本発明の冷房システムは、建物の屋根面を
持たない中間階、最下階などへの適用が図れるシステム
である。図1では、建物10の中間階に適用した場合を
示している。上階10aの床スラブ11(床スラブ11
は、直下階10bの天井スラブに相当する。)の下方に
天井12が設けられ、天井12により下階10bの天井
下空間Aが区画されている。天井下空間Aは、図1に示
す場合には、人Hが居住できる居室空間に構成されてい
る。
【0032】床スラブ11と天井12との間に形成され
た空間が天井裏13となる。また、かかる天井裏13に
通じる通風孔14(14a、14b)がそれぞれ建物の
外壁15側面に設けられている。通風孔14a、14b
は、天井下空間Aにおける冷房が必要な夏期などに、天
井裏13内への風通しが方向に設けられている。
【0033】すなわち、かかる通風孔14a、14b
は、例えば、4〜9月の平均的な風向データに基づき、
設置位置を決めるようにすればよい。通風孔14a、1
4bには、通風量の調節ができるように開閉可能な蓋1
6が設けられている。図1に示す場合には、通風孔14
a、14bに設けた蓋16が開け状態にされている。
【0034】蓋16は、断熱性と気密性を有した素材
で、例えば、図2に示すように、板状に形成されてい
る。蓋16は、通風孔14の開口部に設けた略矩形状の
枠17に、はね上げ式に設けておけばよい。蓋16に
は、開放用のばね18が設けられ、ばね18によりはね
上げ式に自動的に開放できるようになっている。なお、
ばね18は、油圧式ダンパーに構成しておいても構わな
い。
【0035】蓋16には、閉鎖用のワイヤ19が取り付
けられ、ばね18の付勢に抗してワイヤ19を巻き上げ
れば蓋16を閉鎖することができる。また、ワイヤ19
を緩めれば、蓋16はばね18の付勢により自動的に開
放することとなる。ワイヤ19の巻上げ加減で、蓋16
の開口度合いを調節することができる。ワイヤ19の巻
上げは、手動でも、電動でも構わない。
【0036】また、蓋16の背後には、図2(A)に示
すように、網戸16aを設けておき、通風孔14a、1
4bを通して天井裏13内に虫や小鳥などが入り込まな
いようにしておくとよい。図2(B)には、蓋16を閉
じ状態にした場合を示したが、かかる状態では、通風孔
14aを通して外部から天井裏13内には風が入らない
ように気密性が確保されている。
【0037】本発明における通風孔14a、14bは、
天井裏13内の湿気防止用に風通しを維持するという従
来構成の通風孔設置目的とは異なり、後記する如く、天
井裏13内における水などの蒸散材の蒸散作用を促すた
めに外気を積極的に取り込むという目的を有している。
そのため、例えば、図2(B)からも分かるように、通
風孔14a、14bの大きさとしては、湿気防止用に風
通しを維持するという程度の通気孔とは異なり、開口面
の大きさを、例えば、約1500×約600mmといっ
た大きなものに設定した。
【0038】通風性を確保するには、上記の如く通風孔
14の開口面積を大きくしてもよいが、通風孔14の設
置数を増やしたりする方策も考えられる。数を増やす場
合には、すなわち、天井裏13に通ずる外壁15に、複
数の通風孔14を設ければよい。例えば、図3に示すよ
うに、4個の通風孔14c、14d、14e、14fを
設け、ワイヤ19で、これらを一括して開閉制御できる
ようにしておけばよい。ワイヤ19の一端は、固定して
おき、他端を室内から巻き上げるようにすればよい。図
3(A)は開口状態を示し、(B)は閉じ状態を示して
いる。
【0039】天井12は、天井裏13に面する側が皿状
に形成され、皿部内に蒸散材としての水Wを厚さ約30
mm程度で薄く張ることができるようになっている。か
かる天井12は、例えば、繊維強化プラスチック(FR
P)を用いて型成形して製造しておけばよい。すなわ
ち、繊維強化性プラスチック製の皿の底面が天井下空間
A側に対する天井面に相当し、皿の表面側が天井裏13
内に面することとなる。
【0040】天井12の皿内には、水Wが蒸散材とし
て、皿部の底面全面に亙って入れられている。天井12
には、図示しないが、給水管が配管され、必要に応じて
皿部内に給水できるようにしておけばよい。さらに、天
井12には、排水管も配設しておき、必要に応じて皿部
内から水Wを抜くことができるようにしておけばよい。
天井12の皿部内に張った水W上を風が通過することに
より、水Wの蒸散が促進されることとなる。
【0041】かかる構成を有した本発明の冷房システム
の作用について、以下説明する。図1に示すように、建
物10の上階10aと下階10bとの間に設けた天井裏
13では、天井12の皿部内に水Wが薄く張られてい
る。天井裏13に通じる通風孔14a、14bを、ワイ
ヤ19を緩めることにより、蓋16をばね18の付勢で
開ける。建物の外からは、通風孔14aを通って、天井
裏13内に風が入る。
【0042】天井裏13内に入った風は、天井12の皿
部内に張った水W上を通過して、通風孔14bから建物
10外へ通り抜ける。天井裏13内を風が通過する際
に、皿部内に張った水Wが蒸散させられることとなる。
蒸散により、水の蒸発潜熱が水Wから奪われて、水Wの
温度は天井裏13内に通された外気に対する湿球温度ま
で冷やされることとなる。因みに、夏期の日中であれ
ば、かかる湿球温度は、外気温に対して約5℃程度低い
温度となる。
【0043】このようにして天井12の皿部内に張った
水Wが外気温より約5℃程度低い温度に冷やされるた
め、かかる水Wを張った天井12の皿部の底面側も、す
なわち天井下空間Aから見た天井12面も外気に対する
湿球温度まで冷やされることとなる。冷えた天井12に
沿った空気も冷やされ、図1に示すように、天井12面
に沿って、冷気が天井下空間A内を天井側から下方に下
って、室内冷房を行なうこととなる。例えば、外気温が
約30℃の場合は、本発明の冷房システムでは、室温は
約25℃程度にまで冷やされることとなる。
【0044】このように天井裏13内で、天井12に張
った水Wを天井裏13内を通過する風により積極的に蒸
散させることにより、天井12側から冷気が天井下空間
A内を下方に下り、その結果、図4に示すように、天井
下空間A内の空気が自然対流を起こすこととなり、天井
下空間A内全体が冷やされることとなる。
【0045】かかる構成の本発明の冷房システムは、例
えば、図5に示すように、基準階をもつようなオフィス
ビル、集合住宅などの中高層建物20の最下階21、中
間階22および最上階23に設けることができる。ま
た、図6に示すように、工場や、ショッピングセンタ
ー、倉庫など大規模平面を持つ単層の建物にも勿論適用
することができる。
【0046】図6に示す場合には、建物30の大面積の
傾斜屋根31の下方に、階段状に天井32(32a、3
2b、32c、32d、32e)を形成し、天井32に
形成した皿部内に水Wを蒸散材として張って、天井裏3
3に通風孔を34を介して下方から上方に向けて風を通
す。通風孔34から導入された風により、各天井32
a、32b、32c、32d、32eの各皿部に設けた
水を蒸散させて、天井32下の天井下空間Bの冷房を行
なう。
【0047】また、図6に示す場合には、平坦屋根35
を設け、かかる平坦屋根35に対応した天井裏36に面
した天井37を皿状に形成して、皿部内に水を張ってお
く。天井裏36に通風孔38を通して風を通せば、積極
的な水の蒸散作用により天井37を冷却して、天井下空
間C内の冷房をも行なうことができる。
【0048】上記構成においては、通風孔34、38に
設けた蓋34a、38aの開閉度合いを調節することに
より、天井裏33、36内に通す通風量を調節し、冷房
温度を調節するようにしてもよい。
【0049】通風孔に設ける蓋の開閉制御の方法として
は、幾つかの構成が考えられる。例えば、計画地の最寄
りの「拡張アメダスデータ(標準年)」を利用して、最
適な開放期間と、閉鎖期間とを設定するようにしてもよ
い。かかる開閉制御の方法では、夏期当初に開放して、
夏期末に閉じる方式の制御で、年に2回の制御を行なう
ようにすればよい。
【0050】かかる年に2回の制御方法では、蓋の開閉
は、電動でなくても、手動で十分に対応することができ
る。例えば、本発明者の実験によれば、神奈川県の横浜
地区では、開放期間を平均外気温が25℃を越える期間
当初の7月10日に、閉鎖期間を9月10に設定すれば
よいことが分かった。
【0051】また、別の制御方式としては、屋外に設置
した通風式温度計(アスマン温度計)から得られるデー
タにより蓋の開閉制御をする方式が考えられる。かかる
制御方式では、開閉が頻繁に行なわれるため、全自動の
開閉機構の設置が必要となる。例えば、開放指示は乾球
温度≧22℃、(乾球温度−湿球温度)≧2℃の場合に
出され、閉鎖指示は、乾球湿度<22℃、(乾球温度−
湿球湿度)≧6℃の場合に出されるように設定すればよ
い。
【0052】かかる開放指示が信号で通風孔の蓋開閉機
構に送られ、信号に基づき蓋開閉機構が始動して、ワイ
ヤを緩めることにより、通風孔の蓋が自動的に開口する
ように構成しておけばよい。さらには、蓋の開閉機構部
内にマイクロコンピュータを内蔵しておき、天井下空間
内の温度センサからの温度により、開放指示の信号に基
づき、開閉度を調節するようにした自動開閉調節機構を
設けてもよい。このように通風孔の蓋の開閉を制御する
ことにより、本発明に係るシステムによる冷房を自動的
に行なうことができる。
【0053】以上の説明では、天井を皿状に形成してこ
の皿部内に入れた水の蒸散作用を利用して天井を冷やす
場合について説明したが、皿内に直接に水を入れること
なく、水を一旦しみ込ませた不織布などの保水材を、皿
部内に収容するようにしても構わない。保水材への水の
供給は、例えば、保水材の一端側に管端を接した給水管
から給水して、毛細管現象で全体的に行き渡るようにす
ればよい。
【0054】天井面積がそれ程大きくない場合には、一
枚天井を皿状に形成しても構わないが、天井面積が大面
積になる場合には、所定単位面積に合わせて皿状の単位
天井を形成しておき、複数個の単位天井を敷きつめるよ
うにして大面積の天井形成を行なってもよい。また、か
かる天井への自動給水方式には、例えば、ボールタップ
方式、水位による制御、天井面温度による制御、目視確
認などの従来より既知の構成を用いて行なえばよい。
【0055】
【実施例】次に、本発明者は、上記構成の冷房システム
の各構成について具体的構成条件を設定してシュミレー
トすることにより本発明の効果を検証した。
【0056】天井裏13の水の蒸散によって天井下空間
Aである居室側に流入する冷熱量を定量化するために、
下記の条件にて熱収支シュミレーションを行なった。
【0057】天井裏13では、十分な換気量が確保され
ていることを前提として、すなわち、天井裏空間の風速
は屋外風速の20%に相当すると仮定した。水面に接す
る空気の「温度」と「水蒸気圧(hPa)」は、屋外空
気と同等のものとして計算した。
【0058】屋外気象データは、標準気象データ(東京
より)に基づき、気温、絶対温度、屋外風速を決めた。
室温設定は、常に26℃(平均室温)で空調されている
ものとした。天井12は、熱伝導率λ=0.26゜[W
/mK]のFRP材を使用して形成した。
【0059】水面での熱収支として以下の計算を行なっ
た。なお、計算に際しては、天井裏13であるため、各
種放射の影響は軽微であると考えて無視した。 Qw=ho(To-Tw) + 1.5ho(Eo-Ea) [W/m2] ho=11.6×(0.48+0.272)×V' [W/m2K] V'=V × 0.2 [m/s] ここで、To:外気温(℃)、Eo:Twにおける飽和水蒸気
圧[hPa]、Es:外気の飽和水蒸気圧[hPa]、ho:水面
での対流熱伝導率[W/m2K]、V:屋外平均風速(標準気
象データより)[m/s]、V':水面近傍風速 [m/s]を示
している。
【0060】水底での熱収支は、 Qb=hb(Tw-Tcw) [W/m2] hb=200 [W/m2K] であった。因みに、hb:水底の対流熱伝導率[W/m2K]、T
cw:天井の水面側表面温度[℃]を示している。
【0061】天井面(居室側)での熱収支は、 Qi=hi(Tci-Ti) [W/m2] hi=11.6 [W/m2K] であった。因みに、hi:天井面での対流熱伝導率[W/m2
K]、Tci:天井の室内側表面温度[℃]、Ti:天井面近傍
の室温[℃]を示している。
【0062】上記設定条件で、東京付近での本発明の冷
房システムの適用を想定して、夏期における天井付近の
各種温度の時系列変化と、そのときの天井面から室内へ
流入する熱量[W/m2]のシュミレーションを行なった。
その結果を、図7のグラフに示した。
【0063】図7(A)からは、6月下旬までは、外気
温が水温を下回る時間が多いことが分かる。この場合、
天井12の皿部内に張った水Wの層は蒸散により熱抵抗
としての働きを担っていることとなり、水Wの層による
冷房効果は期待できない。従って、外気温が水温より低
い場合に、冷房効果を得るためには、水Wを除いた状態
で天井裏13に導入した外気で天井12を直接冷やす方
がより効果的と言える。
【0064】しかし、この期間での要冷房時間は少ない
と考えられるため、実際の建物での使用に際しては、過
冷却を防止するために天井裏13に通じる通風孔14は
常時閉鎖しておいても問題はないと考えられる。従っ
て、通常は、天井12の皿部内に張った水Wも排出しな
いでも済むと考えられる。
【0065】図7(B)〜(D)に示すように、7月か
ら9月上旬の期間は、水温の方が外気温より低いため、
殆どの時間で天井面温度が湿球温度近くにまで下がる。
また、外気温の変動に対しても、天井表面温度は、20
〜26℃に安定しているため、過冷却の心配もない。
【0066】7月の天井面からの平均入熱量は−43W/
m2であり、8月は−39W/m2、9月は−51W/m2であ
り、人体、照明、家電といった室内発熱を十分に吸収で
きる量であることがわかる。
【0067】次に、屋根面を設けない基準階、すなわち
中間階、あるいは最下階などにおける熱負荷予測を行な
った。RC造中高層建物への本発明の適応例を検証する
ため、3種の「基準モデル」を作成し、熱収支シミュレ
ーションによる空調負荷のケーススタディを行った。
【0068】天井付近での計算式は前述と同様のものを
使用し、各躯体内の熱移動は差分法により非定常熱計算
を行なった。本シミュレーションに使用する基準モデル
の構造と物性を表1に示した。表2には、3種の基準モ
デルに共通の設定条件を示した。表3には、3種の基準
モデルの仕様を示した。図8には、かかる基本モデルの
空間構成を示した。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】基準モデルは南面平行型のRC造の外断熱
建物を想定した。基準モデルの中間階の各室は、東西方
向と高さ方向にそれぞれ同じモデルが連続配置されてい
るものとする。図8(A)に示す間取りの各室におい
て、図8(B)に示すように、本発明の冷房システムを
適用した。すなわち、天井裏13の高さを500mmと
し、南北面は外気に開放できるように下開きの蓋を16
を有する通風孔14を設けた。なお、図8(B)は、図
8(A)のA−A断面図である。
【0073】通風孔14に設けた蓋16は、開放時には
夏期における南面への直達日射遮蔽にも有効に働くよう
に開放角度αを設定し、冷房期以外の期問には閉鎖でき
るようにしておく。天井12となる水Wの皿部分は、3
mm厚のFRP製パンとし、小型のものを縦横にならべ
るものとする。また、外気からの貫流負荷を抑えるた
め、南北面に設けた開口部40には、ペアガラス(K=
3.0W/m2K)を使用した。
【0074】天井下空間Aである居室内室温や空調負荷
の計算は、表3に示す3つのタイプで行った。表2は3
タイプ共通の計算条件である。また、発熱条件では、曜
日による生活サイクルの変化を考慮せず、表に示された
時間帯を全ての曜日に当てはめている。「計算2」「計
算3」は24時間のモデルとし、常に居室内平均室温が
26℃を上回らないように空調機が作動しているものと
する。
【0075】図9に東京の8月における室温の変化と空
調負荷のシミュレーション結果を示す。図9(A)に示
す「計算1」の結果は、天井裏蒸散システムによる冷房
だけをあてにしたモデルだが、外気最高温度が35℃を
上回る時間においても、居室内は最大28.2℃に抑え
られていることが分かる。また、このシステムにより、
居室内が26℃を超える時間は8月全体で108時間
(1日あたり平均3.5時間)に抑えることができるこ
とも確認される。
【0076】図9(B)に示す「計算2」の場合は、天
井裏蒸散システムと空調設備を併用したモデルの場合で
ある。かかる場合には、空調設備が作動したのは88時
間(1日あたり平均218時間)で、冷房負荷の合計は
262MJであった。
【0077】一方、天井裏蒸散システムを持たない図9
(C)に示す「計算3」では、冷房負荷の合計は471
8MJであり、冷房負荷は本発明の冷房システムによっ
て5.5%にまで圧縮されたことがわかる。また、他の
月においても同様で、冷房負荷削減率は、6月で100
%、7月では99%、9月では98%という計算結果が
得られた。
【0078】かかる結果から、7月から9月上旬までの
期間では、ほとんどの時間で、天井面温度が湿球温度近
くにまで下がり、居室側へは平均−45W/m3放熱が行
なわれることが分かる。また、提案したモデルにおいて
24時間空調を行う場合には、空調負荷は、本発明に係
る天井裏蒸散システムを併用しないモデルに比べ10%
以内に抑えることができることも確認できた。
【0079】
【表4】
【0080】また、モデルの居室内空気の熱収支を、要
素別に分類したシミュレーション結果を上記表4に示
す。冷房中の居室内空気の熱収支では、一番の熱源(空
調負荷を増大させる要因)は、人体や電気機器等からの
[内部発熱]であることがわかる。また、この発熱は居
住者数により大幅に変化する。かかる内部発熱を抑える
ためには、低電力機器を使用することが望ましい。ま
た、照明設備やOA機器などの熱源近くに吸気口を設け
る局所排熱が、空調負荷低減のための有効な手段とな
る。
【0081】「RC部分表面から」と「間仕切壁表面か
ら」の熱流は、主に窓からの透過日射の受熱によるもの
である。ここでの透過日射は散乱日射が主成分になるた
め(直達日射は庇によりほとんどがカットされてい
る)、これ以上の透過量のカットは困難である。暖房中
の空調負荷を見ると、本モデルは高断熱の南面平行型で
あるため、特別なシステムを用いなくても、一般のRC
造に比べて低く抑えられている(一般RC造では約30
MJ/m2・月)。この期間の熱収支を分類すると、空調
負荷の主な要因は「換気から」と「窓表面から」である
ことがわかる。空調負荷の削減には「密閉型ペアガラ
ス」や「熱交換器付きの換気設備」の設置が有効と考え
られる。
【0082】また、以上の構成の本発明を、図10に示
すように、例えば、中高層建物に適用すると、従来より
問題となっているビル周辺の高速風、所謂ビル風の改善
に有効に機能することが本発明者により確認された。
【0083】図10(A)に示す場合は、同じ高さの建
物40に対して、ビル風の発生状況を示したものであ
る。ビル周辺の風の流れを、破線表示で示した。ビル風
は、ビル側面に突き当たり、ビル壁面を上昇し、屋上部
分を通過して、ビル側面を急下降する。特に、かかるビ
ル風の風速増加域Dを、網部分で示した。従来構成のビ
ルでは、風速増加域Dは、風の上昇、下降が見られるビ
ル側面の下方と、上昇側の屋上端周辺に発生することが
分かる。
【0084】一方、図10(B)に示すように、中間階
の天井裏13に通じる側面に、蓋16を有する通気孔1
4を設けることにより、従来構成では壁面に沿って急上
昇していたビル風が、各中間階の天井裏13に流れるた
め、ビル下方に風速増加域Dが発生することはない。
【0085】また、ビル側面に突き当たる風は、通風孔
14の開口から天井裏内に通るが、その際に太い流れが
通風孔により狭められ急に細くなるため、ベンチュリー
効果により加速されることとなる。そのため、天井裏を
通過する風が天井裏内で滞留する心配がなく、速やかに
通過する。併せて、かかる天井裏内の風の急速通過によ
り、水の蒸散作用がより促進される。
【0086】蓋16を下開きの構成とすることにより、
蓋はビル側面を上昇しようとする風を効果的に通風孔へ
導くウィンドキャッチャーとしの役目を果たすこととな
る。ベンチュリー効果を利用して水の蒸散をより促進す
るためには、蓋の開口方向は、下開きの方が好ましい。
【0087】また、本発明の冷房システムを採用したビ
ルでは、図10(B)に示すように、ビルの屋上側では
若干の風速増加域Dは発生するが、その範囲は、従来の
場合に比べて小さいことが分かる。特に、ビル下方での
風速増加域Dは解消するため、ビルの側方に沿った通行
域でのビル風の影響を解消することができる。
【0088】(実施の形態2)本実施の形態2では、前
記実施の形態1で説明した通気孔の蓋に庇を兼用させる
構成について説明する。本実施の形態では、通気孔14
は、図11(A)の平面図に示すように、北側の側面
と、これに対向する南側の側面とに各々4箇所ずつ設け
た。通気孔14の各々には、蓋16が設けられ、前記実
施の形態1の図3で説明したと同様の機構で開閉できる
ようになっている。
【0089】蓋16は、図11(B)に示すように、開
口した状態で、南側から照りつける入射光Lを十分に遮
蔽できる庇として機能することができるようにその大き
さが設定されている。本発明者により、蓋16を設けた
通風孔14より下方に位置する窓下端から、蓋16の先
端を見上げた際の仰角を60度に設定すると、4月4日
から9月10日までの全直達日射を十分に遮蔽すること
ができることが確認された。
【0090】このように、直達日射を効率よく遮蔽する
ことにより、前記実施の形態1の表4で述べたRC部分
表面、窓表面からの発熱量を抑えることができ、室内温
度の上昇を抑制することができる。そのため、本発明に
係る冷房システムでは、図11(B)に示すように、上
記通気孔14に設ける蓋16の巾aを、窓下端から蓋先
端を見上げた仰角が60度以下になるように設定してお
けば、窓への陽射しを十分に遮ることができる。
【0091】しかし、蓋16の設置環境によっては、蓋
16の巾aを十分に大きくできない場合も予想される。
すなわち、仰角が60度より大きくなる場合も考えられ
るが、かかる場合でも、蓋16で日射の一部は遮ること
ができるので、庇の役目を持たせない場合に比べてその
効果は大きい。
【0092】本発明は、上記実施の形態に限定されるも
のではなく、その要旨を逸脱しない範囲で必要に応じて
変更してもよい。
【0093】例えば、上記実施の形態では、単層建物、
中高層建物のへの適用例を説明したが、勿論戸建建物に
も当然に適用できるものである。天井、天井裏に相当す
る構成を有する建築構造物であれば、当然に適用できる
ものである。さらには、元々天井、天井裏が形成されて
いない建物でも、別途天井、天井裏に相当する部分を追
加構成することにより、既製建物に本発明の冷房システ
ムを後付けで適用することができる。
【0094】さらには、前記実施の形態では、建物など
の構造物に対する適用を示したが、車両の天井側に、天
井裏部分を設けることにより、車両室内の冷房に適用す
ることも可能である。
【0095】上記実施の形態の説明では、東京、横浜な
どの特定地域における夏期期間(6〜9月までの)に限
定してシュミレーションを行なったが、かかる本発明の
効果は、その他の地域、期間でも適用可能であることは
当然である。建物の計画地の気象条件、地形、その他の
風土条件の都合により、居室に冷房設備が必要となる際
に有効に適用できるものである。従って、例えば、東北
地方と、九州・沖縄地方とでは、適用期間は異なること
となるが、それでも構わない。
【0096】上記実施の形態では、通風孔の蓋の開閉方
向を下開きの場合について説明したが、開閉方向は上開
き、スライド式など、下開き以外の構成を採用しても一
向に構わない。
【0097】また、通風孔には蓋を設けた場合を示した
が、例えば、年間を通して平均気温が高く、通風孔に通
した風による水の蒸散で過冷却が発生する心配がない地
域では、蓋を設けなくても構わない。
【0098】前記実施の形態では、蒸散材として、水を
使用した場合について説明したが、安全に使用できるも
のであれば、他の蒸散材を使用しても一向に構わない。
【0099】
【発明の効果】本発明によれば、天井裏に通す風により
天井側の水を蒸散させて天井面を冷し、冷やした天井面
により天井下空間の冷房を行なうため、天井と、天井裏
を有する構成の屋根面を有しない階における冷房を、水
の蒸散作用に基づく自然エネルギーの利用により行なう
ことができる。
【0100】本発明は上記構成を有しているため、従来
構成の動力機器を用いた冷房に比べてランニングコスト
の低減などの省エネルギー化が図れる。
【0101】本発明によれば、天井裏に通す風により天
井側の水を蒸散させることにより天井面を冷し、冷やし
た天井面により天井下空間の冷房を行なう構成であるた
め、動力機器を用いた冷房に比べて省エネルギー化が図
れる。
【0102】また、上記構成の本発明を、既存の動力機
器を用いた空調設備と併用すれば、空調設備の冷却負荷
の減少を図ることができる。
【0103】本発明を適用することにより、夏期の電力
使用のピークカットを積極的に図ることができる。
【0104】本発明では、熱交換を動力機器を用いて行
なう構成ではないため、従来構成の空調設備に比べて、
動力機器に関する保守等のメンテナンスが不要となる。
【0105】本発明の冷房システムをビルの中間階など
の屋根面を持たない階に採用することにより、ビル風を
抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における冷房システムの中
間階への適用を示す要部断面図である。
【図2】(A)は通風孔に設けた蓋の開口状態を示す斜
視図であり、(B)はその閉じ状態を示す斜視図であ
る。
【図3】(A)は4個の通風孔の蓋を一括開口する開閉
機構を示す斜視図であり、(B)はその閉じ状態を示す
斜視図である。
【図4】天井下空間の対流状況を模式的に示す断面説明
図である。
【図5】本発明の冷房システムの中高層建物への適用を
模式的に示す断面説明図である。
【図6】本発明の冷房システムの大規模平面の単層建物
への適用を模式的に示す断面説明図である。
【図7】(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ、
6月、7月、8月、9月の外気温、湿球温度、水温、天
井表面温度、放熱量を示すグラフ図である。
【図8】(A)は基準階モデルの仕様を示す平面図であ
り、(B)はその断面図である。
【図9】(A)、(B)、(C)は、基準モデルを使用
した場合の東京の8月における室温の変化と空調負荷と
をシュミレーションで示すグラフ図である。
【図10】(A)は従来構成のビルにおけるビル風の発
生状況を模式的に示す説明図であり、(B)は本発明の
冷房システムを中間階に適用した場合におけるビル風の
発生状況を模式的に示す説明図である。
【図11】(A)は通風孔に設けた蓋を庇として兼用す
る場合の状況示す平面説明図であり、(B)は断面説明
図である。
【符号の説明】
10 建物 10a 上階 10b 下階 11 床スラブ 12 天井 13 天井裏 14 通風孔 14a 通風孔 14b 通風孔 14c 通風孔 14d 通風孔 14e 通風孔 14f 通風孔 15 外壁 16 蓋 17 枠 18 ばね 19 ワイヤ 20 中高層建物 21 最下階 22 中間階 23 最上階 31 傾斜屋根 32 天井 32a、32b、32c、32d、32e 天井 33 天井裏 34 通風孔 34a 蓋 35 平坦屋根 36 天井裏 37 天井 38 通風孔 38a 天井裏 a 巾 A 天井下空間 B 天井下空間 C 天井下空間 H 人 W 水

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天井を有する空間の冷房システムであっ
    て、 天井裏と、 前記天井裏に連通する通風孔と、 水などの蒸散材を天井裏側に収容する天井とを有し、 前記通風孔を介して前記天井裏に導入する風により前記
    蒸散材を蒸散させて前記天井を冷却し、冷却した前記天
    井を介して天井下空間の冷房を行なうことを特徴とする
    冷房システム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の冷房システムにおいて、 前記通風孔には、開閉可能な蓋が設けられていることを
    特徴とする冷房システム。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の冷房システムにおいて、 前記蓋は、その開放時には、前記通風孔より下方に設け
    た窓などの開口部への陽射しを遮る庇を兼ねることを特
    徴とする冷房システム。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の冷房システムにおいて、 前記天井は、前記天井裏に面する側が、前記蒸散材の収
    容可能な皿状に形成されていることを特徴とする冷房シ
    ステム。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    の冷房システムにおいて、 前記蒸散材は、不織布などの保持材に含浸させられた状
    態で、前記天井に収容されていることを特徴とする冷房
    システム。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項に記載
    の冷房システムにおいて、 前記冷房システムが、複数階を有する建物の屋根面を持
    たない階に適用されていることを特徴とする冷房システ
    ム。
  7. 【請求項7】 水などの蒸散材の蒸散により冷却された
    天井を介して天井下空間の冷房を行なうために使用する
    天井であって、 前記天井は、前記蒸散材を収容可能に構成されているこ
    とを特徴とする天井。
  8. 【請求項8】 天井裏で、天井に収容する水などの蒸散
    材を、前記天井裏を通る風により蒸散させて前記天井を
    冷却し、冷却した前記天井を介して天井下空間の冷房を
    行なうことを特徴とする冷房方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の冷房方法において、 前記天井裏に通ずる通風孔に開閉調節により、前記天井
    裏に通す通風量を調節して前記蒸散材の蒸散量を調節
    し、前記天井下空間の冷房調節を行なうことを特徴とす
    る冷房方法。
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