JP2002285286A - 耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金及びそれを用いてなる高硬度高膨張合金金属板及び耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金の製造方法 - Google Patents

耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金及びそれを用いてなる高硬度高膨張合金金属板及び耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金の製造方法

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JP2002285286A
JP2002285286A JP2001090387A JP2001090387A JP2002285286A JP 2002285286 A JP2002285286 A JP 2002285286A JP 2001090387 A JP2001090387 A JP 2001090387A JP 2001090387 A JP2001090387 A JP 2001090387A JP 2002285286 A JP2002285286 A JP 2002285286A
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expansion alloy
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Toshihiro Uehara
利弘 上原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高熱膨張、高強度、および耐熱へたり性を兼
備する高硬度高膨張合金およびそれを用いてなる高硬度
高膨張合金金属板および高硬度高膨張合金の製造方法を
提供する。 【解決手段】 質量%にて、C:0.2%以下、Si:
1.0%以下、Mn:5.0%を越えて10.0%以
下、Ni:7.0を超えて14.0%以下、Cr:6.
0%を超え12.0%未満、Mo、Wの1種または2種
をMo+1/2Wで0.2〜2.0%、N:0.005
〜0.2%を含み、残部実質的にFeからなり、さらに
(1)式で表されるA値が16未満、(2)式で表され
るB値が22〜26であり、かつ常温での硬さが400
Hv以上、常温〜100℃の平均熱膨張係数が15×1
0マイナス6乗/℃以上である耐熱へたり性の優れた高
硬度高膨張合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度、高熱膨張
特性、良好な耐熱へたり性を兼備する耐熱へたり性の優
れた高硬度高膨張合金及びそれを用いてなる高硬度高膨
張合金金属板及び耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合
金の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高膨張合金は、例えばテレビジョンやコ
ンピュータのディスプレイのカラーブラウン管内で、シ
ャドウマスクやアパーチャグリルのフレームを支持する
部材に用いられている。例えばシャドウマスクタイプの
ブラウン管では、電子ビームを受けてシャドウマスクが
加熱される時に生じる熱膨張による色ずれ障害を補正す
るためのバイメタルから構成されるシャドウマスク支持
部材の高熱膨張側の金属板等に用いられており、代表的
には高膨張側にはオーステナイト系ステンレス鋼、たと
えばSUS304(Fe−18Cr−8Ni)が使用さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】SUS304の硬さ
は、冷間加工後、450℃前後で時効処理を行なうと、
450Hv程度と高いが、熱膨張係数は15×10マイ
ナス6乗/℃前後であり、耐熱へたり性が十分でない。
一方、既存の高膨張材料として、22Ni−3.5Cr
系及び6Mn−20Ni系のFe基合金があるが、これ
らは何れも熱膨張係数は20×10マイナス6乗/℃程
度と高いが、強度が低く、硬さでせいぜい250Hv程
度で強度的に不十分である。また、高膨張材料としてA
MS5625にFe−9.5Ni−5.5Mn系の合金
が記載されていが、これも熱膨張係数は、22℃〜31
6℃の平均値は約20×10マイナス6乗/℃と大きい
が、硬さはは約280Hvと低い値である。
【0004】また、高膨張金属板は部品加工後、ブラウ
ン管等に組み込まれる場合には、500℃付近の加熱工
程を経ることが多く、この加熱によって軟化、或いは変
形すると、本来の部品としての形状を保つことができな
くなるばかりでなく、硬さが低下すると使用中に必要な
強度が不足してしまう。従って、加熱工程によって熱へ
たりを起こし難い材料が望まれていた。本発明の目的
は、高熱膨張、高強度、および耐熱へたり性を兼備する
耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金及びそれを用い
てなる高硬度高膨張合金金属板及び耐熱へたり性の優れ
た高硬度高膨張合金の製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上述した問題
を解決すべく、鋭意研究を行なった結果、特開平10−
259455号に記載のFe−Mn−Ni系合金及び特
開2000−192194に記載のFe−Mn−Ni−
Cr系合金を見出した。これはC、Vを添加し、V、C
を主体とするバナジウム炭化物による析出強化、C、
N、Cr、Mo、Wを添加することによる固溶強化及び炭
化物による析出強化、V添加或いは更にNb添加による
固溶強化処理時の結晶粒の粗大化防止による強度アッ
プ、冷間加工及び時効処理条件の適正化等によって、熱
処理膨張係数を大きく低下させることなく、高強度化を
図ったものである。
【0006】本発明者はさらに検討を加えた結果、特開
2000−192194に記載される式30C−1.34Si+
0.5Mn+Ni−0.67Cr−Mo−0.5W+20N−10Nb−5.3V−5Ti
の値が16未満で、基地の構成相がオーステナイト単相
でなく、一部マルテンサイト組織を含む複相組織であっ
ても、添加元素のバランスを別のNi当量式で整理し調
整すれば、比較的高い熱膨張係数、高硬度及び良好な耐
熱へたり性を同時に達成することが可能であることを新
規に見出し、本発明に到ったものである。
【0007】すなわち本発明は、質量%にて、C:0.
2%以下、Si:1.0%以下、Mn:5.0%を越え
て10.0%以下、Ni:7.0を超えて14.0%以
下、Cr:6.0%を超え12.0%未満、Mo、Wの
1種または2種をMo+1/2Wで0.2〜2.0%、
N:0.005〜0.2%を含み、残部実質的にFeか
らなり、さらに(1)式で表されるA値が16未満、
(2)式で表されるB値が22〜26であり、かつ常温
での硬さが400Hv以上、常温〜100℃の平均熱膨
張係数が15×10マイナス6乗/℃以上である耐熱へ
たり性の優れた高硬度高膨張合金。 A値=30C−1.34Si+0.5Mn+Ni−0.67Cr−Mo−0.5W+20N …(1) B値=Ni+0.65Cr+0.98Mo+0.49W+1.05Mn+0.35Si+12.6(C+N) …(2) (但し、選択元素のうち、無添加の元素が0として計算)
【0008】また本発明は、質量%にて、C:0.2%
以下、Si:1.0%以下、Mn:5.0%を越えて1
0.0%以下、Ni:7.0を超えて14.0%以下、
Cr:6.0%を超え12.0%未満、Mo、Wの1種
または2種をMo+1/2Wで0.2〜2.0%、N:
0.005〜0.2%、Nb、V、Tiの1種または2
種以上を合計で0.5%以下、残部実質的にFeからな
り、さらに(3)式で表されるA1値が16未満、
(2)式で表されるB値が22〜26であり、かつ常温
での硬さが400Hv以上、常温〜100℃の平均熱膨
張係数が15×10マイナス6乗/℃以上である耐熱へ
たり性の優れた高硬度高膨張合金。 A1値=30C−1.34Si+0.5Mn+Ni−0.67Cr−Mo−0.5W+20N−10Nb−5.3V−5Ti …(3) B値=Ni+0.65Cr+0.98Mo+0.49W+1.05Mn+0.35Si+12.6(C+N) …(2) (但し、選択元素のうち、無添加の元素が0として計算)
【0009】好ましくは、質量%にて、C:0.01〜
0.08%、Si:1.0%以下、Mn:5.0%を超
えて7.0%以下、Ni:8.0〜12.0%、Cr:
6.0を超え11.0%以下、Mo、Wの1種または2
種をMo+1/2Wで0.5〜2.0%、N:0.00
5〜0.08%である耐熱へたり性の優れた高硬度高膨
張合金である。また本発明は、上述の高硬度高膨張合金
を用いてなる高硬度高膨張合金金属板である。
【0010】また本発明は、上述の合金組成を有する耐
熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金素材を、少なくと
も30%以上の圧下率で冷間加工する工程を含む高強度
高膨張合金の製造方法である。また本発明は、上述の合
金組成を有する耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金
素材を、少なくとも30%以上の圧下率で冷間加工した
後に400℃〜750℃で時効処理を行なう工程を含む
耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金の製造方法であ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明における各元素の作
用について述べる。Cは、オーステナイト生成元素であ
り、主要な基地組織をオーステナイト組織にして高熱膨
張特性を得るために有効である。Cは0.2%を超えて
添加するとオーステナイト組織が安定になりすぎてしま
い、冷間加工によりオーステナイト組織の一部をマルテ
ンサイト変態させて硬度を上昇させることが難しくなる
ことから、Cは0.2%以下とした。望ましくは、0.
01〜0.08%の範囲とすることで、上記の効果をよ
り確実に得ることができる。
【0012】Siは、脱酸剤として添加されるが、1.
0%を越えて添加すると、延性を低下させるので、1.
0%以下とした。Mnは、オーステナイトを安定化さ
せ、高い熱膨張係数をもたらすと共に、冷間加工による
加工硬化量を増大させ、また時効処理時にNiと共に金
属間化合物を形成して時効硬化させて、硬度向上にも効
果を有するだけでなく、耐熱へたり性の向上させるのに
も非常に有効な元素である。Mnは5.0%以下では効
果が少なく、一方、10.0%を越えて添加すると冷間
加工性が劣化することから、Mnは5.0%を越え1
0.0%以下とした。さらに望ましくは、5.0%を超
えて7.0%以下の範囲とすることで、上記の効果をよ
り確実に得ることができる。Niは、オーステナイト組
織を安定化させ、高い熱膨張係数をもたらすために必須
の添加元素である。また、時効処理時にMnとともに金
属間化合物を形成して時効硬化させて、硬度向上に効果
を有する。Niは7.0%以下では効果が少なく、一
方、14.0%を越えて添加すると、オーステナイト組
織が安定になりすぎ、オーステナイト組織が軟化して高
硬度が得られ難くなることから、7.0%を超えて1
4.0%以下とした。望ましくは、8.0〜12.0%
の範囲とすることで、上記の効果をより確実に得ること
ができる。
【0013】Crは、オーステナイト組織を安定化する
とともに、本合金の耐熱へたり性を向上させるのに必要
な元素であり、6.0%より多くの添加が望ましい。一
方、12.0%以上添加すると、オーステナイト組織が
安定化して硬さを低下させたり、粗大なCr炭化物が生
成して延性が低下するため、固溶化処理温度をより高温
で行う必要が生じ、製造性が悪くなることから、Crは
6.0%を超え12.0%未満とした。望ましくは、
6.0%を超え11.0%以下の範囲とすることで、上
記の効果をより確実に得ることができる。Mo、Wは、
本合金のオーステナイト基地中に固溶すると共に、一部
は炭化物として析出して常温硬さおよび耐熱へたり性を
高めるのに効果が大きい元素である。また、Mo、Wは
Mo当量として、(Mo+1/2W)で整理される。Mo
+1/2Wの値が0.2%より少ないと効果が少なく、
一方、2.0%を超えて添加すると、何れもフェライト
形成元素であるため、フェライト相を生成させて硬度低
下の原因となる可能性があることから、Mo、Wの1種
または2種をMo+1/2Wで0.2〜2.0%とし
た。望ましくは0.5〜2.0%がよい。
【0014】Nは、オーステナイト基地中に固溶してオ
ーステナイトを安定化させ、熱膨張係数を高めるととも
に、固溶強化によって常温硬さおよび耐熱へたり性を高
めるのに有効である。Nは0.005%より少ないと十
分な効果が得られず、一方、0.2%を越えて添加する
と凝固時に鋼塊内部に欠陥を生じて鋼塊の健全性を害し
たり、冷間加工時の加工硬化を増大させて加工性を害し
たりすることから、Nは0.005〜0.2%とした。
但し、十分な冷間加工性を確保したい場合はNは低めの
0.005〜0.08%がよい。Nb、V、Tiは凝固
時にCとの間にMC型炭化物を形成し、固溶化熱処理時
の結晶粒の粗大化を防止する効果があり、適宜添加する
ことができる。Nb、V、Tiの1種または2種以上を
合計で0.5%を越えて添加するとMC型炭化物が多く
なり延性が低下し、素材の加工性を害することから、添
加する場合はNb、V、Tiの1種または2種以上を合
計で0.5%以下とした。
【0015】さらに上記に述べた合金元素は、個々の成
分範囲を満足するだけでなく、高膨張特性と高硬度を得
るためには、冷間加工前の固溶化処理状態での基地の基
本的な構成相をやや不安定なオーステナイト組織とし、
冷間加工によってオーステナイト組織の一部をマルテン
サイト変態させることが有効である。本発明合金の成分
元素は、C、Mn、Ni、Nのオーステナイト形成元素
とSi、Cr、Mo、W、さらにはこれら元素に加えて
V、Nb、Tiのフェライト形成元素からなっており、
これらの元素のバランスをNi当量で整理した次式
(1)または(3)で示されるA値またはA1値を下記
の範囲とすることによって、冷間加工前の基地の基本構
成組織を、冷間加工によって一部がマルテンサイト変態
しうるような、やや不安定なオーステナイト組織とする
ことができる。 A値=30C‐1.34Si+0.5Mn+Ni‐0.67Cr‐Mo‐0.5W+20N<16 …(1) A1値=30C-1.34Si+0.5Mn+Ni-0.67Cr-Mo-0.5W+20N-10Nb-5.3V-5Ti<16 …(3) ここで、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、W、N、
Nb、V、Tiは合金中の質量%を表している。この式
の値が16以上ではオーステナイト組織が安定となりす
ぎ、冷間加工によってオーステナイト組織の一部がマル
テンサイト変態するのが困難となり適度の高硬度と高熱
膨張特性の組み合わせが得られにくくなることから、
(1)式または(3)式のA値またはA1値を16未満
とした。
【0016】冷間加工前の基地の基本構成組織を、冷間
加工によって一部がマルテンサイト変態しうるような、
やや不安定なオーステナイト組織とするためには、A値
またはA1値を規定するだけでは十分でなく、(2)式
で表されるB値を下記の範囲とすることが必要である。 B値=Ni+0.65Cr+0.98Mo+0.49W+1.05Mn+0.35Si+12.6(C+N):22〜25 …(2) ここで、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、W、Nは
合金中の質量%を表している。B値が22より小さいと
オーステナイト組織が不安定になりすぎ、オーステナイ
ト組織の大半が冷間加工によってマルテンサイト変態し
て熱膨張係数が小さくなってしまい、一方、26より大
きいとオーステナイト組織が安定となりすぎ、冷間加工
によってマルテンサイト変態しにくくなるため、硬さが
低下することから、B値は22〜26とした。
【0017】本発明合金の硬さは、上記組成と組成式の
範囲を規定の範囲に調整した上で少なくとも冷間加工の
工程を含み、さらに冷間加工後に時効処理を行って組織
制御を行うことによって、従来のバイメタルの高膨張材
料であるSUS304と同等以上の硬さである400H
v以上とすることができ、特に時効処理を組合せること
で耐熱へたり特性を十分に満足することが可能となるだ
けなく、熱膨張係数(常温から100℃の平均値)を1
5×10マイナス6乗/℃以上とすることができ、例え
ばテレビジョンやコンピュータのディスプレイのカラー
ブラウン管内で、シャドウマスクやアパーチャグリルの
フレームを支持する部材に求められる耐熱へたり性と、
熱膨張特性との両立が図れる。
【0018】次に本発明合金の製造方法について説明す
る。本発明の高硬度高膨張合金を得ようとする場合、上
記の化学組成を有する高硬度高膨張合金金属板合金素材
の加工工程に、少なくとも冷間加工の工程を含める必要
があり、本発明においては重要な工程である。この冷間
加工は、オーステナイト組織を加工硬化させるだけでな
く、オーステナイト組織の一部をマルテンサイト変態さ
せて硬さを高める目的で行なうが、圧下率が30%より
小さいと十分な硬さが得られないことから、圧下率は3
0%以上とした。なお、本発明合金を用いて板材とする
際には、上述のように30%以上の圧下率で冷間加工を
行うことでオーステナイト組織の一部をマルテンサイト
変態させて硬さを高めることができるが、例えば線材と
する場合には冷間で引抜加工を行えばよく、この場合の
減面率も30%以上とすれば板材と同様にオーステナイ
ト組織の一部をマルテンサイト変態させて硬さを高める
ことができる。この冷間加工によって、高硬度高膨張合
金の硬さを400Hv以上とすることができるが、若干
熱膨張係数が低い場合があるため、この冷間加工の後に
時効処理を行うと良い。
【0019】冷間加工後の時効処理は、上述のように熱
膨張係数を高める目的の他、歪時効と時効析出硬化によ
って引張強さ、常温でのばね特性をさらに高める目的で
行なうものである。この時効処理の温度が400℃以下
では十分な効果が得られず、また750℃を越えると硬
さが大きく低下することから、400〜750℃で時効
処理するものとした。
【0020】
【実施例】本発明合金および比較合金を真空誘導溶解炉
で溶解し、10kgのインゴットを作製し、熱間鍛造、
熱間圧延によって約2mm厚さの高硬度高膨張合金素材
を作製した。その後、1050℃で1時間の固溶化処理
を行ない、脱スケールの後、50%または70%の冷間
圧延によって、1.0mmまたは0.6mm厚さの金属
板に仕上げた。さらに450℃または550℃で1時間
の時効処理を行なった後に、硬さ測定、熱膨張係数測
定、および熱へたり量の測定を行なった。熱へたり量
は、幅10mm×長さ100mmの板状試験片の長さ方
向の中央部を5mmだけたわませた状態で450℃で5
0分加熱し、冷却後の変形量を測定することで評価し
た。表1に本発明合金No.1〜10、比較合金No.
20〜24の化学組成、(1)式または(3)式により
計算されるA値またはA1値および(2)式により計算
されるB値を、また、表2に硬さ、平均熱膨張係数、熱
へたり量をそれぞれ示す。ここで、比較合金No.24
は、SUS304である。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表2に示すように、本発明方法によって製
造された本発明合金でなる金属板No.1〜10は、い
ずれも硬さが400Hv以上の高硬度を有し、かつ30
〜100℃の平均熱膨張係数が15×10マイナス6乗
/℃以上の高膨張特性を示し、かつ熱へたり量が小さい
値を示すことがわかる。一方、本発明に対して、Ni量
が低くCr量が高い比較合金でなる金属板No.20は
熱膨張係数が低く、好ましくない。また、Ni量が低
く、A1値が小さい比較合金No.21およびNi量が
低く、Cr量が高く、A1値が小さい比較合金No.2
2は熱膨張係数が小さく、好ましくない。Mnが低く、
Crが高く、A1値が大きい比較合金No.23は硬さ
が低く、熱膨張係数が大きいため、好ましくない。ま
た、SUS304の組成を有する比較合金No.24は
熱へたり量が大きい値を示している。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明合金は、高い
強度と高い熱膨張係数および良好な耐熱へたり性を兼備
した高硬度高膨張合金とそれを用いてなる高硬度高膨張
合金金属板が得られることができるものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%にて、C:0.2%以下、Si:
    1.0%以下、Mn:5.0%を越えて10.0%以
    下、Ni:7.0を超えて14.0%以下、Cr:6.
    0%を超え12.0%未満、Mo、Wの1種または2種
    をMo+1/2Wで0.2〜2.0%、N:0.005
    〜0.2%を含み、残部実質的にFeからなり、さらに
    (1)式で表されるA値が16未満、(2)式で表され
    るB値が22〜26であり、かつ常温での硬さが400
    Hv以上、常温〜100℃の平均熱膨張係数が15×1
    0マイナス6乗/℃以上であることを特徴とする耐熱へ
    たり性の優れた高硬度高膨張合金。 A値=30C−1.34Si+0.5Mn+Ni−0.67Cr−Mo−0.5W+20N …(1) B値=Ni+0.65Cr+0.98Mo+0.49W+1.05Mn+0.35Si+12.6(C+N) …(2) (但し、選択元素のうち、無添加の元素が0として計算)
  2. 【請求項2】 質量%にて、C:0.2%以下、Si:
    1.0%以下、Mn:5.0%を越えて10.0%以
    下、Ni:7.0を超えて14.0%以下、Cr:6.
    0%を超え12.0%未満、Mo、Wの1種または2種
    をMo+1/2Wで0.2〜2.0%、N:0.005
    〜0.2%、Nb、V、Tiの1種または2種以上を合
    計で0.5%以下、残部実質的にFeからなり、さらに
    (3)式で表されるA1値が16未満、(2)式で表さ
    れるB値が22〜26であり、かつ常温での硬さが40
    0Hv以上、常温〜100℃の平均熱膨張係数が15×
    10マイナス6乗/℃以上であることを特徴とする耐熱
    へたり性の優れた高硬度高膨張合金。 A1値=30C−1.34Si+0.5Mn+Ni−0.67Cr−Mo−0.5W+20N−10Nb−5.3V−5Ti …(3) B値=Ni+0.65Cr+0.98Mo+0.49W+1.05Mn+0.35Si+12.6(C+N) …(2) (但し、選択元素のうち、無添加の元素が0として計算)
  3. 【請求項3】 質量%にて、C:0.01〜0.08
    %、Si:1.0%以下、Mn:5.0%を超えて7.
    0%以下、Ni:8.0〜12.0%、Cr:6.0を
    超え11.0%以下、Mo、Wの1種または2種をMo
    +1/2Wで0.5〜2.0%、N:0.005〜0.
    08%であることを特徴とする請求項1または2に記載
    の耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかに記載の高硬度
    高膨張合金を用いてなることを特徴とする高硬度高膨張
    合金金属板。
  5. 【請求項5】 耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金
    の製造方法であって、請求項1乃至3の何れかに記載の
    合金組成を有する耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合
    金素材を、少なくとも30%以上の圧下率で冷間加工す
    る工程を含むことを特徴とする高強度高膨張合金の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金
    の製造方法であって、請求項1乃至3の何れかに記載の
    合金組成を有する耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合
    金素材を、少なくとも30%以上の圧下率で冷間加工し
    た後に400℃〜750℃で時効処理を行なう工程を含
    むことを特徴とする耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張
    合金の製造方法。
JP2001090387A 2001-03-27 2001-03-27 耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金及びそれを用いてなる高硬度高膨張合金金属板及び耐熱へたり性の優れた高硬度高膨張合金の製造方法 Pending JP2002285286A (ja)

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