JP2002284839A - ポリウレトジオン環解離促進剤 - Google Patents

ポリウレトジオン環解離促進剤

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JP2002284839A
JP2002284839A JP2001220038A JP2001220038A JP2002284839A JP 2002284839 A JP2002284839 A JP 2002284839A JP 2001220038 A JP2001220038 A JP 2001220038A JP 2001220038 A JP2001220038 A JP 2001220038A JP 2002284839 A JP2002284839 A JP 2002284839A
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acid
uretdione ring
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polyuretdione
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JP2001220038A
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Inventor
Kenji Sugimoto
権司 杉本
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来より低温でウレトジオン環を解離できる
ウレトジオン環解離促進剤を提供すること。 【解決手段】 有機酸の金属塩の少なくとも1種以上か
らなるウレトジオン環解離促進剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機酸の金属塩か
らなるウレトジオン環解離促進剤の少なくとも1種以上
からなるウレトジオン環解離促進剤、さらにはそれを含
む低温硬化性組成物、特に塗料および接着剤に適した組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】イソシアネートのNCO基同士が互いに
ブロックしたものは、ウレトジオンとして各種のイソシ
アネートについて知られている。ブロック剤でNCO基
をブロックしたいわゆるブロックドイソシアネートは、
加熱によりブロック剤を放出するという課題を含んでい
るが、ウレトジオンは2モルのNCO基同士でできるウ
レトジオン環が加熱により、再び2モルのNCO基に解
離し、活性水素を有するものと反応することができ、こ
のときブロック剤の放出がないので環境にクリーンであ
る。この利点を生かした用途として代表的には、ウレト
ジオンを活性水素を有する化合物と付加反応してポリウ
レトジオン化したものをポリオールと混合して粉体塗料
としたものがある。しかしながら焼き付け温度が高く、
塗工の際の熱コストが高くなるという課題を含んでい
る。
【0003】一方、ウレトジオン環を解離しようとする
促進剤としては、一般的には錫系化合物がある。しかし
それらの化合物を用いても焼き付け温度の低下はなく、
単に焼き付け時間が短くなる程度であった。それは化合
物がウレトジオン環の解離促進に対する付与が小さく、
専らこのウレトジオン環が熱によって解離した後の活性
水素を有する化合物との反応促進に付与しているためと
考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ウレトジオン環の解離
促進すなわち焼き付け温度が低くなる特定の触媒を見い
だし、従来より低温で硬化可能な組成物を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らは鋭意検討した結果、ウレトジオン環の解
離を特定の触媒を用いることで促進することができ、低
温で硬化可能な塗料および接着剤組成物を完成するに至
った。
【0006】即ち本発明は、下記の通りである。 1.有機酸の金属塩からなることを特徴とする、ウレト
ジオン環解離促進剤。 2.有機酸が、スルホン酸、カルボン酸から選ばれる少
なくとも1種以上であることを特徴とする、1.記載の
ウレトジオン環解離促進剤。 3.有機酸が、フェノールスルホン酸、ナフテン酸、酢
酸、サリチル酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸
から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とす
る、1.記載のウレトジオン環解離促進剤。 4.金属塩が、元素周期表のIA、IIA、IVB、V
III、IIB、IIIA、IVA、VA族から選ばれ
る少なくとも1種以上の金属の塩であることを特徴とす
る、1.〜3.のいずれかに記載のウレトジオン環解離
促進剤。
【0007】5.潜在NCOが5〜21質量%、重量平
均分子量が2000〜20000の分子鎖中にウレトジ
オン環を有する脂肪族およびまたは脂環族ポリウレトジ
オン100質量部、および1.〜4.のいずれかに記載
のウレトジオン環解離促進剤0.001〜100質量部
からなることを特徴とする、ポリウレトジオン組成物。 6.潜在NCOが5〜21質量%、重量平均分子量が2
000〜20000の分子鎖中にウレトジオン環を有す
る脂肪族およびまたは脂環族ポリウレトジオン100質
量部、水酸基価が20〜300mgKOH/gであるポ
リオール100〜2000質量部、および1.〜4.の
いずれかに記載のウレトジオン環解離促進剤0.001
〜100質量部からなることを特徴とする、低温硬化性
組成物。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明について、以下具体的に説
明する。本発明のウレトジオン環解離促進剤(有機酸の
金属塩)を構成する好ましい有機酸は、スルホン酸、カ
ルボン酸であり、その具体例としては、酢酸、プロピオ
ン酸、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸、サリチリ
酸、フェノールスルホン酸等が挙げられる。金属として
は、元素周期律IA、IIA、IVB、VIII、II
B、IIIA、IVA、VA族から選ばれる金属が好ま
しく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグ
ネシウム、カルシウム、バリウム、ジルコニウム、鉄、
亜鉛、アルミニウム、鉛、ビスマス等の少なくとも1種
以上である。
【0009】これらは低温でウレトジオン環を解離させ
ることができ、かつそれから生成したNCO基とポリオ
ール中のOH基とのウレタン反応も促進させる効果をも
持つ。金属化合物の使用量はポリウレトジオン100質
量部に対して0.001〜100質量部が好ましい。低
温解離としての十分な効果と硬化性の観点から0.00
1質量部以上が好ましく、また塗膜の表面平滑性の観点
から100質量部以下が好ましい。
【0010】本発明の組成物を応用した、低温硬化性組
成物は、潜在NCOが5〜21質量%、重量平均分子量
が2000〜20000の分子鎖中にウレトジオン環を
有する脂肪族およびまたは脂環族ポリウレトジオン10
0質量部、ポリオール100〜2000質量部、および
ウレトジオン環解離促進剤0.001〜100質量部か
らなることが好ましい。本発明の有機酸の金属塩の添加
形態は、そのままかまたは有機溶剤に溶解したもの、水
中に分散したディスパージョンあるいはエマルジョンの
形態で添加されるのが好ましい。本発明でいう分子鎖中
にウレトジオン環を有する脂肪族および脂環族ポリウレ
トジオンとは、下記(1)式で一般的にあらわされる構
造単位のものをいう。
【0011】
【化1】
【0012】一般式(1)の構造単位中のRは脂肪族ま
たは脂環族ジイソシアネートのNCO基以外の残基であ
り、たとえばヘキサメチレン基とイソホロン基である。
1は、本発明に使用するジオールの2個のOH基以外
の残基であり、エチレングリコールの場合は、−CH2
−CH2 −、ジエチレングリコールの場合は、−CH 2
−CH2 −O−CH2 −CH2 −で表される。またR3
は、本発明に具体例としてあげられる活性水素一個を持
つ化合物の活性水素を除いた残基であり、エタノールの
場合は、−OC25、ε−カプロラクタムの場合は、C
510C(O)N−で表される。
【0013】本発明で使用する上記一般式(1)のポリ
ウレトジオンは、潜在NCOが5質量%以上が好まし
い。本発明で言う潜在NCOとは、ポリウレトジオン中
に存在する、下記一般式(2)で表されるウレトジオン
環1モルを2モルのNCOに換算して、ポリウレトジオ
ン中の存在率を質量%で表した値であり、ポリウレトジ
オン中の潜在NCOはウレトジオン環含有量から計算す
ることができる。
【0014】
【化2】
【0015】潜在NCOは耐候性の観点から5質量%以
上が好ましい。使用した原料中の官能基濃度により潜在
NCOの上限は決まるが、原料の入手の容易性等、製造
が容易であることから、21質量%以下が好ましい。ま
た、本発明で使用するポリウレトジオンの重量平均分子
量は、表面平滑性の発現のためから2000以上、20
000以下のものが好ましい。
【0016】次に本発明で使用するポリウレトジオン
は、ウレトジオン環を有するポリイソシアネートと活性
水素一個および二個を持つ化合物、例えばモノオールと
ジオールを混合させ、40℃以上の温度により、一般的
な重付加反応させることにより製造することができる。
使用するポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレン
ジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等の脂
肪族、脂環族ジイソシアネートからなる前記(2)式の
ウレトジオン環を有するものであるが、下記一般式
(3)で表されるトリアジン環を有するポリイソシアネ
ートが混合されているポリイソシアネート組成物でも構
わない。
【0017】
【化3】
【0018】このポリイソシアネート組成物としては、
ウレトジオン環含有ポリイソシアネートが80質量%以
上が好ましい。ウレトジオン環含有ポリイソシアネート
を80質量%以上とし、トリアジン環を有するポリイソ
シアネートの含有量を少なくすることにより、生成した
ポリウレトジオンが網目構造になり難く、熱流動性が低
下するのを抑制できる。
【0019】活性水素を二個持つ化合物としては、例え
ばジオール、ジアミンが挙げられるが、反応の制御の容
易性から、ジオールが好ましい。使用するジオールの選
択は、使用目的に応じて変える。例えば粉体塗料および
接着剤の形態にしたいときは、シクロヘキサンジメタノ
ール等、エマルジョン塗料および接着剤にしたいとき
は、親水基のカルボキシル基を持つジメチロールプロピ
オン酸等を用いたあとでアルカリ中和する。また水溶液
の塗料および接着剤としたい場合には、親水基としてエ
チレンオキサイドを持つジオールタイプのポリエチレン
グリコール等を用いる。
【0020】具体例としては、脂肪族、脂環族、または
芳香族のジオールであり、例えばエチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ペ
ンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,2
−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、オク
タンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキ
サンジメタノール、フェニルハイドロキノン、ジヒドロ
キシナフタレン、ハイドロキノン、ジオールタイプのポ
リエチレングリコールおよびジオールタイプのポリプロ
ピレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチ
ロールブタン酸等が挙げられる。
【0021】使用する活性水素一個を持つ化合物として
は、脂肪族、脂環族、または芳香族のモノオール、モノ
アミン、ラクタム、オキシムであり、例えばメタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルア
ルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノー
ル、ノニルアルコール、シクロブタノール、シクロヘキ
サノール、フェノール、ベンジルアルコール、アミノプ
ロパン、アミノブタン、アミノペンタン、アミノヘキサ
ン、アミノオクタン、ε−カプロラクタム、δ−バレロ
ラクタム、ホルムアルデヒドオキシム、メチルエチルケ
トオキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられ
る。
【0022】上記のポリイソシアネート組成物、活性水
素を二個持つ化合物および活性水素一個を有する化合物
の添加比率は、目的とするポリウレトジオンの物性、例
えばガラス転移温度、分子量、融点等によって決定する
ことができる。本発明で使用する主剤のポリオールは、
市販されているものの目安から樹脂換算水酸基価が20
〜300mgKOH/g、酸価が10mgKOH/g以
下、重量平均分子量2000〜30000の範囲のもの
が好ましい。種類としては、例えばポリエステルポリオ
ール、アクリルポリオール、フッ素ポリオール、エポキ
シポリオール、ポリカーボネートポリオール、ウレタン
ポリオール等から選ばれた一種以上のポリオールが好ま
しい。
【0023】ポリエステルポリオールとしては、例えば
コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ダイマー酸、無水
マレイン酸、無水フマル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸などのカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独ま
たはこれらの混合物と、例えば、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロー
ルプロパン、グリセリンなどの群から選ばれた多価アル
コールの単独またはこれらの混合物との縮合反応によっ
て得られるポリエステルポリオール樹脂類およびε−カ
プロラクトンを多価アルコールを用いて開環重合して得
られるようなポリカプロラクトン、さらにはヒマシ油に
代表される水酸基を有する脂肪酸と多価アルコールとの
エステル等が挙げられる。
【0024】アクリルポリオールとしては、分子中に1
個以上の活性水素をもつ重合性モノマーと、これに共重
合可能なモノマーとを共重合させることによって得られ
る共重合体である。このようなものとしては、例えばア
クリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒ
ドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル
などの活性水素をもつアクリル酸エステル類、メタクリ
ル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒド
ロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル
などの活性水素をもつメタクリル酸エステル類、または
グリセリンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリ
ル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル
酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル等の
多価活性水素を有するメタクリル酸エステル等の群から
選ばれた単独またはこれらの混合物とアクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アク
リル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル
などのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリ
ル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリ
ル酸−n−ヘキシルなどのメタクリル酸エステルの群か
ら選ばれた単独またはこれらの混合物とを、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン
酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、
ジアセトンアクリルアミドなどの不飽和アミド、および
スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニト
リルなどのその他の重合性モノマーの群から選ばれた単
独またはこれらの混合物の存在下、あるいは非存在下に
おいて重合させて得られるアクリルポリオールが挙げら
れる。
【0025】フッ素ポリオールとしては、フルオロオレ
フィンまたはフッ素含有ビニル単量体と水酸基含有ビニ
ル単量体を必須成分として、これらと共重合可能なビニ
ル単量体と共重合させて得られるフッ素ポリオールが挙
げられる。エポキシポリオールとしては、例えばノボラ
ック型、β−メチルエピクロルヒドリン型、環状オキシ
ラン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル
型、グリコールエーテル型、脂肪族不飽和化合物のエポ
キシ化型、エポキシ化脂肪族エステル型、多価カルボン
酸エステル型、アミノグリシジル型、レゾルシン型など
のエポキシポリオールが挙げられる。
【0026】ポリカーボネートポリオールとしては、ビ
スフェノールA等のような芳香族多価アルコールや1,
6−ヘキサンジオール等の脂肪族・脂環族多価アルコー
ルを原料として常法により得られるものが挙げられる。
ウレタンポリオールとしては、芳香族、脂肪族、脂環族
のジイソシアネートと活性水素を持つ化合物との付加反
応の繰り返しで生成するポリマーであり、ポリマー中に
ウレタン結合を持ち、ポリマー側鎖や末端にOH基を持
つものを挙げることができる。
【0027】本発明の低温硬化性組成物は塗料や接着剤
に用いることができる。本発明のウレトジオン環解離促
進剤を使用した低温硬化性組成物は、上記に示したポリ
ウレトジオン、ポリオールの他に、本発明の効果を損な
わない範囲で、当該技術分野で使用されている各種添加
剤を混合して使用できる。例えば顔料、着色剤、表面平
滑剤、ハジキ防止剤、発泡防止剤、硬化反応促進剤、光
劣化防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、酸化防止剤、塩害
防止剤等である。本発明のウレトジオン環解離促進剤を
応用した組成物は、目的に応じて、水溶液、水性ラッカ
ーおよび油性ラッカー、エマルジョン、粉体の形態で使
用でき、形態に限定されるものではない。
【0028】以下、実施例等により本発明を更に具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例等により限定され
るものではない。ウレトジオン二量体および三量体以上
のポリイソシアネートの含有量は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC,カラム:東洋曹達
(株)社製G1000HXL,G2000HXL,G3
000HXL各1本,キャリアー:テトラヒドロフラ
ン,検出方法:示差屈折計、データ処理機:東洋曹達
(株)GP8000HXL)測定により得られる各ピー
クの面積百分率と赤外吸収スペクトル(日本分光(株)
社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−5M型)
によって得られるウレトジオン基ピーク(1767cm
-1)、イソシアヌレート基ピーク(1688cm-1)の
高さ比からの検量線より求めた。
【0029】ポリウレトジオンの構造単位は、赤外分光
光度計(FT−IR)により、ウレトジオン環、ウレタ
ン結合、ヘキサメチレン基の吸収で確認した。ポリウレ
トジオン中の潜在NCO%は、赤外分光光度計(FT−
IR)にて検量線を作成して、それより求めた。ポリウ
レトジオンの重量平均分子量は、テトラヒドロフランに
溶解して上記ゲルパーミエーションクロマトグラフで測
定して求めた。ウレトジオン環の解離温度は、ディファ
レンシャルスキャンニングカロリメータ(DSC,SE
IKO社製DSC200)により、解離ピークの温度値
を測定した。ゲル分率は、20℃のテトラヒドロフラン
に浸し、24時間後に取り出して、100℃で1時間乾
燥した後の質量を、浸せき前の質量から減じた値で、浸
せき後の値を除し、百分率(%)で求めた。
【0030】
【合成例1】撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた四つ
口フラスコにヘキサメチレンジイソシアネート500g
を仕込み、60℃、撹拌下、トリスジエチルアミノホス
フィン5gを加えた。60℃で反応を進行させ、4時間
後反応液のイソシアネート含有率および屈折率測定によ
り、ウレトジオン環含有ポリイソシアネートへの転化率
が18%になった時点で、リン酸4gを添加し、反応を
停止した。リン酸添加後、数分で失活触媒が結晶として
析出した。その後、さらに60℃で1時間加熱を続け、
室温に冷却した。
【0031】次に、析出物を濾過により除去した後、流
下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目40Pa/155
℃、2回目27Pa/145℃で未反応のヘキサメチレ
ンジイソシアネートを除去した。得られた生成物は、微
黄色、透明の液体で、粘度は52mPa・s/25℃、
イソシアネート基含有率は24質量%であった。また、
生成したウレトジオン環含有ポリイソシアネート中には
ウレトジオン二量体の含有量が80質量%、三量体の直
鎖ウレトジオンが16質量%、三量体以上のポリイソシ
アネートが4質量%であった。
【0032】
【合成例2】合成例1で得たウレトジオン環含有ポリイ
ソシアネートを、撹拌翼を取り付けた四つ口フラスコに
入れ、温度を80℃に保ち、NCO基/OH基のモル比
が1.0になるように(ウレトジオン環1モルをNCO
基2モルに換算した)ジオールのポリエチレングリコー
ル(分子量600)40モルを温度が100℃を越えな
いように分割添加して、その後にエタノール20モルを
同様に分割添加した。そのまま1時間撹拌を続け、降温
せずにそのままポリプロピレン製ビーカーに移し、室温
まで冷却した。得られたポリマーの構造確認を行ったと
ころポリウレトジオンの構造単位を確認した。得られた
ポリウレトジオン樹脂の潜在NCO%は9.9質量%、
重量平均分子量4200であった。
【0033】
【合成例3】合成例1で得たウレトジオン環含有ポリイ
ソシアネート50モルを、撹拌翼を取り付けた四つ口フ
ラスコに入れ、温度を80℃に保ち、ジメチロールプロ
ピオン酸40モルを温度が100℃を越えないように分
割添加して、その後にエタノール20モルを同様に分割
添加した。そのまま1時間撹拌を続け、降温せずにその
ままポリプロピレン製ビーカーに移し、室温まで冷却し
た。得られたポリマーの構造確認を行ったところポリウ
レトジオンの構造単位を確認した。得られたポリウレト
ジオン樹脂の潜在NCO%は18.3質量%、重量平均
分子量2400であった。
【0034】
【合成例4】合成例3で得たポリウレトジオン樹脂10
0質量部、1Nの水酸化ナトリウム187質量部、水2
13質量部を、撹拌翼を取り付けた四つ口フラスコに入
れ、温度を70℃に保ち1時間後に室温まで冷却してエ
マルジョンを得た。
【0035】
【実施例1〜2】合成例2で得られたポリウレトジオン
樹脂100質量部、ナフテン酸亜鉛およびナフテン酸鉛
を金属分として1質量部をテトラヒドロフラン500質
量部に溶解し、テトラフルオロエチレン板上に70℃熱
風乾燥機中で3時間かけて成膜させ、室温に1時間晒し
た後、膜を剥ぎ取り、DSCにてウレトジオン環の解離
温度を測定した。その結果を表1に示す。
【0036】
【比較例1〜2】ウレトジオン環解離促進剤を無添加、
テトラブチル−1,3−ジアセトキシスタノキサンとす
る以外は実施例1〜2と同様にして、ウレトジオン環解
離温度を測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
【実施例3〜4】水酸基価40mgKOH/gのポリエ
ステルポリオール100質量部に合成例2で得られたポ
リウレトジオン樹脂20.5質量部、ナフテン酸亜鉛お
よびナフテン酸鉛を金属分(当該金属塩の金属イオンを
金属として換算)として1質量部を、テトラヒドロフラ
ン600質量部に溶解し、テトラフルオロエチレン板上
に150℃で30分焼き付けた塗膜を剥ぎ取り、ゲル分
率を測定した。その結果を表2に示す。
【0038】
【比較例3〜4】ウレトジオン環解離促進剤を無添加、
テトラブチル−1,3−ジアセトキシスタノキサンとす
る以外は実施例3〜4と同様にして、ゲル分率を測定し
た。その結果を表2に示す。
【0039】
【実施例5〜7】樹脂換算水酸基価39.2mgKOH
/g、固形分44.2質量%のアクリルポリオールエマ
ルジョン100質量部に合成例2で得られたポリウレト
ジオン樹脂20質量%水溶液13.1質量部、酢酸亜
鉛、サリチリ酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛を亜鉛分として
1質量部を溶解し、テトラフルオロエチレン板上に13
0℃で30分焼き付けた塗膜を剥ぎ取り、ゲル分率を測
定した。その結果を表3に示す。
【0040】
【比較例5】ウレトジオン環解離促進剤を無添加とする
以外は実施例5〜7と同様にして、ゲル分率を測定し
た。その結果を表3に示す。
【0041】
【実施例8〜18】樹脂換算水酸基価39.2mgKO
H/g、固形分44.2質量%のアクリルポリオールエ
マルジョン100質量部に合成例4で得られたポリウレ
トジオン樹脂エマルジョンを35質量部、予め水に溶解
させているp−フェノールスルホン酸リチウム、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウ
ム、ジルコニウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、ビスマス
を金属分として1質量部を配合し、テトラフルオロエチ
レン板上に130℃で30分焼き付けた塗膜を剥ぎ取
り、ゲル分率を測定した。その結果を表4に示す。
【0042】
【比較例6】ウレトジオン環解離促進剤を無添加とする
以外は実施例8〜18と同様にして、ゲル分率を測定し
た。その結果を表4に示す。
【0043】
【実施例19】ヒュルス社製のイソホロンジイソシアネ
ート系ポリウレトジオン樹脂(商品名BF−1540)
100質量部、2−エチルヘキサン酸カリウムを金属分
として1質量部をテトラヒドロフラン500質量部に溶
解し、テトラフルオロエチレン板上に70℃熱風乾燥機
中で3時間かけて成膜させ、室温に1時間晒した後、膜
を剥ぎ取り、DSCにてウレトジオン環の解離温度を測
定した。その結果を表5に示す。
【0044】
【比較例7】ウレトジオン環解離促進剤を無添加とする
以外は実施例19と同様にして、ウレトジオン環解離温
度を測定した。その結果を表5に示す。
【0045】
【実施例20】水酸基価40mgKOH/gのポリエス
テルポリオール100質量部にヒュルス社製のイソホロ
ンジイソシアネート系ポリウレトジオン樹脂(商品名B
F−1540)25質量部、2−エチルヘキサン酸カリ
ウムを金属分として1質量部を、テトラヒドロフラン6
00質量部に溶解し、テトラフルオロエチレン板上に1
30℃で30分焼き付けた塗膜を剥ぎ取り、ゲル分率を
測定した。その結果を表6に示す。
【0046】
【比較例8】ウレトジオン環解離促進剤を無添加とする
以外は実施例20と同様にして、ゲル分率を測定した。
その結果を表6に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】表1から、ナフテン酸亜鉛およびナフテン
酸鉛は無添加のものと比較して各々解離温度が30℃、
26℃低下しており、ウレトジオン解離促進剤として特
に優れていることが言える。従来から使用されている錫
化合物は添加してもウレトジオン解離温度は低下せず、
むしろ高くなるものもある。表2から、本発明で使用す
るナフテン酸亜鉛およびナフテン酸鉛は、ゲル分率が高
く、硬化性能も優れていることが言える。表3から、酢
酸亜鉛、サリチリ酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛が無添加よ
りゲル分率が高く、硬化性に優れていることが言える。
【0054】表4から、p−フェノールスルホン酸リチ
ウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、バリウム、ジルコニウム、鉄、亜鉛、アルミニウ
ム、ビスマスを添加したものは、無添加よりゲル分率が
高く、硬化性に優れていることが言える。表5は、イソ
ホロンジイソシアネート系ポリウレトジオンでの一例で
あるが、2−エチルヘキサン酸カリウムは無添加のもの
と比較して解離温度が39℃低下しており、効果が大き
いと言える。表6から、本発明で使用する一例の2−エ
チルヘキサン酸カリウムは、ゲル分率が高く、硬化性能
も優れていることが言える。
【0055】
【発明の効果】ポリウレトジオンのウレトジオン環解離
促進すなわち焼き付け温度が低くなる特定の触媒を見い
だし、従来より低温で硬化可能な組成物を提供すること
ができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機酸の金属塩からなることを特徴とす
    る、ウレトジオン環解離促進剤。
  2. 【請求項2】 有機酸が、スルホン酸、カルボン酸から
    選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする、
    請求項1記載のウレトジオン環解離促進剤。
  3. 【請求項3】 有機酸が、フェノールスルホン酸、ナフ
    テン酸、酢酸、サリチル酸、プロピオン酸、2−エチル
    ヘキサン酸から選ばれる少なくとも1種以上であること
    を特徴とする、請求項1記載のウレトジオン環解離促進
    剤。
  4. 【請求項4】 金属塩が、元素周期表のIA、IIA、
    IVB、VIII、IIB、IIIA、IVA、VA族
    から選ばれる少なくとも1種以上の金属の塩であること
    を特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のウレト
    ジオン環解離促進剤。
  5. 【請求項5】 潜在NCOが5〜21質量%、重量平均
    分子量が2000〜20000の分子鎖中にウレトジオ
    ン環を有する脂肪族およびまたは脂環族ポリウレトジオ
    ン100質量部、請求項1〜4のいずれかに記載のウレ
    トジオン環解離促進剤0.001〜100質量部からな
    ることを特徴とする、ポリウレトジオン組成物。
  6. 【請求項6】 潜在NCOが5〜21質量%、重量平均
    分子量が2000〜20000の分子鎖中にウレトジオ
    ン環を有する脂肪族およびまたは脂環族ポリウレトジオ
    ン100質量部、水酸基価が20〜300mgKOH/
    gであるポリオール100〜2000質量部、および請
    求項1〜4のいずれかに記載のウレトジオン環解離促進
    剤0.001〜100質量部からなることを特徴とす
    る、低温硬化性組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005336494A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Bayer Materialscience Ag 接着剤
JP2007169642A (ja) * 2005-12-20 2007-07-05 Bayer Materialscience Ag 重付加生成物の製造方法

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