JP2002284805A - 高吸水性ポリマーの製造方法 - Google Patents

高吸水性ポリマーの製造方法

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JP2002284805A
JP2002284805A JP2001090189A JP2001090189A JP2002284805A JP 2002284805 A JP2002284805 A JP 2002284805A JP 2001090189 A JP2001090189 A JP 2001090189A JP 2001090189 A JP2001090189 A JP 2001090189A JP 2002284805 A JP2002284805 A JP 2002284805A
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superabsorbent polymer
soluble
producing
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JP2001090189A
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Yasunari Sugiyou
保成 須堯
Kiichi Ito
喜一 伊藤
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高荷重下においても、水や電解質液にたいする
吸水能に優れ、特に液戻り現象が低減された衛生材料に
好適な高吸水性ポリマーの製造方法を提供する。 【解決手段】水溶性重合性モノマーを架橋剤および水溶
性連鎖移動剤の存在下、重合に不活性な疎水性有機溶媒
中に懸濁させて重合する高吸水性ポリマーを製造する方
法において、該水溶性重合性モノマーに対して該架橋剤
を0.0001〜0.0050モル%未満、並びに該水
溶性連鎖移動剤量を0.0001〜0.0010モル%
未満存在させる事を特徴とする高吸水性ポリマーの製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高吸水性ポリマー
の製造法に関するものである。詳しくは、本発明は紙お
むつ、生理用ナプキン等の衛生材料等の分野に好適に使
用される高吸水性ポリマーの製造法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、高吸水性ポリマーは、紙おむつや
生理用品等の衛生材料を始め非常に多分野に利用される
ようになっている。そして、これまで数々の吸水能特性
を有するものが提案されているが、これらの殆どは、無
荷重下における吸水能力、吸水速度、通液性が高い高吸
水性ポリマーである。最近、特に大人用向け紙おむつの
市場が拡大するにつれて高い吸水性能に対する要求が強
くなり、大人用紙おむつに適した高荷重下での吸水能力
を持った高吸水性ポリマーの開発が急がれている。しか
し、大人用紙おむつ用の性能を満足する高吸水性ポリマ
ーは無く、高荷重下での吸水能力の高い高吸水性ポリマ
ーが強く求められている。一般に、高吸水性ポリマーは
水溶性重合性モノマーを重合して得られ、得られたポリ
マーは架橋構造を有している。このため水分や体液に溶
けることなく、水分や体液を吸水する。吸水性ポリマー
の吸水能は、その架橋密度と関連しており、架橋密度が
小さい程吸水能力は大きくなる、即ち、架橋密度と吸水
量とは負の相関がある。従って、多量の水分や体液を吸
収させるためには、この架橋密度を下げなくてはならな
いが、高荷重下では架橋密度が低い吸水ポリマーはゲル
強度が弱く、高い吸水能を望めない。そこで、架橋密度
を大きくすることによって高荷重下でも高い吸水能を有
する高吸水性ポリマーを生成し得るような高吸水性ポリ
マーの製造法が求められている。
【0003】通常、水溶性重合性モノマーを重合させた
場合、架橋剤を使用しなくても自己架橋が起こり、この
自己架橋が過度に進行すると吸水能力が低下するので、
このような吸水性ポリマーは高荷重下での高い吸水能を
有しない。特公平8−26085号公報には、自己架橋
反応を抑制するための所定量の水溶性連鎖移動剤と所定
量の架橋剤を組み合わせ使用して、水溶性エチレン性不
飽和単量体を逆相懸濁重合することにより、耐久性に優
れ、体液の戻り量も少なくケ゛ルのベトツキ感が少ない吸
水性樹脂を製造する方法が示されている。しかしなが
ら、不均一な自己架橋を抑制する為の水溶性連鎖移動剤
を所定量使用すると、水溶性連鎖移動剤によって、分子
量の小さい水溶性オリゴマーが多量に生成し、生成した
低分子量の水溶性オリゴマーは添加された架橋剤によっ
て架橋することができないので、高荷重下では、せっか
く水分や体液を吸収しても水分や体液の逆戻りが発生す
る。そのため、この吸水性樹脂によっても、高荷重下で
の体液の戻り及びベトツキ感は未だ満足の行くものでは
なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、重合条
件下の疎水性有機溶媒中に水溶性重合性モノマー水溶液
を液滴で供給する滴下逆相懸濁重合法における、架橋剤
及び水溶性連鎖移動剤の挙動について鋭意研究した結
果、従来使用されているこれらの添加量よりも少ない量
で、且つ両者を上手く組み合わせる事により、高荷重下
でも優れた高吸水性能を持ち、しかも水分や体液が逆戻
りしない高吸水性ポリマーを製造し得ることを見出し本
発明に達した。本発明の目的は、高荷重下においても、
水や電解質液にたいする吸水能に優れ、特に液戻り現象
が低減された衛生材料に好適な高吸水性ポリマーの製造
方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、水溶性
重合性モノマーを架橋剤および水溶性連鎖移動剤の存在
下、重合に不活性な疎水性有機溶媒中に懸濁させて重合
する高吸水性ポリマーを製造する方法において、該水溶
性重合性モノマーに対して該架橋剤を0.0001〜
0.0050モル%未満、並びに該水溶性連鎖移動剤を
0.0001〜0.0010モル%未満存在させる事を
特徴とする高吸水性ポリマーの製造方法に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明における水溶性重合性モノ
マーとしては、高吸水性ポリマーを与えることが知られ
ている水溶性モノビニルモノマーであればいずれも原料
として用いることができる。そのいくつかを例示する
と、(イ)イオン性モノマー、例えば(メタ)アクリル
酸またはそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩、アクリ
ルアミド−2−エチルスルホン酸またはそのアルカリ金
属塩等、(ロ)非イオン性モノマー、例えば(メタ)ア
クリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミド等、(ハ)アミノ基含有モノ
マーやその4級化物、例えばジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)ア
クリレート等が挙げられ、これらのモノマーは単独でも
いくつかを併用することもできる。
【0007】これらのモノマー中で好ましいものは、
(メタ)アクリル酸またはそのアルカリ金属塩やアンモ
ニウム塩、(メタ)アクリルアミド等である。アルカリ
金属塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム
塩、ルビジウム塩等が用いられるが、得られる高吸水性
ポリマーの性能、工業的入手のしやすさ、安全性等の面
からナトリウム塩またはカリウム塩が好ましい。通常は
これらの(メタ)アクリル酸、その塩及び(メタ)アク
リルアミドより成る群から選ばれたモノビニルモノマー
又はこれを主体とするものを用いる。なお、本明細書中
において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」または
「メタクリル」を意味し、例えば(メタ)アクリル酸は
「アクリル酸」または「メタクリル酸」を表す。
【0008】これらの水溶性モノビニルモノマーは、水
溶液中におけるモノマー濃度が通常20重量%以上、好
ましくは25重量%〜飽和濃度となるように用いられ
る。また、上記のイオン性モノマー、例えば(メタ)ア
クリル酸、アクリルアミド−2−エチルスルホン酸等
は、その少なくとも一部がアルカリ金属水酸化物や水酸
化アンモニウム等で中和された形、すなわち塩の形で使
用するのが好ましい。中和の程度は通常20〜100モ
ル%、好ましくは30〜100モル%である。
【0009】又、これらの水溶性モノビニルモノマー、
特にアクリル酸系モノマーは架橋剤を併用しなくても重
合時にある程度の自己架橋が生じて高吸水性ポリマーを
与えるが、吸水諸性能のバランスの良い高吸水性ポリマ
ーを得るために、本発明では上記のモノマーに所定量の
架橋剤を併用する。架橋剤としてはポリビニルモノマー
や上記のモノマーの官能基と反応する官能基を2個以上
有する化合物が用いられる。
【0010】即ち、高吸水性ポリマー中の架橋構造の形
成には、大別すれば、エチレン性不飽和結合を2個以上
有するポリビニルモノマーを共重合させる方法と、上記
の水溶性モノビニルモノマーの官能基に、グリシジル基
のようなこれと反応しうる官能基を2個以上有する化合
物を反応させる方法とがある。後者の方法では、官能基
間の反応が重合前に生起すれば、これにより生成したエ
チレン性不飽和結合を2個以上有するモノマー化合物が
共重合することになって、前者の場合と本質的には変わ
らないということができる。
【0011】エチレン性不飽和結合を2個以上有する架
橋剤としては、(イ)ポリオールのジまたはトリ(メ
タ)アクリル酸エステル類、例えばポリオールがエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、トリメチロール
プロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン
等であるもの、(ロ)上記(イ)において、不飽和酸が
(メタ)アクリル酸以外のもの、例えばマレイン酸、フ
マール酸等であるもの、(ハ)ビスアクリルアミド類、
例えばN,N′−メチレンビスアクリルアミド等、
(ニ)ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸を反応させ
て得られるジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル
類、(ホ)ポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒ
ドロキシエステルを反応させて得られるジ(メタ)アク
リル酸カルバミルエステル類、例えばポリイソシアネー
トがトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソ
シアネート等であるもの、(ヘ)多価アリル化合物、例
えばアリル化デンプン、アリル化セルロース、ジアリル
フタレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスト
ールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリ
アリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテ
ル、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。これら
の中でも本発明では、エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、N,N′−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等
が好ましい。
【0012】モノビニルモノマーの官能基と反応する官
能基を2個以上有する架橋剤としては、例えばジグリシ
ジルエーテル化合物、ハロエポキシ化合物、イソシアネ
ート化合物が挙げられる。これらの中では、2個以上の
グリシジル基を有し、かつ分子中に−(CH2CH2O)
−で示されるオキシエチレン基を1〜4程度有するグリ
シジルエーテル化合物が好ましく、特にジグリシジルエ
ーテル化合物が好ましい。ジグリシジルエーテル化合物
の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ
プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリ
ンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジル
エーテル等が挙げられる。この中でもエチレングリコー
ルジグリシジルエーテルが好ましい。ハロエポキシ化合
物としてはエピクロロヒドリン、β−メチルエピクロロ
ヒドリン等が、イソシアネート化合物としては2,4−
トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート等が挙げられる。架橋剤の使用量は、共存させる
水溶性連鎖移動剤の種類及び量にもよるが、本発明では
モノビニルモノマーに対して通常0.0001〜0.0
050モル%未満であり、特に0.0005〜0.00
50モル%未満であるのが好ましく、更に好ましくは
0.0010〜0.0045モル%である。架橋剤がこ
の範囲を超えて多すぎても、少なすぎても、通水性や保
水性等の所望の吸水性能が得られない。
【0013】水溶性連鎖移動剤としては、水溶性重合性
モノマー水溶液に溶解するものであれば特に制限され
ず、チオール類、チオール酸類、2級アルコール類、ア
ミン類、次亜リン酸化合物類などが挙げられ、具体的に
は、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、
ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ
酸、3−メルカプトプロピオン酸、イソプロパノール、
次亜リン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中、本
発明では次亜リン酸化合物が好ましい。
【0014】次亜リン酸化合物としては、次亜リン酸又
はその塩、例えば次亜リン酸のナトリウム塩、カリウム
塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、バリウム塩などを
用いればよいが、所望ならば他の塩を用いることもでき
る。また、これらを併用することもできる。水溶性連鎖
移動剤、特に次亜リン酸化合物の使用量は共存するモノ
ビニルモノマーに対して通常0.0001〜0.001
0モル%未満、好ましくは0.0005〜0.0010
モル%未満、特に好ましくは0.0006〜0.000
9モル%となるように用いる。連鎖移動剤を使用しない
場合は過度の自己架橋がおこり、生成したポリマーは目
的とする加圧下の吸水速度が得られない。本発明におけ
る次亜リン酸化合物の作用は必ずしも明らかではない
が、次亜リン酸化合物による重合過程で起る自己架橋を
抑制する機能が、従来の使用量より少量用いることによ
り重合時の自己架橋を適度に制御することになり、併用
する架橋剤が少量であっても両者の相互作用によって生
成するポリマー中の架橋構造がより均一となり、優れた
吸水能を付与するものと考えられる。
【0015】本発明の高吸水性ポリマーの製造に使用す
る重合開始剤としては、常用の水溶性ラジカル重合開始
剤を用いればよい。そのいくつかを例示すると、(イ)
過酸化水素、(ロ)過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、
過硫酸ナトリウム及び過硫酸アンモニウム等、(ハ)ア
ゾ系開始剤、例えば2,2′−アゾビス−(2−アミジ
ノプロパン)2塩酸塩、2,2′−アゾビス−(N,
N′−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、2,
2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒ
ドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオン
アミド}等が挙げられる。これらの水溶性ラジカル開始
剤は、単独でも混合してでも使用することができる。ま
た過酸化水素、過硫酸塩は、例えば亜硫酸塩、L−アス
コルビン酸等の還元性物質やアミン塩等を組み合わせて
レドックス系の開始剤としても使用できる。
【0016】懸濁重合の反応媒体である疎水性有機溶媒
としては、基本的には水に溶け難く、重合に不活性であ
ればいかなるものも使用できる。そのいくつかを例示す
ると、(イ)脂肪族炭化水素、例えばn−ペンタン、n
−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等、(ロ)脂
環族炭化水素、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘ
キサン等、(ハ)芳香族炭化素、例えばベンゼン、トル
エン、キシレン等が挙げられる。疎水性有機溶媒は水よ
り低沸点でかつ水と共沸混合物を形成するものが好まし
い。通常はn−ヘキサン、n−ヘプタン又はシクロヘキ
サン等が用いられる。疎水性有機溶媒は、モノマー水溶
液に対して、通常0.5〜10重量倍となるように用い
られるが、0.8〜3重量倍用いるのが好ましい。疎水
性有機溶媒の使用量が少な過ぎるとポリマー粒子が凝集
しやすくなり所望の粒径の高吸水性ポリマーを得るのが
困難となる。逆に使用量が多過ぎると生産性が低下す
る。
【0017】疎水性有機溶媒中には、モノマー水溶液を
液滴に分散させるために、分散剤を存在させるのが好ま
しい。分散剤としては下記式(1)で表されるリン酸エ
ステル系分散剤を用いるのが好ましい。この分散剤を使
用することにより、生成ポリマー粒子は微細な一次粒子
が相互に融着したような構造のポリマー粒子を与える
が、この構造のポリマー粒子は紙おむつ等に用いるのに
特に適していると考えられる。
【0018】
【化2】 (式中、R1は炭素数8〜30のフェニル基で置換され
ていてもよいアルキル基又はアルキル基で置換されてい
てもよいアリール基を示し、R2は水酸基又はR1O−
(CH2CH2O)n−基を表わし、nは1ないし30の
整数を表わす)。
【0019】このリン酸エステル系分散剤は、刺激性及
び毒性が低く、安全性の高い分散剤である。式(1)に
おいて、R1は好ましくは炭素数8ないし23のアルキ
ル基又はモノアルキルフェニル基である。nは1ないし
20であるのが好ましい。R 2がR1O−(CH2CH
2O)n−基である場合には、2つのR1O−(CH2
2O)n−基は同一であるのが好ましい。代表的かつ
好ましいR1の例としては、ノニルフェニル基、オクチ
ルフェニル基、トリデシル基、ラウリル基、2−エチル
ヘキシル基、オクタデシル基、及びドデシルフェニル基
等が挙げられる。市場で入手し得るこのリン酸エステル
系分散剤は、通常はリン酸モノエステルとリン酸ジエス
テルとの混合物である。
【0020】リン酸エステル系分散剤は、通常、疎水性
有機溶媒中に0.01〜5重量%存在させる。好ましく
は0.05〜2重量%、特に0.10〜1重量%存在さ
せるのが更に好ましい。存在量が少な過ぎると所望の分
散効果が得られず、逆に多過ぎると生成したポリマー粒
子を乾燥させるときに凝集を起こす傾向がある。
【0021】本発明では、水溶性重合性モノマーを所定
量の架橋剤および水溶性連鎖移動剤の存在下、疎水性有
機溶媒中に懸濁させて逆相懸濁重合するが、通常、分散
剤を含む疎水性有機溶媒を重合条件下に保持し、これに
水溶性重合性モノマー、架橋剤および水溶性連鎖移動剤
を含むモノマー水溶液を、例えば液滴で逐次供給する滴
下逆相懸濁重合法により行う。その場合、通常は疎水性
有機溶媒を還流条件下に保ち、これにモノマー水溶液を
一定速度で供給するが、所望ならば途中で供給速度を変
化させてもよく、更には途中で供給を一時的に中断する
こともできる。モノマー水溶液の供給は、通常は全重合
時間の20%以上の時間をかけて行う。全重合時間の4
0%以上、特に60%以上の時間をかけて行うのが好ま
しい。なお、全重合時間とは重合開始から生成するポリ
マー粒子のモノマーの重合率が98%、好ましくは9
8.5%に達するまでの時間、又は重合操作を終了する
までの時間のうち、いずれか短い方を意味する。
【0022】重合開始当初に供給するモノマー水溶液中
のモノビニルモノマーに対する重合開始剤の濃度は、
0.075〜1.5重量%、特に0.075〜1.0重
量%が好ましい。重合開始剤の濃度が低過ぎると、得ら
れる高吸水性ポリマーの吸水速度を大きくするのが困難
である。用いる重合開始剤にもよるが、重合は通常40
〜150℃で行われる。重合温度が高過ぎると自己架橋
が盛んとなって生成する高吸水性ポリマーの吸水容量が
低下する。逆に低温過ぎると、重合に長時間を要するば
かりでなく、突発的な重合を引き起こして塊状物を生成
する恐れがある。好適な重合温度は60〜90℃であ
り、特に疎水性有機溶媒の還流条件下で重合を行うのが
好ましい。
【0023】重合終了後は濾過や遠心分離により生成し
たポリマー粒子を回収し、常法により乾燥して製品とす
る。疎水性有機溶媒として水と共沸混合物を形成するも
のを用いた場合には、濾過等によりポリマー粒子を回収
する前に共沸蒸留によりポリマー粒子を脱水するのが好
ましい。 また、品質改良のために表面処理を行っても
構わない。本発明方法による懸濁重合では、所望のポリ
マー粒子を製造するための重合条件が広く、かつ重合槽
器壁へのポリマーの付着も少ないので、重合操作が容易
である。また本発明方法により得られるポリマー粒子
は、通常の懸濁重合法によって得られる真球状のものと
は異なり、微細な粒子が融着して一体化したような構造
を有している。その平均粒径は通常300〜1000μ
mと大きく、取扱い上問題となる100μm未満の微粉
末は殆ど含まれていない。従って本発明方法により得ら
れるポリマー粒子は吸水速度が大きく、また吸水の前後
を通じてポリマー固定性も大きい。
【0024】本発明方法で得られる高吸水性ポリマーの
吸水能が向上する理由は明確ではないが、所定量の連鎖
移動剤及び架橋剤を用いることに加えて、懸濁重合を溶
媒還流下にモノマー水溶液を逐次滴下供給して行うた
め、重合槽内の温度が一定に保たれることにより、不均
一な自己架橋を抑制し、かつ架橋剤による均一な架橋構
造を形成させることが出来、それによって高荷重下でも
高吸水能を持ち、かつ水分や体液が逆戻りしない高吸水
性ポリマーができると考えられる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。なお、下記実施例にお
いて製造したポリマー粒子の性能に係わる、吸水能、加
圧吸水速度、及び平均粒子径は以下の方法により測定し
た。又、モル%はモノマー(アクリル酸)に対する割合
である。
【0026】<1> 吸水能 250メッシュのナイロン袋(20cm×10cmの大
きさ)を500ccの0.9重量%食塩水に30分間浸
漬する。ナイロン袋を引き上げ、空中に懸垂して15分
間水切りしたのち、その重量(w1(g))を測定す
る。ポリマー粒子約1.0gを採取し、その重量(w2
(g))を精秤して上記のナイロン袋に入れる。これを
500ccの0.9重量%食塩水に30分間浸漬したの
ちナイロン袋を引き上げ、空気に懸垂して15分間水切
りしてからその重量(w3(g))を測定する。
【数1】吸水能=(w3−w1)/w2 (g/g)
【0027】<2> 加圧吸水速度 JIS K−7224に準じ、図1に示される装置を用
いて測定した。小孔のあいた支持板に敷いた不織布上に
支持円筒(内径2.5cm)を小孔が中心になるように載
せ、ポリマー粒子1.0gを均一な厚さとなるようにの
せた。その後、ポリマー粒子の上に重りを載せ均一加重
が40もしくは60g/cm2かかるように載せた。ポ
リマー粒子層の下面を下記の人工尿と接触させてポリマ
ー粒子が人工尿を吸収する量を測定した。開始後10分
間に吸収した人工尿の量をもって吸収速度とした。
【0028】なお、人工尿としては下記の重量組成のも
のを用いた。 尿素 1.94% 塩化ナトリウム 0.80% 塩化カルシウム 0.06% 硫酸マグネシウム 0.11% 純水 97.09%
【0029】<3> 平均粒子径 ASTM式標準篩を上から8メッシュ、12メッシュ、
20メッシュ、32メッシュ、40メッシュ、60メッ
シュ、80メッシュ、100メッシュ、120メッシ
ュ、150メッシュ、受け皿の順に組み合わせ、最上の
篩にポリマー粒子を約50g入れ、ロータップ式自動振
盪器にて1分間振盪させた。各篩に残ったポリマー粒子
の重量を秤量し、全体量を100%として、重量分率よ
り粒径分布を求め、重量基準の50%粒子径を平均粒子
径とした。
【0030】<実施例1>アクリル酸145.4gに水
9.4gを加え、次いで25重量%の水酸化ナトリウム
水溶液242.3gを冷却しながら加えて中和した。こ
れに更にエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナ
ガセ化成社製品、デナコールEX810)を0.003
6g(0.0012モル%)及び次亜リン酸ナトリウム
・1水和物(和光純薬工業株式会社製 特級)を0.0
015g(0.0007モル%)及び過硫酸カリウム
0.0763g添加して、モノマー水溶液を調製した。
【0031】撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス
導入管を付設した容量3リットルの四つ口丸底フラスコ
に、シクロヘキサン624gを入れ、これに分散剤とし
てポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸
エステル(第一工業製薬社製品、プライサーフ A21
0G、オキシエチレン基の平均重合度約7)1.56g
を加え、470rpmで撹拌した。フラスコを窒素ガス
で置換したのち、75℃に昇温してシクロヘキサンを還
流させた。これに上記で調製したモノマー水溶液を6.
6g/分の供給速度で滴下した。滴下が終了してから更
に75℃で30分間保持したのち、シクロヘキサンとの
共沸によって生成したポリマー粒子の含水率が7重量%
になるまで脱水した。
【0032】撹拌を停止してポリマー粒子を沈降させ、
デカンテーションによりポリマー粒子を回収し、90℃
で乾燥した。得られたポリマー粒子の性能測定の結果を
表1に示す。又、このポリマー粒子は5〜50μmの一
次粒子が互いに融着したような構造の顆粒状であった。
【0033】<実施例2>実施例1において、エチレン
グリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成社製品、
デナコールEX810)を0.0125g(0.004
2モル%)とした以外は、実施例1と全く同様にして高
吸水性ポリマーを製造した。得られたポリマー粒子の性
能測定の結果を表1に示す。
【0034】<実施例3>実施例1において、次亜リン
酸ナトリウム・1水和物を0.0020g(0.000
9モル%)とした以外は、実施例1と全く同様にして高
吸水性ポリマーを製造した。得られたポリマー粒子の性
能測定の結果を表1に示す。
【0035】<実施例4>実施例1において、エチレン
グリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成社製品、
デナコールEX810)を0.0100g(0.003
4モル%)及び次亜リン酸ナトリウム・1水和物を0.
0020g(0.0009モル%)とした以外は、実施
例1と全く同様にして高吸水性ポリマーを製造した。得
られたポリマー粒子の性能測定の結果を表1に示す。
【0036】<実施例5>実施例3において、エチレン
グリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成社製品、
デナコールEX810)をN,N′−メチレンビスアク
リルアミド(和光純薬工業株式会社製 特級)0.00
73g(0.0023モル%)にしたこと以外は、実施
例3と全く同様にして高吸水性ポリマーを製造した。得
られたポリマー粒子の性能測定の結果を表1に示す。
【0037】<比較例1>実施例1において、エチレン
グリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成社製品、
デナコールEX810)を使用しなかったこと以外は、
実施例1と全く同様にして高吸水性ポリマーを製造し
た。得られたポリマー粒子の性能測定の結果を表1に示
す。
【0038】<比較例2>実施例1において、次亜リン
酸ナトリウム・1水和物を使用しなかったこと以外は、
実施例1と全く同様にして高吸水性ポリマーを製造し
た。得られたポリマー粒子の性能測定の結果を表1に示
す。
【0039】<比較例3>実施例1において、エチレン
グリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成社製品、
デナコールEX810)を0.0165g(0.005
6モル%)及び次亜リン酸ナトリウム・1水和物を0.
0029g(0.0014モル%)としたこと以外は、
実施例1と全く同様にして高吸水性ポリマーを製造し
た。得られたポリマー粒子の性能測定の結果を表1に示
す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、従来の使用量に比べ少
量の水溶性連鎖移動剤及び架橋剤を添加した水溶性重合
性モノマーを滴下逆相懸濁重合法にて重合することによ
り、高荷重下でも高吸水能を持ちかつ水分や体液が逆戻
りしない高吸水性ポリマーを極めて平易な操作にて低コ
ストにて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 加圧吸水速度を測定する装置の概略図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 LA06 LA07 LB09 NA13 NA19 NA25 NA34 4J100 AE77Q AG70Q AJ02P AK03P AK08P AL08P AL09P AL62Q AL63Q AM15P AM19P AM21P AM24Q BA03P BA31P BA56P FA04 FA17 JA60

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性重合性モノマーを架橋剤および水溶
    性連鎖移動剤の存在下、重合に不活性な疎水性有機溶媒
    中に懸濁させて逆相懸濁重合する高吸水性ポリマーを製
    造する方法において、該水溶性重合性モノマーに対して
    該架橋剤を0.0001〜0.0050モル%未満、並
    びに該水溶性連鎖移動剤を0.0001〜0.0010
    モル%未満存在させる事を特徴とする高吸水性ポリマー
    の製造方法。
  2. 【請求項2】水溶性重合性モノマー、架橋剤及び水溶性
    連鎖移動剤を含むモノマー水溶液を、還流下の重合に不
    活性な疎水性有機溶媒中に液滴として供給し、該水溶性
    重合性モノマーの逆相懸濁重合を行うことを特徴とする
    請求項1に記載の高吸水性ポリマーの製造方法。
  3. 【請求項3】該水溶性連鎖移動剤が次亜リン酸化合物で
    あることを特徴とする請求項1又は2に記載の高吸水性
    ポリマーの製造方法。
  4. 【請求項4】該架橋剤が2個以上のグリシジル基を有
    し、かつ分子中に−(CH2CH2O)−で示されるオキ
    シエチレン基を有するグリシジルエーテル化合物又はビ
    スアクリルアミド類である事を特徴とする請求項1〜3
    のいずれか一項に記載の高吸水性ポリマーの製造方法。
  5. 【請求項5】水溶性重合性モノマーの逆相懸濁滴下重合
    を行うに際し、疎水性有機溶媒中に下記一般式(1)で
    示されるリン酸エステル系分散剤を存在させることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高吸水性
    ポリマーの製造方法。 【化1】 (式中、R1は炭素数8ないしは30のアルキル基また
    はアルキル基で置換されていても良いアリール基を表
    し、R2はOH基または式−(OCH2CH2)n−OR1
    の基を表す。またnは1〜30である。)
  6. 【請求項6】前記一般式(1)で表されるリン酸エステ
    ル系分散剤のR1がオクチルフェニル基であることを特
    徴とする請求項5に記載の高吸水性ポリマーの製造方
    法。
  7. 【請求項7】前記一般式(1)で表されるリン酸エステ
    ル系分散剤のnが2〜15であることを特徴とする請求
    項5又は6に記載の高吸水性ポリマーの製造方法。
  8. 【請求項8】水溶性重合性モノマーが、アクリル酸また
    はその塩、メタクリル酸またはその塩、アクリルアミド
    およびメタクリルアミドから選ばれる1種または2種以
    上の混合物からなることを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれか一項に記載の高吸水性ポリマーの製造法。
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