JP2002284519A - 超伝導材料 - Google Patents

超伝導材料

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JP2002284519A
JP2002284519A JP2001092490A JP2001092490A JP2002284519A JP 2002284519 A JP2002284519 A JP 2002284519A JP 2001092490 A JP2001092490 A JP 2001092490A JP 2001092490 A JP2001092490 A JP 2001092490A JP 2002284519 A JP2002284519 A JP 2002284519A
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atoms
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superconducting material
superconducting
layers
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JP2001092490A
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English (en)
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Hideaki Adachi
秀明 足立
Masayoshi Hiramoto
雅祥 平本
Nozomi Matsukawa
望 松川
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属化合物のMgB2超伝導物質は高密度の材料
合成が困難であり、それに起因して材料中の超伝導体積
分率が低い点を改善する超伝導材料を提供することを目
的とする。 【解決手段】 組成式 (A1-XX)(B1-Y TY2 (こ
こでAは、IIa族から選ばれた少なくとも1種、Mは、I
b〜VIIIbあるいはランタノイドに属する少なくとも1
種の元素、Bは硼素、TはC、Nから選ばれた少なくとも
1種の元素)で表された超伝導材料である。また、主成
分が組成式AB2 (ここでAは、IIa族から選ばれた少なく
とも1種の元素,Bは硼素)で表され、前記A元素が主体
の層と、Bが主体の層とが、交互に積層された構造にお
いて、A元素が主体の層が少なくとも2種類の化学組成
の層で構成された超伝導材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超伝導マグネッ
ト、リニアモ−タカ−、蓄電設備、電磁シ−ルド、超伝
導コンピュ−タ、スイッチ素子、センサ−などに広く利
用される超伝導線材、超伝導薄膜などの超伝導材料に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来超伝導材料として、A15型2元系
化合物である窒化ニオブ(NbN)やゲルマニウムニオ
ブ(Nb3Ge)などの金属系化合物超伝導体が知られ
ていたが、これらの材料の超電導転移温度(Tc)はた
かだか24Kであった。一方、1986年以降次々と発
見されたペロブスカイト構造を基幹とした酸化物超伝導
体は、HgBaCuO系で超伝導臨界温度が135Kにも達す
ることが示された。しかし酸化物材料の場合、線材や薄
膜への加工性が悪く、また空気中の水分等による劣化の
問題もあり、本格的実用化が阻害されていた。
【0003】最近、酸化物以外のバルク材で高いTcを
示す材料として、金属化合物の2ホウ化マグネシウムMg
B2がTcが39Kのバルクの超伝導を示すことが発見され
た(Nature 410, 63-64 (2001))。酸素欠損や安定性に
難のある酸化物に比べて取り扱いやすい金属化合物であ
るため、その実用化が注目を集めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらMgB2超伝
導物質は高密度の材料合成が困難であり、それに起因し
て材料中の超伝導体積分率が上がらないという課題があ
った。この系の物質の実用的な量産手法、あるいは材料
改善が求められていた。
【0005】本発明は、上記課題を解決し、緻密な材料
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、組成式 (A1-XX)(B1-Y TY2 (こ
こでAは、IIa族から選ばれた少なくとも1種、MはIb
〜VIIIbあるいはランタノイドに属する少なくとも1種
の元素、Bは硼素、TはC、Nから選ばれた少なくとも1
種の元素)で表された超伝導材料である。
【0007】前記組成式 (A1-XX)(B1-Y TY2
おいて、特にX、Yが 0<X≦0.5 かつ 0<Y≦0.5 の範囲であるとき、高い超伝導体積分率となる傾向があ
る。
【0008】また前記元素TがCまたはNの一方である
とき高い超伝導体積分率となる。
【0009】また本発明は、前記元素AがBe、Mg、C
aから選ばれた少なくとも1種で、前記元素Mが、Sc、
Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、N
b、Mo、Tc、Rh、Pd、Ag、Cd、La、Hf、Ta、W、Re、O
s、Ir、Pt、Hgから選ばれた少なくとも1種であるとき
高い超伝導体積分率となる。
【0010】また本発明の超伝導材料は、前記元素M
が、2価のイオンであるとき高い超伝導体積分率とな
る。
【0011】また本発明の超伝導材料は、結晶構造が六
方晶であるときに高い超伝導体積分率となる。
【0012】また本発明の超伝導材料は、硼素Bおよび
前記T元素が形成する原子層をBT層、また、前記A元
素およびMが形成する原子層をAM層とすると、BT層とAM
層が交互に積層された積層構造を有する超伝導材料であ
る。元素BTが形成する原子層が、前記AまたはMが形成
する原子層AM層に挟まれた層状構造を有するとき、高い
超伝導体積分率となる。
【0013】また本発明の超伝導材料は、主成分が組成
式AB2 (ここでAは、IIa族から選ばれた少なくとも1種
の元素,Bは硼素)で表され、前記A元素が主体の層と、B
が主体の層とが、交互に積層された構造において、A元
素が主体の層が少なくとも2種類の化学組成の層で構成
された超伝導材料である。
【0014】また前記少なくとも2種類の層で構成され
た前記A元素主体層のA元素が、Be、Mg、Caから選ば
れた少なくとも2種類の元素からなるとき高い超伝導体
積分率となる。
【0015】また本発明の超伝導材料は、基板上に形成
されたc軸配向した六方晶であることで高い超伝導体積
分率となる。
【0016】また本発明の超伝導材料または超伝導薄膜
は、スパッタリング法により作製されることで、高密度
化を達成する。
【0017】またこのとき、スパッタリング法が、少な
くとも2つのタ−ゲットを用いた多元スパッタであるこ
とで、結晶性に優れた超伝導薄膜、あるいは超伝導材料
を達成できる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の超伝導材料は、原材料粉
を混ぜ合わせ、プレス成形し、これを600℃以上、2
500℃以下の高温、高圧下において、オ−トクレ−
ブ、ホットプレス、あるいはHIP(Hot isostatic presi
ing)等により焼結することで合成できる。
【0019】ここで、原材料粉としては、B、CおよびI
Ia族、またはIb〜VIIIbあるいはランタノイドに属す
る単元素、あるいは、これらの合金、またはBeB2、Mg
B2、CaB2、ScB2、YB2、LaB2、TiB2、ZrB2、HfB2、VB2
NbB2、TaB2、CrB2、MoB2、WB2、などの硼素化合物、Be2
C、MgC2、CaC2、SmC2、PrC2、LaC2、HfC、TaC、などの
炭化物、Be3N2、Mg3N2、Ca3N2、Cu3N、TaN、YN、ZrN、C
oN、LaN、CrN、などの窒化物、あるいはBN やB8C、など
の化合物を用いる。
【0020】また本発明の超伝導材料は、特に形成され
る化合物の融点が高いために、あらかじめ、比較的高融
点のBに、比較的低融点の元素Aまたは元素Mを加え、
これらの原料をアンプルに封じ込めるなどし、高温下で
融点の低い材料を溶融させ、固相−液相あるいは固相−
気相反応させることで、さらに低温合成することも可能
である。
【0021】また特に、超伝導材料を薄膜化する場合、
パルスレ−ザデポジション(PLD)、イオンビ−ムデポジ
ション(IBD)、クラスタ−イオンビ−ムまたはR
F、DC、ECR、ヘリコン、ICPまたは対向タ−ゲ
ットなどのスパッタリング法、MBE、イオンプレ−テ
ィング法、化学ビ−ムエピタキシ−、ガスソ−スMBE
等を用いて作製することができる。
【0022】これらの成膜技術で作製された薄膜は、何
れも高密度に形成可能であるが、特に、大面積化や、組
成制御安定性(再現性)の点からスパッタ法を用いるこ
とが好ましい。
【0023】(A1-XX)(B1-Y TY2の合成には、
B、CおよびIIa族、またはIb〜VIIIbあるいはランタ
ノイドに属する単元素、あるいは、これらの合金、また
はBeB2、MgB2、CaB2、ScB2、YB2、LaB2、TiB2、ZrB2、H
fB2、VB2、NbB2、TaB2、CrB2、MoB2、WB2、などの硼素
化合物、Be2C、MgC2、CaC2、SmC2、PrC2、LaC2、HfC、T
aC、などの炭化物、Be3N2、Mg3N2、Ca3N2、Cu3N、TaN、
YN、ZrN、CoN、LaN、CrN、などの窒化物、あるいはBN
やB8C、などの化合物、あるいは、組成ずれを考慮して
調合された(A1-XX)(B1-Y TY2化合物タ−ゲット
を用い、DCまたはRFによる単元スパッタ、あるいは
多元スパッタにより作製できる。
【0024】特に、単元スパッタの場合、前記化合物タ
−ゲット、あるいは母体のタ−ゲット上にチップを配置
した複合タ−ゲット、粉末を混ぜ合わせた粉末複合タ−
ゲット等を用いることが好ましい。また多元スパッタを
用いて、2つ以上のタ−ゲットを同時放電して作製する
ことも好ましい。また多元スパッタにより、材料組成比
となる多層膜を作製し、適度な熱処理を行うことで薄膜
を合成してもよい。作製に要する基板の温度は室温から
800℃程度以下が好ましく、また、放電ガス種は、不
活性ガスが好ましく、また放電圧力は10mTorr(1Torr=13
3.322Pa)以下とすることが好ましい。また、組成調整、
内部応力制御のために、基板にバイアスを印可するバイ
アススパッタと併用することも可能である。
【0025】また、作製する薄膜が数100ミクロン以
上の厚膜である場合、CVDや、メッキあるいはゾルゲ
ル法で作製することもできる。
【0026】作製された層状構造について、本発明の組
成式 (A1-XX)(B1-Y TY2で表記される超伝導材
料の組成との関係について説明する。
【0027】図1は、AM層とBT層の原子配列を示す。B
またはT元素は図のようにグラファイト構造をなす。ま
たA原子及びM原子の配列については、作製プロセスに
よって異なり、AおよびMの配列が完全にランダム状の場
合、および(A1-XMX)(B1-Y T Y2 のXが1/9程度
では図2、Xが2/9程度では図3、Xが1/4程度で
は図4あるいは図5、Xが1/3程度では図6、Xが4
/9程度では図7、Xが1/2程度では図8または図
9、Xが5/9程度では図10、Xが2/3程度では図
11、Xが3/4程度では図12または図13、Xが7
/9程度では図14、Xが8/9程度では図15等のよ
うにそれぞれ規則的な配列傾向が見られる場合、あるい
はこれらの規則配列を複数同時に持つ場合もある。
【0028】またB原子及びT原子の配列についても、作
製プロセスによってBおよびTの配列が完全にランダム状
の場合、および(A1-XMX)(B1-Y TY2のYが1/6程
度では、図16、Yが1/3程度では図17あるいは図
18、Yが1/6程度で一方向に整列した場合には図1
9、Yが1/9程度では図20、Yが1/12程度の8
%の場合には図21、Yが7%程度の場合では図22、
Yが1/2程度では図23等のようにそれぞれ規則的な
配列傾向が見られる場合、あるいはこれらの規則配列を
複数同時に持つ場合もある。
【0029】これらのAM層、BT層の規則配列の現れ方や
組み合わせと超伝導材料の特性の相関については現在明
確ではないが、結晶性の向上とともに規則性が高まる場
合、超伝導体積分率が高くなることが多い。
【0030】(実施例1)Bチップと、炭素Cの粉、A
およびM元素(Aは、IIa族から選ばれた少なくとも1
種、Mは、Ib〜VIIIbあるいはランタノイドに属する
少なくとも1種の元素)の粉体あるいはその窒化物を任
意の組成に秤量し、石英アンプルに水素2%+Ar雰囲気
に封入した。封入管を赤外線電気炉で加熱し、原料を反
応させた。加熱温度は900度から2000度の様々な
温度に設定して実施し、(A1-XMX)(B1-Y TY2反応物
を作製した。
【0031】作製された材料のマイスナ−分率の測定に
より超伝導体積分率を見積もった。その結果を(表1)
に示す。
【0032】
【表1】
【0033】表中の比較から分かるように、従来のサン
プルMgB2あるいはT元素のない組成よりも高いマイスナ
−分率は、組成式 (A1-XMX)(B1-Y TY2において、A
が、Be、Mg、Caから選ばれた少なくとも1種で、また元
素Mが、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Pd、Ag、Cd、La、Hf、T
a、W、Re、Os、Ir、Pt、Hgから選ばれ、かつBT元素に
おいてC、Nから選ばれた少なくとも1種の元素Tを用
いたときに得られることが分かった。特にT元素として
はC、Nのどちらか一方の場合の方が両者を同時に用い
た場合よりマイスナ−分率が大きいことが分かる。また
これらのサンプルは何れもX線回折などによる構造解析
の結果、六方晶系をとり、M元素の価数は2価であっ
た。
【0034】(実施例2)MgB2粉末とMgC2、ScB2、Sc
C、TiB2、TiC、VB2、V2Cの何れかの粉末を(表2)の組
成に配合したのち、HIPを用いて、焼結温度は900度
〜1500度、加圧圧力200MPaとして、(A1-XMX)(B
1-Y CY2を作製した。作製された薄膜のマイスナ−分
率の結果を(表2)に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2のように、組成式 (A1-XMX)(B1-Y
CY2(Mは、IIIb〜VIIbあるいはランタノイドに属す
る少なくとも1種)において、0<X≦0.5かつ0<
Y≦0.5の範囲で、大きなマイスナ−分率を得られる
ことが分かった。Xが0.5より大きい範囲、あるいは
Yが0.5より大きい範囲では、従来のMgB2サンプルと
同等程度の値しか得られなかった。
【0037】またX線などを用いて構造解析を行った結
果、作製したサンプルは多結晶で何れも六方晶であっ
た。これらの構造は図1のように、元素BおよびTが形
成する原子層をBT層、また、前記AおよびMが形成する
原子層をAM層とすると、BT層とAM層が交互に積層された
積層構造を有するものと思われる。また、それぞれのA
M、BT層面内での結晶配列は、完全には明らかでない
が、配合組成に従い、ほぼA元素とM元素の組成比に対
し、図2、3、4、5、8、9、10の何れかを主とす
る配列を持つ傾向、かつB元素とT元素の組成比に対し、
図11、12、13、14、15、16、17、18、
19、20、21、22、23の何れかを主とする配列
を持つ傾向が見られた。ここでは元素A、元素Mとして一
部の例を示したが、これ以外の組み合わせの場合でも同
様の傾向が見られた。
【0038】(実施例3)MgB2粉末とMg3N2、BN、Cr
B2、CrN、MnB2、MnN、SmB2、SmNの何れかの粉末を任意
の組成に配合したのち、HIPを用いて、焼結温度は90
0度〜1500度、5%窒素混入アルゴン雰囲気で加圧
圧力200MPaとして、(表3)の組成の(A1-XM X)(B
1-Y NY2を作製した。作製された薄膜のマイスナ−分
率の結果を(表3)に示す。
【0039】
【表3】
【0040】(表3)のように、組成式 (A1-XMX)(B
1-Y NY2(Mは、IIIb〜VIIbあるいはランタノイドに
属する少なくとも1種)において、0<X≦0.5かつ
0<Y≦0.5の範囲で、大きなマイスナ−分率を得ら
れることが分かった。Xが0.5より大きい範囲、ある
いはYが0.5より大きい範囲では、従来のMgB2サンプ
ルと同等程度の値しか得られなかった。
【0041】実施例2と同様にX線などを用いて構造解
析を行った結果、作製したサンプルは何れも六方晶で、
図1のように元素BおよびTが形成する原子層をBT層、
また、前記AおよびMが形成する原子層をAM層とする
と、BT層とAM層が交互に積層された積層構造を有するも
のと思われる。また、それぞれのAM、BT層面内での結晶
配列は、完全には明らかでないが、配合組成に従い、ほ
ぼA元素とM元素の組成比に対し、図2、3、4、5、
8、9、10の何れかを主とする配列を持つ傾向、かつ
B元素とT元素の組成比に対し、図11、12、13、1
4、15、16、17、18、19、20、21、2
2、23の何れかを主とする配列を持つ傾向が見られ
た。ここでは元素A、元素Mとして一部の例を示したが、
これ以外の組み合わせの場合でも同様の傾向が見られ
た。
【0042】(実施例4)単元のRFマグネトロンスパ
ッタで、MgB2粉末とMgC2、ScB2、ScC、TiB2、TiC、V
B2、V2Cの何れかの粉末を混合したものをターゲットと
して用い、TiN(111)緩衝層を設けたサファイア
c面基板上に(Mg0.89Sc0.11)(B0.9C0.1)2、(Mg 0.89Ti
0.11)(B0.9C0.1)2、(Mg0.89V0.11)(B0.9C0.1)2の薄膜を
形成した。スパッタガスはArを用い、基板温度は400
度から800度とした。膜組成はエックス線光電子分光
により確認した。
【0043】作製された薄膜のマイスナ−分率を測定す
ると、(Mg0.89Sc0.11)(B0.9C0.1)2、(Mg0.89Ti0.11)
(B0.9C0.1)2、(Mg0.89V0.11)(B0.9C0.1)2に対してそれ
ぞれ95%、97%、98%と何れも(実施例2)の値
よりも向上した。また作製したそれぞれの膜のX線回折
を行ったところ、膜は基板面に対してc軸方向に配向し
ていることが分かった。薄膜状に加工することによりc
軸が配向しやすくなったことが良質の超伝導性に効果が
あったと考えられる。
【0044】(実施例5)多元のヘリコンマグネトロン
スパッタで、10-9Torr以下に真空引き後、Mg、B、C、T
i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niの単元素タ−ゲットを用い
て、作成方法1として、同時放電による成膜、また作成
方法2として、それぞれの組成を原子層レベルで交互に
スパッタすることで(表4)に示すようなサンプルを作
製した。なお基板はMgO(111)とし、放電ガス圧
は、0.7mTorrである。
【0045】
【表4】
【0046】何れの作成方法でも高いマイスナ−分率を
得ているが、特に作成方法2においては、特定の組成に
対して効果が見られる。また何れの膜も基板面に対して
c軸方向に配向していた。
【0047】(実施例5)Mg、Ca、Be、Bタ−ゲットを
用いた4元のヘリコンマグネトロンスパッタで、シリコ
ン基板上に、以下の方法で(MgCaBe)B2薄膜を形成し
た。
【0048】サンプル1)基板上に、Bから成膜を行
い、Mgの単独スパッタと、Bの単独スパッタを原子層レ
ベルで交互に実施しMgB2の形成を行った。
【0049】サンプル2)基板上に、Bから成膜を行
い、Mgの単独スパッタおよびCaの単独スパッタを、Bの
単独スパッタを介在して原子層レベルで順番に実施し、
Mg/B2/Ca/B2 /Mgの形成を繰り返して行った。
【0050】サンプル3)基板上に、Bから成膜を行
い、MgとCaの同時スパッタと、Bの単独スパッタを原子
層レベルで交互に実施し(MgCa)B2の形成を行った。
【0051】サンプル4)基板上に、Bから成膜を行い、
Mgの単独スパッタ、Beの単独スパッタおよびCaの単独ス
パッタを、Bの単独スパッタを介在して原子層レベルで
順番に実施し、Mg/B2 /Be/B2 /Ca /B2 /Mgの形成
を繰り返して行った。
【0052】サンプル5)基板上に、Bから成膜を行
い、MgとBeとCaの同時スパッタと、Bの単独スパッタを
原子層レベルで交互に実施し(MgCa)B2の形成を行った。
【0053】サンプル1〜サンプル5のマイスナ−分率
を測定した結果を(表5)に示す。このように(MgCaB
e)B2組成系薄膜において優れた超伝導特性が得られて
いるが、特に主成分がAB2で表される組成式の交互積層
構造物質において、A元素が主体の層が複数の層からな
るとき(サンプル2,4)の方が、単一組成の層の場合
(サンプル3,5)の場合よりも大きなマイスナー分率
を示すことが分かった。
【0054】
【表5】
【0055】
【発明の効果】実施例に示したように、本発明の組成を
用いた超伝導材料を用いることで、材料密度の向上とと
もにマイスナ−分率すなわち超伝導体積分率が高い、実
用的な材料改善が行える。また、本発明の薄膜形成法に
より、さらに高密度の材料を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基本格子配列を示す図
【図2】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数+
M原子数)=1/9)を示す図
【図3】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数+
M原子数)=2/9)を示す図
【図4】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数+
M原子数)=1/4)を示す図
【図5】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数+
M原子数)=1/4)を示す図
【図6】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数+
M原子数)=1/3)を示す図
【図7】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数+
M原子数)=4/9)を示す図
【図8】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数+
M原子数)=1/2)を示す図
【図9】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数+
M原子数)=1/2)を示す図
【図10】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数
+M原子数)=5/9)を示す図
【図11】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数
+M原子数)=2/3)を示す図
【図12】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数
+M原子数)=3/4)を示す図
【図13】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数
+M原子数)=3/4)を示す図
【図14】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数
+M原子数)=7/9)を示す図
【図15】AM層での原子配置(:M原子数/(A原子数
+M原子数)=8/9)を示す図
【図16】BT層での原子配置(:T原子数/(B原子数
+T原子数)=1/6)を示す図
【図17】BT層での原子配置(:T原子数/(B原子数
+T原子数)=1/3)を示す図
【図18】BT層での原子配置(:T原子数/(B原子数
+T原子数)=1/3)を示す図
【図19】BT層での原子配置(:T原子数/(B原子数
+T原子数)=1/6)を示す図
【図20】BT層での原子配置(:T原子数/(B原子数
+T原子数)=1/9)を示す図
【図21】BT層での原子配置(:T原子数/(B原子数
+T原子数)=約8%)を示す図
【図22】BT層での原子配置(:T原子数/(B原子数
+T原子数)=約7%)を示す図
【図23】BT層での原子配置(:T原子数/(B原子数
+T原子数)=1/2)を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 39/24 ZAA H01L 39/24 ZAAB (72)発明者 松川 望 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4G047 CA07 CB09 CC03 CD02 CD07 JA03 JA04 JB02 JC16 KE04 LB01 4G077 AA03 BE06 BE07 BE11 BE18 DA14 DA16 EF04 HA08 4M113 AD45 BA04 BA08 BA09 BA14 BA15 BA23 CA12 CA43 4M114 AA29 BB01 BB05 CC03 CC07

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式 (A1-XX)(B1-Y TY2 (こ
    こでAは、IIa族から選ばれた少なくとも1種、Mは、I
    b〜VIIIbあるいはランタノイドに属する少なくとも1
    種の元素、Bは硼素、TはC、Nから選ばれた少なくとも
    1種の元素)で表された超伝導材料。
  2. 【請求項2】 前記組成式 (A1-XX)(B1-Y TY2
    において、X、Yが 0<X≦0.5 かつ 0<Y≦0.5 の範囲である請求項1記載の超伝導材料。
  3. 【請求項3】 前記元素TがCまたはNの一方である請
    求項1または2記載の超伝導材料。
  4. 【請求項4】 前記元素AがBe、Mg、Caから選ばれ
    た少なくとも1種で、前記元素Mが、Sc、Ti、V、Cr、
    Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、R
    h、Pd、Ag、Cd、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Hg
    から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のいず
    れかに記載の超伝導材料。
  5. 【請求項5】 前記元素Mが、2価のイオンである請求
    項1〜4のいずれかに記載の超伝導材料。
  6. 【請求項6】 結晶構造が六方晶である請求項1〜5の
    いずれかに記載の超伝導材料。
  7. 【請求項7】 硼素Bおよび前記T元素が形成する原子
    層をBT層、また、前記A元素およびMが形成する原子
    層をAM層とすると、BT層とAM層が交互に積層された積
    層構造を有する請求項1〜6のいずれかに記載の超伝導
    材料。
  8. 【請求項8】 主成分が組成式AB2 (ここでAは、IIa族
    から選ばれた少なくとも1種の元素、Bは硼素)で表さ
    れ、前記A元素が主体の層と、Bが主体の層とが、交互に
    積層された構造において、A元素が主体の層が少なくと
    も2種類の化学組成の層で構成された超伝導材料。
  9. 【請求項9】 少なくとも2種類の層で構成された前記
    A元素主体層のA元素が、Be、Mg、Caから選ばれた少
    なくとも2種類の元素からなる請求項8記載の超伝導材
    料。
  10. 【請求項10】 請求項1から9のいずれかに記載され
    た超伝導材料を備えた超伝導薄膜であって、基板上に形
    成されたc軸配向した六方晶であることを特徴とする超
    伝導薄膜。
  11. 【請求項11】 スパッタリング法により作製されたこ
    とを特徴とする請求項10記載の超伝導薄膜。
  12. 【請求項12】 スパッタリング法が、少なくとも2つ
    のタ−ゲットを用いた多元スパッタであることを特徴と
    する請求項11に記載の超伝導薄膜。
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