JP2002282988A - 閉塞鍛造用パンチとこれを用いた閉塞鍛造品の製造装置並びに製造方法 - Google Patents

閉塞鍛造用パンチとこれを用いた閉塞鍛造品の製造装置並びに製造方法

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JP2002282988A
JP2002282988A JP2001094628A JP2001094628A JP2002282988A JP 2002282988 A JP2002282988 A JP 2002282988A JP 2001094628 A JP2001094628 A JP 2001094628A JP 2001094628 A JP2001094628 A JP 2001094628A JP 2002282988 A JP2002282988 A JP 2002282988A
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forging
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closed forging
forged
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JP2001094628A
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English (en)
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Hiroyuki Nagaiwa
広幸 永岩
Katsuaki Nakamura
克昭 中村
Kenji Uchio
健司 内尾
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鍛造製品の薄肉化と有底孔の深孔化を両立さ
せる。 【解決手段】 鍛造パンチ20は、アウターパンチ21
とインナーパンチ22とを同心配置させて備える。イン
ナーパンチ22は、アウターパンチ21の貫通孔内で摺
動自在とされている。閉塞鍛造金型Kにセットした鍛造
ブロック材Bに対して、アウターパンチ21とインナー
パンチ22を一体とさせたまま、この鍛造パンチ20を
数ミリ程度押圧駆動する。次いで、アウターパンチ21
のみを鍛造ブロック材Bに対して押圧前進させる。アウ
ターパンチ21単独での鍛造パンチ時の面積減少率SG
oは約25%と小さいことから、パンチ駆動シリンダの
駆動圧力の過大な上昇を招くことなく、アウターパンチ
21により鍛造ブロック材Bを引き続き鍛造パンチす
る。これにより、鍛造ブロック材Bに形成される有底孔
を深孔とし、その肉厚も薄くできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、閉塞鍛造金型のキ
ャビティにセットされた鍛造材料から鍛造製品を形成す
るための閉塞鍛造用のパンチと、これを用いた閉塞鍛造
装置鍛造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の鍛造製品は、パンチにより有底
孔を有するものとなり、生産効率も高いことから、水栓
金具、家電製品、機械部品等に多用されている。また、
貫通孔を必要とする場合には、閉塞鍛造により形成され
た有底孔を切削等により加工して、底部分を除去するこ
とが行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】閉塞鍛造では、閉塞状
のキャビティの鍛造材料にパンチを押し込む都合上、キ
ャビティ壁面に倣って鍛造材料がその延性により延び
る。よって、この際の摩擦力や延性の優劣等により、パ
ンチの押圧荷重が増大することがある。
【0004】近年では、軽量化、材料の少量化を図るた
め、製品の薄肉化が不可欠とされるが、そのためには、
パンチ断面積PSをキャビティ断面積KSに近づける必
要がある。こうすると、パンチの際の鍛造材料の面積減
少率SG(=(KS−PS)/KS)が大きくなり、パ
ンチ押し込みにより延びる鍛造材料も増え、摩擦力も大
きくなるので、パンチの荷重増大は著しくなる。このた
め、薄肉化のために大きな面積減少率のままとすると、
荷重増大によりパンチストロークが制限され、有底孔を
深くできないことがあった。このように有底孔が浅いま
まだと、その後の底部分除去のため或いは所定深さまで
の有底孔形成のための切削加工に長時間を要することに
なり、その改善が求められていた。なお、小さな面積減
少率のパンチを使って有底孔を深くし、その周壁を切削
して薄肉化を図ることもできるが、この際の切削は深孔
加工となり、工具調達や切粉処理等の上で煩雑であっ
た。
【0005】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、鍛造製品の薄肉化と有底孔の深孔化を両立させる
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】か
かる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の閉
塞鍛造用パンチは、閉塞鍛造金型が形成するキャビティ
にセットされた鍛造可能な鍛造材料に対して押圧され、
有底孔を有する鍛造製品を形成するための閉塞鍛造用の
パンチであって、前記有底孔の内周壁面形状と合致する
外周壁面形状と前記押圧方向に沿った貫通孔とを備え、
前記キャビティの前記鍛造材料に対して押圧駆動可能と
されるアウターパンチと、前記貫通孔に配設され、前記
貫通孔周壁を摺動して前記キャビティの前記鍛造材料に
対して押圧駆動可能とされるインナーパンチとを備える
ことを特徴とする。
【0007】上記構成を有する本発明の閉塞鍛造用パン
チでは、閉塞鍛造金型のキャビティにセットされた鍛造
材料に対してパンチを押圧するに際し、アウターパンチ
と、その貫通孔に配設されたインナーパンチを単独に押
圧駆動することができる。よって、アウターパンチの外
周面形状を有底孔の内周面に近づくようにして薄肉化を
図っても、インナーパンチ断面積、即ち貫通孔断面積の
分だけ面積減少率を小さくできる。また、インナーパン
チについても、アウターパンチの分だけ面積減少率を小
さくできる。このため、アウターパンチとインナーパン
チの各パンチを単独押圧する際のそれぞれの摩擦力を低
減できる。この結果、各パンチ押圧時のストロークを長
くできるので、鍛造製品の薄肉化と有底孔の深孔化を両
立させることができる。
【0008】この場合、前記貫通孔を前記アウターパン
チの中央に空けるようにすれば、この貫通孔を容易に形
成できる。また、アウターパンチとインナーパンチを同
心に押圧駆動できるので、アウターパンチの押圧により
形成された有底孔底部とインナーパンチによる有底孔底
部とを同心とできる。
【0009】また、前記アウターパンチを、前記鍛造材
料を押圧する有効パンチ断面積をSo、前記貫通孔の断
面積をSh、前記キャビティの断面積をSkとしたと
き、SGo=(Sk−S0)/Skで定義される面積減
少率SGoが約0.4≦SGo≦約0.7であり、SG
a=(Sk−(So+Sh))/Skで定義される面積
減少率SGaが約0.8≦SGa≦約0.9となるよう
に形成することもできる。
【0010】これとは逆に、前記インナーパンチを、前
記鍛造材料を押圧する有効パンチ断面積をSi、前記キ
ャビティの断面積をSk、前記アウターパンチの前記鍛
造材料を押圧する有効パンチ断面積をSoとしたとき、
SGi=(Sk−Si)/Skで定義される面積減少率
SGiが約0.4≦SGi≦約0.7であり、SGa=
(Sk−(So+Si))/Skで定義される面積減少
率SGaが約0.8≦SGa≦約0.9となるように形
成することもできる。
【0011】これらのようにすれば、アウターパンチ或
いはインナーパンチについては、パンチ押圧時の面積減
少率SGo、SGiを約0.4〜0.7として、各パン
チを過大な荷重増大を招くことなく押圧できるにも拘わ
らず、パンチ後の鍛造製品では、約0.8≦SGa≦約
0.9という大きな面積減少率SGaであるために、そ
の肉厚をキャビティ断面積Skの約0.1〜0.2とい
う程度まで薄肉化できる。
【0012】かかる課題の少なくとも一部を解決するた
め、本発明の第1の閉塞鍛造装置は、有底孔を有する鍛
造製品を鍛造可能な鍛造材料から形成する閉塞鍛造装置
であって、前記鍛造材料がセットされるキャビティを形
成する閉塞鍛造金型と、前記キャビティにセットされた
鍛造材料に対して押圧され、前記有底孔を形成するため
の閉塞鍛造用パンチと、該閉塞鍛造用パンチを押圧駆動
する駆動手段とを備え、前記閉塞鍛造用パンチは、上記
した本発明の閉塞鍛造用パンチから構成され、前記駆動
手段は、前記アウターパンチと前記インナーパンチの少
なくとも一方を単独で押圧駆動することを特徴とする。
【0013】また、上記の課題の少なくとも一部を解決
するため、本発明の第1の閉塞鍛造方法は、有底孔を有
する鍛造製品を鍛造可能な鍛造材料から製造する製造方
法であって、前記鍛造材料がセットされるキャビティを
形成する閉塞鍛造金型に前記鍛造材料をセットし、前記
閉塞鍛造金型を型締めする第1行程と、前記キャビティ
にセットされた鍛造材料に対して、前記有底孔を形成す
るための閉塞鍛造用パンチを押圧する第2行程とを備
え、前記第2行程では、前記閉塞鍛造装置パンチとし
て、上記した本発明の閉塞鍛造用パンチを用い、前記閉
塞鍛造用パンチの有する前記アウターパンチと前記イン
ナーパンチの少なくとも一方を単独で押圧駆動すること
を特徴とする。
【0014】これら閉塞鍛造装置或いは閉塞鍛造方法で
は、閉塞鍛造金型のキャビティにセットされた鍛造材料
に対して、アウターパンチとその貫通孔に配設されたイ
ンナーパンチの少なくとも一方を単独で押圧駆動する。
よって、その単独駆動対象のパンチによる面積減少率は
小さいことから、既述したように鍛造製品の薄肉化と有
底孔の深孔化を両立させることができる。
【0015】この場合、アウターパンチとインナーパン
チの単独駆動に先立ち、アウターパンチとインナーパン
チとを一体にして鍛造材料に対して押圧駆動するように
することもできる。こうすれば、鍛造開始当初は面積減
少率が大きいので有底孔深さは制限されるが、その後の
単独パンチ駆動により、深孔の有底孔とでき、薄肉化も
図ることができる。
【0016】また、前記アウターパンチと前記インナー
パンチの単独駆動の際、前記アウターパンチの押圧駆動
を優先実行するようにすることができる。こうすれば、
アウターパンチによる有底孔底部をインナーパンチによ
る有底孔底部分より深くでき、インナーパンチによる有
底孔底部分をアウターパンチによる有底孔底部分から隆
起させて残す。よって、この隆起部を有底孔組み込み部
材の受けとしたりできる。また、平らな有底孔とする場
合には、この隆起部を旋盤切削等で除去すればよい。貫
通孔とする場合には、この隆起部回りでは肉厚が薄いの
で、この隆起部回りを切削或いはパンチ打ち抜き等すれ
ば、容易に貫通孔とできる。なお、アウターパンチの押
圧駆動の際には、インナーパンチを後退させたり止め置
いたりできるほか、アウターパンチに続いてインナーパ
ンチを押圧駆動させることもできる。また、インナーパ
ンチが円柱ではなく角柱などの非軸対称形状をなしてい
るために鍛造材料の巻き込みが起こり易い場合において
も、上記のようにアウター・インナーの両パンチを一体
として一旦押圧駆動した後に、アウターパンチはそのま
ま押圧を続け、インナーパンチを後退させると、鍛造材
料の巻き込みを抑制することが可能となる。
【0017】この場合、パンチの単独駆動の際、インナ
ーパンチの押圧駆動を優先実行してもよく、こうすれ
ば、インナーパンチによる有底部分を平にしたままその
周壁に、アウターパンチにより顎状の段差を形成するこ
とができる。よって、この顎部を有底孔組み込み部材の
受けとしたりできる。なお、インナーパンチの押圧駆動
の際には、アウターパンチを後退させたり止め置いたり
できるほか、インナーパンチに続いてアウターパンチを
押圧駆動させることもできる。この場合であっても、非
軸対称形状のインナーパンチを用いたときに、上記同様
のパンチ動作により、鍛造材料の巻き込みを抑制するこ
とができる。
【0018】かかる課題の少なくとも一部を解決するた
め、本発明の第2の閉塞鍛造装置は、貫通孔を有する鍛
造製品を鍛造可能な鍛造材料から形成する閉塞鍛造装置
であって、前記鍛造材料がセットされるキャビティを形
成する閉塞鍛造金型と、前記キャビティにセットされた
鍛造材料に対して対向して配置され、該セット済みの鍛
造材料に対して両側から押圧されて、有底孔をその底部
を対向させて形成するための第1、第2の閉塞鍛造用パ
ンチと、該第1、第2の閉塞鍛造用パンチをそれぞれ押
圧駆動する第1、第2の駆動手段と、前記対向形成され
た有底孔の底部を除去する除去手段とを備え、前記第
1、第2の閉塞鍛造装置パンチは、本発明の閉塞鍛造用
パンチから構成され、前記第1、第2の駆動手段は、前
記アウターパンチと前記インナーパンチの少なくとも一
方を単独で押圧駆動することを特徴とする。
【0019】また、上記の課題の少なくとも一部を解決
するため、本発明の第2の閉塞鍛造方法は、貫通孔を有
する鍛造製品を鍛造可能な鍛造材料から製造する製造方
法であって、前記鍛造材料がセットされるキャビティを
形成する閉塞鍛造金型に前記鍛造材料をセットし、前記
閉塞鍛造金型を型締めする第1行程と、前記キャビティ
にセットされた鍛造材料に対して対向して配置され該セ
ット済みの鍛造材料に対して両側から押圧される第1、
第2の閉塞鍛造用パンチを、前記セット済みの鍛造材料
に対向して押圧し、有底孔をその底部を対向させて形成
する第2行程と、前記対向形成された有底孔の底部を除
去する第3行程とを備え、前記第2行程では、前記第
1、第2の閉塞鍛造装置パンチとして、本発明の閉塞鍛
造用パンチを用い、前記第1、第2の閉塞鍛造用パンチ
の有する前記アウターパンチと前記インナーパンチの少
なくとも一方を単独で押圧駆動することを特徴とする。
【0020】これら閉塞鍛造装置或いは閉塞鍛造方法で
は、閉塞鍛造金型のキャビティにセットされた鍛造材料
に対して、第1、第2の閉塞鍛造用パンチを対向して押
圧し、有底孔をその底部を対向させて形成する。こうし
て有底孔を対向形成するに当たり、第1、第2の閉塞鍛
造用パンチを、アウターパンチとその貫通孔に配設され
たインナーパンチとを有するものとし、アウターパンチ
とインナーパンチの少なくとも一方を単独で押圧駆動す
る。よって、対向形成された有底孔を有する中間品で
は、それぞれの有底孔を取り囲む部分において、既述し
たように鍛造製品の薄肉化と有底孔の深孔化が両立され
たものとできる。そして、この対向した有底孔の底部分
を除去することで、貫通孔を有する鍛造製品が完成す
る。
【0021】この場合、対向する第1、第2の閉塞鍛造
用パンチにてアウターパンチとインナーパンチを単独駆
動することに先立ち、アウターパンチとインナーパンチ
とを一体にして鍛造材料に対して押圧駆動するようにす
ることもできる。こうすれば、鍛造開始当初は面積減少
率が大きいので有底孔深さは制限されるが、その後の単
独パンチ駆動により、深孔の有底孔とでき、薄肉化も図
ることができる。
【0022】また、対向する第1、第2の閉塞鍛造用パ
ンチにて前記アウターパンチと前記インナーパンチを単
独駆動する際、前記アウターパンチの押圧駆動を優先実
行するようにすることもできる。こうすれば、それぞれ
の有底孔を取り囲む部分において、既述したようにアウ
ターパンチによる有底孔底部をインナーパンチによる有
底孔底部分より深くでき、対向するアウターパンチ有底
孔底部分を薄肉化できる。よって、この薄肉化された底
部分を除去すれば有底孔底部分全体を除去できるので、
底部分除去が容易である。そして、薄肉であることか
ら、打ち抜きパンチ等で容易に打ち抜きできる。
【0023】
【発明の他の態様】本発明は、以下のような他の態様を
採ることも可能である。即ち、アウターパンチの貫通孔
に配置されたインナーパンチを、アウターパンチと同様
に筒状とし、その内部に別の小径インナーパンチを有す
るものとすることもできる。
【0024】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成・作用
を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例
について説明する。
【0025】図1は発明の一実施の形態にかかる第1実
施例の閉塞鍛造装置10の概略構成を示すブロック図で
ある。図示するように、閉塞鍛造装置10は、鍛造パン
チ20と、パンチ駆動シリンダ23、24と、このシリ
ンダへの油圧供給を行う油圧制御装置25、26と、油
タンク27と、装置を統括制御する電子制御装置28と
を有する。
【0026】鍛造パンチ20は、後述の閉塞鍛造金型の
キャビティにセットされた鍛造可能な鍛造材料に対して
押圧されるものであり、アウターパンチ21とインナー
パンチ22とを有する。アウターパンチ21は、有底孔
を有する鍛造製品のその有底孔の内周壁面形状と合致す
る外周壁面形状と内部に貫通孔21aを有する筒状体と
されている。例えば、鍛造製品有底孔が円形であれば円
筒体とされ、有底孔が多角形であればその多角形形状の
筒状体とされる。貫通孔21aは、旋盤切削等の加工上
の簡便さから円形とすることが好ましいが、これに限ら
ず、多角形の貫通孔でもよい。そして、このアウターパ
ンチ21は、パンチ駆動シリンダ23のピストンと連結
されており、当該シリンダによりキャビティの鍛造材料
に対して押圧駆動(前後退駆動)する。
【0027】インナーパンチ22は、上記のアウターパ
ンチ21の貫通孔21aにその内周面に沿って摺動可能
に配設され、パンチ駆動シリンダ24のピストンと連結
されている。これにより、インナーパンチ22は、当該
シリンダによりキャビティの鍛造材料に対して押圧駆動
(前後退駆動)する。これらパンチの駆動タイミングに
ついては、後述する。
【0028】本実施例では、貫通孔21aをアウターパ
ンチ21においてその中心に形成したので、アウターパ
ンチ21とインナーパンチ22は同心配置を採る。な
お、インナーパンチ22をアウターパンチ21に対して
偏心配置するようにすることもできる。
【0029】パンチ駆動シリンダ23とパンチ駆動シリ
ンダ24は、ピストン前後に油室を有する復動シリンダ
として構成され、ピストン後室への油圧供給・ピストン
前室からの油圧排出により、ピストン(即ち、上記の各
パンチ)を押圧前進させる。また、この逆とすること
で、ピストン(各パンチ)を後退させる。更に、前後室
への油圧給排をロックしておくことで、ピストン(各パ
ンチ)をその位置に止めたりでき、前後室への油圧給排
をフリーとしておくことで、ピストン(各パンチ)を外
力の作用に応じて移動可能とする。
【0030】油圧制御装置25および油圧制御装置26
は、共に、油タンク27からの油の給排を通して該当す
るシリンダを駆動するよう構成されており、油圧ポンプ
と、ポンプ駆動モータと、油圧給排状況を油量調整によ
り制御する油圧制御弁と、シリンダへの油圧供給先を切
り換えることでシリンダ駆動(前後駆動)やピストン位
置制御を図るための切換弁等を備える。電子制御装置2
8は、これら油圧制御装置を予め定められたプログラム
に従って制御するものであり、図示しないCPUを中心
として論理演算回路として構成されている。
【0031】次に、上記した閉塞鍛造装置10による一
連の閉塞鍛造工程について説明する。図2は実施例の閉
塞鍛造工程の前半部分を説明する説明図、図3はこの閉
塞鍛造工程の後半部分を説明する説明図である。
【0032】図2(a)に示すように、まず、図におけ
る左右に分割可能な閉塞鍛造金型Kに、黄銅からなる鍛
造ブロック材Bを約500度で25分程度加熱した後に
セットし、金型を型締めする。この閉塞鍛造金型Kは、
鍛造製品の外形形状を規定するキャビティKkを形成す
る。鍛造ブロック材Bの加熱に際しては、結晶粒の粗大
化を防ぐよう、その時間および温度が調整される。
【0033】鍛造ブロック材Bは、本実施例では以下に
説明する黄銅としたが、閉塞鍛造が可能な材料であれ
ば、種々のものを採用することができる。この鍛造ブロ
ック材Bは、熱間延性を高めるため、組成成分として
は、Cu−Zn(銅―亜鉛合金)にSn(錫)を添加し
たものとし、見掛けの上のZn含有量を37〜50wt
%とした上で、Cu−ZnにSnを0.5〜7wt%含
むものとした。なお、「見掛け上のZn含有量」という
用語は、AをCu含有量[wt%]、BをZn含有量
[wt%]、tを添加した第3元素(例えばSn)のZ
n当量、Qをその第3元素の含有量[wt%]としたと
き、次式で算出される重量比である。 {(B+t・Q)/(A+B+t・Q)}×100 …
【0034】また、結晶組織としては、次のいずれかの
条件を備えるものとした。こうすることで、組成成分と
相まって熱間延性を高めることができる。 (1)結晶組織は、少なくともγ相を含み、その面積比
率が1〜50%であること。 (2)結晶組織は、少なくともβ相、γ相を含み、β相
の面積比率が25〜45%、γ相の面積比率が25〜4
5%であること。 (3)結晶組織は、α相の面積比率が30〜75%、β
相の面積比率が0〜55%、γ相の面積比率が1〜50
%であること。 (4)結晶組織は、γ相の短軸の平均結晶粒径が約5μ
m以下であること。 なお、こうした性状を有する黄銅の製造に当たっては、
国際公開公報WO99/24628号に習えばよく、そ
の詳細についての説明は省略することとする。
【0035】上記の性状を有する鍛造ブロック材Bの金
型セットに続いては、図2(b)に示すように、鍛造パ
ンチ20をキャビティKkの内部まで位置させ、アウタ
ーパンチ21とインナーパンチ22を一体とさせたま
ま、この鍛造パンチ20を鍛造ブロック材Bに対して押
圧駆動する。これにより、鍛造パンチ20は、パンチ全
体が鍛造ブロック材Bに入り込んだ状態となり、鍛造ブ
ロック材Bは、キャビティKkとアウターパンチ21の
間に流れるので、その後の後述の鍛造パンチにおいて不
用意にキャビティ内で移動することがない。
【0036】ここで、各パンチによる面積減少率につい
て説明する。図2(a)に示すように、キャビティKk
の断面積をSkとし、鍛造パンチ20全体の断面積をS
p、インナーパンチ22の断面積をSiとすると、アウ
ターパンチ21の有効パンチ面積Soは、(Sp−S
i)となる。そして、本実施例では、上記の各断面形状
を共に円形とし、キャビティKkの断面積Skを約12
cm2 とし、鍛造パンチ20全体の断面積Spを約1
0.2cm2 とし、インナーパンチ22の断面積Siを
約7.2cm2 としたので、鍛造パンチ20全体での鍛
造パンチ時の面積減少率SGp(=100(Sk−S
p)/Sk)は約85%となり、アウターパンチ21を
単独で押圧した鍛造パンチ時の面積減少率SGo(=1
00(Sk−(Sp−Si))/Sk)は、約25%と
なり、インナーパンチ22を単独で押圧した鍛造パンチ
時の面積減少率SGi(=100(Sk−Si)/S
k)は、約60%となる。
【0037】図2(b)に示す鍛造パンチ20全体での
鍛造パンチでは、上記した大きな面積減少率であること
から、図示するようにパンチ全体が鍛造ブロック材Bに
入り込んだ状態でパンチ圧(シリンダ駆動圧)の増大を
招く。このパンチ圧増大が起きるタイミングは、予め実
験的な手法等により把握できることから、当該タイミン
グを電子制御装置28が検知すると、具体的にはパンチ
駆動からの経時時間が所定時間となると、電子制御装置
28は、パンチ駆動シリンダ24の前後室への油圧給排
をロックするよう油圧制御装置26を制御すると共に、
パンチ駆動シリンダ23については継続してパンチ前進
駆動を行うよう油圧制御装置25を制御する。これによ
り、図2(c)に示すように、アウターパンチ21のみ
が鍛造ブロック材Bに対して押圧前進し、アウターパン
チ21単独での鍛造パンチが実行される。上記したよう
に、アウターパンチ21単独での鍛造パンチ時の面積減
少率SGoは約25%と小さいことから、パンチ駆動シ
リンダ23の駆動圧力の過大な上昇を招くことなく、ア
ウターパンチ21は鍛造ブロック材Bを引き続き鍛造パ
ンチする。これにより、鍛造ブロック材Bは、キャビテ
ィKkとアウターパンチ21の間に更に流れ込み、鍛造
製品の周壁を形成する。この場合、インナーパンチ22
は上記した油圧給排ロックにより停止しているので、ア
ウターパンチ21によるパンチで周壁はより高く形成さ
れる。なお、パンチ駆動シリンダ24の前後室への油圧
給排をフリーとし、アウターパンチ21パンチ時にイン
ナーパンチ22を後退可能としておくこともでき、ま
た、パンチ駆動シリンダ24の油圧給排を積極的に制御
して、アウターパンチ21パンチ時にインナーパンチ2
2を強制的に後退させることもできる。
【0038】そして、図3(a)に示すように、アウタ
ーパンチ21を所定深さまでパンチした後は、図3
(b)に示すように、アウターパンチ21とインナーパ
ンチ22を一体的に閉塞鍛造金型Kから後退させる。そ
の後は、離型して、図3(c)に示す鍛造製品TPを取
り出す。
【0039】この鍛造製品TPは、アウターパンチ21
の単独パンチにより形成された有底孔Yoの底部に、パ
ンチ全体押圧駆動時に伴いインナーパンチ22により形
成された隆起部Riが残った形状の、有底鍛造製品とな
る。この場合、アウターパンチ21とインナーパンチ2
2は同心配置を採ることから、隆起部Riは有底孔Yo
の中央に位置することになる。
【0040】こうして得られた鍛造製品TPでは、キャ
ビティ等の断面積が上記の値を採ることから、有底孔回
りの周壁断面積は、キャビティKkの断面積Skから鍛
造パンチ20全体の断面積Spを除いた面積となり、キ
ャビティKkの断面積Skに対しては僅か約15%とな
るにすぎない。よって、本実施例によれば、鍛造製品の
薄肉化を図ることができる。また、鍛造パンチに際して
は、約25%という小さな面積減少率SGoでアウター
パンチ21を押圧すればよいので、不用意なパンチ圧力
(シリンダ圧力)の増大も招くことなく、パンチストロ
ークの長尺化、即ち有底孔の深孔化を図ることができ
る。しかも、鍛造製品TP製造には、既存の閉塞鍛造と
同様にシリンダ圧制御やストローク制御で済むので、容
易に鍛造製品TPを製造できる。
【0041】また、アウターパンチ21の単独パンチに
より、有底孔Yoの中央に隆起部Riを残すので、図3
(c)に示すように、この有底孔にスプリングS等を組
み込む場合には、隆起部RiをスプリングSの位置決め
用部材として利用できる。そして、この隆起部Riは旋
盤切削等で容易に除去できるので、平面な有底孔を有す
る鍛造製品を容易に製造できる。なお、アウターパンチ
21のストロークを金型底面近くまで延ばせば、図3
(b)に示す有底孔Yoを薄肉とできるので、切削或い
はパンチ打ち抜き等により容易に貫通孔でき、これによ
り貫通孔を有する鍛造製品を容易に製造できる。
【0042】ここで、鍛造パンチの際の面積減少率とそ
のストローク(有底孔深さ)並びにパンチ圧力の関係に
ついて説明する。図4は鍛造パンチの際の面積減少率と
そのストローク(有底孔深さ)並びにパンチ圧力の関係
を説明する説明図である。なお、鍛造材料は、上記した
実施例のものとした。
【0043】図4に示すような鍛造パンチを想定した場
合、キャビティ径をD、パンチ径をd(約20mm)と
すると、面積減少率r(%)は、100(D2 −d2
/D 2 となる。この面積減少率rを80%、65%、5
0%としたときの、パンチ圧力とパンチストロークを調
べたところ、面積減少率80%では、僅か5mm程度の
ストロークで680N/mm2 を越えるパンチ圧力を要
した。これに対し、65%或いは50%の面積減少率で
は、30mm近いストロークとしてもパンチ圧力は22
0〜300N/mm2 のままであった。
【0044】このことを上記の実施例に当てはめると、
図2(b)に示すパンチ全体での工程では、鍛造ブロッ
ク材Bに対して約3mm程度までパンチ全体が入り込む
ようにすれば、上記したようなパンチ全体の面積減少率
SGpが約85%と大きくても、過大なパンチ圧力を招
くことが無く好ましい。そして、図2(c)や図3
(a)に示すアウターパンチ21単独での鍛造パンチで
は、その面積減少率SGoを約50〜65%の範囲とす
れば、薄肉化に加え有底孔の深孔化を好適に両立でき
る。この場合、アウターパンチ21単独での面積減少率
SGoを、約50〜65%を含む約40〜70%の範囲
とすることもできる。この面積減少率SGoが約40%
以上であれば、また、約70%以下であれば、過大なパ
ンチ圧力の増大回避とストローク確保を確実に両立でき
る。本実施例では、面積減少率SGoを上記した約55
%とし、約50〜65%の範囲内としたので、薄肉化と
有底孔の深孔化の両立に好適である。
【0045】次に、上記した第1実施例の変形例につい
て説明する。第1の変形例は、図3(a)のおいてアウ
ターパンチ21をそのストロークエンドまで押圧前進し
た後に、アウターパンチ21をその位置に停止させたま
ま、インナーパンチ22を単独で押圧前進させる。この
インナーパンチ22にあっても、面積減少率SGiは約
50%と小さいことから、単独鍛造パンチは可能であ
り、こうすれば、隆起部Riを低くできる。また、イン
ナーパンチ22に押圧された鍛造ブロック材Bは、アウ
ターパンチ21の外周に沿って流れ込むので、有底孔を
より深くできる。
【0046】第2の変形例は、図2(b)に示す鍛造パ
ンチ20全体での鍛造パンチを省略し、図2(c)以降
のアウターパンチ21による単独鍛造パンチを行う。こ
うしても、第1実施例と同様、薄肉化と有底孔の深孔化
を両立できる。更にこの場合、アウターパンチ21の単
独鍛造パンチに続いて、インナーパンチ22による単独
鍛造パンチを行ってもよい。
【0047】また、図2(b)以降の工程において、イ
ンナーパンチ22のみを単独で鍛造パンチすることもで
きる。こうしても、インナーパンチ22により押圧され
た鍛造ブロック材Bがアウターパンチ21の外周に沿っ
て流れ込むので、深孔の有底孔を持った鍛造製品を容易
に製造することができる。そして、有底孔周囲では、図
2(b)の位置に停止したアウターパンチ21端面部分
に顎部が形成されるので、この顎部を有底孔収納部材の
受け座とすることもできる。更に、インナーパンチ22
の単独鍛造パンチに続いて、アウターパンチ21による
単独鍛造パンチを行ってもよい。
【0048】次に、第2実施例について説明する。図5
は第2実施例における閉塞鍛造品の一連の製造工程のう
ち、その前半部分を説明する説明図、図6はこの製造工
程の後半部分を説明する説明図である。
【0049】第2実施例では、水栓金具本体といった貫
通孔を有する鍛造品を製造対象とする。図5(a)に示
すように、上下分割型の閉塞鍛造金型Kに第1実施例と
同様の鍛造ブロック材Bをセットする。この際、第1実
施例で説明した鍛造パンチ20(20L、20R)を鍛
造ブロック材Bの左右に対向配置し、金型を型締めす
る。なお、鍛造ブロック材Bについては、その性状を使
用目的(水栓金具であれば耐水性等)に適った鍛造材料
とする。
【0050】その後は、図5(b)に示すように、左右
の鍛造パンチ20L、20Rを共にキャビティKkの内
部まで位置させ、各鍛造パンチで第1実施例と同様にパ
ンチ駆動する。つまり、鍛造パンチ20Lでは、アウタ
ーパンチ21Lとインナーパンチ22Lを一体とさせた
まま、この鍛造パンチ20Lを鍛造ブロック材Bに対し
て押圧駆動する。鍛造パンチ20Rでも、同時にパンチ
駆動する。これにより、鍛造パンチ20L、20Rは、
パンチ全体が鍛造ブロック材Bの左右に入り込んだ状態
となる。よって、パンチ押圧を受ける鍛造ブロック材B
は、左右の鍛造パンチ20L、20Rにおいて、キャビ
ティKkとアウターパンチ21L、21Rの間に流れ
る。
【0051】こうした左右からのパンチ全体でのパンチ
駆動からの経時時間が所定時間となると、図5(c)に
示すように、アウターパンチ21L、21Rのみを鍛造
ブロック材Bに対して押圧前進させ、鍛造ブロック材B
の左右でアウターパンチ21L、21R単独での鍛造パ
ンチが実行される。各アウターパンチ単独での鍛造パン
チは、上記したようにその面積減少率SGoが小さいこ
とから、パンチ駆動シリンダの駆動圧力の過大な上昇を
招くことなく、アウターパンチにより鍛造ブロック材B
の鍛造パンチを継続できる。これにより、鍛造ブロック
材Bは、左右のアウターパンチ21L、21Rの外周に
沿って流れ込み、鍛造製品の左右周壁を形成する。この
場合、インナーパンチ22L、22Rを図示する位置に
停止させてもよく、既述したように後退させたりするこ
ともできる。
【0052】この左右のアウターパンチ21L、21R
のパンチにより、鍛造ブロック材Bでは、左右の有底孔
Yoがその底部を対向させて形成され、有底孔中央の隆
起部Riもそれぞれ残ることになる。左右のアウターパ
ンチ21L、21Rのストロークは、後述の打ち抜き時
のパンチ負荷軽減のため、左右の有底孔間肉厚が約5m
m程度となるように調整されている。打ち抜きではなく
旋盤切削等の加工工程を採る場合には、ストロークを控
えるようにすることもできる。
【0053】なお、パンチ全体での鍛造パンチからアウ
ターパンチ21L、21R単独での鍛造パンチの切り換
えタイミングは、第1実施例と同様である。
【0054】そして、左右のアウターパンチ21L、2
1Rを所定深さまでパンチした後は、左右の鍛造パンチ
20L、20Rを閉塞鍛造金型Kから後退させる。これ
により、図6(a)に示すように、中央に隆起部Riを
取り囲んだ左右の有底孔Yoをその底部で対向させた形
状の中間鍛造製品TPsができあがる。なお、この中間
鍛造製品TPsは、鍛造パンチと同じように金型から取
り外しても良いし、後工程の打ち抜きパンチに備えて金
型内にセットしたままとしておくこともできる。
【0055】こうして得られた中間鍛造製品TPsで
は、キャビティ等の断面積が上記の値を採ることから、
有底孔回りの周壁断面積は、第1実施例と同様に、キャ
ビティKkの断面積Skに対しては僅か約15%となる
にすぎない。そして、この中間鍛造製品TPsの周壁断
面積は最終製品としての鍛造製品TPと同じであること
から、第2実施例によっても、この時点において、鍛造
製品の薄肉化を図ることができる。また、鍛造パンチに
際しては、約50%という小さな面積減少率SGoでア
ウターパンチ21L、21Rを左右から押圧すればよい
ので、不用意なパンチ圧力(シリンダ圧力)の増大も招
くことなく、パンチストロークの長尺化、即ち有底孔の
深孔化を図ることができる。しかも、中間鍛造製品TP
s製造には、既存の閉塞鍛造と同様にシリンダ圧制御や
ストローク制御で済むので、容易にこの中間鍛造製品T
Psを製造できる。
【0056】次に、図6(b)に示すように、中間鍛造
製品TPsの一方の有底孔内に打ち抜きパンチ30を挿
入し、図6(c)に示すように、これを隆起部Riに向
けて打ち抜きパンチ駆動する。この場合の打ち抜き対象
は、有底孔の底部部分と左右の隆起部Riが一体となっ
た抜き屑PNであり、有底孔周壁との繋ぎ部分(有底孔
底部分)は、既述したように薄肉とされているので、抜
き屑PNを僅かのパンチ圧力で容易に打ち抜いて、貫通
孔NSを容易に形成することができる。これにより、貫
通孔NSを有する鍛造製品TPを完成させることができ
る。この場合、打ち抜きパンチ30の外径を有底孔内径
と約0.5mm程度だけ小径としたので、抜き屑PNを
打ち抜いたバリを貫通孔NSに残さないようにできる。
【0057】以上説明したように、鍛造パンチ20を左
右に配置して上記の鍛造パンチを行う第2実施例によれ
ば、貫通孔NSを有する薄肉の鍛造製品TPを容易に製
造できる。また、第1実施例と同様、鍛造パンチに際し
ては、約40%という小さな面積減少率SGoでアウタ
ーパンチ21L、21Rを押圧すればよいので、不用意
なパンチ圧力(シリンダ圧力)の増大も招くことなく、
貫通孔形成前の左右の有底孔の深孔化を図ることができ
る。しかも、鍛造製品TP製造には、既存の閉塞鍛造と
同様にシリンダ圧制御やストローク制御で済むので、容
易に鍛造製品TPを製造できる。
【0058】この第2実施例にあっても、左右の鍛造パ
ンチ20L、20Rによる鍛造パンチに際し、第1実施
例の変形例と同様、パンチ全体での鍛造パンチの省略、
アウターパンチの鍛造パンチに続くインナーパンチの鍛
造パンチ実行等を図るようにすることもできる。
【0059】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種
々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の一実施の形態にかかる第1実施例の閉塞
鍛造装置10の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施例の閉塞鍛造工程の前半部分を説明す
る説明図である。
【図3】この閉塞鍛造工程の後半部分を説明する説明図
である。
【図4】鍛造パンチの際の面積減少率とそのストローク
(有底孔深さ)並びにパンチ圧力の関係を説明する説明
図である。
【図5】第2実施例における閉塞鍛造品の一連の製造工
程のうち、その前半部分を説明する説明図である。
【図6】この製造工程の後半部分を説明する説明図であ
る。
【符号の説明】
10…閉塞鍛造装置 20…鍛造パンチ 20L、20R…鍛造パンチ 21…アウターパンチ 21L、21R…アウターパンチ 21a…貫通孔 22…インナーパンチ 22L、22R…インナーパンチ 23…パンチ駆動シリンダ 24…パンチ駆動シリンダ 25…油圧制御装置 26…油圧制御装置 27…油タンク 28…電子制御装置 30…打ち抜きパンチ B…鍛造ブロック材 K…閉塞鍛造金型 Kk…キャビティ Ri…隆起部 TP…鍛造製品 Yo…有底孔 TPs…中間鍛造製品 PN…抜き屑 NS…貫通孔
フロントページの続き (72)発明者 内尾 健司 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 4E087 AA10 CA14 CA24 EC13 EC19 HB05

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 閉塞鍛造金型が形成するキャビティにセ
    ットされた鍛造可能な鍛造材料に対して押圧され、有底
    孔を有する鍛造製品を形成するための閉塞鍛造用のパン
    チであって、 前記有底孔の内周壁面形状と合致する外周壁面形状と前
    記押圧方向に沿った貫通孔とを備え、前記キャビティの
    前記鍛造材料に対して押圧駆動可能とされるアウターパ
    ンチと、 前記貫通孔に配設され、前記貫通孔周壁を摺動して前記
    キャビティの前記鍛造材料に対して押圧駆動可能とされ
    るインナーパンチとを備えることを特徴とする閉塞鍛造
    用パンチ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の閉塞鍛造用パンチであっ
    て、 前記貫通孔は、前記アウターパンチの中央に空けられて
    いる、閉塞鍛造用パンチ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の閉塞鍛造
    用パンチであって、 前記アウターパンチは、 前記鍛造材料を押圧する有効パンチ断面積をSo、前記
    貫通孔の断面積をSh、前記キャビティの断面積をSk
    としたとき、SGo=(Sk−S0)/Skで定義され
    る面積減少率SGoが約0.4≦SGo≦約0.7であ
    り、SGa=(Sk−(So+Sh))/Skで定義さ
    れる面積減少率SGaが約0.8≦SGa≦約0.9で
    あるように形成されている、閉塞鍛造用パンチ。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の閉塞鍛造
    用パンチであって、 前記インナーパンチは、 前記鍛造材料を押圧する有効パンチ断面積をSi、前記
    キャビティの断面積をSk、前記アウターパンチの前記
    鍛造材料を押圧する有効パンチ断面積をSoとしたと
    き、SGi=(Sk−Si)/Skで定義される面積減
    少率SGiが約0.4≦SGi≦約0.7であり、SG
    a=(Sk−(So+Si))/Skで定義される面積
    減少率SGaが約0.8≦SGa≦約0.9であるよう
    に形成されている、閉塞鍛造用パンチ。
  5. 【請求項5】 有底孔を有する鍛造製品を鍛造可能な鍛
    造材料から形成する閉塞鍛造装置であって、 前記鍛造材料がセットされるキャビティを形成する閉塞
    鍛造金型と、 前記キャビティにセットされた鍛造材料に対して押圧さ
    れ、前記有底孔を形成するための閉塞鍛造用パンチと、 該閉塞鍛造用パンチを押圧駆動する駆動手段とを備え、 前記閉塞鍛造用パンチは、請求項1ないし請求項4いず
    れか記載の閉塞鍛造用パンチから構成され、 前記駆動手段は、前記アウターパンチと前記インナーパ
    ンチの少なくとも一方を単独で押圧駆動することを特徴
    とする閉塞鍛造装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の閉塞鍛造装置であって、 前記駆動手段は、前記アウターパンチと前記インナーパ
    ンチの単独駆動に先立ち、前記アウターパンチと前記イ
    ンナーパンチとを一体にして前記鍛造材料に対して押圧
    駆動する、閉塞鍛造装置。
  7. 【請求項7】 請求項5または請求項6記載の閉塞鍛造
    装置であって、 前記駆動手段は、前記アウターパンチと前記インナーパ
    ンチの単独駆動の際、前記アウターパンチの押圧駆動を
    優先実行する、閉塞鍛造装置。
  8. 【請求項8】 貫通孔を有する鍛造製品を鍛造可能な鍛
    造材料から形成する閉塞鍛造装置であって、 前記鍛造材料がセットされるキャビティを形成する閉塞
    鍛造金型と、 前記キャビティにセットされた鍛造材料に対して対向し
    て配置され、該セット済みの鍛造材料に対して両側から
    押圧されて、有底孔をその底部を対向させて形成するた
    めの第1、第2の閉塞鍛造用パンチと、 該第1、第2の閉塞鍛造用パンチをそれぞれ押圧駆動す
    る第1、第2の駆動手段と、 前記対向形成された有底孔の底部を除去する除去手段と
    を備え、 前記第1、第2の閉塞鍛造装置パンチは、請求項1ない
    し請求項4いずれか記載の閉塞鍛造用パンチから構成さ
    れ、 前記第1、第2の駆動手段は、前記アウターパンチと前
    記インナーパンチの少なくとも一方を単独で押圧駆動す
    ることを特徴とする閉塞鍛造装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の閉塞鍛造装置であって、 前記第1、第2の駆動手段は、前記アウターパンチと前
    記インナーパンチの単独駆動に先立ち、前記アウターパ
    ンチと前記インナーパンチとを一体にして前記鍛造材料
    に対して押圧駆動する、閉塞鍛造装置。
  10. 【請求項10】 請求項8または請求項9記載の閉塞鍛
    造装置であって、 前記第1、第2の駆動手段は、前記アウターパンチと前
    記インナーパンチの単独駆動の際、前記アウターパンチ
    の押圧駆動を優先実行する、閉塞鍛造装置。
  11. 【請求項11】 請求項8ないし請求項10いずれか記
    載の閉塞鍛造装置であって、 前記除去手段は、前記対向形成された有底孔の底部を打
    ち抜き除去する、閉塞鍛造装置。
  12. 【請求項12】 有底孔を有する鍛造製品を鍛造可能な
    鍛造材料から製造する製造方法であって、 前記鍛造材料がセットされるキャビティを形成する閉塞
    鍛造金型に前記鍛造材料をセットし、前記閉塞鍛造金型
    を型締めする第1行程と、 前記キャビティにセットされた鍛造材料に対して、前記
    有底孔を形成するための閉塞鍛造用パンチを押圧する第
    2行程とを備え、 前記第2行程では、 前記閉塞鍛造装置パンチとして、請求項1ないし請求項
    4いずれか記載の閉塞鍛造用パンチを用い、 前記閉塞鍛造用パンチの有する前記アウターパンチと前
    記インナーパンチの少なくとも一方を単独で押圧駆動す
    ることを特徴とする閉塞鍛造品の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の閉塞鍛造品の製造方
    法であって、 前記第2行程では、 前記アウターパンチと前記インナーパンチの単独駆動に
    先立ち、前記アウターパンチと前記インナーパンチとを
    一体にして前記鍛造材料に対して押圧駆動する、閉塞鍛
    造品の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項12または請求項13記載の閉
    塞鍛造品の製造方法であって、 前記第2行程では、 前記アウターパンチと前記インナーパンチの単独駆動の
    際、前記アウターパンチの押圧駆動を優先実行する、閉
    塞鍛造品の製造方法。
  15. 【請求項15】 貫通孔を有する鍛造製品を鍛造可能な
    鍛造材料から製造する製造方法であって、 前記鍛造材料がセットされるキャビティを形成する閉塞
    鍛造金型に前記鍛造材料をセットし、前記閉塞鍛造金型
    を型締めする第1行程と、 前記キャビティにセットされた鍛造材料に対して対向し
    て配置され該セット済みの鍛造材料に対して両側から押
    圧される第1、第2の閉塞鍛造用パンチを、前記セット
    済みの鍛造材料に対向して押圧し、有底孔をその底部を
    対向させて形成する第2行程と、 前記対向形成された有底孔の底部を除去する第3行程と
    を備え、 前記第2行程では、 前記第1、第2の閉塞鍛造装置パンチとして、請求項1
    ないし請求項4いずれか記載の閉塞鍛造用パンチを用
    い、 前記第1、第2の閉塞鍛造用パンチの有する前記アウタ
    ーパンチと前記インナーパンチの少なくとも一方を単独
    で押圧駆動することを特徴とする閉塞鍛造品の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 請求項15記載の閉塞鍛造品の製造方
    法であって、 前記第2行程は、 前記第1、第2の閉塞鍛造用パンチの前記アウターパン
    チと前記インナーパンチの単独駆動に先立ち、前記アウ
    ターパンチと前記インナーパンチとを一体にして前記鍛
    造材料に対して押圧駆動する、閉塞鍛造品の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項15記載の閉塞鍛造品の製造方
    法であって、 前記第2行程は、 前記第1、第2の閉塞鍛造用パンチにおける前記アウタ
    ーパンチと前記インナーパンチの単独駆動の際、前記ア
    ウターパンチの押圧駆動を優先実行する、閉塞鍛造品の
    製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項15ないし請求項17いずれか
    記載の閉塞鍛造品の製造方法であって、 前記第3行程は、前記対向形成された有底孔の底部を打
    ち抜き除去する、閉塞鍛造品の製造方法。
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