JP2002282350A - 潤滑性医療用器具及びその製造方法 - Google Patents

潤滑性医療用器具及びその製造方法

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JP2002282350A
JP2002282350A JP2001092597A JP2001092597A JP2002282350A JP 2002282350 A JP2002282350 A JP 2002282350A JP 2001092597 A JP2001092597 A JP 2001092597A JP 2001092597 A JP2001092597 A JP 2001092597A JP 2002282350 A JP2002282350 A JP 2002282350A
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Yuji Kumai
裕司 熊井
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】架橋剤や触媒などを使用することなく、常温に
おける処理により、表面に良好な潤滑性が付与された潤
滑性医療用器具及びその製造方法を提供する。 【解決手段】体内に挿入して使用する医療用器具であっ
て、医療用器具の表面がエチレンオキサイド単位80〜
99モル%及びオキシラン環と炭素−炭素不飽和二重結
合とを有する単量体単位1〜20モル%を有する共重合
体の架橋物により被覆されてなることを特徴とする潤滑
性医療用器具、並びに、医療用器具の表面に、エチレン
オキサイド単位80〜99モル%及びオキシラン環と炭
素−炭素不飽和二重結合とを有する単量体単位1〜20
モル%を有する共重合体を付着させたのち、放射線を照
射することにより、該共重合体を架橋することを特徴と
する潤滑性医療用器具の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑性医療用器具
及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明
は、架橋剤や触媒などを使用することなく、常温におけ
る処理により、表面に良好な潤滑性が付与された潤滑性
医療用器具及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガイドワイヤやバルーンカテーテルなど
の医療用器具は、体内に挿入して使用するときの摩擦抵
抗が小さいことが必要である。そのために、医療用器具
の表面に親水性高分子材料を結合し、表面に湿潤性を付
与することが検討されている。例えば、特開昭58−1
93766号公報には、水ベース液体で濡らされた場合
に低い摩擦係数を有する親水性コーティングの調製方法
としして、2個の未反応イソシアネート基を有する化合
物を重合体表面に適用して溶媒を蒸発させ、次いでポリ
エチレンオキサイドを含有する溶液を適用して溶媒を蒸
発させたのち、高温でコーティングを硬化させる方法が
提案されている。また、特開平1−195863号公報
には、湿潤状態で使用されたとき、挿入時の摩擦抵抗が
小さく、持続性、保存性が良好な医療用具として、医療
用具の基材の表面に反応性官能基が存在するよう下地層
を形成したのち、水溶性高分子物質で処理する湿潤時に
潤滑性を有する医療用具の製造方法が提案され、例え
ば、軟質塩化ビニルをジフェニルエタンジイソシアネー
トのメチルエチルケトン溶液に浸漬し、60℃で30分
間乾燥したのち、メチルビニルエーテル−無水マレイン
酸共重合体のメチルエチルケトン溶液に浸漬し、60℃
で2時間乾燥する処理が例示されている。しかし、これ
らの方法では、ジフェニルメタンジイソシアネートの有
機溶媒溶液を用いて、比較的高温で反応するために、有
機溶媒の使用による安全衛生上の懸念と、高温による医
療用器具材料の物理的特性の劣化を生ずるおそれがあっ
た。さらに、特開2000−197692号公報には、
体内に挿入して使用される医療用器具の表面に、比較的
低温で処理することにより湿潤性を付与する方法とし
て、医療用具の基材の表面とジイソシアナート化合物と
を接触させ、次に、ポリエチレンオキサイド及びジシク
ロアミジン化合物と接触させる医療用具表面の湿潤性付
与方法が提案されている。この方法によれば、30〜4
0℃の比較的低温の処理で、医療用具の基材の表面にポ
リエチレンオキサイドを固定化することができるが、ジ
イソシアネート化合物やジシクロアミジン化合物を使用
するという問題はなお残されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、架橋剤や触
媒などを使用することなく、常温における処理により、
表面に良好な潤滑性が付与された潤滑性医療用器具及び
その製造方法を提供することを目的としてなされたもの
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、医療用器具の表面
に架橋性二重結合を有する親水性高分子材料を付着させ
たのち、放射線を照射して該共重合体を架橋することに
より、架橋剤や触媒などを使用することなく、常温にお
ける処理により、医療用器具の表面に良好な潤滑性を付
与し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を
完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)体内に
挿入して使用する医療用器具であって、医療用器具の表
面がエチレンオキサイド単位80〜99モル%及びオキ
シラン環と炭素−炭素不飽和二重結合とを有する単量体
単位1〜20モル%を有する共重合体の架橋物により被
覆されてなることを特徴とする潤滑性医療用器具、
(2)医療用器具が、先端側内芯部、本体側内芯部及び
後端側内芯部からなり、軸方向に延在する金属製芯線を
有する医療用ガイドワイヤであって、表面が共重合体の
架橋物により被覆されてなる第1項記載の潤滑性医療用
器具、(3)医療用器具が、カテーテル管及びカテーテ
ル管の遠位端部に取り付けられたバルーン部を有するバ
ルーンカテーテルであって、カテーテル管の表面及び/
又はバルーン部が、共重合体の架橋物により被覆されて
なる第1項記載の潤滑性医療用器具、及び、(4)医療
用器具の表面に、エチレンオキサイド単位80〜99モ
ル%及びオキシラン環と炭素−炭素不飽和二重結合とを
有する単量体単位1〜20モル%を有する共重合体を付
着させたのち、放射線を照射することにより、該共重合
体を架橋することを特徴とする潤滑性医療用器具の製造
方法、を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の潤滑性医療用器具は、体
内に挿入して使用する医療用器具であって、医療用器具
の表面がエチレンオキサイド単位及びオキシラン環と炭
素−炭素不飽和二重結合とを有する単量体単位を有する
共重合体の架橋物により被覆されてなる医療用器具であ
る。体内に挿入して使用する医療用器具としては、例え
ば、ガイドワイヤ、シースイントロデューサ、ステン
ト、導尿のための膀胱カテーテル、腹腔・胸腔穿刺用カ
テーテル、脳室ドレナージカテーテル、心・血管疾患診
断用のX線不透過性の血管内カテーテル、輸液用及び静
脈圧測定用の中心静脈カテーテル、先端にバルーンをつ
け、末梢血管より心臓に進めて検査又は治療を行うバル
ーンカテーテルなどを挙げることができる。本発明に用
いる共重合体を構成するオキシラン環と炭素−炭素不飽
和二重結合とを有する単量体に特に制限はなく、例え
ば、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエー
テル、メタリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレートなどを挙げることが
できる。本発明に用いる共重合体は、エチレンオキサイ
ド単位及びオキシラン環と炭素−炭素二重結合とを有す
る単量体単位以外の他の単量体単位を有する三元以上の
共重合体とすることができる。他の単量体としては、例
えば、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタ
ン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタ
ン、2,3−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサ
ン、2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサ
ン、シクロヘキセンオキシドなどの環状エーテル、トリ
オキサン、1,3−ジオキソランなどの環状アセター
ル、β−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどの環
状エステルなどを挙げることができる。他の単量体を共
重合することにより、共重合体の結晶性を低下させ、医
療用器具の表面に良好な皮膜を形成することができる。
【0006】本発明に用いる共重合体は、エチレンオキ
サイド単位80〜99モル%、より好ましくは85〜9
2モル%、オキシラン環と炭素−炭素不飽和二重結合と
を有する単量体単位1〜20モル%、より好ましくは2
〜10モル%を有する。他の単量体単位は、0〜20モ
ル%を有することが好ましく、1〜10モル%を有する
ことがより好ましい。エチレンオキサイド単位が80モ
ル%未満であると、医療用器具の表面に十分な湿潤性が
付与されず、潤滑性が不足するおそれがある。エチレン
オキサイド単位が99モル%を超えると、共重合体の結
晶性が強くなって医療用器具の表面に良好な皮膜を形成
することが困難になるとともに、架橋性の単量体単位の
量が減って、十分な強度を有する架橋物の形成が困難に
なるおそれがある。オキシラン環と炭素−炭素不飽和二
重結合とを有する単量体単位が1モル%未満であると、
十分な強度を有する架橋物の形成が困難になるおそれが
ある。オキシラン環と炭素−炭素不飽和二重結合とを有
する単量体単位が20モル%を超えると、共重合体がゲ
ル化しやすくなるおそれがある。他の単量体単位が20
モル%を超えると、医療用器具の表面に十分な湿潤性が
付与されず、潤滑性が不足するおそれがある。
【0007】本発明において、医療用器具の表面を上記
の共重合体の架橋物で被覆する方法に特に制限はなく、
例えば、医療用器具の表面に共重合体の皮膜を形成した
のち、共重合体を架橋させることにより、医療用器具の
表面を共重合体の架橋物で被覆することができる。医療
用器具の表面に共重合体の皮膜を形成する方法に特に制
限はなく、例えば、共重合体の水溶液又は共重合体の有
機溶媒溶液に医療用器具を浸漬したのち、乾燥すること
により、医療用器具の表面に共重合体の皮膜を形成する
ことができ、あるいは、医療用器具がガイドワイヤなど
のように線状の形状を有するときは、押出コーティング
により医療用器具の表面に皮膜を形成することもでき
る。本発明において、共重合体の架橋方法に特に制限は
なく、例えば、加熱により架橋することができ、あるい
は、放射線照射により架橋することもできる。これらの
中で、放射線照射による架橋は、常温で行うことがで
き、加熱により医療用器具に損傷を与えるおそれがない
ので、好適に実施することができる。使用する放射線に
特に制限はなく、例えば、X線、α線、β線、γ線、電
子線、中性子線などを挙げることができる。これらの中
で、γ線及び電子線を特に好適に用いることができる。
オキシラン環と炭素−炭素不飽和二重結合とを有する単
量体は、オキシラン環が開環してエチレンオキサイドと
共重合し、炭素−炭素二重結合が共重合体中に残存する
ので、炭素−炭素二重結合どうしの反応により、共重合
体の架橋物を形成することができる。なお、医療用器具
にγ線を照射することにより、医療用器具を滅菌処理す
る効果も付随的に得られる。本発明においては、医療用
器具の表面を、上記の共重合体の架橋物により直接被覆
することができ、あるいは、医療用器具の表面にポリウ
レタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂
層を形成したのち、この合成樹脂層を上記の共重合体の
架橋物で被覆することもできる。
【0008】本発明は、医療用ガイドワイヤ及びバルー
ンカテーテルに特に好適に適用することができる。医療
用ガイドワイヤは、先端側内芯部、本体側内芯部及び後
端側内芯部からなり、軸方向に延在する金属製芯線を有
する医療用器具である。ガイドワイヤは、心臓血管造
影、経皮経管冠動脈拡張術などの体腔の検査や治療を行
う際に、患者の動脈血管などの体腔内に挿入される。あ
らかじめ体腔内にガイドワイヤを挿入しておき、カテー
テルをガイドワイヤに被せるようにして導くと、カテー
テルを円滑に進めることができる。ガイドワイヤの芯線
の材質に特に制限はなく、例えば、従来から用いられて
いるステンレス鋼線材などのほか、広いひずみ範囲にわ
たって高弾性を示し、プッシャビリティ、トルク伝達
性、繰り返し挿入性などに優れたニッケル−チタン系合
金線材などを挙げることができる。ガイドワイヤの芯線
を、共重合体の架橋物により直接被覆することができ、
あるいは、ガイドワイヤの芯線を、ポリオレフィン樹
脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹
脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂などで被覆した
のち、共重合体の架橋物により被覆することもできる。
【0009】以下に本発明の医療用ガイドワイヤの1実
施形態を示して説明する。図1(A)は、本発明の実施形
態の一つである医療用ガイドワイヤの断面図である。ま
た、図1(B)は、図1(A)のI−I線における拡大断面
図である。本実施形態の医療用ガイドワイヤ1は、先端
側内芯部3、本体側内芯部4及び後端側内芯部5から芯
線2が構成され、芯線2は、ニッケル−チタン系合金ワ
イヤ等により一体に形成されている。図1(B)に示すよ
うに、芯線2の断面は円形であり、先端側内芯3は先端
に向けて連続的に外径が減少し、芯線2全体は合成樹脂
で覆われ、その外径φ1は、長手方向に同一である。芯
線2の長手方向全体の長さは、通常100〜1,000m
mである。先端側内芯部3の長さは、通常5〜30cmで
ある。芯線2の本体側内芯部4の外径φ2は、通常0.1
〜1mmである。先端側内芯部3の外径は先端方向に向け
てテーパ状に減少している。被覆された外径φ1は、通
常0.2〜1.5mmである。本実施形態では、芯線2の全
体は、ポリウレタン樹脂からなる表面層6で覆われ、さ
らにその表面は、エチレンオキサイド90モル%/プロ
ピレンオキサイド3モル%/アリルグリシジルエーテル
7モル%の共重合体の架橋物からなる親水性コート層7
が設けられる。なお、表面層6には、ポリウレタン10
0重量部に対して、硫酸バリウム粉、タングステン粉等
の高エックス線造影材5〜60重量部を配合してある。
本実施形態の医療用ガイドワイヤの表面に、前記共重合
体の架橋物からなる親水性コート層7を設ける方法とし
ては特に限定されないが、例えば以下の方法を採用する
ことができる。予め、エチレンオキサイド90モル%/
プロピレンオキサイド3モル%/アリルグリシジルエー
テル7モル%の共重合体[日本ゼオン株式会社製、ゼオ
スパン8100]の10w/v%エタノール溶液を調製
し、この溶液内に全長150cmの前記医療用ガイドワイ
ヤを浸漬し、1cm/sの速度で引き上げ、室温で風乾し
た。次に、前記医療用ガイドワイヤの表面をγ線照射装
置[(株)コーガアイソトープ製]を用いて、室温でγ線
を50kGy照射し、表面の共重合体を架橋させた。走
査型電子顕微鏡を用いて前記医療用ガイドワイヤの表面
を被覆した共重合体の架橋物の厚さを測定したところ、
約5μmであった。
【0010】バルーンカテーテルは、カテーテル管及び
カテーテル管の遠位端部に取り付けられたバルーン部を
有する。バルーンカテーテルは、カテーテル管の軸方向
内部に延在する内管を有する二重管構造のものであって
もよい。バルーンカテーテルは、末梢血管から、心臓、
大動脈、肺動脈、冠動脈などに挿入して、心内圧の測
定、採血などの検査や、冠動脈の狭窄性病変などの治療
などに用いられる。二重管構造の場合は、あらかじめ血
管内に挿入したガイドワイヤに、カテーテル管の軸方向
内部に延在する内管を被せて患部までバルーン部を導く
ことができる。バルーン部を膨張させて血管を閉塞する
ことにより、血圧の測定を行うことができる。また、バ
ルーン部を膨張させることにより、狭窄部を拡張するこ
とができる。狭窄部の拡張は、順次バルーン部の大きい
バルーンカテーテルを用いて段階的に行われる。以下に
本発明の1実施形態について説明する。図2(A)は本発
明の1実施形態に係るバルーンカテーテルの全体構成
図、図2(B)は図2(A)に示すIE−IE線に沿う断面
図を示す。図2に示す本実施形態に係るバルーンカテー
テル8は、例えば経皮的冠動脈形成術(PTCA)等に
用いられるものである。本実施形態のバルーンカテーテ
ル8は、いわゆるモノレール方式のバルーンカテーテル
であり、バルーン部9と、カテーテル管としての外チュ
ーブ10と、コネクタ11とを有する。外チューブ10
は、第1外チューブ部材10aと、接合部12にて第1
外チューブ部材10aに接合される第2外チューブ部材
10bとで構成してある。本実施形態は、内チューブの
近位端開口部が、第1外チューブ部材10aの長手方向
の途中に位置するチューブ壁を貫通して外部に開口して
あり、バルーンカテーテルの遠位端部のみが、いわゆる
同軸構造のカテーテルチューブ構造となるものである。
バルーン部9の膜厚は、通常、15〜300μmであ
る。拡張時のバルーン部9の外径は、通常1.5〜10.
0mm、軸方向長さは、通常15〜50mmである。第1外
チューブ部材10aの第1ルーメン13は、バルーン部
9の内部拡張空間に流体を送り込み、バルーン部9を拡
張させたり、流体をバルーン部9の拡張空間から抜き取
りバルーン部9を収縮させたりするための通路である。
内チューブ14の内部には、第2ルーメン15が形成し
てあり、バルーンカテーテル8を体内に案内するため
の、ガイドワイヤが挿通するガイドワイヤ挿入用ルーメ
ンとなる。内チューブ14の近位端開口部が第1外チュ
ーブ部材10aの外側に開口する位置は、第1外チュー
ブ部材10aの遠位端から長さL1の位置であることが
好ましく、長さL1は、通常150〜350mmである。
第1外チューブ部材10aの外径は、特に限定されない
が、通常0.5〜5mmである。第1外チューブ部材10
aの肉厚は、特に限定されないが、通常0.05〜0.5
mmである。内チューブ14の外径は、特に限定されない
が、通常0.3〜3mmである。内チューブ14の内径
は、ガイドワイヤを挿通できる径であれば特に限定され
ず、通常0.5〜1.0mmである。
【0011】バルーン部9を構成する材料は、例えば、
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プ
ロピレン共重合樹脂、エチレンと他のα−オレフィンと
の共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等が
挙げられる。本実施形態では、ポリウレタン樹脂製のバ
ルーンが用いられている。前記外チューブ10に使用さ
れる材料は、例えば、オレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、
ポリ塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂;ポリイミド樹脂
等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。本実施形態では、ポ
リエチレン樹脂製の外チューブが用いられている。前記
ポリエチレン樹脂製の外チューブ10の表面は、前述し
た医療用ガイドワイヤの表面と同様に、エチレンオキサ
イド90モル%/プロピレンオキサイド3モル%/アリ
ルグリシジルエーテル7モル%の共重合体[日本ゼオン
株式会社製、ゼオスパン8100]の架橋物で被覆され
ている。なお、走査型電子顕微鏡を用いて前記外チュー
ブ10の表面を被覆した共重合体の架橋物の厚さを測定
したところ、約5μmであった。本発明の潤滑性医療用
器具の製造方法によれば、高温処理を必要とせず、特殊
な架橋剤などを使用することなく、コーティングと放射
線照射のみの簡単な処理により、医療用器具に潤滑性を
付与することができる。本発明の潤滑性医療用器具は、
優れた潤滑性を有し、特に医療用ガイドワイヤ及びバル
ーンカテーテルとして好適に用いることができる。
【0012】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 実施形態で説明した前記バルーンカテーテルの外チュー
ブから、長さ10cmのサンプル5本を切り出した。幅5
cm、長さ25cm、厚さ1cmの加硫ゴムシートの表面に形
成された幅0.5cm、深さ0.2cm、長さ25cmのV字形
の溝にサンプルを載置し、37℃の水槽に浸漬し、V字
形の溝が傾斜するように加硫ゴムシートの一端を徐々に
持ち上げ、サンプルが滑り落ちはじめるときの傾斜角度
を測定した。5個のサンプルについての平均値は、17
度であった。 比較例1 実施例1で用いた外チューブと同質の外チューブから、
長さ10cmのサンプル5本を切り出し、実施例1と同様
にして、サンプルが滑り落ちはじめるときの傾斜角度を
測定した。5個のサンプルについての平均値は、60度
であった。実施例1と比較例1の結果を比較すると、ポ
リウレタン樹脂の表面がエチレンオキサイド−プロピレ
ンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体の架
橋物で被覆された実施例1のサンプルは、表面がポリウ
レタン樹脂のままの比較例1のサンプルよりも、はるか
に小さい角度の傾斜で滑り落ちはじめ、優れた潤滑性が
付与されていることが分かる。
【0013】
【発明の効果】本発明方法によれば、高温処理を必要と
せず、架橋剤や触媒などを使用することなく、コーティ
ングと放射線照射のみの簡単な処理により、医療用器具
に潤滑性を付与することができる。本発明の潤滑性医療
用器具は、優れた潤滑性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の潤滑性医療用器具の一態様の
断面図である。
【図2】図2は、本発明の潤滑性医療用器具の一態様の
全体構成図及び断面図である。
【符号の説明】
1 医療用ガイドワイヤ 2 芯線 3 先端側内芯部 4 本体側内芯部 5 後端側内芯部 6 表面層 7 親水性コート層 8 バルーンカテーテル 9 バルーン部 10 外チューブ 10a 第1外チューブ部材 10b 第2外チューブ部材 11 コネクタ 12 接合部 13 第1ルーメン 14 内チューブ 15 第2ルーメン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61M 25/01 A61M 25/00 450B Fターム(参考) 4C081 AC08 AC10 BB05 CA181 CC01 CC06 DA03 DB07 DC03 EA06 4C167 AA01 AA06 AA15 AA28 AA50 BB03 BB06 BB10 BB11 BB13 BB29 CC04 FF01 FF03 FF05 GG02 GG04 GG05 GG06 GG07 GG08 GG09 GG10 GG24 HH14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】体内に挿入して使用する医療用器具であっ
    て、医療用器具の表面がエチレンオキサイド単位80〜
    99モル%及びオキシラン環と炭素−炭素不飽和二重結
    合とを有する単量体単位1〜20モル%を有する共重合
    体の架橋物により被覆されてなることを特徴とする潤滑
    性医療用器具。
  2. 【請求項2】医療用器具が、先端側内芯部、本体側内芯
    部及び後端側内芯部からなり、軸方向に延在する金属製
    芯線を有する医療用ガイドワイヤであって、表面が共重
    合体の架橋物により被覆されてなる請求項1記載の潤滑
    性医療用器具。
  3. 【請求項3】医療用器具が、カテーテル管及びカテーテ
    ル管の遠位端部に取り付けられたバルーン部を有するバ
    ルーンカテーテルであって、カテーテル管の表面及び/
    又はバルーン部が、共重合体の架橋物により被覆されて
    なる請求項1記載の潤滑性医療用器具。
  4. 【請求項4】医療用器具の表面に、エチレンオキサイド
    単位80〜99モル%及びオキシラン環と炭素−炭素不
    飽和二重結合とを有する単量体単位1〜20モル%を有
    する共重合体を付着させたのち、放射線を照射すること
    により、該共重合体を架橋することを特徴とする潤滑性
    医療用器具の製造方法。
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