JP2002280086A - 色素増感型太陽電池の再生方法 - Google Patents
色素増感型太陽電池の再生方法Info
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Abstract
増感型太陽電池の発電コストを引き下げることができる
色素増感型太陽電池の再生方法を提供すること。 【解決手段】酸化物半導体電極材料に色素を吸着させて
なる酸化物半導体電極を有する色素増感型太陽電池にお
いて、酸性の水溶液、塩基性の水溶液、有機溶媒から選
ばれる少なくとも1つを用いた洗浄液で前記酸化物半導
体電極を洗浄する洗浄工程S4を行った後に、前記酸化
物半導体電極に色素を再吸着させる色素吸着工程S5を
行うことを特徴とする色素増感型太陽電池の再生方法と
する。
Description
池の再生方法に関するものであり、とくに、色素増感型
太陽電池の寿命を長くして色素増感型太陽電池の発電コ
ストを引き下げることができる色素増感型太陽電池の再
生方法に関するものである。
増感型太陽電池は、酸化物半導体電極材料に色素を吸着
させてなる酸化物半導体電極と対向電極とを、本体内に
電解質を介して対向配置させてなるものであり、液体ま
たは擬液体状で電解質を含む電解液が本体内に封止され
た構造となっている。このような色素増感型太陽電池
は、シリコン、GaAs等を用いた従来の太陽電池と比
べて、発電コストが安くなると試算されている。
は、以下に述べる理由により、色素増感型太陽電池の発
電コストを安くすることは困難となっている。色素増感
型太陽電池は、本体内に封止されている電解液を完全に
封止することが非常に難しい。このため、使用時間の経
過に伴って蒸発や液漏れ等により電解液が減少してしま
う。そして、電解液の減少により電解液がなくなった気
泡部分では、急激な色素の分解が生じて、太陽電池とし
ての性能が劣化してしまう。また、電解液や色素の自然
劣化によりガスが発生し、本体内の圧力が増加して、本
体の破損や液漏れを引き起こす場合があった。これらの
ことにより、色素増感型太陽電池の長期使用は困難とな
っている。したがって、色素増感型太陽電池の寿命は短
く、色素増感型太陽電池の発電コストを引き上げる原因
となっていた。
ので、色素増感型太陽電池の寿命を長くして色素増感型
太陽電池の発電コストを引き下げることができる色素増
感型太陽電池の再生方法を提供することを課題としてい
る。
に、本発明の色素増感型太陽電池の再生方法は、酸化物
半導体電極材料に色素を吸着させてなる酸化物半導体電
極を有する色素増感型太陽電池において、酸性の水溶
液、塩基性の水溶液、有機溶媒から選ばれる少なくとも
1つを用いた洗浄液で前記酸化物半導体電極を洗浄する
洗浄工程を行った後に、前記酸化物半導体電極に色素を
再吸着させる色素吸着工程を行うことを特徴とする。こ
のような色素増感型太陽電池の再生方法においては、前
記洗浄工程と前記色素吸着工程とを行うことにより色素
を交換することができ、酸化物半導体電極そのものを交
換することなく色素増感型太陽電池を再生することがで
きる。そして、色素増感型太陽電池を再生することによ
り、色素増感型太陽電池の寿命を伸ばすことができ、発
電コストを大幅に引き下げることができる。
方法においては、前記色素増感型太陽電池は、液体成分
の出し入れ口を有する本体内に、前記酸化物半導体電極
が備えられたものであり、前記洗浄工程を、前記出し入
れ口を介して前記洗浄液を出し入れすることにより行
い、前記色素吸着工程を、前記出し入れ口を介して色素
を含んだ溶媒を出し入れすることにより行うことを特徴
とする再生方法であってもよい。このような色素増感型
太陽電池の再生方法によれば、前記洗浄液や色素を含ん
だ溶媒を前記出し入れ口を介して出し入れすることによ
り、前記洗浄工程と前記色素吸着工程とを行って、色素
を交換することができるので、色素増感型太陽電池その
ものを分解、交換することなく、容易に色素増感型太陽
電池の再生を行うことができる。したがって、容易に色
素増感型太陽電池の寿命を伸ばすことができ、発電コス
トをより一層大幅に引き下げることができる。
方法においては、前記酸性の水溶液が、塩酸、硝酸、リ
ン酸、ホウ酸、炭酸、有機酸の水溶液から選ばれる少な
くとも1つのうち少なくとも1つであることが望まし
い。このような色素増感型太陽電池の再生方法とするこ
とで、酸化物半導体電極に悪影響を与えることなく、前
記酸化物半導体電極をより一層効果的に洗浄することが
できる。このため、交換される色素の割合が増加して、
再生することによる効果がより一層高まり、優れた性能
を有する再生後の色素増感型太陽電池を得ることができ
る。
方法においては、前記塩基性の水溶液が、アンモニア、
ピリジン、周期表1A族、2A族の金属の水酸化物の水
溶液から選ばれる少なくとも1つであることが望まし
い。このような色素増感型太陽電池の再生方法とするこ
とで、酸化物半導体電極に悪影響を与えることなく、前
記酸化物半導体電極をより一層効果的に洗浄することが
できる。このため、交換される電解質および色素の割合
が増加して、再生することによる効果がより一層高ま
り、優れた性能を有する再生後の色素増感型太陽電池を
得ることができる。
方法においては、前記有機溶媒が、ニトリル、アルコー
ル、カーボネート、ハロゲン化炭化水素類から選ばれる
少なくとも1つであることが望ましい。このような色素
増感型太陽電池の再生方法とすることで、酸化物半導体
電極に悪影響を与えることなく、前記酸化物半導体電極
をより一層効果的に洗浄することができる。このため、
交換される電解質および色素の割合が増加して、再生す
ることによる効果がより一層高まり、優れた性能を有す
る再生後の色素増感型太陽電池を得ることができる。
の色素増感型太陽電池の再生方法は、酸化物半導体電極
材料に色素を吸着させてなる酸化物半導体電極を有する
色素増感型太陽電池において、前記酸化物半導体電極を
100℃〜600℃の温度で加熱する加熱工程を行った
後に、前記酸化物半導体電極に色素を再吸着させる色素
吸着工程を行うことを特徴とする。このような色素増感
型太陽電池の再生方法においては、前記加熱工程と前記
色素吸着工程とを行うことにより色素を交換することが
でき、酸化物半導体電極そのものを交換することなく色
素増感型太陽電池を再生することができる。また、加熱
工程を行うことにより、交換前の色素や酸化物半導体電
極に残留している交換前の電解質を蒸発・昇華させて除
去することができる。このため、再生することによる効
果が高く、優れた性能を有する再生後の色素増感型太陽
電池を得ることができる。
の色素増感型太陽電池の再生方法は、酸化物半導体電極
材料に色素を吸着させてなる酸化物半導体電極を有する
色素増感型太陽電池において、前記酸化物半導体電極に
紫外線を照射した後に、前記酸化物半導体電極に色素を
再吸着させる色素吸着工程を行うことを特徴とする。こ
のような色素増感型太陽電池の再生方法においては、酸
化物半導体電極に紫外線を照射した後に前記色素吸着工
程を行うことにより、色素を交換することができ、酸化
物半導体電極そのものを交換することなく色素増感型太
陽電池を再生することができる。また、このような色素
増感型太陽電池の再生方法では、酸化物半導体が光触媒
と同様に働いて色素を分解するという作用や、色素が光
分解する作用を利用して色素を分解することができるの
で、交換前の色素を効果的に除去することができる。こ
のため、交換される色素の割合が多く、再生することに
よる効果が高いため、優れた性能を有する再生後の色素
増感型太陽電池を得ることができる。とくに、この色素
増感型太陽電池の再生方法は、酸化物半導体がTiO2
やTa2O5などの光触媒と同様に働き、紫外線の照射に
より強力な酸化力が得られる材質からなるものである場
合には非常に有効である。
の色素増感型太陽電池の再生方法の一例として、酸化物
半導体電極を洗浄液で洗浄することにより、酸化物半導
体電極から交換前の色素を除去した後、色素の再吸着を
行う再生方法について説明する。第1の実施形態におけ
る色素増感型太陽電池の再生方法では、図1に示すよう
に、まず、色素増感型太陽電池を分解[S1]して、本
体内から電解液を取り出し[S2]、酸化物半導体電極
を溶媒で洗浄して電解質を除去する第1洗浄工程を行う
[S3]。ここで使用される溶媒としては、電解質を溶
解できるものであれば特に限定されないが、例えば、ア
セトニトリル、エタノール、メタノール、水等が好まし
く用いられる。
て、酸化物半導体電極から剥離した色素や酸化物半導体
電極に吸着している色素を除去する第2洗浄工程(本発
明の特許請求の範囲における「洗浄工程」)を行う[S
4]。このとき、上述した有機溶媒による洗浄[S3]
後の酸化物半導体電極に、電解質が残っている場合に
は、この電解質も色素と一緒に除去される。ここで使用
される洗浄液としては、酸性の水溶液、塩基性の水溶
液、有機溶媒から選ばれる少なくとも1つを用いた洗浄
液が使用される。
に限定されるものではないが、ニトリル、アルコール、
カーボネート、ハロゲン化炭化水素類であることが好ま
しい。これらの有機溶媒は、単独で用いても複数混合し
て用いてもよい。ニトリルとしては、例えば、アセトニ
トリル等が用いられ、アルコールとしては、例えば、エ
タノール、メタノール等が好ましく用いられ、カーボネ
ートとしては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレ
ン、炭酸ジエチル等が用いられ、ハロゲン化炭化水素類
としては、例えば、塩化メチル、クロロフォルム等が用
いられる。
しては、特に限定されるものではないが、塩酸、硝酸、
リン酸、ホウ酸、炭酸、有機酸の水溶液であることが好
ましい。また、これら酸性の水溶液は、単独で用いても
複数混合して用いてもよい。
液としては、アンモニア、ピリジン、周期表1A族、2
A族の金属の水酸化物の水溶液であることが好ましい。
これらの塩基性の水溶液は、単独で用いても複数混合し
て用いてもよい。また、加水分解酵素を用いてもよい。
ここでの周期表1A族の金属のうち、Li、Na、Kが
好ましく、周期表2A族の金属のうち、Mg、Ca、S
rが好ましい。
基性の水溶液、有機溶媒から選ばれる1つからなる洗浄
液を別々に用いて何度も洗浄したり、酸性の水溶液、塩
基性の水溶液、有機溶媒から選ばれる2あるいは3つを
混合した洗浄液を用いて何度も洗浄する方法などにより
行われる。また、ここでの洗浄液による洗浄では、洗浄
効果を高めるために、酸化物半導体電極を損傷しない範
囲で、溶媒の沸点程度に加熱して行っても良い。また、
電位をかけることにより色素の脱離を促進しても良い。
て付着している第2洗浄工程の洗浄液を除去する第3洗
浄工程[S5]を行う。ここで使用される溶媒は、第2
洗浄工程の洗浄液成分を溶解できるものであれば特に限
定されないが、例えば、水、アルコール、ニトリルなど
が好適に用いられる。その後、酸化物半導体電極に吸着
している水分を除去する乾燥工程[S6]を行う。酸化
物半導体電極の乾燥には、ホットガン、ホットプレー
ト、電気炉などにより酸化物半導体電極を50℃〜60
0℃に加熱する方法が望ましい。ただし、第3洗浄工程
[S5]において、洗浄液に水を使用しない場合には、
乾燥工程[S6]を省略してもよい。
吸着させる色素吸着工程[S7]を行う。再吸着の方法
としては、洗浄により除去した色素を吸着させた際に用
いた方法と同様の方法などにより行うことができ、例え
ば、溶媒中に溶解した色素を、酸化物半導体電極に接触
させる方法などにより行うことができる。また、再吸着
させる色素は、洗浄により除去した色素と同じ種類のも
のでもよいし、異なる種類のものでもかまわない。その
後、色素増感型太陽電池を組み立て[S8]て、本体内
に新しい電解液を注入する[S9]ことにより、色素増
感型太陽電池が再生される。
では、酸化物半導体電極を洗浄液で洗浄する第2洗浄工
程[S4]と前記酸化物半導体電極に色素を再吸着させ
る色素吸着工程[S7]とを行うことにより色素を交換
することができ、酸化物半導体電極そのものを交換する
ことなく、色素増感型太陽電池を再生することができ
る。そして、色素増感型太陽電池を再生することによ
り、色素増感型太陽電池の寿命を伸ばすことができ、発
電コストを大幅に引き下げることができる。
液として、有機溶媒を用いることにより、酸化物半導体
電極から剥離した色素を除去することができる。また、
色素は、エステル結合やイオン結合などにより酸化物半
導体表面と結合していることが多い。このため、洗浄液
として、酸性の水溶液または塩基性の水溶液を用いた
り、酸性の水溶液または塩基性の水溶液と上述した有機
溶媒とを混合したものを用いることにより、酸化物半導
体電極に吸着している色素をも除去することができ、酸
化物半導体電極をより一層効果的に洗浄することができ
る。さらに、上記の洗浄液は、酸化物半導体電極に悪影
響を与えることがない。
態が上述した第1の実施形態と異なるところは、図2に
示すように、第1の実施形態における第2洗浄工程[S
4]の代わりに、酸化物半導体電極に紫外線を照射する
工程[S10]を有するところである。酸化物半導体電
極表面に紫外線を照射する工程[S10]において、色
素は、前記酸化物半導体電極を構成する酸化物半導体が
光触媒と同様に働くことによって得られる酸化力により
分解される。このとき、分解を促進するために、電位を
かけたり、過酸化水素など酸化剤を添加したりしてもよ
い。とくに、この色素増感型太陽電池の再生方法は、酸
化物半導体がTiO2やTa2O5などの光触媒と同様に
働き、紫外線の照射により強力な酸化力が得られる材質
からなるものである場合には非常に有効である。
では、酸化物半導体電極に紫外線を照射するため、酸化
物半導体が光触媒と同様に働いて色素を分解することが
できる。そして、分解後に第3洗浄工程を行うことによ
り、交換前の色素をより一層効果的に除去することがで
き、前記酸化物半導体電極をより一層効果的に洗浄する
ことができる。このため、交換される色素の割合が増加
し、再生することによる効果がより一層高まり、優れた
性能を有する再生後の色素増感型太陽電池を得ることが
できる。
態が上述した第1の実施形態と異なるところは、図3に
示すように、第1の実施形態における第2洗浄工程[S
4]の代わりに、酸化物半導体電極を加熱する加熱工程
[S11]を有するところである。酸化物半導体電極を
加熱する加熱工程[S11]において、色素や前記酸化
物半導体電極表面に残留している電解質は、蒸発・昇華
あるいは分解される。この加熱は、気相条件下で行われ
る。また、加熱を酸素存在下で行うことにより色素を酸
化分解させたり、加熱を行う際に水素を用いることによ
り還元的に色素を分解させたりしてもよい。
るのが好ましい。加熱温度が100℃未満である場合、
加熱することによって得られる色素や電解質を蒸発・昇
華あるいは分解させる効果が十分に得られないおそれが
あるので好ましくない。一方、600℃を超える加熱温
度とした場合、酸化物半導体電極の性能が劣化するおそ
れがあるので好ましくない。
では、前記酸化物半導体電極を100℃〜600℃の温
度で加熱する加熱工程[S11]を行うので、交換前の
色素や酸化物半導体電極に残留している交換前の電解質
を蒸発・昇華あるいは分解させて除去することができ
る。さらに、加熱工程を行った後に第3洗浄工程[S
5]を行うので、加熱工程後の酸化物半導体電極に、交
換前の色素や電解質の残さなどが残っていたとしても、
第3洗浄工程を行うことにより除去することができる。
このように、前記酸化物半導体電極をより一層効果的に
洗浄することができる。したがって、交換される色素お
よび電解質の割合が増加し、再生することによる効果が
より一層高まり、優れた性能を有する再生後の色素増感
型太陽電池を得ることができる。
示すように、酸化物半導体電極を加熱する加熱工程[S
11]を行った後に、第3洗浄工程[S5]を行う色素
増感型太陽電池の再生方法としたが、酸化物半導体電極
を加熱する加熱工程[S11]を行う場合、第3洗浄工
程[S5]および乾燥工程[S6]を行わなくてもよ
い。この場合、上記の第3の実施形態に示した色素増感
型太陽電池の再生方法と比較して、工程を簡略化するこ
とができ、容易に色素増感型太陽電池の再生を行うこと
ができる。
態が上述した第1の実施形態と異なるところは、色素増
感型太陽電池が、図4に示すように、液体成分の出し入
れ口を有する本体内に、前記酸化物半導体電極が備えら
れたものであり、色素増感型太陽電池を再生するための
すべての工程を、前記出し入れ口を介して液体成分を出
し入れすることにより行うところである。
た図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、図4
(A)におけるA−A線に沿う断面図である。図4にお
いて、符号1は、本体を示している。前記本体1内に
は、導電性ガラス基板2の上に酸化物半導体電極材料に
色素を吸着させてなる酸化物半導体電極3と、酸化物半
導体電極3と対向配置された対向電極4と、液体または
擬液体状で電解質を含む電解液5とが備えられている。
また、本体1の4隅のうち3カ所には、液体成分の出し
入れが可能な出し入れ口8が設けられている。また、図
4において、符号6および符号7は、電解液を貯留する
ための電解液貯留部を示している。
には、図5に示すように、まず、出し入れ口8を介し
て、本体1内から電解液5を取り出し[S12]、前記
出し入れ口8を介して液体成分を出し入れすることによ
り、酸化物半導体電極3を溶媒で洗浄して電解質を除去
する第1洗浄工程[S13]、酸化物半導体電極3を洗
浄液で洗浄して、酸化物半導体電極3から剥離した色素
や酸化物半導体電極3に吸着している色素を除去する第
2洗浄工程[S14]、酸化物半導体電極3から第2洗
浄工程[S14]で用いた洗浄液成分を除去する第3洗
浄工程[S15]、前記酸化物半導体電極3に色素を再
吸着させる色素吸着工程[S17]を行う。その後、出
し入れ口8を介して、本体1内に新しい電解液を注入す
る[S19]ことによって色素増感型太陽電池が再生さ
れる。この色素増感型太陽電池の再生方法において、出
し入れ口8を介する液体成分を出し入れは、3カ所に設
けられているいずれの出し入れ口8を使用してもよい。
また、液体成分を出し入れする際に使用する出し入れ口
8の数は、必要に応じて1カ所または複数カ所とするこ
とができ、特に限定されない。
によれば、前記洗浄液や色素を含んだ溶媒を出し入れ口
8を介して出し入れすることにより、第2洗浄工程[S
14]と色素吸着工程[S17]とを行って、色素を交
換することができる。このため、色素増感型太陽電池を
分解することなく、容易に色素増感型太陽電池の再生を
行うことができる。さらに、色素増感型太陽電池が設置
されている場所などの条件などによっては、設置したま
まの状態で色素増感型太陽電池の再生を行うことができ
る。また、第4の実施形態においては、第2洗浄工程
[S14]の代わりに、酸化物半導体電極に紫外線を照
射する工程を有する再生方法とし、酸化物半導体電極を
構成する酸化物半導体が、光触媒と同様に働くことによ
って得られる酸化力により、色素を分解してもよい。こ
のような再生方法とする場合、照射される紫外線として
は太陽光線を利用してもよい。
形態においては、図1〜図3および図5に示すように、
第1洗浄工程[S3][S13]を行う色素増感型太陽
電池の再生方法としたが、第1洗浄工程[S3][S1
3]を行わなくてもよい。この場合、上記の第1の実施
形態〜第4の実施形態に示した色素増感型太陽電池の再
生方法と比較して、工程を簡略化することができ、容易
に色素増感型太陽電池の再生を行うことができる。
る。 「予備試験」色素増感型太陽電池は、紫外光を照射する
と短時間に劣化することが知られている。発明者らは、
色素増感型太陽電池の再生試験を行うに際し、劣化した
色素増感型太陽電池を得るための予備試験として、未使
用の色素増感型太陽電池にUVカットフィルター無しで
疑似太陽光の連続照射を行い、光電変換効率が0%とな
る照射時間を求めた。
電池を試験体として使用した。 (第1太陽電池)酸化物半導体材料には酸化チタン、増
感色素にはルテニウム金属錯体(Solaronix社
製Ruthenium535bis−TBA、C58H
86O8S2Ru)を使用した酸化物半導体電極を備え
た色素増感型太陽電池。 (第2太陽電池)酸化物半導体電極には酸化チタン、増
感色素にはメロシアニン系有機色素(C40H52S3
O3N2)を使用した酸化物半導体電極を備えた色素増
感型太陽電池。
の光電変換効率を、ソーラーシュミレーター(WACO
M社)により100mW/cm2の疑似太陽光をUVカ
ットフィルター無しで照射下、太陽電池測定装置(東陽
テクニカ)により測定して、光電変換効率が0%となる
照射時間を求めた。その結果、色素増感型太陽電池の光
電変換効率は、36時間程度でほぼ0%となった。未使
用の第1太陽電池および第2太陽電池の光電変換効率
と、これらに疑似太陽光を36時間照射後の光電変換効
率と、疑似太陽光照射前と後での光電変換効率の変化の
割合とを表1に示す。
の試験例において、劣化した色素増感型太陽電池の作成
は、未使用の色素増感型太陽電池に、予備試験と同様に
して疑似太陽光を36時間連続照射することにより行っ
た。なお、以下の試験例において、試験例1〜試験例1
1は、本発明の実施例である。
られた本体を有する第1太陽電池を試験体として使用し
た。そして、第1太陽電池を、疑似太陽光を36時間連
続照射することにより劣化させ、以下の方法により再生
した。
池の本体内から電解液を出し入れ口を介して取り出し
[S12]た。次に、アセトニトリルを出し入れ口を介
して注入して洗浄し、洗浄後に出し入れ口を介して取り
出すことにより第1洗浄工程[S13]を行った。次
に、エタノールを出し入れ口を介して注入して洗浄し、
洗浄後に出し入れ口を介して取り出すことにより第2洗
浄工程[S14]を行った。その後、洗浄により除去し
た色素と同じ0.5m mol/lの色素エタノール溶
液を出し入れ口を介して注入し、色素溶液に酸化物半導
体電極を浸漬して前記酸化物半導体電極に色素を再吸着
させ、色素を再吸着させた後に出し入れ口を介して色素
溶液を排出する色素吸着工程[S17]を行った。その
後、本体内に新しい電解質溶液を注入する[S19]こ
とにより、第1太陽電池の再生を行った。
られた本体を有する第2太陽電池を試験体として使用し
た。そして、第2太陽電池を、試験例1と同様にして劣
化させ、試験例1と同様にして再生した。
び第2太陽電池の光電変換効率と、未使用の第1太陽電
池および第2太陽電池の光電変換効率とを、予備試験と
同様に、ソーラーシュミレーター(WACOM社)によ
り100mW/cm2の疑似太陽光を照射下、太陽電池
測定装置(東陽テクニカ)により測定した。その結果を
表2に記す。
した第1太陽電池は、未使用の第1太陽電池の約80%
まで光電変換効率が回復した。また、試験例2において
再生した第2太陽電池も、未使用の第2太陽電池の約8
0%まで光電変換効率が回復した。
池を、試験例1と同様にして劣化させ、以下の方法によ
り再生した。すなわち、試験例1と同様にして、第1太
陽電池の本体内から電解液を出し入れ口を介して取り出
し[S12]た後、第1洗浄工程[S13]を行った。
次に、10%水酸化ナトリウム水・エタノール混合洗浄
液を出し入れ口を介して注入して洗浄し、洗浄後に出し
入れ口を介して取り出すことにより第2洗浄工程[S1
4]を行った。続いて、酸化物半導体電極を純水で洗浄
し、乾燥させることにより第1太陽電池中の水分を除去
した。水分の除去は、60℃・1時間の乾燥により行っ
た。ついで、試験例1と同様にして、色素吸着工程[S
17]を行い、本体内に新しい電解質溶液を注入する
[S19]ことにより、第1太陽電池の再生を行った。
このようにして再生した第1太陽電池と未使用の第1太
陽電池の光電変換効率を、試験例1と同様の方法により
測定した。その結果を表3に記す。
した第1太陽電池の光電変換効率は、90%以上とな
り、未使用の第1太陽電池とほぼ同等であった。このこ
とにより、第2洗浄工程において、塩基性の水溶液であ
る10%水酸化ナトリウム水溶液と有機溶媒であるエタ
ノールとを混合したものを洗浄液として用い、その後に
純水洗浄および水分除去を行うことにより、試験例1の
再生方法と比較して、再生後の第1太陽電池の性能を向
上させることができることが明らかとなった。
池を、試験例1と同様にして劣化させ、以下の方法によ
り再生した。すなわち、試験例1と同様にして、第2太
陽電池の本体内から電解液を出し入れ口を介して取り出
し[S12]た後、酸化物半導体電極に疑似太陽光を3
6時間照射して色素を分解した。次に、試験例1と同様
にして、第2洗浄工程[S14]および色素吸着工程
[S17]を行い、本体内に新しい電解質溶液を注入す
る[S19]ことにより、第2太陽電池の再生を行っ
た。このようにして再生した第2太陽電池と未使用の第
2太陽電池の光電変換効率を、試験例1と同様の方法に
より測定した。その結果を表4に記す。
した第2太陽電池の光電変換効率は、未使用の第1太陽
電池の約70%であった。このことにより、試験例4で
の再生方法が、有機色素を用いた色素増感型太陽電池で
ある第2太陽電池の再生方法として有効であることが確
認できた。
使用して、試験例1と同様にして劣化させ、以下の方法
により再生した。すなわち、第2太陽電池の本体を分解
して、本体内から電解液を取り出した。次に、酸化物半
導体電極を大気中で電気炉で500℃・1時間加熱する
加熱工程を行った。次に、酸化物半導体電極を、洗浄に
より除去した色素と同じ0.5mmol/lの色素エタ
ノール溶液に浸漬する事により色素を再吸着させる色素
吸着工程を行った。その後、色素増感型太陽電池を組み
立てて、本体内に新しい電解液を注入することにより、
第2太陽電池の再生を行った。このようにして再生した
第2太陽電池と未使用の第2太陽電池の光電変換効率
を、実施例1と同様の方法により測定した。その結果を
表5に記す。
した第2太陽電池の光電変換効率は、90%以上とな
り、未使用の第2太陽電池とほぼ同等であった。
使用して、試験例1と同様にして劣化させ、以下の方法
により再生した。すなわち、第1太陽電池の本体を分解
して、本体内から電解液を取り出して、酸化物半導体電
極表面の電解質を純水で洗い落とした後、酸化物半導体
電極に吸着した色素を10%水酸化ナトリウム水・エタ
ノール混合洗浄液で洗浄する第2洗浄工程を行った。つ
いで、酸化物半導体電極を純水で洗浄し、電気炉で50
0℃・1時間加熱することにより水分を除去した。その
後、試験例5と同様にして、色素吸着工程、色素増感型
太陽電池の組み立て、新しい電解液の注入を行うことに
より、第1太陽電池の再生を行った。
使用して、試験例1と同様にして劣化させ、以下の方法
により再生した。すなわち、試験例6と同様にして第2
洗浄工程までの工程を行った後、酸化物半導体電極を純
水で洗浄し、電気炉で60℃・1時間加熱することによ
り水分を除去した。その後、試験例6と同様にして、色
素吸着工程、色素増感型太陽電池の組み立て、新しい電
解液の注入を行うことにより、第1太陽電池の再生を行
った。
使用して、試験例1と同様にして劣化させ、以下の方法
により再生した。すなわち、第1太陽電池の本体を分解
して、本体内から電解液を取り出して、酸化物半導体電
極表面の電解質を純水で洗い落とした。ついで、酸化物
半導体電極を、10%水酸化ナトリウム水・エタノール
混合洗浄液で洗浄したのち、四塩化チタン0.1m m
ol/l水溶液に常温で12時間浸漬する第2洗浄工程
を行った。その後、試験例6と同様にして、純水洗浄お
よび水分除去、色素吸着工程、色素増感型太陽電池の組
み立て、新しい電解液の注入を行うことにより、第1太
陽電池の再生を行った。
使用して、試験例1と同様にして劣化させ、試験例6と
同様にして再生した。
て使用して、試験例1と同様にして劣化させ、試験例7
と同様にして再生した。
て使用して、試験例1と同様にして劣化させ、試験例8
と同様にして再生した。
1太陽電池および第2太陽電池の光電変換効率と、未使
用の第1太陽電池および第2太陽電池の光電変換効率と
を、試験例1と同様の方法により測定した。その結果を
表6に記す。
において再生した第1太陽電池および第2太陽電池の光
電変換効率は、90%以上となり、いずれも未使用の第
1太陽電池および第2太陽電池とほぼ同等であった。
色素増感型太陽電池の再生方法は、酸性の水溶液、塩基
性の水溶液、有機溶媒から選ばれる少なくとも1つを用
いた洗浄液で前記酸化物半導体電極を洗浄する洗浄工程
を行った後に、前記酸化物半導体電極に色素を再吸着さ
せる色素吸着工程を行う方法であるので、前記洗浄工程
と前記色素吸着工程とを行うことにより色素を交換する
ことができ、酸化物半導体電極そのものを交換すること
なく、色素増感型太陽電池を再生することができる。一
方、色素増感太陽電池の電解液や色素のコストは、色素
増感太陽電池を製造するコストの内の3〜6%程度にす
ぎない。このため、本発明の色素増感型太陽電池の再生
方法によれば、低いコストで、色素増感型太陽電池を再
生することができ、色素増感型太陽電池の寿命を伸ばす
ことができる。したがって、発電コストを大幅に引き下
げることができる。
例を説明するためのフローチャートである。
の例を説明するためのフローチャートである。
の例を説明するためのフローチャートである。
り、(A)は、斜視図であり、(B)は、図4(A)に
おけるA−A線に沿う断面図である。
の例を説明するためのフローチャートである。
Claims (7)
- 【請求項1】 酸化物半導体電極材料に色素を吸着さ
せてなる酸化物半導体電極を有する色素増感型太陽電池
において、 酸性の水溶液、塩基性の水溶液、有機溶媒から選ばれる
少なくとも1つを用いた洗浄液で前記酸化物半導体電極
を洗浄する洗浄工程を行った後に、 前記酸化物半導体電極に色素を再吸着させる色素吸着工
程を行うことを特徴とする色素増感型太陽電池の再生方
法。 - 【請求項2】 前記色素増感型太陽電池は、液体成分
の出し入れ口を有する本体内に、前記酸化物半導体電極
が備えられたものであり、 前記洗浄工程を、前記出し入れ口を介して前記洗浄液を
出し入れすることにより行い、 前記色素吸着工程を、前記出し入れ口を介して色素を含
んだ溶媒を出し入れすることにより行うことを特徴とす
る請求項1に記載の色素増感型太陽電池の再生方法。 - 【請求項3】 前記酸性の水溶液が、塩酸、硝酸、リ
ン酸、ホウ酸、炭酸、有機酸の水溶液から選ばれる少な
くとも1つのうち少なくとも1つであることを特徴とす
る請求項1または請求項2に記載の色素増感型太陽電池
の再生方法。 - 【請求項4】 前記塩基性の水溶液が、アンモニア、
ピリジン、周期表1A族、2A族の金属の水酸化物の水
溶液から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とす
る請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の色素増感
型太陽電池の再生方法。 - 【請求項5】 前記有機溶媒が、ニトリル、アルコー
ル、カーボネート、ハロゲン化炭化水素類から選ばれる
少なくとも1つであることを特徴とする請求項1ないし
請求項4のいずれかに記載の色素増感型太陽電池の再生
方法。 - 【請求項6】 酸化物半導体電極材料に色素を吸着さ
せてなる酸化物半導体電極を有する色素増感型太陽電池
において、 前記酸化物半導体電極を100℃〜600℃の温度で加
熱する加熱工程を行った後に、 前記酸化物半導体電極に色素を再吸着させる色素吸着工
程を行うことを特徴とする色素増感型太陽電池の再生方
法。 - 【請求項7】 酸化物半導体電極材料に色素を吸着さ
せてなる酸化物半導体電極を有する色素増感型太陽電池
において、 前記酸化物半導体電極に紫外線を照射した後に、 前記酸化物半導体電極に色素を再吸着させる色素吸着工
程を行うことを特徴とする色素増感型太陽電池の再生方
法。
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JP2001079573A JP4595076B2 (ja) | 2001-03-19 | 2001-03-19 | 色素増感型太陽電池の再生方法 |
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Cited By (3)
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-
2001
- 2001-03-19 JP JP2001079573A patent/JP4595076B2/ja not_active Expired - Lifetime
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