JP2002275601A - 低損失珪素鋼板とその製造方法 - Google Patents

低損失珪素鋼板とその製造方法

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JP2002275601A
JP2002275601A JP2001081206A JP2001081206A JP2002275601A JP 2002275601 A JP2002275601 A JP 2002275601A JP 2001081206 A JP2001081206 A JP 2001081206A JP 2001081206 A JP2001081206 A JP 2001081206A JP 2002275601 A JP2002275601 A JP 2002275601A
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Hiroshi Omori
浩志 大森
Tatsuya Tomioka
達也 冨岡
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Daido Steel Co Ltd
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高Si含有量のFe−Si合金の粉末とFe
の粉末とを混合する粉末混合工程(A)、粉末混合物を
圧延して薄板とする粉末圧延工程(B)、薄板を焼結す
る焼結工程(C)、焼結した薄板に冷間圧延を施す冷間
圧延工程(D)、非酸化性雰囲気下に加熱する拡散焼鈍
工程(E)、およびスキンパス圧延を行なって所定の厚
さにする仕上圧延工程(F)、の諸工程により製造され
る珪素鋼板において、鉄損が改善されたものを提供する
こと。 【解決手段】 Fe−Si合金の粉末とFeの粉末とを
混合するに当たり、平均のSi量が6.8〜7.2重量
%となるように配合し、かつ、上記各工程の操作条件を
選択することにより、EPMA法により測定した面積率
にして、Si含有量が6.25〜6.75重量%の領域
が25%以上、6.75〜7.25重量%の領域が10
%以上を占めるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低損失珪素鋼板と
その製造方法に関する。本発明により、粉末圧延法によ
るSi含有量7.0%の珪素鋼板であって、とくに10
kHz程度の高周波領域における鉄損が改善されたもの
が提供される。
【0002】
【従来の技術】変圧器の鉄心のような電磁気材料として
の珪素鋼板において、6.5%Si−Feが、磁歪がゼ
ロであるため鉄損が小さいという点で好適な合金組成と
してよく知られ、使用されている。ところが、Fe−S
i系においては、Si含有量が高くなるにつれて合金の
加工性が悪くなり、4.5%を超えると冷間圧延が不可
能になるから、6.5%Si−Fe合金の薄板は、溶製
材の圧延以外の方法で製造するほかない。
【0003】そのひとつの方策として、いわゆる浸珪法
が提案された。これは、加工性のよい合金、たとえばF
e−3%Si合金を圧延して薄板をつくり、SiCl4
を使用したCVD法により表面のSi量を高め、続く加
熱によってSiを拡散させ、全体のSi量を6.5%近
辺にもって行く方法である。この技術は高性能な製品を
与えるが、有毒なガスを使用するため、設備上ガス漏洩
対策が必要であり、十分な事故対策を前提とするには、
設備・操業の両面において、コスト高となることを免れ
ない。
【0004】別の方法として、粉末冶金法による高いS
i含有量をもった珪素鋼板の実現が試みられている。し
かし、6.5%Si−Fe合金の粉末を焼結して板材に
しても、得られた板材が高珪素含有量のため加工性が低
く、冷間圧延は困難であって任意の厚さの薄板を得るこ
とができない点で、やはり限界がある。
【0005】粉末圧延法を利用する薄板製造技術とし
て、Fe−Si合金の微粉末を適宜のバインダーと混練
し、混練物をドクターブレードで一定の厚さにしたもの
を圧延する、という手段がある。この技術は、とくに微
細な粉末を必要とすることと、バインダーを用いること
とから、コストがかかる。バインダーは工程の途中で除
去しなければならず、除去には長時間を要する。その
上、焼結を高温度で行なわなければならないなどの制約
があり、薄板の量産には不向きである。
【0006】粉末圧延を容易にする目的で、加工性のよ
い材料たとえば軟鋼の缶に合金粉末を入れ、密封して熱
間で加工するという方策もある。ただし、加工後に脱キ
ャンする必要があり、これがコスト高の要因になる。ま
た、熱間加工後の冷間圧延ができず、そのため、厚さ
0.5mm以下の薄板を製造することはできない。
【0007】発明者らは、さきに、粉末圧延法を変形し
て、高Si含有量のFe−Si合金の粉末と純Fe粉末
とを混合し、この粉末混合物を粉末圧延することによ
り、高Si含有量の珪素鋼板を製造する技術を開発し、
すでに提案した(特開2001−26822)。その珪
素鋼板の製造方法は、上記の粉末混合物が少量の高Si
含有量のFe−Si合金粉末を大量の純Fe粉末が取り
囲む形態であり、したがって後者のもつ高い加工性を利
用することができ、平均組成の合金がもつ加工性の低さ
をカバーする、という手法によっている。
【0008】この技術を確立するための研究過程におい
て、発明者らは、粉末混合物のSi含有量が、磁歪の最
小となる6.5%Siよりも若干高い側、たとえば7.
0%Siにおいて、得られる珪素鋼板の損失(鉄損)が
むしろ低いことを発見し、その理由を追及するととも
に、鉄損が改善されたものの内部構造と、その製造方法
とを確立した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、発明者らのこうした新しい知見を活用し、上記し
た粉末圧延技術により提供される6.5%Si珪素鋼板
にくらべ、鉄損が改善されたものを提供すること、およ
びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の低損失珪素鋼板
は、Fe−Si合金の粉末と、Feの粉末との混合物を
粉末圧延法により薄板にしてなる珪素鋼板であって、平
均のSi量が6.8〜7.2重量%であり、かつ、図1
に見るように、EPMA法により測定した面積率にし
て、Si含有量が6.25〜6.75重量%の領域
(I)が25%以上、6.75〜7.25重量%の領域
(II)が10%以上を、それぞれ占めることを特徴とす
る。
【0011】本発明の低損失珪素鋼板の製造方法は、基
本的には下記の諸工程からなる: A)10〜50重量%のSiを含有するFe−Si合金
の粉末およびFeの粉末を、混合物中のSi量が6.8
〜7.2重量%となるような割合で混合する粉末混合工
程、 B)この混合物を粉末圧延法により薄板に成形する粉末
圧延工程、 C)粉末圧延によって得た薄板を、950〜1250℃
の温度で焼結する焼結工程、 D)焼結した薄板に圧下率3〜10%の冷間圧延を施す
冷間圧延工程、 E)冷間圧延後の薄板を、非酸化性雰囲気下に、130
0〜1350℃の温度に数分間〜数10分間加熱して、
EPMA法により測定した面積率にして、Si含有量が
6.25〜6.75%の領域が25%以上、6.75〜
7.25%の領域が10%以上を占めるように拡散させ
る拡散焼鈍工程、および F)拡散焼鈍をへた薄板に圧下率0.5〜5%のスキン
パス圧延を行なって、0.05〜0.5mm範囲内の所定
の厚さにする仕上圧延工程。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の珪素鋼板には、その特性
をさらに改善する目的で、FeおよびSiに加えて若干
の第三成分を含有させることができる。そのひとつは、
Sb:0.05〜0.3%、好ましくは0.1〜0.2
%を含有するものであって、Sbの添加により、表面の
耐酸化性を改善した珪素鋼板が得られる。
【0013】いまひとつは、下記のグループに属する合
金元素の少なくとも一つをさらに含有するものであり
(併用の場合は合計量)、 Al:0.05〜6.0%、好ましくは0.1〜0.3
% MoおよびNiの1種または2種:0.05〜2.0
%、好ましくは0.1〜1.0%、 W,CoおよびVの1種または2種以上:0.05〜
1.0%、好ましくは0.1〜0.5%、 NbおよびPの1種または2種:0.05〜1.0%、
好ましくは0.1〜0.3%、ならびに、 TiおよびBの1種または2種:0.05〜2.0%、
好ましくは0.1〜0.5%、 これらの合金成分の添加により、電気抵抗を高めた珪素
鋼板が与えられる。
【0014】上記した、表面の耐酸化性の改善または電
気抵抗の増大を意図して行なう第三の成分の添加は、任
意の手段で実現できる。もっとも代表的な手段は、いう
までもなく、添加しようとする第三の成分の金属粉末を
Fe−Si合金の粉末およびFe粉末と混合し、三成分
の混合物を粉末圧延することである。別法として、第三
の成分をあらかじめFeとの合金にしておいて、その粉
末を使用することである。したがって、「任意添加元素
の粉末」とは、これらの態様をすべて包含する意味に解
すべきである。
【0015】本発明の低損失珪素鋼板の製造方法には、
基本的な態様にせよ、第三の成分を添加する態様にせ
よ、さまざまな変更態様が可能である。そのひとつの例
は、仕上圧延工程(F)に続いて、下記の工程を行なう
ことである: G)薄板に対しその長手方向に張力を加えつつ焼鈍、い
わゆる「テンションアニ−リング」を行なう平坦化処
理。
【0016】いまひとつの例は、とくに薄い板を高い板
厚精度で得ようとする場合、拡散焼鈍工程(E)に先立
って、下記の工程のいずれかを、少なくとも1回行なう
ことである: H)冷間圧延と、それに後続する600℃以上950℃
未満の温度に加熱する中間焼鈍の組み合わせ、または I)600℃以上900℃以下の温度における温間圧
延。
【0017】本発明の低損失珪素鋼板の製造方法におい
て、上記の各工程を付加した場合のフローチャートを、
図2に示す。
【0018】低損失珪素鋼板の原料とするFeの粉末
は、いわゆる還元鉄粉およびアトマイズ鉄粉が好適であ
る。鉄カルボニル化合物から製造した鉄粉があるが、高
価である上に、粒度が微細に過ぎることと、形状が球に
近く圧粉成形性がよくないことから、適切とはいえな
い。Si−Fe合金粉末は、合金溶湯の水噴霧により製
造したものが適当である。Fe粉末もSi−Fe合金粉
末も、粒度が100メッシュ通過程度の微細なものが好
適である。2種の原料粉末の平均粒度および粒度分布
は、なるべく近似していることが好ましい。大きく異な
ると、混合粉末の取り扱い中に、二成分が分離するおそ
れがある。
【0019】Fe−Si合金粉末中のSi量を10〜5
0重量%にえらんだ理由は、この範囲であれば、Fe粉
末との配合割合を実施上適切にできるからである。Fe
粉末のもつ高い加工性を利用するという観点からは、で
きるだけSi量の高いFe−Si合金粉末を少量使用し
て、Fe粉末の配合割合を高くするほうが有利なようで
ある。しかし、あまりSi量の高いFe−Si合金を使
用すると、多量のSiを拡散させなければならず、その
ために長い加熱時間が必要になって、実際的でなくな
る。50%の上限は、この観点から定めた。
【0020】一方、低いSi量(6.5%を超えること
が当然の条件であるが)を選択すると、Fe粉末の配合
割合が低下して、粉末混合物の加工性が低くなる。これ
はいうまでもなく、粉末圧延にとって不都合である。S
i量10%の下限は、この実際的な理由から設けた。
【0021】焼結を行なうときの非酸化性の雰囲気は、
アルゴン、窒素、水素などのガスの雰囲気、または真空
を使用すればよい。そのほか、本発明の実施に当たって
は、すでに開示した粉末圧延法による珪素鋼板の製造技
術が利用できる。
【0022】本発明の低損失珪素鋼板の製造方法を構成
する各工程は、つぎに説明するような意義を有する。す
なわち、粉末混合工程(A)は、すでに述べたところか
ら理解されるように、Si含有量が高いSi−Fe合金
粉末の加工性の低さを、それと混合するFe粉末の加工
性の高さで緩和し、混合物全体としては比較的高い加工
性を有する状態で、粉末圧延工程(B)を行なえるよう
にすることにある。
【0023】粉末圧延によって成形した薄板を焼結する
焼結工程(C)は、混合物としての加工性は維持したま
まで、続く冷間圧延の結果得られる製品が、強度を発現
できるようにする工程である。焼結工程はまた、拡散を
あまり進行させず、かつ後続の冷間圧延において、空孔
が効果的につぶされる焼結体を得ることを目的とする工
程である。温度範囲の上限1250℃は、この作業をコ
ントロールしやすいように選んだ。この限度を超える温
度では、急速に結晶の粗大化がすすみ、いちじるしい脆
化を引き起こす。下限950℃は、これに達しない温度
では焼結が実用的な速度で進行しないため定めた。
【0024】焼結工程(C)は、後続の工程における加
工性を確保するため、Si含有率が5.5%以下の部分
が面積率で30%以上80%以下を占めるような条件で
実施することが好ましい。「Si含有率が5.5%以下
の部分」は、いうまでもなく、拡散があまり進まず、圧
延に耐える加工性を保っている部分である。その割合が
30%を下回るほど拡散を進めてしまうと、薄板の加工
性が著しく低下する。一方、80%を超えるほど未拡散
部分が残っている焼結では、焼結体の強度が不充分であ
って、圧延加工そのものが困難である。
【0025】冷間圧延工程(D)は、所定の板厚を実現
するとともに、焼結体内部の空孔をつぶして、カサ密度
を高める工程である。冷間で加工して内部歪みエネルギ
ーを与えることにより、次工程の拡散焼鈍の条件を軽減
することができる。この目的を達するには、冷間圧延の
圧下率を3%以上、好ましくは5〜10%にすべきであ
る。
【0026】圧延により密度を高めた薄板は、拡散焼鈍
工程(E)によって、ミクロな組成が、前記したような
構成、すなわち、EPMA法により測定した面積率にし
て、Si含有量が6.25〜6.75%の領域が25%
以上、6.75〜7.25%の領域が10%以上を占め
るようなものとなる。前者は、28%以上を占めること
が望ましい。
【0027】拡散焼鈍の工程は、磁気特性を確保するた
め、Si含有率が6%以上7%以下の部分が面積率で5
0%以上を占めるとともに、結晶粒を過度に粗大化させ
ず、次工程における加工性が確保できるような条件で実
施すべきである。拡散焼鈍の段階における焼結パラメー
タPは、つぎの式で表わされ、 P=T×(10+Log10t) T:絶対温度 t:時間(分) 焼結パラメータPとSiの拡散の面積率との関係は、図
3によって整理されることがわかった。図3において、
「Si含有率が6%以上7%以下の部分」の面積率が上
記した50%以上という適正範囲に入るような焼結パラ
メータPの値は、(170〜200)×10であり、
これに対応する焼結条件は、それぞれ、1200℃×3
0分間(または1150℃×60分)および1350℃
×120分間である。したがって、実際の操業条件は、
この範囲内の温度と時間の組み合わせとして選択すれば
よい。とくに好ましいPの値は、図3からわかるとお
り、約1180〜200)×10である。
【0028】本発明の方法にしたがって製造した珪素鋼
板においては、Si含有量と面積率との関係を示した図
1にみるように、面積率が最も高い最頻値部分のSi量
は、平均のSi含有量(7%前後)よりも低い、6.5
%内外のところにあり、カーブがグラフの右側に、つま
り、高Si含有量の側に裾を引く分布であることが実測
されている。このようになる理由は、粉末混合物の内部
では高Si量の合金粉末をFe粉末が取り囲んでいるこ
とと、Siの拡散がFeの拡散より速やかであることか
ら、説明可能である。逆にいえば、粉末混合物中のSi
量を7%前後となるようにすることによって、6.5%
内外にピークのあるSi量分布が実現するのである。
【0029】このようなSiの分布は、磁歪がゼロであ
る6.5%Siが主体であることにより、磁心として使
用したときの振動が少ないという利益をもたらす。それ
と同時に、より高Si量である部分の存在が、この珪素
鋼板の電気抵抗を高める。よく知られているように、F
e−Si合金の電気抵抗は、Si量の増大に伴って著し
く増大する。これらの作用があいまって、本発明の珪素
鋼板の鉄損を小さくしているものと解される。
【0030】仕上のためのスキンパス圧延は、得られる
珪素鋼板の板厚精度を向上させて、所定の板厚の製品を
得るための工程であるが、それだけでなく、製品の可撓
性を高めるという利点もある。可撓性の改善は予期して
いなかった利益であって、可撓性の向上が打ちぬき性を
高め、複雑な形状の、または細い部分をもつ製品の製造
を可能にする。
【0031】前述した焼結工程に対し、拡散焼鈍の工程
は、主としてSiの拡散による前記のSi分布の実現を
図り、かつ密度の向上を目指す工程であるから、130
0℃以上の高い温度に加熱することが必要である。これ
より低い温度でも、拡散はある程度進行するが、密度の
上昇がほとんど望めず、製品鋼板の磁気特性が向上しな
い。磁気特性向上の効果は、加熱温度を高めるとともに
高まるが、1350℃付近で飽和する。
【0032】
【実施例1】原料粉末として、Fe粉末および18%S
i−Fe粉末を、いずれも水噴霧法により製造し、10
0メッシュ通過粉を採取した。平均粒径は、どちらも約
40μmである。これら2種の粉末原料を使用し、下記
の工程に従って加工することにより、珪素鋼板を製造し
た。 A)粉末混合:混合物中のSi量が、重量で、それぞれ
6.5%、6.75%、7.0%または7.5%になる
ような重量比で、タンブラーにより混合 B)粉末圧延:直径200mm、長さ240mmのロール2
本をもつ水平方向圧延ロールに、振動板上から供給し
て、圧力70トンの一定値で、キスロール方式により圧
延。板厚0.11mm C)焼結:1200℃×2分間 D)冷間圧延:板厚0.105mm E)拡散焼鈍:1300℃×4分間 F)スキンパス圧延:板厚0.10mm
【0033】製造した4種の珪素鋼板について、配合さ
れたSi量と、Si量が6.25〜6.75%の部分が
占める面積率との関係を調べて、図4のデータを得た。
配合Si量が7.0%のものにおいて、Si量6.25
〜6.75%の部分が占める面積率が最大(29.6
%)であった。
【0034】製品の各珪素鋼板に対し、1200℃×2
時間の焼鈍(磁気焼鈍)を施したうえで、1kHzおよ
び10kHzにおける鉄損を測定した。その結果は、つ
ぎの表1のとおりである。 表 1 (B=1T,W/kg) Si量 周波数 6.5% 6.75% 7.0% 7.5% 1kHz 33 26 26 28 10kHz 685 550 520 580 1kHzでは、配合Si量6.75%のものと7.0%
のものとが同じ鉄損を示したが、10kHzになると、
配合Si量7.0%のものが最小の鉄損であった。
【0035】
【実施例2】Si配合量が7.0%の粉末混合物につい
て、拡散焼鈍の時間を25分間としたほかは実施例1と
同様な条件で珪素鋼板を製造し、1〜10kHzにおけ
る鉄損を測定した。比較のため、現に使用されている市
販の6.5%Si珪素鋼板についても同じ測定を行なっ
た。両者のデータをプロットして、図5のグラフを得
た。低い周波数では、従来品も本発明も鉄損の値がほぼ
同じであるが、7kHzを超える高周波領域では次第に
差が出て、10kHzにおいては、本発明の珪素鋼板
は、当面の開発目標である500w/kg以下を達成し
た。この周波数における本発明の鉄損は、従来品にくら
べて10%の改善に相当する。この差は、より高い周波
数においては、いっそう拡大すると予測される。
【0036】
【発明の効果】本発明により、粉末圧延法により製造さ
れる珪素鋼の薄板において、配合Si量を、磁歪ゼロと
なるはずの6.5%より高い6.8〜7.2%の範囲に
えらぶとともに、焼結および拡散焼鈍の条件を適切に選
択して、Si:6.25〜6.75%の部分がEPMA
による面積率で25%以上、Si:6.75〜7.25
%の部分が10%以上であるようなミクロ構造を実現す
ることによって、とくに高い周波数領域で鉄損が改善さ
れた磁性材料が実現した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従う低損失珪素鋼板の内部構造を説
明するための図であって、横軸にSi含有量をとり、縦
軸に面積率をとったグラフ。
【図2】 本発明の低損失珪素鋼板の製造方法におい
て、付加的な諸工程を付加した場合のフローチャート。
【図3】 本発明の工程(E)すなわち拡散焼鈍工程の
実施条件を確立するために利用したデータであって、焼
結パラメータPと、焼結体のSi含有率が6%以上7%
以下の部分が占める面積率との関係を実測したグラフ。
【図4】 本発明の実施例1において製造した珪素鋼板
について、配合されたSi量と、Si量が6.25〜
6.75%の部分が占める面積率との関係を示す棒グラ
フ。
【図5】 本発明の実施例2において製造した珪素鋼板
の、周波数1〜10kHzにおける鉄損を、市販の6.
5%Si鋼板と比較して示したグラフ。
フロントページの続き Fターム(参考) 4K018 AA26 CA38 DA21 FA02 FA09 KA43 5E041 AA02 AA19 CA02 HB03 HB05 HB11 NN01 NN18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe−Si合金の粉末と、Feの粉末と
    の混合物を粉末圧延法により薄板にしてなる珪素鋼板で
    あって、平均のSi量が6.8〜7.2重量%であり、
    かつ、EPMA法により測定した面積率にして、Si含
    有量が6.25〜6.75重量%の領域が25%以上、
    6.75〜7.25重量%の領域が10%以上を占める
    ことを特徴とする低損失珪素鋼板。
  2. 【請求項2】 FeおよびSiに加え、第三の合金成分
    として、Sb:0.05〜0.3%をさらに含有し、表
    面の耐酸化性を改善した請求項1の低損失珪素鋼板。
  3. 【請求項3】 FeおよびSiに加え、第三の合金成分
    として、Al:0.05〜6.0%、MoおよびNiの
    1種または2種(併用の場合は合計量。以下同じ):
    0.05〜2.0%、W,CoおよびVの1種または2
    種以上:0.05〜1.0%、NbおよびPの1種また
    は2種:0.05〜1.0%、ならびにTiおよびBの
    1種または2種:0.05〜2.0%のグループに属す
    る合金元素の少なくとも一つをさらに含有し、電気抵抗
    を高めた請求項1または2の低損失珪素鋼板。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の低
    損失珪素鋼板を製造する方法であって、下記の諸工程か
    らなる製造方法: A)10〜50重量%のSiを含有するFe−Si合金
    の粉末、Feの粉末、および請求項2または3に挙げた
    任意添加元素を含有する場合はその粉末を、混合物中の
    Si量が6.8〜7.2重量%となるような割合で混合
    する粉末混合工程、 B)この混合物を粉末圧延法により薄板に成形する粉末
    圧延工程、 C)粉末圧延によって得た薄板を、950〜1250℃
    の温度で焼結する焼結工程、 D)焼結した薄板に圧下率3〜10%の冷間圧延を施す
    冷間圧延工程、 E)冷間圧延後の薄板を、非酸化性雰囲気下に、130
    0〜1350℃の温度に数分間〜数10分間加熱して、
    EPMA法により測定した面積率にして、Si含有量が
    6.25〜6.75%の領域が25%以上、6.75〜
    7.25%の領域が10%以上を占めるように拡散させ
    る拡散焼鈍工程、および F)拡散焼鈍をへた薄板に圧下率0.5〜5%のスキン
    パス圧延を行なって、0.05〜0.5mm範囲内の所定
    の厚さにする仕上圧延工程。
  5. 【請求項5】 仕上圧延工程(F)に続いて、下記の工
    程を行なう請求項4の低損失珪素鋼板の製造方法: G)薄板に対しその長手方向に張力を加えつつ焼鈍を行
    なう平坦化処理。
  6. 【請求項6】 拡散焼鈍工程(E)に先立って、下記の
    工程のいずれかを行なう請求項4または5の低損失珪素
    鋼板の製造方法: H)600℃以上950℃未満の温度に加熱する焼鈍
    と、それに後続する冷間圧延との組み合わせ、または I)600以上900℃以下の温度における温間圧延。
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