JP2002275518A - 移動型炉床炉への原料装入方法 - Google Patents

移動型炉床炉への原料装入方法

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JP2002275518A JP2001080183A JP2001080183A JP2002275518A JP 2002275518 A JP2002275518 A JP 2002275518A JP 2001080183 A JP2001080183 A JP 2001080183A JP 2001080183 A JP2001080183 A JP 2001080183A JP 2002275518 A JP2002275518 A JP 2002275518A
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達也 小澤
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義孝 澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炉床上へ粉粒状原料を堆積させるにあたり、
堆積原料層の表面形状を、所望の形に容易にかつ確実に
維持するのに有効な、移動型炉床炉への原料装入方法を
提案すること。 【解決手段】 炉内を移動する炉床上に、粉粒状の含金
属原料を堆積させ、この原料が炉内を移動する間に加熱
し、還元し、溶融し、さらに冷却することによって還元
鉄を生成させて回収する移動型炉床炉の操業において、
移動炉床上への前記原料の装入に当り、粉粒状原料の水
分量を3〜15mass%に調整して装入堆積させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動型炉床炉への
原料装入方法にかかり、詳しくは移動型炉床炉内原料の
飛散等による生産性の低下や装入原料層の表面形状が崩
れることによる輻射伝熱効果の低下を防止する上で有利
な移動型炉床炉の炉床上への原料装入方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】鋼は、一般に、高炉−転炉法または電気
炉法によって製造されている。このうち、電気炉法は、
スクラップや還元鉄を電気エネルギーによって加熱溶融
し、さらに精錬することにより鋼とする方法である。こ
の電気炉法において、原料とするスクラップは、近年、
市場の変動によって価格が大きく変動するという問題が
あり、また、高品質化への指向によって原料性状の安定
化が求められており、そのため、電気炉法においても、
従来のようにスクラップのみに依存することを止め、鉄
鉱石などから製造された品位の高い還元鉄を使用する傾
向がある。
【0003】還元鉄は一般に、粉鉱石を塊状化(ペレッ
ト)し、これを還元することにより生産されている。そ
して、その還元方法としては、種々のプロセスについて
の提案があり、例えば特開昭63−108188号公報
では回転炉床炉法を開示している。この従来技術は、鉄
(粉)鉱石に炭材を混合して成形したペレットを移動炉
床上に装入堆積させ、その炉床の上方に設置したバーナ
による輻射伝熱によって加熱して粉鉱石を還元し、ペレ
ット状の還元鉄とする方法である。このようにして得ら
れたペレット状の還元鉄は、金属鉄脈石(鉱石起因のも
の)と灰分(炭材起因のもの)とが凝集した構造となっ
ている。
【0004】ところが、近年は、脈石分の少ない高品位
の鉄鉱石が年々減少しているのが実情であり、そのため
に粉砕や選鉱などの処理によって、脈石の除去を行うこ
とで品位の向上を図っている。しかしながら、高品位の
粉鉱石が入手しにくいという現状は変わっておらず、そ
のために、製品(ペレット状の還元鉄)の品位の低下を
招いていた。その結果、そのような還元鉄を電気炉など
で使用しようとすると、脈石分を滓化するための造滓剤
の増加を招くだけでなく、電力原単位の上昇を招いてい
た。
【0005】こうした現状の中にあって、最近、特開平
11−172312号公報では、移動型炉床炉の炉床上
に、粉状鉄鉱石などの酸化物を装入堆積させてこれを輻
射伝熱を利用して加熱し、還元し、溶融する技術が提案
されている(図1)。この従来技術は、還元生成物を溶
融状態を経て製造するため、溶融時に脈石分がスラグと
して分離しやすいという特徴がある。従って、この技術
によれば、電気炉用原料として還元鉄を使用する場合
に、造滓剤の添加量を少なくして、エネルギー原単位が
抑制できるという効果がある。
【0006】上記移動型炉床炉の操業では、原料への加
熱は、炉床の上辺部に設けたバーナの燃焼による輻射伝
熱を利用している。従って、この炉の場合、伝熱の効率
を上げるには、炉床上の原料の受熱面積を大きくとるこ
とが有効になる。こうした要請に応える方法として、特
開平10−306304号公報には、炉床上の堆積原料
層の表面に、多数の窪みを設けて凹凸形状とする技術を
提案している。即ち、この技術は、堆積原料層の表面を
受熱、伝熱効果の上から、適宜の形状(窪み形状)に形
成する方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上掲の特開平10−3
06304号公報に開示の技術は、上述したように、堆
積原料層への輻射伝熱、熱伝導の改善に対し、大いに効
果を上げたが、なお不十分であった。その理由は、粉粒
状原料を移動型炉床炉の炉床上へ堆積させる場合に、そ
の堆積形状を所期の形のまま永く維持しようとしても、
当該粉粒状原料が自ら流動して、必ずしも狙いどおりの
形状にはならない場合があったからである。
【0008】本発明の目的は、炉床上へ粉粒状原料を装
入堆積させるにあたり、堆積原料層の表面形状を、所望
の形に容易にかつ確実に形成、維持するのに有効な、移
動型炉床炉への原料装入方法を提案することにある。
【0009】
【発明が解決するための手段】移動型炉床炉の操業で
は、粉粒状原料を加熱し、還元し、そして溶融するが、
この時もし、粉粒状原料の中に不適切な量の水分が含ま
れていると、例えば、その量が多いときには、その余分
な水分を蒸発させるために、それだけ余計な熱供給を行
う必要が生じる。この点において、粉粒状原料の水分は
むしろ、低いほど好ましいと言える。このことに対応し
て、一つの解決手段として、粉粒状原料を予め乾燥して
使用するという方法も考えられる。
【0010】ただし、粉粒状原料をもし、乾燥処理して
使用した場合、発明者らの知見によると、炉床上におけ
る堆積層表面の形が操作しにくいことがわかった。ま
た、乾燥された粉粒状原料の使用は、微細なものが移動
炉床上へ装入されたときに粉塵として舞い上がり、炉内
の炉床外の部分に堆積してしまうことがある。さらに、
炉内においては、移動炉床の上部をバーナーの燃焼ガス
が流通しているが、微細な粉粒状原料がこの燃焼ガスに
随伴して排ガスダストとして排出されることもあった。
【0011】こうした現象は、発明者らが行った実験に
よれば、粉粒状原料の種類、すなわち粉鉱石、製鉄ダス
ト、スラジなどといった種類にもよるが、主として粉粒
状原料の含有水分値の適否によることがわかった。
【0012】本発明は、上記の知見に基づいて案出した
ものであって、その要旨とするところは、炉内を移動す
る炉床上に粉粒状の含金属原料を堆積させ、この原料が
炉内を移動する間に加熱し、還元し、溶融し、さらに冷
却することによって還元鉄を生成させてこれを回収する
移動型炉床炉の操業において、移動炉床上への前記原料
の装入に当り、粉粒状原料の水分量を3〜15mass%に
調整することを特徴とする移動型炉床炉への原料装入方
法である。
【0013】なお、本発明においては、上記原料の少な
くともその一部に高炉の乾式集塵ダストを用いることが
好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明方法の実施に用いるのに好
適な移動型炉床炉は、金属含有物と固体還元剤とを含む
原料等を、この移動型炉床炉の水平移動する炉床上に装
入して堆積させ、その炉床が炉内を移動する間に加熱還
元し、さらには少なくとも一度は溶融させることによ
り、金属含有物の還元物(還元生成物)を生成させると
同時に、この還元生成物中のメタル分と、脈石および灰
分からなるスラグとを分離して還元金属を製造するため
の炉である。本発明はまた、生成した還元金属が適当な
大きさになるようにすることで、排出や、その後のハン
ドリングを容易にすることのできる方法である。
【0015】図1は、本発明方法を適用して用いる回転
炉床方式の移動型炉床炉を示すものである。図1に示す
ように、この炉は、原料の供給側から排出側に向って、
予熱帯10a、還元帯10b、溶融帯10cおよび冷却
帯10dに区画された環状の炉体10を有し、その炉体
10内には、環状の移動炉床11が回転移動するように
配設してある。その回転する移動炉床11上には、例え
ば鉄鉱石と固体還元剤との混合物からなる原料12が装
入される。なお、前記移動炉床11は、表面に耐火物が
施工してあるが、たとえば粒状耐火物を堆積させたよう
なものであってもよい。そして、この炉体10の上辺部
にはバーナ13を配設し、このバーナ13を燃焼熱源と
して、その輻射伝熱を利用することにより、移動炉床1
1上に堆積させた鉄鉱石等の金属含有酸化物を還元剤介
在の下に加熱還元して還元鉄等の還元生成物を得る。な
お、この図において、符号14は、原料を移動炉床11
上へ装入するための装入装置、符号15は、還元生成物
を排出するための排出装置である。
【0016】この移動型炉床炉の操業において、本発明
では、粉粒状原料の装入に当り、移動炉床上への堆積原
料層表面の形(窪みによる凹凸形状)を良好に維持する
ために、該装入原料の水分を3〜15mass%に調整する
ことが必要である。その理由につき、以下に詳しく説明
する。
【0017】本発明では、移動炉床11上に堆積させた
原料12層の表面を、図2に示すような、多数の窪み1
6を設けて凹凸形状にすることが望まれる。しかも、そ
の凹凸形状が、還元生成物の排出時まできれいな形で維
持できるようにすることが好ましい。そこで、発明者ら
は、その原料12層表面の凹凸形状と原料の水分との関
係を調査した。
【0018】この調査では、所定の受台上に種々の原料
を堆積させた後に上方から突起を押し付けて原料層表面
に窪みを形成し、このときの窪みの形状を観察すること
で、原料層表面の形状安定性を評価する実験を行った。
【0019】即ち、この実験は、図3(a)に示すよう
な受台17(1000mm×1000mm)に原料12を敷き詰めて
堆積させ、この堆積原料層に上方から突起18を有する
押板19を押し付けて、該原料12層の表面に所定の窪
み16を形成し、その押板19を上方に退避させた後の
原料12層表面の窪み16の形状を観察するものであ
る。この実験において、前記押板19には、100mm径の
円筒形の突起18が多数個設けられている。これらの互
いに隣接する突起18間の距離は100mmであり、千鳥配
置で設けられている。そして、前記受台17上に、ま
ず、粒径10mm以下のコークスを50mm厚みに平坦に敷き詰
め、その後、その上に所定の粉粒状の鉄鉱石を25mmの厚
みで敷き詰めて原料層とした。次いで、図3(b)に示
すように、前記押板19の突起18面を原料層12の表
面から30mmの深さまで押し込んだ。その後、押板19を
外して、図3(c)に示すような、窪み16を形成し
た。この窪み16の形状を観察した。
【0020】図4は、このようにして形成した窪み16
の形状を模式的に示したものである。いわゆる十分に乾
燥(0.1mass%)した粉粒状原料を装入堆積させた場合、
図4(a)に示すように、突起板を外した時点で窪みの
周囲の粉粒状原料12が窪み16内に崩れて窪みの形態
が判然としない状態になった。一方、粉粒状原料12中
の水分を調整して適当な水分値(5mass%)としたもので
は、図4(b)に示すように、押板19を外した後も突
起18の形状を正確に写し取った窪み16をそのまま維
持することができた。この場合、図4(c)に示すよう
に、窪み16の周囲の原料が若干崩れる場合もあった。
これは、押板19を押し付けるときと外すときに、該押
板19を垂直に上げ下げするものの、横方向への若干の
ずれを避けることができないから生じたものと思われ
る。しかしながら、このような窪み16の周辺部が一部
崩れる程度なら、窪み16の底面(平坦面)が上方から
見て確認できる程度の状態であれば、堆積原料層の表面
積を十分に確保できるので、とくに問題はないと判断し
た。
【0021】上記原料装入実験の結果を表1に示す。
【表1】
【0022】表1中の評価欄の“可”と“不可”は、押
板19を外したときの窪み16の形状から判断したもの
である。即ち、窪み16の底面の平坦面が一部でも観察
されたものは、「可」、周囲の粉粒状原料が崩れて窪み
の底面の平坦分が見えない状況の場合を「不可」とし
た。水分値は、粉粒状原料中の水分のmass%を示してい
る。
【0023】表1に示すとおり、原料として高炉の乾式
集塵ダストを堆積させた場合、水分が3mass%を下回ると
流動性が非常に良くなり、押板19を押し付けて外す操
作を行うと、窪み16の内壁が崩れて、円形の窪みの中
心にまで流れ込む現象がおき、窪み16の底面である平
坦面が見えない状態になった。
【0024】次に、粉粒状原料として、ペレットフィー
ドの粉原料(150μm以下)を使用して同様の実験を行っ
たところ、完全に乾燥したものではやはり不可という評
価となった。また、水分2mass%程度の条件では、水分に
よる粉鉱石どうしの付着力があるため、窪み16の底面
の平坦面が一部見られる程度になった。しかし、このペ
レットフィードの場合、水分を15mass%を超える程度
まで増加していくと、スラリーに近い性状となり、押板
19を外したときに、窪み16の周囲の原料の壁が崩れ
て窪みの底面の平坦面が隠れる程度まで崩れる場合があ
ったため、これを不可と判定した。
【0025】以上の理由から、堆積原料層の望ましい表
面形状を永く維持するためには、装入する原料の水分は
3〜15mass%、また、窪み16の底面の平坦面が50%以上
残るようにするためには、装入する原料の水分が5〜12m
ass%程度とすると、より望ましいことがわかった。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のように水
分調整した原料を用いることで、移動型炉床炉上に堆積
させた粉粒状原料層表面の形状を所望の形に制御するこ
とができるようになり、ひいては窪み形状をいつまでも
望ましい形のまま保持できるから、粉粒状原料への輻射
伝熱を向上させることができる。しかも、原料の水分を
調整することにより、高炉の乾式集塵ダストのような微
細で乾燥した流動性の高い原料を用いた場合であって
も、堆積所期の原料層表面形状を確実に維持することが
できると共に、粉塵飛散の防止効果を通じて生産性の向
上を図ることができる。その上、本発明によれば、原料
中の適正な水分量が明確となるため、必要以上に水分を
添加して移動型炉床炉への入熱量が増加するようなこと
を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 移動型炉床炉の概念図
【図2】 原料層の断面図
【図3】 原料装入実験方法の説明図
【図4】 原料装入実験結果の説明図
【符号の説明】
10 ・・・移動型炉床炉 10a・・・予熱帯 10b・・・還元帯 10c・・・溶融帯 10d・・・冷却帯 11 ・・・移動炉床 12 ・・・原料(層) 13 ・・・バーナー 14 ・・・装入装置 15 ・・・排出装置 16 ・・・窪み
フロントページの続き (72)発明者 澤 義孝 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 石渡 夏生 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K001 AA10 BA14 CA00 DA05 HA01 4K012 DE01 4K050 AA00 BA02 CG22 EA03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉内を移動する炉床上に粉粒状の含金属
    原料を堆積させ、この原料が炉内を移動する間に加熱
    し、還元し、溶融し、さらに冷却することによって還元
    鉄を生成させてこれを回収する移動型炉床炉の操業にお
    いて、移動炉床上への前記原料の装入に当り、粉粒状原
    料の水分量を3〜15mass%に調整することを特徴とす
    る移動型炉床炉への原料装入方法。
  2. 【請求項2】 上記原料として、高炉の乾式集塵ダスト
    を用いることを特徴とする請求項1に記載の原料装入方
    法。
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