JP2002275505A - 軟磁性成形体の製造方法及び軟磁性成形体 - Google Patents

軟磁性成形体の製造方法及び軟磁性成形体

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JP2002275505A JP2001081147A JP2001081147A JP2002275505A JP 2002275505 A JP2002275505 A JP 2002275505A JP 2001081147 A JP2001081147 A JP 2001081147A JP 2001081147 A JP2001081147 A JP 2001081147A JP 2002275505 A JP2002275505 A JP 2002275505A
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Yoshiharu Iyoda
義治 伊豫田
Naoki Kamiya
直樹 神谷
Ichiro Arita
一郎 有田
Kota Maruyama
宏太 丸山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】充分な比抵抗の値を確保しながら、最大透磁率
の値を向上させた軟磁性成形体を製造する方法及び軟磁
性成形体を提供すること。 【解決手段】本発明の軟磁性成形体の製造方法は、軟磁
性金属の単結晶からなる金属粉末粒子に、絶縁被膜を被
覆形成する被覆工程と、前記絶縁被膜を形成された前記
金属粉末粒子を主成分とする金属粉末粒子集合体を加圧
成形して軟磁性成形体を形成する成形工程とを有するこ
とを特徴とする。本発明の軟磁性成形体は、リン酸系又
はモリブデン酸系の物質からなる絶縁被膜を表面にも
ち、軟磁性金属の単結晶からなる複数の金属粉末粒子同
士が接合されて構成されていることを特徴とする。つま
り、金属粉末粒子を単結晶化することで最大透磁率を向
上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟磁性成形体の製
造方法及び軟磁性成形体に関し、さらに詳しくは電動機
の磁気回路に好適に用いられる軟磁性成形体の製造方法
及び軟磁性成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の産業機器等の進歩に伴い、軟磁性
材料は、従来よりも更に高い透磁率として飽和磁束密度
を向上させることが要望されている。更に、高い透磁率
の他に、鉄損等の低減を図るため、高い比抵抗を有する
ことが求められている。これらの要求に対し、これまで
に種々の研究が進められ、種々の軟磁性成形体が提案さ
れてきた。
【0003】文献1(特開平8−167519号公報)
には、鉄損の低減を目的として、軟磁性の金属粉末粒子
の表面に高い比抵抗をもつ酸化物を被覆した軟磁性金属
粉末粒子を作製し、この軟磁性金属粉末粒子を高温・高
圧焼結することにより鉄損の少ない軟磁性材料(軟磁性
成形体)を得る技術が開示されている。また、文献2
(特開平5−326289号公報)には、鉄損の低減を
目的として、金属粉末粒子にリン酸塩化成処理液により
絶縁被膜を形成し、さらに熱硬化性樹脂を混合した後に
圧縮成形・加熱硬化させて軟磁性成形体を得る技術が開
示されている。文献3(特開平9−180924号公
報)においては、高透磁率化を目的として、金属粉末粒
子にSiO2からなる酸化物微粒子を含む絶縁層で覆わ
れ、この絶縁層を介して金属粉末粒子同士が接合してい
る軟磁性成形体を得る技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術には比抵抗の値は満足いくものの、最大透磁率の値に
ついて満足のいくものではなかった。すなわち、文献1
に開示される技術は、製造できる軟磁性成形体の密度が
低いこと及び被覆が厚い(200nm以上)ことから、
最大透磁率が低かった。文献2に開示される技術は、軟
磁性成形体中の金属粉末粒子の割合が体積基準で84%
程度と低く、最大透磁率及び飽和磁束密度が低かった。
文献3に開示された技術は、SiO2量が金属粉末粒子
に対して質量基準で0.5〜10%あまり加えるので、
密度が低くなり、最大透磁率が低かった。
【0005】したがって本発明では、充分な比抵抗の値
を確保しながら、最大透磁率の値を向上させた軟磁性成
形体を製造する方法及び軟磁性成形体を提供することを
解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、軟磁性金属の
単結晶からなる金属粉末粒子に、絶縁被膜を被覆形成す
る被覆工程と、前記絶縁被膜を形成された前記金属粉末
粒子を主成分とする金属粉末粒子集合体を加圧成形して
軟磁性成形体を形成する成形工程とを有することを特徴
とする軟磁性成形体の製造方法を発明した(請求項
1)。
【0007】つまり、軟磁性成形体の原料である金属粉
末粒子を単結晶化することで、最大透磁率が上昇するこ
とを知見し、実験により確認して本発明に想到したので
ある。単結晶化した金属粉末粒子を得る方法としては、
多結晶からなる軟磁性の原料金属粉末粒子を高温に加熱
することにより、その原料金属粉末粒子を単結晶化する
単結晶化工程により、金属粉末粒子を製造することで速
やかに達成できる(請求項2)。原料金属粉末粒子はそ
の表面積が大きいので速やかに加熱される。そのときの
加熱条件は、還元雰囲気下で1100〜1350℃に加
熱する工程とすることで短時間で単結晶化が遂行できて
好ましい(請求項3)。
【0008】そして、前記被覆工程は、リン酸とホウ酸
とマグネシアとを有するリン酸系処理液を前記金属粉末
粒子の表面に塗布する工程と、その処理液を表面に塗布
されたその金属粉末粒子を乾燥する工程とからなること
(請求項4)、又は、モリブデン酸塩を有するモリブデ
ン酸系処理液を前記金属粉末粒子の表面に塗布する工程
と、該処理液を表面に塗布された該金属粉末粒子を水洗
乾燥する工程とからなること(請求項5)が好ましい。
これらの工程で被覆される絶縁被膜はいずれも少ない量
(体積)で目的とする比抵抗を達成できるので好まし
い。その場合に、絶縁被膜の厚みは、充分な比抵抗をも
ち、且つ要求される最大透磁率を達成できるので、65
nm未満とする(請求項6)ことが好ましい。
【0009】また、金属粉末粒子の粒子径は、最大透磁
率を向上させる観点から100μm以上であることが好
ましい(請求項7)。
【0010】そして、金属粉末粒子は、その金属粉末粒
子全体の質量に対して、粒子径が60μm以下のものが
30%以下であり、150μm以上のものが70%以上
である(請求項8)と、加圧成形により軟磁性成形体を
成形するときに圧縮性が向上でき、隙間無く金属粉末粒
子を圧縮成形できるので、最大透磁率が向上でき好まし
い。
【0011】さらに本発明者らは、リン酸系又はモリブ
デン酸系の物質からなる絶縁被膜を表面にもち、軟磁性
金属の単結晶からなる複数の金属粉末粒子同士が接合さ
れて構成されていることを特徴とする軟磁性成形体を発
明した(請求項9)。
【0012】つまり、上述の製造方法で説明したよう
に、金属粉末粒子を単結晶化することで最大透磁率を向
上できる。
【0013】
【発明の実施の形態】(軟磁性成形体の製造方法) (1)本実施形態の製造方法が適用できる金属粉末粒子
の材質としては鉄系材料を採用することができる。鉄系
材料は純鉄系材料でも良いし、合金元素を含む鉄系合金
でも良い。すなわち、一般に軟磁性材料として用いられ
る成分であるNi、Si、Al、P等の1種または2種
以上を含むことができる。また、C、O等を少なくする
ことで透磁率が向上できる。したがって、金属粉末粒子
の材質としては、純鉄、及び鉄−アルミニウム系、鉄−
シリコン系、鉄−ニッケル系合金が例示される。Cは
0.1%以下、さらに0.01%以下とすることができ
る。Oは0.5%以下、さらに0.1%以下とすること
ができる。
【0014】金属粉末粒子の粒径は圧縮成形性を損なわ
ない範囲で大きいことが磁気特性の観点からは好まし
い。具体的に好ましい金属粉末粒子の粒径としては10
0μm以上である。さらに、100〜250μm程度の
粒径が、金属粉末粒子製造の容易さ等の観点から採用で
きる。そして、圧縮成形性を向上するために、金属粉末
粒子は、その金属粉末粒子全体の質量に対して、粒子径
が60μm以下のもの(微粉)が30%以下であり、1
50μm以上のもの(粗粉)が70%以上とすることが
好ましい。金属粉末粒子を加圧成形する場合に、粗粉同
士の隙間に微粉が充填され、製造された軟磁性成形体の
密度が向上するからである。
【0015】金属粉末粒子は単結晶化されている。金属
粉末粒子を単結晶化する方法としては、多結晶からなる
軟磁性の原料金属粉末粒子を高温に加熱する単結晶化工
程がある。加熱条件としては、非酸化雰囲気下、好まし
くは還元雰囲気下で1100〜1350℃に加熱するこ
とが好ましい。還元雰囲気下で加熱することで雰囲気中
に混入する酸素等の影響を排除でき、さらに原料金属粉
末粒子に存する酸化物を還元することもできるからであ
る。加熱時間としては、原料金属粉末粒子の組成、粒子
径にもよるが、一般的には20分間〜2時間、30〜9
0分間を採用することができる。具体的には原料金属粉
末粒子の粒子径が100〜250μm程度である場合に
は1時間程度の加熱時間が採用できる。なお、金属粉末
粒子の集合体は、同一重量、同一組成の金属塊体に比較
して比表面積が大きいため、内部への伝熱が速やかに行
われ、結晶粒を低減させるための加熱時間は、同一材質
の金属塊体を加熱する場合に比較して短時間で済む。加
熱方式としては特に限定されず、加熱炉内での伝熱加
熱、輻射加熱としても良いし、誘導加熱としても良い。
なお、原料金属粉末粒子の単結晶化を確認する方法とし
ては、一個の粒子の切断面において、粒子内の結晶粒の
大きさをJIS G0552(鋼のフェライト結晶粒度
試験方法)に準じて観察し肉眼で確認できる。
【0016】原料金属粉末粒子は、粒子内部に複数の結
晶粒が存在するのが通常である。原料金属粉末粒子は、
単結晶化工程により単結晶化される以外の、粒子径、組
成等は保存されるので、最初から必要な組成、粒子径を
有する原料金属粉末粒子を用意することが好ましい。原
料金属粉末粒子は水アトマイズ法で製造したものでも良
いし、ガスアトマイズ法で製造したものでも良いし、場
合によっては、機械的破砕法で製造したものでも良い。
【0017】(2)被覆工程は、金属粉末粒子に絶縁被
膜を被覆形成する工程である。絶縁被膜としては、リン
酸とホウ酸とマグネシアとを有するリン酸系絶縁被膜、
そしてモリブデン酸塩を有するモリブデン酸系被膜が例
示できる。リン酸系絶縁被膜及びモリブデン酸系被膜が
比抵抗が高く好ましい。
【0018】絶縁被膜としてリン酸系絶縁被膜を採用す
る場合には、被覆工程は、リン酸とホウ酸とマグネシア
とを有するリン酸系処理液を金属粉末粒子の表面に塗布
する工程と、その処理液を表面に塗布された金属粉末粒
子を乾燥する工程とにより被覆できる。そして、モリブ
デン酸系絶縁被膜を採用する場合に被覆工程は、モリブ
デン酸塩を有するモリブデン酸系処理液を金属粉末粒子
の表面に塗布する工程と、その処理液を表面に塗布され
た金属粉末粒子を水洗乾燥する工程とにより被覆でき
る。
【0019】絶縁被膜の厚さとしては、要求される比抵
抗が実現できる範囲で小さいことが好ましい。本発明者
らの知見によると、電動機等の磁気回路に用いられる軟
磁性成形体の性能は、従来目標とされていた比抵抗の値
よりも低い比抵抗の値で実現可能であり、反対に最大透
磁率をより高くする必要があることが判明したからであ
る。すなわち、磁気回路には高々1〜3kHzの周波数
の磁場が適用されるのみであり、比抵抗を上昇させて渦
電流の発生を抑制し高周波特性を向上するよりも、最大
透磁率を高くして飽和磁束密度を向上させる方が磁気回
路としての性能が向上できる。
【0020】具体的に好ましい絶縁被膜の厚さは、絶縁
被膜がリン酸系若しくはモリブデン酸系である場合には
65nm未満、好ましくは40nm以下である。
【0021】(3)成形工程は、金属粉末粒子集合体を
加圧成形して軟磁性成形体を形成する工程である。金属
粉末粒子集合体は、前述の被覆工程により絶縁被膜を形
成された金属粉末粒子を主成分とする。金属粉末粒子集
合体は前述の金属粉末粒子が100%含まれることが好
ましいが、その他の成分として、不純物(例えば、コス
ト等の観点から完全に単結晶化できなかった原料金属粉
末粒子等)等を含有することを妨げない。
【0022】加圧成形の条件は特に限定されないが、高
圧で成形することで形成される軟磁性成形体の密度が高
くなり好ましい。本実施形態の金属粉末粒子は単結晶で
あるので、比較的変形しやすく、加圧成形により高密度
化し易い。また、加圧成形時の温度、雰囲気も限定され
ず必要に応じて適宜適正な値を選択できる。たとえば加
熱・加圧成形の際の温度としては50〜400℃、10
0〜200℃が好ましい。加圧力は例えば500〜12
00MPa、さらに700〜1000MPaとすること
ができる。加圧時間は例えば5〜600秒、さらに10
〜300秒とすることができる。この中で好ましい加圧
成形条件としては、絶縁被膜の変質を防止するために低
温(200℃以下)で行い、高密度化を行うために高圧
(600MPa以上)で成型を行う組み合わせが挙げら
れる。
【0023】加圧成形を行うことで金属粉末粒子集合体
は一体化して軟磁性成形体となる。軟磁性成形体となっ
ても絶縁被膜の厚さ等は大きく変化しない。
【0024】さらに、本成形工程の後に、焼鈍工程を設
けることが好ましい。焼鈍工程は絶縁被膜の変質しない
温度、たとえば400℃程度で加熱を行う工程であり、
成形工程で蓄積された歪みを除去し磁気的性質を向上で
きる。
【0025】(軟磁性成形体)本実施形態の軟磁性成形
体はリン酸系又はモリブデン酸系の物質からなる絶縁被
膜を表面にもち、軟磁性金属の単結晶からなる複数の金
属粉末粒子同士が接合されて構成されていることを特徴
とする。軟磁性金属の組成、絶縁被膜の厚さ、金属粉末
粒子の粒子径等については前述の軟磁性成形体の製造方
法での説明と概ね同じであるので、ここでは説明を省略
する。そして、本軟磁性成形体は単結晶化された金属粉
末粒子以外にも不純物を含むものであってもよいことは
前述の製造方法での説明と同じである。
【0026】
【実施例】〈試験例1〉 (試験試料の調製) (1)下記の原料金属粉末粒子を用意した。
【0027】組成:質量比で、Fe−0.0001%C
−0.036%O−0.02%Si−0.1Mn−0.
01%P 製法:水アトマイズ法 粒子粒径:106〜250μm 上記した原料金属粉末粒子を還元性雰囲気(純水素ガス
雰囲気)において1100℃(試料1)、1000℃
(試料2)、930℃(試料3)の各温度で1時間熱処
理を行い、各試験試料とした。また、熱処理を行わない
原料金属粉末粒子を試料4とした。
【0028】(試験試料の観察及び結果)各試験試料の
組織を5秒間ナイタルでエッチングし金属顕微鏡で観察
した(200倍)。写真を図1に示す。各試料の組織を
比較すると、1つの粒子中に含まれる結晶粒の数が試料
4(図1(a))、試料3(図1(b))、試料2(図
1(c))、そして試料1(図1(d))の順に、減少
していることが解った。試料4では1つの粒子中の結晶
粒の数が平均50個程度であったものが、試料3では1
0個以下に、試料2では数個に、そして試料1ではほぼ
単結晶化していた。したがって、本試験例における原料
金属粉末粒子を単結晶化する方法(単結晶化工程)とし
ては、還元雰囲気下で1100℃に1時間加熱すればよ
いことが明らかとなった。
【0029】〈試験例2〉 (試験試料の調製) (1)下記の原料金属粉末粒子を用意した。
【0030】組成:質量比で、Fe−0.0001%C
−0.036%O−0.02%Si−0.1Mn−0.
01%P 製法:水アトマイズ法 粒子粒径:106〜250μm 上記した原料金属粉末粒子を加熱雰囲気である還元性雰
囲気(純水素ガス雰囲気)において熱処理を行った。処
理条件は以下の通りである。試料5は1100℃で1時
間保持した後、炉冷した(単結晶化工程)。試料6は9
30℃で20分間保持した後、炉冷した。試料7は熱処
理を行わなかった。さらに試料8として粒子径が250
μm以下の原料金属粉末粒子で熱処理を行わないものを
用意した。
【0031】(2)上記した各粉末100gに対してリ
ン酸系処理液(主成分:りん酸、ほう酸、マグネシア)
0.5mlを混合した。リン酸系処理液は、水1リット
ル当たり、質量基準でリン酸163g、ほう酸30g、
マグネシア30gを含む。その後、200℃で20分間
乾燥させた(被覆工程)。その後、乾燥したものを解砕
した。解砕後の各粉末にはリン酸系絶縁被膜が35nm
の厚さで被覆されている。絶縁皮膜の厚さは粉末粒径1
00μmのものについてAES分析により測定した。
【0032】(3)上記したリン酸系の絶縁被膜を被覆
した各粉末600gを大気中において、150℃に保持
した成形型の成形キャビティに装填した。そして成形温
度150℃、成形圧力1000MPa の条件で、金属
粉末粒子の集合体を加圧成形することにより、外径65
mm、高さ10mmの円柱状をなす軟磁性成形体を得た
(成形工程)。その後、真空雰囲気下において400℃
で30分間加熱して焼鈍化し、各試験試料とした。
【0033】その後、各試験試料の軟磁性成形体の密度
を測定した。この場合、電子上皿天秤で測定した上記軟
磁性成形体の質量と、マイクロメーターで軟磁性成形体
の寸法を測定して求めた体積とから、密度=(質量/体
積)にて、軟磁性成形体の密度を算出した。
【0034】(4)軟磁性成形体の磁束密度は次のよう
に求めた。すなわち、軟磁性成形体から、直径10mm
×10mmのサイズをもつ円柱体をワイヤーカットによ
り作製し、この円柱体を直流磁化特性自動記録装置(理
研電子(株)製(BHU−60))の電磁石にはさみ、
H=4.97×104A/m(625Oe)の印加磁場
中にて、磁束密度B625及び最大透磁率を測定した。
【0035】なお本試験例では、還元性雰囲気において
金属粉末粒子を加熱しているので、原料金属粉末粒子に
おける酸化成分の除去に有利であり、鉄本来のもつ透磁
率を確保するのに有利である。
【0036】(5)軟磁性成形体の比抵抗測定は次のよ
うに行った。すなわち、前記した軟磁性成形体から、2
mm×3mm×12mmのサイズをもつ直方体をマイク
ロカッターにより作製した。直方体の表面をバフ研磨に
より鏡面仕上げした。その後、四端子法により比抵抗の
値を得た。
【0037】なお、最大透磁率は焼鈍前の各試料につい
ても測定を行った。
【0038】(結果)結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表より明らかなように、焼鈍を行うことで
最大透磁率がおよそ100程度向上している。これは、
焼鈍により粒子内部に蓄積された加圧成形時の歪みが解
放されたためと考えられる。
【0041】そして、試料8、7、6、5の順に密度、
最大透磁率の値は上昇しており、熱処理により原料金属
粉末粒子中の結晶粒の数を減少させることにより最終的
な軟磁性成形体の磁気的性質が向上することが明らかと
なった。特に最大透磁率の値は試料7に比べて試料5で
は100以上の大幅な上昇を示している。
【0042】また、図2〜4に試料5〜7の断面の顕微
鏡写真(100倍、ナイタル処理(試料5:8秒、試料
6:10秒、試料7:5秒)を示す(試料5(図2)、
6(図3)、7(図4))。それぞれ、上段に円柱の上
面を下段に円柱の側面をそれぞれ示した。図より明らか
なように、試験例1の結果と同じく、試料7、6、5の
順に1つの粒子中の結晶粒の数が減少していることが解
る(試料5ではほぼ単結晶となっている)。また、試料
7については側面組織がプレスの方向に潰されたように
なっているのに対して、試料5、6では側面組織に方向
性は認められない。つまり、熱処理により圧縮性も向上
している。
【0043】(試験例3)リン酸系処理液の量を変化さ
せた以外は、上述の試験例2の試料7と同様の構成、処
理を行い絶縁皮膜の厚さを0nm(試料9)、35nm
(試料7)、65nm(試料10)、145nm(試料
11)、200nm(試料12)とした。そして、試験
例2と同様に各試料について最大透磁率と比抵抗とを測
定した。
【0044】結果を図5に示す(試料7、9〜12、
○:最大透磁率、●:比抵抗)。図5には比較のため試
験例2における試料5(□:最大透磁率、■:比抵
抗)、試料6(△:最大透磁率、▲:比抵抗)の値につ
いても併せて示した。
【0045】図より明らかなように、従来技術にかかる
試料7、9〜12のように絶縁被膜の厚さを変化させて
本発明にかかる試料5と同様の最高透磁率を得ようとす
ると、比抵抗が100μΩ・cm以下となってしまうの
に対して試料5では900μΩ・cmと大幅に高い値を
示し、高周波特性に優れていることが明らかとなった。
反対に従来技術にかかる試料7、9〜12のように絶縁
被膜の厚さを変化させて試料5と同様の比抵抗を得よう
とすると、最大透磁率が400〜450程度となってし
まうのに対して試料5では700と大幅に高い優れた値
を示している。
【0046】
【発明の効果】本発明に係る軟磁性成形体の製造方法に
よれば、充分な比抵抗の値を確保しながら、最大透磁率
の値が向上した軟磁性成形体を提供できる製造方法を提
供することができる。また、本発明に係る軟磁性成形体
によれば、充分な比抵抗の値を確保しながら、最大透磁
率の値が向上した軟磁性成形体を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1における金属粉末粒子を示す顕微鏡写
真である。
【図2】試験例2における試料5の軟磁性成形体を示す
顕微鏡写真である。
【図3】試験例2における試料6の軟磁性成形体を示す
顕微鏡写真である。
【図4】試験例2における試料7の軟磁性成形体を示す
顕微鏡写真である。
【図5】試験例3における、最大透磁率及び比抵抗の絶
縁被膜膜圧依存性を示したグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 有田 一郎 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 丸山 宏太 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 Fターム(参考) 4K018 BB04 BC28 CA01 KA44 5E041 AC08 BC01 BD05 CA04 HB05 HB11 HB14 HB16 NN01 NN05 NN18

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟磁性金属の単結晶からなる金属粉末粒
    子に、絶縁被膜を被覆形成する被覆工程と、 前記絶縁被膜を形成された前記金属粉末粒子を主成分と
    する金属粉末粒子集合体を加圧成形して軟磁性成形体を
    形成する成形工程とを有することを特徴とする軟磁性成
    形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属粉末粒子は、多結晶からなる軟
    磁性の原料金属粉末粒子を高温に加熱することにより、
    該原料金属粉末粒子を単結晶化する単結晶化工程で製造
    される請求項1に記載の軟磁性成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記単結晶化工程は、還元雰囲気下で1
    100〜1350℃で加熱する工程である請求項2に記
    載の軟磁性成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記被覆工程は、リン酸とホウ酸とマグ
    ネシアとを有するリン酸系処理液を前記金属粉末粒子の
    表面に塗布する工程と、該処理液を表面に塗布された該
    金属粉末粒子を乾燥する工程とからなる請求項1〜3の
    いずれかに記載の軟磁性成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記被覆工程は、モリブデン酸塩を有す
    るモリブデン酸系処理液を前記金属粉末粒子の表面に塗
    布する工程と、該処理液を表面に塗布された該金属粉末
    粒子を水洗乾燥する工程とからなる請求項1〜3のいず
    れかに記載の軟磁性成形体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記絶縁被膜の厚みは、65nm未満で
    ある請求項4又は5に記載の軟磁性成形体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記金属粉末粒子の粒子径は、100μ
    m以上である請求項1〜6のいずれかに記載の軟磁性成
    形体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記金属粉末粒子全体の質量に対して、
    その粒子径が60μm以下のものが30%以下であり、
    150μm以上のものが70%以上である請求項1〜7
    のいずれかに記載の軟磁性成形体の製造方法。
  9. 【請求項9】 リン酸系又はモリブデン酸系の物質から
    なる絶縁被膜を表面にもち、軟磁性金属の単結晶からな
    る複数の金属粉末粒子同士が接合されて構成されている
    ことを特徴とする軟磁性成形体。
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