JP2002273787A - 微多孔膜の製造方法 - Google Patents

微多孔膜の製造方法

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JP2002273787A JP2001076143A JP2001076143A JP2002273787A JP 2002273787 A JP2002273787 A JP 2002273787A JP 2001076143 A JP2001076143 A JP 2001076143A JP 2001076143 A JP2001076143 A JP 2001076143A JP 2002273787 A JP2002273787 A JP 2002273787A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 熱可塑性樹脂及び可塑剤を含む組成物を
溶融混練して均一分散させた後、冷却固化させて成形体
とし、可塑剤を除去して多孔質成形体を形成し、次い
で、延伸する工程を含む工程から微多孔膜を製造する方
法において、特定の延伸温度で延伸して平均孔径d1
微多孔膜を製造した後、平均孔径d2の微多孔膜を製造
する際の延伸温度を、平均孔径と延伸温度で規定される
自由度係数が特定の範囲に入るように選択して微多孔膜
を製造する方法。 【効果】 本発明の製造方法によれば、孔径以外の他の
性能に影響を及ぼすことなく、延伸温度を変えるだけ
で、自在、かつ、簡便に所望の平均孔径を有する微多孔
膜が製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、延伸温度を変更し
て平均孔径の異なる微多孔膜を順次、製造する方法に関
する。特に、血漿製剤やバイオ医薬品等からウィルスや
細菌等の病原体を除去する医用分離フィルター、半導体
製品を製造するのに使用されるフォトレジスト等の薬液
ろ過及びLSIや液晶製造時のウェットステーションで
の循環ろ過に使用する電子産業用フィルター、油水分離
フィルターや液ガス分離フィルター等の産業プロセス用
フィルター、上下水の浄化を目的とする水処理用分離
膜、リチウムイオン電池等の非水電解液系電池用セパレ
ーター、ニッケル水素電池等のアルカリ電解液系電池用
セパレーターの前駆体、及びポリマー電池用の固体電解
質支持体等の広範囲な用途に微多孔膜を提供するため、
極めて広範囲な帯域における所望の平均孔径を有する微
多孔膜を簡便な手法で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製品を製造するのに使用される薬
液や処理水等から微粒子や固形不純物を除去する電子産
業用フィルターに用いられる微多孔膜が、近年、種々の
高分子材料を用いて開発されている。その高分子材料と
しては、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、
セルロースアセテート、ポリフッ化ビニリデン、及びポ
リテトラフルオロエチレンが一般的である。このような
高分子材料の中で、ポリエチレン、ポリプロピレン、及
びポリフッ化ビニリデンは成形加工性に富むため有用な
材料といえる。
【0003】上記の半導体製品は年々微細パターン化す
る傾向にあり、現在ではサブミクロンのサイズで終始し
ている。これに対し、半導体製品に使用される薬液や処
理水中に含まれる微粒子の管理サイズは上記パターンサ
イズの1/2以下を要求される。したがって、ろ過対象
の微粒子サイズに応じて、孔径違いの数種の微多孔膜が
要望されることになり、微多孔膜に要求される平均孔径
は0.05〜0.5μmもの広範囲に及ぶ。また、血漿
製剤やバイオ医薬品等の製剤を人体に投与する際に、製
剤中に含まれるかもしれない細菌、ウィルス、及び病原
性蛋白等の病原体に対する危機感がクローズアップされ
ている。このような病原体を物理的に除去する技術とし
て、分離膜による膜ろ過法が有用な手段として脚光を浴
びつつある。このような用途に使用される微多孔膜は、
一般に医用分離フィルターと呼ばれる。
【0004】ウィルスの種類としては、直径0.02〜
0.03μmのパルボウィルス、ポリオウィルス、EM
Cウィルス、A型肝炎ウィルス等のように極めて小さな
サイズのものから、直径0.04〜0.07μmのB型
肝炎ウィルス、SV40ウィルス、BVDウィルス、シ
ンドビスウィルス等のように中程度のサイズのもの、そ
して、直径0.08〜0.10μmのHIVウィルス等
のように大きなサイズのものがある。このようなウィル
ス群を、そのサイズにあわせて膜ろ過法によって物理的
に除去するためには、平均孔径0.01〜0.1μmの
範囲で自由に孔径制御できる技術と高い微粒子阻止性能
が必要となる。
【0005】このような血漿製剤、バイオ医薬品、及び
半導体用薬液は一般に高粘度な液体であるため、ろ過処
理速度が遅く、生産性に問題を抱えている。したがっ
て、微多孔膜の透過性能への要望は強い。一方では、こ
のような用途に対し、様々な孔径を有する微多孔膜を提
供しようとすると、孔径変更に対する副作用として孔径
以外の他の性能も大きな影響を受け、従来は透過性能を
犠牲にすることが多かった。また、たとえ、それが可能
であったとしても、孔径変更に対する操作は、幾つもの
複雑な製造条件の変更を余儀なくされたり、生産性が欠
落した手法に頼らざるを得なかった。
【0006】微多孔膜の従来の孔径制御技術として、特
開昭50−59458号公報には、ポリオレフィン樹脂
にこの樹脂とは非相溶性のポリカルボン酸アミド粒子を
配合し、機械的せん断により該粒子を分散させた後に、
粒子を抽出して微多孔膜を得る方法が開示されている。
この公報における孔径制御技術は、両成分の相溶化剤と
して酸変性ポリオレフィンを介在させ、その種類や量に
よって孔径を制御するというものである。
【0007】特開平10−296062号公報には、ポ
リオレフィン樹脂に、この樹脂とは非相溶性の水溶性微
粉末を配合し、機械的せん断により該微粉末を分散させ
た後に、微粉末を抽出して微多孔膜を得る方法が開示さ
れている。この公報における孔径制御技術は、微粉末の
粒径を変えることに他ならない。特開昭50−5945
8号公報及び特開平10−296062号公報には、い
ずれもポリオレフィン樹脂とは非相溶性粒子を機械的に
分散させることによって多孔構造を制御する技術が開示
されている。これらの技術では、相溶化剤が用いられて
いるのの、粒子の分散には限界があった。また、粒子を
抽出するために数十時間もの抽出時間を要し、微多孔膜
の生産上、非効率的であった。
【0008】上記問題点である生産効率を向上した孔径
制御技術として、特開平10−316795号公報に
は、ポリオレフィン樹脂に、この樹脂とは非相溶性のメ
タクリル酸系ポリマー微粒子を配合し、機械的せん断に
より該粒子を分散させた後、延伸し、さらに電離性放射
線を利用して粒子を分解除去する方法が開示されてい
る。この公報における孔径制御技術もまた、限界がある
機械的せん断法により、粒子の粒径を変えることに他な
らない。粒子を除去する手法は効率的であると考えられ
るが、分解残査が微多孔膜に残存してしまう、という点
に問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、簡便、か
つ、自在に平均孔径を制御して、平均孔径の異なる複数
の微多孔膜を製造する方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、相分離法で形成
され、均一で連通性に富む多孔構造を有する多孔質成形
体を延伸するにあたって、延伸温度を変更することによ
り、微多孔膜の平均孔径を自在に制御することができる
製造方法を見出し、本発明をなすに至った。すなわち、
本発明は、(a)熱可塑性樹脂及び可塑剤を含む組成物
を溶融混練して均一分散させた後に冷却固化させて成形
体とする工程、(b)次いで、可塑剤の実質的部分を除
去して多孔質成形体を形成する工程、(c)次いで、少
なくとも1回の延伸を行う工程、を含む工程により微多
孔膜を製造する方法において、(c)工程において、一
定の延伸倍率及び延伸速度の下で、一軸延伸の場合は延
伸温度T1で、二軸延伸の場合は縦延伸温度TMD 1及び横
延伸温度TCMD 1で延伸して平均孔径d1の微多孔膜を製
造し、次いで、平均孔径d2の微多孔膜を製造する際
に、(a)工程及び(b)工程を同じ条件に設定し、
(c)工程における延伸温度を一軸延伸の場合は数式
(1)で定義するを自由度係数C1が4×10-3-1
上を満足するように延伸温度T1を選択し、二軸延伸の
場合は数式(2)で定義する自由度係数C2が4×10
-3-1以上を満足するように縦延伸温度TMD 2及び横延
伸温度TCMD 2を選択して延伸することを特徴とする微多
孔膜の製造方法である。
【0011】
【数3】
【0012】( d1は、延伸温度T1(℃)において製
造された微多孔膜の平均孔径(μm)、 d2は、延伸温
度T2(℃)において製造された微多孔膜の平均孔径
(μm))
【0013】
【数4】
【0014】( d1は、縦延伸温度TMD 1、横延伸温度
CMD 1(℃)において製造された微多孔膜の平均孔径
(μm)、d2は、縦延伸温度TMD 2(℃)、横延伸温度
CMD 2(℃)において製造された微多孔膜の平均孔径
(μm)) 延伸温度を変更してこの方法を繰り返すことによって、
平均孔径の異なる微多孔膜を順次、製造することができ
る。本発明の製造方法により得られる平均孔径の異なる
微多孔膜は、極めて類似した膜厚及び気孔率を有してい
る。
【0015】本発明の製造方法により得られる平均孔径
0.01〜10μmの範囲の微多孔膜は、電子産業用フ
ィルターや医用分離フィルターに使用するのに好適であ
る。以下に、本発明の製造方法により得られる微多孔膜
の好適な態様を一例として述べる。本発明の方法により
製造される微多孔膜は、シート状、フィルム状、又は中
空糸状の形態であることが好ましく、中でも、シート状
又はフィルム状がより好ましい。
【0016】本発明の微多孔膜の膜厚は、好ましくは1
μm〜1mm、より好ましくは10μm〜500μm、
最も好ましくは26μm〜100μmである。膜厚が1
μm未満であると微多孔膜の強度や微粒子阻止性能が不
十分となり、1mmを越えると透過性能に不利益を被る
ので好ましくない。本発明の微多孔膜の気孔率は、40
〜95%であることが好ましく、より好ましくは50〜
95%、最も好ましくは71〜80%である。気孔率が
40%未満であると透過性能が不十分となり、95%を
越えると微多孔膜の強度や微粒子阻止性能が不十分とな
るため好ましくない。
【0017】本発明の微多孔膜の平均孔径は、0.01
〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.
01〜1μm、最も好ましくは0.02〜0.3μmで
ある。平均孔径が0.01μm未満である場合でも重大
な不具合は無いが、孔径が小さくなり過ぎると透過性能
を低下させることになる。一方、平均孔径が10μmを
越えると微粒子阻止性能が損なわれるため好ましくな
い。本発明の微多孔膜の多孔構造は、マクロフィブリル
が相互に連結した3次元網目状の骨格と、該骨格の間に
形成された開口部からなり、開口部には骨格から分岐し
たミクロフィブリルが骨格を橋架けしスクリーンを形成
してなる。
【0018】多孔構造は、相分離法によって形成された
球晶が延伸によって伸長ないし配向されて形成されたも
のである。ミクロフィブリルとは、延伸により高度に配
向した微多孔膜に見られる微細な構造体であり、紐状な
いし繊維状等の形状を呈する。マクロフィブリルとは、
ミクロフィブリルが数本ないし数十本の単位で密着し結
束して形成された構造体であり、本発明の微多孔膜の骨
格をなす。開口部とは、マクロフィブリル相互の間隙に
形成された空間である。
【0019】本発明の微多孔膜の多孔構造の機能は、マ
クロフィブリルからなる骨格が微多孔膜の強度を担い、
開口部が高い透過性能の発現に寄与し、そして開口部を
橋架けする無数のミクロフィブリルからなるスクリーン
が微粒子を捕捉することである。本発明の微多孔膜にお
ける、特に断面構造の特徴としては、マクロフィブリル
が相互に連結した3次元網目状の骨格を形成しつつ、マ
クロフィブリルが微多孔膜の膜厚方向に積層した形態を
有する。電子顕微鏡による観察では、マクロフィブリル
からなる骨格に囲まれた開口部は、膜厚方向に扁平な楕
円形状の空泡を形成し、あたかも隔壁によって閉塞され
ているように見える。しかし、開口部は分散したミクロ
フィブリルからなるスクリーンによって囲まれた空間と
なっており、そのスクリーンは極めて連通性が高く、透
過性能を阻害する隔壁とはなっていない。
【0020】本発明の微多孔膜は、熱可塑性樹脂及び可
塑剤を含む組成物を溶融混練して均一分散させた後に冷
却固化させて成形体とし、次に、可塑剤の実質的部分を
除去して多孔質成形体とし、次いで、延伸を行う工程を
含む製造工程により製造される。延伸工程では、少なく
とも1回の一軸又は二軸延伸が行われる。少なくとも1
回の延伸とは、1段延伸、多段延伸、多数回延伸のこと
を指す。二軸延伸は同時延伸及び逐次延伸のいずれでも
よい。延伸は、一定の延伸倍率及び延伸速度の下で、所
定の一軸延伸温度T1で、又は所定の縦延伸温度TMD 1
び横延伸温度TCM D 1で行われる。このような工程により
平均孔径d1の微多孔膜を製造する。
【0021】平均孔径d1の微多孔膜の製造に引き続い
て、平均孔径d2の微多孔膜を製造する際には、本発明
の方法によれば、数式(1)又は(2)で示す自由度係
数が一定の条件を満足する範囲内で、平均孔径d2の微
多孔膜が得られるように延伸温度、すなわち、一軸延伸
の場合は延伸温度T2を、二軸延伸の場合は、縦延伸温
度TMD 2(℃)及び横延伸温度TCMD 2(℃)を選択する
だけでよい。
【0022】
【数5】
【0023】( d1は、延伸温度T1(℃)において製
造された微多孔膜の平均孔径(μm)、 d2は、延伸温
度T2(℃)において製造された微多孔膜の平均孔径
(μm))
【0024】
【数6】
【0025】( d1は、縦延伸温度TMD 1、横延伸温度
CMD 1(℃)において製造された微多孔膜 の平均孔径
(μm)、d2は、縦延伸温度TMD 2(℃)、横延伸温度
CMD 2(℃)に おいて製造された微多孔膜の平均孔径
(μm)) したがって、本発明の方法によると、平均孔径の異なる
微多孔膜を製造する際には、従来の方法のように、相溶
化剤の量や種類を変更したり、微粒子の粒径を変更した
り、微粒子の分散状態を変化させる必要がない。
【0026】本発明において使用される熱可塑性樹脂
は、通常の圧縮、押出、射出、インフレーション、及び
ブロー成形に使用する結晶性を有する熱可塑性樹脂であ
り、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ4−
メチル−1−ペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタ
レート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチ
レンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキシレンジメチレ
ンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、
ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46等のポリア
ミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エチレン/テト
ラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチ
レン樹脂等のフッ素系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹
脂、及びポリアセタール樹脂等が使用できる。これらの
樹脂群において、ポリオレフィン樹脂及びポリフッ化ビ
ニリデン樹脂を使用すると、延伸性が良好であり、孔径
制御範囲が広くなり好ましく、中でもポリエチレン樹脂
が最も好ましい。
【0027】本発明において使用されるポリエチレン樹
脂は、エチレン系重合体であり、ホモ重合体及び/又は
共重合体を単独で、又は混合して使用することができ
る。共重合体としては、プロピレン、1−ブテン、4−
メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、又は1−オクテ
ン等との共重合物があげられる。ポリエチレン樹脂の代
表例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエ
チレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及
び超高分子量ポリエチレン等があり、中でも高密度ポリ
エチレンが加工性等の点から好ましい。
【0028】本発明において使用されるポリフッ化ビニ
リデン樹脂は、基本骨格がフッ化ビニリデン単位を含む
フッ素系重合体であり、一般にはPVDFの略称で呼ば
れる樹脂である。このようなポリフッ化ビニリデン樹脂
としては、フッ化ビニリデン(VDF)のホモ重合体
や、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ペンタフル
オロプロピレン(PFP)、テトラフルオロエチレン
(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTF
E)、及びパーフルオロメチルビニルエーテル(PFM
VE)のモノマー群から選ばれた1種または2種のモノ
マーとフッ化ビニリデン(VDF)との共重合体を使用
することができる。
【0029】本発明において使用される熱可塑性樹脂の
平均分子量は5万〜500万が好ましく、より好ましく
は10万〜100万、最も好ましくは15万〜38万で
ある。平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー)測定等により得られる重量平均分子
量を指すものであるが、一般に平均分子量が100万を
越えるような樹脂については、正確なGPC測定が困難
であるので、その代用として粘度法による粘度平均分子
量を用いることができる。平均分子量が5万未満である
と、溶融成形の際のメルトテンションが無くなり成形性
が悪くなったり、強度が低くなったりするので好ましく
ない。平均分子量が500万を越えると、均一に溶融混
練し難くなる傾向がある。
【0030】本発明において使用される可塑剤として
は、熱可塑性樹脂と混合した際に樹脂の結晶融点以上に
おいて均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒を用いる。ま
た、熱誘起型固液相分離を発現するような可塑剤を用い
ると、平均孔径の制御範囲は広くなるため好ましい。可
塑剤の形態は、概ね常温20℃において、液体であって
も固体であっても差し支えない。また、可塑剤を単独で
使用しても、2種以上の可塑剤を混合して使用しても差
し支えない。
【0031】一例として、ポリエチレン樹脂に対し、熱
誘起型固液相分離を発現する可塑剤としては、ステアリ
ン酸エステル等の長鎖アルキルエステル類、ステアリル
アルコール等の高級脂肪酸アルコール類、流動パラフィ
ンやパラフィンワックス等の炭化水素系可塑剤等が挙げ
られ、中でも、流動パラフィンが好適である。一方、本
発明においては、熱誘起型液液相分離を発現する可塑剤
の使用も可能であるが、その場合には、得られた微多孔
膜の孔径が大きくなり過ぎる傾向があり、また、孔径制
御の自由度も損なわれる傾向がある。
【0032】一例として、ポリエチレン樹脂に対して熱
誘起型液液相分離を発現する可塑剤としては、フタル酸
ジ(2−エチルヘキシル)やフタル酸ジイソデシルやフ
タル酸ジブチル等のフタル酸エステル類、セバシン酸ジ
ブチル等のセバシン酸エステル類、アジピン酸ジ(2−
エチルヘキシル)等のアジピン酸エステル類、リン酸ト
リオクチルやリン酸トリクレジルやリン酸トリブチル等
のリン酸エステル類、トリメリト酸トリオクチル等のト
リメリト酸エステル類、オレイン酸エステル類、及びタ
ローアミン類等が挙げられる。
【0033】本発明において使用される熱可塑性樹脂と
可塑剤の比率については、実行可能な混練温度において
均一溶液を得ることができ、かつ、成形体を形成しうる
のに充分な比率であればよい。具体的には、熱可塑性樹
脂と可塑剤からなる組成物中に占める樹脂の重量分率
は、20〜70重量%であることが好ましく、より好ま
しくは30〜60重量%、最も好ましくは32〜50重
量%である。熱可塑性樹脂の重量分率が20重量%未満
であると、多孔質成形体が脆くなり、延伸により孔径を
制御し難くなるため好ましくない。一方、重量分率が7
0重量%を越えると、多孔構造の成形体を得難くなる傾
向にある。
【0034】本発明において使用される抽出溶剤は、熱
可塑性樹脂に対して貧溶媒、かつ、可塑剤に対して良溶
媒であり、沸点が微多孔膜の融点より低いことが望まし
い。このような抽出溶剤としては、例えば、n−ヘキサ
ンやシクロヘキサン等の炭化水素類、塩化メチレンや
1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素
類、エタノールやイソプロパノール等のアルコール類、
ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル
類、アセトンや2−ブタノン等のケトン類が挙げられ
る。環境適応性、安全性、衛生性を考慮すると、前記溶
剤の中でもアルコール類及びケトン類が好適である。
【0035】本発明において、熱可塑性樹脂と可塑剤を
溶融混練する第一の方法は、樹脂を押出機等の連続式樹
脂混練装置に投入し、樹脂を加熱溶融させながら任意の
比率で可塑剤を導入し、更に、樹脂と可塑剤よりなる組
成物を混練することにより、均一溶液を得る方法であ
る。使用する樹脂の形態は、粉末状、顆粒状、ペレット
状の何れでもよい。このような方法によって混練する場
合は、可塑剤の形態は常温液体であることが好ましい。
押出機としては、単軸スクリュー式押出機、二軸異方向
スクリュー式押出機、二軸同方向スクリュー式押出機等
が使用できる。
【0036】熱可塑性樹脂と可塑剤を溶融混練する第二
の方法は、樹脂と可塑剤を予め常温にて混合して分散さ
せ、得られた混合組成物を押出機等の連続式樹脂混練装
置に投入して混練することにより、均一溶液を得る方法
である。投入する混合組成物の形態については、可塑剤
が常温液体である場合はスラリー状とし、可塑剤が常温
固体である場合は粉末状等とすればよい。熱可塑性樹脂
と可塑剤を溶融混練する第三の方法は、ブラベンダーや
ミル等の簡易型樹脂混練装置を用いる方法や、その他の
バッチ式混練容器内で溶融混練する方法である。このよ
うな方法は、簡易、かつ、柔軟性が高いという利点があ
る。
【0037】本発明において、シート状の成形体は、樹
脂と可塑剤の均一溶液をTダイ等を介してシート状に押
し出すか、圧縮成形機を使用してシート状に圧縮成形
し、その後、熱伝導体に接触させて樹脂の結晶化温度よ
り充分に低い温度まで冷却することにより製造される。
熱伝導体としては、金属、水、空気、あるいは可塑剤自
身を使用できるが、特に金属製のロールに接触させて冷
却する方法が最も熱伝導の効率が高く好ましい。金属製
のロールに接触させる際に、ロール間で挟み込む等して
カレンダー成形又は熱間圧延を施すと、更に熱伝導の効
率が高まり好ましい。
【0038】本発明において中空糸状の成形体は、樹脂
と可塑剤の均一溶液を中空紡口等を介して中空状又は筒
状に押し出し、押し出し物を冷媒浴中に引き込む、及び
/又は押し出し物の中空形態の内側に冷媒を通す等して
冷却固化させることにより製造される。本発明におい
て、可塑剤を抽出する第一の方法は、抽出溶剤が入った
容器中に所定の大きさに切り取った成形体を浸漬し充分
に洗浄した後に、付着した溶剤を風乾させるか、熱風に
よって乾燥させる方法である。この際、浸漬の操作や洗
浄の操作を多数回繰り返して行うと多孔質成形体中に残
留する可塑剤が減少するので好ましい。また、浸漬、洗
浄、乾燥の一連の操作中に成形体の収縮を抑えるため
に、その端部を拘束することが好ましい。
【0039】可塑剤を抽出する第二の方法は、抽出溶剤
で満たされた槽の中に連続的に成形体を送り込み、可塑
剤を除去するのに充分な時間をかけて槽中に浸漬し、し
かる後に付着した溶剤を乾燥させることにより行う。こ
の際、槽内部を多段分割することにより濃度差がついた
各槽に順次、成形体を送り込む多段法や、成形体の走行
方向に対し逆方向から抽出溶剤を供給して濃度勾配をつ
けるための向流法のような公知の手段を適用すると、抽
出効率が高められ好ましい。第一及び第二の方法におい
ては、何れも可塑剤を成形体から実質的に除去すること
が重要である。また、抽出溶剤の温度を、溶剤の沸点未
満の範囲内で加温すると、可塑剤と溶剤との拡散を促進
することができるので抽出効率を高められ更に好まし
い。
【0040】本発明においては、可塑剤の実質的部分を
除去する工程の後に、少なくとも1回の延伸を施す。少
なくとも1回の延伸とは、1段延伸、多段延伸、多数回
延伸のことを指す。延伸は、縦方向一軸延伸、横方向一
軸延伸、同時二軸延伸、又は逐次2軸延伸を指すもので
あり、中でも同時二軸延伸又は逐次二軸延伸が好まし
い。延伸温度は、樹脂の結晶融点をTm℃とすると、縦
方向/横方向ともに、20℃〜Tm℃であることが好ま
しく、より好ましくは30〜(Tm−5)℃、最も好ま
しくは40〜(Tm−10)℃である。延伸温度が20
℃未満であると孔径が小さくなり過ぎる傾向があり、透
過性能を阻害するため好ましくない。延伸温度がTm℃
を越えると、微多孔膜が融解することにより多孔構造が
失われ、透過性能を損なうので好ましくない。
【0041】本発明の延伸の工程においては、一定の延
伸倍率及び延伸速度の条件下で、一軸延伸の場合は延伸
温度T1で、二軸延伸の場合は、縦延伸温度T1、横延伸
温度T2で延伸を行って、平均孔径d1の微多孔膜を製造
する。次いで、平均孔径d2の微多孔膜を製造する際に
は、本発明の方法によれば、数式(1)又は(2)で定
義する自由度係数が4×10−3℃以上という条件が満
足される範囲内で、平均孔径d2の微多孔膜が得られる
ように延伸温度、すなわち、一軸延伸の場合は延伸温度
2、二軸延伸の場合は、縦延伸温度TMD 2(℃)及び横
延伸温度TCMD 2(℃)を変更するだけでよい。
【0042】
【数7】
【0043】( d1は、延伸温度T1(℃)において製
造された微多孔膜の平均孔径(μm)、 d2は、延伸温
度T2(℃)において製造された微多孔膜の平均孔径
(μm))
【0044】
【数8】
【0045】( d1は、縦延伸温度TMD 1、横延伸温度
CMD 1(℃)において製造された微多孔膜の平均孔径
(μm)、d2は、縦延伸温度TMD 2(℃)、横延伸温度
CMD 2(℃)において製造された微多孔膜の平均孔径
(μm)) 平均孔径d2の微多孔膜を製造する際に、同時二軸延伸
による場合は、縦延伸温度及び横延伸温度を同時に変更
する。一方、逐次二軸延伸による場合は、縦延伸温度又
は横延伸温度のいずれか一方を一定の温度として他方を
変更することが、製造工程を簡略化できるため好まし
い。
【0046】自由度係数は4×10-3-1以上であるこ
とが必須であり、好ましくは5×10-3-1以上、より
好ましくは6×10-3-1以上である。自由度係数が4
×10-3-1未満の場合、延伸温度を変更しても平均孔
径が全く変化しないか、又は平均孔径が僅かに変化する
程度であり、微多孔膜の製造上の工程自由度が無い。本
発明の微多孔膜の製造方法によれば、複雑な製造条件の
変更を行うことなく、単に、延伸温度の変更により、フ
ィブリル構造の分散性を変化させ、簡易に所望の平均孔
径を有する微多孔膜を製造することが可能となり、産業
上、極めて有用である。例えば、実施例1に示すよう
に、延伸温度を変更することにより、気孔率をほぼ一定
に維持したまま、実に0.025〜0.290μの広範
囲に及ぶ平均孔径を有する微多孔膜を製造することがで
きる。このような孔径領域は、精密ろ過膜に要求される
領域の全域を網羅するものである。
【0047】相分離法により得られた多孔質成形体を延
伸する際にかかる延伸応力は、通常、延伸倍率1.5倍
近傍に応力の降伏点が存在し、それ以下の延伸倍率では
球晶の伸長変形が生じず、フィブリルの分散程度を変化
させることによる孔径制御ができない。したがって、延
伸倍率は、応力降伏点を超える倍率である必要があり、
縦方向/横方向ともに、一軸方向の倍率で2倍以上が好
ましく、より好ましくは2〜6倍、最も好ましくは2〜
4倍である。この際の延伸応力が大きい場合には、極め
て複数のミクロフィブリルがマクロフィブリルより解離
して開口部に微細なスクリーンが形成され、一方、延伸
応力が小さい場合には、上記と比して少数のミクロフィ
ブリルがマクロフィブリルより解離するに留まり、開口
部にはやや粗いスクリーンが形成される。前者の場合に
は小孔径となり、後者の場合には大孔径となる傾向があ
る。
【0048】本発明の利点を害さない範囲内で、さらに
付加的処理を施してもよい。付加的処理としては、例え
ば、熱処理、電離性放射線等による架橋処理、化学的表
面修飾による官能基導入などが挙げられる。本発明にお
いて使用する組成物には、さらに目的に応じて、酸化防
止剤、結晶核剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、紫外線吸
収剤等の添加剤を混合しても差し支えない。
【0049】
【発明の実施の形態】実施例により本発明を具体的に説
明する。本発明で用いる試験方法は次の通りである。 (1)膜厚 ダイヤルゲージ(尾崎製作所製ピーコックNO.25)
を使用して測定する。 (2)気孔率 微多孔膜の体積V(cm3)と重量W(g)を測定し、
次式を用いて気孔率ε(%)を計算する。ただし、ρは
樹脂の密度(g/cm3)である。 ε=100×(1−W/(ρ×V)) (3)平均孔径 ハーフドライ法に準拠し、湿潤液体として表面張力γが
9〜16mN/mのフロンを使用して、乾燥曲線及び湿
潤曲線について、印可圧力及び空気透過量の測定を行
い、得られた乾燥曲線の1/2の曲線と湿潤曲線とが交
わる圧力P(Pa)から、次式の通りに平均孔径d(μ
m)を求める。 d=2860×γ/P
【0050】(4)結晶融点 パーキンエルマー社製熱分析装置(DSC−Pyris
1)を用い、熱可塑性樹脂の試料の質量を5〜10mg
とし、昇温速度10℃/分、冷却速度10℃/分、及び
20〜300℃の範囲より任意に選択できる走査温度の
条件下で、2サイクル目の昇温過程における吸熱ピーク
温度を観測し、これを結晶融点Tm(℃)と定義する。 (5)相分離機構の同定 (株)東洋精機製作所製ラボプラストミル(型式30C
150)に二軸スクリュー(型式R100H)を装着し
たものを混練装置として使用する。熱可塑性樹脂、可塑
剤等を所定の比率で混合した組成物をラボプラストミル
に投入し、スクリュー回転数50rpmとして、所定の
温度で溶融混練する。この際の混練時間は自由に選択で
きるが、混練トルクが安定するまでに必要とする時間
や、樹脂の分解劣化の防止を考慮すると、5〜10分が
好ましい。次に、スクリュー回転数を10rpmに設定
し、スクリュー混練を継続したままヒーターを切断して
混練物を空冷することにより、混練温度(℃)と混練ト
ルク(J)との相関を測定し特性図を得る。特性図にお
いて、冷却に伴って混練トルクが急上昇する温度を固液
相分離に伴う変曲点とみなすことができる。
【0051】概ね、ポリエチレン樹脂と可塑剤からなる
混合物の場合は、後述する参考例1及び図1に示す通
り、約100℃〜約130℃の範囲に前記固液相分離に
伴う変曲点が存在する。ただし、特性図において、前記
固液相分離に伴う変曲点より高い温度範囲において、冷
却に伴って混練トルクが急降下する温度を有する場合が
あり、このような場合は液液相分離系と同定することが
できる。このような液液相分離系の例を参考例2及び図
1に示す。したがって、冷却に伴って混練トルクが急上
昇する温度を有し、かつ、混練トルクが急上昇する温度
より高い温度範囲に、混練トルクが急降下する温度を有
さない相分離系を熱誘起型固液相分離と定義する。
【0052】
【参考例1】本発明の微多孔膜を形成させる相分離に関
し、その機構を解析した。ポリエチレン樹脂(重量平均
分子量25万、分子量分布7、密度0.956、結晶融
点135℃)40重量%、流動パラフィン(37.8℃
における動粘度75.9cSt)60重量%、及びポリ
エチレン樹脂に対して0.3重量%の2,6−ジ−t−
ブチル−p−クレゾールからなる組成物を調製し、ラボ
プラストミルに投入した。混練温度200℃、スクリュ
ー回転数50rpmで5分間の溶融混練を行い、樹脂温
度並びに混練トルクが安定するのを待った。次に、スク
リュー回転数を10rpmに設定し、スクリュー混練を
継続したままヒーターを切断し、開始温度200℃から
混練物を空冷することにより、温度低下に伴う混練トル
クの変化を観察し、相分離機構の評価を行った。図1に
示す特性図より、この組成物は熱誘起型固液相分離を発
現することが判明した。
【0053】
【参考例2】可塑剤としてフタル酸ジ(2−エチルヘキ
シル)を使用し、混練温度を230℃としたこと以外
は、参考例2と同様にして相分離機構の評価を行った。
図1に示す特性図より、この組成物は180℃に熱誘起
型液液相分離点を有する熱誘起型液液相分離を発現する
ことが判明した。
【0054】
【実施例1】ポリエチレン樹脂(重量平均分子量25
万、分子量分布7、密度0.956、結晶融点135
℃)、及び樹脂に対して0.3重量%の2,6−ジ−t
−ブチル−p−クレゾールをヘンシェルミキサーを用い
てドライブレンドし、35mm二軸押出機に投入した。
さらに、組成物の比率が、ポリエチレン樹脂40重量%
に対して流動パラフィン(37.8℃における動粘度7
5.9cSt)60重量%となるように、押出機に流動
パラフィンを注入して200℃で溶融混練した。混練物
を、コートハンガーダイを経て表面温度40℃に制御さ
れた冷却ロール上に押出キャストすることにより、厚さ
200μmのシート状の成形体を得た。成形体を2−ブ
タノン中に浸漬して流動パラフィンを抽出除去した後
に、付着した2−ブタノンを乾燥除去し、多孔質成形体
を得た。
【0055】次いで、試験2軸延伸機を用い、縦延伸倍
率及び横延伸倍率を3倍に、縦延伸速度を500%/秒
に、及び横延伸速度を20%/秒に固定し、表1に記載
の延伸条件により逐次2軸延伸を行い微多孔膜を得た。
表1の実験番号1〜7に、得られた微多孔膜の特性を示
す。例えば、表1の実験番号1に示すように、縦延伸温
度50℃、横延伸温度50℃で平均孔径0.025μ
m、膜厚49μm、気孔率77%の微多孔膜を製造し、
次いで、実験番号2に示すように、平均孔径0.036
μmの微多孔膜を製造するために、自由度係数が4×1
0ー3℃以上を満たす範囲(この例では自由度係数は1
1.2)で、縦延伸温度を60℃、横延伸温度を60℃
に選定し、それ以外は、実験番号1と同じ条件で微多孔
膜を製造した。その結果、実験番号2で得られた微多孔
膜の膜厚及び気孔率は実験番号1の微多孔膜と同じで、
平均孔径が異なる微多孔膜が得られた。
【0056】以下同様に、縦延伸温度及び横延伸温度を
50℃〜125℃の範囲で変更することにより、平均孔
径が0.025μm〜0.290μmの極めて広範囲に
わたる微多孔膜を製造することができた。実験番号1〜
7の微多孔膜の膜厚及び気孔率はほぼ同一の値を示し
た。
【0057】
【実施例2】試験2軸延伸機を用い、縦延伸速度及び横
延伸速度を20%/秒の条件に固定し、同時2軸延伸を
行ったこと以外は、実施例1と同様にして微多孔膜を得
た。表2の実験番号8〜10は得られた微多孔膜の性能
を示す。縦延伸温度及び横延伸温度を70℃〜110℃
に変更することにより、平均孔径が0.025μm〜
0.290μmの極めて広範囲にわたる微多孔膜を製造
することができた。
【0058】
【実施例3】縦延伸にロール延伸機を、また横延伸にテ
ンター延伸機を用いて逐次2軸延伸を行い、縦延伸温度
を70℃の条件に固定し、横延伸温度を70℃〜110
℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして微多孔
膜を得た。表2の実験番号11〜13は得られた微多孔
膜の性能を示す。横延伸温度を変更することにより、平
均孔径が0.025μm〜0.290μmの極めて広範
囲にわたる微多孔膜を製造することができた。
【0059】
【比較例1】実施例1において得られた成形体を、試験
2軸延伸機を用いて、縦延伸倍率及び横延伸倍率を3倍
に、縦延伸速度及び横延伸速度を20%/秒の一定の条
件に固定し、かつ表2に記載の延伸条件により同時2軸
延伸を行った後に、2−ブタノン中に浸漬して流動パラ
フィンを抽出除去したこと以外は、実施例1と同様にし
て微多孔膜を得た。表2の実験番号14〜16は得られ
た微多孔膜の性能を示す。縦延伸温度及び横延伸温度を
100℃〜120℃に変更したが、得られた微多孔膜の
平均孔径の変化は僅かに0.049μm〜0.060μ
mの範囲であった。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】本発明の微多孔膜の製造方法によれば、
孔径以外の他の性能に影響を及ぼすことなく、自在、か
つ、簡便に所望の孔径を制御することが可能となり、こ
れによって、きわめて広範囲にわたる平均孔径を有する
微多孔膜製品群を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱誘起型固液相分離と同定される組成
物、並びに熱誘起型液液相分離と同定される組成物の混
練トルク特性図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 31:14 B29L 31:14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)熱可塑性樹脂及び可塑剤を含む組成
    物を溶融混練して均一分散させた後に冷却固化させて成
    形体とする工程、 (b)次いで、可塑剤の実質的部分を除去して多孔質成
    形体を形成する工程、 (c)次いで、少なくとも1回の延伸を行う工程、を含
    む工程により微多孔膜を製造する方法において、(c)
    工程において、一定の延伸倍率及び延伸速度の下で、一
    軸延伸の場合は延伸温度T1で、二軸延伸の場合は縦延
    伸温度TMD 1及び横延伸温度TCMD 1で延伸して平均孔径
    1の微多孔膜を製造し、次いで、平均孔径d2の微多孔
    膜を製造する際に、(a)工程及び(b)工程を同じ条
    件に設定し、(c)工程における延伸温度を一軸延伸の
    場合は数式(1)で定義する自由度係数C1が4×10
    -3-1以上を満足するように延伸温度T2を選択し、二
    軸延伸の場合は数式(2)で定義する自由度係数C2
    4×10-3-1以上を満足するように縦延伸温度TMD 2
    及び横延伸温度TCMD 2を選択して延伸することを特徴と
    する微多孔膜の製造方法。 【数1】 ( d1は、延伸温度T1(℃)において製造された微多
    孔膜の平均孔径(μm)、 d2は、延伸温度T2(℃)
    において製造された微多孔膜の平均孔径(μm)) 【数2】 ( d1は、縦延伸温度TMD 1、横延伸温度TCMD 1(℃)
    において製造された微多孔膜の平均孔径(μm)、d2
    は、縦延伸温度TMD 2(℃)、横延伸温度TCMD 2(℃)
    において製造された微多孔膜の平均孔径(μm))
  2. 【請求項2】 工程(a)において、熱可塑性樹脂20
    〜70重量%及び熱可塑性樹脂と混合した際に熱誘起型
    固液相分離を発現する可塑剤80〜30重量%を含む組
    成物を使用することを特徴とする請求項1記載の微多孔
    膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 工程(c)における延伸が二軸延伸であ
    る請求項1又は2記載の微多孔膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂がポリエチレン樹脂である
    ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の微多孔膜の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1の工程を複数回繰り返すことか
    らなる微多孔膜の製造方法。
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