JP2002273747A - 溶液流延製膜方法及びセルロースエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

溶液流延製膜方法及びセルロースエステルフィルムの製造方法

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JP2002273747A
JP2002273747A JP2001080364A JP2001080364A JP2002273747A JP 2002273747 A JP2002273747 A JP 2002273747A JP 2001080364 A JP2001080364 A JP 2001080364A JP 2001080364 A JP2001080364 A JP 2001080364A JP 2002273747 A JP2002273747 A JP 2002273747A
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Japan
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casting
belt
temperature
endless belt
film
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Application number
JP2001080364A
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English (en)
Inventor
Tadahiro Kaneko
忠浩 金子
Hiroyuki Goto
洋之 後藤
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、バンド式流延装置におい
て、流延ベルトが蛇行が無く、安定に走行させ、高品質
のフィルムを得るための溶液流延製膜方法及びセルロー
スエステルフィルムの製造方法を提供することにある。 【解決手段】 循環走行する流延用のエンドレスベルト
と、一対のドラムから構成され、ドラム間の上部に位置
するエンドレスベルト表面に溶液を流延する溶液流延製
膜方法において、該ドラム間の上方区間(B1)のベル
ト温度20℃と流延製膜時とでのエンドレスベルト長の
変化量(ΔL1)と、該ドラム間の下方区間(B2)のベ
ルト温度20℃と流延製膜時とでのエンドレスベルト長
の変化量(ΔL2)との関係が、前記式(1)の関係で
ある溶液流延製膜方法。 式(1) |ΔL1−ΔL2|≦0.00025×L

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶液流延製膜方法
及びセルロースエステルフィルムの製造方法に関し、更
に詳しくは、液晶表示装置あるいは有機エレクトロルミ
ネッセンスディスプレー等の各種の表示装置に用いられ
る偏光板用保護フィルム及び位相差フィルムの製造に有
用な溶液流延製膜方法及びセルロースエステルフィルム
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置(以下、LCDともいう)
は、様々な優れた特性を有することが知られており、現
在、ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ、更に
は各種情報通信器機などの表示装置として幅広く用いら
れている。
【0003】LCDに用いられる偏光板用保護フィルム
には、主に、セルロース樹脂、特にセルローストリアセ
テートフィルムが用いられている。
【0004】これらのセルローストリアセテートフィル
ムの製膜方法としては、主に、溶液流延法による製造が
幅広く行われている。溶液流延法とは、セルローストリ
アセテート、可塑剤等を、メチレンクロライドに若干の
貧溶媒を加えた混合溶媒に溶解した液、いわゆるドープ
を、連続走行しているエンドレス支持体(以下、エンド
レスベルト、流延ベルト、あるいは単にベルトともい
う)上に、ダイスから均一な膜厚で流延し、エンドレス
支持体上で剥離可能な膜強度となるまで乾燥させた後、
形成された膜を支持体から剥離し、さらに完全に乾燥さ
せて巻取るものである。
【0005】上記の製膜方式においては、平衡に対向し
た2つのドラム間に、エンドレスベルトが掛けられ、循
環走行するベルト上に流延するベルト流延方式と、1つ
のドラムのみで構成され、回転するドラムの上に流延す
るドラム流延方式の2つがある。前者のベルト流延方式
の方が、力学強度および加工適正に優れたフィルムが得
られるとされており、特に近年、より薄型のLCDモニ
ターの要求が高まりつつあることから、LCDに用いら
れる保護膜フィルムに対しても薄膜化の要求は強まって
いる。このような従来よりも極めて薄い保護膜フィルム
の製膜では、ベルト流延式の方が、製造しやすいメリッ
トが多々あり、以下、ベルト流延方式について、更に説
明する。
【0006】従来のフィルム製造においては、フィルム
品質、物性についてさほど厳密な品質が要求されていな
い時には、生産性を優先すべく、ベルト流延装置上で
は、剥離前のフィルム冷却部を除くほぼ全域で流延膜が
発泡しない程度の高温度に設定し、生産能力の増強を図
っていた。
【0007】しかしながら、近年では、フィルムに要求
される品質が益々高くなってきている。例えば、得られ
るフィルムの平滑性、後工程においてムラが生じにくい
均一な塗布性、取扱いやすい観点からの低カール性、適
正な光学物性などである。このような要求に応えるべ
く、上記の各特性を達成すべく、様々な検討を行った結
果、これらのフィルム品質および物性は、ベルト流延装
置上の乾燥条件が大きく影響していることが判明した。
例えば、流延直後に流延膜表面に強い風を当てることで
フィルム平滑性は良化し、また、ベルト上の流延膜乾燥
速度、特に固形分質量に対する揮発成分質量が200%
以下の領域で、流延膜に当てる風温を下げて、流延膜の
乾燥速度を遅くすることにより、カールを小さくするこ
とが判明している。また、上記に記載の条件を適切に設
定することにより、可塑剤や紫外線吸収剤等の各添加剤
のフィルム膜内での分布をコントロールできることも判
明しており、このような要求を満たすためには、従来の
ような全ゾーンに渡って高温条件で乾燥するのではな
く、いくつか複数の温度区分を設け、適正の乾燥条件で
乾燥を行うことが重要となってきている。
【0008】前記の優れたフィルム品質を達成するた
め、複数の乾燥温度区分を設ける場合、ある特定の温度
区分を組み合わせ際に、ベルトが幅手方向に振り子のよ
うに振れる、いわゆる蛇行と呼ばれる現象が発生するこ
とが判明した。
【0009】フィルム製膜時にこの蛇行が発生すると、
流延部と剥離部とで幅手における位置にずれが生じ、こ
の結果、剥離時にフィルム幅方向に本来不要な応力が掛
かって光学的特性が変化したり、更に、位置のずれ幅が
大きい場合には、フィルムが破断して生産が不能になる
こともある。また、このようなベルト走行が不安定な状
態では、同時にベルト振動も発生することがあり、この
振動により、流延膜に幅手方向への段状の筋が発生し、
フィルム品質の低下を引き起こす。さらに、この状態が
継続すれば、支持体やドラムの不均一なストレスや磨耗
を与え、結果的に装置寿命を縮めてしまう。
【0010】以上のように、ベルト式流延装置の各部の
乾燥ゾーン温度の組み合わせ方においては、ベルト走行
性が極めて悪化するため、早急な改良手段の開発が望ま
れている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
鑑みなされたものであり、その目的は、バンド式流延装
置を安定に走行させ、高品質のフィルムを得るための溶
液流延製膜方法及びセルロースエステルフィルムの製造
方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成により達成された。
【0013】1.循環走行する流延用のエンドレスベル
トと、循環走行を保持する一対のドラム1、ドラム2か
ら構成され、ドラム1、2間の上部に位置するエンドレ
スベルト表面に溶液を流延する溶液流延製膜方法におい
て、ベルト温度20℃と流延製膜時のベルト温度とにお
ける該ドラム1、2の上方区間(B1)でのエンドレス
ベルト長の変化量(ΔL1)と、ベルト温度20℃と流
延製膜時のベルト温度とにおける該ドラム1、2の下方
区間(B2)でのエンドレスベルト長の変化量(ΔL2
との関係が、前記式(1)の関係であることを特徴とす
る溶液流延製膜方法。
【0014】2.循環走行する流延用のエンドレスベル
トと、循環走行を保持する一対のドラム1、ドラム2か
ら構成され、ドラム1、2間の上部に位置するエンドレ
スベルト表面に溶液を流延する溶液流延製膜方法におい
て、該ドラム1とエンドレスベルトの接触区間における
熱膨張変化量ΔL3(mm)、または該ドラム2とエン
ドレスベルトの接触区間における熱膨張変化量ΔL
4(mm)が、前記式(2)、(3)で表される関係で
あることを特徴とする溶液流延製膜方法。
【0015】3.前記熱膨張変化量ΔL3、又はΔL4
接触時間t(秒)当たりの熱膨張変化量ΔL3t、ΔL4t
が、前記式(4)、(5)で表される関係であることを
特徴とする前記2項に記載の溶液流延製膜方法。
【0016】4.循環走行する流延用のエンドレスベル
トと、循環走行を保持する一対のドラム1、ドラム2か
ら構成され、ドラム1、2間の上部に位置するエンドレ
スベルト表面に溶液を流延する溶液流延製膜方法におい
て、該エンドレスベルトの両端部に非流延部を有し、各
々の該非流延部の幅が10〜300(mm)で、かつ広
幅の非流延部WW(mm)と狭幅の非流延部WN(mm)
の関係ががWW/WN≦2であり、かつ非流延部WWのベ
ルト温度(TW)と非流延部WNのベルト温度(TN)と
の温度差が10℃以下であることを特徴とする溶液流延
製膜方法。
【0017】5.循環走行する流延用のエンドレスベル
トと、循環走行を保持する一対のドラム1、ドラム2か
ら構成され、ドラム1、2間の上部に位置するエンドレ
スベルト表面に溶液を流延する溶液流延製膜方法におい
て、エンドレスベルトの幅手両端部に掛かる張力差ΔT
(N)が、前記式(6)で表される関係であることを特
徴とする溶液流延製膜方法。
【0018】6.流延膜厚、ベルト搬送速度、流延膜乾
燥風温度、温水温度、ドラム温度から選ばれる少なくと
も1つの流延条件を変更する際に、前記1〜5項のいず
れか1項に記載の条件を経て条件変更を行うことを特徴
とする溶液流延製膜方法。
【0019】7.膜厚が20〜200μmで、かつ前記
1〜6項のいずれか1項に記載の溶液流延製膜方法によ
り製造されたことを特徴とするセルロースエステルフィ
ルムの製造方法。
【0020】8.前記セルロースエステルフィルムが、
偏光板保護用フィルムであることを特徴とする前記7項
に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0021】本発明者らは、上記課題に対して、実際に
流延している乾燥温度条件のときのベルト温度と20℃
とのベルトの温度差から、簡単な計算式で算出されるベ
ルト長の変化量を特定の範囲内にするよう、各ゾーンの
温度を制御することにより、ベルトを極めて安定に走行
できることを見出した。
【0022】これについて、以下図を用いて説明する。
図1は、本発明の溶液流延製膜方法の一例を示す概略図
である。
【0023】図1において、2つのドラム1、2に流延
用のエンドレスベルト3(以下、単に流延ベルト3とも
いう)が張架されて、流延ベルト3はドラム1上方から
ドラム2上方へ、そして、ドラム2上方から下方へ回っ
た後、ドラム2下方からドラム1下方へ循環走行するも
のであり、また、ドラム1、2いずれか一方には駆動手
段(図示せず)が接続されており、これを回転駆動させ
ることにより、流延ベルト3を図1の矢印の方向に循環
走行させるようになっている。
【0024】また、ドラム1、2間で流延ベルト3が垂
れ下がらず張架されるよう、通常、サポートロール9が
使用される。ドラム1、2下方側にまたがる区間では、
流延ベルト3は自重である程度垂れ下がったような走行
経路を取るが、ここでのサポートロール9は、この自重
で下がる曲線上に配置されているため、自重で下がる以
上の不要なベルト弛みが生じないようになっている。
【0025】流延ベルト3は、通常、金属製のベルトが
使用され、ドラム1、2に接する面とは反対側の表面
は、鏡面研磨されており、この表面に溶解釜4で溶解、
調製され、送液ポンプ5で流延ダイス6まで送液された
原料溶液であるドープが均一な膜厚に流延される。流延
されたフィルム8は、流延ベルト3が1周する間に、剥
離可能な膜強度となるまで温風や赤外線、あるいは温水
で加温したドラムによって乾燥され、剥離ロール7のと
ころで流延ベルト3から剥離され、その後、完全に乾燥
するまで更に乾燥ゾーンで十分、後乾燥させた後に製品
形態のフィルム8として巻き取られる。なお、本発明で
は、フィルム8を剥離する側のドラムを1とする。
【0026】流延ベルト3は、通常、生産性を上げるた
めに、つまり高速走行でも流延ベルト上での乾燥時間を
確保するために、十数mの長さのベルトが使用される。
この様に流延ベルト3の周長が長くなると、ベルト1周
の間に温度の異なる複数の乾燥ゾーンを設けることとな
り、これらの温度条件の設定パターンの組み合わせ方法
によっては、走行中の流延ベルト3が幅手方向に振れる
(変位)ことがあり、これをベルトの蛇行という。一対
のドラム上で、この流延ベルト3の蛇行の幅手変動振幅
が10mmを越えるような場合では、剥離ロール7でフ
ィルム8の破断等の生産上重大な問題を招く可能性が極
めて高くなる。
【0027】上記課題に対しては、一般には、ドラム
1、ドラム2のいずれか一方に、流延ベルト3が幅手方
向で位置変化を生じた際に、基準の流延ベルト位置に修
正するための位置修正装置が備え付けられている。この
位置修正装置(図示せず)は、流延ベルト3の幅手位置
を検出するセンサーと、流延ベルト3の走行方向に対し
てドラムの軸角度を変更する駆動装置の組み合わせから
なる。このドラムの軸角度を変更する方法としては、ド
ラム軸の両端を駆動させる方法、ドラム軸のいずれか一
方側を駆動させる方法とがあるが、装置コストの観点か
らは後者が有利である。
【0028】また、上記の流延ベルトの幅手位置修正装
置と共に、流延ベルトへの張力付与装置(図示せず)
が、いずれか一方のドラムに設けられる。これは、対向
する一対のドラム間距離を変えることができるドラム移
動装置である。この装置により、流延ベルト3に対し、
常に適切な張力を付加することができ、これにより流延
ベルトの安定走行が可能となる。
【0029】流延ベルトの上方にまたがる区間(B1
と下方にまたがる区間(B2)の各々の流延ベルト長
は、上記説明の如く、区間B2の方が、図1で示すよう
に流延ベルトの自重により垂れ下がった経路分だけ長く
なっているが、流延製膜装置がその条件を設定する常温
である20℃前後においては、初期状態としては、いず
れの区間も弛みのない状態に設定される。
【0030】しかしながら、フィルム生産の稼働時にお
いては、流延ベルトが1周する間に、乾燥風等の温度が
異なる複数の乾燥ゾーンが設けられており、その設定さ
れている条件に応じて、流延ベルトは熱膨張あるいは冷
却収縮を引き起こす。この時、熱膨張や冷却収縮のバラ
ンスが崩れると、その結果として上述の蛇行が発生しや
すいことが判明した。
【0031】以下に、蛇行が発生しやすい条件と、本発
明に係る蛇行の制御条件について説明する。
【0032】図1において、ドラム1とドラム2の上方
にまたがる区間をB1とし、ドラム1の上部と流延ベル
ト3の接点における流延ベルト温度をT1、ドラム2の
上部と流延ベルト3の接点における流延ベルト温度をT
2、区間B1における平均温度をTUとする。同様に、ド
ラム1とドラム2の下方にまたがる区間をB2とし、ド
ラム2の下部と流延ベルト3の接点における流延ベルト
温度をT3、ドラム1の下部と流延ベルト3の接点にお
ける流延ベルト温度をT4、区間B2における平均温度を
Lとしたとき、TUとTLは、前記式(1−3)、(1
−4)で表される。
【0033】また、請求項1に係る発明では、20℃と
流延製膜時とにおける区間B1と区間B2における各々の
ベルト長の変化量(mm)の差の絶対値が、前記式
(1)の関係とすることが特徴であり、式(1)で規定
する条件とすることにより、ベルトの安定走行を実現す
ることができる。
【0034】前記式(1)において、区間B1における
ベルト長の変化量ΔL1及び区間B2におけるベルト長の
変化量ΔL2は、以下のようにして求めることができ
る。
【0035】流延ベルト3のベルト温度20℃における
区間B1のベルト長をL1(mm)、区間B2のベルト長
をL2(mm)とし、流延製膜時の流延ベルト3の区間
1のベルト長をL′1(mm)、区間B2のベルト長を
L′2(mm)としたとき、各々の区間でのベルト長の
変化量は、ΔL1=(L1−L′1)、ΔL2=(L2
L′2)で求めることができ、具体的には、前記式(1
−1)、(1−2)により、ΔL1、ΔL2をそれぞれ算
出することできる。なお、前記式(1−1)、(1−
2)におけるkは、流延ベルトの熱膨張係数を表すが、
流延ベルトがSUS製の場合には、kは1.73×10
-5をとる。
【0036】本発明で規定する範囲以上にΔL1とΔL2
の差が大きくなると、ベルト長がより長くなる区間でベ
ルト張力の低下が発生し、その結果、ドラムと流延ベル
ト間で滑りが発生し、ドラムによる幅手位置制御が効き
にくくなり、蛇行の発生原因となる。
【0037】また、流延ベルトの蛇行発生の他の要因と
して、流延ベルトとドラムとの各接点温度において、T
3>T2又はT1>T4の関係となり、かつそのベルト温度
差が、規定の熱膨張量を越えたケースにおいて、流延ベ
ルトがドラム1あるいはドラム2上でスリップし、蛇行
発生の原因となる。上記課題を解決するため、請求項2
に係る発明では、流延ベルトとドラムとの各接点温度差
を、前記式(2)、(3)で規定する条件とすることが
特徴である。なお、この時、流延ドラム上でのベルトの
熱膨張速度が大きいほど滑りやすくなるため、温度変更
時の昇温、あるいは降温速度を適切な条件に設定するこ
とが好ましい。
【0038】上記の条件に加えて、より安定に流延ベル
トを走行させるため、請求項3に係る発明では、流延ベ
ルトとドラムとの各接点温度差と流延ベルトと各ドラム
との接触時間を、前記式(4)、(5)で表される関係
とすることが特徴である。
【0039】流延ベルトへのドープ流延は、流延ベルト
全幅ではなく、図2に示すようにベルト両端部におい
て、ある幅で流延しない非流延部を設ける。この非流延
部は、膜が形成される流延部とは異なるベルト温度とな
る。膜が流延された領域では、ドープに含まれる溶剤の
蒸発潜熱により、温度低下が生じるが、逆に非流延部
は、乾燥ゾーンの温風等により流延部より、温度が高く
なる。この時、ベルト両端部に設けた各非流延部の幅の
差が大きくなると、各々のベルト端部間で温度差を生じ
る。すなわち、非流延部の幅が広い端部では、温風によ
るベルト温度の上昇が大きくなり、逆に非流延部の幅が
狭い端部では、流延膜の乾燥によるベルト冷却の影響に
より、温風による温度上昇幅が小さくなる。このこと
は、流延ベルト上への膜流延位置がいずれかの方向に偏
ることにより、非流延部の幅に差が生じ、この結果、両
端部における温度差が拡大し、各々のベルト端部におけ
るベルト周長で差を生じ、ベルトが撓んで蛇行を引き起
こす要因となる。
【0040】上記課題を解決する方法として、請求項4
に係る発明では、非流延部の幅を各々10〜300(m
m)の範囲とし、図2に示すように広幅の非流延部をW
W(mm)、狭幅の非流延部をWN(mm)としたとき、
その比率WW/WNを2以下とし、また、WWのベルト温
度をTW、WNのベルト温度をTNとしたときTWとTN
温度差の絶対値が、10℃以下であることが特徴であ
る。
【0041】また、上述のように、2つの対向するドラ
ム間で流延ベルトが弛まないように、一方のドラムサイ
ドに位置修正装置を設けることにより、流延ベルトに適
切な張力が掛かるようにされているが、流延ベルト上へ
の膜流延の幅手位置や、ドラム上での幅手ベルト位置に
偏差が生じると、流延ベルトの両端部に掛かる張力に差
が発生し、蛇行を招く要因となり、更に、張力が低下し
た側のでは、ベルト振動を招くこともある。上記の要因
に係るベルト蛇行及びベルト振動を防止する方法とし
て、請求項5に係る発明では、流延ベルトの両端部に掛
かる張力差ΔT(N)を、ベルト周長(mm)L×0.
6以下とすることが特徴である。
【0042】本発明者は、上記の如く、流延ベルトの蛇
行を起こさせない条件に関し、鋭意検討を行った結果、
上記の各条件に設定することにより、蛇行の発生を防止
できることを見いだした。
【0043】以下に、本発明のセルロースエステルフィ
ルムについて説明する。本発明のセルロースエステルフ
ィルムとしては、特に制限はないが、例えば、セルロー
ストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロー
スアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピ
オネート、セルロースアセテートプロピオネートブチレ
ートなどが好ましく用いられる。セルローストリアセテ
ートの場合は、特に、重合度が250〜400、結合酢
酸量が54〜62.5%のセルローストリアセテートが
好ましく、特には、結合酢酸量が58〜62.5%であ
ることが、優れたベース強度が得られることから好まし
い。更に好ましくは、総アシル基置換度が、2.85未
満のセルローストリアセテートである。
【0044】セルローエステルは、綿花リンターから合
成されたセルローエステルと木材パルプから合成された
セルロースエステルのいずれかを単独で、あるいは混合
して用いることができる。
【0045】本発明のセルロースエステルの具体的な製
造方法については、例えば、特開平10−45804号
公報に記載されている方法を参考にすることができる。
【0046】本発明のセルロースエステルの数平均分子
量は、低すぎると強度が低くなり、高すぎると溶液の粘
度が高くなりすぎる場合があるので、好ましくは7万〜
30万が好ましく、更には8万〜20万の範囲が好まし
い。
【0047】本発明のセルロースエステルフィルムにお
いては、ベルトやドラムからの剥離性が良い綿花リンタ
ーから合成されたセルロースエステルを多く使用するこ
とが、生産性効率が高く好ましい。綿花リンターから合
成されたセルロースエステルの比率が60質量%以上で
剥離性の効果が顕著になるため、60質量%以上が好ま
しく、より好ましくは85質量%以上、更に単独で使用
することが最も好ましい。
【0048】本発明のセルロースエステルフィルムにお
いて、総アシル基置換度が2.85未満のセルロースエ
ステルフィルムが、寸法変化を低減できるため好まし
く、更に総アシル基置換度が2.75未満のセルロース
エステルフィルムであることが好ましく、特に2.70
未満のセルロースエステルフィルムが好ましい。
【0049】本発明において、機械的強度や寸法安定性
等の点から、本発明のセルロースエステルフィルムの製
造において、可塑剤を添加することが好ましく、その添
加量は、用いる可塑剤の種類により一概にはいえない
が、セルロースエステルフィルムあるいはセルロースを
アセチル基および炭素原子数3〜4のアシル基でアシル
化したセルロースエステルフィルムに対し、3〜30質
量%とすることが好ましく、10〜30質量%がより好
ましく、15〜25質量%が特に好ましい。一般に、可
塑剤の添加量が増加すると、寸法変化率が大きくなる
が、本発明によれば寸法変化率を著しく低減させること
ができる。
【0050】本発明で用いることのできる可塑剤とし
て、特に限定はないが、例えば、リン酸エステル系可塑
剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステ
ル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系
可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可
塑剤などを好ましく用いることができる。
【0051】リン酸エステル系としては、例えば、トリ
フェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ク
レジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホ
スフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリ
オクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フ
タル酸エステル系としては、例えば、ジエチルフタレー
ト、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−
2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレ
ート等、トリメリット酸系可塑剤としては、例えば、ト
リブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテー
ト、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エス
テル系可塑剤としては、例えば、テトラブチルピロメリ
テート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチル
ピロメリテート等、グリコール酸エステル系としては、
例えば、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリル
エチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレー
ト、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エ
ステル系可塑剤としては、例えば、トリエチルシトレー
ト、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチル
シトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、ア
セチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等
を好ましく用いることができる。また、ポリエステル系
可塑剤としては、例えば、脂肪族二塩基酸、脂環式二塩
基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重
合ポリマー等を用いることができ、脂肪族二塩基酸とし
ては、特に限定されないが、例えば、アジピン酸、セバ
シン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキ
シルジカルボン酸などを用いることができ、また、グリ
コールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,
2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレング
リコールなどを用いることができる。これらの二塩基酸
及びグリコールは、各々単独で用いても良いし、二種以
上混合して用いても良い。ポリエステルの分子量は、重
量平均分子量として500〜2000の範囲にあること
が、セルロース樹脂との相溶性の点から好ましい。更
に、本発明では、特に200℃における蒸気圧が133
3Pa未満の可塑剤を用いることが好ましく、より好ま
しくは蒸気圧666Pa以下、更に好ましくは1〜13
3Paの蒸気圧を有する可塑剤である。不揮発性を有す
る可塑剤として、特に限定されないが、例えば、アリー
レンビス(ジアリールホスフェート)エステル、トリメ
リット酸トリ(2−エチルヘキシル)等が挙げられる。
【0052】これらの可塑剤は、単独あるいは2種以上
併用して用いることができる。本発明のセルロースエス
テルフィルムには、液晶材料の保護などのために紫外線
吸収剤を用いることが好ましく、紫外線吸収剤として
は、液晶の劣化防止の点より、波長370nm以下の紫
外線の吸収能に優れ、更に良好な液晶表示性の点より、
波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないも
のが好ましく用いられる。
【0053】本発明では、膜厚が20〜200μmのセ
ルロースエステルフィルムにおいて、波長370nmで
の透過率を10%以下にすることによって、偏光板の耐
久性を劣化させることなく、好ましい偏光板を提供する
ことができる。波長370nmの透過率は、5%以下で
あることがより好ましく、2%以下であることが特に好
ましい。
【0054】本発明のセルロースエステルフィルムに添
加される紫外線吸収剤は、分子内に芳香族環を2つ以上
有する紫外線吸収剤が、特に好ましく用いられる。
【0055】一般に用いられるものとしては、例えば、
オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系
化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン
系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩
系化合物などがあげられるが、これらに限定されない。
あるいは、特開平6−148430号、特開2000−
273437に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用
いることができる。
【0056】本発明においては、これらの紫外線吸収剤
を単独で用いても良いし、異なる2種以上の混合で用い
ても良い。
【0057】本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤
としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾ
フェノン系紫外線吸収剤等であり、特に、不要な着色が
より少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤をセルロ
ースエステルフィルムに添加する態様が好ましい。紫外
線吸収剤の添加方法は、例えば、アルコール、メチレン
クロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に紫外線吸収
剤を溶解してからドープに添加するか、または、直接ド
ープ組成中に添加してもよい。また、有機溶剤に溶解し
ない紫外線吸収剤は、溶液中でデゾルバーやサンドミル
を使用して固体分散した後、有機溶剤とセルロースエス
テルを含むドープに添加する。
【0058】本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤
の使用量は、紫外線の吸収効果、透明性の観点から、セ
ルロースエステルに対し、0.1〜5質量%であること
が好ましく、より好ましくは、0.5〜2.5質量%、
更に好ましくは0.8〜2.0質量%である。
【0059】以下に、本発明のセルロースエステルフィ
ルムにおいて、好ましく用いることのできる一般式
〔1〕で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤に
ついて説明する。
【0060】
【化1】
【0061】式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、各
々水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル
基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキ
シル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミ
ノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表
し、R4とR5は互いに閉環して5〜6員の炭素環を形成
してもよい。また、上記の各基では、任意の置換基を有
していて良い。
【0062】以下に一般式〔1〕で表される紫外線吸収
剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されな
い。
【0063】UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′
−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−
tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−
ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−
tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリア
ゾール UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,
4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)
−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,
3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリア
ゾール−2−イル)フェノール) UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−
ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェ
ノール(商品名:TINUVIN171、チバ・スペシ
ャルティー・ケミカルズ社製) UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾー
ル−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチル
ヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(商品名:
TINUVIN109、チバ・スペシャルティー・ケミ
カルズ社製) なお、本発明においては、上記の化合物を含めて、本発
明と同一の出願人による特開昭60−128434号公
報第10頁〜第12頁に記載されている化合物例の(IV
−1)〜(IV−39)を用いることもできる。本発明に
用いられる上記のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
は、例えば、特公昭44−29620号に記載の方法、
又はそれに準じた方法により容易に合成することができ
る。
【0064】また、本発明のセルロースエステルフィル
ムには、必要に応じ、マット剤として酸化珪素のような
微粒子などを加えてもよい。また、酸化珪素で代表され
る微粒子は、有機物により表面処理されていることが、
フィルムのヘイズを低下できる点で好ましい。表面処理
に好ましい有機物としては、例えば、ハロシラン類、ア
ルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げら
れる。微粒子の平均粒径は、大きいほうがマット効果は
大きく、平均粒径が小さいほうは透明性に優れるため、
好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nm
で、より好ましくは7〜14nmである。
【0065】酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエ
ロジル(株)製のAEROSIL200、200V、3
00、R972、R972V、R974、R202、R
812,OX50、TT600などが挙げられ、好まし
くはAEROSIL 200、200V、R972、R
972V、R974、R202、R812などである。
【0066】本発明のセルロースエステルフィルムの製
造方法は、前記記載の本発明で規定した各条件を満足し
た溶液流延製膜方法であれば、特に制限はなく、当業界
で一般に用いられている方法、例えば、米国特許第2,
492,978号、同第2,739,070号、同第
2,739,069号、同第2,492,977号、同
第2,336,310号、同第2,367,603号、
同第2,607,704号、英国特許第64,071
号、同第735,892号、特公昭45−9074号、
同49−4554号、同49−5614号、同60−2
7562号、同61−39890号、同62−4208
号等に記載の方法を参考にすることができる。
【0067】本発明のドープ液で用いられる溶剤は、単
独用いても2種以上併用でもよいが、セルロースエステ
ルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが、生産効
率の点で好ましく、更に、良溶剤が多い方がセルロース
エステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混
合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%で
あり、貧溶剤が30〜2質量%である。
【0068】本発明でいう良溶剤、貧溶剤とは、使用す
るセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、
単独で膨潤するかあるいは溶解しないものを貧溶剤と定
義している。そのため、セルロースエステルの平均酢化
度によっては、良溶剤、貧溶剤の対象が変化し、例え
ば、アセトンを溶剤として用いるときには、セルロース
エステルの結合酢酸量55%では良溶剤になり、結合酢
酸量60%では貧溶剤となる。
【0069】本発明に用いられる良溶剤としては、特に
限定されないが、例えば、セルローストリアセテートの
場合は、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物や
ジオキソラン類、また、セルロースアセテートプロピオ
ネートの場合は、メチレンクロライド、アセトン、酢酸
メチルなどが挙げられる。
【0070】また、本発明に用いられる貧溶剤として
は、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノ
ール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シク
ロヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン等が好ましく
用いられる。
【0071】上記のドープ液を調製する時のセルロース
エステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いるこ
とができるが、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でか
つ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、攪拌しながら
溶解する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物
の発生を防止することができるため、より好ましい。ま
た、セルロースエステルを貧溶剤と混合し、湿潤あるい
は膨潤させた後、さらに良溶剤と混合して溶解する方法
も好ましく用いられる。
【0072】加圧容器の種類は、特に問うところではな
く、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、攪
拌ができればよい。加圧容器には、そのほかに圧力計、
温度計などの計器類を適宜配設する。加圧は、窒素ガス
などの不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の
蒸気圧の上昇によって行ってもよい。加熱は外部から行
うことが好ましく、例えば、ジャケットタイプのものは
温度コントロールが容易で好ましい。
【0073】溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の
常圧での沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温
度がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましい
が、加熱温度が高すぎると必要とされる圧力が大きくな
り生産性が悪くなる。好ましい加熱温度の範囲は45〜
120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70
℃〜105℃の範囲が更に好ましい。又、圧力は設定温
度で、溶剤が沸騰しないように調整される。
【0074】セルロースエステルと溶剤のほかに必要な
可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、予め溶剤と混合
し、溶解または分散してからセルロースエステル溶解前
の溶剤に投入しても、セルロースエステル溶解後のドー
プへ投入しても良い。
【0075】溶解後は、冷却しながら容器から取り出す
か、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器など
で冷却し、これを製膜に供するが、このときの冷却温度
は常温まで冷却してもよいが、沸点より5〜10℃低い
温度まで冷却し、その温度のままキャスティングを行う
ほうが、ドープ粘度を低減できるためより好ましい。
【0076】キャスト工程における流延ベルトは、エン
ドレスベルト状のものが使用され、一般的には、ステン
レスを鏡面仕上げした支持体が使用される。キャスト工
程の流延ベルト温度は、一般的な温度範囲0℃〜溶剤の
沸点未満の温度で流延することができる。
【0077】流延ベルト上にドープを流延した後、流延
膜中の残留溶媒量が、対固形分質量の200%以上で
は、流延膜温度が溶剤沸点以下となるように、また、1
00%〜200%の範囲では、溶剤沸点+10℃以下、
残留溶媒量が100%以下〜剥離工程までは、溶剤沸点
+20℃以下の範囲になるよう、温風や温水、あるいは
赤外線ヒーターで調節して、流延膜を乾燥させる。
【0078】流延ベルト上での乾燥は、残留溶媒量15
0%以下が膜強度の点で望ましく、さらには120%以
下がより好ましい。
【0079】剥離するときの膜温度は、0℃〜30℃が
大きな膜強度が得られる点で望ましく、空気中の水滴凝
縮を防止するためには、5℃〜30℃であることがより
好ましい。
【0080】フィルム乾燥工程においては、流延ベルト
より剥離したフィルムをさらに乾燥し、巻き取り時の残
留溶媒量を3質量%以下、好ましくは1質量%以下、よ
り好ましくは0.5質量%以下にすることが、得られる
フィルムの寸法安定性および環境適性の点で好ましい。
【0081】フィルム乾燥工程では、一般にロール懸垂
方式か、ピンテンター方式または、クリップテンター方
式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。
液晶表示用部材用としては、テンター方式で幅を保持し
ながら乾燥させることが、平面性や寸法安定性を向上さ
せるために好ましい。特に、流延ベルトより剥離した直
後の残留溶媒量の多い状態で幅保持を行うことが、寸法
安定性の向上効果をより発揮する。特に、流延ベルトか
ら剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発により、フィ
ルムは巾方向に収縮しようとするため、高温度で乾燥す
るほど収縮が大きくなる。この収縮は、可能な限り抑制
しながら乾燥することが、出来上がったフィルムの平面
性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特
開昭62−46625号公報に示されているような乾燥
全工程あるいは一部の工程を巾方向にクリップでウェブ
の巾両端を巾保持しつつ乾燥させる方法、いわゆるテン
ター方式が好ましい。更に、残留溶媒量が10〜100
質量%のときに80〜130℃で、あるいは残留溶媒量
が5〜10質量%のときに110〜150℃で保持する
場合、テンターで幅保持もしくはフィルム幅に対して1
〜20%程度の延伸を行うと、セルロースエステルフィ
ルムの平面性の向上効果が大きく特に好ましい。
【0082】フィルムを乾燥させる手段は、特に制限な
く、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等
で行ことができ、簡便さの観点から熱風で乾燥すること
が好ましい。乾燥温度の設定は、40℃〜150℃の範
囲を3〜5段階の温度に分けて、段階的に高くしていく
ことが好ましく、80℃〜150℃の範囲で行うことが
平面性、寸法安定性を良くするためさらに好ましい。
【0083】これら流延してから後乾燥までの各工程
は、空気雰囲気下行ってもよいし、窒素ガスなどの不活
性ガス雰囲気下で行ってもよい。なお、乾燥雰囲気は、
溶媒の爆発限界濃度を考慮して、実施することはもちろ
んのことである。
【0084】本発明のセルロースエステルフィルムの製
造において、乾燥が終了したフィルムの巻き取り機は、
一般的に使用されているものでよく、定テンション法、
定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプ
ログラムテンションコントロール法などの公知の巻き取
り方法で巻き取ることができる。
【0085】本発明のセルロースエステルフィルムの厚
さは、LCDに使用される偏光板の薄肉化、軽量化が要
望から、20〜200μmとすることが特徴であり、好
ましくは25〜150μmである。これ以上薄いと、フ
ィルムの腰の強さが低下するため、偏光板作製工程で、
シワ等によるトラブルが発生しやすく、また、これ以上
厚い場合は、LCDの薄膜化に対する寄与が少ない。
【0086】本発明において、セルロースエステルフィ
ルム中に異物が少ない方が好ましい。特に、偏光クロス
ニコル状態で認識される異物が少ない方が好ましい。
【0087】偏光クロスニコル状態で認識される異物と
は、2枚の偏光板を直行(クロスニコル)状態にし、そ
の間にセルロースエステルフィルムを置いて反対側から
光源の光をあてて、観察される輝点をいう。このような
異物は、異物の箇所のみ反対側からの光源の光が漏れて
輝点として観察されるので、容易にその大きさと個数を
識別することができる。
【0088】異物の個数としては、面積250mm2
たり、偏光クロスニコル状態で認識される大きさが5〜
50μmの異物が200個以下、50μm以上の異物が
実質0個であることが好ましい。更に好ましくは、5〜
50μmの異物が100個以下、より好ましくは50個
以下である。
【0089】上記、異物の少ないセルロースエステルフ
ィルムを得るには、特に手段を選ばないが、例えば、セ
ルロースエステルを溶媒に溶解したドープ組成物を以下
のような濾紙を用いて濾過することで達成できる。
【0090】本発明において用いることのできる濾過材
としては、不溶物などを除去するために絶対濾過精度が
小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると濾
過材の目詰まりが発生しやすいという問題点ある。この
ため、絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好まし
く、0.001〜0.008mmの範囲の濾材がより好
ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材がさ
らに好ましい。
【0091】濾材の材質は、特に制限はなく、通常の濾
材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロ
ン(登録商標)等のプラスチック製の濾材やステンレス
等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。ま
た、上記濾紙は、2枚以上重ねて用いるとより好まし
い。
【0092】ドープ液の濾過は、通常の方法で行うこと
ができるが、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上で、か
つ溶剤が沸騰しない温度範囲で加熱しながら濾過する方
法が、濾過材前後の差圧(以下、濾圧とすることがあ
る)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度範囲は4
5〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、4
5〜55℃の範囲であることが更に好ましい。
【0093】濾圧は、小さい方が好ましく、1.6×1
6Pa以下であることが好ましく、1.2×106Pa
以下であることがより好ましく、1.0×106Pa以
下であることが更に好ましい。濾過圧力は、濾過流量と
濾過面積を適宜選択することで、コントロールすること
ができる。
【0094】本発明のセルロースエステルフィルムは、
光学素子や表示装置の部材として用いることができる
が、この部材とは液晶表示装置に使用される部材のこと
で、例えば、偏光板、偏光板用保護フィルム、位相差
板、反射板、視野角拡大フィルム、光学補償フィルム、
防眩フィルム、無反射フィルム、帯電防止フィルムなど
があげられる。その中でも寸法安定性に対して厳しい要
求のある偏光板、偏光板用保護フィルム、位相差板、視
野角拡大フィルムにおいて、本発明を適用することがよ
り好ましい。
【0095】本発明において用いられる偏光板の作製方
法は、特に限定されず、一般的な方法で作製することが
できる。例えば、セルローストリエステルフィルムをア
ルカリ処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光
膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液
を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わ
りに特開平6−94915号、同6−118232号に
記載されているような接着性を高める方法を使用しても
良い。
【0096】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるもので
はない。
【0097】実施例1 《ドープ液の調製》以下に記載の組成からなるドープ液
を調製した。
【0098】 綿花リンターから合成されたセルローストリアセテート(酢化度61.0%) 85kg 木材パルプから合成されたセルローストリアセテート(酢化度61.0%) 15kg 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリ アゾール 1kg トリフェニルフォスフェート 8.5kg エチルフタリルエチルグリコレート 2kg AEROSIL 200V(アエロジル社製) 0.1kg メチレンクロライド 475kg エタノール 50kg 上記の各添加物を密封容器に投入し、70℃まで加熱
し、撹拌しながら、各セルローストリアセテートを完全
に溶解して、ドープ液を調製した。このドープ液を、3
5℃に保温した流延ダイスを用いて、ステンレス製の流
延ベルト上にウェット膜厚として約400μmとなるよ
うに流延した。
【0099】流延に使用したステンレスの流延ベルト
は、周長20mのベルトであり、流延ダイスにて塗膜を
形成した後、ドラム1と流延ベルトが接触している区間
14の温度を21℃に、流延ベルトの上部区間B1のベ
ルト表裏に温風を当てる第2ゾーンの温度を50℃に、
温水循環保温しているドラム2と流延ベルトが接触して
いる区間L23の第3ゾーンの温度を35℃、流延ベルト
の下部区間B2のベルト表裏に風を当てて流延膜を乾燥
させる第4ゾーンの温度を30℃とした各乾燥ゾーンを
経て、剥離ロールにより膜をベルトから剥離した。な
お、流延ベルト上部の区間長L1及び下部の区間長L
2は、各々7620mm、7668mmとし、またドラ
ム1、2と流延ベルトとの接触区間長(L14、L23
は、いずれも2356mmで行った。
【0100】以上の製膜条件で、10分間の本発明1の
連続製膜を行い、T1〜T4におけるベルト温度の測定及
び、10分後の流延ベルトの幅方向における蛇行振幅
(mm)を測定した。次いで、第1〜第4ゾーンの乾燥
温度設定を表1に記載の条件に変更した以外は同様にし
て、比較例1の連続製膜を行い、同様に10分後のT1
〜T4におけるベルト温度の測定及び流延ベルトの幅方
向における蛇行振幅(mm)を測定した。
【0101】以上により、得られた結果を表1に示す。
なお、表1に記載のΔL1、ΔL2はベルト温度測定値T
1〜T4と、ステンレスベルトの熱膨張係数k=1.73
×10-5を基に、前記式(1−1)、(1−2)に従い
算出し、その計算値より、請求項1で規定した|ΔL1
−ΔL2|を求めた。
【0102】
【表1】
【0103】上記実施した条件において、請求項1の式
(1)の右項である0.00025×Lは、ベルトの周
長が20m(20000mm)であることから、その数
値は5.0(mm)であるが、表1より明らかなよう
に、|ΔL1−ΔL2|が0.6である本発明1の乾燥条
件で連続製膜することにより、比較例1の|ΔL1−Δ
2|が5.1である条件に対し、蛇行振幅が極めて小
さく、安定したベルト搬送条件であることが判る。な
お、比較例1で引き続き連続製膜を継続した結果、約1
時間の時点で、流延ベルトが急激に一方方向に偏り、こ
の際、ベルト位置修正装置による位置制御が間に合わ
ず、緊急停止した。
【0104】実施例2 実施例1に記載したのと同様のベルトマシンとドープ液
を用いて、表2に記載の本発明2及び比較例2の乾燥条
件で連続流延製膜を行い、各々について10分後のベル
ト蛇行振幅(mm)を測定した。
【0105】表2に記載のΔL4は、請求項2に係る前
記式(3)に従って計算した、ドラム2と流延ベルトと
の接触領域L23における熱膨張変化量(mm)である。
なお、各ドラムと流延ベルトとの接触区間長(L14、L
23)は、いずれも2356mmで行った。
【0106】
【表2】
【0107】表2より明らかなように、請求項2に係る
式(3)で規定するドラム接触領域の熱膨張変化量ΔL
4が1.41(=6.0×10-4×2356)以下であ
る本発明2は、ΔL4が1.43である比較例2に対
し、連続流延製膜における蛇行振幅が、極めて小さく、
安定走行を行うことができた。なお、比較例2の条件
で、引き続き連続製膜を行った結果、実施例1の比較例
1と同様に、約1時間の時点で、流延ベルトが急激に一
方方向に偏り、この際、ベルト位置修正装置による位置
制御が間に合わず、緊急停止した。
【0108】実施例3 実施例1に記載したのと同様のベルトマシンとドープ液
を用いて、表3に記載の本発明3及び比較例3の乾燥条
件で連続流延製膜を行い、各々について10分後のベル
ト蛇行振幅(mm)を測定した。なお、製膜速度は、2
2.5m/minで行った。
【0109】なお、表3に記載のΔL4は、実施例2に
記載したのと同様で、ドラム2と流延ベルトとの接触領
域L23における熱膨張変化量(mm)であり、ΔL
4tは、請求項3に係る式(5)に従って計算した、1秒
当たりのΔL4値(mm/sec)である。
【0110】
【表3】
【0111】表3より明らかなように、請求項3に係る
式(5)で規定する1秒当たりのドラム接触領域の熱膨
張変化量ΔL4tが0.2以下である本発明3は、ΔL4t
が0.21である比較例3に対し、連続流延製膜におけ
る蛇行振幅が、極めて小さく、安定走行を行うことがで
きた。なお、比較例3の条件で引き続き連続製膜を継続
した結果、実施例1の比較例1と同様に、約1時間の時
点で、流延ベルトが急激に一方方向に偏り、この際、ベ
ルト位置修正装置による位置制御が間に合わず、緊急停
止した。
【0112】実施例4 実施例1に記載したのと同様のベルトマシンとドープ液
を用いて、幅1000mmの流延ベルト上に幅900m
mの膜を、表4に記載の条件で流延し、本発明1の乾燥
温度条件で、実施例4と比較例4の2条件で連続走行を
行い、同様の方法で10分後のベルト蛇行振幅(mm)
を測定した。なお、実施例4は、意図的に流延ダイスの
幅手における塗布位置を変えて、非流延部の一方の幅
(WW)を60mm、狭い他方端の非流延部の幅(WN
を40mmとし、比較例4は、各々WW:75mm、
N:25mmとし、各々の両端部の流延ベルト温度を
測定した。なお、該両端部のベルト温度差は、ベルト1
周の中で最も温度差の大きい箇所の温度を用いた。ベル
ト両端の非流延部では、その幅が狭い方では流延膜の温
度の影響を受けてそれに近い温度となり、幅が広い方
は、温風による加熱の影響の方が大きく、流延膜よりか
なり高い温度となった。
【0113】
【表4】
【0114】表4より明らかなように、請求項4に係る
広幅の非流延部WWと狭幅の非流延部WNの比が2以下
で、かつWWのベルト温度とWNのベルト温度差が10℃
以下の本発明4は、上記各条件が請求項4に係る規定外
である比較例4に対し、連続流延製膜における蛇行振幅
が、極めて小さく、安定走行を行うことができた。
【0115】実施例5 実施例1に記載したのと同様のベルトマシンとドープ液
を用いて、幅1000mmの流延ベルト上に幅900m
mの膜を、表5に記載の条件で流延し、本発明1の乾燥
温度条件で、実施例5と比較例5の2条件で連続走行を
行い、同様の方法で10分後のベルト蛇行振幅(mm)
を測定し、得られた結果を表5に示す。詳しくは、実施
例5では、流延ベルトの全幅における張力を50kN、
流延ベルト両端での張力差を6kNとし、比較例5は、
それぞれ60kN、14kNで行った。なお、請求項5
に係る式(6)における右項は、ベルトの周長が20m
であるので、12kNである。
【0116】
【表5】
【0117】表5より明らかなように、式(6)で規定
する張力条件を満たす実施例5は、比較例に対し、連続
流延製膜における蛇行振幅が、極めて小さく、安定走行
を行うことができた。これに対し、式(6)で規定する
張力差以上となってしまった比較例5では、ベルト位置
修正装置の働きで一方的な片寄りは起こらなかったが、
大きな蛇行が観察された。
【0118】実施例6 実施例1〜5で作製した本発明1〜5のセルロースエス
テルフィルムを用いて公知の方法で偏光板を作製し、市
販の液晶表示パネル(NEC製 カラー液晶ディスプレ
イ MultiSync LCD1525J 型名 L
A−1529HM)の最表面の偏光板を注意深く剥離
し、ここに本発明に係る各偏光板を張り付け、各液晶表
示パネルについて、各特性の評価を行ったところ、良好
な結果が得られた。
【0119】
【発明の効果】本発明により、連続流延製膜において、
蛇行振幅が小さく、安定した連続走行が可能な溶液流延
製膜方法及びセルロースエステルフィルムの製造方法を
提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶液流延製膜方法の一例を示す概
略図である。
【図2】流延ベルト両端の各非流延部(WW、WN)を示
す斜視図である。
【符号の説明】
1 ドラム 2 ドラム 3 流延ベルト 4 溶解釜 5 送液ポンプ 6 流延ダイス 7 剥離ロール 8 フィルム 9 サポートロール B1 ドラム1、2の上方区間 B2 ドラム1、2の下方区間 T1〜T4 各ドラム接点部における流延ベルト温度 WW 広幅の非流延部 WN 狭幅の非流延部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 1:10 C08L 1:10 Fターム(参考) 4F071 AA09 AE04A AE05A AE12A AF27 AF29 AF30 AF54 AG32 AG34 AG36 AH12 BA02 BB02 BC01 BC12 4F205 AA01 AC05 AG01 AH73 AJ11 AR06 AR08 GA07 GB02 GC07 GN19 GN24 GN28

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 循環走行する流延用のエンドレスベルト
    と、循環走行を保持する一対のドラム1、ドラム2から
    構成され、ドラム1、2間の上部に位置するエンドレス
    ベルト表面に溶液を流延する溶液流延製膜方法におい
    て、ベルト温度20℃と流延製膜時のベルト温度とにお
    ける該ドラム1、2の上方区間(B1)でのエンドレス
    ベルト長の変化量(ΔL1)と、ベルト温度20℃と流
    延製膜時のベルト温度とにおける該ドラム1、2の下方
    区間(B2)でのエンドレスベルト長の変化量(ΔL2
    との関係が、下記式(1)の関係であることを特徴とす
    る溶液流延製膜方法。 式(1) |ΔL1−ΔL2|≦0.00025×L 〔式中、ΔL1はドラム1、2の上方区間(B1)のベル
    ト温度20℃と流延製膜時とでのエンドレスベルト長の
    変化量(mm)、ΔL2はドラム1、2の下方区間
    (B2)のベルト温度20℃と流延製膜時とでのエンド
    レスベルト長の変化量(mm)、Lはエンドレスベルト
    の周長(mm)を表す。なお、ΔL1、ΔL2は、下式
    (1−1)、(1−2)で算出される計算値である。 式(1−1) ΔL1=k×(TU−20)×L1 式(1−2) ΔL2=k×(TL−20)×L2 式(1−1)、(1−2)において、kはエンドレスベ
    ルトの熱膨張係数、T U、TLは各々区間B1、B2におけ
    る平均温度(℃)、L1、L2は各々区間B1、B2のエン
    ドレスベルト長(mm)を表す。なお、TU及びTLは、
    下式(1−3)、(1−4)により求められる。 式(1−3) TU=(T1+T2)/2 式(1−4) TL=(T3+T4)/2 式(1−3)、(1−4)において、T1はドラム1上
    部接線のエンドレスベルト温度、T2はドラム2上部接
    線のエンドレスベルト温度、T3はドラム2下部接線の
    エンドレスベルト温度、T4はドラム1下部接線のエン
    ドレスベルト温度をそれぞれ表す。〕
  2. 【請求項2】 循環走行する流延用のエンドレスベルト
    と、循環走行を保持する一対のドラム1、ドラム2から
    構成され、ドラム1、2間の上部に位置するエンドレス
    ベルト表面に溶液を流延する溶液流延製膜方法におい
    て、該ドラム1とエンドレスベルトの接触区間における
    熱膨張変化量ΔL3(mm)、または該ドラム2とエン
    ドレスベルトの接触区間における熱膨張変化量ΔL
    4(mm)が、下記式(2)、(3)で表される関係で
    あることを特徴とする溶液流延製膜方法。 式(2) ΔL3=(T1−T4)×k×L14≦6.0×10-4×L
    14(mm) 式(3) ΔL4=(T3−T2)×k×L23≦6.0×10-4×L
    23(mm) 〔式(2)、(3)において、ΔL3は温度測定点T1
    4における熱膨張変化量(mm)であり、ΔL4は温度
    測定点T2とT3における熱膨張変化量(mm)であり、
    14は温度測定点T1とT4間のドラム1とエンドレスベ
    ルトとの接触区間長(mm)であり、L23は温度測定点
    2とT3間のドラム2とエンドレスベルトとの接触区間
    長(mm)である。また、T1〜T4及びkは、前記式
    (1)のそれらと同義である。〕
  3. 【請求項3】 前記熱膨張変化量ΔL3、又はΔL4の接
    触時間t(秒)当たりの熱膨張変化量ΔL3t、ΔL
    4tが、下記式(4)、(5)で表される関係であること
    を特徴とする請求項2に記載の溶液流延製膜方法。 式(4) ΔL3t=ΔL3/t≦0.2(mm/sec) 式(5) ΔL4t=ΔL4/t≦0.2(mm/sec) 〔式(4)、(5)において、ΔL3tはドラム1とエン
    ドレスベルトとの接触区間の1秒当たりの熱膨張変化量
    (mm)、ΔL4tはドラム2とエンドレスベルトとの接
    触区間の1秒当たりの熱膨張変化量(mm)、tは各ド
    ラムとエンドレスベルトとの接触時間(sec)を表
    す。なお、ΔL3、ΔL4は、前記式(2)、(3)のそ
    れらと同義である。〕
  4. 【請求項4】 循環走行する流延用のエンドレスベルト
    と、循環走行を保持する一対のドラム1、ドラム2から
    構成され、ドラム1、2間の上部に位置するエンドレス
    ベルト表面に溶液を流延する溶液流延製膜方法におい
    て、該エンドレスベルトの両端部に非流延部を有し、各
    々の該非流延部の幅が10〜300(mm)で、かつ広
    幅の非流延部WW(mm)と狭幅の非流延部WN(mm)
    の関係ががWW/WN≦2であり、かつ非流延部WWのベ
    ルト温度(TW)と非流延部WNのベルト温度(TN)と
    の温度差が10℃以下であることを特徴とする溶液流延
    製膜方法。
  5. 【請求項5】 循環走行する流延用のエンドレスベルト
    と、循環走行を保持する一対のドラム1、ドラム2から
    構成され、ドラム1、2間の上部に位置するエンドレス
    ベルト表面に溶液を流延する溶液流延製膜方法におい
    て、エンドレスベルトの幅手両端部に掛かる張力差ΔT
    (N)が、下記式(6)で表される関係であることを特
    徴とする溶液流延製膜方法。 式(6) ΔT≦0.6×L 〔式(6)において、ΔTはエンドレスベルト両端部の
    張力差(N)、Lはエンドレスベルトの周長(mm)を
    表す。〕
  6. 【請求項6】 流延膜厚、ベルト搬送速度、流延膜乾燥
    風温度、温水温度、ドラム温度から選ばれる少なくとも
    1つの流延条件を変更する際に、請求項1〜5のいずれ
    か1項に記載の条件を経て条件変更を行うことを特徴と
    する溶液流延製膜方法。
  7. 【請求項7】 膜厚が20〜200μmで、かつ請求項
    1〜6のいずれか1項に記載の溶液流延製膜方法により
    製造されたことを特徴とするセルロースエステルフィル
    ムの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記セルロースエステルフィルムが、偏
    光板保護用フィルムであることを特徴とする請求項7に
    記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
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