JP2002273461A - 無放流式汚水脱窒装置 - Google Patents

無放流式汚水脱窒装置

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JP2002273461A
JP2002273461A JP2001191995A JP2001191995A JP2002273461A JP 2002273461 A JP2002273461 A JP 2002273461A JP 2001191995 A JP2001191995 A JP 2001191995A JP 2001191995 A JP2001191995 A JP 2001191995A JP 2002273461 A JP2002273461 A JP 2002273461A
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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生物学的脱窒法の優れた特徴を生かしつつ、
操作が簡単で、特別な管理を必要とせず、設置面積も少
なくてすみ、低コストで、毒性の問題がなく、寒暖の影
響を受け難い上に、畜産排水処理などの大規模な汚水処
理でも十分な脱窒効果が得られ、しかも脱窒処理した後
の水を集水管から排水することなく蒸発散させる無放流
方式の汚水脱窒装置を提供する。 【解決手段】 土1中に形成した上部が開放された空間
2内に、通気性土壌3を充填し、その底部に透水係数が
5.0×10−1〜5.0cm/秒のジオテキスタイル
4を敷設すると共に、該ジオテキスタイル4の上方の通
気性土壌3内に処理水浸潤部材5を設け、更に、該ジオ
テキスタイル4の下側に透水性の金属鉄層6を設けて、
該処理水浸潤部材5へ供給された汚水処理水を該通気性
土壌3内へ浸潤させ、脱窒処理した後、蒸発散させるこ
とを特徴とすることを特徴とする無放流式汚水脱窒装
置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無放流方式の汚水
処理に用いる脱窒装置に関し、特に生活汚水、畜産排水
などの一次処理水の無放流式汚水脱窒装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】水洗便所の汚水や厨房雑排水などの生活
汚水、家畜の糞尿や畜舎の洗浄水などの畜産汚水中に
は、有機性窒素、アンモニア性窒素をはじめとして、各
種の窒素酸化物が含まれており、これらは、河川、湖沼
の富栄養化の原因となるため、除去する必要がある。特
に、硝酸性窒素は、メトヘモグロビン血症を引き起こす
など人体への悪影響があるほか、さまざまな環境汚染の
原因となるため、環境庁の公共用水域及び地下水の環境
基準として、10mg/リットル以下とするように規定
されている。
【0003】汚水中の窒素を除去する方法としては、ア
ンモニアストリッピング法、イオン交換法等の選択的物
理化学処理法、逆浸透法、電気透析法等の総括的物理化
学処理法、生物学的脱窒素法等の生物化学的処理法など
が提案されているが、なかでも、生物学的脱窒素法は、
アンモニア性窒素と共に有機性窒素も除去できるため、
各種廃水処理の分野で実用化されるようになってきてい
る。
【0004】生物学的脱窒素法は、自然界に生息して窒
素循環に関係している微生物群を利用し、窒素化合物を
最終的に窒素ガスに変換するものである。この方法で
は、反応槽を硝化槽と脱窒槽とに分け、硝化槽におい
て、BOD酸化菌で有機性窒素をアンモニア性窒素に酸
化し、次いで偏性好氣性の亜硝酸菌、硝酸菌で亜硝酸
性、硝酸性窒素に酸化した後、脱窒槽において、通性嫌
気性の脱窒菌で亜硝酸性、硝酸性窒素を還元して窒素ガ
スとし、大気中に放出させる。
【0005】しかしながら、かかる従来の生物学的脱窒
素法では、運転操作や汚泥処理などの管理が煩雑である
こと、硝化槽や脱窒槽には沈殿池を併設する必要がある
ため、処理装置の設置に広大な敷地を要し、建設費が高
いこと、硝化槽にpH調整用のアルカリを多量に要する
こと、脱窒槽にメタノールが必要で、毒性の問題が生ず
ること、低温で処理効率が低下することなどの問題があ
った。
【0006】このような従来の生物学的脱窒素法の問題
を解消するために、本発明者は、先に、「不透水性部材
により、上部が開放された幅60cm〜4mの空間を土
中に形成して、該空間内に通気性土壌を充填し、その底
部に集水管を敷設すると共に、該集水管の上方に処理水
浸潤部材を設け、かつ該空間上部に、該不透水性部材の
外側にわたって盛土し、該処理水浸潤部材へ供給された
汚水処理水を該通気性土壌内へ浸潤させて脱窒処理した
後、該集水管から排出させることを特徴とする汚水脱窒
装置」を提案した(特許第3105519号)。
【0007】この装置では、家庭、店舗、公共設備など
の小規模での汚水処理の場合は、十分な脱窒効果が得ら
れるが、畜産排水処理などの大規模処理の場合は、十分
な脱窒が行われない恐れがあり、しかも、脱窒処理した
後の水を集水管から排水することなく蒸発散させる、い
わゆる無放流方式の脱窒装置としては使用できないとい
う問題があった。この無放流方式の処理は、排水が河
川、湖沼へ直接流入するのを嫌う場合に用いられるもの
であって、根強い需要がある。
【0008】一方、金属鉄により硝酸性窒素含有排水を
処理して、硝酸を還元し、窒素ガスに転換する技術(第
32回日本水環境学会年次講演集、84頁(平成10
年))や、鉄くずを硝酸分解に利用して排水浄化する技
術(中日新聞、第1面、平成12年6月29日)も提案
されている。しかしながら、これらの方法は、pH4以
下の酸性条件下では還元速度が高いが、pH4を超える
中性、アルカリ性条件下では還元速度が低くなり、反応
生成物の窒素ガスへの変換率(脱窒効果)が低下すると
いう問題がある。更に、本発明者の実験によると、処理
排水を単に鉄で処理しただけでは、確かに硝酸性窒素は
減るものの、亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素が増え
て、結局全窒素量はあまり減らず、しかも生物化学的酸
素要求量(BOD)及び化学的酸素要求量(COD)が
高くなるという知見も得られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従がって、本発明は、
上記従来技術の問題を解消し、生物学的脱窒法の優れた
特徴を生かしつつ、操作が簡単で、特別な管理を必要と
せず、設置面積も少なくてすみ、低コストで、毒性の問
題がなく、寒暖の影響を受け難い上に、畜産排水処理な
どの大規模な汚水処理でも十分な脱窒効果が得られ、し
かも脱窒処理した後の水を集水管から排水することなく
蒸発散させる、いわゆる無放流方式の汚水脱窒装置とし
て使用できる脱窒装置を提供することを課題とするもの
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、先に、特許
第3105519号で提案した通気性土壌による放流方
式の脱窒装置をベースにして、更に改良を重ねた結果、
特定の透水係数を有するジオテキスタイルとそれ単独の
使用では十分な脱窒効果を奏することのできない金属鉄
とを通気性土壌底部で組み合わせて使用することによ
り、大規模な汚水処理でも十分な脱窒効果が得られ、特
に、有害な硝酸性窒素の地下水への混入を、問題のない
レベルまで低減させることができ、無放流方式の脱窒装
置として使用できることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0011】すなわち、本発明によれば、(1)土中に
形成した上部が開放された空間内に、通気性土壌を充填
し、その底部に透水係数が5.0×10−1〜5.0c
m/秒のジオテキスタイルを敷設すると共に、該ジオテ
キスタイルの上方の通気性土壌内に処理水浸潤部材を設
け、更に、該ジオテキスタイルの下側に透水性の金属鉄
層を設けて、該処理水浸潤部材へ供給された汚水処理水
を該通気性土壌内へ浸潤させ、脱窒処理した後、蒸発散
させることを特徴とすることを特徴とする無放流式汚水
脱窒装置、(2)前記ジオテキスタイルが、合成繊維不
織布である上記(1)の無放流式汚水脱窒装置、(3)
前記金属鉄層が、銑鉄球状物からなる層である上記
(1)又は(2)の無放流式汚水脱窒装置、(4)前記
金属鉄層が、金属鉄線条体からなる層である上記(1)
又は(2)の無放流式汚水脱窒装置、及び(5)前記処
理水浸潤部材が、吸水性シートの管状体側面に、吸水性
シートからなる複数個の翼片を突出形成せしめたもので
ある上記(1)〜(4)のいずれかに記載の無放流式汚
水脱窒装置が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明を説明す
る。図1は、本発明の無放流式汚水脱窒装置を用いた汚
水処理システムの一例を示す概略縦断面図、図2は、図
1に示した本発明の無放流式汚水脱窒装置の横断面図で
ある。
【0013】図1及び図2において、Aは汚水供給パイ
プ、Bは通気性土壌B1及び礫B2を内蔵する第一消化
室、Cは通気性土壌C1及び礫C2を内蔵する第二消化
室、Dは通気性土壌D1及び礫D2を充填した消化性濾
過室、EはポンプE1を設けたポンプ室である。Fは本
発明の無放流式汚水脱窒装置であり、土1中に形成した
上部が開放された空間2、該空間2内に充填した通気性
土壌3、その底部に敷設したジオテキスタイル4、該ジ
オテキスタイル4の上方の通気性土壌3内に設けた処理
水浸潤部材5及び該ジオテキスタイル4の下側に設けた
透水性の金属鉄層6で構成されている。なお、7は、土
1の側にわたって形成した盛土であり、雨水を表面流と
して流し、装置内へ侵入するのを防ぐために設けたもの
であり、通常、土1の表面から10cm以上の厚さとな
るように形成すればよい。
【0014】土1中に形成する空間2は、通常、幅1〜
2m、長さ10〜30m、深さ0.4〜1mであり、こ
の空間2に通気性土壌3を充填する。通気性土壌3とし
ては、土壌処理に通常用いられるものを使用することが
でき、例えば、粘土含量15〜25%、シルト含量20
〜45%、砂含量3〜65%の埴壌土に相当する土壌が
適当であるとされており、壌質砂土やフライアッシュ、
パーライトなどを混合した土壌なども使用できる。ま
た、製紙、パルプ工場から排出されるスラッジの焼却灰
や、石炭火力発電所などから出るクリンカーなども好適
に使用できる。
【0015】本発明で使用するジオテキスタイル4は、
透水係数が5.0×10−1〜5.0cm/秒であれ
ば、任意のものを使用することができる。本発明で使用
できるジオテキスタイルとしては、例えば、編織物、不
織布、ネット、マット、グリッド、透水性膜、これらの
複合材、長繊維、短繊維などと土との混合体などが挙げ
られ、材質も、天然物、合成樹脂、金属、セラミックス
などが挙げられるが、特に、合成繊維不織布、なかでも
ポリエステル繊維不織布が好適に用いられる。ポリエス
テル不織布の場合、その厚さ及び目付は、それぞれ1〜
15mm、75〜600g/mが適当であるが、特
に、厚さ6〜12mm、目付220〜450g/m
ものが好ましく用いられる。
【0016】ジオテキスタイル4は、通気性土壌3内を
下降浸潤する処理水が、更に下方へ浸透するのを抑制
し、ジオテキスタイル4内を処理水が横方向に拡散する
ようにし、処理水の均等な毛管上昇を促進すると共に、
後述する金属鉄層6との相乗効果により脱窒効果を高め
るものであり、透水係数が5.0×10−1〜5.0c
m/秒であることが必要である。透水係数が5.0×1
−1cm/秒未満では、ジオテキスタイル4の上下で
土壌環境が激変し、特にジオテキスタイル4の上に水が
溜まり、嫌気性となって通気性土壌3に目詰まりが生ず
る原因となるばかりでなく、処理水の横方向への拡散も
不十分で、均等な毛管上昇が行えない。一方、5.0c
m/秒を超えると、水が更に下方へ浸透してしまい、本
発明の効果が達成できない。本発明のジオテキスタイル
4の透水係数は、好ましくは、8.0×10−1〜4.
0cm/秒、更に好ましくは、1.0〜3.0cm/秒
である。ここで、透水係数は、JISA−1218に準
ずる定水位法で測定した値である。
【0017】更に、ジオテキスタイル4の下側には、透
水性の金属鉄層6を設ける。金属鉄としては、還元性を
有するものであれば、鉄片、鉄粉、線条体、スラグ、透
水性シート、ネット等の任意の形状を有するものを用い
ることができるが、粒径が1〜10mm程度の銑鉄球状
物が好適に用いられる。また、土壌やその他の有機、無
機物質と混合して用いてもよい。更に、鉄筋等の金属鉄
線条体を複数本平行に並べて敷設するのも、脱窒効果が
大きく、敷設作業が容易である点で好ましい。この場
合、線条体の直径は10〜20mm、好ましくは13〜
17mm、その敷設間隔は5〜20cm、好ましくは8
〜15cmが適当である。また、複数本の線条体の間隔
を維持固定するために、金属、合成樹脂などからなる他
の線条体を横方向に織込んでもよい。この横方向に織込
む線条体も、金属鉄で構成するのが効果的である。この
金属鉄層6は、ジオテキスタイル4の下側に漏れ出した
処理水中の硝酸を還元して、地下水中へ混入する硝酸の
量を低減させるものであり、その厚さは、5〜50mm
が適当である。金属鉄層6は、ジオテキスタイル4の下
側に設けることが必要であり、ジオテキスタイル4の上
側に設けたのでは、硝酸を十分に還元できず、しかも金
属鉄の寿命も短くなる。勿論、金属鉄層6をジオテキス
タイル4の下側に設けたうえで、更にジオテキスタイル
4の上側に金属鉄層を設けることは、何等差し支えな
い。
【0018】ジオテキスタイル4の上方の通気性土壌3
内には、処理水浸潤部材5が設けられる。処理水浸潤部
材5としては、処理水を土壌中に均等に不飽和の状態で
浸潤させることのできるものであれば如何なるものでも
よいが、例えば、図3に示すごとき構造体が好適に用い
られる。図3に示した処理水浸潤部材5においては、吸
水性シートからなる管状体11の側面に、同じく吸水性
シートからなる複数個の翼片12、12′を突出形成さ
せており、管状体11内には剛毛状繊維13が充填さ
れ、その中央部に透水性パイプ14が配設されている。
管状体11の下面外側は、不透水性シート15で覆われ
ている。管状体11及び翼片12、12′を構成する吸
水性シートとしては、厚さ1〜10mm程度のポリエス
テル繊維不織布が好適に用いられる。
【0019】いま、汚水供給パイプAを経由して供給さ
れた汚水は、通気性土壌B1及び礫B2を内蔵する第一
消化室B、通気性土壌C1及び礫C2を内蔵する第二消
化室C、通気性土壌D1及び礫D2を充填した消化性濾
過室Dにおいて、常法により消化、濾過され、ポンプ室
E内のポンプE1で本発明の汚水脱窒装置Fに送られ
る。この消化、濾過工程は、上記のものに限られるもの
ではなく、一般に用いられている任意の汚水処理方式を
用いることができる。また、消化性濾過室Dと汚水脱窒
装置Fとの間に、自然流下が可能な勾配があれば、ポン
プ室E及びポンプE1を設ける必要はない。
【0020】このようにして本発明の汚水脱窒装置Fへ
送られた一次処理水は、処理水浸潤部材5から通気性土
壌3内に均等に不飽和の状態で浸潤させられる。通気性
土壌3内に浸潤させられた処理水は、不飽和の流れとな
り、大部分が地表面に向けて毛管上昇する。不飽和の流
れにおいては、土壌の間隙水の負圧が高く、十分に空気
を吸い込むため、好氣性が保持され、好氣性菌による活
発な酸化が行われて、一次処理水中の有機性、アンモニ
ア性窒素が酸化され、亜硝酸性、硝酸性窒素となる。こ
れと共に、通気性土壌は、酸化的部位と還元的部位とが
共存する団粒構造を有している。すなわち、団粒構造内
部は、毛管孔隙に富み、水分保持力も強く、気体孔隙が
少ないため、酸素の拡散速度に対して微生物の酸素消費
速度が打ち勝って、嫌気状態となるのに対し、団粒構造
外部は、粗大な孔隙に富み、好無性状態に保たれる。そ
の結果、団粒構造外部で、有機性、アンモニア性窒素が
酸化されると共に、団粒構造内部では、生成した硝酸、
亜硝酸の還元が行われる。
【0021】一方、通気性土壌3内を毛管上昇せずに下
降浸潤した処理水は、ジオテキスタイル4によって、更
に下方へ浸透するのが抑制され、ジオテキスタイル4内
を横方向に拡散する。これにより、処理水の均等な毛管
上昇が促進される。更に、処理水がジオテキスタイル4
の下側に漏れ出したとしても、ジオテキスタイル4の下
側に設けた金属鉄層6によって処理水中の硝酸性窒素を
還元し、地下水中へ混入する硝酸性窒素の量を、問題の
ないレベルまで大幅に低減させることができる。また、
通気性土壌3とジオテキスタイル4との境界部分及びジ
オテキスタイル4と金属鉄層6との境界部分には、水が
貯留されるので、処理水が地下水中へ直接流入すること
がなくなり、この部分では嫌気性が保持されるため、更
に亜硝酸性、硝酸性窒素の還元が行われる。
【0022】このように、通気性土壌3内を毛管上昇す
る処理水は、好氣性条件の下で、有機性、アンモニア性
窒素が酸化され、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素となる。ま
た、嫌気性条件下では、硝酸性窒素が亜硝酸性窒素に還
元され、更に窒素と水に分解されて、地表面から蒸発散
し、脱窒される。なお、土壌中では、亜硝酸性窒素から
アンモニア性窒素へ還元されることはない。なお、亜硝
酸性窒素については、一般に、消化槽で処理された一次
処理水は弱アルカリ性であり、土壌中も弱アルカリ性が
保持されていることから、飽和状態に達するまで、土壌
内に安定した状態で留まり、飽和状態に達すると、大気
中に気化して揮散するともいわれている。また、通気性
土壌3内を毛管上昇せずに下降浸潤した処理水は、ジオ
テキスタイル4内を横方向に拡散し、その後、毛管上昇
して上記のような脱窒が行われることになる。更に、ジ
オテキスタイル4の下側に漏れ出した処理水について
は、ジオテキスタイル4の下側に設けた金属鉄層6によ
って処理水中の硝酸性窒素が還元されて亜硝酸性窒素に
なるため、地下水中へ混入する有害な硝酸性窒素の量
を、問題のないレベルまで大幅に低減させることができ
る。
【0023】
【実施例】実施例1 豚舎から排出され糞尿固液分離された後の尿と、豚舎の
洗滌水とを、図1に示す多室型消化室(B)〜(D)で
消化した一次処理水を、図1及び2に示す本発明の無放
流式汚水脱窒装置Fで処理した。汚水脱窒装置Fは、空
間2の幅を1m、深さを0.6mとし、水量負荷が80
リットル/m・日となるように設計した。
【0024】汚水脱窒装置Fに用いる処理水浸潤部材5
としては、図3に示すような、タフ しては、厚さ10mm、目付400g/m、透水係数
2.0cm/秒のポリエステル繊維接着不織布(前田工
繊株式会社製、サンドフ S−10・G)を用い、金属
鉄層6としては、平均粒径が5.3mmの銑鉄球状物を
2mmの厚さに敷きつめた。1ヶ月運転後、金属鉄層6
の下方の土1中から採取した脱窒処理水の検査結果は、
表1に示す通りであった。
【0025】実施例2 金属鉄層6として、実施例1の銑鉄球状物の代わりに、
直径15mmの金属鉄線条体(コンクリート補強用鉄
筋)11本を10cm間隔で空間2の長手方向に敷設
し、その他は実施例1と同様にして処理した。1ヶ月運
転後、金属鉄層6の下方の土1中から採取した脱窒処理
水の検査結果は、表1に示す通りであった。
【0026】比較例1〜3 一方、比較のために、上記実施例1の汚水脱窒装置Fに
おいて、金属鉄層を使用せず、その他は上記実施例と同
様にして脱窒処理を行った(比較例1)。また、比較例
1において、ジオテキスタイルの下方の土1中から採取
した処理水を桝の中に貯留し、その中へ20g/トンの
金属鉄くずを入れて、25℃で5日間放置した(比較例
2)。それぞれの脱窒処理水の検査結果は、表1に示す
通りであった。
【0027】更に、比較のために、ジオテキスタイル4
として、厚さ8mm、目付840g/m、透水係数
3.0×10−1cm/秒のポリエステル長繊維不織布
(前田工繊株式会社製、ジオフリース S−800)を
用いたところ(比較例3)、1ケ月運転後、不織布上に
水が溜まり、通気性土壌に目詰まりが発生して、装置の
処理能力が低下していた。
【0028】
【表1】
【0029】表1からも明らかなように、本発明の汚水
脱窒装置を用いた場合(実施例1、2)は、硝酸性窒素
の量が地下水に混入しても問題のないレベルまで低下し
ているが、金属鉄層を用いない比較例1では、硝酸性窒
素の量が多く、地下水を汚染する可能性がある。一方、
比較例1で得られた脱窒処理水を、更に金属鉄で処理し
た比較例2では、硝酸性窒素は減少するものの、亜硝酸
性窒素、アンモニア性窒素が増えて、結局全窒素量はあ
まり減らず、しかもBOD、CODが高くなるという問
題がある。また、ジオテキスタイルの透水係数が5.0
×10−1cm/秒よりも小さい比較例3では、通気性
土壌に目詰まりが生じ、装置の処理能力が低下する。特
定の透水係数を有するジオテキスタイルと金属鉄とを土
壌内で組み合わせて使用した本発明の汚水脱窒装置を用
いている実施例では、全窒素量が大幅に減少し、窒素の
除去が確実に行われており、しかもBOD、CODが高
くなるようなことはない。この理由は、現状では不明で
あり、今後解明していかなければならない点である。な
お、上記実施例では、大規模な畜産排水処理について述
べたが、し尿と洗浄水及び厨房、風呂、洗濯等の雑排水
を含む家庭生活排水などにも有効に利用できることはい
うまでもない。
【0030】
【発明の効果】本発明の汚水脱窒装置は、生物学的脱窒
法の優れた特徴を生かしつつ、操作が簡単で、特別な管
理を必要とせず、沈殿池などを設けるための広大な敷地
が不要であり、低コストで、毒性の問題がなく、寒暖の
影響を受け難い上に、家庭用雑排水はもとより、畜産排
水処理などの大規模な汚水処理でも十分な脱窒効果を奏
することができ、特に、硝酸性窒素の量を地下水に混入
しても問題のないレベルまで低下させることができ、B
OD、CODが高くなるようなこともなく、しかも脱窒
処理した後の水を集水管から排水することなく蒸発散さ
せる無放流方式の汚水脱窒装置として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無放流方式汚水脱窒装置を使用した汚
水処理システムの一例を示す概略縦断面図である。
【図2】図1に示した本発明の無放流方式汚水脱窒装置
の横断面図である。
【図3】本発明において使用する処理水浸潤部材の一例
を示す横断面図である。
【符号の説明】
F 無放流方式汚水脱窒装置 1 土 2 空間 3 通気性土壌 4 ジオテキスタイル 5 処理水浸潤部材 6 金属鉄層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土中に形成した上部が開放された空間内
    に、通気性土壌を充填し、その底部に透水係数が5.0
    ×10−1〜5.0cm/秒のジオテキスタイルを敷設
    すると共に、該ジオテキスタイルの上方の通気性土壌内
    に処理水浸潤部材を設け、更に、該ジオテキスタイルの
    下側に透水性の金属鉄層を設けて、該処理水浸潤部材へ
    供給された汚水処理水を該通気性土壌内へ浸潤させ、脱
    窒処理した後、蒸発散させることを特徴とすることを特
    徴とする無放流式汚水脱窒装置。
  2. 【請求項2】 前記ジオテキスタイルが、合成繊維不織
    布であることを特徴とする請求項1記載の無放流式汚水
    脱窒装置。
  3. 【請求項3】 前記金属鉄層が、銑鉄球状物からなる層
    である請求項1又は2記載の無放流式汚水脱窒装置。
  4. 【請求項4】 前記金属鉄層が、金属鉄線条体からなる
    層である請求項1又は2記載の無放流式汚水脱窒装置。
  5. 【請求項5】 前記処理水浸潤部材が、吸水性シートの
    管状体側面に、吸水性シートからなる複数個の翼片を突
    出形成せしめたものであることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の無放流式汚水脱窒装置。
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