JP2002271296A - 無線通信装置および無線通信方法 - Google Patents

無線通信装置および無線通信方法

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JP2002271296A
JP2002271296A JP2001072351A JP2001072351A JP2002271296A JP 2002271296 A JP2002271296 A JP 2002271296A JP 2001072351 A JP2001072351 A JP 2001072351A JP 2001072351 A JP2001072351 A JP 2001072351A JP 2002271296 A JP2002271296 A JP 2002271296A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マルチキャリア変調方式とCDMA方式
とを組み合わた無線通信において、ピーク電力の増大お
よび通信品質の劣化をともに防ぐこと。 【解決手段】 第1チップおよび第kチップの信号が、
IFFT部105にそのまま送られ、第2チップ〜第k
−1チップの信号はそれぞれ、レベル制限部104a2
〜レベル制限部104ak-1に送られる。これにより、
誤り率が他の搬送波に比べて非常に高くなる両端の搬送
波に配置される信号の送信レベルは制限されず、両端以
外の搬送波に配置される信号の送信レベルがレベル制限
部104a2〜レベル制限部104ak-1に設定された上
限値に制限される。このようして、誤り率が他の搬送波
に比べて高くなる一部の搬送波に対する送信レベル制限
を、他の搬送波に対する送信レベル制限に比べて緩和す

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディジタル通信シ
ステムに用いられる無線通信装置および無線通信方法に
関し、特に、OFDM(Orthogonal Frequency Divisio
n Multiplexing)変調方式等のマルチキャリア変調方式
とCDMA(Code Division Multiple Access)方式と
を組み合わせて無線通信を行う無線通信装置および無線
通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、周波数の利用効率を高める変調方
式として、OFDM変調方式等のマルチキャリア変調方
式が注目されている。マルチキャリア変調方式におい
て、特にOFDM変調方式は、最も周波数の利用効率が
高い変調方式である。このOFDM変調方式では、送信
信号が配置される複数の搬送波(サブキャリア)が相互
に直交しているので、周波数の利用効率を向上させるこ
とができる。このようなOFDM変調方式では、送信信
号を複数の搬送波に配置させてマルチキャリア信号(O
FDM信号)を生成する。
【0003】以下、OFDM変調方式をマルチキャリア
変調方式の一例として挙げ、OFDM方式とCDMA方
式とを組み合わせたOFDM−CDMA方式の従来の無
線通信装置について、図20を参照して説明する。図2
0は、従来の無線通信装置の構成を示すブロック図であ
る。
【0004】図20に示す無線通信装置の送信系におい
て、送信信号1〜送信信号nのn個の送信信号は、それ
ぞれ拡散部11a1〜拡散部11anにより、拡散符号1
〜拡散符号nを用いて拡散処理される。なお、各拡散符
号の拡散比をkとする。
【0005】拡散処理されたn個の送信信号は、加算部
12により符号分割多重される。符号分割多重された信
号は、シリアル/パラレル変換部(以下「S/P部」と
いう。)13により、複数系列の信号に変換される。つ
まりここでは、符号分割多重された信号は、拡散符号の
第1チップ〜第kチップにチップ毎に分割される。第1
チップ〜第kチップの複数系列の信号は、IFFT部1
4に送られる。
【0006】IFFT部14では、複数系列の信号に対
する逆フーリエ変換(IFFT)処理がなされる。すな
わち、第1チップ〜第kチップの信号は、拡散比k分だ
け用意されたk個の搬送波にそれぞれ配置される。これ
により、第1チップ〜第kチップの信号は周波数分割多
重されて、マルチキャリア信号が生成される。
【0007】具体的には、図21に示すように、搬送波
#1には、符号分割多重された送信信号1〜送信信号n
の第1チップ目が配置され、搬送波#kには、符号分割
多重された送信信号1〜送信信号nの第kチップ目が配
置される。
【0008】図20において、IFFT処理後の信号、
すなわち周波数分割多重されたマルチキャリア信号は、
無線送信部15によりアップコンバートや電力増幅等の
所定の無線処理を施される。そして、無線処理後のマル
チキャリア信号は、アンテナ16を介して通信相手に対
して送信される。
【0009】一方、通信相手が送信したマルチキャリア
信号は、図20に示す無線通信装置により、アンテナ1
6を介して受信される。受信系において、アンテナ16
を介して受信されたマルチキャリア信号は、無線受信部
17によりダウンコンバートやAGC(Auto Gain Cont
rol)等の所定の無線処理を施される。
【0010】無線処理後のマルチキャリア信号に対して
FFT部18によりフーリエ変換(FFT)処理がなさ
れることにより、各搬送波#1〜#kにより伝送された
信号が取り出される。各搬送波により伝送された信号
は、それぞれ伝送路補償部19a1〜伝送路補償部19
kにより、伝送路で生じた位相変動等が補償された
後、パラレル/シリアル変換部(以下「P/S部」とい
う。)20に入力される。
【0011】P/S部20では、伝送路補償部19a1
〜伝送路補償部19akからの複数系列の信号が、一系
列の信号に変換される。ここでは、時刻t1において
は、伝送路補償部19a1からの信号、すなわち、通信
相手側で符号分割多重された送信信号1〜送信信号nの
第1チップ目が出力され、時刻tkにおいては、伝送路
補償部19akからの信号、すなわち、通信相手側で符
号分割多重された送信信号1〜送信信号nの第kチップ
目が出力される。
【0012】P/S部20から出力された信号は、逆拡
散部21a1〜逆拡散部21anにより、それぞれ拡散符
号1〜拡散符号nを用いて逆拡散処理がなされる。この
結果、逆拡散部21a1〜逆拡散部21anからはそれぞ
れ、復調信号1〜復調信号nが出力される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ここで、CDMA方式
を用いない単なるOFDM変調方式では、送信信号1〜
送信信号nが符号分割多重されないので、1つの搬送波
に複数の送信信号が多重されることがない。これに対
し、OFDM変調方式とCDMA方式とを組み合わた無
線通信では、上述したように、符号分割多重された送信
信号がさらにチップ毎に周波数分割多重されるため、1
つの搬送波に複数の送信信号が多重されることになる。
このため、各搬送波の送信レベルが高くなってしまう。
【0014】また、マルチキャリア信号のピーク電力は
全搬送波の電力の合計となる。よって、各搬送波の送信
レベルが高くなるほどマルチキャリア信号のピーク電力
が大きくなる。さらに、搬送波数が多くなるほどマルチ
キャリア信号のピーク電力が大きくなる。よって、OF
DM変調方式とCDMA方式とを組み合わた無線通信で
は、マルチキャリア信号のピーク電力が非常に大きくな
ってしまうという問題がある。
【0015】上記従来の無線通信装置における無線送信
部15では、アナログ処理によりマルチキャリア信号に
対して電力増幅を施すため、ピーク電力が大きくなるほ
ど消費電力が増大してしまう。無線通信装置が移動体通
信端末に搭載された場合には、消費電力の増大はバッテ
リーの消費につながるため、移動体通信端末の使用時間
の点から見て大きな問題となる。
【0016】そこで、マルチキャリア信号のピーク電力
の増大を防止するために、すべての搬送波の送信レベル
を一律に所定レベルに制限してしまう方法がある。しか
し、レベル制限により各搬送波に歪みが生じてしまい、
その結果、誤り率特性が劣化してしまうという新たな問
題が生じる。
【0017】このように、従来のOFDM−CDMA方
式の無線通信装置では、ピーク電力の増大を防止すると
誤り率特性、すなわち通信品質が劣化してしまうという
問題がある。すなわち、従来のOFDM−CDMA方式
の無線通信装置では、ピーク電力の増大防止と通信品質
の劣化防止とを両立することができないという問題があ
る。
【0018】なお、OFDM変調方式以外のマルチキャ
リア変調方式においても、複数の搬送波が用いられる。
よって、いかなるマルチキャリア変調方式とCDMA方
式とを組み合わせた無線通信においても、上記同様の問
題が発生する。
【0019】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、マルチキャリア変調方式とCDMA方式とを組
み合わた無線通信において、ピーク電力の増大および通
信品質の劣化をともに防ぐことができる無線通信装置お
よび無線通信方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の無線通信装置
は、複数の送信信号に対してそれぞれ異なる拡散符号を
用いて拡散処理を施す拡散手段と、拡散処理後の送信信
号を符号分割多重する第1多重手段と、符号分割多重後
の信号を各チップ毎に分割する分割手段と、各チップ毎
の信号をそれぞれ異なる搬送波に割り当てて周波数分割
多重することによりマルチキャリア信号を生成する第2
多重手段と、各搬送波に対して各々個別に送信レベル制
限を行うレベル制限手段と、送信レベル制限後のマルチ
キャリア信号を送信する送信手段と、を具備する構成を
採る。
【0021】本発明の無線通信装置は、レベル制限手段
が、誤り率が他の搬送波に比べて高くなる一部の搬送波
に対する送信レベル制限を、前記他の搬送波に対する送
信レベル制限に比べて緩和する構成を採る。
【0022】本発明の無線通信装置は、レベル制限手段
が、マルチキャリア信号の両端の搬送波に対する送信レ
ベル制限を、他の搬送波に対する送信レベル制限に比べ
て緩和する構成を採る。
【0023】本発明の無線通信装置は、レベル制限手段
が、マルチキャリア信号の直流点に割り当てられる搬送
波に対する送信レベル制限を、他の搬送波に対する送信
レベル制限に比べて緩和する構成を採る。
【0024】本発明の無線通信装置は、レベル制限手段
が、一部の搬送波に対する送信レベルの上限値を、他の
搬送波に対する送信レベルの上限値より高くする構成を
採る。
【0025】これらの構成によれば、誤り率が他の搬送
波に比べて高くなる搬送波の送信レベル制限を、他の搬
送波の送信レベル制限に比べて緩和するため、マルチキ
ャリア変調方式とCDMA方式とを組み合わせた無線通
信において、ピーク電力の増大および通信品質の劣化を
ともに防ぐことができる。すなわち、これらの構成によ
れば、ピーク電力の増大防止と通信品質の劣化防止とを
両立することができる。
【0026】本発明の無線通信装置は、レベル制限手段
が、回線品質が良好なほど上限値を低くする構成を採
る。
【0027】この構成によれば、回線品質に応じて適応
的に送信レベルの上限値を変化させるため、回線品質の
変動に応じて誤り率特性とピーク電力とを調節すること
ができる。つまり、この構成によれば、回線品質が悪い
場合でも所望の誤り率特性を得ることができるととも
に、回線品質が良い場合にはさらにピーク電力の低減を
図ることができる。
【0028】本発明の無線通信装置は、レベル制限手段
が、遅延波の遅延時間が長くなるほど上限値を高くする
構成を採る。
【0029】この構成によれば、遅延波の遅延時間に応
じて適応的に送信レベルの上限値を変化させるため、遅
延波の遅延時間の変化に応じて誤り率特性とピーク電力
とを調節することができる。つまり、この構成によれ
ば、遅延波の遅延時間が長い場合でも所望の誤り率特性
を得ることができるとともに、遅延波の遅延時間が短い
場合にはさらにピーク電力の低減を図ることができる。
【0030】本発明の無線通信装置は、レベル制限手段
が、高品質が要求されるチャネルの信号ほど上限値を高
くする構成を採る。
【0031】この構成によれば、送信信号のチャネルが
高品質が要求されるチャネルである場合には送信レベル
の上限値を高めに設定するため、高品質を要求されるチ
ャネルについてその所望本質を確実に満たすように送信
レベル制限を行うことができる。
【0032】本発明の無線通信装置は、レベル制限手段
が、マルチキャリア信号の送信レベルが低くなるほど上
限値を高くする構成を採る。
【0033】この構成によれば、マルチキャリア信号の
送信レベルに応じて、各搬送波の送信レベルの上限値を
変化させるため、マルチキャリア信号のピーク電力が許
容値より低くなるときに、各搬送波の送信レベルを高め
て誤り率特性を向上させることができる。
【0034】本発明の無線通信装置は、通信相手から送
信されたマルチキャリア信号の各搬送波の受信レベルを
検出する受信レベル検出手段を具備し、レベル制限手段
が、前記受信レベルが低い搬送波ほど上限値を高くする
構成を採る。
【0035】この構成によれば、各搬送波の受信レベル
に応じて適応的に送信レベルの上限値を変化させるた
め、通信相手で受信レベルが大きく低下すると予測され
る搬送波の送信レベルを予め高めておくことができる。
よって、通信相手側において受信レベルが大きく低下す
る搬送波が生じることがある環境下でも、マルチキャリ
ア信号の誤り率特性が劣化してしまうことを防止するこ
とができる。つまり、通信相手側において受信レベルが
大きく低下する搬送波が生じることがある環境下でも、
ピーク電力の増大および通信品質の劣化をともに防ぐこ
とができる。
【0036】本発明の無線通信装置は、通信相手から送
信されたマルチキャリア信号の各搬送波の受信レベルを
検出する受信レベル検出手段と、前記受信レベルが所定
のしきい値より低い搬送波に、送信レベルが0の信号を
割り当てる割り当て手段と、を具備する構成を採る。
【0037】この構成によれば、伝送路においてレベル
が大きく低下する搬送波の送信レベルを0にするため、
強いフェージング環境にある場合に、誤り率特性の劣化
の程度をほとんど変えることなくピーク電力をさらに低
減することができる。
【0038】本発明の無線通信装置は、通信相手から送
信されたマルチキャリア信号の各搬送波の受信レベルを
検出する受信レベル検出手段と、マルチキャリア信号の
送信レベルの最大値を検出する最大値検出手段と、前記
受信レベルが所定のしきい値より低い搬送波に、前記最
大値の極性と逆の極性となるピーク抑圧用信号を割り当
てる割り当て手段と、を具備する構成を採る。
【0039】この構成によれば、ピーク抑圧用信号を各
搬送波に割り当てるため、強いフェージング環境にある
場合に、単にヌル信号を割り当てるよりも、マルチキャ
リア信号のピーク電力をさらに低減させることができ
る。
【0040】本発明の無線通信装置は、割り当て手段
が、ピーク抑圧用信号のレベルを、前記ピーク抑圧用信
号を割り当てる搬送波以外の搬送波の送信レベルより高
くする構成を採る。
【0041】この構成によれば、マルチキャリア信号の
送信レベルの抑圧効果をさらに高めることができる。
【0042】本発明の無線通信装置は、割り当て手段
が、ビットシフト演算によりピーク抑圧用信号のレベル
を高くする構成を採る。
【0043】この構成によれば、乗算器を用いてピーク
抑圧用信号のレベルを高くする場合に比べ、回路規模を
削減することができる。
【0044】本発明の無線通信装置は、マルチキャリア
信号の送信レベルを所定値以下に制限する第2レベル制
限手段を具備する構成を採る。
【0045】この構成によれば、マルチキャリア信号に
対しても送信レベル制限を行うため、マルチキャリア信
号のピーク電力を確実に許容値以下に抑えることができ
る。
【0046】本発明の無線通信装置は、マルチキャリア
信号の送信レベルを等しい割合で抑圧する抑圧手段を具
備する構成を採る。
【0047】この構成によれば、マルチキャリア信号の
波形を変えずに送信レベルを低下させるため、誤り率特
性の劣化を抑えつつピーク電力をさらに低減させること
ができる。
【0048】本発明の通信端末装置は、上記いずれかの
無線通信装置を搭載する構成を採る。また、本発明の基
地局装置は、上記いずれかの無線通信装置を搭載する構
成を採る。
【0049】これらの構成によれば、通信端末装置また
は基地局装置が上記いずれかの無線通信装置を搭載する
ため、通信端末装置または基地局装置において上記同様
の効果を呈する。
【0050】本発明の無線通信方法は、符号分割多重お
よび周波数分割多重されたマルチキャリア信号の各搬送
波に対して各々個別に送信レベル制限を行う際に、誤り
率が他の搬送波に比べて高くなる一部の搬送波に対する
送信レベル制限を、前記他の搬送波に対する送信レベル
制限に比べて緩和して行い、送信レベル制限後のマルチ
キャリア信号を送信するようにした。
【0051】この方法によれば、誤り率が他の搬送波に
比べて高くなる搬送波の送信レベル制限を、他の搬送波
の送信レベル制限に比べて緩和するため、マルチキャリ
ア変調方式とCDMA方式とを組み合わせた無線通信に
おいて、ピーク電力の増大および通信品質の劣化をとも
に防ぐことができる。すなわち、これらの構成によれ
ば、ピーク電力の増大防止と通信品質の劣化防止とを両
立することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】本発明者は、マルチキャリア信号
において、誤り率特性の劣化の大きさが各搬送波毎に相
違すること、および、誤り率特性が大きく劣化する搬送
波は全搬送波のうちの一部の搬送波であることに着目
し、その一部の搬送波の送信レベル制限を他の搬送波の
送信レベル制限に比べて緩和することにより、誤り率特
性を劣化させずにビーク電力の増大を防止できることを
見出し、本発明をするに至った。
【0053】本発明の骨子は、マルチキャリア変調方式
とCDMA方式とを組み合わせた無線通信において、各
搬送波毎に各々個別に送信レベル制限を行うことであ
る。つまり、本発明では、誤り率特性の劣化が大きいと
予測される搬送波ほど送信レベルの上限値を高くし、逆
に、誤り率特性の劣化が小さいと予測される搬送波ほど
送信レベルの上限値を低くするようにした。
【0054】以下、本発明の実施の形態について、図面
を参照して詳細に説明する。
【0055】(実施の形態1)上述したように、マルチ
キャリア信号において、誤り率特性の劣化の大きさは各
搬送波毎に相違する。特に、マルチキャリア信号の両端
の搬送波は、図1(a)に示すような隣接チャネルから
の干渉波の影響や、図1(b)に示すようなフィルタの
群遅延偏差および振幅偏差の影響を大きく受けるため、
他の搬送波に比べて誤り率が非常に高くなる傾向があ
る。
【0056】また、マルチキャリア信号の誤り率は、誤
り率の高い搬送波の誤り率によってほぼ決定されてしま
う。換言すれば、誤り率の高い搬送波の誤り率特性を改
善すれば、マルチキャリア信号の誤り率特性を改善する
ことができる。
【0057】よって、図1(a)または図1(b)に示
すような場合には、両端の搬送波の送信レベル制限を緩
和して誤り率を低くすることにより、マルチキャリア信
号の誤り率特性が劣化してしまうことを防止することが
できる。
【0058】また、図1(a)または図1(b)に示す
ように、通常、誤り率特性が大きく劣化する搬送波は全
搬送波のうちの一部の搬送波であるため、誤り率特性が
大きく劣化する搬送波の送信レベル制限を緩和しても、
マルチキャリア信号のピーク電力はほとんど増大しな
い。例えば、マルチキャリア信号の搬送波数が48本で
あり、図1(a)または図1(b)に示すような場合
に、誤り率特性の劣化が大きくなる両端の搬送波(すな
わち、2本の搬送波)の送信レベル制限を緩和しても、
送信レベルが高くなる搬送波は全体の24分の1にすぎ
ないため、マルチキャリア信号のピーク電力はほとんど
増大しない。
【0059】そこで、本実施の形態では、誤り率が他の
搬送波に比べて非常に高くなる搬送波の送信レベル制限
を、他の搬送波の送信レベル制限に比べて緩和すること
により、マルチキャリア変調方式とCDMA方式とを組
み合わせた無線通信において、ピーク電力の増大および
通信品質の劣化をともに防ぐようにした。
【0060】図2は、本発明の実施の形態1にかかる無
線通信装置の構成を示すブロック図である。なお、以下
の説明では、OFDM変調方式をマルチキャリア変調方
式の一例として挙げ、OFDM方式とCDMA方式とを
組み合わせたOFDM−CDMA方式の無線通信装置に
ついて説明する。また、両端の搬送波の誤り率が、他の
搬送波の誤り率に比べて非常に高くなる場合について説
明する。
【0061】図2に示す無線通信装置の送信系におい
て、送信信号1〜送信信号nのn個の送信信号は、それ
ぞれ拡散部101a1〜拡散部101anにより、拡散符
号1〜拡散符号nを用いて拡散処理される。なお、各拡
散符号の拡散比をkとする。
【0062】拡散処理されたn個の送信信号は、加算部
102により符号分割多重される。符号分割多重された
信号は、S/P部103により、複数系列の信号に変換
される。つまりここでは、符号分割多重された信号は、
拡散符号の第1チップ〜第kチップにチップ毎に分割さ
れる。第1チップおよび第kチップの信号は、IFFT
部105にそのまま送られ、第2チップ〜第k−1チッ
プの信号はそれぞれ、レベル制限部104a2〜レベル
制限部104ak-1に送られる。つまり、マルチキャリ
ア信号の両端の搬送波に配置される信号の送信レベルは
制限されず、両端以外の搬送波に配置される信号の送信
レベルが制限される。
【0063】レベル制限部104a2〜レベル制限部1
04ak-1の構成はそれぞれ、図3に示すようになる。
図3は、本発明の実施の形態1にかかる無線通信装置の
レベル制限部の構成を示すブロック図である。なお、レ
ベル制限部104a2〜レベル制限部104ak-1はすべ
て同一の構成となるため、ここではレベル制限部104
2についてのみ説明する。
【0064】図3に示すレベル制限部104a2におい
て、比較部201では、S/P部103から出力された
信号の送信レベルと、この送信レベルの上限値とが比較
され、比較結果を示す信号が選択部202に出力され
る。
【0065】選択部202では、比較結果を示す信号に
従って、上限値またはS/P部103から出力された信
号の送信レベルのいずれか一方が選択される。すなわ
ち、S/P部103から出力された信号の送信レベルが
上限値より低い場合には、その信号の送信レベルがその
まま選択され、逆に、S/P部103から出力された信
号の送信レベルが上限値以上の場合には、上限値が選択
される。これにより、S/P部103から出力された信
号の送信レベルが上限値以下に制限される。そして、選
択部202では、送信レベルが上限値以下に制限された
信号がIFFT部105へ出力される。
【0066】図2に示す無線通信装置において、IFF
T部105では、複数系列の信号に対する逆フーリエ変
換(IFFT)処理がなされる。すなわち、第1チップ
〜第kチップの信号は、拡散比k分だけ用意されたk個
の搬送波にそれぞれ配置される。これにより、第1チッ
プ〜第kチップの信号は周波数分割多重されて、マルチ
キャリア信号が生成される。周波数分割多重されたマル
チキャリア信号は、無線送信部106によりアップコン
バートや電力増幅等の所定の無線処理を施された後、ア
ンテナ107を介して通信相手に対して送信される。
【0067】一方、通信相手が送信したマルチキャリア
信号は、図2に示す無線通信装置により、アンテナ10
7を介して受信される。受信系において、アンテナ10
7を介して受信されたマルチキャリア信号は、無線受信
部108によりダウンコンバートやAGC(Auto Gain
Control)等の所定の無線処理を施される。
【0068】無線処理後のマルチキャリア信号に対して
FFT部109によりフーリエ変換(FFT)処理がな
されることにより、各搬送波により伝送された信号が取
り出される。各搬送波により伝送された信号はそれぞ
れ、伝送路補償部110a1〜伝送路補償部110ak
より伝送路で生じた位相変動等が補償された後、P/S
部111に入力される。
【0069】P/S部111では、伝送路補償部110
1〜伝送路補償部110akからの複数系列の信号が、
一系列の信号に変換される。ここでは、時刻t1におい
ては、伝送路補償部110a1からの信号、すなわち、
通信相手側で符号分割多重された送信信号1〜送信信号
nの第1チップ目が出力され、時刻tkにおいては、伝
送路補償部110akからの信号、すなわち、通信相手
側で符号分割多重された送信信号1〜送信信号nの第k
チップ目が出力される。
【0070】P/S部111から出力された信号は、逆
拡散部112a1〜逆拡散部112anにより、それぞれ
拡散符号1〜拡散符号nを用いて逆拡散処理がなされ
る。この結果、逆拡散部112a1〜逆拡散部112an
からはそれぞれ、復調信号1〜復調信号nが出力され
る。
【0071】次いで、上記構成を有する無線通信装置の
動作について説明する。図2に示す無線通信装置におい
て、S/P部103から出力される信号のうち、第1チ
ップおよび第kチップの信号は、IFFT部105にそ
のまま送られ、第2チップ〜第k−1チップの信号はそ
れぞれ、レベル制限部104a2〜レベル制限部104
k-1に送られる。
【0072】よって、誤り率が他の搬送波に比べて非常
に高くなる両端の搬送波に配置される信号の送信レベル
は制限されず、両端以外の搬送波に配置される信号の送
信レベルがレベル制限部104a2〜レベル制限部10
4ak-1に設定された上限値に制限される。よって、送
信レベル制限後の各搬送波の送信レベルは、図4に示す
ようになる。これにより、両端の搬送波の誤り率特性が
改善される。
【0073】上述したように、マルチキャリア信号全体
の誤り率は、誤り率の高い搬送波の誤り率によってほぼ
決定されてしまうため、両端の搬送波の送信レベルを高
くして誤り率を低くすることにより、マルチキャリア信
号の誤り率特性が劣化してしまうことを防止することが
できる。また、このとき、送信レベルが高くなる搬送波
は全搬送波のうち両端の2本にすぎず、両端以外の搬送
波の送信レベルは上限値で制限されるため、両端の搬送
波の送信レベルを高くしてもマルチキャリア信号のピー
ク電力はほとんど増大しない。よって、本実施の形態で
は、マルチキャリア信号のピーク電力を増大させること
なく、マルチキャリア信号の誤り率特性が劣化してしま
うことを防止することができる。
【0074】なお、上記説明において、「送信レベル制
限を緩和する」とは、一部の搬送波の送信レベルを全く
制限しない場合以外に、一部の搬送波に対する上限値を
他の搬送波に対する上限値よりも高くして一部の搬送波
に対して送信レベル制限を行う場合を含むものとする。
ただし、後者の場合には、一部の搬送波の誤り率が十分
低くなる程度に送信レベルを制限する必要がある。具体
的には、両端以外の搬送波に設定された送信レベルの上
限値より十分高い上限値を、両端の搬送波の送信レベル
に対して設定する必要がある。一部の搬送波に対しての
送信レベル制限を行うことにより、マルチキャリア信号
のピーク電力をさらに低減することができる。以下の実
施形態においても同様である。
【0075】また、上記説明においては、両端の搬送波
に対する送信レベル制限を、他の搬送波の送信レベル制
限に比べて緩和する構成としたが、本実施形態はこれに
限定されず、各搬送波毎に送信レベルの上限値を適宜設
定可能である。例えば、直流点にも搬送波が割り当てら
れるマルチキャリア信号では、直流オフセットの影響に
より直流点の搬送波の誤り率が非常に高くなるため、直
流点の搬送波に対する送信レベル制限を緩和するように
する。
【0076】以上のように、本実施の形態によれば、誤
り率が他の搬送波に比べて非常に高くなる搬送波の送信
レベル制限を、他の搬送波の送信レベル制限に比べて緩
和するため、マルチキャリア変調方式とCDMA方式と
を組み合わせた無線通信において、ピーク電力の増大お
よび通信品質の劣化をともに防ぐことができる。すなわ
ち、本実施の形態によれば、ピーク電力の増大防止と通
信品質の劣化防止とを両立することができる。
【0077】(実施の形態2)本実施の形態では、実施
の形態1において、回線品質の変動に応じて誤り率特性
とピーク電力とを調節する場合について説明する。
【0078】送信レベルの上限値の最適値は、回線品質
によって異なる。すなわち、回線品質が良好になるほど
送信レベルの上限値を低くしても通信相手側において所
望の誤り率特性を得ることができる。よって、この場合
には、送信レベルの上限値を低めに設定して、ピーク電
力のさらなる低減を図ることができる。逆に、回線品質
が悪化するほど送信レベルの上限値を高くしなければ通
信相手側において所望の誤り率特性を得ることが困難に
なる。よって、この場合には、送信レベルの上限値を高
めに設定する必要がある。このように、送信レベルの上
限値の最適値は、回線品質によって異なってくる。
【0079】そこで、本実施の形態では、以下のように
して、回線品質に応じて送信レベルの上限値を変化させ
る。図5は、本発明の実施の形態2にかかる無線通信装
置のレベル制限部の構成を示すブロック図である。な
お、レベル制限部の内部構成以外は、実施の形態1(図
2)と同一になるため、ここではレベル制限部について
のみ説明する。また、レベル制限部104a2〜レベル
制限部104ak-1はすべて同一の構成となるため、こ
こではレベル制限部104a2についてのみ説明する。
【0080】図5に示すレベル制限部104a2におい
て、比較部301では、回線品質情報として入力される
回線品質を示す値(例えば、希望波対干渉波電力比)
と、回線品質を示す値の所定のしきい値とが比較され、
比較結果を示す信号が選択部302に出力される。
【0081】選択部302では、比較結果を示す信号に
従って、上限値1または上限値2(上限値1>上限値
2)のいずれか一方が選択されて、比較部303および
選択部304に出力される。すなわち、回線品質を示す
値が所定のしきい値以上となる場合(回線品質が良好な
場合)には上限値2が選択され、逆に、回線品質を示す
値が所定のしきい値未満になる場合(回線品質が悪い場
合)には上限値1が選択される。つまり、回線品質が良
好なほど送信レベルの上限値が低く設定される。
【0082】比較部303では、選択部302から出力
された上限値(上限値1または上限値2)と、S/P部
103から出力された信号の送信レベルとが比較され、
比較結果を示す信号が選択部304に出力される。
【0083】選択部304では、比較結果を示す信号に
従って、上限値またはS/P部103から出力された信
号の送信レベルのいずれか一方が選択され、送信レベル
が上限値以下に制限された信号がIFFT部105へ出
力される。
【0084】すなわち、S/P部103から出力された
信号の送信レベルが上限値より低い場合には、その信号
の送信レベルがそのまま選択され、逆に、S/P部10
3から出力された信号の送信レベルが上限値以上の場合
には、上限値が選択される。よって、回線品質が良好な
場合にはピーク電力の低減が優先され、回線品質が悪い
場合には誤り率特性が優先されることになる。
【0085】以上のように、本実施の形態によれば、回
線品質に応じて適応的に送信レベルの上限値を変化させ
るため、回線品質の変動に応じて誤り率特性とピーク電
力とを調節することができる。つまり、本実施の形態に
よれば、回線品質が悪い場合でも所望の誤り率特性を得
ることができるとともに、回線品質が良い場合にはさら
にピーク電力の低減を図ることができる。
【0086】なお、上記説明では、上限値を2種類とし
たが、これに限定されず、上限値を3種類以上にしても
よい。以下の実施形態においても同様である。
【0087】(実施の形態3)本実施の形態では、実施
の形態1において、遅延波の遅延時間の長さに応じて誤
り率特性とピーク電力とを調節する場合について説明す
る。
【0088】マルチパス環境下においては、送信レベル
の上限値の最適値は、遅延波の遅延時間によって異な
る。すなわち、マルチパス環境下では、遅延波の遅延時
間が長くなるほど、直接波と遅延波の位相関係は逆位相
になりやすいので、通信品質が劣化し、通信相手側にお
いて所望の誤り率特性を得ることが困難になる。よっ
て、この場合には、送信レベルの上限値を高めに設定す
る必要がある。逆に、遅延波の遅延時間が短くなるほ
ど、送信レベルの上限値を低くしても通信相手側におい
て所望の誤り率特性を得ることができる。よって、この
場合には、送信レベルの上限値を低めに設定して、ピー
ク電力のさらなる低減を図ることができる。このよう
に、送信レベルの上限値の最適値は、遅延波の遅延時間
によって異なってくる。
【0089】そこで、本実施の形態では、以下のように
して、遅延波の遅延時間の長さに応じて送信レベルの上
限値を変化させる。図6は、本発明の実施の形態3にか
かる無線通信装置の構成を示すブロック図である。な
お、図6において、実施の形態1(図2)と同一の構成
については図2におけるものと同一の符号を付し、詳し
い説明を省略する。
【0090】図6に示すように、本実施の形態にかかる
無線通信装置は、実施の形態1にかかる無線通信装置
に、さらに遅延分散情報生成部401を付加した構成を
採る。遅延分散情報生成部401では、遅延波の遅延時
間に関する情報が生成され、レベル制限部104a2
レベル制限部104ak-1に出力される。
【0091】遅延波の遅延時間が短い場合には、図7
(a)に示すように、無線通信装置に受信されたマルチ
キャリア信号の隣接搬送波間における受信レベルの差が
小さくなる。一方、遅延波の遅延時間が長い場合には、
図7(b)に示すように、無線通信装置に受信されたマ
ルチキャリア信号の隣接搬送波間における受信レベルの
差が大きくなる。つまり、隣接搬送波間の受信レベルの
差が大きくなるほど、遅延時間が長くなる。よって、隣
接搬送波間の受信レベルの差から遅延波の遅延時間を推
定することが可能である。そこで、遅延分散情報生成部
401は、以下のようにして、隣接搬送波間における受
信レベルの差を測定する。
【0092】図8は、本発明の実施の形態3にかかる無
線通信装置の遅延分散情報生成部の構成を示すブロック
図である。図8に示す遅延分散情報生成部401におい
て、FFT後の各搬送波の信号が受信レベル検出部50
1に入力される。受信レベル検出部501では、各搬送
波の受信レベルが検出され、受信レベルを示す信号が遅
延部502および減算部503に出力される。ここで
は、時刻t1においては、搬送波#1の受信レベルを示
す信号が出力され、時刻t1から所定時間経過後の時刻
2おいては、搬送波#2の受信レベルを示す信号が出
力される。以下の説明では、隣接する搬送波として搬送
波#1と搬送波#2を一例に挙げて説明する。
【0093】遅延部502では、各搬送波の受信レベル
を示す信号が所定時間遅延されて減算部503に出力さ
れる。よって、時刻t2おいては、減算部503には、
遅延部502から搬送波#1の受信レベルを示す信号が
出力され、受信レベル検出部501から搬送波#2の受
信レベルを示す信号が出力される。減算部503では、
搬送波#1の受信レベルと搬送波#2の受信レベルの差
が算出される。すなわち、隣接搬送波間における受信レ
ベルの差が算出される。受信レベルの差は、絶対値算出
部504に出力される。絶対値算出部504では、受信
レベルの差の絶対値が出力され、平均化部505に出力
される。
【0094】このような隣接搬送波間における受信レベ
ルの差の算出が、搬送波#2〜搬送波#kにおいても同
様に行われる。平均化部505では、マルチキャリア信
号のすべての搬送波間における受信レベルの差の平均値
が算出される。すなわち、遅延分散情報が生成される。
遅延分散情報は、レベル制限部104a2〜レベル制限
部104ak-1に出力される。
【0095】次いで、レベル制限部104a2〜レベル
制限部104ak-1について説明する。図9は、本発明
の実施の形態3にかかる無線通信装置のレベル制限部の
構成を示すブロック図である。なお、図9において、実
施の形態2(図5)と同一の構成については図5におけ
るものと同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。ま
た、レベル制限部104a2〜レベル制限部104ak-1
はすべて同一の構成となるため、ここではレベル制限部
104a2についてのみ説明する。
【0096】図9に示すレベル制限部104a2におい
て、比較部506では、遅延分散情報として入力される
隣接搬送波間における受信レベルの差の平均値と、この
差の所定のしきい値とが比較され、比較結果を示す信号
が選択部507に出力される。
【0097】選択部507では、比較結果を示す信号に
従って、上限値1または上限値2(上限値1>上限値
2)のいずれか一方が選択されて、比較部303および
選択部304に出力される。すなわち、受信レベルの差
の平均値が所定のしきい値以上となる場合(遅延波の遅
延時間が長い場合)には上限値1が選択され、逆に、受
信レベルの差の平均値が所定のしきい値未満になる場合
(遅延波の遅延時間が短い場合)には上限値2が選択さ
れる。つまり、遅延波の遅延時間が長くなるほど、送信
レベルの上限値が高く設定される。よって、遅延波の遅
延時間が長い場合には誤り率特性が優先され、遅延波の
遅延時間が短い場合にはピーク電力の低減が優先される
ことになる。
【0098】以上のように、本実施の形態によれば、遅
延波の遅延時間に応じて適応的に送信レベルの上限値を
変化させるため、遅延波の遅延時間の変化に応じて誤り
率特性とピーク電力とを調節することができる。つま
り、本実施の形態によれば、遅延波の遅延時間が長い場
合でも所望の誤り率特性を得ることができるとともに、
遅延波の遅延時間が短い場合にはさらにピーク電力の低
減を図ることができる。
【0099】(実施の形態4)本実施の形態では、実施
の形態1において、通信相手側において受信レベルが大
きく低下する搬送波が生じることがある環境下でも、マ
ルチキャリア信号の誤り率特性が劣化してしまうことを
防止する場合について説明する。
【0100】無線通信装置から送信されたマルチキャリ
ア信号は、マルチパス環境にある伝送路において、フェ
ージング等の影響によりレベル変動を受ける。また、マ
ルチキャリア信号は、各搬送波毎に各々独立したレベル
変動を受ける。よって、通信相手が受信したマルチキャ
リア信号において、受信レベルが大きく低下する搬送波
が生じることがある。受信レベルが大きく低下した搬送
波では誤り率特性が大きく劣化し、通信相手側において
所望の誤り率特性を得ることが困難になる。よって、こ
の場合には、送信レベルの上限値を高めに設定する必要
がある。
【0101】また、ディジタル通信システムにおけるア
クセス方式が、同一の周波数帯域が受信回線と送信回線
とに時分割で割り当てられるTDD(Time Division Du
plex;時分割多重)方式である場合には、受信回線の伝
送路特性が送信回線の伝送路特性と同じになる。よっ
て、受信回線においてレベルが大きく低下する搬送波
と、送信回線においてレベルが大きく低下する搬送波と
が一致する。よって、無線通信装置は、マルチキャリア
信号の各搬送波の受信レベルから、送信回線においてレ
ベルが大きく低下する搬送波を予測することが可能であ
る。
【0102】そこで、本実施の形態では、以下のように
して、各搬送波の受信レベルに応じて送信レベルの上限
値を変化させる。図10は、本発明の実施の形態4にか
かる無線通信装置の構成を示すブロック図である。な
お、図10において、実施の形態1(図2)と同一の構
成については図2におけるものと同一の符号を付し、詳
しい説明を省略する。
【0103】図10に示すように、本実施の形態にかか
る無線通信装置は、実施の形態1にかかる無線通信装置
に、さらに受信レベル検出部601a2〜受信レベル検
出部601ak-1を付加した構成を採る。受信レベル検
出部601a2〜受信レベル検出部601ak-1ではそれ
ぞれ、搬送波#2〜搬送波#k−1の受信レベルが検出
され、検出された受信レベルを示す信号が、レベル制限
部104a2〜レベル制限部104ak-1に出力される。
【0104】レベル制限部104a2〜レベル制限部1
04ak-1では、以下のようにして、受信レベルの低い
搬送波ほど送信レベルの上限値が高めに設定される。図
11は、本発明の実施の形態4にかかる無線通信装置の
レベル制限部の構成を示すブロック図である。なお、図
11において、実施の形態2(図5)と同一の構成につ
いては図5におけるものと同一の符号を付し、詳しい説
明を省略する。また、レベル制限部104a2〜レベル
制限部104ak-1はすべて同一の構成となるため、こ
こではレベル制限部104a2についてのみ説明する。
【0105】図11に示すレベル制限部104a2にお
いて、比較部701では、受信レベル検出部601a2
から出力された受信レベルと、受信レベルの所定のしき
い値とが比較され、比較結果を示す信号が選択部702
に出力される。
【0106】選択部702では、比較結果を示す信号に
従って、上限値1または上限値2(上限値1>上限値
2)のいずれか一方が選択されて、比較部303および
選択部304に出力される。すなわち、受信レベル検出
部601a2から出力された受信レベルが所定のしきい
値以上となる場合には上限値2が選択され、逆に、受信
レベル検出部601a2から出力された受信レベルが所
定のしきい値未満になる場合には上限値1が選択され
る。つまり、受信レベルが低くなるほど、送信レベルの
上限値が高く設定される。つまり、通信相手側で受信レ
ベルが低下する搬送波の送信レベルが予め高められる。
【0107】以上のように、本実施の形態によれば、T
DD方式の通信システムにおいて、各搬送波の受信レベ
ルに応じて適応的に送信レベルの上限値を変化させるた
め、通信相手で受信レベルが大きく低下すると予測され
る搬送波の送信レベルを予め高めておくことができる。
よって、通信相手側において受信レベルが大きく低下す
る搬送波が生じることがある環境下でも、マルチキャリ
ア信号の誤り率特性が劣化してしまうことを防止するこ
とができる。つまり、通信相手側において受信レベルが
大きく低下する搬送波が生じることがある環境下でも、
ピーク電力の増大および通信品質の劣化をともに防ぐこ
とができる。
【0108】(実施の形態5)本実施の形態では、実施
の形態1において、要求される品質に応じた送信レベル
制限を行う場合について説明する。すなわち、本実施の
形態では、高品質を要求されるチャネルについてその所
望本質を確実に満たすように送信レベル制限を行う場合
について説明する。
【0109】送信レベルの上限値の高低は、各チャネル
において要求される品質により異なる。すなわち、高品
質が要求されるチャネル(例えば、制御チャネルや再送
チャネル等)については、他のチャネルより送信レベル
の上限値を高めに設定して、所望本質を確実に満たすよ
うにする必要がある。
【0110】そこで、本実施の形態では、以下のように
して、高品質を要求されるチャネルについてその所望本
質を確実に満たすように送信レベル制限を行う。図12
は、本発明の実施の形態5にかかる無線通信装置のレベ
ル制限部の構成を示すブロック図である。なお、レベル
制限部の内部構成以外は、実施の形態1(図2)と同一
になるため、ここではレベル制限部についてのみ説明す
る。また、図12において、実施の形態2(図5)と同
一の構成については図5におけるものと同一の符号を付
し、詳しい説明を省略する。また、レベル制限部104
2〜レベル制限部104ak-1はすべて同一の構成とな
るため、ここではレベル制限部104a2についてのみ
説明する。
【0111】物理レイヤより上位のレイヤ(以下、単に
「上位レイヤ」という。)では送信信号がどのチャネル
の信号であるか逐次監視しているため、そのチャネルが
高品質が要求されるチャネルである場合には、上位レイ
ヤよりその旨を示すチャネル種別信号‘0'が選択部8
01に入力される。逆に、そのチャネルが高品質が要求
されるチャネル以外のチャネルである場合には、上位レ
イヤよりその旨を示す選択信号‘1'が選択部801に
入力される。すなわち、チャネル種別信号は、送信信号
のチャネルが高品質が要求されるチャネルかどうかを示
すための信号である。
【0112】選択部801では、上位レイヤから入力さ
れるチャネル種別信号に基づいて、上限値1または上限
値2(上限値1>上限値2)のいずれか一方が選択され
て、比較部303および選択部304に出力される。す
なわち、チャネル種別信号が‘0'である場合には上限
値1が選択され、逆に、チャネル種別信号が‘1'であ
る場合には上限値2が選択される。つまり、送信信号の
チャネルが高品質が要求されるチャネルである場合に
は、上限値1が選択されて、送信レベルの上限値が高め
に設定される。このようにして要求される品質に応じた
送信レベル制限を行うことにより、通信相手側では、高
品質が要求されるチャネルの品質を確実に所望品質以上
に保つことができる。
【0113】以上のように、本実施の形態によれば、送
信信号のチャネルが高品質が要求されるチャネルである
場合には送信レベルの上限値を高めに設定するため、高
品質を要求されるチャネルについてその所望本質を確実
に満たすように送信レベル制限を行うことができる。
【0114】(実施の形態6)本実施の形態では、実施
の形態1において、マルチキャリア信号のピーク電力が
許容値より低くなるときに、誤り率特性を向上させる場
合について説明する。
【0115】各搬送波の送信レベルが比較的高くても、
各搬送波に配置される信号間の位相関係等によっては、
マルチキャリア信号のピーク電力が許容値より低くなる
ことがある。例えば、各搬送波に配置される信号間で極
性が逆になると、送信レベルが互いに相殺されて、マル
チキャリア信号のピーク電力が許容値よりも低くなるこ
とがある。このような場合には、各搬送波の送信レベル
の上限値を高めることが可能であり、上限値を高めるこ
とにより誤り率特性を向上させることができる。
【0116】そこで、本実施の形態では、以下のように
して、マルチキャリア信号の送信レベルに応じて、各搬
送波の送信レベルの上限値を変化させる。図13は、本
発明の実施の形態6にかかる無線通信装置の構成を示す
ブロック図である。なお、図13において、実施の形態
1(図2)と同一の構成については図2におけるものと
同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0117】図13に示すように、本実施の形態にかか
る無線通信装置は、実施の形態1にかかる無線通信装置
に、さらにレベル検出部901を付加した構成を採る。
レベル検出部901では、周波数分割多重後のマルチキ
ャリア信号の送信レベルが検出される。そして、マルチ
キャリア信号の送信レベルを示す信号が、レベル制限部
104a2〜レベル制限部104ak-1に出力される。
【0118】レベル制限部104a2〜レベル制限部1
04ak-1では、以下のようにして、マルチキャリア信
号のピーク電力が許容値より低い場合に、各搬送波の送
信レベルの上限値が高められる。図14は、本発明の実
施の形態6にかかる無線通信装置のレベル制限部の構成
を示すブロック図である。なお、図14において、実施
の形態2(図5)と同一の構成については図5における
ものと同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。ま
た、レベル制限部104a2〜レベル制限部104ak-1
はすべて同一の構成となるため、ここではレベル制限部
104a2についてのみ説明する。
【0119】図14に示すレベル制限部104a2にお
いて、比較部1001では、レベル検出部901から出
力されたマルチキャリア信号の送信レベルと、その送信
レベルの所定のしきい値とが比較され、比較結果を示す
信号が選択部1002に出力される。
【0120】選択部1002では、比較結果を示す信号
に従って、上限値1または上限値2(上限値1>上限値
2)のいずれか一方が選択されて、比較部303および
選択部304に出力される。すなわち、マルチキャリア
信号の送信レベルが所定のしきい値以上となる場合(マ
ルチキャリア信号のピーク電力が許容値以上となる場
合)には上限値2が選択され、逆に、マルチキャリア信
号の送信レベルが所定のしきい値未満となる場合(マル
チキャリア信号のピーク電力が許容値より低くなる場
合)には上限値1が選択される。つまり、マルチキャリ
ア信号のピーク電力が許容値よりも低くなる場合に、各
搬送波の送信レベルの上限値が高められる。これによ
り、誤り率特性を向上させることができる。
【0121】以上のように、本実施の形態によれば、マ
ルチキャリア信号の送信レベルに応じて、各搬送波の送
信レベルの上限値を変化させるため、マルチキャリア信
号のピーク電力が許容値より低くなるときに、各搬送波
の送信レベルを高めて誤り率特性を向上させることがで
きる。
【0122】(実施の形態7)本実施の形態では、実施
の形態1において、マルチキャリア信号のピーク電力を
確実に許容値以下に抑える場合について説明する。
【0123】各搬送波に対して送信レベル制限を行って
も、各搬送波に配置される信号間の位相関係等によって
は、マルチキャリア信号のピーク電力が許容値を超えて
しまうことがある。例えば、各搬送波に配置される信号
間で極性が同じになると、マルチキャリア信号の送信レ
ベルが高くなり、マルチキャリア信号のピーク電力が許
容値を超えてしまうことがある。
【0124】そこで、本実施の形態では、以下のように
して、マルチキャリア信号のピーク電力を確実に許容値
以下に抑える。図15は、本発明の実施の形態7にかか
る無線通信装置の構成を示すブロック図である。なお、
図15において、実施の形態1(図2)と同一の構成に
ついては図2におけるものと同一の符号を付し、詳しい
説明を省略する。
【0125】図15に示すように、本実施の形態にかか
る無線通信装置は、実施の形態1にかかる無線通信装置
に、さらにレベル制限部1101を付加した構成を採
る。また、レベル制限部1101は、実施の形態1のレ
ベル制限部(図3)と同様の構成を採る。すなわち、周
波数分割多重後のマルチキャリア信号の送信レベルが上
限値より低い場合には、マルチキャリア信号はそのまま
の送信レベルで無線送信部106に出力される。逆に、
周波数分割多重後のマルチキャリア信号の送信レベルが
上限値以上の場合には、送信レベルが上限値とされたマ
ルチキャリア信号が無線送信部106に出力される。こ
れにより、マルチキャリア信号の送信レベルが確実に上
限値以下に制限することができる。換言すれば、マルチ
キャリア信号のピーク電力を確実に許容値以下に抑える
ことができる。
【0126】ここで、マルチキャリア信号に対して送信
レベル制限を行うと、マルチキャリア信号のすべての搬
送波において誤り率特性が劣化してしまう。これを防止
するために、レベル制限部1101に設定する上限値
を、レベル制限部104a2〜レベル制限部104ak-1
に設定する上限値よりも高い値に設定しておくようにす
る。これにより、実施の形態1同様、誤り率が他の搬送
波に比べて非常に高くなる両端の搬送波に対しては送信
レベルの制限が緩和されるので、マルチキャリア信号の
誤り率特性の劣化を抑えることができる。
【0127】以上のように、本実施の形態によれば、マ
ルチキャリア信号に対しても送信レベル制限を行うた
め、マルチキャリア信号のピーク電力を確実に許容値以
下に抑えることができる。
【0128】(実施の形態8)本実施の形態では、実施
の形態1において、誤り率特性の劣化を抑えつつピーク
電力をさらに低減させる場合について説明する。
【0129】実施の形態7では、実施の形態1におい
て、マルチキャリア信号のピーク電力を確実に許容値以
下に抑える場合について説明した。しかしながら、実施
の形態7では、マルチキャリア信号の送信レベルを上限
値に制限するため、マルチキャリア信号の送信レベルが
クリッピングしてしまい、マルチキャリア信号の波形が
送信レベル制限前後で変わってしまうことがある。この
ように、マルチキャリア信号の波形が元の波形と変わっ
てしまうと、高調波の発生により搬送波間相互に干渉が
生じてしまい、誤り率特性が劣化する。
【0130】そこで、本実施の形態では、以下のように
して、マルチキャリア信号の波形を変えずにピーク電力
をさらに低減させる。図16は、本発明の実施の形態8
にかかる無線通信装置の構成を示すブロック図である。
なお、図16において、実施の形態1(図2)と同一の
構成については図2におけるものと同一の符号を付し、
詳しい説明を省略する。
【0131】図16に示すように、本実施の形態にかか
る無線通信装置は、実施の形態1にかかる無線通信装置
に、さらにピークレベル抑圧部1201を付加した構成
を採る。また、ピークレベル抑圧部1201は、図17
に示す構成を採る。図17は、本発明の実施の形態8に
かかる無線通信装置のピークレベル抑圧部の構成を示す
ブロック図である。
【0132】図17に示すピークレベル抑圧部1201
において、最大値検出部1202および除算部1203
には、IFFT部105よりマルチキャリア信号が(O
FDM信号)が入力される。最大値検出部1202で
は、OFDMシンボル毎に、マルチキャリア信号の送信
レベルの最大値が検出され、その最大値を示す信号が除
算部1203に出力される。除算部1203では、マル
チキャリア信号の送信レベルが最大値検出部1202で
検出された最大値で除算される。これにより、OFDM
シンボル内のすべての送信レベルが等しい割合で抑圧さ
れる。すなわち、マルチキャリア信号の波形を元の波形
と変えずに送信レベルを低下させることができる。
【0133】以上のように、本実施の形態によれば、マ
ルチキャリア信号の波形を変えずに送信レベルを低下さ
せるため、誤り率特性の劣化を抑えつつピーク電力をさ
らに低減させることができる。
【0134】なお、上記説明では、OFDMシンボル内
のすべての送信レベルが等しい割合で抑圧されるため、
最大値検出部1202で検出された最大値が小さいOF
DMシンボルほど雑音に対して弱くなる。そこで、本実
施の形態では、最大値が所定のしきい値を超えたOFD
Mシンボルに対してのみ上記処理を施すようにしてもよ
い。これにより、最大値が比較的小さいOFDMシンボ
ルの誤り率特性が劣化してしまうことを防止することが
できる。
【0135】(実施の形態9)本実施の形態では、実施
の形態1において、強いフェージング環境にある場合
に、誤り率特性の劣化の程度をほとんど変えることなく
ピーク電力をさらに低減させる場合について説明する。
【0136】マルチキャリア信号が伝送路において強い
フェージングを受ける場合には、伝送路において各搬送
波のレベルが大きく(例えば、全搬送波の平均レベルの
−40dB以上)低下することがある。レベルが大きく低
下する搬送波が生じて搬送波間のレベル偏差が大きくな
ると、OFDM−CDMA方式では、各信号を拡散して
いる拡散符号間の直交性が崩れてしまい、誤り率特性が
劣化する。
【0137】このようにレベルが大きく低下する搬送波
が生じる場合には、その搬送波をどのような送信レベル
で送信しても、結局伝送路においてレベルが大きく低下
するため、その搬送波の送信レベルを0にしたとして
も、誤り率特性の劣化の程度はほとんど変わらない。よ
って、このような場合には、その搬送波の送信レベルを
0にして、マルチキャリア信号のピーク電力を低減する
方が有効である。
【0138】また、上述したように、TDD方式では、
無線通信装置は、マルチキャリア信号の各搬送波の受信
レベルから、送信回線においてレベルが大きく低下する
搬送波を予測することが可能である。
【0139】そこで、本実施の形態では、以下のように
して、強いフェージング環境にある場合に、誤り率特性
の劣化の程度をほとんど変えることなくピーク電力の低
減を図る。図18は、本発明の実施の形態9にかかる無
線通信装置の構成を示すブロック図である。なお、図1
8において、実施の形態1(図2)と同一の構成につい
ては図2におけるものと同一の符号を付し、詳しい説明
を省略する。
【0140】図18に示すように、本実施の形態にかか
る無線通信装置は、実施の形態1にかかる無線通信装置
に、さらに受信レベル検出部1301a2〜受信レベル
検出部1301ak-1、比較部1302a2〜比較部13
02ak-1、選択部1303a2〜選択部1303ak-1
を付加した構成を採る。なお、各受信レベル検出部、各
比較部および各選択部はそれぞれ同一の構成となるた
め、ここでは受信レベル検出部1301a2、比較較部
1302a2および選択部1303a2についてのみ説明
する。
【0141】図18に示す無線通信装置において、受信
レベル検出部1301a2では、搬送波#2の受信レベ
ルが検出され、検出された受信レベルを示す信号が、比
較較部1302a2に出力される。比較部1302a2
は、受信レベル検出部1301a2で検出された受信レ
ベルと、所定のしきい値とが比較され、比較結果を示す
信号が選択部1303a2に出力される。
【0142】選択部1303a2では、比較結果を示す
信号に従って、ヌル信号またはレベル制限部104a2
から出力された送信レベル制限後の送信信号のいずれか
一方が選択され、IFFT部105に出力される。すな
わち、受信レベル検出部1301a2で検出された受信
レベルが所定のしきい値より低い場合にはヌル信号が選
択され、逆に、受信レベル検出部1301a2で検出さ
れた受信レベルが所定のしきい値以上の場合には送信レ
ベル制限後の送信信号が選択される。なお、ここで言う
ヌル信号とは、送信レベルが0の信号である。
【0143】以上のように、本実施の形態によれば、伝
送路においてレベルが大きく低下する搬送波の送信レベ
ルを0にするため、強いフェージング環境にある場合
に、誤り率特性の劣化の程度をほとんど変えることなく
ピーク電力をさらに低減することができる。
【0144】(実施の形態10)本実施の形態では、実
施の形態1において、強いフェージング環境にある場合
に、実施の形態9よりもピーク電力をさらに低減させる
場合について説明する。
【0145】実施の形態9で述べたように、伝送路にお
いてレベルが大きく低下する搬送波が生じる場合には、
その搬送波をどのような送信レベルで送信しても、結局
伝送路においてレベルが大きく低下する。このため、そ
の搬送波にどのような信号を割り当てても、誤り率特性
の劣化の程度はほとんど変わらない。よって、このよう
な場合には、その搬送波にピーク抑圧用信号を割り当て
て、マルチキャリア信号のピーク電力をさらに低減する
ことが可能である。
【0146】図19は、本発明の実施の形態10にかか
る無線通信装置の構成を示すブロック図である。なお、
図19において、実施の形態9(図18)と同一の構成
については図18におけるものと同一の符号を付し、詳
しい説明を省略する。
【0147】図19に示すように、本実施の形態にかか
る無線通信装置は、実施の形態9にかかる無線通信装置
に、さらに最大値検出部1401、極性判定部1402
およびピーク抑圧用信号生成部1403を付加した構成
を採る。
【0148】図19に示す無線通信装置において、最大
値検出部1401にはマルチキャリア信号が(OFDM
信号)が入力される。最大値検出部1401では、OF
DMシンボル毎に、マルチキャリア信号の送信レベルの
最大値が検出され、その最大値を示す信号が極性判定部
1402に出力される。
【0149】極性判定部1402では、最大値検出部1
401で検出された最大値の極性(‘+’か‘−’)が
判定され、その極性を示す信号がピーク抑圧用信号生成
部1403に出力される。ピーク抑圧用信号生成部14
03では、極性判定部1402で判定された極性と逆の
極性で、かつ所定レベルの信号(ピーク抑圧用信号)が
生成されて、選択部1303a2〜選択部1303ak-1
に出力される。なお、各選択部は同一の構成となるた
め、以下、選択部1303a2についてのみ説明する。
【0150】選択部1303a2では、比較結果を示す
信号に従って、ピーク抑圧用信号またはレベル制限部1
04a2から出力された送信レベル制限後の送信信号の
いずれか一方が選択され、IFFT部105に出力され
る。すなわち、受信レベル検出部1301a2で検出さ
れた受信レベルが所定のしきい値より低い場合にはピー
ク抑圧用信号が選択され、逆に、受信レベル検出部13
01a2で検出された受信レベルが所定のしきい値以上
の場合には送信レベル制限後の送信信号が選択される。
【0151】ピーク抑圧用信号はマルチキャリア信号の
送信レベルの最大値の極性と逆の特性の信号であるた
め、このようにして、ピーク抑圧用信号を各搬送波に割
り当てることにより、最大値部分が抑圧される。よっ
て、本実施の形態によれば、強いフェージング環境にあ
る場合に、単にヌル信号を割り当てる実施の形態9より
も、マルチキャリア信号のピーク電力をさらに低減させ
ることができる。
【0152】なお、ピーク抑圧用信号生成部1403に
おいて、生成したピーク抑圧用信号の所定レベルに所定
の係数を乗算器により乗算して、ピーク抑圧用信号のレ
ベルをレベル制限部104a2〜レベル制限部104a
k-1に設定される上限値より高くなるようにしてもよ
い。これにより、ピーク抑圧用信号のレベルは、搬送波
#2〜搬送波#k−1のレベルより確実に高くなるた
め、マルチキャリア信号の送信レベルの最大値に対する
抑圧効果をさらに高めることができる。すなわち、マル
チキャリア信号のピーク電力をさらに低減することがで
きる。
【0153】また、上記所定の係数をビットシフトで実
現可能な値(例えば、2)とした場合には、乗算器を使
用することなくビットシフト演算で乗算を行うことがで
きる。このように、乗算処理をビットシフトで行うこと
により、乗算器を用いた場合より回路規模を削減するこ
とができる。
【0154】なお、上記実施の形態1〜10は、適宜組
み合わせて実施することが可能である。
【0155】また、実施の形態1〜10では、OFDM
変調方式をマルチキャリア変調方式の一例として挙げて
説明したが、本発明は、いかなるマルチキャリア変調方
式においても実施可能である。
【0156】本発明にかかる無線通信装置は、ディジタ
ル通信システムにおける通信端末装置や基地局装置に搭
載可能なものである。
【0157】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
マルチキャリア変調方式とCDMA方式とを組み合わた
無線通信において、ピーク電力の増大および通信品質の
劣化をともに防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)マルチキャリア信号が隣接チャネルから
の干渉波の影響を受ける様子を示す図 (b)マルチキャリア信号がフィルタの群遅延偏差およ
び振幅偏差の影響を受ける様子を示す図
【図2】本発明の実施の形態1にかかる無線通信装置の
構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1にかかる無線通信装置の
レベル制限部の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態1にかかる無線通信装置で
レベルを制限されたマルチキャリア信号の送信レベルの
様子を示す図
【図5】本発明の実施の形態2にかかる無線通信装置の
レベル制限部の構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態3にかかる無線通信装置の
構成を示すブロック図
【図7】(a)遅延波の遅延時間が短い場合のマルチキ
ャリア信号の各搬送波の受信レベルの様子を示す図 (b)遅延波の遅延時間が長い場合のマルチキャリア信
号の各搬送波の受信レベルの様子を示す図
【図8】本発明の実施の形態3にかかる無線通信装置の
遅延分散情報生成部の構成を示すブロック図
【図9】本発明の実施の形態3にかかる無線通信装置の
レベル制限部の構成を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態4にかかる無線通信装置
の構成を示すブロック図
【図11】本発明の実施の形態4にかかる無線通信装置
のレベル制限部の構成を示すブロック図
【図12】本発明の実施の形態5にかかる無線通信装置
のレベル制限部の構成を示すブロック図
【図13】本発明の実施の形態6にかかる無線通信装置
の構成を示すブロック図
【図14】本発明の実施の形態6にかかる無線通信装置
のレベル制限部の構成を示すブロック図
【図15】本発明の実施の形態7にかかる無線通信装置
の構成を示すブロック図
【図16】本発明の実施の形態8にかかる無線通信装置
の構成を示すブロック図
【図17】本発明の実施の形態8にかかる無線通信装置
のピークレベル抑圧部の構成を示すブロック図
【図18】本発明の実施の形態9にかかる無線通信装置
の構成を示すブロック図
【図19】本発明の実施の形態10にかかる無線通信装
置の構成を示すブロック図
【図20】従来の無線通信装置の構成を示すブロック図
【図21】符号分割多重された送信信号の各チップが各
搬送波に配置される様子を示す図
【符号の説明】
101a1〜101an 拡散部 102 加算部 103 S/P部 104a2〜104ak-1,1101 レベル制限部 105 IFFT部 106 無線送信部 107 アンテナ 108 無線受信部 109 FFT部 110a1〜110ak 伝送路補償部 111 P/S部 112a1〜112an 逆拡散部 201,301,303,506,701,1001,
1302a2〜1302ak-1 比較部 202,302,304,507,702,801,1
002,1303a2〜1303ak-1 選択部 401 遅延分散情報生成部 501,601a2〜601ak-1,1301a2〜13
01ak-1 受信レベル検出部 502 遅延部 503 減算部 504 絶対値算出部 505 平均化部 901 レベル検出部 1201 ピークレベル抑圧部 1202,1401 最大値検出部 1203 除算部 1402 極性判定部 1403 ピーク抑圧用信号生成部

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の送信信号に対してそれぞれ異なる
    拡散符号を用いて拡散処理を施す拡散手段と、拡散処理
    後の送信信号を符号分割多重する第1多重手段と、符号
    分割多重後の信号を各チップ毎に分割する分割手段と、
    各チップ毎の信号をそれぞれ異なる搬送波に割り当てて
    周波数分割多重することによりマルチキャリア信号を生
    成する第2多重手段と、各搬送波に対して各々個別に送
    信レベル制限を行うレベル制限手段と、送信レベル制限
    後のマルチキャリア信号を送信する送信手段と、を具備
    することを特徴とする無線通信装置。
  2. 【請求項2】 レベル制限手段は、誤り率が他の搬送波
    に比べて高くなる一部の搬送波に対する送信レベル制限
    を、前記他の搬送波に対する送信レベル制限に比べて緩
    和することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  3. 【請求項3】 レベル制限手段は、マルチキャリア信号
    の両端の搬送波に対する送信レベル制限を、他の搬送波
    に対する送信レベル制限に比べて緩和することを特徴と
    する請求項2記載の無線通信装置。
  4. 【請求項4】 レベル制限手段は、マルチキャリア信号
    の直流点に割り当てられる搬送波に対する送信レベル制
    限を、他の搬送波に対する送信レベル制限に比べて緩和
    することを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
  5. 【請求項5】 レベル制限手段は、一部の搬送波に対す
    る送信レベルの上限値を、他の搬送波に対する送信レベ
    ルの上限値より高くすることを特徴とする請求項1また
    は請求項2記載の無線通信装置。
  6. 【請求項6】 レベル制限手段は、回線品質が良好なほ
    ど上限値を低くすることを特徴とする請求項5記載の無
    線通信装置。
  7. 【請求項7】 レベル制限手段は、遅延波の遅延時間が
    長くなるほど上限値を高くすることを特徴とする請求項
    5記載の無線通信装置。
  8. 【請求項8】 レベル制限手段は、高品質が要求される
    チャネルの信号ほど上限値を高くすることを特徴とする
    請求項5記載の無線通信装置。
  9. 【請求項9】 レベル制限手段は、マルチキャリア信号
    の送信レベルが低くなるほど上限値を高くすることを特
    徴とする請求項5記載の無線通信装置。
  10. 【請求項10】 通信相手から送信されたマルチキャリ
    ア信号の各搬送波の受信レベルを検出する受信レベル検
    出手段を具備し、レベル制限手段は、前記受信レベルが
    低い搬送波ほど上限値を高くすることを特徴とする請求
    項5記載の無線通信装置。
  11. 【請求項11】 通信相手から送信されたマルチキャリ
    ア信号の各搬送波の受信レベルを検出する受信レベル検
    出手段と、前記受信レベルが所定のしきい値より低い搬
    送波に、送信レベルが0の信号を割り当てる割り当て手
    段と、を具備することを特徴とする請求項1記載の無線
    通信装置。
  12. 【請求項12】 通信相手から送信されたマルチキャリ
    ア信号の各搬送波の受信レベルを検出する受信レベル検
    出手段と、マルチキャリア信号の送信レベルの最大値を
    検出する最大値検出手段と、前記受信レベルが所定のし
    きい値より低い搬送波に、前記最大値の極性と逆の極性
    となるピーク抑圧用信号を割り当てる割り当て手段と、
    を具備することを特徴とする請求項1記載の無線通信装
    置。
  13. 【請求項13】 割り当て手段は、ピーク抑圧用信号の
    レベルを、前記ピーク抑圧用信号を割り当てる搬送波以
    外の搬送波の送信レベルより高くすることを特徴とする
    請求項12記載の無線通信装置。
  14. 【請求項14】 割り当て手段は、ビットシフト演算に
    よりピーク抑圧用信号のレベルを高くすることを特徴と
    する請求項13記載の無線通信装置。
  15. 【請求項15】 マルチキャリア信号の送信レベルを所
    定値以下に制限する第2レベル制限手段を具備すること
    を特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載
    の無線通信装置。
  16. 【請求項16】 マルチキャリア信号の送信レベルを等
    しい割合で抑圧する抑圧手段を具備することを特徴とす
    る請求項1から請求項14のいずれかに記載の無線通信
    装置。
  17. 【請求項17】 請求項1から請求項16のいずれかに
    記載の無線通信装置を搭載することを特徴とする通信端
    末装置。
  18. 【請求項18】 請求項1から請求項16のいずれかに
    記載の無線通信装置を搭載することを特徴とする基地局
    装置。
  19. 【請求項19】 符号分割多重および周波数分割多重さ
    れたマルチキャリア信号の各搬送波に対して各々個別に
    送信レベル制限を行う際に、誤り率が他の搬送波に比べ
    て高くなる一部の搬送波に対する送信レベル制限を、前
    記他の搬送波に対する送信レベル制限に比べて緩和して
    行い、送信レベル制限後のマルチキャリア信号を送信す
    ることを特徴とする無線通信方法。
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