JP2002270868A - 集積型光起電力装置及びその製造方法 - Google Patents

集積型光起電力装置及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、広い範囲のレーザ照射条件下
で、加工が可能な集積型光起電力装置を提供することを
目的とする。 【解決手段】 透光性基板上に、透明電極2、光活性層
となる半導体層3及び裏面電極層4をこの順序で形成し
た集積型光起電力装置であって、前記裏面電極層4は前
記半導体層3に近い側から透明導電膜41と金属膜42
とが積層され、かつその透明導電膜41中にはシリコン
(Si)またはナトリウム(Na)の中から選ばれる1
つ以上の元素がドープされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜半導体を用い
た集積型光起電力装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、非晶質シリコン(以下、a−Si
という。)系半導体を光活性層に用いた光起電力装置が
いろいろな用途に使用されている。これは1枚の基板上
に多数の光電変換素子をカスケード接続することによ
り、高電圧を取出せるようにした集積型a−Si光起電
力装置に開発を負うところが大きい。
【0003】一般的なa−Siを用いた集積型光起電力
装置について、図5に従い説明する。ガラスからなる透
光性基板1の上に、酸化錫(SnO2)からなる透明電
極2、内部にpin接合を有する光活性層となる非晶質
半導体層3、裏面電極層4をこの順序で積層して形成さ
れる。上記非晶質半導体層3は、pinのシングル接合
のものや、pin接合を複数段積層した所謂タンデム構
造のものがある。タンデム構造は、例えば、内部にpi
n接続を有するフロントのa−Si膜とボトムのa−S
iGeとを積層して構成される。このタンデム構造の非
晶質半導体層3は、例えば、a−SiCからなるフロン
トp型非晶質半導体層31とa−Siからなるフロント
i型非晶質半導体層32と微結晶シリコンからなるフロ
ントn型非晶質半導体層33、a−SiCからなるボト
ムp型非晶質半導体層34とa−SiGeからなるボト
ムi型非晶質半導体層35と微結晶シリコンからなるボ
トムn型非晶質半導体層36とで構成されている。
【0004】そして、集積型a−Si光起電力装置は、
全体として1枚の基板から高い電圧を取出せるように多
数の光電変換素子をカスケード接続している。集積型構
造を形成するためには、ガラス基板上の透明電極、a−
Si膜、裏面電極層を分離する必要がある。各々の膜を
分離する方法としては、主にレーザを用いたレーザパタ
ーニング法が用いられている(例えば、特公平4−64
473号公報参照)。
【0005】このレーザパターニング法につき簡単に説
明する。まず、ガラスなどの絶縁性透光性基板1上にI
TO、SnO2等の透明電極2を形成し、レーザビーム
の照射により透明電極2を任意の段数に短冊状に分割す
る。そして、この分割された透明電極2上に内部にpi
n接合を有するa−Si膜からなる非晶質半導体層3を
堆積する。その後、透明電極2の分割ラインに沿って、
この分割ラインと重ならないようにしてレーザビームを
照射し、非晶質半導体層3を分割する。続いて、非晶質
半導体層3上に金属膜42を主体とした裏面電極層4を
形成するが、この時金属元素の非晶質半導体層3への拡
散を防止するとともに、n型a−Si膜と金属間の接合
特性を良好にするため界面にITO,ZnO等の透明導
電膜41aを挿入している。
【0006】このような裏面電極層4の形成により、透
明電極2と裏面電極層4とを接続した後、透明電極2及
び非晶質半導体層3の分割ラインに沿って、両分割ライ
ンと重ならないようにして、レーザビームを照射して裏
面電極層4を除去し、隣接するセル(光電変換素子:集
積型構造における一段)間を分離する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したような集積型
光起電力装置を形成する際、裏面電極層4の分離プロセ
スにおいて、セル(集積型構造における一段)の透明電
極―裏面電極層が短絡してしまうことがある。その原因
を図6に従い説明する。
【0008】図6は図5に示す破線Aで囲った隣接間隔
部の拡大図である。図6に示すように、裏面電極層4を
レーザで除去する際に、同時に非晶質半導体層3も除去
され、この時レーザ加工の熱影響により金属膜42端部
に生じる溶融だれ7や、n型a−Siと金属間の透明導
電膜41aの飛散、非晶質半導体層3の部分的な微結晶
化(低抵抗化)8等によるパスが生じるためである。
【0009】この発明は、上述した裏面電極層のレーザ
加工に対する従来の問題点を改善し、広い範囲のレーザ
照射条件下で、加工が可能な集積型光起電力装置を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、透光性基板
上に、透明電極、光活性層となる半導体層及び裏面電極
層をこの順序で形成した集積型光起電力装置であって、
前記裏面電極層は前記半導体層に近い側から透明導電膜
と金属膜とが積層され、かつその透明導電膜中にはシリ
コン(Si)またはナトリウム(Na)の中から選ばれ
る1つ以上の元素がドープされていることを特徴とす
る。
【0011】裏面電極層における透明導電膜中へのS
i、またはNaのドープにより、透明導電膜の結晶性が
増大し、熱伝導性も向上する。その結果、裏面電極層加
工部における局部的な熱の滞留が減少するため、金属膜
端部の溶融だれやn型a−Si/金属間の透明導電膜の
飛散が防止でき、機械的なレーザ加工性が向上する。さ
らに下地の非晶質半導体層の加工部(裏面電極層と同時
に除去される)の熱による微結晶化(低抵抗化)も防止
できる。
【0012】以上のことから、セルの透明電極と裏面電
極層を短絡させるパスが低減し、集積型光起電力装置の
出力特性、及び歩留を改善できる。
【0013】前記裏面電極層の透明導電膜中のSiのド
ープ量は1at.%以上10at.%以下にすると良
い。
【0014】また、前記裏面電極層の透明導電膜中のN
aのドープ量は1at.%以上8at.%以下にすると
良い。
【0015】また、この発明は、透光性基板上に、透明
電極、光活性層となる半導体層及び裏面電極層をこの順
序で形成し、レーザパターニングにより各々の膜を分離
する集積型光起電力装置の製造方法であって、前記光起
電力層となる半導体層上にシリコンまたはナトリウムの
中から選ばれる1つ以上の元素がドープされた透明導電
膜を形成し、この透明導電膜上に金属膜を積層して裏面
電極層を形成した後、レーザパターニングにより裏面電
極層及び半導体層を分離することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態に係
る集積型光起電力装置とその製造方法につき図1ないし
図4に従い説明する。図1は、この発明の実施の形態に
係る集積型光起電力装置を示す概略断面図であって、2
つの光電変換素子を電気的に直列接続する隣接間隔部を
中心に示している。そして、図2は、図1に示す破線A
で囲った隣接間隔部の拡大図である。また、図3は、こ
の発明の特徴とする裏面電極層を形成するためのスパッ
タ装置の一例を示す概略断面図である。
【0017】この発明の実施の形態は、非晶質半導体層
として、a−Siとa−SiGeを多層化したいわゆる
タンデム構造の集積型光起電力装置に適用したものであ
る。図1において、ガラスからなる絶縁性透光性基板1
上に膜厚0.2〜1μm、この実施の形態では、約1μ
mの膜厚のSnO2からなる透明電極2を熱CVD法な
どにより形成する。その後、例えば、例えば、レーザビ
ームの照射により透明電極2を任意の段数に短冊状に分
割する。
【0018】そして、透明電極2上に内部にpin接続
を有するフロントのa−Si膜とボトムのa−SiGe
とを積層したトータル膜厚が0.2〜0.4μm程度の
非晶質半導体層3を堆積する。この実施の形態において
は、トータル膜厚が約0.3μmの光活性層となる非晶
質半導体層3をプラズマCVD法により形成した。この
非晶質半導体層3は、a−SiCからなる膜厚200Å
のフロントp型非晶質半導体層31とa−Siからなる
膜厚1300〜1800Åのフロントi型非晶質半導体
層32と微結晶シリコンからなる膜厚300Åのフロン
トn型非晶質半導体層33、a−SiCからなる膜厚2
00Åのボトムp型非晶質半導体層34とa−SiGe
からなる膜厚1000〜1500Åのボトムi型非晶質
半導体層35と微結晶シリコンからなる膜厚300Åの
ボトムn型非晶質半導体層36とで構成されている。
【0019】その後、透明電極2の分割ラインに沿っ
て、この分割ラインと重ならないようにしてレーザビー
ムを照射し、非晶質半導体層3を分割する。なお、この
レーザパターニングの際、非晶質半導体層3の分離が十
分でなくても、透明電極2の一部が露出していれば、次
の工程で形成される裏面電極層4との電気的接続が行え
るので、問題にならない。
【0020】続いて、非晶質半導体層3上に裏面電極層
4を形成する。裏面電極4は、図3に示すスパッタ装置
によりITO、SnO2、ZnOから選択される膜厚1
000Åの透明導電膜41と、Au、Ag、Al、C
u、Ti、W、Niなどの常温(300K)の電気抵抗
率が50.0μΩ・cm以下の材料から選択される膜厚
3000Åの金属膜42を積層して形成され、このとき
前述した非晶質半導体層3のレーザ分離部において透明
導電膜2と裏面電極層4とが接続される。
【0021】ここで、裏面電極層4として透明導電膜/
金属膜の上にさらに透明導電膜などを積層させた3層以
上の構造を用いても良い。この実施の形態では、図3に
示すスパッタ装置において、第1カソード22にAlと
Naをともに2wt%ドープしたZnOターゲットを、
また第2カソード23にAgターゲットを用いて、非晶
質半導体を形成後、分離した仕掛け品10をスパッタ装
置21内を通すことで、2層構造の裏面電極層4を形成
した。
【0022】その後、透明電極2及び非晶質半導体層3
の分割ラインに沿って、裏面電極層4の加工部分にレー
ザビームを照射して隣接するセル間を分離する。
【0023】この発明の集積型光起電力装置における裏
面電極層のパターニングの評価を行うため、40cm×
30cmサイズ、37段の集積型a−Si/a−SiG
eタンデム構造の光起電力装置を作製し、それぞれの各
段の低照度Voc測定(1000ルクス蛍光灯下にて測
定)を行った。その結果を図4に示す。図中黒で塗り潰
した四角形が本発明の集積型光起電力装置、黒丸がナト
リウム(Na)、シリコン(Si)をドープしていない
以外は本発明と同じ構造の従来の集積型光起電力装置で
ある。また、図4においては、+側が1、−側が37で
ある。
【0024】図4より、本発明のものでは、低照度Vo
cが出ていない(ほとんどゼロ)段がなく、全体的にも
高い値が得られている。これは、n型a−Si36と金
属膜42間の透明導電膜41中へのNaのドープにより
透明導電膜の結晶性が増大し、レーザ加工の熱影響が原
因で生じる金属膜端部の溶融だれ、n型a−Si/金属
膜42間の透明導電膜41の飛散が防止でき、機械的な
加工性が向上したことに加えて、a−Si膜の部分的な
微結晶化などによるパスが削減できたためである。
【0025】なお、Naのドープにより透明導電膜の結
晶性が向上することは、例えば、エッチングレートを比
較すると分かる。例えば、Naを5at%ドープすると
ともにAlドープしたZnO膜と、Alのみドープした
ZnO膜を用意し、濃度0.25%の塩酸をエッチング
液としたときのそれぞれのエッチングレート測定した。
【0026】Naを5at%ドープするとともにAlド
ープしたZnO膜は、30Å/秒であるのに対して、A
lのみドープしたZnO膜は、90Å/秒であり、Na
を5at%ドープするとともにAlドープしたZnO膜
の方がエッチングレートが1/3である。このことは、
Naを5at%ドープした方が結晶性が向上しているこ
とを示している。なお、Siを5at%ドープするとと
もにAlドープしたZnO膜のエッチングレートも30
Å/秒程度である。
【0027】また、この実施の形態では、n型a−Si
/金属間の透明導電膜中へのドープする不純物としてN
aを用いたが、代わりにSiをドープしても透明導電膜
の結晶性が向上し、同様の効果が得られることを確認し
ており、またNaドープ量は1at%以上8at%以
下、一方Siドープ量は1at%以上10at%以下の
時に最大の効果が得られる。即ち、NaまたはSiのド
ープ量が1%未満になると、エッチングレートが顕著に
低下し、結晶性の向上があまり認められず、また、Na
のドープ量が8at%を越え、Siのドープ量が10a
t%を越えると、下地のn型a−Si層との接合特性が
低下すると考えられるからである。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、確実に裏面電極層を分離することができ、集積型光
起電力装置の出力特性及び歩留りを改善することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る集積型光起電力装
置を示す概略断面図であって、2つの光電変換素子を電
気的に直列接続する隣接間隔部を中心に示すものであ
る。
【図2】図1に示す破線Aで囲った隣接間隔部の拡大図
である。
【図3】裏面電極層を形成するためのスパッタリング装
置の断面図である。
【図4】集積型光起電力装置(37段)における各段の
低照度Voc測定結果を示す特性図である。
【図5】従来の集積型光起電力装置を示す概略断面図で
あって、2つの光電変換素子を電気的に直列接続する隣
接間隔部を中心に示すものである。
【図6】図5に示す破線Aで囲った隣接間隔部の拡大図
である。
【符号の説明】
1 基板 2 透明導電膜 3 非晶質半導体層 4 裏面電極層 41 透明導電膜 42 金属膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/3205 H01L 21/88 M B Fターム(参考) 4M104 AA01 AA03 AA10 BB04 BB36 BB37 BB39 CC01 DD37 DD43 DD61 DD81 FF02 FF13 FF22 GG20 HH20 5F033 GG01 GG04 HH07 HH08 HH11 HH13 HH14 HH18 HH19 HH38 JJ01 JJ07 JJ08 JJ11 JJ13 JJ14 JJ18 JJ19 JJ38 KK07 KK08 KK11 KK13 KK14 KK18 KK19 KK38 LL01 LL02 LL08 MM05 MM30 NN06 PP06 PP15 QQ08 QQ10 QQ11 QQ53 QQ59 QQ61 QQ62 VV15 WW04 XX00 XX31 5F051 AA05 BA11 CB12 CB15 DA04 DA15 EA11 FA02 FA03 FA04 FA06 FA08 FA15 FA18 GA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性基板上に、透明電極、光活性層と
    なる半導体層及び裏面電極層をこの順序で形成した集積
    型光起電力装置であって、前記裏面電極層は前記半導体
    層に近い側から透明導電膜と金属膜とが積層され、かつ
    その透明導電膜中にはシリコンまたはナトリウムの中か
    ら選ばれる1つ以上の元素がドープされていることを特
    徴とする集積型光起電力装置。
  2. 【請求項2】 前記裏面電極層の透明導電膜中のシリコ
    ンのドープ量は1at.%以上10at.%以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の集積型光起電力装
    置。
  3. 【請求項3】 前記裏面電極層の透明導電膜中のナトリ
    ウムのドープ量は1at.%以上8at.%以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の集積型光起電力装
    置。
  4. 【請求項4】 透光性基板上に、透明電極、光活性層と
    なる半導体層及び裏面電極層をこの順序で形成し、レー
    ザパターニングにより各々の膜を分離する集積型光起電
    力装置の製造方法であって、前記光起電力層となる半導
    体層上にシリコンまたはナトリウムの中から選ばれる1
    つ以上の元素がドープされた透明導電膜を形成し、この
    透明導電膜上に金属膜を積層して裏面電極層を形成した
    後、レーザパターニングにより裏面電極層及び半導体層
    を分離することを特徴とする集積型光起電力装置の製造
    方法。
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WO2008065970A1 (fr) * 2006-11-30 2008-06-05 Sanyo Electric Co., Ltd. Module de cellule solaire et procédé de fabrication de module de cellule solaire
WO2010090101A1 (ja) * 2009-02-06 2010-08-12 株式会社カネカ 薄膜光電変換装置およびその製造方法

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