JP2002270801A - 半導体基板の製造方法及び半導体基板 - Google Patents

半導体基板の製造方法及び半導体基板

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JP2002270801A
JP2002270801A JP2001070441A JP2001070441A JP2002270801A JP 2002270801 A JP2002270801 A JP 2002270801A JP 2001070441 A JP2001070441 A JP 2001070441A JP 2001070441 A JP2001070441 A JP 2001070441A JP 2002270801 A JP2002270801 A JP 2002270801A
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Nobuhiko Sato
信彦 佐藤
Kiyobumi Sakaguchi
清文 坂口
Satoo Kakizaki
恵男 柿崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高濃度に不純物の添加された第1の半導体基
板101に形成する第2のエピタキシャル成長層105
の不純物濃度を均一に制御する。 【解決手段】 第1の半導体基板101を用意する
(a)。第1の半導体基板101の表面に多孔質層10
2を形成する(b)。多孔質層102上に非多孔質単結
晶シリコン層103を形成する(c)。第1の半導体基
板101の裏面にバックシール膜104を形成する
(d)。非多孔質単結晶シリコン層103上に、エピタ
キシャル成長層105を形成する(e)。エピタキシャ
ル成長層105に第2の半導体基板106を絶縁物層1
07を介して貼り合わせる(f)。多孔質層102を露
出させる。残りの不要な多孔質層102を除去する
(g)。非多孔質単結晶シリコン層103の表面を平滑
化する(i)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体基板の製造
方法及び半導体基板に関し、特に、単結晶層が形成され
る半導体基板の製造方法及び半導体基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体集積回路(IC)、およ
び、大規模半導体集積回路(LSI)において、絶縁層
によって素子間を電気的に分離してなるSOI(Silico
n-on-insulator)構造がある。かかる構造を有するウエ
ハは、SOIウエハと呼称され、各種方法により、作製
されている。
【0003】SOIウエハは、それまでのpn接合によ
って素子を分離する方法に比べ、素子の間を絶縁体で隔
てているため、近接して素子を作成してもリーク電流
(漏れ電流)が流れにくいというメリットがあり、動作
速度の向上やLSIの高密度化、低消費電力を実現する
ことができる。特に比較的高電圧で使用するLSIの性
能向上に効果が大きい。
【0004】SOIウエハを作製する方法の1つとし
て、貼り合わせ法がある。その一つとして、以下の作製
手法が報告され、この手法により作製されたSOIウエ
ハが市販されている。報告は、以下に詳しい (T. Yoneh
ara, et al. Appl. Phys. Lett. 64 (1994) 2108.)、
(K. Sakaguchi, et al. IEICE Trans. Electronics, E8
0-C, 378 (1997))。
【0005】このような方法は、ELTRAN法(Epit
axial Layer Transfer)と呼称されている。
【0006】図4は、従来の半導体基板の概略的な製造
工程図である。まず、概ね1×10 18cm-3程度のボロ
ン濃度、比抵抗として0.01〜0.02Ωcm程度の
ボロンドープのP型高濃度基板などを第1の半導体基板
401として用意する。
【0007】第1の半導体基板401の表面を、HFな
どを含む溶液中で陽極化成法などにより多孔質化するこ
とで、多孔質層402を形成する。そして、多孔質層4
02に上に非多孔質単結晶シリコン層をエピタキシャル
成長することで、エピタキシャル成長層405を形成す
る(図4(a))。
【0008】つづいて、シリコン基板又は石英基板等の
第2の半導体基板406を用意する。また、第1,第2
の半導体基板401,406のいずれか側に、酸化シリ
コン等の絶縁物層407を形成し、両表面を清浄にした
後、密着させる。(図4(b))。
【0009】その後、熱処理等により、貼り合わせ面の
接着強度を高める。この後、第1の半導体基板401を
例えば裏面から薄膜化することにより除去して、多孔質
層402を露出させる(図4(c))。
【0010】そして、第2の半導体基板406側に残存
する多孔質層402をエッチングなどにより除去する。
なお、多孔質層402をエッチングにより除去すると多
孔質層402の表面が荒れるので、水素中で熱処理する
ことにより、平滑化する。
【0011】この結果、第2の半導体基板406には、
絶縁物層407上に単結晶シリコン層が配置された構
造、すなわち、SOI構造が形成される。(図4
(e))。
【0012】ここで、SOI層の不純物の導電型や比抵
抗は、主としてエピタキシャル成長時などに、第1の半
導体基板401や多孔質層402からエピタキシャル成
長層405へ固相拡散する不純物量や、拡散幅により決
定されるので、これらが所要のものになるように制御す
る必要がある。
【0013】ところで、第1の半導体基板401として
ボロンドープのP型高濃度基板を使用する際には、多孔
質層402の孔壁中に残存するボロンがエピタキシャル
成長層405に高濃度で拡散してしまうが、多孔質層4
02を除去した後に、水素中熱処理を施すことにより、
ボロンを外方拡散して残存するボロンの濃度を低下して
いる(N. Sato et al. Appl. Phys. Lett. 65 (1994) 1
924)。
【0014】なお、第1の半導体基板401としてp型
又はn型不純物濃度の低いシリコン基板を使用すると、
多孔質層402の多孔度が高まり、孔壁も数nm以下と
薄くなり過ぎて構造が脆弱化し、多孔質層を形成した直
後に行われる乾燥工程において、液体の表面張力によっ
て多孔質層が崩壊したり、後の熱処理での構造変化が著
しく、ELTRAN工程の多孔質シリコン層の選択エッ
チングに適さないことがあるので、あまり好ましくな
い。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術
は、第1の半導体基板401上にエピタキシャル成長層
405を、特にCVD法により形成すると、オートドー
ピングと称される、エピタキシャル成長層への意図しな
い不純物の混入が生じることがあり、エピタキシャル成
長層405の不純物濃度が均一にならない場合があっ
た。
【0016】この不純物は、第1の半導体基板401か
らの固相拡散や、第1の半導体基板401の周縁、裏
面、ないしエピタキシャル成長装置の炉壁に付着等した
不純物から気相を介して混入されることが多い。このた
め、エピタキシャル成長層405に混入した不純物は多
孔質層からの固相拡散により多孔質層402との界面側
でより濃度が高く、気相を介した混入の結果、基板の周
縁部でより濃度が高い。また概ねエピタキシャル成長層
405の厚みによる依存性が小さい。
【0017】このうち、第1の半導体基板401による
不純物は、エピタキシャル成長層405を形成後に熱処
理温度を、例えば900℃以下、好ましくは800℃以
下のように低く保てば、第1の半導体基板401から固
相拡散層の幅(厚さ)は大きくないので、多孔質層40
2を除去した後に、拡散層部分だけを除去すれば影響が
なくなる。
【0018】一方、第1の半導体基板401の周縁等に
よる不純物は、第1の半導体基板401の裏面に酸化シ
リコン膜等の不純物の拡散障壁となる被膜である「バッ
クシール膜」を形成することで影響がなくなると考えら
れるが、エピタキシャル成長層405の形成に先立っ
て、又は陽極化成により多孔質層を形成した以後、エピ
タキシャル成長以前にバックシール膜を形成すること、
あるいは、バックシール膜を形成した後に多孔質層を形
成することは一般的に採用することが困難である。
【0019】これは、バックシール膜を形成してから、
多孔質層402を陽極化成法により形成しようとすれ
ば、バックシール膜に酸化シリコン膜を用いるとバック
シール膜が陽極化成中に溶解するし、溶解防止のためS
iNx膜などの絶縁体を用いると電極を確保することが
できないからである。
【0020】さらに、バックシール膜の材料として、例
えば多結晶シリコン膜のように不純物濃度の低い、すな
わち抵抗率の低くないものを用いた場合には、第1の半
導体基板401の裏面でのショットキー障壁が高く、す
なわち接触電位が高くなり好適でないからである。
【0021】また、多孔質層形成後にバックシール膜を
形成する場合、熱処理を伴えば、多孔質層402に酸化
などの構造変化が生じ、その結果、エピタキシャル成長
層405の品質が低下したり、多孔質層の選択エッチン
グ性が低下したり、膜厚が所要の厚さにならない場合が
ある。
【0022】そこで、本発明は、バックシール膜の形成
の仕方を工夫して、上記問題が生じないようにしつつ、
オートドーピングの発生を防止することを課題とする。
【0023】すなわち、本発明は、高濃度に不純物の添
加された基板に形成するエピタキシャル成長層である第
2の単結晶層の不純物濃度を均一に制御することを課題
とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の半導体基板の製造方法は、基板の一方の面
に形成している多孔質層上に第1単結晶層を形成した状
態で、該基板の他方の面にバックシール膜を形成し、そ
れから、前記第1単結晶層上に第2単結晶層を形成す
る。
【0025】また、本発明の半導体基板は、一方の面に
単結晶層が形成され、他方の面に前記単結晶層への不純
物の混入を防止するバックシール膜が形成されている。
【0026】すなわち、本発明は、露出していた多孔質
層を第1単結晶層で被膜してからバックシール膜を基板
に形成することで、多孔質層の酸化等の変質を防止し
て、第2単結晶層の結晶品質や表面性の劣化を抑制す
る。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0028】図1は、本発明の実施形態の半導体基板の
概略的な製造工程図である。
【0029】まず、概ね5×1018cm-3程度のボロン
濃度、比抵抗として0.01〜0.02Ωcm程度のボ
ロンドープのP型高濃度基板などの第1の単結晶シリコ
ン基板を第1の半導体基板101として用意する(図1
(a))。
【0030】つづいて、第1の半導体基板101の表面
を、HFなどを含む溶液中で陽極化成法などにより多孔
質化することで、多孔質層102を形成する(図1
(b))。
【0031】つぎに、多孔質層102上に非多孔質単結
晶シリコン層103を形成する(図1(c))。
【0032】つぎに、第1の半導体基板101の裏面に
バックシール膜104を形成する(図1(d))。
【0033】つぎに、非多孔質単結晶シリコン層103
上に、エピタキシャル成長層105を形成する(図1
(e))。
【0034】つぎに、エピタキシャル成長層105に第
2の半導体基板106を酸化シリコン等の絶縁物層10
7を介して貼り合わせる(図1(f))。
【0035】つぎに、第1の半導体基板101を除去し
たり、多孔質層102で第1,第2の半導体基板10
1,106側をそれぞれ分離することで多孔質層102
を露出させる(図1(g))。
【0036】それから、残りの不要な多孔質層102を
エッチング、研磨などにより除去する(図1(h))。
【0037】その後、必要に応じて非多孔質単結晶シリ
コン層103の表面を平滑化する。こうして、SOIウ
エハが製造される(図1(i))。
【0038】以下、図1に示した各工程に関して詳述す
る。
【0039】「図1(a)について」第1の半導体基板
101は以下の要件を満たしていればよい。すなわち、
(1)単結晶であること。
【0040】また、以下の要件を備えていればより好ま
しい。すなわち、(2)エピタキシャル成長層に結晶欠
陥等のイレギュラリティが導入されない程度に高品質で
あること。(3)半導体であること。
【0041】さらに、好ましくは、(4)シリコンであ
ること。
【0042】したがって、第1の半導体基板101は、
p型でもn型でもよい。また、第1の半導体基板101
は、シリコンウエハ等の市販品であってもよく、また一
旦SOI基板を形成した後に残る基板を再度使用しても
よい。
【0043】さらに、第1の半導体基板101の不純物
の種類、濃度は陽極化成工程に影響を及ぼさない範囲で
あれば、特に限定されないが、多孔質層102の形成時
の裏面側の抵抗率は低い方が好ましいので、抵抗率にす
れば、概ね0.1Ωcm以下であるとよい。
【0044】「図1(b)について」まず、多孔質シリ
コンについて説明する。多孔質シリコンは、1950年
代に発見されたものであり(A.Uhlir: Bell System Tec
h. J. 35, 333 (1956).)、(D. R. Turner: J. Electr
oche. Soc. 105, 402 (1958).)、その構造は、10 -1
〜10nm程度の直径の孔が10-1nm〜10nm程度
の間隔で、表面から内部に向かって進行したスポンジ状
であり、内部の表面積は、およそ200m2/cm3であ
る。孔壁はもとの結晶性を維持し、単結晶である。
【0045】ここで、陽極化成を行う際には、第1の半
導体基板101の表面側と裏面側との溶液をウエハ支持
材等で電気的に分離することが必要である。さもない
と、溶液の電気抵抗が低いことによって短絡路ができる
と、こちらに優先的に電流が流れ、電流密度の分布が均
一でなくなり、多孔質層102の短絡路付近が薄くなる
場合があるからである。
【0046】多孔質層102は、図1(g)に示す工程
で分離に使用する場合には、一部を機械的に脆弱なもの
にしておくとよい。多孔質シリコン層の密度は、HF溶
液濃度やアルコール添加比率や電流密度を変化させるこ
とで2.1g/cm3〜0.6g/cm3の範囲に変化さ
せることができるので、このような手法により脆弱なも
のにすればよい。
【0047】なお、多孔質層102の全体を脆弱にする
と、多孔質層102上に形成するエピタキシャル成長層
103の結晶品質等に影響が出る場合があるのであくま
で一部だけを脆弱にする。
【0048】ちなみに、多孔質層102の表面の多孔度
が、概ね40%以下、より好ましくは25%以下、脆弱
部分の多孔度が、それ以外の部分の多孔度よりも高く、
上限が概ね70%、より好ましくは上限が60%になる
ようにするとよい。また、高多孔度の部分の厚みは、分
離位置を限定するために概ね1μm以下、より好ましく
は0.5μm以下とするとよい。
【0049】多孔質層102は、第1の半導体基板10
1の表面の全てに形成することが好ましいので、例えば
多孔質層102を形成する際に、第1の半導体基板10
1の端面又は裏面の外周部で第1の半導体基板101を
保持し表面側の電解液が裏面側に回り込んだり、あるい
は、裏面側の電解液と導通しないようにする。
【0050】なお、第1の半導体基板101の裏面側に
も多孔質層102が形成された場合には、その多孔質層
102上にも、非多孔質単結晶シリコン層103を形成
すればよい。
【0051】多孔質層102は、1000以上の熱処理
がされると、内部の孔の再配列が起こり、構造変化が生
じるので、これを抑制するために、300℃〜500℃
の酸素雰囲気中の熱処理で、酸化シリコン、窒化シリコ
ンなどの保護膜を、孔壁に概ね2〜10nmの厚さで形
成することが好ましい。なお、保護膜は、多孔質層10
2の表面に付着した場合に除去できることが望ましい。
【0052】また、多孔質層102の表面は平滑である
ことが好ましい。そうでないと、N.Sato et al. 1998 I
EEE Int. SOI Conf. Proc. (Stuart, FL. USA, 199
8) p. 13に記載しているように、エピタキシャル成長層
105の結晶品質や、膜厚等の制御にも影響を及ぼすこ
とがあるからである。
【0053】「図1(c)について」多孔質層102
は、単結晶性が維持されているので、この上に非多孔質
単結晶シリコン層103などの非多孔質単結晶層をエピ
タキシャル成長させることが可能である。
【0054】エピタキシャル成長には、上記保護層を形
成していない場合には、多孔質層102の構造変換が生
じないように、熱CVD、分子線エピタキシャル成長、
プラズマCVD、減圧CVD法、光CVD、バイアス・
スパッター法、液相成長法等のように、どちらかといえ
ば低温で成長することが好適とされている。
【0055】ここで、非多孔質単結晶シリコン層103
は、ホモエピタキシャル成長、ヘテロエピタキシャル成
長のいずれでもよく、前者の場合多孔質層102の材料
にシリコンを用い、後者の場合SiGe、SiCのよう
なIV族化合物半導体、あるいは、GaAs,GaP、
InP等のIII−V、II−VI族化合物半導体層を
用いる。
【0056】非多孔質単結晶シリコン層103は、少な
くとも多孔質シリコンの孔が封止されるまで堆積する必
要がある。具体的には、概ね多孔質シリコンの孔径以上
の厚さである。第1の半導体基板101としてP+基板
(比抵抗0.01Ωcm〜0.02Ωcm)を用いる場
合には、概ね10nm以上の厚さである。
【0057】加えて、バックシール膜104を熱酸化法
で形成する場合には、酸化膜形成に伴う消費分、バック
シール膜104の形成後、エピタキシャル成長層105
を形成前の洗浄工程、又はエピタキシャル成長層105
を形成する前の水素プリベーク処理等の消費分を含めた
厚さで非多孔質単結晶シリコン層103を形成する。
【0058】非多孔質単結晶シリコン層103は、表面
に低多孔度の多孔質層を形成することによって、結晶性
と表面ラフネス(Surface Roughness)とが著しく向上
する。結晶性は第1の半導体基板101上に形成される
電子デバイスの特性はもとより、歩留まりに大きく影響
する。
【0059】例えば、多孔度50%の多孔質層102上
のエピタキシャル成長層105の結晶欠陥が1×105
/cm2ある場合、同じ成長条件で多孔度20%の多孔
質層102上のエピタキシャル成長層105の結晶欠陥
は5×103/cm2と1桁半も異なる。
【0060】また、表面ラフネスは50μm角の領域に
おける原子間力顕微鏡での測定において、平均二乗粗さ
Rrmsはそれぞれ1.2nmと0.3nmと大きく異
なる。表面ラフネスが大きいと貼り合わせ工程において
不利であるので、上記のように低多孔度の多孔質層を形
成する。
【0061】「図1(d)について」バックシール膜1
04は、第1の半導体基板101に含有されるp型又は
n型不純物の拡散バリアとなることが求められる。この
条件を満たす材料は、例えば、酸化シリコン、窒化シリ
コン、多結晶シリコンなどが挙げられるが、特にこれに
限定されるものではない。
【0062】形成方法は、例えば熱酸化法による酸化シ
リコン形成や、プラズマ化学気相成長法(Chemical Vap
or Deposition:以下、「CVD」と称する)等での酸
化シリコン膜或いは窒化シリコン膜形成、又はLPCV
D法等による多結晶シリコン形成などが挙げられる。
【0063】拡散バリアとしての機能するためには、バ
ックシール膜104中の拡散係数が第1の半導体基板1
01中に比べて小さいこと、又はバックシール膜104
の表面での脱離係数が、第1の半導体基板101の表面
より小さいことが必要である。こうすれば、エピタキシ
ャル成長層105を形成する際に、第1の半導体基板1
01の裏面より気相中に脱離する不純物の量が、バック
シール膜104を形成しない場合と比べて抑制されるか
らである。
【0064】バックシール膜104の厚みは、バックシ
ール膜104の表面の不純物濃度が、第1の半導体基板
101の裏面より小さく抑制できるような厚さであれば
よい。なお、一般に、この厚みは拡散係数に応じて変え
ることができ、拡散係数が小さい場合には、薄くするこ
とができる。
【0065】バックシール膜104の形成時に、第1の
半導体基板101の表面に搬送部材が接触するような場
合には、この表面をあらかじめレジスト等被覆したり、
付着した異物を除去する洗浄を行うことが好ましい。
【0066】バックシール膜104は、第1の半導体基
板101の裏面にのみ形成すればよい。そのため、第1
の半導体基板101の表面にも形成された場合には堆積
膜のエッチング液を噴射するなどして除去する。この
際、第1の半導体基板101の裏面側には非エッチング
液として、純水、アルコール、その他の不活性の溶液を
噴射し、表面に噴射するエッチング液の裏面への回りこ
みを阻止するとよい。
【0067】あるいは、あらかじめ第1の半導体基板1
01の裏面側にのみフォトレジスト等の保護膜を形成し
たのち、エッチング液を第1の半導体基板101の表面
側に噴射する、あるいは、エッチング液に浸漬すること
によってもよい。
【0068】あるいは、第1の半導体基板101の表面
側のみを、反応性イオンエッチング(RIE)等のガス
エッチングに曝し、第1の半導体基板101の表面側の
バックシール膜104を除去してもよい。
【0069】いずれにしても、第1の半導体基板101
の表面にバックシール膜104が形成されていると、バ
ックシール膜104が単結晶膜で無い限りは、エピタキ
シャル成長層105を形成するのが困難であるので、第
1の半導体基板101の表面にもバックシール膜104
が形成された場合には、それを除去する。
【0070】ちなみに、現在市販されている装置のほと
んどは、第1の半導体基板101の表面に傷や異物を残
すことなく第1の半導体基板101の裏面にのみ、バッ
クシール膜104を堆積させることが困難であるので、
第1の半導体基板101の全面にバックシール膜104
を形成した後に、第1の半導体基板101の表面の少な
くとも一部に形成されてしまったバックシール膜104
を除去するか、予め保護膜を形成する。
【0071】「図1(e)について」エピタキシャル成
長は、ホモエピタキシャル成長、ヘテロエピタキシャル
成長のいずれでもよい。選択可能な材料は、非多孔質単
結晶シリコン層103の場合と同様である。
【0072】「図1(f)について」絶縁物層107
は、第1,第2の半導体基板101,105の少なくと
もいずれか一方に形成すればよい。
【0073】また、第2の半導体基板105の材料は、
シリコンのみならず、光透過性基板として石英ウエハ、
あるいは、キャスト法などで形成した多結晶シリコンで
形成した基板、高融点ガラス、GaAsなどの化合物半
導体基板であってもよい。表面は平滑、平坦な鏡面であ
ることが貼り合わせに際して好適である。
【0074】貼り合わせ工程は、ゴミ、ちり等が貼り合
わせ面に付着することで未接着領域が生じることを防ぐ
ために、例えば半導体プロセスで通常用いられるような
洗浄工程を経ることにより、付着したちり、ゴミを除去
し、有機物や金属汚染物を除去したのち、クリーンルー
ムで行なわれることが望ましい。
【0075】また、本実施形態では、多孔質層102に
含まれるp型又はn型不純物が、エピタキシャル成長層
105へ固相拡散するのを抑制するため、貼り合わせ強
度を強化する目的で行う熱処理を低温化することが好ま
しい。
【0076】この場合、貼り合わせ面に、予めプラズマ
(窒素、酸素、アルゴン等)、又はイオン(窒素、酸
素、アルゴン等)を照射し、その後、純水などにつける
ことで、高湿度雰囲気下に曝すなどにより、活性化され
た表面原子に水分子を吸着させて、表面原子を活性化す
ることが有効であり、1000℃以上といった高温の熱
処理を必ずしも必要としなくてすむようになる。
【0077】貼り合わせに必要な熱処理は、表面粗さ等
によっても、影響を受けるが、概ね200℃以上、より
好ましくは、400℃以上である。
【0078】「図1(g)について」多孔質層102を
露出させるためには、第1の半導体基板101の裏面側
より多孔質層102が表出するまで、エッチング、研
削、ラッピング、研磨又はそれらの組み合わせ等の手法
で除去したり、第1,第2の半導体基板101,106
に圧縮、引っ張りあるいは揃断力をかけたり、ウォータ
ージェット等の流体くさびや、超音波の振動エネルギー
によって多孔質層102を破壊することで分離する。
【0079】多孔質シリコンは、ポロジティーを増加さ
せればより弱い力で多孔質層102を破壊できる。機械
的強度はポロジティーにより異なるが、バルクシリコン
よりも弱いと考えられる。たとえば、ポロジティーが5
0%であれば機械的強度はバルクの半分と考えてよい。
【0080】なお、分離の方法については、以下に詳し
い(K. Sakaguchi, et al. Proc. ofthe 9th Int. Symp
on Silicon-on-insulator tech. And devices, PV99-3
(The Electrochemical Society, NJ, USA, 1999) p. 11
7.)、(K. Sakaguchi, et al. 1999 IEEE Int. SOI C
onf. Proc. (Pohnert Park, CA, USA, 1999) p. 11
0.)。
【0081】「図1(h)について」多孔質層102
は、上記のように孔が複数形成されているので、体積に
比べて表面積が飛躍的に増大している。またシリコンは
極薄な壁としてしか存在しない。そのため、その化学エ
ッチング速度は、エッチング液の毛細管現象による染み
込みとあいまって、通常の単結晶層のエッチング速度に
比べて、著しく増速される。
【0082】例えば、エッチング選択比10万倍であれ
ば、10μmの厚さの多孔質層102をエッチングする
間に非多孔質単結晶シリコンは、0.1nmの厚さしか
エッチングされない。これは、多孔質シリコンのエッチ
ング機構として、エッチング液が多孔質シリコンの孔の
中に染み込んだ後、孔壁をエッチングするモードが支配
的になる、一方、非多孔質シリコンの場合には、このよ
うなエッチングモードは存在せず、表面からのエッチン
グのみだからである。
【0083】ちなみに、選択エッチングを、例えばふっ
酸と過酸化水素水との混合水溶液を用いて行うと、多孔
質層102が非多孔質シリコンに対して、およそ10万
倍の選択比で行うことができる。混合水溶液には、エッ
チング中にエッチング面に付着する気泡を除去するため
に、アルコール等の界面活性材を添加してもよい。
【0084】第1の半導体基板101を再利用する場合
には、こちら側にも多孔質層102の除去工程を施す。
【0085】「図1(i)について」非多孔質単結晶シ
リコン層103の平滑化は、例えば水素雰囲気等の還元
性雰囲気での熱処理、研磨やエッチング、あるいは、エ
ピタキシャル成長等の方法で行う。この熱処理により、
例えば、原子間力顕微鏡で観察される平均二乗粗さ10
nmの表面が市販のシリコンウエハ並に平滑化される。
【0086】なお、平滑化については、N. Sato et al.
Appl. Phys. Lett. 65 (1994) 1924.や、特開平5−2
17821号公報に記載されている。
【0087】この際、膜厚の減少量は、例えば0.08
nm/minであり、1時間の処理を行なっても、せい
ぜい4.8nmとなる。通常のシリコンウエハの厚みで
ある500μm〜750μmに対して、10万分の1以
下で無視できる。
【0088】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を用いて
説明する。
【0089】(実施例1)図2は、本発明の実施例1の
半導体基板の概略的な製造工程図である。本実施例で
は、MOSFET用に用いられるP on P+エピタキ
シャル基板と同様の半導体基板の製造方法について図2
を用いて説明する。
【0090】[多孔質シリコン層202の形成]本実施
例では、まず、比抵抗0.015Ωcmとなるようにボ
ロンをドープした8インチp型(100)単結晶シリコ
ン基板201を用意した(図2(a))。
【0091】それから、エピタキシャル層を形成した、
HFとエタノールとの混合溶液中において陽極化成を行
った。陽極化成条件は以下の通りであった。
【0092】 電流密度: 7(mA・cm-2) 陽極化成溶液: HF:H2O:C25OH=1:1:1 時間: 10(min) この陽極化成により、ポロジティおよそ20%の多孔質
シリコン層202が10μmの厚みで形成された(図2
(b))。
【0093】なお、多孔質シリコン層202の膜厚は、
光干渉式膜厚測定装置(ナノスペックM5100)及び
分解能走査型電子顕微鏡による断面観察により確認し
た。
【0094】[単結晶シリコン層203の形成]この
後、1.25%のHF水溶液に30秒漬けて、多孔質シ
リコン層202の表面に形成された極薄酸化シリコン膜
を除去し、枚葉式エピタキシャル成長装置に入れCVD
法により単結晶シリコン層203を130nmの厚さに
なるようにエピタキシャル成長した(図2(c))。
【0095】単結晶シリコン層203の成長条件は以下
の通りであった。
【0096】水素ベーク 水素流量: 43l/min ガス圧力: 600Torr 温度: 950℃ エピタキシャル成長 ソースガス: SiHCl2/H2 ガス流量: 0.1/22l/min ガス圧力: 80Torr 温度: 900℃ 成長速度: 0.15μm/min 単結晶シリコン層203は、多孔質シリコン層202上
に形成されているため、可視光を用いる光干渉式膜厚測
定装置で容易に測定できた。
【0097】[酸化シリコン膜204の形成]つぎに、
単結晶シリコン基板201をシリコン半導体プロセスで
一般的な薬液洗浄方法で洗浄し、異物等を除去したの
ち、このエピタキシャルシリコン層表面に800℃で、
パイロジェニック方式の熱酸化により50nmの厚さの
酸化シリコン膜204を形成した(図2(d))。
【0098】熱酸化処理は、縦型熱処理装置でウエハを
ウエハ外周4点で支持する方式のため、単結晶シリコン
基板201の裏面はほぼ雰囲気に曝されている。
【0099】酸化シリコン膜204は単結晶シリコン基
板201の裏面ほぼ全面に均一に形成された。また、熱
酸化法における膜厚増加速度は、酸化初期を除けば、酸
素や水の形成された酸化シリコン膜204中の拡散速度
に律速されるため、単結晶シリコン基板201の支持部
にも酸化膜がほぼ均一に形成された。
【0100】[単結晶シリコン基板201の表面側の酸
化シリコン膜204の除去]この後、単結晶シリコン基
板201を枚葉洗浄装置内で回転させながら、この裏面
に純水を噴射し、表面にバッファードフッ酸をおよそ8
0秒間噴射して単結晶シリコン基板201の表面の酸化
シリコン膜204を除去した(図2(e))。
【0101】その後、単結晶シリコン基板201の表面
にも純水を噴射することで第1の半導体基板101の全
体をリンスした。引き続いて、純水の噴射を停止し、単
結晶シリコン基板201の回転数を上げることでこれを
乾燥させた。
【0102】乾燥した単結晶シリコン基板201を枚葉
洗浄装置から取り出し、目視で観察したところ、裏面側
は均一な干渉色が見られ、バッファードフッ酸が裏面側
に回りこんで酸化膜をエッチングしていないことが確認
された。
【0103】また、単結晶シリコン基板201を切断
し、この端部の断面をSEMにて観察したところ、酸化
シリコン膜204は、基板周縁部であるべべリングの部
分のちょうど中央ぐらいに残留していた。酸化シリコン
膜104はSEM中でシリコンと比べ、白く見えるた
め、容易に識別可能である。
【0104】また、多孔質シリコン層202上には、単
結晶シリコン膜203が残っていることが確認された。
この後、光干渉式膜厚測定装置で、単結晶シリコン膜2
03の膜厚を測定したところ、100nmであった。5
0nmの厚さで酸化シリコン膜204を形成すると単結
晶シリコン膜203は概ね25nmが消費される。単結
晶シリコン膜103の厚さは、もともと130nmであ
ったから、5nmは酸化前の洗浄工程でエッチングされ
たと考えられる。
【0105】[エピタキシャル成長層205の形成]次
に再び、単結晶シリコン層203の表面を洗浄したの
ち、枚葉式エピタキシャル成長装置に基板を設置し、C
VD法によりエピタキシャル成長し、エピタキシャル成
長層205を形成した。単結晶シリコン層203とエピ
タキシャル成長層205との各厚さの合計が3μmにな
るようにした(図2(f))。
【0106】成長条件は以下の通りであった。
【0107】水素ベーク 水素流量: 22l/min ガス圧力: 80Torr 温度: 950℃ エピタキシャル成長 ソースガス: SiH2Cl2/H2 ドーピングガス: ジボラン ガス流量: 0.1/22l/min ガス圧力: 80Torr 温度: 900℃ 成長速度: 0.3μm/min ジボランを添加し、エピタキシャル成長層205の比抵
抗が10Ωcmになるようにした。比抵抗値は、別に用
意した多孔質シリコン上に形成したエピタキシャル成長
層について、拡がり抵抗法の測定を行い、この測定値に
より決定した。
【0108】膜厚測定を行うと、エピタキシャル成長層
205の厚みは、酸化シリコン膜204の形成前に成長
した分の厚さも合わせて、3μmであった。
【0109】[評価]また、SIMS法でボロンの濃度
を基板中央と外周5mmの位置において、測定したとこ
ろ、いずれもエピタキシャル成長層205中では、ボロ
ンが1.3×1015/cm3であった。すなわち、単結
晶シリコン基板201に高濃度にドープされているボロ
ンのオートドープは抑制されており、p型ドーパントた
るボロンは面内で均一に添加されていることがわかっ
た。
【0110】このようにして、形成した半導体基板は、
MOSFET用に用いられるP on P+エピタキシャ
ル基板同様に使用することが可能である。しかも、多孔
質シリコン層202は遷移金属等のゲッタリングサイト
として作用するので、デバイスプロセス中の突発的な汚
染に対しても耐性が高く、デバイス歩留まりを高く維持
することが可能である。
【0111】[比較例]比較例として、酸化シリコン膜
204を形成しないようにし、最終的なSOIウエハの
エピタキシャル成長層205の厚さを本実施例のものと
同じになるようにし、後は本実施例の製造方法と同様と
してSOIウエハを製造した。
【0112】また、SIMS法でボロンの濃度を基板中
央と外周5mmの位置において、測定したところ、いず
れもエピタキシャル成長層205中では、ウエハ中央
で、ボロンが1.5×1015/cm3で、外周では、
2.2×1015/cm3あった。これはそれぞれ、9Ω
cm、5.5Ωcmに相当する。すなわち、エピタキシ
ャル成長層の比抵抗は、単結晶シリコン基板201に高
濃度にドープされているボロンのオートドープの影響を
受け、p型ドーパントたるボロンは面内で均一に添加さ
れていなかった。
【0113】これは、バックシール膜104を形成して
いないために、エピタキシャル成長時にウエハ外周で、
ボロンのオートドーピング顕著であるためと考えられ
る。
【0114】(実施例2)図2,図3は、本発明の実施
例2の半導体基板の概略的な製造工程図である。図2,
図3を用いて本実施例の半導体基板の製造方法について
説明する。
【0115】まず、実施例1と同様の条件で6インチ
(100)単結晶シリコン基板201に形成した多孔質
層202、単結晶シリコン層203、酸化シリコン膜2
04を形成した(図2(a)〜図2(e))。
【0116】ただ、多孔質層202の熱処理による構造
変化を抑制するために、図2(b)示す工程で、このウ
エハを400℃、酸素雰囲気中で1時間処理した。こう
して、孔壁に保護膜を形成した。
【0117】[エピタキシャル成長層205の形成]次
に、単結晶シリコン層203の表面を洗浄したのち、枚
葉式エピタキシャル成長装置に基板を設置し、CVD法
によりエピタキシャル成長し、エピタキシャル成長層2
05を形成した。単結晶シリコン層203とエピタキシ
ャル成長層205との各厚さの合計が1.1μmになる
ようにした(図2(f))。
【0118】成長条件は以下の通りであった。
【0119】水素ベーク 水素流量: 22l/min ガス圧力: 80Torr 温度: 950℃ エピタキシャル成長 ソースガス: SiH2Cl2/H2 ドーピングガス: PH3 ガス流量: 0.1/22l/min ガス圧力: 80Torr 温度: 900℃ 成長速度: 0.3μm/min PH3を添加し、エピタキシャル成長層205の比抵抗
が5Ωcmになるようにした。
【0120】膜厚測定を行うと、エピタキシャル成長層
205の厚みは、バックシール膜204の形成前に成長
した分の厚さも合わせて、1.1μmであった。
【0121】[貼り合わせ]引き続いて、エピタキシャ
ル成長層205上に、酸化シリコン膜207を800℃
でパイロジェニック酸化して55nmの厚さになるよう
に形成した。また、別に用意した支持基板206の表面
にも膜厚455nm、パイロジェニック熱酸化法で酸化
シリコン膜207を形成した。そして、酸化シリコン膜
207を相互に貼り合わせた(図3(g))。
【0122】貼り合わせに先立って、各酸化シリコン膜
207の表面をシリコン半導体プロセスで用いる洗浄工
程を経た後、内壁を全て石英で被覆したRIE装置にお
いて、窒素プラズマを照射した。この後、純水に浸漬
し、スピンドライヤーで乾燥した後、重ね合わせ、密着
した。この後、400℃で360秒の熱処理を施し、接
着強度を高めた。
【0123】[多孔質シリコン層202の表出]つづい
て、貼り合わせウエハを多孔質シリコン層202の高多
孔度部分で分離した(図3(h))。
【0124】なお、この分離を実施形態で記載した各手
法を用いて行っても、同様に分離できた。
【0125】[多孔質シリコン層202の除去]引き続い
て、支持基板206側をHFと過酸化水素水との混合水
溶液に漬けたところ、およそ60分で表面に残留する多
孔質シリコン層202が除去された(図3(i))。
【0126】[単結晶シリコン層203の除去]SOIウ
エハの単結晶シリコン層203等に含まれるボロンの深
さ方向分布は、SIMS法で分析したところ、表面での
ボロン濃度が概ね3×1018/cm3で、80nmまで
の深さまで単調減少し、このときのSIMSの検出下限
5×1014/cm3以下となった。
【0127】SOIウエハを、アンモニアと過酸化水素
との混合溶液に浸漬し、単結晶シリコン層203等の表
面を100nmエッチングし、ボロンが高濃度に含まれ
る部分を除去した(図3(j))。
【0128】[エピタキシャル成長層205の表面平滑
化]次に水素雰囲気中、1100℃で1時間の熱処理を
施した。表面粗さは50μm角の領域での平均2乗粗さ
は0.2nmで通常市販されているSiウエハと同等で
あった。また、結晶欠陥密度は200個/cm2であっ
た。
【0129】こうして、酸化シリコン膜207上に低欠
陥密度の単結晶シリコン層であるエピタキシャル成長層
205が形成できた。
【0130】[評価]SOIウエハのエピタキシャル成長
層205の比抵抗を四探針法で多点測定した。測定点
は、ノッチを下にして、ウエハを原点したときのX軸、
およびY軸上において、原点たるウエハ中央から、2
5、50、60、65、70mmの位置とした。する
と、比抵抗値は、5Ωcm±0.3Ωcmに抑制されて
いることを確認した。
【0131】また、SIMS法でボロンと燐の濃度を測
定したところ、SOI層中では、ボロンがSIMSの検
出下限5×1014/cm3以下である一方、燐が1×1
15/cm3であった。従って、燐が主たるn型ドーパ
ントとして計算した比抵抗値と、四探針法の比抵抗測定
値が一致した。
【0132】ちなみに、本実施例では、貼り合わせウエ
ハを多孔質シリコン層202の高多孔度部分で分離する
工程を採用したが、単結晶シリコン基板201をエッチ
ング等によって除去した場合も同様の評価結果が得られ
た。
【0133】[比較例]比較例して、バックシール膜2
04を形成しないようにし、最終的なSOIウエハのエ
ピタキシャル成長層205の厚さを本実施例のものと同
じになるようにし、後は本実施例の製造方法と同様とし
てSOIウエハを製造した。上記と同様の手法により比
抵抗値を測定したところ、5Ωcm+9Ωcm/−0.
5Ωcmと比抵抗の面内分布が劣化していた。
【0134】いずれの測定部位においても、ウエハ外周
(概ね端から15mm程度の範囲)で比抵抗値がウエハ
周縁部に近づくに従い、上昇する傾向が見られた。これ
は、バックシール膜204を形成していないために、エ
ピタキシャル成長時にウエハ外周で、ボロンのオートド
ーピング顕著であるためと考えられる。
【0135】(実施例3)本発明の実施例3では、以下
の工程だけ実施例1と代えて、他の工程は実施例1と同
様としてSOIウエハを作製した。
【0136】[酸化シリコン膜204の形成]単結晶シ
リコン基板201をシリコン半導体プロセスで一般的な
薬液洗浄方法で洗浄し、異物等を除去したのち、表面に
フォトレジストを塗布した。
【0137】レジスト塗布工程では、レジストの塗布直
後に裏面にシンナー等の溶剤を噴射し、、単結晶シリコ
ン基板201の裏面に回りこんだレジスト材を溶解・除
去することにより、単結晶シリコン基板201の表面側
のみをレジスト材で被覆した。
【0138】次に、プラズマCVD法で単結晶シリコン
基板201の裏面側に50nmの厚さ酸化シリコン膜2
04を形成した。単結晶シリコン基板201の表面側は
プラズマに照射されず、基板支持材と接していた。この
とき、あらかじめ塗布したレジスト材が、単結晶シリコ
ン基板201の表面側に傷等が付くのを防いでいた。プ
ラズマCVD法で形成する膜は、SiNx、SiONで
あっても構わない。
【0139】[単結晶シリコン基板201の表面側の酸
化シリコン膜204の除去]酸化シリコン膜204を形
成後、有機溶剤、あるいは、およそ120℃に保った濃
硫酸と過酸化水素との混合液のいずれかに、単結晶シリ
コン基板201を浸漬し、レジスト材を溶解・剥離し
た。この結果、単結晶シリコン基板201の裏面側にの
み、酸化シリコン膜204が形成された構造が得られ
た。
【0140】単結晶シリコン基板201の表面側を異物
検査装置で検査したが、検出された異物の個数は、標準
粒子換算で直径0.16μm以上の異物で32個と、酸
化シリコン膜204を形成処理前の28個と遜色なかっ
た。
【0141】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明は、露出
していた多孔質層を第1単結晶層で被膜してからバック
シール膜を基板に形成することによって、オートドーピ
ングの発生を防止しているので、高濃度に不純物の添加
された基板に形成する第2の単結晶層の不純物濃度を均
一に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の半導体基板の概略的な製造
工程図である。
【図2】本発明の実施例1の半導体基板の概略的な製造
工程図である。
【図3】本発明の実施例2の半導体基板の概略的な製造
工程図である。
【図4】従来の半導体基板の概略的な製造工程図であ
る。
【符号の説明】
101 第1の半導体基板 102 多孔質層 103 非多孔質単結晶シリコン層 104 バックシール膜 105,205 エピタキシャル成長層 106 第2の半導体基板 107 絶縁物層 201 単結晶シリコン基板 202 多孔質シリコン層 203 単結晶シリコン層 204,207 酸化シリコン膜 206 支持基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柿崎 恵男 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5F045 AA03 AA06 AA08 AA11 AA19 AA20 AB02 AB03 AB32 AB33 AC05 AD13 AE25 AF01 AF03 BB04 CA05 EB13 EB15 GH08 HA01 HA04 HA14 HA16 5F052 KB04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の一方の面に形成している多孔質層
    上に第1単結晶層を形成した状態で、該基板の他方の面
    にバックシール膜を形成し、 それから、前記第1単結晶層上に第2単結晶層を形成す
    ることを特徴とする半導体基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記バックシール膜は、熱酸化法又は化
    学気相成長法で形成することを特徴とする請求項1記載
    の半導体基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記バックシール膜は、前記基板の他方
    の面のみならず前記第1単結晶層上にも酸化物を形成
    し、該第1単結晶層上の酸化物を除去することで形成す
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体基板の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2単結晶層に絶縁層を介して前記
    基板と異なる他の基板を貼り合わせた後に、前記基板、
    前記多孔質層及び前記第1単結晶層を除去することを特
    徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の半導体基
    板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記基板は、高濃度不純物ドープ半導体
    単結晶基板であることを特徴とする請求項1から4のい
    ずれか1項記載の半導体基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第1及び第2単結晶層は、非多孔質
    単結晶層であることを特徴とする請求項1から5のいず
    れか1項記載の半導体基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記基板、前記多孔質層及び前記第1単
    結晶層を除去した後に、前記第2単結晶層の表面を平滑
    化していることを特徴とする請求項4から6のいずれか
    1項記載の半導体基板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第2単結晶装置の表面の平滑化は、
    水素中熱処理によって行っていることを特徴とする請求
    項7に記載の半導体基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 一方の面に単結晶層が多孔質層上に形成
    され、他方の面に前記単結晶層への不純物の混入を防止
    するバックシール膜が形成されていることを特徴とする
    半導体基板。
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