JP2002270367A - 光機能素子、有機el素子および有機el表示装置 - Google Patents

光機能素子、有機el素子および有機el表示装置

Info

Publication number
JP2002270367A
JP2002270367A JP2001071799A JP2001071799A JP2002270367A JP 2002270367 A JP2002270367 A JP 2002270367A JP 2001071799 A JP2001071799 A JP 2001071799A JP 2001071799 A JP2001071799 A JP 2001071799A JP 2002270367 A JP2002270367 A JP 2002270367A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
organic
light
light emitting
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001071799A
Other languages
English (en)
Inventor
Ichiro Takayama
一郎 高山
Michio Arai
三千男 荒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2001071799A priority Critical patent/JP2002270367A/ja
Publication of JP2002270367A publication Critical patent/JP2002270367A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
  • Thyristors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で光機能素子を用いたアクティブ
マトリックス表示装置を形成し、安価に高精細で明るい
光機能素子、有機EL素子、有機EL表示装置を提供す
る。 【解決手段】 陰極と陽極の間に少なくとも1つのヘテ
ロ接合を有する1層以上の光導電層と発光層を有し、前
記光導電層と発光層によりサイリスタ特性を有する構成
の光機能素子、有機EL素子、有機EL表示装置とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光機能素子、特に有
機エレクトロルミネセンス(EL)素子、および表示装置
に好適な、高画質の光機能素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有機EL素子は透明な基板上に陽
極となる透明電極を所定のストライプ状等の形状に形成
し、さらにこの上に有機発光層を形成している。そして
この発光層の表面で、透明電極と直行する方向にMgA
g等の金属からなるストライプ状の陰極電極を形成して
いる。前記透明電極と陰極電極間に電圧を印加すると各
電極が形成するストライプの交点が発光する。これが画
像を形成する画素となる。
【0003】このような形状を有する表示装置は単純マ
トリックスと呼ばれ、陰極電極側を走査電極とし順次に
選択して行き、一方の透明電極におのおのの走査線で選
択された画素のデータを並列に出力する線順次走査法を
用いる。この時、走査の速度を1秒当たり60画面程度
を形成できるようにすることにより、人間の目の特性よ
り2次元の画像がちらつくことなく表示することが出来
る。この時、得られる画像の明るさは、選択された時間
に有機EL素子の出力する輝度を走査線数で割った値に
相当する。
【0004】一方、有機EL素子を基板上に形成した回
路により駆動するアクティブマトリックス表示装置の場
合、各ELの画素には、この画素に対して供給する電流
を制御するための薄膜トランジスタ(TFT)の如きT
FT(電界効果トランジスタ)が一組ずつ接続されてい
る。すなわち有機EL素子に駆動電流を流すバイアス用
のTFTと、そのバイアス用TFTを選択すべきかを示
すスイッチ用のTFTが一組ずつ接続されている。
【0005】従来のアクティブマトリックス型の有機E
L表示装置の回路図の一例を図13,14に示す。この
有機EL表示装置50は、画面51と、この画面51を
駆動するためのX方向信号線X1,X2…、Y方向信号
線Y1,Y2…、電源Vdd線Vdd1,Vdd2…、スイ
ッチ用トランジスタ(TFT)Ty11,12、Ty2
1,22…、電流制御用トランジスタ(TFT)M1
1,12、M21,22…、有機EL素子EL110,
120、EL210,220…、コンデンサC11,1
2、C21,22…、X方向周辺駆動回路(シフトレジ
スタX軸)52,Y方向周辺駆動回路(シフトレジスタ
Y軸)53等により構成される。
【0006】そして、X方向信号線X1,X2、Y方向
信号線Y1,Y2により画素が特定され、その画素にお
いてスイッチ用TFTトランジスタTy11,12、T
y21,22がオンにされてその信号保持用コンデンサ
C11,12、C21,22に画像データが保持され
る。これにより、電流制御用のトランジスタM11,1
2、M21,22がオンにされ、電源線Vdd1、Vdd2
により有機EL素子EL110,120、EL210,
220に画像データに応じたバイアス用の電流が流れ、
これが発光される。
【0007】例えばX方向信号線X1に画像データに応
じた信号が出力され、Y方向信号線Y1にY方向走査信
号が出力されると、これにより特定された画素のスイッ
チ用トランジスタTy11がオンになり、画像データに
応じた信号により電流制御用TFTトランジスタM11
が導通されて有機EL素子EL110に、この画像デー
タに応じた発光電流が流れ、発光制御される。このよう
に、画素毎に、薄膜型のEL素子と、前記EL素子の発
光制御用の電流制御用トランジスタと、前記電流制御用
トランジスタのゲート電極に接続された信号保持用のコ
ンデンサと、前記キャパシタへのデータ書き込み用のス
イッチ用のトランジスタ等を有するアクティブマトリッ
クス型EL画像表示装置において、EL素子の発光強度
は、信号保持用のキャパシタに蓄積された電圧によって
制御された発光電流制御用の非線形素子であるトランジ
スタに流れる電流で決定される(A66-in 201pi Electrol
uminescent Display T.P.Brody、F.C.Luo、et.al、IEEE Tr
ans ElectronI)evices、Vol. ED-22、No. 9、Sep. 1975, P
739~P749参照)。
【0008】このとき使用される信号保持用のコンデン
サの容量は、微少な選択時間内で画素スイッチTFTト
ランジスタが十分に電荷を充電できる容量以下である。
また、この画素スイッチTFTトランジスタの非選択時
のリーク電流が次の書き込み時間まで失わせる電荷によ
り発生するコンデンサの保持電圧の低下が表示パネルの
画像に悪影響を与えない容量以上であることが求められ
る。この時、有機EL素子は全ての時間において発光を
続けているため、この方式の画像表示装置で得られる画
像の明るさは、有機EL素子の発光輝度そのものとな
る。
【0009】また、特開2000−299192号公報
では、これとは別に絶縁基板上に形成したサイリスタ素
子と透明基板上に形成した有機EL素子とを接続して実
現した有機EL素子を用いたアクティブマトリックス表
示装置が述べられている。
【0010】ところで、上記の単純マトリックス表示装
置では走査線数が増えるに従って選択された時間に有機
EL素子が出力する輝度を増やさなければ、得られる画
像の明るさが低下してしまう。
【0011】これは有機EL素子の信頼性を損なうと同
時に有機EL素子の最大定格を超える出力を要求する走
査線数を持った高精細の表示装置は実現できないことを
示す。
【0012】一方、上記の基板上に形成した駆動回路を
用いたアクティブマトリックス表示装置では上記の問題
は解決されるがTFTが高価なため表示装置も高くなっ
てしまう。
【0013】さらに、上記の別に設けたサイリスタ素子
と有機EL素子を接続したアクティブマトリックス表示
装置では接続の精度から高精細の表示装置の製造が困難
である。また同一基板上にサイリスタ素子と有機EL素
子を形成してから接続した場合はプロセスが長くなりコ
ストがかかり表示装置も高価になってしまう。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、簡単
な構成で光機能素子を用いたアクティブマトリックス表
示装置を形成し、安価に高精細で明るい光機能素子、有
機EL素子、有機EL表示装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は下記のように構成される。 (1) 陰極と陽極の間に少なくとも1つのヘテロ接合
を有する1層以上の光導電層と発光層を有し、前記光導
電層と発光層によりサイリスタ特性を有する光機能素
子。 (2) 前記光導電層は、50nm以下の薄膜を含有する
上記(1)の光機能素子。 (3) 前記光導電層が無機非単結晶膜からなる上記
(1)の光機能素子。 (4) 前記非単結晶膜はSi−H、およびSi−Cの
非晶質または多結晶膜である上記(3)の光機能素子。 (5) 前記光導電層は、p/i/n/i/pと積層さ
れ、少なくとも1つのi型層が膜厚50nm以下のSi−
H、およびSi−Cで形成されている上記(1)〜
(4)のいずれかの光機能素子。 (6) 前記光導電層は、n/i/p/i/nと積層さ
れ、少なくとも1つのi型層が膜厚50nm以下のSi−
H、およびSi−Cで形成されている上記(1)〜
(4)のいずれかの光機能素子。 (7) 前記光導電層の増幅率は5以上である上記
(1)〜(6)のいずれかの光機能素子。 (8) 前記光導電層は、素子の光取り出し側に配置さ
れている上記(1)〜(7)のいずれかの光機能素子。 (9) 上記(1)〜(8)のいずれかの光機能素子の
発光層が有機材料で形成されている有機EL素子。 (10)上記(9)の有機EL素子を複数有し、アクテ
ィブマトリクスとして動作する有機EL表示装置。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の光機能素子は、陰極と陽
極の間に少なくとも1つのヘテロ接合を有する1層以上
の光導電層と発光層を有し、前記光導電層と発光層によ
りサイリスタ特性を有するものである。
【0017】このように、発光素子自体がサイリスタ特
性を有することにより、発光素子を駆動するためのスイ
ッチング素子、駆動回路等が不要となり、TFT等を用
いることなくアクティブマトリクス回路を構成すること
ができる。
【0018】本発明の光機能素子は、光導電層と発光層
によりサイリスタ特性を有する。このサイリスタ特性
は、光導電層のバリア層により得ることができる。ここ
で、サイリスタとは、外部の回路なしにオン状態、オフ
状態を保持しうる素子をいう。このようなサイリスタ素
子としては、例えばSCR、ショックレイダイオードな
どが知られている。
【0019】本発明の光機能素子の動作原理を図1に沿
って説明する。本発明の素子は、図示例のように発光層
2、光伝導層3とが、光学的、電気的に接合された構造
を有する。
【0020】このような構造の素子に、外部から電圧を
加え、電界を与えると、光導電層3でのエネルギー障壁
を電荷が乗り越えるのに十分なエネルギーが与えられた
時点で電流が流れ、発光層2で電子と正孔との再結合に
よる発光が生じる。この発光は、外部に取り出される取
り出し光4の他、光導電層3に入力する帰還光5を含
む。光導電層は光による発電機能を有し、帰還光5によ
り内部で電荷が生じる。そして、発生した電荷が増幅さ
れて帰還電流6となり、発光層2へと供給される。この
ため、見かけ上光導電層3のエネルギー障壁が低下した
のと同様の効果が得られ、それ以降は注入するエネルギ
ー、つまり外部から加える電圧をある程度低くしても発
光状態が維持される。
【0021】また、発光状態を終了させるためには、外
部から加えられるエネルギー、すなわち電圧を一定のし
きい値以下にする。外部から与えられる電圧が一定のし
きい値以下になると、光子により生じた電荷の増幅作用
が低下し、増幅を行うだけの帰還率が維持できなくな
り、発光状態が維持できなくなって消灯する。
【0022】このような光電帰還ループ(増幅ループ)
を維持するためには、光子または電荷であるキャリアの
増幅機構が必要である。このようなキャリアの増幅機構
としては、 (1)アバランシェ効果による増幅。 (2)キャリアの増幅能力を有する光導電層を用いる
(例えばMe−PTCを用いる)。 (3)フォトトランジスタを応用する。 (4)キャリアの増幅能力を有する発光層を用いる。 等の方法が考えられるが、本発明では主に(1)のアバ
ランシェ効果による増幅を用いる。
【0023】(1)のアバランシェ効果による増幅を行
う場合、光導電層3で光により生じた電荷は、外部から
加えられた電界により加速され、アバランシェ効果を生
じ、光電流6を生じて、これが再び発光層へ与えられ
る。つまり、光導電層3に発生した光子由来の電荷が、
外部電界により増幅されることになる。このようなアバ
ランシェ効果による増幅作用は、光導電層の膜厚と外部
から加えられる電界の強さで決まるため、制御や調整が
容易である。
【0024】上記アバランシェ効果は例えば、光導電層
i層をP層およびN層で挟み、このi層を例えば非晶質膜
のSiCおよびSiHを50nm以下の膜厚で積層するこ
とにより安定して得ることができる。
【0025】これは高電界により、SiCおよびSiH
で形成されたヘテロ接合界面において効率のよいアンバ
ランシェ増倍が発生するため、光によって発生したキャ
リアが安定して増幅されるためである。
【0026】また、例えばn/i/p/i/nのように
i層中に電極との接合層とは逆の極性を持ったバリア層
を挿入し、少なくとも一方のi層が50nm以下の薄膜で
形成した前記ヘテロ接合を有することによりこの光導電
膜の暗電流を低減することが可飴になり、耐ノイズ特他
を向上し誤動作が少ない素子を形成することができる。
【0027】さらに、前記ヘテロ接合によって生じたキ
ャリアの増幅はヘテロ接合の数を増やすことにより大き
くする事が可能である。従って、前記SiCおよびSi
Hの積層を複数構成することにより、より少ない光量で
サイリスタ動作が可能になる。これによって、光導電膜
の面積を発光層より小さくして、より多くの光を発光層
外部に放出することが可能になる。この場合、外来光に
よる誤動作を防ぐために光導電層下部に遮光電極を形成
することが望ましい。
【0028】ところで、前記バリア層とi層とをヘテロ
接合とすることによってもサイリスタ特性を得ることが
できる。これは、前記ヘテロ接合により生じるバンドオ
フセットが、光キャリアを効率よく閉じこめるため、バ
リア層が形成するエネルギー障壁が減じ、多数キャリア
が流れやすくなるためである。これは上記の(2)の増
幅機構に相当する。この場合、層構成が単純になるので
生産性の高い光機能素子を得ることができる。
【0029】このような状態を図2に示す。図2は光導
電層のエネルギー帯を模式的に示した図であり、外部か
らの光hνの注入により、電子eが注入されやすくな
り、ホールhのブロック効果も向上することが解る。
【0030】このような帰還ループを維持するのに必要
な増幅率は、好ましくは5以上、特に6以上、さらには
10以上である。
【0031】また、光電帰還ループを維持するために、
取り出しにより失われる光、光/電荷変換効率、電荷/
光変換効率等を調整して最大の効率を得られるようにす
ることが望ましい。
【0032】光導電層は、光−電荷の変換機能を有し、
p/i/n/i/p、またはn/i/p/i/n構造を
有するか、バリア層とi層とがヘテロ接合を有するもの
であれば特に限定されるものではなく、種々の無機、有
機材料を用いることができる。特に、Si−H、および
Si−Cを用いた多結晶、またはアモルファス材料が好
ましい。なお、Si−H、Si−Cは化学量論組成から
多少偏倚していてもよい。
【0033】光導電層の膜厚は、構成する材料により異
なり、上記アバランシェ効果や電源電圧との関係で最適
な膜厚に調整すればよい。具体的には、1層あたり10
0〜1000nm、特に200〜600nmである。なお、
Si−Hのi層を用いる場合、光吸収を考慮すると60
0nm以上が好ましい。また、Si−H/Si−Cと複数
積層するときのSi−Hは光吸収を考慮しなくてもよ
く、薄いほどよい。
【0034】また、電極接合層とは異種のバリア層は、
50nm以下、特に20〜40nmが好ましい。
【0035】光導電層は、P型が主体であっても、N型
が主体であってもよく、組み合わせる発光層や素子設計
において最適な構造となるようなものとすればよいが、
特にn型が主体のn/i/p/i/n構造を有するもの
が好ましい。
【0036】光導電層と組み合わせる電極は、発光層の
種類や性質にもよるが、光取りだしの必要のない電極
は、Al,Ni,Cr,Ag,Au等の通常の導電材料
を用いることが可能である。また、発光層側に配置さ
れ、光取り出しの必要がある場合にはITO、IZO、
ZnO、SnO2 、In2 3 等の透明電極を用いるこ
とが好ましい。
【0037】光導電層と発光層とは、光導電層によるサ
イリスタ動作が可能となるような配置であれば、基板上
に垂直方向に積層してもよいし、水平方向に並列に配置
してもよい。また、発光層の一部の領域に光導電層を配
置することもできる。さらに、光導電層を外部からの光
や散乱光から保護するための光遮蔽層を設けてもよい。
光遮蔽層を設けることで、暗電流を防止することがで
き、動作が安定する。
【0038】また、本発明の光導電層は、発光層の光取
り出し側でも、その反対側でも、いずれの側に配置して
もよいが、好ましくは光取り出し側である。光取り出し
側に配置することにより、小型で効率のよいスイッチン
グ動作を行わせることができる。すなわち、発光層、特
に有機EL素子構造を形成する前に光導電層を形成する
ことができ、発光層へのダメージを配慮することなく最
適な条件で光導電層を形成することができる。また、特
に発光層に有機EL素子を用いる場合、遮光電極である
電子注入性の高い低仕事関数の金属、金属酸化物電極を
用いることができ、高効率の発光層が得られる。
【0039】さらに、このような配置により高効率の動
作が行える理由として、発光層の光導電層側の光を帰還
取りだし光として利用するため、光導電層の増幅率を高
め、少ない帰還光で継続動作を行わせる必要がある。こ
のため、このような帰還ループを維持するために必要な
増幅率が、上記のように5以上必要となる。
【0040】発光層は、上記光電流等により発光するこ
とが可能で、十分な発光効率が得られるものであれば特
に限定されるものではない。
【0041】例えば、発光ダイオード(LED)や有機
EL素子等を用いることができる。本発明では、薄膜プ
ロセスでの形成が可能な点、面発光源である点から特に
有機EL素子を発光層に用いることが好ましい。
【0042】〔有機EL素子〕有機EL素子は、2つの
電極の間に、少なくとも発光機能に関与する有機物質を
含有する有機層を有するものである。そして、外部から
与えられる電子・ホールが、有機層中で再結合すること
により発光する。
【0043】2つの電極、つまり第1の電極、および第
2の電極は、Al,Ni,Cr,Ag,Au等の通常の
導電材料を用いることが可能であるが、少なくとも有機
EL側となる陽極、または陰極をホール注入電極、電子
注入電極とするとよい。
【0044】電子注入電極としては、低仕事関数の物質
が好ましく、例えば、K、Li、Na、Mg、La、C
e、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Z
n、Zr等の金属元素単体、または安定性を向上させる
ためにそれらを含む2成分、3成分の合金系を用いるこ
とが好ましい。合金系としては、例えばAg・Mg(A
g:0.1〜50at%)、Al・Li(Li:0.01
〜14at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)、
Al・Ca(Ca:0.01〜20at%)等が挙げられ
る。なお、電子注入電極は蒸着法やスパッタ法でも形成
することが可能である。
【0045】電子注入電極薄膜の厚さは、電子注入を十
分行える一定以上の厚さとすればよく、0.5nm以上、
好ましくは1nm以上、より好ましくは3nm以上とすれば
よい。また、その上限値には特に制限はないが、通常膜
厚は3〜500nm程度とすればよい。電子注入電極の上
には、さらに補助電極ないし保護電極を設けてもよい。
【0046】蒸着時の圧力は好ましくは1×10-8〜1
×10-5Torrで、蒸発源の加熱温度は、金属材料であれ
ば100〜1400℃、有機材料であれば100〜50
0℃程度が好ましい。
【0047】ホール注入電極は、発光した光を取り出す
ため、透明ないし半透明な電極が好ましい。透明電極と
しては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO
(亜鉛ドープ酸化インジウム)、ZnO、SnO2 、I
2 3 等が挙げられるが、好ましくはITO(錫ドー
プ酸化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウ
ム)が好ましい。ITOは、通常In2 3 とSnOと
を化学量論組成で含有するが、O量は多少これから偏倚
していてもよい。ホール注入電極は、透明性が必要でな
いときは、不透明の公知の金属材質であってもよい。
【0048】ホール注入電極の厚さは、ホール注入を十
分行える一定以上の厚さを有すればよく、好ましくは5
0〜500nm、さらには50〜300nmの範囲が好まし
い。また、その上限は特に制限はないが、あまり厚いと
剥離などの心配が生じる。厚さが薄すぎると、製造時の
膜強度やホール輸送能力、抵抗値の点で問題がある。
【0049】このホール注入電極層は蒸着法等によって
も形成できるが、好ましくはスパッタ法、特にパルスD
Cスパッタ法により形成することが好ましい。
【0050】有機EL構造体の有機層は、次のような構
成とすることができる。
【0051】発光層は、ホール(正孔)および電子の注
入機能、それらの輸送機能、ホールと電子の再結合によ
り励起子を生成させる機能を有する。発光層には、比較
的電子的にニュートラルな化合物を用いることが好まし
い。
【0052】ホール注入輸送層は、ホール注入電極から
のホールの注入を容易にする機能、ホールを安定に輸送
する機能および電子を妨げる機能を有するものであり、
電子注入輸送層は、電子注入電極からの電子の注入を容
易にする機能、電子を安定に輸送する機能およびホール
を妨げる機能を有するものである。これらの層は、発光
層に注入されるホールや電子を増大・閉じこめさせ、再
結合領域を最適化させ、発光効率を改善する。
【0053】発光層の厚さ、ホール注入輸送層の厚さお
よび電子注入輸送層の厚さは、特に制限されるものでは
なく、形成方法によっても異なるが、通常5〜500nm
程度、特に10〜300nmとすることが好ましい。
【0054】ホール注入輸送層の厚さおよび電子注入輸
送層の厚さは、再結合・発光領域の設計によるが、発光
層の厚さと同程度または1/10〜10倍程度とすれば
よい。ホールまたは電子の各々の注入層と輸送層とを分
ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は1nm以上とす
るのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上
限は、通常、注入層で500nm程度、輸送層で500nm
程度である。このような膜厚については、注入輸送層を
2層設けるときも同じである。
【0055】有機EL素子の発光層には、発光機能を有
する化合物である蛍光性物質を含有させる。このような
蛍光性物質としては、例えば、特開昭63−26469
2号公報に開示されているような化合物、例えばキナク
リドン、ルブレン、スチリル系色素等の化合物から選択
される少なくとも1種が挙げられる。また、トリス(8
−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリノールま
たはその誘導体を配位子とする金属錯体色素などのキノ
リン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アントラセ
ン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体
等が挙げられる。さらには、特開平8−12600号公
報(特願平6−110569号)に記載のフェニルアン
トラセン誘導体、特開平8−12969号公報(特願平
6−114456号)のテトラアリールエテン誘導体等
を用いることができる。
【0056】また、それ自体で発光が可能なホスト物質
と組み合わせて使用することが好ましく、ドーパントと
しての使用が好ましい。このような場合の発光層におけ
るドーパントの含有量は0.01〜20体積% 、さらに
は0.1〜15体積% であることが好ましい。特にルブ
レン系では、0.01〜20体積%であることが好まし
い。ホスト物質と組み合わせて使用することによって、
ホスト物質の発光波長特性を変化させることができ、長
波長に移行した発光が可能になるとともに、素子の発光
効率や安定性が向上する。
【0057】ホスト物質としては、キノリノラト錯体が
好ましく、さらには8−キノリノールまたはその誘導体
を配位子とするアルミニウム錯体が好ましい。このよう
なアルミニウム錯体としては、特開昭63−26469
2号、特開平3−255190号、特開平5−7077
3号、特開平5−258859号、特開平6−2158
74号等に開示されているものを挙げることができる。
【0058】具体的には、まず、トリス(8−キノリノ
ラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネ
シウム、ビス(ベンゾ{f}−8−キノリノラト)亜
鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ムオキシド、トリス(8−キノリノラト)インジウム、
トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−
8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−
キノリノラト)カルシウム、5,7−ジクロル−8−キ
ノリノラトアルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−
8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム、ポリ[亜
鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メ
タン]等がある。
【0059】このほかのホスト物質としては、特開平8
−12600号公報(特願平6−110569号)に記
載のフェニルアントラセン誘導体や特開平8−1296
9号公報(特願平6−114456号)に記載のテトラ
アリールエテン誘導体なども好ましい。
【0060】発光層は電子注入輸送層を兼ねたものであ
ってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム等を使用することが好ましい。これら
の蛍光性物質を蒸着すればよい。
【0061】また、発光層は、必要に応じて、少なくと
も1種のホール注入輸送性化合物と少なくとも1種の電
子注入輸送性化合物との混合層とすることも好ましく、
さらにはこの混合層中にドーパントを含有させることが
好ましい。このような混合層におけるドーパントの含有
量は、0.01〜20体積% 、さらには0.1〜15体
積% とすることが好ましい。
【0062】混合層では、キャリアのホッピング伝導パ
スができるため、各キャリアは極性的に有利な物質中を
移動し、逆の極性のキャリア注入は起こりにくくなるた
め、有機化合物がダメージを受けにくくなり、素子寿命
がのびるという利点がある。また、前述のドーパントを
このような混合層に含有させることにより、混合層自体
のもつ発光波長特性を変化させることができ、発光波長
を長波長に移行させることができるとともに、発光強度
を高め、素子の安定性を向上させることもできる。
【0063】混合層に用いられるホール注入輸送性化合
物および電子注入輸送性化合物は、各々、後述のホール
注入輸送層用の化合物および電子注入輸送層用の化合物
の中から選択すればよい。なかでも、ホール注入輸送性
の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン誘導体、例
えばホール輸送材料であるトリフェニルジアミン誘導
体、さらにはスチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を持
つアミン誘導体を用いるのが好ましい。
【0064】電子注入輸送性の化合物としては、キノリ
ン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体
を配位子とする金属錯体、特にトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム(Alq3 )を用いることが好まし
い。また、上記のフェニルアントラセン誘導体、テトラ
アリールエテン誘導体を用いるのも好ましい。
【0065】混合層の混合比は、それぞれのキャリア移
動度とキャリア濃度によるが、一般的には、ホール注入
輸送性化合物の化合物/電子注入輸送機能を有する化合
物の重量比が、1/99〜99/1、さらに好ましくは
10/90〜90/10、特に好ましくは20/80〜
80/20程度となるようにすることが好ましい。
【0066】また、混合層の厚さは、分子層一層に相当
する厚み以上で、有機化合物層の膜厚未満とすることが
好ましい。具体的には1〜85nmとすることが好まし
く、さらには5〜60nm、特には5〜50nmとすること
が好ましい。
【0067】また、混合層の形成方法としては、異なる
蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸
発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同
じ蒸着ボート内で混合させておき、蒸着することもでき
る。混合層は化合物同士が均一に混合している方が好ま
しいが、場合によっては、化合物が島状に存在するもの
であってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質
を蒸着するか、あるいは、樹脂バインダー中に分散させ
てコーティングすることにより、発光層を所定の厚さに
形成する。
【0068】ホール注入輸送層には、例えば、特開昭6
3−295695号公報、特開平2−191694号公
報、特開平3−792号公報、特開平5−234681
号公報、特開平5−239455号公報、特開平5−2
99174号公報、特開平7−126225号公報、特
開平7−126226号公報、特開平8−100172
号公報、EP0650955A1等に記載されている各
種有機化合物を用いることができる。例えば、テトラア
リールベンジシン化合物(トリアリールジアミンないし
トリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級アミン、
ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール
誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサ
ジアゾール誘導体、ポリチオフェン等である。これらの
化合物は、1種のみを用いても、2種以上を併用しても
よい。2種以上を併用するときは、別層にして積層した
り、混合したりすればよい。
【0069】ホール注入輸送層をホール注入層とホール
輸送層とに分けて積層する場合は、ホール注入輸送層用
の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いるこ
とができる。このとき、ホール注入電極(ITO等)側
からイオン化ポテンシャルの小さい化合物の順に積層す
ることが好ましい。また、ホール注入電極表面には薄膜
性の良好な化合物を用いることが好ましい。このような
積層順については、ホール注入輸送層を2層以上設ける
ときも同様である。このような積層順とすることによっ
て、駆動電圧が低下し、電流リークの発生やダークスポ
ットの発生・成長を防ぐことができる。また、素子化す
る場合、蒸着を用いているので1〜10nm程度の薄い膜
も均一かつピンホールフリーとすることができるため、
ホール注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、可視部
に吸収をもつような化合物を用いても、発光色の色調変
化や再吸収による効率の低下を防ぐことができる。ホー
ル注入輸送層は、発光層等と同様に上記の化合物を蒸着
することにより形成することができる。
【0070】電子注入輸送層には、トリス(8−キノリ
ノラト)アルミニウム(Alq3 )等の8−キノリノー
ルまたはその誘導体を配位子とする有機金属錯体などの
キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘
導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリ
ン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオ
レン誘導体等を用いることができる。電子注入輸送層は
発光層を兼ねたものであってもよく、このような場合は
トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等を使用する
ことが好ましい。電子注入輸送層の形成は、発光層と同
様に、蒸着等によればよい。
【0071】電子注入輸送層を電子注入層と電子輸送層
とに分けて積層する場合には、電子注入輸送層用の化合
物の中から好ましい組み合わせを選択して用いることが
できる。このとき、電子注入電極側から電子親和力の値
の大きい化合物の順に積層することが好ましい。このよ
うな積層順については、電子注入輸送層を2層以上設け
るときも同様である。
【0072】ホール注入輸送層、発光層および電子注入
輸送層の形成には、均質な薄膜が形成できることから、
真空蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法を用い
た場合、アモルファス状態または結晶粒径が0.2μm
以下の均質な薄膜が得られる。結晶粒径が0.2μm を
超えていると、不均一な発光となり、素子の駆動電圧を
高くしなければならなくなり、電荷の注入効率も著しく
低下する。
【0073】真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-4Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/
sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続し
て各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形
成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げる
ため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低く
したり、ダークスポットの発生・成長を抑制したりする
ことができる。
【0074】これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場
合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化
合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着する
ことが好ましい。
【0075】本発明において、前記電子輸送層に代え
て、あるいは、加えて、電子の導通パスを備え、正孔を
ブロックする機能を有する高抵抗の無機電子注入輸送層
を設けることもできる。
【0076】このように、電子の導通パスを備え、正孔
をブロックする機能を有する高抵抗の無機電子注入輸送
層を、有機発光層と電子注入電極との間に、設けること
によって、有機発光層に電子を効率よく注入することが
でき、発光効率を向上させることが可能となるととも
に、駆動電圧を低下させることが可能になる。さらに
は、電子の導通パスを備え、正孔をブロックする機能を
有する高抵抗の無機電子注入輸送層を設けることによっ
て、素子の厚さを減少させることができる。
【0077】高抵抗の無機電子注入輸送層は、好ましく
は第1成分として仕事関数4eV以下、より好ましくは1
〜4eVであって、好ましくはLi,Na,K,Rb,C
sおよびFrから選択される1種以上のアルカリ金属元
素、または、好ましくはMg,CaおよびSrから選択
される1種以上のアルカリ土類金属元素、または、好ま
しくはLaおよびCeから選択される1種以上のランタ
ノイド系元素のいずれかの酸化物を含有する。これらの
なかでも、特に酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化
カルシウム、酸化セリウムが好ましい。これらを混合し
て用いる場合の混合比は任意である。また、これらの混
合物中には酸化リチウムがLi2O換算で、50 mol%
以上含有されていることが好ましい。
【0078】高抵抗の無機電子注入層は、さらに第2成
分としてZn,Sn,V,Ru,SmおよびInから選
択される1種以上の元素を含有する。この場合の第2成
分の含有量は、好ましくは0.2〜40 mol%、より好
ましくは1〜20 mol%である。この含有量が少ないと
電子注入機能が低下し、含有量が多くなると正孔ブロッ
ク機能が低下してくる。2種以上を併用する場合、合計
の含有量は上記の範囲にすることが好ましい。第2成分
は金属元素の状態でも、酸化物の状態であってもよい。
【0079】このように、高抵抗である第1成分中に、
第2成分として、Zn、Sn、V、Ru、SmおよびI
nよりなる群から選ばれる1種以上の元素を、0.2〜
40mol%含有させて、導電パスを形成することによ
り、電子注入電極から有機発光層に、効率よく、電子を
注入することができる。これは、第一成分中に、第二成
分を含有させることによって、絶縁物質中に、導電物質
が島状に存在することになり、電子注入のためのホッピ
ングパスが形成されるためと考えられる。
【0080】第1成分中に、第2成分を、0.2〜40
mol%含有させることにより、さらに、有機発光層から
電子注入電極への正孔の移動を抑制することが可能にな
り、有機発光層において、正孔と電子とを効率よく再結
合させることができる。
【0081】高抵抗の無機電子注入輸送層を設ける場合
には、従来の有機の電子注入輸送層や、有機の電子注入
層、有機の電子輸送層を有する有機EL素子に比して、同
等か、それ以上の輝度を得ることができ、しかも、耐熱
性、耐侯性が高いので、寿命が長く、無機材料である電
子注入電極との接続性も良好になり、そのため、リーク
やダークスポットの発生も少ないという利点がある。さ
らには、比較的高価な有機物質とは異なり、無機電子注
入輸送層を形成するための無機物質は、安価で、入手が
しやすく、無機電子注入輸送層の形成も容易であるの
で、有機EL素子の製造コストを低減させることができ
る。
【0082】高抵抗の無機電子注入輸送層の抵抗率は、
1〜1×1011Ω・cm、特に1×103 〜1×108 Ω
・cmである。無機電子注入輸送層の抵抗率をかかる範囲
に設定することによって、高い正孔ブロック性を維持し
つつ、電子注入効率を飛躍的に向上させることが可能に
なる。
【0083】第1成分の酸化物は、通常、化学量論組成
(stoichiometric composition)であるが、これか
ら、多少偏倚して、非化学量論組成(non−stoichiomet
ry)となっていてもよい。第2成分の酸化物も同様であ
る。
【0084】高抵抗の無機電子注入輸送層は、さらに、
不純物として、Hや、スパッタガスとして用いるNe、
Ar、Kr、Xeなどを、合計5at%以下含有していて
もよい。
【0085】高低抗の無機電子注入輸送層は、通常、非
晶質状態である。
【0086】高抵抗の無機電子注入輸送層は、0.2〜
30nmの膜厚を有していることが好ましく、0.2〜2
0の膜厚を有していると、とくに好ましい。高抵抗の無
機電子注入輸送層の膜厚が、0.2nm未満でも、30nm
を超えていても、電子注入の機能が十分に発揮されなく
なる。
【0087】高抵抗の無機電子注入輸送層は、スパッタ
リング、蒸着など、各種の物理的あるいは化学的な薄膜
形成方法によって、形成することができるが、スパッタ
リング法によって形成することが好ましい。とくに、第
1成分と第2成分を、ターゲットとして、別個にスパッ
タリングする多元スパッタリング法によって、無機電子
注入輸送層を形成することが好ましい。多元スパッタリ
ング法によれば、それぞれのターゲットに適した条件
で、スパッタリングすることができる。また、第1成分
と第2成分の混合ターゲットを用いて、一元スパッタリ
ング法によって、無機電子注入輸送層を形成することも
できる。
【0088】高抵抗の無機電子注入輸送層をスパッタリ
ング法によって形成する場合、スパッタガスの圧力は、
0.1〜1パスカルの範囲に設定することが好ましい。
スパッタガスとしては、スパッタリング法に、通常、用
いられる不活性ガス、たとえば、Ar、Ne、Xe、K
rなどを使用することができ、必要に応じて、窒素ガス
を用いることもできる。スパッタリング時において、こ
れらのスパッタガスに加えて、1〜99%の酸素ガスを
混合するようにしてもよい。
【0089】スパッタリング法としては、RF電源を用い
た高周波スパッタリング法や、DCスパッタリング法を使
用することができ、RF電源を用いた高周波スパッタリン
グの電力は0.1〜10W/平方センチメートルの範囲
が好ましく、成膜速度は0.5〜10nm/分、とくに、
1〜5nmの範囲が好ましい。
【0090】成膜時の基板温度は、25〜150℃程度
である。
【0091】さらに、本発明の有機EL素子は、上記高
抵抗の無機電子注入輸送層と同様に、高抵抗の無機ホー
ル注入輸送層を有していてもよい。
【0092】このように、ホールの導通パスを有し、電
子をブロックできる高抵抗の無機ホール注入輸送層を有
機層とホール注入電極の間に配置することで、発光層へ
ホールを効率よく注入することができ、さらに発光効率
が向上するとともに駆動電圧も低下する。このような高
抵抗の無機ホール注入輸送層を用いることで、有機EL
素子全体の膜厚を薄くすることができ、カラーフィルタ
ー層の薄膜化と相俟って、極めて膜厚の薄い薄膜素子を
得ることができる。
【0093】また、好ましくは高抵抗の無機ホール注入
輸送層の主成分としてシリコンや、ゲルマニウム等の金
属または半金属の酸化物を用い、これに仕事関数4.5
eV以上、好ましくは4.5〜6eVの金属や、半金属およ
び/またはこれらの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化
物、硼化物のいずれか1種以上を含有させて導電パスを
形成することにより、ホール注入電極から発光層側の有
機層へ効率よくホールを注入することができる。しか
も、有機層からホール注入電極への電子の移動を抑制す
ることができ、発光層でのホールと電子との再結合を効
率よく行わせることができる。また、無機材料の有する
メリットと、有機材料の有するメリットとを併せもった
有機EL素子とすることができる。また、従来の有機ホ
ール注入層を有する素子と同等かそれ以上の輝度が得ら
れ、しかも、耐熱性、耐候性が高いので従来のものより
も寿命が長く、リークやダークスポットの発生も少な
い。また、比較的高価な有機物質ばかりではなく、安価
で入手しやすく製造が容易な無機材料も用いることで、
製造コストを低減することもできる。
【0094】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、その抵
抗率が好ましくは1〜1×1011Ω・cm、特に1×10
3〜1×108Ω・cmである。高抵抗の無機ホール注入輸
送層の抵抗率を上記範囲とすることにより、高い電子ブ
ロック性を維持したままホール注入効率を飛躍的に向上
させることができる。高抵抗の無機ホール注入輸送層の
抵抗率は、シート抵抗と膜厚からも求めることができ
る。この場合、シート抵抗は4端子法等により測定する
ことができる。
【0095】主成分の材料は、シリコン、ゲルマニウム
の酸化物であり、好ましくは(Si1-xGex)Oyにお
いて 0≦x≦1、 1.7≦y≦2.2、好ましくは1.7≦y≦1.99 である。高抵抗の無機ホール注入輸送層の主成分は、酸
化ケイ素でも酸化ゲルマニウムでもよく、それらの混合
薄膜でもよい。yがこれより大きくても小さくてもホー
ル注入機能は低下してくる傾向がある。組成は、例えば
ラザフォード後方散乱、化学分析等で調べればよい。
【0096】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、さらに
主成分に加え、仕事関数4.5eV以上の金属(半金属を
含む)の酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物および硼化
物を含有することが好ましい。仕事関数4.5eV以上、
好ましくは4.5〜6eVの金属は、好ましくはAu,C
u、Fe、Ni、Ru、Sn,Cr,Ir,Nb,P
t,W,Mo,Ta,PdおよびCoのいずれか1種ま
た2種以上である。これらは一般に金属としてあるいは
酸化物の形で存在する。また、これらの炭化物、窒化
物、ケイ化物、硼化物であってもよい。これらを混合し
て用いる場合の混合比は任意である。これらの含有量は
好ましくは0.2〜40 mol%、より好ましくは1〜2
0 mol%である。含有量がこれより少ないとホール注入
機能が低下し、含有量がこれを超えると電子ブロック機
能が低下してくる。2種以上を併用する場合、合計の含
有量は上記の範囲にすることが好ましい。
【0097】上記金属または金属(半金属を含む)の酸
化物、炭化物、窒化物、ケイ化物および硼化物は、通
常、高抵抗の無機ホール注入輸送層中に分散している。
分散粒子の粒径としては、通常、1〜5nm程度である。
この導体である分散粒子同士との間で高抵抗の主成分を
介してホールを搬送するためのホッピングパスが形成さ
れるものと考えられる。
【0098】高抵抗の無機ホール注入輸送層には、他
に、不純物として、Hやスパッタガスに用いるNe、A
r、Kr、Xe等を合計5at%以下含有していてもよ
い。
【0099】なお、高抵抗の無機ホール注入輸送層全体
の平均値としてこのような組成であれば、均一でなくて
もよく、膜厚方向に濃度勾配を有する構造としてもよ
い。
【0100】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、通常、
非晶質状態である。
【0101】高抵抗の無機ホール注入輸送層の膜厚とし
ては、好ましくは0.3〜100nm、より好ましくは1
〜100nm、特に5〜30nm程度が好ましい。高抵抗の
無機ホール注入輸送層がこれより薄くても厚くても、ホ
ール注入層としての機能を十分に発揮できなくなくなっ
てくる。
【0102】上記の高抵抗の無機ホール注入輸送層の製
造方法としては、上記高抵抗の無機電子注入輸送層と同
様である。
【0103】本発明において、素子を形成する基板とし
ては、非晶質基板たとえばガラス、石英など、結晶基板
たとえば、Si、GaAs、ZnSe、ZnS、Ga
P、InPなどがあげられ、またこれらの結晶基板に結
晶質、非晶質あるいは金属のバッファ層を形成した基板
も用いることができる。また金属基板としては、Mo、
Al、Pt、Ir、Au、Pdなどを用いることができ
る。さらに、プラスチック等の樹脂材料、可撓性を有す
る材料を用いることもできる。基板材料は、好ましくは
ガラス基板、樹脂材料である。基板は、光取り出し側と
なる場合、上記電極と同様な光透過性を有することが好
ましい。
【0104】ガラス材として、コストの面からアルカリ
ガラスが好ましいが、この他、ソーダ石灰ガラス、鉛ア
ルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラ
ス、シリカガラス等のガラス組成のものも好ましい。特
に、ソーダガラスで、表面処理の無いガラス材が安価に
使用できる。
【0105】さらに、素子の有機層や電極の酸化を防ぐ
ために、素子上を封止板等により封止することが好まし
い。封止板は、湿気の侵入を防ぐために、接着性樹脂層
を用いて、封止板を接着し密封する。封止ガスは、A
r、He、N2 等の不活性ガス等が好ましい。また、こ
の封止ガスの水分含有量は、100ppm 以下、より好ま
しくは10ppm 以下、特には1ppm 以下であることが好
ましい。この水分含有量に下限値は特にないが、通常
0.1ppm 程度である。
【0106】次に、本発明の素子を用いた画像表示装置
の駆動方法を説明する。先ず、本発明の素子を図3に示
すようにマトリックス状に配置する。
【0107】いま、素子D11、D22を点灯、素子D
12、D21消灯させた画像を表示しようとした時、走
査電極Yl、Y2、データ電極X1、X2には図4に示
すタイミングチャートに示す波形を入力する。
【0108】以下、時系列に沿って説明する。 RESET期間として1μs程度の時間全ての電極にLレ
ベル電圧(例えば0V)を印加する。これによって素子
は全てOFF状態にリセットされる。
【0109】 Y1走査期間として1μs程度の時
間、Y1に点灯電圧H1(例えば15V)を、その他の
走査電極にはホールド電圧H2(例えば12V )を入力
する。また、同時にデータ電極X1にはLレベル電圧
(例えば0V )、X2にはHレベル電圧(例えば6V )
を印加する。この時素子D11〜D22の各有機EL素
子間に加わっている電圧はD11=H1−L(15
V)、D12=H1−H(9V)、D21=H2−L
(12V)、D22=H2−H(6V)になる。このため
D11の有機EL素子のみON状態に移行し点灯を始め、
他の有機EL素子はOFF状態を保持する。
【0110】 Y2走査期間として1μs程度の時間
Y2に点灯電圧H1(15V)を、その他の走査電極に
はホールド電圧H2(12V)を印加する。また、同時
にデータ電極X1にはHレベル電圧(6V)、X2には
Lレベル電圧(0V)を印加する。この時素子D11〜
D22の各有機EL素子間に加わっている電圧はD11
=H2−H(6V)、D12=H2−L(12V)、D
21=H1−H(9V)、D22=H1−L(15V)
になる。このため素子D22の有機EL素子はON状態
に移行し点灯を始める。一方、素子D11の有機EL素
子はON状態を保持し点灯を続け、他の有機EL素子は
OFF状態を維持する。
【0111】 HOLD期間として16ms程度の時
間、走査電極Y1、Y2にホールド電圧H2(12
V)、データ電極X1、X2にLレベル電圧(0V)を
入力する。この時素子D11〜D22の各有機EL素子
間に加わっている電圧は全てホールド電圧H2−L(1
2V)となり、素子D11、D22はON状態を保持し
点灯を続ける。一方、素子D12、D21はOFF状態
を保持する。 再びの動作に戻る。
【0112】以上の様な手順で駆動した場合、RESET期
間、全ての走査線Yの走査期間に比べてHOLD期間が十分
に長いため、得られる画像の明るさはHOLD期間の〜10
0cd/m2 となり、パッシブ表示装置のように短い時間
に高い輝度で発光する必要がなくなる。また前述したよ
うに本発明の光機能素子の作製は極めて単純であり、コ
ストを抑える事が可能である。また本発明素子は素子そ
のものがサイリスタ特性を有しているので、別個にサイ
リスタ素子を形成、接続する工程が不用である。
【0113】なお、上記駆動条件はほんの一例を示した
ものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変
形、応用が可能である。特にホールド期間に印加する電
圧は、a−Si膜中で光により発生したキャリアを高電
界により増幅する必要があるため、a−Siの膜厚に強
く依存する。また、そのとき必要とされる増幅率は、a
−Siの光の吸収効率、および有機EL素子の効率に依
存する。
【0114】ところで、光導電層に非晶質膜を用いた
時、一方に電圧を印加し続けることによりキャリアが非
晶質膜中に蓄積され、その特性が変化する現象が現れる
場合がある。このような特性の変化は、表示装置の信頼
性に影響を与えてしまう。そこで、のリセット時間に
走査電極であるY側の電極全てに負の電圧を、X側の電
極全てに正の電圧を加え有機EL素子を逆バイアス状態に
し、蓄積されたキャリアを引き抜いてしまうことで緩和
することが可能である。
【0115】上記手順で駆動した場合は、1秒間に60
枚の画像の更新が可能であるので動画表示にも十分対応
することができる。
【0116】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例を示す。 <実施例1> (1) 先ず、図5に示すように、透明、又は半透明な
ガラス基板11上に、Al膜1000Åを蒸着法で成膜
した。このAl薄膜をフォトリソプロセスを用いてパタ
ーンニングし、下部の遮光電極12を形成した。
【0117】(2)次に、図6に示すように、光導電膜
としてn型のa−Si膜を、下記の成膜条件で200Å
形成した。 成膜条件 プラズマCVD法 1% PH3 /H2 :50SCCM 25%SiH4 /H2 :50SCCM 圧力 :1torr 温度 :250℃ 投入電力 :50W13.56MHz
【0118】(3)次に、光導電膜としてi型のa−S
i膜を、下記の成膜条件で400Å形成した。 成膜条件 プラズマCVD法 46%SiH4 /CH3:100SCCM 圧力 :1torr 温度 :250℃ 投入電力 :30W13.56MHz
【0119】(4)さらに、光尊電膜としてi型のa−
Si膜を、下記の成膜条件で80Å形成した。 成膜条件 プラズマCVD法 25%SiH4 /H2 :100SCCM 圧力 :1torr 温度 :250℃ 投入電力 :40W13.56MHz
【0120】(5)上記(2)〜(4)の操作を10回
繰り返した。
【0121】(6)次に光導電膜としてp型のa−Si
膜を、下記の成膜条件で100Å形成した。 成膜条件 プラズマCVD法 1%B26 /H2 :100SCCM 25%SiH4 /H2 :50SCCM 圧力 :1torr 温度 :250℃ 投入電力 :50W13.56MHz
【0122】(7)次に、光導電膜としてi型のa−S
i膜を、下記の成膜条件で200Å形成した。 成膜条件 プラズマCVD法 25%SiH4 /H2 :100SCCM 圧力 :1torr 温度 :250℃ 投入電力 :40W13.56MHz
【0123】(8)次に、光導電膜としてn型のa−S
i膜を、下記の成膜条件で200Å形成した。 成膜条件 プラズマCVD法 1%PH3 /H2 :50SCCM 25%SiH4 /H2 :50SCCM 圧力 :1torr 温度 :260℃ 投入電力 :60W13.56MHz
【0124】(9)上記工程により積層成膜されたn/
i/p/i/n型光導電膜13を、図6に示すようにフ
ォトリソプロセスを用いてパターンニングした。
【0125】(10)次に、図7に示すように、透明電
極としてITO膜14を1000Å、下記の条件のスパ
ッタ法で成膜した。 成膜条件 DCスパッタ法 電力密度:1w/cm3 圧力 :0.4(Pa) Ar :50SCCM H2O :0.5SCCM
【0126】(11)得られたITO膜14を、フォト
リソプロセスを用いて図7に示すようにパターニング
し、発光部を限定する為にテーパー角60°以下のエッ
ジカバー15をレジストで形成した。
【0127】(12)次に、図8に示すように、陰極を
素子分離する為の隔壁16を形成した。この隔壁16
は、例えばフォトレジストを用い、オーバーエッチする
ことで図示例のようなオーバハング(逆テーパー)を有
する構造物を形成することができる。
【0128】(13)次に、図9に示すように、Wオゾ
ン処理をしてから、白色の有機発光層17を、真空蒸着
法にて連続に形成した。成膜時の真空度は、1×10-6
(Pa)〜1×10-4 (Pa)で行ない、成膜レートは
0.06Å/sec〜1Å/secとした。
【0129】(14)白色有機ELの有機層105は、
先ず図8に示すように、ホール注入層のポリチオフェン
100Å、それからトリフェニルジアミン(TPD)に
3%のルブレンドープした第1の発光層を300Å、次
に、第2の発光層としてジフェニルアントラセンにジス
チリルアリーレン誘導体(ID102、出光製)を5%
ドープした膜を500Å成膜し、次に電子注入輸送層の
トリスキノリノアルミニウム(Alq3)を200Å形成し
た。その後、光透過性を有する陰極としてAgMgを5
0Å形成した。
【0130】(15)その後、陰極としてAgMgを5
0Å形成した。最後に、図9に示すように電極配線とし
てAlを3000Å蒸着法にて形成した。
【0131】このようにして作製した有機EL素子1mm
2 のIL−V特性を図10に示す。
【0132】上記有機EL素子に印加する電圧を0Vから
後々に増やしていっても〜14Vまで電流は殆ど流れ
ず、発光もしない。しかし、印加する電圧が〜14Vを
越えると急激に電流が流れ始めると同時に発光を開始し
た。この時点で印加する電圧を徐々に減らしていくと〜
5Vになるまで電流は徐々に減少するが流れ続け、発光
も持続した。印加する電圧が〜5Vを下回ると急激に電
流が減少し殆ど流れなくなると同時に発光も停止した。
この後、印加する電圧を再び増加しても〜14Vまで電
流は殆ど流れない状態に戻った。
【0133】これにより、本実施例の有機EL素子は14
V以上の印加によりON状態、5V以下によりOFF状態の2
安定状態をもつサイリスタ特性を有していることがわか
る。これらの特性はN型の光導電膜を透明電極である陽
極側に設けた場合、及びP型の光導電膜を陰極側に設け
た時に顕著に観測された。
【0134】この素子の増幅率は、70であった。
【0135】次に、上記サイリスタ型有機EL素子を用
い、図3に示すような画像表示装置作製した。
【0136】そして、D11、D22を点灯、D12、
D21消灯させた画像を表示させるため、走査電極とな
るYl、Y2、データ電極となるX1、X2には図4に
示すタイミングチャートに示す波形を入力した。
【0137】 先ず、RESET期間として1μs程度の時
間全ての電極に0Vを印加した。これによって、上記の
ようにしきい値電圧5V 以下となり、本実施例のサイリ
スタ型有機EL素子は全てOFF状態にリセットされた。
【0138】 次に、Y1走査期間として1μs程度
の時間、走査電極Y1に点灯信号H1として15V を、
その他の走査電極にはホールド信号H2として12V を
入力した。また、同時にデータ電極X1にはLレベル電
圧として0V 、X2にはHレベル電圧として6V を印加
した。この時、素子D11〜D22の各有機EL素子間
に加わっている電圧はD11=15V、D12=9V、
D21=12V、D22=6Vであった。このため、素子
D11のサイリスタ型有機EL素子のみON状態に移行し
点灯を始め、他の有機EL素子はOFF状態を保持した。
【0139】 次に、Y2走査期間として1μs程度
の時間、走査電極Y2に点灯信号H1として15Vを、
その他の走査電極にはホールド信号H2として12Vを
印加した。また、同時にデータ電極X1にはHレベル信
号6V、X2にはLレベル信号0Vを印加した。この時
素子D11〜D22の各有機EL素子間に加わっている
電圧はD11=6V、D12=12V、D21=9V、
D22=15Vであった。このためD22の有機EL素
子はON状態に移行し点灯を始めた。一方、D11の有
機EL素子はON状態を保持し点灯を続け、他の有機E
L素子はOFF状態を維持した。
【0140】 HOLD期間として16ms程度の時
間、走査電極Y1、Y2にホールド信号12V、データ
電極X1、X2にLレベル0Vを入力した。この時素子
D11〜D22の各有機EL素子間に加わっている電圧
は全てホールド電圧である12Vとなり、D11、D2
2はON状態を保持し点灯を続けた。一方、D12、D
21はOFF状態を保持した。この時、点灯しているD
11、D22の有機EL素子の輝度は図10より〜10
0cd/m2 となっていることがわかる。 再びの動作に戻る。
【0141】以上のような手順で駆動した場合、RESET
期間、全てのYの走査期間に比べてHOLD期間が十分に長
いため、得られる画像の明るさはHOLD期間の〜100cd
/m2となり、パツシブ表示装置の様に短い時間に高い輝
度で発光する必要がなくなることがわかった。また前述
したように本実施例の有機EL素子の作製は極めて単純で
あり、コストを抑える事が可能である。また本実施例の
有機EL素子は素子そのものがサイリスタ特性を有してい
るので、別個にサイリスタ素子を形成、接続する工程が
不用であることがわかる。
【0142】また、上記手順で駆動した場合は、1秒間
に60枚の画像の更新が可能であるので動画表示にも十
分対応することができることがわかる。
【0143】<実施例2>前記(10)のITO成膜工
程前に、光導電層13上に1000Å程度の絶縁膜15
を成膜し、フォトリソプロセスでパターニングした後、
(12)以下の工程を施した。
【0144】このとき、できあった素子の断面は図11
に示すようになった。このような構成の素子の場合、前
記光導電膜の側壁に存在するITO電極を介して流れる
暗電流を略無くすことができるので、耐ノイズ性に優れ
た素子を得ることができる。この絶縁膜15には、Si
O,SiNもしくはレジストのような有機膜を使用する
ことができる。特にレジストのように遮光性に優れた絶
縁膜を使用した場合には、外来光の影響も同時に無くす
ことができるため、極めてノイズに強い素子を得ること
ができる。その他の構成は上記実施例1の素子とほぼ同
様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省
略する。
【0145】<実施例3>より工程を簡略化した例とし
て、前記9の光導電層のパターニング工程を省略した。
このとき、できあがる素子の断面は図12に示すように
なった。この場合には、外来光の影響を受けやすくなる
ので、下部遮光電極12と遮光電極12上に設けられた
エッジカバー膜15の開口の寸法比を大きく取り、外来
光の影響を小さくするとよい。なお、エッジングカバー
15は、発光領域、および光導電層と有機EL素子との
接触領域以外を覆うように形成した。その他の構成は上
記実施例1の素子とほぼ同様であり、同一構成要素には
同一符号を付して説明を省略する。
【0146】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、素子自
体がサイリスタ特性を有し、これを用いてアクティブマ
トリックス表示装置を形成できるので、高精細、高信頼
性、高輝度の画像表示装置を提供することができる。ま
た、製造工程も簡単であり、低コストの光機能素子、有
機EL素子、有機EL表示装置を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光機能素子の基本構成を示す概念図で
ある。
【図2】本発明の光機能素子のエネルギー帯を模式的に
示した図である。
【図3】本発明の光機能素子をマトリクス配置した状態
を示す配線図である。
【図4】図2の表示装置を駆動するためのタイミングチ
ャートである。
【図5】本発明の光機能素子の製造工程を示す一部断面
図である。
【図6】本発明の光機能素子の製造工程を示す一部断面
図である。
【図7】本発明の光機能素子の製造工程を示す一部断面
図である。
【図8】本発明の光機能素子の製造工程を示す一部断面
図である。
【図9】本発明の光機能素子の製造工程を示す一部断面
図である。
【図10】本発明実施例であるサイリスタ型有機EL素
子の1mm2 のIL−V特性を示した図である。
【図11】本発明の他の構成の光機能素子の製造工程を
示す一部断面図である。
【図12】本発明の他の構成の光機能素子の製造工程を
示す一部断面図である。
【図13】従来のアクティブマトリックス型の有機EL
表示装置の回路図の一例を示した概略構成図である。
【図14】図13のA部拡大図である。
【符号の説明】
2 発光層 3 光導電層 4 取り出し光 5 帰還光 6 帰還電流
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // H01L 29/74 H01L 29/74 Z Fターム(参考) 3K007 AB02 AB18 BA06 CA01 CB01 DA01 DB03 EA00 EB00 EC03 FA01 GA04 5C094 AA07 AA43 AA44 BA04 BA27 CA19 DA13 DB01 DB04 EA04 EA05 EB02 FA01 FA02 FB01 FB02 FB12 FB14 GA10 GB10 5F005 AF01 AF02 AH04 FA03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰極と陽極の間に少なくとも1つのヘテ
    ロ接合を有する1層以上の光導電層と発光層を有し、 前記光導電層と発光層によりサイリスタ特性を有する光
    機能素子。
  2. 【請求項2】 前記光導電層は、50nm以下の薄膜を含
    有する請求項1の光機能素子。
  3. 【請求項3】 前記光導電層が無機非単結晶膜からなる
    請求項1の光機能素子。
  4. 【請求項4】 前記非単結晶膜はSi−H、およびSi
    −Cの非晶質または多結晶膜である請求項3の光機能素
    子。
  5. 【請求項5】 前記光導電層は、p/i/n/i/pと
    積層され、少なくとも1つのi型層が膜厚50nm以下の
    Si−H、およびSi−Cで形成されている請求項1〜
    4のいずれかの光機能素子。
  6. 【請求項6】 前記光導電層は、n/i/p/i/nと
    積層され、少なくとも1つのi型層が膜厚50nm以下の
    Si−H、およびSi−Cで形成されている請求項1〜
    4のいずれかの光機能素子。
  7. 【請求項7】 前記光導電層の増幅率は5以上である請
    求項1〜6のいずれかの光機能素子。
  8. 【請求項8】 前記光導電層は、素子の光取り出し側に
    配置されている請求項1〜7のいずれかの光機能素子。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかの光機能素子の
    発光層が有機材料で形成されている有機EL素子。
  10. 【請求項10】 請求項9の有機EL素子を複数有し、
    アクティブマトリクスとして動作する有機EL表示装
    置。
JP2001071799A 2001-03-14 2001-03-14 光機能素子、有機el素子および有機el表示装置 Withdrawn JP2002270367A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001071799A JP2002270367A (ja) 2001-03-14 2001-03-14 光機能素子、有機el素子および有機el表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001071799A JP2002270367A (ja) 2001-03-14 2001-03-14 光機能素子、有機el素子および有機el表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002270367A true JP2002270367A (ja) 2002-09-20

Family

ID=18929476

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001071799A Withdrawn JP2002270367A (ja) 2001-03-14 2001-03-14 光機能素子、有機el素子および有機el表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002270367A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005044799A (ja) * 2003-07-10 2005-02-17 Dainippon Printing Co Ltd 有機電界発光素子

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005044799A (ja) * 2003-07-10 2005-02-17 Dainippon Printing Co Ltd 有機電界発光素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4185002B2 (ja) El表示素子
US10566390B2 (en) Series connected quantum dot light-emitting device, panel and display device
US7911128B2 (en) Organic electroluminescence display device having anode and drain sealing structure and a method for fabricating thereof
JP2001134217A (ja) 有機el素子の駆動装置
JP2001195014A (ja) 有機el素子の駆動装置
JP2000082586A (ja) 有機el素子
JP2000252550A (ja) スイッチング素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子表示装置
KR101756657B1 (ko) 백색 유기 발광 소자 및 이를 이용한 표시 장치
JP2002289355A (ja) 有機半導体ダイオード及び有機エレクトロルミネセンス素子表示装置
JP2002289353A (ja) 有機半導体ダイオード
JP2000348866A (ja) 有機el表示装置
JP2001176673A (ja) 有機el素子
JP4543446B2 (ja) 有機el素子
US20040032206A1 (en) Efficiency transparent cathode
EP1107335A2 (en) Organic EL display device
JP2001166737A (ja) カラー画像表示装置
KR20150037708A (ko) 유기 발광 소자
JP2001183996A (ja) 画像表示装置および薄膜表示素子の駆動方法
JP7181641B2 (ja) 光電子素子、これを用いた平面ディスプレイ、及び光電子素子の製造方法
JP2001209331A (ja) 薄膜表示装置
JP2002289878A (ja) 有機半導体ダイオード
JPH11312584A (ja) 有機el素子
JP4792634B2 (ja) 光機能素子、有機el素子および有機el表示装置
JP2002270367A (ja) 光機能素子、有機el素子および有機el表示装置
KR100768230B1 (ko) 유기 발광 표시소자

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20040601

A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080603