JP2002265671A - ペクチン含有組成物 - Google Patents

ペクチン含有組成物

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JP2002265671A
JP2002265671A JP2001064895A JP2001064895A JP2002265671A JP 2002265671 A JP2002265671 A JP 2002265671A JP 2001064895 A JP2001064895 A JP 2001064895A JP 2001064895 A JP2001064895 A JP 2001064895A JP 2002265671 A JP2002265671 A JP 2002265671A
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pectin
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JP2001064895A
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Masaru Fukui
勝 福井
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Rohto Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広範囲なpH、イオン強度で安定に高粘度化
しうる液状の組成物を提供する。 【解決手段】 ペクチンと、ホウ酸及びその塩並びにト
リス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びその塩から
選択される1つ以上の化合物とを含有する液状の組成
物、及びホウ酸又はその塩、又はTRIS又はその塩を用い
てペクチン含有液状組成物の高粘度化を増強する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペクチンと、ホウ
酸及びその塩並びにトリス(ヒドロキシメチル)アミノ
メタン及びその塩から選択される1つ以上の成分とを含
有する組成物に関し、さらに詳しくは、液状の組成物に
関する。また、本発明は、ホウ酸又はその塩、又はトリ
ス(ヒドロキシメチル)アミノメタン又はその塩によ
り、ペクチンが生体局所の分泌液と接触した場合の、高
粘度化を増強する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ペクチンはペクチン質の構成成分で、酸
性多糖の一種であり、酸性溶液中でショ糖が存在すると
低温でゲル化するという性質を利用してジャムやゼリー
の製造におけるゲル化剤、ヨーグルトドリンクの安定剤
など、食品業界で広く使用されている。ペクチンの主成
分は、D−ガラクツロン酸がα−1,4結合によって直
鎖状に結合したポリガラクツロン酸であり、プロトペク
チン、ペクチニン酸、アミド化ペクチン、ペクチン酸な
どからなる。
【0003】天然物から抽出され、一般に利用可能なペ
クチンは、構造面からペクチン酸、ペクチン酸のカルボ
キシル基の一部がメチルエステル化されたペクチニン酸
(これらを狭義でペクチンと呼ぶ場合もある)、及びカ
ルボキシル基の一部がアミド化されたアミド化ペクチン
に分類される。ペクチン酸はペクチニン酸の加水分解に
よって得られ,メチルエステル基をもたず、カルシウム
イオン等の2価カチオンにより水に不溶性のゲルとな
る。これはエステル化していないガラクツロン酸が、カ
ルシウムイオンを取り囲むような形でエッグ・ボックス
を形成するためであると考えられている。従って、エス
テル化の程度は2価カチオンによるゲル化に大きく影響
する。
【0004】エステル化の程度を示すエステル化度(D
E)は、全ガラクツロン酸(全カルボキシル基)中に占
めるエステル化されたガラクツロン酸(カルボキシル
基)の割合を示す数値(%)であり、メチルエステル化
度の高低により、高メトキシペクチン(HMペクチン)
と低メトキシペクチン(LMペクチン)に分類される。
通常、DEが50%より高いものをHMペクチン、50
%以下のものをLMペクチンという。
【0005】ペクチンがゲル化する際のゲル化速度やゲ
ル強度(ゲル粘度)は、エステル化度に加えて、添加す
る糖の量、pH、ペクチンの量(濃度)、ペクチンの分
子量、カルシウムイオン量(濃度)等によって変化する
ことは周知である。
【0006】一方、ペクチン溶液は涙液中のカルシウム
濃度でゲル化・高粘度化することが知られており、ま
た、汗、生体各所の分泌物や血液中にもペクチンのゲル
化に必要な量のカルシウムイオンが含有されていること
が知られている。また、硝酸ピロカルピン(2.3、8.7
%)をペクチン水溶液に分散させたハイドロゲルを眼に
適用した場合の、ピロカルピンの徐放性効果が開示され
ている(Eur.J. Pharm.Biopharm.42(6)385-392(199
6))。しかし、水溶液に分散したピロカルピンを含有す
るペクチンは、ムチンへの吸着は高いものの、涙液中の
ピロカルピンのAUC(area under the concentration
v.s. time curve)は、ピロカルピン水溶液よりも低
く、生物学的な利用効果は少ないという結果が得られて
いる。
【0007】液状製剤の適用部位における滞留性を高め
るために、生体への適用後にゲル化するタイプの製剤が
提案されている。例えば、生物学的流体と接触すること
によりゲル化する製剤として、特公平6−67853号
には、生物学的流体から付加されるイオン強度の増加に
より液―ゲル相転移を起こすタイプの多糖類(例えば、
カラギナンなど)を含有する組成物が開示されている。
しかしながら、配合する成分にイオン性物質が存在する
と調製の段階でイオン強度が高く、適用前にゲル化して
しまう。医薬、医薬部外品、化粧品等の成分にはイオン
性物質が多いことから、この方法では、調製の自由度が
極めて制限されることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】医薬品、医薬部外品又
は化粧品等には、イオン性物質が多く含有されており、
また、安定化にpHが影響する成分も多数存在している
ことから、様々な成分を用いるためには、広範囲のpH
あるいはイオン強度で調製できることが必要である。
【0009】さらに、眼粘膜に適用する製剤の場合、涙
液の眼表面に対する「ぬれ」効果を妨げない、あるい
は、同等の効果を与えることができることが必要であ
る。涙液は非ニュートン流動性を有する液体であり、瞬
きによる力が加わったときは粘度低下、加わらないとき
は粘度上昇を示す。即ち、涙液は、瞬き時には粘度が低
くさらさらして瞬きをし易い状態であるが、瞬きの前後
には粘度が高く眼表面を覆って保護するという特有の性
質を有している。従って、このような涙液独特の作用を
妨げるような点眼剤は、点眼後に、乾燥感や疲れ目を引
起こし、不快感をもたらす恐れがある。
【0010】しかし、これまで、涙液と接触して高粘度
化する点眼剤であって、涙液と同様の非ニュートン流動
性効果を示さないまでも、涙液の該効果を妨げない点眼
剤は提供されていない。
【0011】本発明は、ペクチンが有する優れた特性を
有効に利用した汎用性に富む組成物を提供することを目
的とするものである。具体的には、ペクチンを含有し、
広範囲のイオン強度、pHで調製が可能な液状の組成物
を提供することを目的とする。また、本発明は、適用部
位に滞留し該部位での薬物等の有効成分の放出を持続化
し有効成分の生物学的利用能を増大させる持続性の液状
組成物を提供することを目的とする。さらには、製品と
しては粘度が低く、生体の目的部位への適用が容易であ
る一方、投与後、生体の分泌液と接触した場合には、速
やかに高粘度化して投与部位に滞留し、該部位で薬物等
の有効成分の滞留性や生物学的利用能を増大させると共
に、長時間にわたって薬効などの効果が持続する液状組
成物を提供することをも目的とする。本発明はまた、点
眼剤として適用した場合、適度に高粘度化して持続的に
作用し、しかも点眼後の乾燥感や疲れ目等の不快感を与
えにくい組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ね、ある特定の処方に
よれば、安定な滞留性及び/又は高粘度化を示し、安全
に使用できるペクチン含有液状組成物が得られることを
見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
ペクチンと、ホウ酸及びその塩並びにトリス(ヒドロキ
シメチル)アミノメタン及びその塩から選択される1つ
以上の化合物とを含有する液状の組成物を提供するもの
である。本発明は又、ホウ酸又はその塩、トリス(ヒド
ロキシメチル)アミノメタン又はその塩により、ペクチ
ンが生体由来の流体と接触したときの高粘度化を増強す
る方法をも提供する。
【0013】本発明の液状組成物は、水性、アルコール
性等、液性にはこだわらないが、水性液剤であることが
好ましい。本発明の組成物は医薬品、医薬部外品、化粧
品などに用いることができる。本発明の液状組成物は、
広範囲のpH、イオン強度で調製可能であることから、
安定化や可溶化のために、特定のpHやイオン強度を必
要とする成分を含有させることが可能であり、また物性
の異なる有効成分を安定的に配合することができる。ま
た、本発明の液状組成物は、生体に適用されるとその部
位で迅速に高粘度化して滞留し、持続的に作用を発揮す
るので、薬物等の有効成分の生物学的利用率の向上に寄
与し、もって投与量の減少、副作用の軽減などが可能と
なる。
【0014】すなわち、本発明の液状組成物は、適用前
は粘度が低く、流動性がよいので適用部位に一定量を投
与するまたは塗布することが容易であり、かつ適用後速
やかにゲル化するので、適用部位における有効成分の滞
留性が高く、長時間にわたり薬効を持続させるという特
徴を有する。本発明の組成物は2価カチオン、特にCaイ
オンに対して非常に選択的に反応して生理的なCaイオン
濃度で高粘度化する。これは、他のイオンの存在やその
イオン強度の増加には影響されない。従って、薬物等の
有効成分のイオン強度を殆ど配慮する必要がないので、
製剤等の製品設計の自由度が高い。しかも、涙液等の局
所の体液の粘度特性に類似した流動性を示すことから、
適用後の使用感が良好であるという特徴をも有する。
【0015】本明細書中、本発明の液状組成物が「滞
留」するとは、生体に適用されたとき、場合により高粘
度化して、適用部位により長時間とどまることを意味す
る。その結果、有効成分の作用はより長時間にわたって
持続される。また、本発明の液状組成物の「高粘度化」
とは、生体由来の流体と接触したとき、接触前の粘度よ
りも高い粘度に達することを意味する。本明細書中、
「ゲル化」なる用語は「高粘度化」と相互変換可能に用
いられている。ここで、「生体由来の流体」とは、生体
が分泌あるいは産生する液状物質を指し、各種の腺から
分泌される粘液や漿液等の分泌液を含み、例えば、涙、
鼻汁、膣液、直腸粘膜液、耳漏、唾液、汗、漿液等、生
体局所の分泌液、血液等が挙げられるが、これらに限定
されない。
【0016】本発明の好ましい態様では、生体由来の流
体との接触に際する高粘度化が増強されているので、よ
り低濃度のペクチンであっても所望の粘度に達成するこ
とから、より低粘度の組成物を提供することができる。
このような低粘度の組成物は、適用時に不快なべたつき
感がなく、官能性が改善されており、また、分注等の製
造工程での取り扱いも容易であるという特徴を有する。
【0017】また、本発明の組成物においては、分泌液
等の接触による粘度の上昇を確実かつ容易に行うことが
できる。その結果、広範なDEのペクチンや種々の有効
成分などを配合することができ、汎用性が高く、医薬の
場合、製剤設計の幅が広くなるという特徴をも有する。
さらには、液状組成物が点眼剤である場合、涙液と同じ
ような非ニュートン流動性を示し、点眼後に乾燥感や疲
れ目などの不快感を引起こしにくいという特徴を有す
る。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の組成物には、生体に適用
したとき、生体由来の流体と接触して高粘度化した後、
又は適度な粘度を維持して適用部位に長時間滞留するこ
とを条件として任意のペクチンを用いることができる。
本発明に関連し、用語「ペクチン」は、ポリガラクツロ
ン酸を主骨格とするポリマーであって、カルボキシル基
の一部が、エステル化(メチル化、エチル化、プロピル
化、アミド化)されているものを包含する。本発明に用
いるペクチンには、ペクチン酸、ペクチニン酸、アミド
化ペクチン等が含まれる。本発明には、市販品から入手
可能なもの、合成可能なものなど、任意のペクチンを使
用することができる。
【0019】本発明の液状組成物には、原則として任意
のペクチンを用いることができるが、生体局所のカルシ
ウムイオンとペクチンの相互作用はそのエステル化度
(DE)が低いほど強いので、一般にLMペクチンと呼ば
れているものが好ましい。具体的には、DEが50%以
下、好ましくは40%以下、より好ましくは25%以下
のペクチンを使用する。特に点眼剤や点鼻剤の場合に
は、50%以下、さらには40%以下であることが好ま
しい。また、外用剤の場合には、40%以下、さらには
25%以下であることが好ましい。組成物中のペクチン
の量は、エステル化度の程度、配合する有効成分、例え
ば薬物の種類、使用目的により適宜決定されるが、通
常、0.005-5W/V%、好ましくは0.01-3W/V%、より好ま
しくは0.05-1W/V%を添加するのが良い。特に、点眼剤
や点鼻剤の場合は、0.05-1W/V%が好ましく、0.1-1W/
V%が特に好ましい。また、外用剤の場合は、0.01-3W
/V%が好ましく、0.05-1W/V%が特に好ましい。配合
量が少ないと一般的に高粘度化が起りにくく、有効成分
の消失速度が速くなる。また、配合量が多いと、溶媒へ
の分散が悪く製造が困難になり、また、適用時の官能性
が悪い上、ゲル化時間が早くなりすぎて投与部位への薬
物の分散が悪くなると共に、ゲル内の薬物の分散が悪く
なる。
【0020】涙液、汗、粘液、漿液などの生体局所の分
泌液や血液等の生体由来の流体は、Caイオンを平均約
0.1〜3mM含有しているので、Caイオンを補充しな
くても、これらの流体とペクチンを接触させればゲル化
して、持続的に適用箇所で作用する。なお、本発明の液
状組成物において、ペクチンの種類、エステル化度及び
濃度を適宜選択することによって、適用局所での高粘度
化や薬物の滞留性(持続時間)を任意に調整することが
できる。高粘度化の程度は使用する部位や目的によって
決定され、適用前の組成物と同程度の粘度から、数百倍
の粘度まで、広範囲に及ぶ。
【0021】本発明の液状組成物に使用されるホウ酸又
はその塩、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ン又はその塩は、局所投与用の液状液剤の製造に通常使
用されているものから適宜選択することができる。使用
し得るホウ酸又はその塩は、ホウ酸イオンを形成できる
ものであればよく、局所投与用の、あるいは外用の液剤
の製造に通常使用されているものから適宜選択すること
ができ、ホウ酸、ホウ砂などを使用することができる。
また、使用し得るトリス(ヒドロキシメチル)アミノメ
タン又はその塩としては、トリス(ヒドロキシ)アミノ
メタンのイオンを形成するものであればよく、局所投与
用の、あるいは外用の液剤の製造に通常使用されている
ものから適宜選択することができ、トリス(ヒドロキシ
メチル)アミノメタン(以下、「TRIS」と称する)のス
ルホン酸塩、酢酸塩、塩酸塩などが挙げられる。有効成
分や他の添加剤の配合量にもよるが、本発明の液状組成
物中のホウ酸又はその塩、又はTRISの濃度は、ペクチン
の高粘度化を促進し、かつ、生体局所に刺激を生じない
濃度であることを条件として、任意である。通常、ホウ
酸又はその塩やTRIS又はその塩の濃度は、約0.5-300mM
が適当であり、1〜200mMであることが好ましく、50〜1
50mMであることが特に好ましい。
【0022】本発明の液状組成物のpHは、生体局所に
刺激を生じないpHであることを条件として任意である
が、通常、約4-9の範囲であり、好ましくは5-8.5、特に
好ましくは、5-8の範囲とする。pHの調節にはホウ酸
又はその塩、あるいはTRIS又はその塩の緩衝能を利用す
るが、必要に応じて、当該技術分野で用いられる適当な
pH調節剤、他の緩衝剤などを使用してもよい。
【0023】本発明の液状組成物は、生体に投与したと
き、適用部位にそのまま滞留するか、あるいは生体由来
の流体とペクチンが接触することによって高粘度化して
滞留する。投与の簡便性、投与時の官能性、製造の容易
性、並びに製造過程から使用に際する取り扱いの容易性
などの要因を考慮して、組成物は低粘度であることが好
ましい。通常、35℃で測定した場合の粘度を8000mPa・s
以下、好ましくは1000mPa・s以下、特に好ましく500mPa
・s以下に調整する。特に点眼剤や点鼻剤の場合には、
35℃における粘度として、50mPa・s以下が適当であ
り、0.5-20mPa・sが好ましく、0.8-10mPa・sがより好ま
しく、1-5mPa・sが特に好ましい。外用剤の場合には、
粘度を8000mPa・s以下、好ましくは1000mPa・s以下、よ
り好ましくは500mPa・s以下に調整する。なお、本発明
の組成物が皮膚に適用される製品であれば、高粘度化の
程度が大きいことが望ましい。また、高粘度化により保
水性も向上する。
【0024】これらの粘度値は、既知の円すい−円板回
転粘度形を用いる粘度測定方法(第十三改正日本薬局法
に記載の、一般試験法、36.粘度測定法、第2法回転粘
度計法、「(3)円すい−平板形回転粘度計」の項に記載
の方法)による測定値を基準としている。このような低
粘度の液状組成物を、投与時に所望の程度までゲル化さ
せるのに必要なペクチン、ホウ酸又はその塩、TRIS又は
その塩の種類や配合量は、本明細書の記載に従い、当業
者が決定することができる。
【0025】本発明の液状組成物に配合される有効成分
として、水溶性物質のみならず難溶性物質も用いること
ができる。以下、主として本発明の液状組成物が医薬組
成物である場合に関して説明するが、当業者ならば、医
薬部外品や化粧品である場合も、以下の説明に従って実
施可能であることを理解するであろう。
【0026】液状組成物が医薬組成物である場合、含有
させることができる薬物として、一般的に局所に使用さ
れる薬物が挙げられる。例えば、エピネフリン、塩酸エ
ピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸テトラヒドロゾリ
ン、塩酸ナファゾリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニ
レフリン、dl−塩酸メチルエフェドリン、塩酸オキシメ
タゾリン等の充血除去薬、メチル硫酸ネオスチグミン等
の筋調節薬、イプシロン-アミノカプロン酸、アラント
イン、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、アズレンスル
ホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸ニカリウム、硫酸
亜鉛、乳酸亜鉛、塩化リゾチーム、フルオロメトロン、
デキサメタゾン、コーチゾン、プレドニゾロン等の抗炎
症薬、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェ
ニラミン等の抗ヒスタミン薬、クロモグリク酸ナトリウ
ム、フマル酸ケトチフェン、アンレキサノクス、ペミロ
ラストカリウム、トラニラスト、フマル酸エメダスチ
ン、メキタジン等の抗アレルギー薬、塩酸プロカイン、
塩酸リドカイン等の局所麻酔薬、スルファメトキサゾー
ル、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキ
サゾール、スルフイソミジンナトリウム、セファロスポ
リン、エリスロマイシン、セフメノキシム、クロラムフ
ェニコール、ゲンタマイシン、カナマイシン等の抗菌
薬、塩酸ピロカルピン、臭化ジスチグミン、硫酸フィゾ
スチグミン等の縮瞳薬、硫酸アトロピン、塩酸フェニレ
フリン等の散瞳薬、マレイン酸チモロール、塩酸カルテ
オロール、塩酸プロプラノロール等の緑内障治療薬、ピ
レノキシン、グルタチオン等の白内障治療薬、フラビン
アデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミ
ン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピ
リドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、
パントテン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、リボフ
ラビン等のビタミン類、L-アスパラギン酸カリウム、L-
アスパラギン酸マグネシウム、L-アスパラギン酸マグネ
シウム・カリウム(等量混合物)、アミノエチルスルホ
ン酸等のアミノ酸類、コンドロイチン硫酸ナトリウム、
ヒアルロン酸等の多糖類、メントール、カンフル、ボル
ネオール、ゲラニオール、シネトール、アネトール、リ
モネン、オイゲノールの清涼化剤などを挙げることがで
きる。これらの薬物のうち、難溶性薬物は、当該技術分
野で既知の溶解補助剤、例えば、ポリソルベート80、ポ
リオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤、を用い
て可溶化してから使用しても良く、あるいは懸濁させて
使用することもできる。これらの薬物は、組成物中に0.
0001〜10%配合できる。
【0027】本発明の液状組成物には、必要に応じて、
リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝
液等の緩衝剤を加えてもよい。これらの緩衝剤は、製剤
の安定化や刺激性の低下に有用な場合がある。
【0028】有効成分のうち難溶性のもの、例えば、難
溶性薬物は溶解補助剤等で可溶化して使用しても良い
し、懸濁させて使用することもできる。溶解補助剤とし
ては、例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン
硬化ヒマシ油等の界面活性剤を使用しても良い。これら
の組成物には、通常水性組成物に用いられる添加剤、例
えば、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸カリウム、塩
酸クロロヘキシジン等の保存剤、エデト酸Na等の安定化
剤、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース等の増粘剤、塩化ナトリウム、塩化カ
リウム、グリセリン、ショ糖,ブドウ糖等の等張化剤、
ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等
の界面活性剤、塩酸、水酸化ナトリウム等のpH調整剤を
適宜添加しても良い。
【0029】本発明の液状組成物は、滞留性が向上され
ており、また、生体由来の流体(局所で分泌される分泌
液を含む)、たとえば、涙液、鼻汁、膣液、直腸粘膜
液、耳漏、汗、漿液、血液等により、詳しくは、それら
に含有されるカルシウムイオンとの相互作用によって高
粘度化されるので、そのような作用を妨げない限り任意
の剤形であってよい。従って、本発明の組成物は医薬
品、医薬部外品、化粧品など、広範な用途を有する。中
でも好ましい分野は医薬、医薬部外品及び化粧品であ
る。本発明の液状組成物が医薬である場合、それは、点
眼剤、点鼻剤、口腔用剤、膣用剤、座剤、外用剤等の形
をとりうる。本発明の組成物は、適用部位で涙液、鼻粘
膜液、唾液、膣液、直腸粘液、汗、漿液等の分泌液や血
液と接触してゲル化し、該部位で有効成分を持続的に作
用させるものであることから、分泌液や血液が存在して
いる部位で用いられる製剤に適している。
【0030】特に好ましい適用部位は局所の膜(眼粘
膜、角膜、鼻粘膜、口腔粘膜、直腸粘膜、膣粘膜など)
又は皮膚である。特に、局所の粘膜に適用することが好
ましい。好ましい製剤の一例は点眼薬や洗眼薬等の点眼
剤及び点鼻剤である。点鼻剤は、スプレー剤として使用
しても良い。特に点眼剤の場合、滞留性が向上している
ので、涙液中の薬物の濃度が維持され、薬理効果が持続
することから、抗菌薬、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン
薬、抗炎症薬などが配合された抗菌点眼薬、アレルギー
用点眼薬、抗炎症用点眼薬が好ましい。また、高粘度化
により、眼表面の保護効果が得られると共に、眼表面の
水分保持量が高くなるため、人工涙液型点眼薬も好まし
い。
【0031】さらに、l-メントール、d-メントール、d
l-メントール、α-カンフル、dl-カンフル、d-ボルネオ
ール、ベルガモント油、クールミント、ウイキョウ油、
ハッカ油、ユーカリ油、ゲラニオール等の清涼化剤を配
合したとき、その清涼化効果が持続し、官能性が向上さ
れるので、添加量を少なくしても所望の効果が発揮され
るので、清涼化剤を含有する組成物としても好ましい。
これらの清涼化剤の配合量は、通常、組成物中に0.0001
〜1%、好ましくは0.0001〜0.5%の範囲であり、点眼剤
の場合は、0.0001〜0.1%、好ましくは、0.0001〜0.05
%、鼻剤の場合は、0.0001〜0.1%、好ましくは、0.000
1〜0.05%、外用剤の場合は、0.001〜1%、好ましく
は、0.001〜0.5%である。
【0032】以下に実施例を示して、本発明をより詳細
に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するもので
はない。
【実施例】以下の実施例及び試験例における粘度の測定
は次の方法で行った。粘度は、WO97/28827に
記載の円すい一平板形回転粘度計を用いる方法で測定し
た。この方法は、第十三改正日本薬局法に記載の、一般
試験法、36.粘度測定法、第2法回転粘度計法、「(3)円
すい−平板形回転粘度計」の項に記載の方法と同様であ
る。粘度の測定は、市販の円すい−平板形回転粘度計と
適宜選択されたロータとを用いて測定することができ、
例えば、そのような粘度計の例には、E型粘度計[トキ
メック(TOKIMEC)製、東機産業(日本)から販
売]、シンクローレクトリックPC 型(ブルックフィー
ルド、米)、フェランティシャーリー(フェランティ、
英)、ロートビスコR (ハーケ、独)、IGK ハイシャー
レオメーター(石田技研、日本)、島津レオメーターR
(島津製作所、日本)、ワイセンベルグレオゴニオメータ
ー(サンガモ、英)、メカニカルスペクトロメーター(レ
オメトリックス、米)等がある。これらの市販の粘度計
とローターを適宜選択し、披検試料測定毎にJIS Z8809
により規定されている石油系の炭化水素油(ニュートン
流体)を校正用標準液として適宜調整することにより、
35℃における粘度を測定した。
【0033】円すい一平板形回転粘度計による測定 基本的には、図1に示すように、円すい1と平円板2と
の間の角度αの隙間に試料を入れ、円すい1又は平円板
2を一定の角速度ω若しくはトルクTで回転させ、定常
状態に達したときの平円板2又は円すい1が受けるトル
ク若しくは角速度を測定し、試料の粘度ηを次式により
算出する。 η =100×(3α/2πR)・(T /ω) η :試料の粘度(mPa・s)(Pa ・s =10 mPa・s ) α :平円板2と円すい1がなす角度(rad) π :円周率 R :円すい1の半径(cm) T :平円板2又は円すい1面に作用するトルク(10
−7N・m) ω :角速度(rad/s)
【0034】実施例に記載の各組成物の粘度は、E型粘
度計の1種であるTVE−20L形粘度計コーンプレート
タイプ[トキメック(TOKIMEC)製、東機産業(日
本)から販売]を用いて業者の指示に従い、WO97/
28827に記載の方法と同様に測定した。測定条件 :TVE−20L形粘度計コーンプレートタイプに付
属の標準コーンロータ(図1における円すい1に相当)
(α=1°34'、半径(R)=2.4cm)をフルスケール・
トルク67.37×10-6 Nm のスプリングを介してモータで
回転させる。測定時、粘度計は回転軸が水平面に対して
垂直になるように設置する。被検試料1mlをコーンロー
タの所定の位置(プレート、図1における平円板2に相
当)に載置し、温度が35.0℃になるまで放置する。次い
で、装置を被検試料の粘度に応じた回転数で回転させ、
6分後に、表示された粘度を読み取る。高精度の測定結
果を得るために、被検試料測定前に、JIS Z 8809 によ
り規定されている石油系の炭化水素油(ニュートン流
体)を校正用標準液として用い、測定値が標準液の粘度
に一致するように調整する。この標準液は、20℃、30
℃、40℃における粘度が±0.1%の精度で保証されてい
る。なお、TVE-20L形粘度計コーンプレートタイプ以
外の市販の機種を用い、上記と同様にコーンロータを選
択して実施し、適宜校正することにより、同等の結果を
得ることもできる。
【0035】被検試料に、塩化カルシウム溶液を添加し
て測定する場合には、添加前に上記の方法で粘度を測定
した後、塩化カルシウム溶液を添加し、添加後の粘度に
応じて装置の回転数を減少させ、同じく6分後に表示さ
れた粘度を読み取る。
【0036】試験例1 ペクチン溶液のCaイオンによる
高粘度化に対する緩衝液の影響 ペクチン(エステル化度22%)0.2gを所定のpHに調製
された0.01〜0.10Mホウ酸緩衝液、0.1Mクエン酸緩衝
液、0.2M TRIS緩衝液の各溶液100mlに溶解して調製
し、各溶液の粘度をTVE-20L形粘度計コーンプレートタ
イプを用い、前述の方法に従って測定した。次いで、各
溶液1mlに、100mM塩化カルシウム水溶液20μlを添
加して混合後直ちに、TVE-20L形粘度計コーンプレート
タイプを用い、前述の測定方法に従い測定した。最終的
なカルシウムイオン濃度は1.96mMであり、生理的な濃
度(平均約0.1-3mM)の範囲である。 粘度測定条件: 使用ローター:標準ローター(1°34‘、R=24mm) 試料量:1mL 測定温度:35℃ 時間:6分間後の測定値を粘度とした。 結果を表1に示す。
【0037】表1 Caイオン添加前後における0.2%ペ
クチン*の高粘度化に対する緩衝液の影響
【表1】 *)エステル化度22%
【0038】表1から、緩衝液不含溶液(水溶液)の場
合に比較して、ホウ酸緩衝液及びTRIS緩衝液中では、p
H約5-9という広範なpH域で、カルシウムによるペクチ
ンの高粘度化が顕著に増強されていることがわかる。一
方、クエン酸緩衝液の場合、緩衝能を有するpHで緩衝
液不含溶液に比較してむしろ粘度が低下している。以上
の結果は、ホウ酸イオンやトリス(ヒドロキシ)アミノ
メタンイオンの使用により、pHにかかわらず、生理的
なカルシウムイオン濃度で、組成物の安定な高粘度化が
達成されることを示すものである。
【0039】試験例2 ペクチン溶液のCaイオンによる
高粘度化に対するイオン強度の影響 ペクチン(エステル化度22%)0.2g及び塩化ナトリウ
ム0.3、0.6、0.9gを、pH7.0に調整された0.10Mホウ酸
緩衝液100mlに溶解し、得られた各溶液の粘度を試験
例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
【0040】表2 ペクチン溶液のCaイオンによる高粘
度化に対するイオン強度の影響
【表2】
【0041】表2から、ペクチン溶液の粘度はカルシウ
ム添加前も添加後も塩濃度の影響を受けないことが分
る。これは、イオン強度の増加により高粘度化する酸性
多糖(例えば、ゲランガム)に比べ、イオン強度の高い
処方を提供することも可能であり、自由度の高い製剤設
計が可能であることを示すものである。
【0042】試験例3 ずり速度(せん断応力)の粘度へ
の影響 ペクチン及び他の酸性多糖の溶液に対するせん断応力の
影響を調べるため、粘度計の回転数を変化させて、各糖
溶液の粘度の変化を調べた。 方法 ペクチン(エステル化度22%)及びカラギナン各2g
を、0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.5)100mlに溶解し、得
られた各溶液の粘度をTVRE−20L形粘度計コーンプレー
トタイプを用い、回転数を1-100rpmに変化させた以外は
前述の方法に従い、粘度を測定した。結果を図2に示
す。図中、横軸は回転数(rpm)、縦軸は粘度(mPa・s)
を示す。図2から、ペクチン溶液の場合、カラギナン溶
液と比較すると、回転数が高い場合には同程度に粘度が
低くなっているが、回転数が低くなると粘度が非常に高
くなっていることが分かる。これは、たとえば、本発明
の組成物を点眼剤として用いた場合は、瞬き前後(せん
断応力が小さい)は粘度が高くなり、眼表面を覆いやす
く、一方、瞬きをした場合(せん断応力が大きい)に
は、粘度が低下し、瞬きに支障を起こし難いことを示し
ている。上記の結果はまた、本発明の組成物を外用剤と
して用いた場合、皮膚に塗布するとき(せん断応力が大
きい)には低粘度で伸ばしやすく、塗布後(せん断応力
が小さい)は高粘度化してその部位に滞留し、さらに
は、除去するために圧力をかける(せん断応力が大き
い)と粘度が低下し、ふき取り易いことを示すものであ
る。
【0043】実施例 (1)抗菌性点眼薬の調製 抗菌性点眼薬(実施例1〜実施例5)を表3の処方に従
って調製した。次いで、得られた点眼剤の塩化カルシウ
ム添加前、及び添加後の粘度を、試験例1に記載の方法
に準じて測定した。 調製方法: 表3に従いペクチン以外の処方成分を採取し、約60
mlの精製水を加え加熱溶解(約60℃)した。 ペクチンは他の成分を加熱溶解した後、徐々に加え
て溶解した。 室温に戻した後、0.1N塩酸又は0.1N水酸化ナトリウ
ムを加えて所定のpHに調製し、精製水を加えて100ml
にメスアップした。 平均孔径0.22μmのセルロースアセテート(CA)メ
ンブランでろ過後、点眼びんに充填した。同様の方法
で、表3に記載の処方に従って、緩衝液不含の点眼剤
(比較例1)を調製した。
【0044】表3 処方表(%)
【表3】 1)エステル化度5%、(LM-5CS、HERCULES社製) 2)エステル化度28%(LM-104AS-FS、HERCULES社製) 3)エステル化度36%(LM-101AS、HERCULES社製) 4)エステル化度46% (LM-105AS、HERCULES社製)
【0045】(2)人工涙液型点眼薬の調製 人工涙液型点眼薬(実施例6-11)を表4の処方表に従っ
て調製した。 調製方法: 表4に従いペクチン以外の処方成分を採取し、約60
mlの精製水を加え加熱溶解(約60℃)した。 ペクチンは他の成分を加熱溶解した後、徐々に加え
て溶解した。 室温に戻した後、0.1N塩酸又は0.1N水酸化ナトリウ
ムを加えて所定のpHに調製し、精製水を加えて100ml
にメスアップした。 平均孔径0.22μmのセルロースアセテート(CA)メ
ンブランでろ過後、点眼びんに充填した。
【0046】表4 処方表(%)
【表4】 *)エステル化度22%
【0047】(3)一般用点眼薬の調製 一般用点眼薬(実施例12-15)を表5の処方表に従って
調製した。 調製方法: 表4に従いペクチン以外の処方成分を採取し、約60
mlの精製水を加え加熱溶解(約60℃)した。 ペクチンは他の成分を加熱溶解した後、徐々に加え
て溶解した。 室温に戻した後、0.1N塩酸又は0.1N水酸化ナトリウ
ムを加えて所定のpHに調製し、精製水を加えて100ml
にメスアップした。 平均孔径0.22μmのセルロースアセテート(CA)メ
ンブランでろ過後、点眼びんに充填した。 同様の方法で、表5に記載の処方に従って、比較例2〜
4の点眼剤を調製した。
【0048】表5 処方表(%)
【表5】 1)エステル化度22%
【0049】試験例3 点眼剤の前眼部滞留性試験 家兎(雄、日本白色種2〜3Kg)3羽を用いて試験を行っ
た。家兎は瞬膜を除去し、1週間以上訓化したものを用
いた。各試験液の投与は兎の同一眼を用い、1週間の間
隔をあけて各溶液の投与を行った。 試験液:実施例1-4、比較例1の各組成物及び生理食
塩水に、フルオレセイン濃度が0.001%となる様に添加
し、よく混合して調製し、滞留試験を行った。 方法:予め保てい器に固定したおいた家兎に試験液30μ
Lをマイクロピペットにて点眼した。点眼後直ちに眼に
光を照射し、強制瞬目を10回行い、試験0時間とした。
アンテリアフルオロメーター(FL-500,興和)により涙
液メニスカスの蛍光強度を適当な時間間隔を置いて測定
し、蛍光強度の減少から涙液中の薬物の消失速度を評価
した。なお、各測定時毎、光照射による強制瞬目を5回
行った。結果を図3に示す。図3から、初期第1相の早
い薬物消失速度は、実施例1〜4のいずれの場合も、比較
例1や生理食塩水よりも遅いことが分る。また、第1相か
ら第2相への移行時間は、実施例の場合、点眼後約30分
以上、比較例の場合、20分、生理食塩水の場合、5分で
あり、実施例の製剤の場合に、より滞留性の延長が認め
られた。
【0050】試験例4 点眼剤の前眼部滞留性試験及び
官能試験 被験者10人に対して、実施例12、14及び比較例2、
3、4の点眼剤を用いて、清涼感の持続性を基準とした
前眼部への滞留性及び乾燥感について、試験を行った。
まず、被験者は、任意の片眼に、各試験液2滴を点眼
し、点眼後、清涼感が消失するまでの時間を測定し、滞
留(持続)時間とした。また、同時に、点眼10分後、30
分後の目の乾燥感を下記の基準に従い、評価した。 乾燥感の評価基準 3:目が潤っていると感じる。 2:目がやや潤っていると感じる。 1:目に乾燥した感じがある。 結果を表6に示す。
【0051】表6 点眼剤の前眼部滞留性試験及び官能
試験の結果
【表6】
【0052】
【発明の効果】本発明の液状組成物は、適用前は粘度が
低く、流動性がよいので治療を必要とする部位に一定量
を投与するまたは塗布することが容易であり、かつ適用
後速やかにゲル化するので、すべての適用部位における
薬物等の有効成分の滞留性が高く、長時間にわたり薬効
を持続させるという特徴を有する。本発明の組成物は生
理的濃度のCaイオンに対して非常に選択的に反応して高
粘度化し、組成物中の他のイオンの存在やそのイオン強
度の増加やpHには影響されない。従って、薬物等の有
効成分のイオン強度やpHを殆ど配慮する必要がないの
で、製品設計の自由度が高い。しかも、涙液等の局所の
体液の粘度特性に類似した流動性を示すことから、適用
後の使用感が良好であるという特徴をも有する。また保
水効果及び表面の保護効果をも有する。従って、本発明
の組成物は医薬品、医薬部外品、化粧品などに用いるこ
とができ、特に点眼剤、点鼻剤、口腔用剤、膣用剤、座
剤、外用剤などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1図は、粘度測定のための円すい−平板形
回転粘度計の基本的な構造を示す略図である。
【図2】 ペクチン及び他の酸性多糖の溶液に対するず
り速度(せん断応力)の影響を示すグラフである。
【図3】 涙液中の薬物の消失速度を示すグラフである
【符号の説明】
1 円すい 2 平円板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/02 A61K 47/02 47/18 47/18 47/36 47/36 A61P 31/10 A61P 31/10 C08K 3/38 C08K 3/38 5/17 5/17 Fターム(参考) 4C076 AA12 BB22 BB24 BB25 BB29 BB30 BB31 CC01 CC03 CC10 CC18 CC23 CC24 DD08 DD19 DD22 DD23 DD30 DD49 DD50 EE30 FF17 FF31 FF35 4C083 AB151 AC541 AC581 AD211 AD371 AD611 CC01 DD23 DD27 DD42 FF01 4J002 AB051 DK006 EN107 GB00 GB04 HA03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペクチンと、ホウ酸及びその塩並びにト
    リス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びその塩から
    選択される1つ以上の化合物とを含有する液状の組成
    物。
  2. 【請求項2】 pHが4-9である、請求項1に記載の
    組成物。
  3. 【請求項3】 粘度が8000mPa・s以下である、請求
    項1又は請求項2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 ペクチンの濃度が、0.001-5W/V%
    である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の組
    成物。
  5. 【請求項5】 ペクチンのエステル化度が50%以下で
    ある、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の組成
    物。
  6. 【請求項6】 医薬品、医薬部外品及び化粧品から選択
    されるものである請求項1〜請求項5のいずれか1項に
    記載の組成物。
  7. 【請求項7】 点眼剤、点鼻剤、口腔用剤、膣用剤、座
    剤及び外用剤から選択される、請求項6に記載の組成
    物。
  8. 【請求項8】 充血除去薬、筋調節薬、抗炎症薬、抗ヒ
    スタミン薬、抗アレルギー薬、局所麻酔薬、抗菌薬、縮
    瞳薬、散瞳薬、緑内障治療薬、白内障治療薬、ビタミン
    類、アミノ酸類、多糖類、清涼化剤から選択される1種
    以上の成分を含有する、請求項7に記載の組成物。
  9. 【請求項9】 ホウ酸又はその塩、又はトリス(ヒドロ
    キシメチル)アミノメタン又はその塩により、ペクチン
    が生体由来の流体と接触したときの高粘度化を増強する
    方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005035969A (ja) * 2003-06-25 2005-02-10 Lion Corp 眼科用組成物及び該組成物の安定化方法
WO2007039936A1 (ja) * 2005-09-30 2007-04-12 Kobayashi Pharmaceutical Co., Ltd. 粘膜適用組成物
JP2012012328A (ja) * 2010-06-30 2012-01-19 Dsp Gokyo Food & Chemical Co Ltd キシログルカン−カチオン複合体及びそれを含有する安定化組成物
JP2014167034A (ja) * 2004-05-07 2014-09-11 Rohto Pharmaceut Co Ltd 高粘度点眼剤
JP7336105B2 (ja) 2017-09-14 2023-08-31 協同乳業株式会社 涙液分泌能・涙液安定性を改善するための飲食品または製剤

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