JP2002265356A - 腰椎椎間板ヘルニアの疼痛治療及び/予防剤 - Google Patents
腰椎椎間板ヘルニアの疼痛治療及び/予防剤Info
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Abstract
型以外の、突出型、脱出型及び遊離型の腰椎椎間板ヘル
ニアに対して有効な、新規な薬剤を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表わされるアミノア
ルコキシビベンジル類、薬学上許容し得るその塩及びそ
れらの溶媒和物を有効成分とする腰椎椎間板ヘルニアの
疼痛治療及び/または予防剤。 【化1】 〔上記式中、R1 、R2及びR3は水素原子等を表わ
し、R4は−N(R5)(R6)を表わし、mは0〜5
の整数を表わす。〕
Description
の疼痛治療及び/または予防剤に関する。
の膨隆、突出等に起因する疾患であり、この髄核が付近
の神経を刺激するために腰痛等の症状が現れる疾患であ
る。
髄核の膨隆によって、付近の神経が刺激されることによ
り疼痛等の症状が現れる膨隆型の腰椎椎間板ヘルニア、
2).椎間板内の髄核が膨隆後、脊柱管内に突出してい
るが、後縦靭帯を穿破していない、突出型の腰椎椎間板
ヘルニア、3).髄核がさらに脊柱管内に脱出し、後縦
靭帯を穿破しているが、中央椎間板とは遊離していな
い、脱出型の腰椎椎間板ヘルニア、及び、4).髄核が
脊柱管内に脱出して、さらに、中央椎間板から遊離して
いる、遊離型の腰椎椎間板ヘルニアの4種類に分類され
ている。
ステロイド性消炎鎮痛剤が使用されているが、非ステロ
イド性消炎鎮痛剤は、胃炎、胃潰瘍等の消化器系の副作
用の頻度が高いなどの問題があった。また外科処置も施
されているが、患者の侵襲が多いなど、十分とはいえ
ず、さらに効果的な薬剤が望まれているのが現状であっ
た。
り、組織の浮腫に加え、ノルアドレナリン誘発疼痛反応
を増強することが報告されている(Drug Des Deliv., 1
989, 4: 77-83)。腰椎椎間板ヘルニアにおいては、脱
出した髄核細胞が放出する化学発痛物質が神経根に作用
し、坐骨神経通を引き起こすといわれており(SPINE, 1
995, 20: 665-669)、セロトニンはこの発痛物質のひと
つと考えられている(Neuroscience, 1992, 48: 485-49
0)。セロトニンレセプターには種々のレセプターが存
在しているが、このうち5-HT 2レセプターが神経根の異
所性発火に最も関与していると考えられている(Pain, 1
998, 76: 349-355)。これまでセロトニン拮抗剤の椎間
板ヘルニアへの臨床応用の報告はNeural Neurochir Po
l, 1969, 3:19-24でなされているがこの報告には5−HT
2レセプターの拮抗剤が椎間板ヘルニアに有効であると
の報告はなされていない。
椎間板ヘルニアの疼痛治療に関する新たな薬剤を提供す
ることを目的としている。
な課題を解決すべく鋭意検討した結果、5−HT2レセ
プターの拮抗剤として知られる特定構造のアミノプロポ
キシビベンジル類が腰椎椎間板ヘルニアの疼痛治療及び
予防に有用であり、上記で挙げた4つのタイプのうち、
膨隆型を除いた、突出型、脱出型及び遊離型の腰椎椎間
板ヘルニアに有効であり、臨床的には腰痛のみでなく下
肢痛を伴う腰椎椎間板ヘルニアに有効であることを見出
し、本発明を完成するに至った。
表わされるアミノアルコキシビベンジル類、薬学上許容
し得るその塩及びそれらの溶媒和物を有効成分とする腰
椎椎間板ヘルニアに伴う疼痛治療及び/または予防剤に
存する。
原子、C1〜C5のアルコキシ基、またはC2〜C6の
ジアルキルアミノ基を表わし、R2は水素原子、ハロゲ
ン原子またはC1〜C5のアルコキシ基を表わし、R3
は水素原子、ヒドロキシル基、−O−(CH2)n−C
OOH(式中、nは1〜5の整数を表わす。)、または
−O−CO−(CH2)l−COOH(式中、lは1〜
3の整数を表わす。)を表わし、R4は−N(R5)
(R6)(式中、R5およびR6はそれぞれ独立して水
素原子またはC1〜C8のアルキル基を表わす。)また
は
いてもよいC3〜C5のアルキレン基を表わす。)を表
わし、mは0〜5の整数を表わす。〕 なお、本発明の好ましい態様としては、上記一般式
(1)で表される化合物が、下記式(2)で表わされる
化合物、その塩及びそれらの溶媒和物から選ばれたもの
であること;
が、塩酸塩であること;下記一般式(1)で表される化
合物が、下記式(3)で表わされる化合物、その塩及び
それらの溶媒和物から選ばれたものであること;
椎間板ヘルニアであること;腰椎椎間板ヘルニアが、突
出型、脱出型及び遊離型の腰椎椎間板ヘルニアであるこ
と;並びに、腰椎椎間板ヘルニアが、下肢痛の伴う腰椎
椎間板ヘルニアであることが挙げられる。
一般式(1)で表されるアミノアルコキシビベンジル類
並びに薬学上許容し得るその塩及びそれらの溶媒和物を
有効成分とする(なお、本明細書において塩とは、エス
テルをも包含する広義の意味である。)。
ロトニン拮抗剤として、脳循環障害、虚血性心疾患、末
梢循環障害等の疾患における、血栓生成および血管収縮
に基づく種々の微小循環障害の改善に有効であることが
知られている(特開平2−304022号公報)。しか
し、この化合物が腰椎椎間板ヘルニアの疼痛治療におい
て、特に、膨隆型以外の腰椎椎間板ヘルニア、詳しくは
突出型、脱出型及び遊離型の椎間板ヘルニアの疼痛治療
に有用であること、また、臨床的には腰痛及び下肢痛を
伴う椎間板ヘルニアの疼痛治療及び予防に有効であるこ
とは、全く予想外のことである。
体的に説明すると、式中、R1は水素原子;塩素原子、
弗素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、
ブトキシ基等のC1〜C5のアルコキシ基;ジメチルア
ミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基等の
C2〜C6のジアルキルアミノ基を表わす。R2は水素
原子;塩素原子、弗素原子等のハロゲン原子;メトキシ
基、エトキシ基、ブトキシ基等のC1〜C5のアルコキ
シ基を表わす。R3は水素原子;ヒドロキシル基;−O
−(CH2)2 −COOH、−O−(CH2)3−C
OOH等の−O−(CH2)n−COOH(式中、nは
1〜5の整数を表わす。);−O−CO−(CH2)2
−COOH、−O−CO−(CH2)3−COOH等の
−O−CO−(CH2)l−COOH(式中、lは1〜
3の整数を表わす。)を表わす。R4はアミノ基若しく
はメチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、
ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、ジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基等の炭素
数1〜8のアルキル基を1〜2個有するアミノ基を表わ
すか、又はトリメチレンアミノ基、ペンタメチレンアミ
ノ基、3−カルボキシペンタメチレンアミノ基等の環に
カルボキシル基が置換していてもよい4〜6員のポリメ
チレンアミノ基を表わす。
で用いるのに好ましいもののいくつかを表−1に示す。
OCH2C(R3)H−(CH2)m−R4がフェニル
基の2−位に結合しているのが好ましい。また、R1は
水素原子、C1〜C5のアルコキシ基、又はC2〜C6
のジアルキルアミノ基が好ましく、R2は水素原子が好
ましく、R4は少なくとも1個のC1〜C8のアルキル
基を有するアミノ基又はトリメチレン基ないしはペンタ
メチレン基を有する4〜6員のポリメチレンアミノ基で
あるのが好ましく、mは0〜2の整数であるのが好まし
い。特に好ましいのは、R1がメトキシ基であり、R2
が水素原子であり、R3が水酸基であり、R4がジメチ
ルアミノ基であるNo.15の化合物(以下、これを
「M−1」という)及びそのコハク酸エステルであるN
O.14の化合物である。
合物の薬学的に許容される塩も用いることができる。こ
のような塩を形成する酸としては、例えば塩化水素酸、
臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、コハク酸、ア
ジピン酸、プロピオン酸、酒石酸、マレイン酸、蓚酸、
クエン酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、メタンスル
ホン酸等が用いられる。また、一般式(1)で表わされ
る化合物やその塩の溶媒和物、例えば水和物も用いるこ
とができる。これらのうちで特に好ましいのは、下記式
(4)で表わされる(±)−1−〔O−〔2−(m−メ
トキシフェニル)エチル〕フェノキシ〕−3−(ジメチ
ルアミノ)−2−プロピル水素スクシナートの塩酸塩
(以下、これを「塩酸サルポグレラート」ということも
ある)である。
コキシビベンジル類は前述の如く公知化合物であり、特
開昭58−32847号公報に記載の方法又はそれに準
じた方法により、容易に合成できる。なお、上記式
(4)で表される化合物は、三菱東京製薬株式会社より
商品名アンプラーグとして市販されており、本発明にお
いてはアンプラーグをそのまま使用することも可能であ
る。
板ヘルニアの疼痛治療及び予防に供する。上述のよう
に、腰椎椎間板ヘルニアは、1).椎間板内の髄核の膨
隆によって、付近の神経が刺激されることにより疼痛等
の症状が現れる膨隆型の腰椎椎間板ヘルニア、2).椎
間板内の髄核が膨隆後、脊柱管内に突出しているが、後
縦靭帯を穿破していない、突出型の腰椎椎間板ヘルニ
ア、3).髄核がさらに脊柱管内に脱出し後縦靭帯を穿
破しているが、中央椎間板とは遊離していない、脱出型
の腰椎椎間板ヘルニア、及び、4).髄核が脊柱管内に
脱出しさらに、中央椎間板から遊離している、遊離型の
腰椎椎間板ヘルニアの4種類に分類されている。本発明
においては、上記化合物が、中でも、2)から4)に挙
げた、突出型の腰椎椎間板ヘルニア、脱出型の腰椎椎間
板ヘルニア及び遊離型の腰椎椎間板ヘルニアの疼痛に有
効であることを見出した。また、臨床的には、腰痛及び
下肢痛を伴う腰椎椎間板ヘルニアの疼痛に有効であるこ
とを見出した。上記のように、5−HT2拮抗剤が腰椎
椎間板ヘルニアの疼痛に有効であることは知られていた
が、上記本発明の化合物が、腰痛椎間板ヘルニアの中で
も、特定の腰椎椎間板ヘルニアに有効であることは、本
発明者らが知る限りこれまで全く報告されていない。な
お、膨隆型の腰椎椎間板ヘルニアはMRI診断により容
易に診断可能である。
び/または予防剤の投与方法は任意である。
腹腔内注射等の非経口投与も、また経口投与も可能であ
る。
時処理があるならばその種類、処置頻度、所望の効果の
性質等により決定される。
50mg/kg体重、通常1〜30mg/kg体重であ
り、1回あるいはそれ以上投与される。
剤、カプセル剤、粉剤、液剤、エリキシル剤等の形態
で、また、非経口投与の場合は、液剤あるいは懸濁化剤
等の殺菌した液状の形態で用いられる。上述の様な形態
で用いられる場合、固体あるいは液体の毒性のない製剤
的担体が組成に含まれ得る。
プのカプセルが用いられる。また、有効成分を補助薬と
ともに、あるいはそれなしに錠剤化、粉末包装される。
5〜95%、好ましくは25〜90%重量の有効成分を
含む。
つき5〜500mg、好ましくは25〜250mgの有
効成分を含有するのがよい。
ツ油、大豆油、ミネラル油、ゴマ油等の動植物起源の、
または合成の油が用いられる。
あるいは類似のショ糖溶液、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコ
ール類が液状担体として好ましく、特に生理食塩水を用
いた注射液の場合には通常0.5〜20%、好ましくは
1〜10%重量の有効成分を含むようにする。
説明する。なお、以下で用いた塩酸サルポグレラートは
三菱東京製薬株式会社から市販されている商品名アンプ
ラ−グを使用した。 実施例1 (対象・方法)腰椎椎間板ヘルニア44症例(男30人、
女14人、平均年齢37歳)を対象とした。脊柱管狭窄
症の合併、脊柱症性変化の著しいもの、糖尿病などの全
身代謝疾患、閉塞性血管病変、腰椎手術歴のあるものは
除外した。
を1〜2週間内服投与した。臨床評価は、投与前及び投
与後の下肢痛・しびれ、腰痛について、Visual Analog
Scale(VAS)を用いて行った。 (結果) (1)塩酸サルポグレラートの治療効果:VAS(0−
100mm)による評価では、下肢痛は投与前58±3
1mmが投与後31±25mmとなり、下肢しびれは投
与前45±28mmが投与後31±26mmとなった。
腰痛も投与前43±26mmが投与後24±22mmと
なり、いずれも有意な改善をみた(p<0.05、pair
ed t-test、図1参照)。 (2)ヘルニアのタイプと治療効果:手術治療を行った
19例で、術中所見からヘルニアのタイプを膨隆・突出
・脱出・遊離型に分類した。自覚症状が投与前の50%
以下に改善したものを著効群、50〜75%になったも
のを有効群、75%以上だったものを無効群とした。膨
隆型(n=5)では著効例はなく、有効群が1例、無効
群が4例であった。一方、突出・脱出・遊離型(n=1
4)では著効群が9例、有効群が3例、無効群が2例で
あった(p<0.05、Chi-squaretest、表−2参
照)。
腰椎椎間板ヘルニアの疼痛治療に有効であり、特に、腰
椎椎間板ヘルニアのなかでも、膨隆型以外の、突出型・
脱出型・遊離型の腰椎椎間板ヘルニアの疼痛に有効であ
ることが明らかである。
疼痛、なかでも、突出型、脱出型及び遊離型の腰椎椎間
板ヘルニアの疼痛に対して有効な、新規な治療及び/予
防剤を提供可能である。
である。
Claims (7)
- 【請求項1】 下記一般式(1)で表わされるアミノア
ルコキシビベンジル類、薬学上許容し得るその塩及びそ
れらの溶媒和物を有効成分とする腰椎椎間板ヘルニアの
疼痛治療及び/または予防剤。 【化1】 〔上記式中、R1 は水素原子、ハロゲン原子、C1〜
C5のアルコキシ基、またはC2〜C6のジアルキルア
ミノ基を表わし、R2は水素原子、ハロゲン原子または
C1〜C5のアルコキシ基を表わし、R3は水素原子、
ヒドロキシル基、−O−(CH2)n−COOH(式
中、nは1〜5の整数を表わす。)、または−O−CO
−(CH2)l−COOH(式中、lは1〜3の整数を
表わす。)を表わし、R4は−N(R5)(R6)(式
中、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子または
C1〜C8のアルキル基を表わす。)または 【化2】 (式中、Aはカルボキシル基で置換されていてもよいC
3〜C5のアルキレン基を表わす。)を表わし、mは0
〜5の整数を表わす。〕 - 【請求項2】 一般式(1)で表される化合物が、下記
式(2)で表わされる化合物、その塩及びそれらの溶媒
和物から選ばれたものであることを特徴とする請求項1
記載の疼痛治療及び/または予防剤。 【化3】 - 【請求項3】 塩が、塩酸塩であることを特徴とする請
求項2記載の疼痛治療及び/または予防剤。 - 【請求項4】 一般式(1)で表される化合物が、下記
式(3)で表わされる化合物、その塩及びそれらの溶媒
和物から選ばれたものであることを特徴とする請求項1
記載の疼痛治療及び/または予防剤。 【化4】 - 【請求項5】 腰椎椎間板ヘルニアが、膨隆型以外の腰
椎椎間板ヘルニアであることを特徴とする請求項1から
4のいずれかに記載の疼痛治療及び/または予防剤。 - 【請求項6】 腰椎椎間板ヘルニアが、突出型、脱出型
及び遊離型の腰椎椎間板ヘルニアであることを特徴とす
る請求項1から4のいずれかに記載の疼痛治療及び/ま
たは予防剤。 - 【請求項7】 腰椎椎間板ヘルニアの疼痛が、腰痛及び
下肢痛であることを特徴とする請求項1から4のいずれ
かに記載の疼痛治療及び/または予防剤。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001071304A JP2002265356A (ja) | 2001-03-14 | 2001-03-14 | 腰椎椎間板ヘルニアの疼痛治療及び/予防剤 |
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