JP2002264492A - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

画像形成方法及び画像形成装置

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JP2002264492A
JP2002264492A JP2001069539A JP2001069539A JP2002264492A JP 2002264492 A JP2002264492 A JP 2002264492A JP 2001069539 A JP2001069539 A JP 2001069539A JP 2001069539 A JP2001069539 A JP 2001069539A JP 2002264492 A JP2002264492 A JP 2002264492A
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JP2001069539A
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Akio Miyamoto
昭男 宮本
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像の不均一さを改良し、高精細な画像の印
画のみならず、ベタ部などの高階調部へも高効率に印画
可能な画像形成方法、及び画像形成装置を提供する。 【解決手段】 支持体上に転写記録層を設けてなる画像
転写材料と、バインダー樹脂含有受像層を有する受像シ
ートとを用いる画像形成方法であって、画像転写材料の
転写記録層表面又は受像シートの受像面のいずれかに、
熱転写材料の転写温度を低下させ得る転写性促進溶液の
液滴を、口径の異なる複数のノズル群のうちから、形成
する潜像の画像情報に応じて選択した少なくとも1ノズ
ル群から吐出して画像様に潜像を形成する潜像形成工程
と、該画像転写材料の転写記録層表面と受像シートの受
像面とを密着させて加熱し、潜像に対応した転写記録層
を受像シート上に転写する転写工程と、を含むことを特
徴とする画像形成方法、及び該画像形成方法を使用し得
る画像形成装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱転写方式を応用
した画像形成方法及びそれに用いる画像形成装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】紙、フィルム等の転写体に画像を形成す
る方法の一つに熱転写方式がある。この熱転写方式は、
転写材である顔料系色素からなる転写層を支持体表面に
形成した転写体(画像転写材料)を、紙、フィルム等の
受像体(受像シート)と重ね、転写シートの支持体の背
面側からサーマルヘッド、レーザーヘッド等にて画像様
に熱を加え、色素を受像シートヘ転写して、受像シート
上に画像を形成するものである。このような熱転写方式
の別の態様として、転写体上に配置された色素を加熱に
より昇華させて受像シートに転写するものもある。
【0003】熱転写方式で、画像様加熱にサーマルヘッ
ドを使用した方法では、ヘッド抵抗値のバラツキに起因
して、温度分布が不均一になり易く、その結果、形成さ
れる画像にむらが発生する問題があった。また、画像部
のみに局部高温加熱を行うことから、加熱部分の支持体
が変形し、シワが発生しやすい問題点を有していた。ま
た、画像の均一性を向上させる手段として、熱転写方式
における加熱にレーザー光を使用する方法があるが、装
置コストが高価であり、さらに局部的な高温瞬間加熱に
よって色素などの素材が分解し、最終的に形成された画
像にムラが発生しやすいという問題点があった。
【0004】これらの画像形成方法に対して、受像シー
トや画像形成する着色材に影響を与えない非接触の画像
形成方法として、インクを液滴として吐出させ、画像を
形成するインクジェット方式がある。インクジェット方
式についてはピエゾ型、サーマル型、ヘルツ型等種種存
在するがこれらについては「ジャーナルオブサイエンス
アンド テクノロジー」42巻 No.1(1996
年 米国)に詳述されている。ここではピエゾ型につい
て説明する。このピエゾ型では、インクヘッドが並設し
た複数のノズル孔と、このノズル孔に連通し、壁の一部
が振動板となる独立の吐出室と、振動板上に取り付けら
れた圧電素子と、吐出室にインクを供給する共通のイン
クキャビティとから構成され、画像情報に基づいたパル
ス電圧を、圧電素子に印加することにより、ノズル孔か
らインク液滴を吐出させて受像シート上に画像を形成す
るものである。
【0005】このインクジェット方式では、先に述べた
記録時の熱による支持体の変形や色材の変質の問題はな
いものの、インクのノズル詰まりを防止し、安定に均一
なインクのドロップを形成するためには液物性上、画像
形成素材の制限が多々有り、自由に画像形成素材を選択
出来なかった。カラー画像を形成する場合でも、ノズル
詰まりを防ぐ為に、染料又は特定の顔料を選択する必要
があり、画像における色相再現性に制限があり、例え
ば、印刷インク顔料と同一の色相を再現することを要求
される高精度の印刷プルーフ用プリンターには、適用で
きなかった。さらに、限定された画像形成材料を採用し
ても長期間使用しない場合、ノズル詰まりの問題があっ
た。また、形成した画像の耐光性、耐水性が低く、受像
シート上で染料がニジミ易い問題もあった。
【0006】このインクジェット方式を応用した画像形
成方法としては、例えば、特開平11−70633号公
報には、架橋性材料からなる記録層にインクジェット装
置により架橋剤液滴を画像様に付与し、付与した部分を
架橋、硬化させ、架橋されていない部分の材料を洗浄に
て除去し、画像を形成する方法が開示されている。この
方法は、いわゆるスクリーン印刷の版をインクジェット
を用いて形成し、その後、着色インクを用いて画像を形
成するもので、本発明の転写方式とは全く異なり、製
版、印刷の2工程を有し、また、製版において現像工程
を必要とするため、洗浄廃液処理等の問題もあり、複雑
な工程を必要としていた。また、この他に像担持体上
に、インクジェット記録方式により液体と着色剤とを含
む記録液からなる画像を形成し、これを被転写体上に転
写するいわゆる転写型インクジェット方式がある(例え
ば特開平5−42755号公報)。この方式は通常のイ
ンクジェット記録方式で、例えばドラム上の像担持体上
に色素を含む像を一度記録し、あらためて被転写体に像
を転写するもので、本出願とは異なり、一般インクジェ
ットと同様、色材の制限、ノズル詰まり等の問題がその
ままある。また、にじみやすく、解像度の低い像しかえ
られない。
【0007】さらに転写媒体を用いるインクジェット記
録方法として、特開平7−145576号公報には、イ
ンクジェットインクを、インクジェット記録装置によ
り、最上層に液反応性樹脂層を有する転写媒体に像様に
着弾させ、これを画像支持体(布帛等)に密着させ、加
熱加圧して画像部分を転写させることからなる、特に、
布帛への捺染が可能な画像形成方法が記載されている。
たとえば前記インクが水性インクの場合、液反応性樹脂
層は水溶性樹脂からなり、インク滴が着弾するとその部
分が溶解し粘着性(接着性)を帯び、この粘着性の故
に、加熱加圧時に着弾部分のみが転写されるため、布帛
にもインクジェット法を用いて高精彩な画像形成が可能
になったものである。しかし、この方法は、画像支持体
として特に布帛を対象とするものであり、また、あくま
でインクジェットインクを用いるものであるから、一般
のインクジェット記録と同様に色材の制限、ノズル詰ま
り等の問題はそのまま残り、また、転写が均一にできず
むらの発生が生ずるという問題点がある。
【0008】この他、特開昭62−117782号公報
には、像担持体の表面に溶媒をインクジェット吐出方式
を用いて像様に付与し、その後その像担持体の上にイン
ク層を接触せしめ、インク層の、像様溶媒に接触した部
分だけを、像担持体に形成する画像形成方法が記載され
ている。しかし、この方法は、前記公報の4頁右上欄の
7ないし16行に記載のように、適正な凝集力および付
着力を有する溶媒が必要なため溶媒の選択が難しい。ま
た、像担持体として合成樹脂フィルムが示されている
が、これは、バインダー塗布層のように溶媒受容性では
ないため、良好な転写性を安定に達成することは非常に
難しい。さらに前記方法は、微細ドットの再現が十分で
なく、特に多色の転写像を高解像度に得ることはできな
い。また、特開平7−276780号公報は、前記特開
昭62−117782号公報の画像形成方法を改良する
ものであり、被記録体に溶媒を像様に付与する方法とし
て、溶媒を含浸した多孔質体に、画像情報に応じて熱エ
ネルギーを付与し、含浸液体をミスト(微小滴)あるい
は蒸気として被記録体上に放出させる方法を用いるもの
で、インクジェット吐出方式を用いないため目詰まりが
ない等の効果を有している。しかし、この方法もミスト
あるいは蒸気を被記録体に付与することを除けば前記特
開昭62−117782号公報と同様の技術であるの
で、前述と同様の問題点が残る。
【0009】これらの問題点を改良する画像形成方法と
して、本発明者らは、先に、支持体上に熱転写材料から
なる転写記録層を設けてなる画像転写材料と、バインダ
ー樹脂含有受像層を有する受像シートとを用いる画像形
成方法として、画像転写材料の転写記録層表面または受
像シートの受像面のいずれかに、熱転写材料の転写温度
を低下させ得る転写性促進材料または粘着性材料を含有
する液を画像様に付与して潜像を形成した後、該画像転
写材料の転写記録層表面と受像シートの受像面とを密着
させて加熱し、潜像に対応した転写記録層を受像シート
上に転写する画像形成方法を提供した(特願2000−
163273号、特願平11−288179号)。
【0010】前記画像形成方法により、インクジェット
方式の欠点である画像形成材料の制限とノズルの詰まり
の問題が解決され、さらに、熱転写方式の欠点である熱
による支持体の損傷と画像の不均一さも改良され、色相
再現性に優れた画像を形成することができ、加えて微細
点の転写性・解像度においても優れており、特に多色画
像を形成する場合において、従来の熱転写法に比較し格
段に優れた画像が形成される。
【0011】この画像形成方法では、前記液を吐出する
ノズルの口径を微細にすることができるため、滲みを少
なくすることができ、高精細な画像を得ることができ
る。しかし、高濃度(高階調)のベタ部分等では印画に
長時間を要し効率が悪くなったり、微小部分では、ドッ
トの欠けやリングステイン(ドットの周辺部のみがリン
グ状に濃くなる現象)等が起こったりする場合があり改
善の余地がある。
【0012】一方、特開2000−6442号公報に
は、大小異なる口径のノズルを使用して、高精細な印画
をするときは小口径のノズルを使用し、ベタ部分などを
印画するときは大口径のノズルを使用するインクジェッ
ト記録方式が記載されているが、前記の如き問題点があ
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のごと
き画像形成方法において、画像の高品質化及び画像形成
の効率をさらに向上させることことを目的するものであ
り、口径の異なる複数のノズルから選択的に転写性促進
溶液を吐出させることにより、画像形成領域が、高階調
部か低階調部かによらず、また、画像形成が高解像度設
定か低解像度設定かによらず、いずれの領域あるいは設
定であっても良好な画像形成が可能な画像形成方法を提
供すること、また該画像形成方法を使用し得る画像形成
装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し得る本
発明は以下の通りである。即ち、 (1)支持体上に熱転写材料からなる転写記録層を設け
てなる画像転写材料と、バインダー樹脂含有受像層を有
する受像シートとを用いる画像形成方法であって、画像
転写材料の転写記録層表面又は受像シートの受像面のい
ずれかに、熱転写材料の転写温度を低下させ得る転写性
促進溶液の液滴を、口径の異なる複数のノズル群のうち
から、形成する潜像の画像情報に応じて選択した少なく
とも1ノズル群から吐出して画像様に潜像を形成する潜
像形成工程と、該画像転写材料の転写記録層表面と受像
シートの受像面とを密着させて加熱し、潜像に対応した
転写記録層を受像シート上に転写する転写工程と、を含
むことを特徴とする画像形成方法である。 (2)前記画像情報が、形成する画像の解像度設定であ
って、解像度設定が高いほど、前記複数のノズル群のう
ちのより口径の小さいノズル群が選択されるように設定
されていることを特徴とする前記(1)に記載の画像形
成方法である。 (3)前記画像情報が、形成する画像の階調であって、
高階調領域ほど、前記複数のノズル群のうちのより口径
の大きいノズル群が選択されるように設定されているこ
とを特徴とする前記(1)に記載の画像形成方法であ
る。 (4)前記複数のノズル群のうち、口径が大きいノズル
群ほど、吐出する転写性促進溶液中の濃度が低くなるよ
うに設定されていることを特徴とする前記(1)から
(3)のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0015】(5)支持体上に熱転写材料からなる転写
記録層を設けてなる画像転写材料の転写記録層を画像様
に、バインダー樹脂含有受像層を有する受像シートに転
写する画像形成装置であって、該転写記録層表面又は受
像シートの受像面のいずれかに、熱転写材料の転写温度
を低下させ得る転写性促進溶液の液滴を画像様に吐出し
て潜像を形成する液滴吐出ヘッドと、該画像転写材料の
転写記録層表面と受像シートの受像面とを密着させて、
通過させることかでき、少なくとも一方に加熱温度の制
御が可能な加熱手段を有する一対の加圧ローラーと、を
備え、前記液滴吐出ヘッドが、口径の異なるノズル群を
複数有し、該複数のノズル群のうち、形成する潜像の画
像情報に応じて選択される少なくとも1ノズル群から前
記転写性促進溶液の液滴を吐出することを特徴とする画
像形成装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明に係わる画像形成方法は、先ず、支持体上に
熱転写材料からなる転写記録層を設けてなる画像転写材
料と、バインダー樹脂含有受像層を有する受像シートと
を準備し、該画像転写材料の転写転写記録表面或いは受
像シートの受像面のいずれか一方に、転写感度を向上せ
しむる液体素材、言い換えれば、熱転写材料の転写温度
を低下させ得る転写性促進溶液の液滴を口径の異なる複
数のノズル群を用いて画像様に吐出して潜像を形成し、
形成された潜像を挟んで前記画像転写材料の転写記録層
と前記受像シートの受像面とを密着させ、前記転写感度
を向上する素材による潜像の非形成部が転写する温度よ
りも低く、前記転写感度を向上する素材による潜像形成
部が転写出来る温度に加熱した加圧ローラを通過させた
後に、前記転写体と前記受像体とを剥離することにて受
像体上に前記画像様に転写像を形成するものである。こ
の画像形成方法では潜像を形成した部分のみ転写材を支
持体から分離し、転写することで受像体面に画像を形成
する。
【0017】このように、予め口径の異なる複数のノズ
ル群を用意し、潜像形成時に、解像度設定又は画像の階
調に応じて最適な口径のノズル群を選択して使用するこ
とにより、解像度設定、画像の階調いかんによらず、高
精細で高画質画像が得られる。また、高階調部の画像、
特に画像形成が高解像度に設定されている場合にも効率
よく画像形成を行うことができるとともに、二次カブリ
も少ないという効果を有する。
【0018】詳細に説明すると、画像形成が低階調部
(ハイライト部)ではより小径のノズル群を用い、高階
調部(シャドー部、ベタ部)ではより大径のノズル群を
用い、また、画像形成を行う装置の解像度設定が高解像
度の場合にはより小径のノズル群を用い、低階調度の場
合にはより大径のノズル群を用いるものである。また、
高解像度あるいは低解像度に設定した場合、さらにハイ
ライト部又はシャドー部に応じて口径の異なる複数のノ
ズル群を用いることができる。このようにノズル群を選
択することにより、高解像度の画像形成が二次色カブリ
などの障害を起こすことなく、高効率で行え、また階調
の如何によらず高画質が得られる。
【0019】このような複数のノズル群は、2〜5群と
することが好ましい。中でも、設定可能な解像度の数分
だけノズル群を設けることが好ましい。すなわち、設定
可能な解像度毎に最適な口径のノズル群を設けるのであ
る。口径の異なる複数のノズル群の口径はそれぞれ、5
〜70μm範囲内で選択することができ、各ノズル群の
口径差は、5〜20μmとすることが好ましい。ノズル
群が3群以上の場合、それぞれのノズル群の口径差は異
ならせることができる。
【0020】次に複数のノズル群の具体例を示す。図2
は液滴吐出ヘッド13の吐出面13aの一例を示す図で
ある。液滴吐出ヘッド13の吐出面13aは、それぞれ
ノズルの口径が異なる、小径ノズル群13bと大径ノズ
ル群13cとを有する。図2では、小径ノズル群13b
と大径ノズル群13cの吐出口を示している。小径ノズ
ル群13bと大径ノズル群13cそれぞれの各ノズルの
口径は特に制限はなく、例えば、5〜70μmの範囲内
で大小異なる口径とすることができる。小径ノズル群1
3b及び大径ノズル群13cの各ノズル群中のノズルは
等間隔で配置されている。
【0021】このような吐出面13aを有する液滴吐出
ヘッド13を備えた、後述する画像形成装置1は、解像
度設定に基づき、小径ノズル群13bと大径ノズル群1
3cのいずれかを選択して使用することができる。画像
形成装置1は、画像形成の解像度を複数で設定可能であ
り、形成する潜像の解像度が高いほど、大小2つの口径
のノズル群のうちの小口径である小径ノズル群13bが
選択使用される。例えば、画像形成装置1が360dp
iと720dpiとの2つの解像度設定が可能な場合、
解像度が360dpiの場合には大径ノズル群13cを
選択し、720dpiの場合には小径ノズル群13bを
選択して使用する。設定可能な解像度が3以上ある場合
は、解像度に応じてどちらのノズル群を選択するかは予
め設定することができる。このように、高解像度での画
像形成では小径ノズル群13bを使用し、低解像度での
画像形成では大径ノズル群13cを使用することによ
り、高画質の画像を効率良く形成をすることができる。
【0022】また、画像形成装置1は、画像情報に基づ
き、形成すべき画像の高濃度部分では、大小2つのノズ
ル群のうちの大口径である大径ノズル群13cを選択し
て使用することができる。より具体的には、低階調(濃
度)部分では、小径ノズル群13bのみを使用し、中間
階調(濃度)部分では小径ノズル群13bと大径ノズル
群13cとを併用し、高階調(濃度)部分では大径ノズ
ル群13cのみを使用する。これら、低階調部分、中間
階調部分、高階調部分は、画像濃度帯域(0〜100
%)を3分割したものであるが、必ずしも3等分でなく
てもよく、各ノズルの口径によって適宜定めることがで
きる。例えば、高濃度部分を口径の小さいノズル群を用
いて潜像の形成を行うと長時間を要し効率が悪いが、こ
のように、高階調部分においては大径ノズル群13cを
選択して使用し、低階調部分においては小径ノズル群1
3bを選択して使用し、また、必要に応じて小径ノズル
群13bと大径ノズル群13cとを併用し、つまり、階
調に応じて口径の異なる2つのノズル群で分担して潜像
形成を行うと、効率よく印画することができる。
【0023】次に、液滴吐出ヘッド13の吐出面13a
が、口径の異なる3群のノズル群を備えた例について説
明する。図3に示すように、吐出面13aには、それぞ
れノズルの口径が異なる小径ノズル群13b’と中径ノ
ズル群13d’と大径ノズル群13c’とを有する。小
径ノズル群13b’、中径ノズル群13d’、及び大径
ノズル群13c’の各ノズルの口径は特に制限はなく、
それぞれ、例えば、5〜20μm、20〜40μm、4
0〜70μmとすることができる。
【0024】2群のノズル群の場合と同様に、小径ノズ
ル群13b’、中径ノズル群13d’、及び大径ノズル
群13c’は、設定する解像度が高いほどより小さいノ
ズル群が選択され使用される。例えば、360dpi、
720dpi、及び1440dpiの3つの解像度設定
が可能な場合、解像度が360dpiの場合には大径ノ
ズル群13c’を選択し、720dpiの場合には中径
ノズル群13d’を選択し、1440dpiの場合には
小径ノズル群13b’を選択して使用する。このよう
に、選択可能なノズル群を3群としたため、つまり、3
つの口径のノズル群を選択可能としたため、2つ口径の
ノズル群を有する場合と比較して、解像度によってはよ
り適した口径のノズル群を選択することができる。
【0025】また、画像濃度情報に基づき、形成すべき
画像における高濃度部分ほど、前記3つのノズル群のう
ちのより口径の大きいノズル群を選択して使用する。よ
り具体的には、低階調部分では、小径ノズル群13b’
のみを使用し、第1中間階調部分では小径ノズル群13
b’と中径ノズル群13d’とを併用し、第2中間階調
部分では中径ノズル群13d’のみを使用し、第3中間
階調部分では中径ノズル群13d’と大径ノズル群13
c’とを併用し、高階調部分Cでは大径ノズル群13
c’のみを使用する。これら、低階調部分、第1中間階
調部分、第2中間階調部分、第3中間階調部分、及び高
階調部分は、画像濃度帯域(0〜100%)を5分割し
たものであるが、必ずしも5等分でなくてもよく、各ノ
ズルの口径によって適宜定めることができる。このよう
に、選択可能なノズル群を3群とすると、2群の場合と
比較して、より緻密な階調表現が可能となる。
【0026】本発明における熱転写材料の転写温度を低
下させ得る転写性促進溶液としては、例えば、有機溶剤
類、界面活性剤類を挙げることができる。中でも、常温
で水と自由に混和する有機溶剤類及び水と混和しうる界
面活性剤類及びこれらの混合物が望ましい。また、転写
性促進溶液は、経時安定性やノズルの詰まりの懸念がな
いなどの観点から、固形の顔料や経時的に析出する化合
物などを含有せず、さらに、転写記録層に色材を使用す
る場合には、色調に影響を与えないという観点から、そ
の色材に対して化学的に作用せず、過熱などのエネルギ
ー付与によっても発色反応などを起こさない材料であ
り、それ自体無色、或いは淡色のものが望ましい。
【0027】水と自由に混和する有機溶剤類としては、
具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n
−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−
ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブ
チルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、チオジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、1,2,6−へキサントリオ
ール、へキシレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、グリセリン、等の1価又は多価アルコール類;エチ
レングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチル
エーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレング
リコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノ
メチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエー
テル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレン
グリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル等のエーテル類;ジアセトンア
ルコール等のケトアルコール類、N−メチル2−ピロリ
ドン、2−ピロリドン等含窒素系溶媒;等がある。
【0028】水と混和しうる界面活性剤類としては、ア
ニオン、カチオン、ノニオン、両性の界面活性剤類のい
ずれも、使用する熱転写材料の特性に応じて任意に選択
できるが、これらは水に溶解しうる範囲内の濃度で使用
出来る。具体的には脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル
塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレ
ンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキ
ルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルリン
酸塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アル
キルアルカノールアミン、アルキルアミン塩、アルキル
ベタイン等があげられる。
【0029】転写性促進溶液を液滴状に噴射するにあた
っては、上記の各材料を使用する熱転写材料の特性に応
じて選択して用いることができるが、1種を用いても、
2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、親水性の
有機溶剤類や界面活性剤類などをそれぞれ、或いは適当
な組み合わせで、水と混合して使用することが、効果の
観点から望ましい。転写性促進溶液の液状組成物を調製
するにあたっては、吐出適性の調整、液の保存安定性向
上、噴射された液滴の拡散防止等の目的で、表面張力調
整剤、防黴剤、粘度調整剤、pH調整剤、消泡剤等を本
発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。
【0030】転写性促進溶液は、熱転写材料からなる転
写記録層の任意の部分の転写性を向上させ、より低い転
写温度で容易に、完全に転写させることができるように
する目的で用いられるものである。転写性促進溶液は、
転写記録層又は受像層に少なくとも一部が浸透して、支
持体からの転写記録層の剥離を容易にするもので、転写
性促進溶液は好ましくは、表面張力20〜60mN/
m、粘度50mPa・s以下の物性を有する液である。
転写性促進溶液の転写記録層又は受像層に対する付与量
は、転写像の解像度を低下させない範囲に抑えることが
望ましい。付与量が多すぎると、画像部と非画像部との
界面で転写性促進溶液の浸透、転写記録層の溶解・流動
が生じ、画像界面の鮮鋭度が低下するおそれがある。こ
こで、転写温度を低下させる目安としては、本来の転写
記録層の転写温度に対して、この転写性促進溶液を付与
することで転写温度が3℃以上、下がるものが好まし
い。なお、転写促進溶液の機能は、転写記録層または受
像層に含まれるバインダー樹脂の可塑化ないし膨潤が起
こっていると考えられる。この転写温度については、以
下の方法で測定することができる。
【0031】図1に示す如き、温度可変の加熱ローラを
備える一対の加熱ニップローラを備える装置で、転写材
料と受像シートとの間に熱電対をはさみ、加熱ニップロ
ーラを通過させながら熱電対で温度を測定する。加熱温
度を変えながら測定を行い、転写が発生する最も低い温
度を転写温度とする。
【0032】また、本発明の画像形成装置において、転
写性促進溶液としてノニオン性界面活性剤及び水を含む
溶液を用いると、転写温度を低下させる効果が大きく、
また微細点の転写性が良いので解像度の高い転写画像を
得ることができる。この理由はかならずしも明確でない
が、転写層又は受像層に対する濡れ性、浸透性が良いた
め、微細ドットの潜像をシャープに形成すること、又、
転写層又は受像層に浸透した場合、その層中に使用され
ている樹脂類に対する可塑剤としての効果が高く、その
結果熱による潜像形成部の接着性が発現され、転写効果
がでると考えられる。更に、浸透したノニオン型界面活
性剤は転写層の支持体と塗布層との界面に配向し剥離転
写を促す効果も考えられる。水は、溶液中5〜95質量
%程度含まれる。また、ノニオン性界面活性剤として
は、中でも親水基として、エチレンオキシド基を付加し
たノニオン化合物の使用にて、潜像形成部の転写温度低
下効果が大で、又、高解像度が得られることを見出し
た。ノニオン系化合物として次の一般式1ないし一般式
4で表す化合物等があげられる。
【0033】
【化1】
【0034】上記一般式1において、Rはアルキル基ま
たはアルキレン基を示し、nは2〜30、好ましくは2
〜20整数を示し、一般式2においてRはアルキル基を
示し、nは2〜30、好ましくは2〜20整数を示し、
一般式3においてRはアルキル基又は水素を示し、nお
よびlは2〜30、好ましくは2〜20整数を示し、ま
た、一般式4においてR1およびR2は水素またはアルキ
ル基を示し、mおよびnは2〜30好ましくは2〜20
整数を示す。また、上記一般式1−4において、エチレ
ンオキシドの付加数は2ないし30が好ましく、特に好
ましくは2ないし20である。上記一般式1−4の化合
物の具体例として、ポリオキシエチレン(4)ラウリル
エーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、
ポリオキシエチレン(13)ステアリルエーテル、ポリ
オキシエチレン(5)オレイルエーテル、ポリオキシエ
チレン(10)ノニルフェニールエーテル、エチレンオ
キシドープロピレンオキシド共重合体(n=10,l=
7),アセチレングリコールのエチレンオキシド付加体
(n+m=10)等が挙げられるがこれらに限定される
ものではない。
【0035】前記のノニオン界面活性剤は、吐出液中に
0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%程
度が添加される。前記添加量が20質量%を超えると解
像度が低下する傾向にある。また、0.1質量%より少
ないと転写性促進効果が得られにくくなる。また、ノニ
オン界面活性剤に加え、適宜、水溶性有機溶剤を添加す
ることができる。水溶性有機溶剤としては前記の水と自
由に混和しうる有機溶剤として挙げたものが使用可能で
ある。水溶性有機溶剤の含有量は溶液中0〜90質量%
程度が適切である。特に、沸点100℃以上の溶媒含有
量が多いと潜像形成時の吐出安定性が高くなるが、転写
像の乾燥性が低下する。最適溶媒種及びその使用量は転
写体の乾燥の必要性、及び装置の乾燥能力により決定さ
れる。さらに、吐出適性、液の保存安定性を持たせるた
めに、表面張力調整剤、防黴剤、ポリマー等粘度調整
剤、pH調整剤、消泡剤等を併用することができる。
【0036】さらに、本発明において、前記転写性促進
溶液として水および常温常圧下で沸点100℃以上であ
ってかつ水と相溶性を有する有機溶剤を含む溶液を用い
ることにより、溶液の吐出安定性が向上するため潜像形
成時および待機後再開始時の不吐出現象を防ぐことがで
き、また、微細ドットの転写性が向上するので高解像度
の転写体を得ることができる。常温常圧下で沸点100
℃以上であってかつ水と相溶性を有する有機溶剤として
は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオ
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、グリセリン、等の1価又は多価アル
コール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレン
グリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール
モノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチル
エーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリ
プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル
類;ジアセトンアルコール等のケトアルコール類;N−
メチル2−ピロリドン、2−ピロリドン等含窒素系溶
媒;等が挙げられる。
【0037】これらの有機溶媒は、溶液中1〜90質量
%含有される。含有量が90質量%を超えると潜像形成
時の吐出安定性が高くなるが、転写像の乾燥性が低下す
る傾向がある。また、1質量%より少ないと吐出安定
性、微細ドットの転写性向上が得にくくなる。最適量は
転写体の乾燥の必要性、及び装置の乾燥能力により決定
される。また、転写温度を低下させる材料として、前記
の有機溶媒に加え、先に挙げた水と自由に混和しうる有
機溶剤や、前記の界面活性剤類を添加することもでき
る。さらに吐出適性や液の保存安定性の改良のための表
面張力調整剤、防黴剤、ポリマー等の粘度調整剤、pH
調整剤、消泡剤等を併用することができる。
【0038】ここで、本発明の画像形成方法に用いられ
る画像転写材料と受像シートについて説明する。該画像
転写材料は、支持体上に熱転写材料からなる転写記録層
を設けてなるものである。以下、画像転写材料を構成し
ている支持体、及び転写記録層、さらに所望により設け
られるその他の層について詳述する。
【0039】[支持体]画像転写材料の支持体の材料に
は特に限定はなく、各種の支持体材料を目的に応じて用
いることができる。支持体材料の好ましい例としては、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−
ナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチ
レン−アクリロニトリル共重合体等の合成樹脂材料を挙
げることができる。中でも、二軸延伸ポリエチレンテレ
フタレートが、機械的強度や熱に対する寸法安定性を考
慮すると好ましい。
【0040】支持体には、その上に設けられる転写記録
層との密着性を向上させるために、表面の粗面化処理及
び/又は一層又は二層以上の下塗層の付設を行なうこと
が好ましい。表面の粗面化処理の例としては、グロー放
電処理、コロナ放電処理等を挙げることができる。下塗
層の材料としては、支持体と転写記録層の両表面に高い
接着性を示し、かつ熱伝導性が小さく、また耐熱性に優
れたものであることが好ましい。そのような下塗層の材
料の例としては、スチレン、スチレン−ブタジエン共重
合体、ゼラチン等を挙げることができる。下塗層全体の
厚さは通常0.01〜2μmである。また、熱転写シー
トの転写記録層付設側とは反対側の表面には、必要に応
じて、離型層等の各種の機能層の付設、あるいは表面処
理を行なうこともできる。
【0041】[転写記録層]転写記録層は、有色画像を
形成する場合には、受像シートに転写されて着色画像を
形成するための顔料を少なくとも含有し、さらに、層を
形成するためのバインダ樹脂、および所望により、その
他の成分を含有する。なお、本発明においては転写記録
層は必ずしも有色の記録層に限定されず、例えば、平版
印刷版などの形成に用いる場合には無色の樹脂層などで
あってもよいが、前述の液状転写性促進溶液により転写
性が向上する特性を有することが必要である。顔料は一
般に有機顔料と無機顔料とに大別され、前者は特に塗膜
の透明性に優れ、後者は一般に隠蔽性に優れる等の特性
を有しているので、用途に応じて、適宜選択すればよ
い。本発明に係る画像転写材料をカラープルーフとして
印刷色校正用に用いる場合には、印刷インキに一般に使
用されるイエロー、マゼンタ、シアン、およびブラック
と一致するか、あるいは色調が近い有機顔料が好適に使
用される。またその他にも、金属粉、蛍光顔料等も用い
る場合がある。好適に使用される顔料の例としては、ア
ゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔
料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソイ
ンドリノン系顔料、ニトロ系顔料を挙げることができ
る。転写記録層に用いられる顔料を、色相別に分けて、
以下に列挙するが、これらに限定されるものではない。
【0042】1)黄色顔料 ハンザイエローG、ハンザイエロー5G、ハンザイエロ
ー10G、ハンザイエローA、ピグメントイエローL、
パーマネントイエローNCG、パーマネントイエローF
GL、パーマネントイエローHR。 2)赤色顔料 パーマネントレッド4R、パーマネントレッドF2R、
パーマネントレッドFRL、レーキレッドC、レーキレ
ッドD、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、
アリザリンレーキ、ローダミンレーキB。 3)青色顔料 フタロシアニンブルー、ビクトリアブルーレーキ、ファ
ストスカイブルー。 4)黒色顔料 カーボンブラック。
【0043】転写記録層のバインダ樹脂としては、軟化
点が40℃〜150℃の非晶質有機高分子重合体が好ま
しい。前記非晶質有機高分子重合体としては、例えばブ
チラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹
脂、スルホンアミド樹脂、ポリエステルポリオール樹
脂、石油樹脂、スチレン、ビニルトルエン、α−メチル
スチレン、2−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニ
ル安息香酸、ビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、アミノ
スチレン等のスチレン及びその誘導体、置換体の単独重
合体や共重合体、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメ
タクリレート等のメタクリル酸エステル類及びメタクリ
ル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、α−エチルヘキシルアクリレート等の
アクリル酸エステル及びアクリル酸、ブタジエン、イソ
プレン等のジエン類、アクリロニトリル、ビニルエーテ
ル類、マレイン酸及びマレイン酸エステル類、無水マレ
イン酸、ケイ皮酸、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル
系単量体の単独あるいは他の単量体等との共重合体を用
いることができる。これらの樹脂は2種以上混合して用
いることもできる。
【0044】転写記録層は、顔料を30〜70質量%含
有しているのが好ましく、30〜50質量%含有してい
るのがより好ましい。また、転写記録層は、樹脂を70
〜30質量%含有しているのが好ましく、70〜50質
量%含有しているのがより好ましい。
【0045】また、同一の受像シート上に多数の画像層
(画像が形成された転写記録層)を繰返し重ね合せて多
色画像を作製する場合には、画像間の密着性を高めるた
めに転写記録層は可塑剤を含むことが好ましい。そのよ
うな可塑剤の例としては、フタル酸ジブチル、フタル酸
ジ−n−オクチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル、
フタル酸ジノニル、フタル酸ジラウリル、フタル酸ブチ
ルラウリル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エス
テル類、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシ
ン酸ジ(2−エチルヘキシル)等の脂肪族二塩基酸エス
テル、リン酸トリクレジル、リン酸トリ(2−エチルヘ
キシル)等のリン酸トリエステル類、ポリエチレングリ
コールエステル等のポリオールポリエステル類、エポキ
シ脂肪酸エステル等のエポキシ化合物が挙げられる。ま
た、上記のような一般的な可塑剤以外にも、ポリエチレ
ングリコールジメタクリレート、1,2,4−ブタント
リオールトリメタクリレート、トリメチロールエタント
リアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペン
タエリスリトール−ポリアクリレートのようなアクリル
酸エステル類も、用いられるバインダーの種類によって
は好適に併用される。なお、可塑剤は二以上組合せて用
いてもよい。
【0046】前記可塑剤は、転写記録層において、顔料
と樹脂の総量と、可塑剤との質量比が、一般的には、1
00:1〜100:3、好ましくは100:1.5〜1
00:2となるように用いられる。転写記録層には、更
に必要に応じて、界面活性剤、増粘度剤等が添加され
る。
【0047】転写記録層は、顔料と前記バインダ樹脂等
とを溶解または分散した塗布液を調製し、これを支持体
上(支持体上に前記下塗り層上)に塗布し、乾燥するこ
とにより設けることができる。塗布液の調製に使用され
る溶媒としては、n−プロピルアルコール、メチルエチ
ルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル
(MFG)、メタノール等が挙げられる。塗布、乾燥
は、通常の塗布、乾燥方法を利用して行うことができ
る。尚、転写記録層の層厚(乾燥層厚)は0.1〜5.
0μm、好ましくは0.3〜4.0μmである。
【0048】支持体上に、転写記録層がこの順に積層さ
れた構成の画像転写材料の転写記録層表面、或いは、後
述する受像シートの表面に、転写性促進溶液を画像様に
付与して潜像を形成すると、転写記録層を構成する熱転
写材料のうち、転写性促進溶液が付着した潜像の部分の
み、転写記録層へ転写性促進溶液が浸透し、層を構成す
るバインダーの結合が緩むとともに、支持体と画像形成
層との間の結合力が低下して受像シートへの転写性が向
上し、より低い温度で転写することが可能になる。
【0049】[受像シート]本発明の方法に用い得る受
像シートとしては、通常、支持体と、その上に、1以上
のバインダー樹脂を含有する受像層が設けられ、所望に
より、支持体と受像層との間にクッション層、剥離層、
および中間層のいずれか1層または2層以上を設けた構
成をとるものが好ましいが、前記した転写記録層との親
和性が良好であれば、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)等の樹脂シート、普通紙、コート紙、ガラスエポ
キシシート、金属板などを用いることもできる。支持体
上に受像層を設けてなる受像シートの場合、支持体の受
像層とは反対側の面に、搬送性向上のためのバック層を
設けることが好ましい。
【0050】前記支持体としては、プラスチックシー
ト、金属シート、ガラスシート、紙等のような通常のシ
ート状の基材が挙げられる。プラスチックシートの例と
しては、ポリエチレンテレフタレートシート、ポリカー
ボネートシート、ポリエチレンシート、ポリ塩化ビニル
シート、ポリ塩化ビニリデンシート、ポリスチレンシー
ト、スチレン−アクリロニトリルシート、ポリエステル
シート等を挙げることができる。また、紙支持体として
は印刷本紙、コート紙等を用いることができる。
【0051】支持体が、微小な空隙(ボイド)を有する
と、カールを防止でき、画質を向上させることができる
ので好ましい。このような支持体は、例えば、熱可塑性
樹脂と、無機顔料や前記熱可塑性樹脂と非相溶性の高分
子等からなる填料とを混合した混合溶融物を、溶融押出
機によって単層または多層のフィルムとし、さらに1な
いし2軸に延伸することにより作製することができる。
この場合、樹脂および填料の選定、混合比率、延伸条件
などによって空隙率が決定される。
【0052】前記熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン樹脂、およびポリエチレンテレフ
タレート樹脂が、結晶性が良く、延伸性が良く、ボイド
の形成も容易であるので好ましい。前記ポリオレフィン
樹脂、またはポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分
とし、それに適宜少量の他の熱可塑性樹脂を併用するこ
とが好ましい。前記填料として用いられる無機顔料とし
ては、平均粒径が1μm以上20μm以下のものが好ま
しく、炭酸カルシウム、クレー、けいそう土、酸化チタ
ン、水酸化アルミニウム、シリカ等を用いることができ
る。また、填料として用いられる非相溶性の樹脂として
は、熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを用いる場合
は、ポリエチレンテレフタレートを填料として組み合わ
せるのが好ましい。なお、支持体における、無機顔料等
の填料の含有率は、体積で2〜30%程度が一般的であ
る。
【0053】受像シートの支持体の厚さは、通常10〜
400μmであり、25〜200μmであるのが好まし
い。また、支持体の表面は、受像層(あるいはクッショ
ン層)との密着性、または熱転写シートの画像形成層と
の密着性を高めるために、コロナ放電処理、グロー放電
処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0054】受像シートの表面には、転写記録層を転写
し、これを固定するために、支持体上に、受像層を1以
上設けることが好ましい。受像層は有機重合体からなる
バインダー樹脂を主体として形成される層であるのが好
ましい。前記バインダー樹脂は、熱可塑性樹脂であるこ
とが好ましく、その例としては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の
アクリル系モノマーの単独重合体およびその共重合体、
メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセ
テートのようなセルロース系ポリマー、ポリスチレン、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルアルコール、ポリ塩化ビニル等のようなビニル系モ
ノマーの単独重合体およびその共重合体、ポリエステ
ル、ポリアミド等のような縮合系ポリマー、ブタジエン
−スチレン共重合体のようなゴム系ポリマーを挙げるこ
とができる。受像層のバインダーは、転写記録層との間
の適度な接着力を得るために、ガラス転移温度(Tg)
が90℃より低いポリマーであることが好ましい。この
ために、受像層に可塑剤を添加することも可能である。
また、バインダーポリマーは、シート間のブロッキング
を防ぐために、そのTgが30℃以上であることが好ま
しい。受像層のバインダーポリマーとしては、転写記録
時の画転写記録層との密着性を向上させ、感度や画像強
度を向上させる点で、転写記録層のバインダーポリマー
と同一、若しくは類似のポリマーを用いることが特に好
ましい。受像層は、バインダー樹脂を含む有機溶剤溶液
または水性液(水溶液、水分散液)を支持体上に塗布す
ることにより形成される層であるので、プラスチックシ
ート等の支持体とは異なり、転写性促進溶液に対して受
容性を有する。受容性とは、受像層が転写性促進溶液に
よってたとえば可塑化ないし膨潤することをさす。この
可塑化ないし膨潤作用により、熱転写材料の転写温度が
低下し得る。本発明の方法により、受像層上に一旦画像
を形成した後、印刷本紙等へ再転写することもできる。
【0055】受像層の厚みは0.3〜7μm、好ましく
は0.7〜4μmである。0.3μm以下の場合、印刷
本紙への再転写の際に膜強度が不足し破れ易い。厚すぎ
ると、本紙再転写後の画像の光沢が増し、印刷物への近
似性が低下する。本発明の画像形成方法は、上記の如き
画像転写材料、受像シート及び転写性促進溶液を用いて
行われる。
【0056】以下、本発明に係わる画像形成装置を図面
を参照して説明するとともに、画像形成方法を工程毎に
順次説明する。図1は本発明を適用した画像形成装置の
一態様の構成を示す概念図である。画像形成装置1に
は、画像転写材料5に転写性促進溶液を液滴状に付与す
る液滴吐出ヘッド13と、画像転写材料5と受像シート
11とを密着させ、転写を行うための支持ドラム3と加
熱手段を備えたピンチローラー7とからなる一対の加圧
ローラーとを備える。支持ドラム3には支持体上に転写
記録層を形成した画像転写材料(転写シート)5が、外
周の一部分に巻き付けられるようにして支持される。支
持体に形成される転写記録層には、顔料系色素、金属粒
子などの素材と、バインダー樹脂等が含まれる。この実
施形態では、転写材が顔料系色素である場合を例に説明
する。
【0057】画像転写材料5は支持体側が支持ドラム3
に接触し、転写記録層側が表面となるようにして支持ド
ラム3に支持される。画像形成装置1には、支持ドラム
3と同一軸方向のピンチローラ7を対向配置してある。
このピンチローラ7の内部には温度制御可能なヒータを
内蔵してある。この支持ドラム3とピンチローラ7との
間には、受像シート11が挿入される。具体的には、支
持ドラム3とピンチローラ7との間には、画像転写材料
5と受像シート11とが、転写記録層と受像シート11
の受像面とを互いに密着した状態で挿入され、ピンチロ
ーラ7のヒータによって加熱されながら、支持ドラム3
とピンチローラ7の回転によって図中右方向に移動する
ようになっている。この実施形態では、PETフイルム
を支持体とする受像シートである場合を例に説明する。
【0058】画像形成装置1には、画像転写材料5の転
写記録層表面に対向する位置に液滴吐出ヘッド13を設
けてある。液滴吐出ヘッド13は図示されない移動レー
ルなどを介して画像転写材料の幅方向自在に移動可能に
配置されている。この液滴吐出ヘッド13の移動方向
は、画像形成のための主走査方向となる。この液滴吐出
ヘッド13は転写性促進材溶液の液滴を画像様に吐出
し、支持ドラム3に支持された画像転写材料5の画像転
写層表面に潜像を形成する。
【0059】本発明の画像形成装置を用いて多色画像を
形成する場合には、画像転写材料の転写記録層に含まれ
る色材として、黒色(K)、シアン(C)、マゼンタ
(M)、イエロー(Y)の各色を用いた画像転写材料に
より画像形成を行う。K色の画像転写材料5に対して、
液滴吐出ヘッド13から転写性促進溶液の液滴を、上述
のように潜像の画像情報に応じて、使用するノズル群を
選択し、画像様に吐出して画像転写材料5の転写記録層
に潜像を形成する。この工程が潜像形成工程である。
【0060】転写性促進溶液により潜像が形成された部
分は、周辺の転写記録層の部分に比較して転写温度が低
下している。従って、このときのピンチローラ7の加熱
条件としては、潜像形成部と受像層との接触部分の温度
が、本来の転写記録層の転写温度以下で、潜像部の転写
温度以上となるように温度範囲を設定すれば、潜像形成
部分と未形成部分(転写性促進溶液の付着しない部分)
とのオン/オフがクリアな画像転写を行うことができ
る。加熱温度は、転写記録層の転写温度未満で、且つ、
潜像部の転写温度を超える範囲であることが好ましい。
【0061】次に、潜像が形成された画像転写材料5の
転写記録層と受像シート11の受像面とが密着した状態
で、支持ドラム3とピンチローラ7とにより加圧する。
この時、ピンチローラ7内部の加熱手段を制御して所定
の条件で受像シート11及び画像転写材料5の全面が加
熱されることで、画像様に転写性促進溶液が付着した潜
像部分のみが転写シート11表面に画像様に転写され
る。即ち、転写工程である。その後、画像転写材料5が
支持ドラム3に沿って、円周方向に巻かれて搬送される
ことで、画像転写材料5が受像シート11から剥離さ
れ、受像シート11表面に、黒色画像が形成される。以
下、同様の手順により、C、M、Y色の各画像転写材料
5を用いて、同一の受像シート11上に、それぞれの色
毎の転写記録層を画像情報に基づき順次転写、定着し
て、4色を重ね合わせたフルカラー画像を形成する。
【0062】以上のように、上述の画像形成装置1を用
いた画像形成方法によれば、画像転写材料5及び受像シ
ート11を、全面的に加熱することで、転写性促進溶液
が付着した潜像部分のみの転写性が向上し、潜像部分の
みが選択的に転写シート11へ転写、定着させるので、
従来の剥離転写方式のように、サーマルヘッドの抵抗値
ムラ、接触ムラ、支持体の厚みムラに起因する熱伝導ム
ラがなく、均一な画像を形成することができる。
【0063】また、転写記録層には顔料系色素を用いる
ことができるため、インクジェット記録方式のインクの
場合のような物性の制限による顔料や染料の選択の必要
がなくなり、幅広い範囲の顔料系色素が選択できるよう
になり、所望の色相が選択でき色相再現性に優れるとと
もに、耐光性に優れた顔料、金属顔料、機能性顔料など
を任意に選択できるため、耐久性の良好な画像、所望の
色相や機能を有する画像を形成することができる。この
ため、色相再現性が重要視されるカラープルーフなどに
も好適に応用することができる。
【0064】次に本発明の画像形成装置の別の態様につ
いて説明する。なお、以下に示す画像形成装置内の液滴
吐出ヘッドは、前述の液滴吐出ヘッドのいずれも使用す
ることができる。図4は本発明に係わる画像形成装置の
第2の構成を示す。画像形成装置20は、受像シート1
1表面に液滴状の転写性促進溶液を付与する吐出ヘッド
21と、画像転写材料5と受像シート11とを密着さ
せ、転写を行うための支持ドラム3と加熱手段を備えた
ピンチローラー7とからなる一対の加圧ローラーと、密
着し、転写工程を終了した画像転写材料5と受像シート
11とを剥離させるための剥離バー23とを備える。
【0065】この画像形成装置20では、支持ドラム3
の搬送方向下流側に、画像転写材料5を受像シート11
側へ押圧するピールバー(剥離バー)23を設けてあ
る。また、剥離バー23と画像転写材料5の巻き取り手
段25との間では、画像転写材料5が所定の張力で巻き
取られるようになっている。更に、剥離バー23を通過
した後の画像転写材料5は、受像シート11に対して直
角に近い角度で剥離されるようになっている。このよう
に構成した画像形成装置20によれば、剥離バー23を
境に、画像転写材料5の支持体が直角に近い角度で屈曲
されるので、支持体と転写材との剥離が曲げ半径の違い
により促進されることとなり、受像シート11表面への
転写記録層の定着を良好にすることができる。
【0066】画像形成装置20は、支持ドラム3に対向
して液滴吐出ヘッド21を設けてある。液滴吐出ヘッド
21は受像シート11の幅方向自在に移動可能なように
なっている。この態様においては、吐出ヘッド21が受
像シート11方向に液滴を吐出する点、及び、画像転写
材料5と受像シート11とを安定に剥離させるための剥
離バー23を備える点を除けば、前記画像形成装置1と
同様の構成を有する。この液滴吐出ヘッド21は転写性
促進溶液の液滴を画像様に受像シート11表面に吐出し
て、潜像を形成するが、この受像シート11は、支持ド
ラム3に支持された画像転写材料5の転写記録層表面と
密着して、潜像形成部分における転写記録層の転写性を
向上させる機能を有する。
【0067】この態様では、転写性促進溶液を転写記録
層ではなく、受像シート11に吐出するので、薄い転写
記録体を用いた場合にも、吐出要因による潜像の位置精
度の低下を抑えることができる。このように、本発明の
画像形成装置においては、転写性促進溶液による画像様
の潜像を形成して、当該部分の転写記録層自体を受像シ
ート11に転写、定着して画像を形成するので、インク
を吐出して形成した画像に比較して、インクにじみの懸
念がなく、解像度と色相再現性に優れた画像を形成する
ことができる。また、前記したように、転写性促進溶液
による潜像は、画像転写材料5の転写記録層表面に形成
されても、受像シートの受像面に形成されても同様の効
果を奏する。
【0068】以下に、本発明の画像形成装置の変形例に
ついて説明する。なお、以下に示す画像形成装置内の液
滴吐出ヘッドは、前記第1及び第2の実施形態で示した
いずれの液滴吐出ヘッドも使用することができる。本発
明に係る画像形成装置30においては、図5に示すよう
に、前記液滴吐出ヘッドの液滴吐出方向が、前記画像転
写材料5及び前記受像シート11のいずれの方向ともす
ることができるように、吐出方向を切り換え自在に設け
て、材料や転写条件により適宜吐出方向を変更し得るよ
うに配置してある。液滴吐出ヘッド31の方向切り換え
構造としては、単一又は複数の吐出孔を有する液滴吐出
ヘッド31を、回動自在に設けるもの(図5に示したも
の)の他、予めそれぞれの方向に吐出孔を設けておき、
必要に応じていずれか一方の吐出孔を開閉制御するもの
等が考えられる。この画像形成装置30によれば、使用
する画像転写材料5又は受像シート11と液滴との適性
に基づき、いずれか好適な画像形成面に対して、液滴吐
出ヘッド31の液滴吐出方向を切り換えて、潜像を形成
することが可能となる。
【0069】また、本発明の画像形成方法において、転
写工程の後、受像シートの受像面を加熱乾燥する工程を
加えることが好ましい。この乾燥工程により潜像形成の
ための残存溶液が蒸発させられ、その結果、この受像シ
ートの上にさらに他の色の画像転写材料を重ねて転写さ
せた場合、二次色かぶりがなく高画質の画像を作製する
ことができる。前記の方法を実施するための画像形成装
置として、図6および図7の加熱乾燥装置を設けた画像
形成装置が挙げられる。図6で示される画像形成装置4
0は、前記図1で示される画像形成装置に、さらに加熱
乾燥装置27を転写位置よりも下流側に設置したもので
あり、また、図7で示される画像形成装置50において
は、前記図4で示される画像形成装置に、剥離バー23
よりも下流側に加熱乾燥装置27を設けたものである。
また、図示していないが、転写性促進溶液を画像転写材
料または受像シートに像様に付与した後であって転写す
る前に、解像度を低下させないため、前記付与面を加熱
乾燥させることが好ましい。
【0070】また、本発明の画像形成方法において、吐
出させる転写性促進溶液の濃度を、口径が大きいノズル
群ほど低くなるように設定することがより好ましい。こ
のように設定すると、口径の大きいノズル群から吐出さ
れる比較的大容量の転写性促進溶液が容易に乾燥し、前
述のニ次色カブリを抑えることができるとともに、乾燥
工程における乾燥時間を短縮することができる。これ
は、前記有効成分が転写温度であっても揮発しにくい、
例えば沸点が100℃以上の有機溶剤類、界面活性剤類
を用いた場合に特に有効である。また、各ノズル群の濃
度差は、0.5%ないしノズル群の口径の逆数比の差程
度とすることが好ましい。
【0071】また、本発明の画像形成方法の応用とし
て、親油性樹脂層を支持体に形成した画像転写材料5を
用い、受像シート11に代えて、外周面が刷版面となる
ドラム状の版胴を用て、同様の手順により画像形成を行
うことにより、版胴の外周面等、曲面上にも、所望の精
細な画像を形成することができ、少ない製造工程にて、
版を植設した版胴を形成することができる。
【0072】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに制限されるものではない。な
お、本実施例においては、特にことわりのない限り、
「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。 実施例1 <転写性促進溶液1の調製> 蒸留水 50部 n−プロパノール 45部 ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル 5部 上記成分を均一に攪拌し、転写性促進溶液1を得た。
【0073】 <転写性促進溶液2の調製> 蒸留水 52部 n−プロパノール 45部 ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル 3部 上記成分を均一に攪拌し、転写性促進溶液2を得た。
【0074】 <画像転写材料の作製> (1) イエロー転写記録層の形成 ブチラール樹脂 12.0部 (積水化学工業(株)製、エスレックFPD−1、 軟化点70℃、平均重合度300以下) イエロー顔料 12.0部 (東洋インキ(株)製、CI.P.Y14) n−プロピルアルコール 110.4部 分散助剤 0.8部 (ICIジャパン(株)製 ソルスパースS−20000) 上記成分を分散機で十分分散させた分散液10部に対し
てステアリン酸アミド0.24部、n−プロピルアルコ
ール60部を加えイエロー転写記録層塗布液を調製し、
裏面に離型処理された厚み5μmのロール状のポリエス
テルフィルム支持体上に所定の幅に等間隔でこの塗布液
を塗布して、乾燥膜厚が0.36から0.38μmとな
るようにイエロー転写記録層を形成した。 (2) マゼンタ転写記録層の形成 イエロー顔料の代わりに、マゼンタ顔料(東洋インキ
製、CI.P.R.57:1)を用いた他は、上記イエ
ロー転写記録層塗布液と同様にしてマゼンタ転写記録層
塗布液を調整し、前記ポリエステルフィルム支持体上の
イエロー転写記録層に隣接するように所定の幅でこのマ
ゼンタ転写記録層塗布液を塗布して、乾燥膜厚が0.3
6から0.38μmとなるようにマゼンター転写記録層
を形成した。 (3) シアン転写記録層の形成 イエロー顔料の代わりに、シアン顔料(東洋インキ製、
CI.P.B.15:4)を用いた他は、上記イエロー
転写記録層塗布液と同様にしてシアン転写記録層塗布液
を調整し、前記ポリエステルフィルム支持体上のマゼン
タ転写記録層に隣接するように所定の幅でこのシアン転
写記録層塗布液を塗布して、乾燥膜厚が0.36から
0.38μmとなるようにシアン転写記録層を形成し
た。 (4) ブラック転写記録層の形成 イエロー顔料の代わりに、黒色顔料(三菱化成製、カー
ボンブラックMA−100)を用いた他は、上記イエロ
ー転写記録層塗布液と同様にしてブラック転写記録層塗
布液を調整し、前記ポリエステルフィルム支持体上のイ
エロー転写記録層とシアン転写記録層の間に所定の幅で
このブラック転写記録層塗布液を塗布して、乾燥膜厚が
0.36から0.38μmとなるようにブラック転写記
録層を形成して、転写シートを得た。
【0075】 <受像シートの作製> 「第一層用塗布液」 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 160部 (日信化学(株)製、ソルバインCL2) エチレン−酢酸ビニル共重合体 61部 (三井デュポンケミカル(株)製、エルバロイ742) セバシン酸ポリエステル 28部 (日本曹達(株)製、FN−G25) パーフルオロアルキル基含有オリゴマー 4部 (大日本インキ化学工業(株)製、メガフアックF−178K) メチエチルケトン 630部 トルエン 210部 ジメチルホルムアミド 30部 「第二層用塗布液」 ポリビニルブチラール樹脂 16部 (電気化学工業(株)製、デンカブチラール#2000−L) N,N−ジメチルアクリルアミド−ブチルアクリレート共重合体 4部 パーフルオロアルキル基含有オリゴマー 0.5部 (大日本インキ化学工業(株)製、メガフアックF−177) n−プロピルアルコール 200部 厚さ130μmのPETフイルム支持体上に回転塗布機
を使用して上記第一層用塗布液を塗布し、100℃で乾
燥させ、乾燥時の膜厚が20μmの第1層を形成した。
【0076】上記第一層上に回転塗布機を使用して、上
記第二層用塗布液を塗布し、100℃で乾燥させ、乾燥
時の膜厚が2μmの第二層を形成して、受像シートを作
製した。
【0077】<潜像形成工程>図6に示す画像形成装置
40に、図2に示される大小2つの口径のノズル群(大
径ノズル群13c:20μm、小径ノズル群13b:1
0μm、ノズルピッチ:0.23mm、ノズル群間隔:
2.3mm、各ノズル群のノズル数:48)を有する液
滴吐出ヘッド13を装着し、大径ノズル群13cは前記
転写性促進溶液2を吐出するように設定し、小径ノズル
群13bは前記転写性促進溶液1を吐出するように設定
した。そして、以上のように設定した液滴吐出ヘッド1
3から、画像情報に基づき、転写性促進溶液1又は/及
び転写性促進溶液2を吐出し、イエローの画像転写材料
に潜像を形成した。なお、最低階調部は、小径ノズル群
13b単独で、最高階調部は大径ノズル群13c単独
で、中間階調部はレベルに応じて小径/大径ノズル群を
併用して転写性促進溶液1又は/及び転写性促進溶液2
を吐出し潜像を形成した。
【0078】<転写工程>続いて、支持ドラム3とピン
チローラ7により、潜像形成した画像転写材料及び受像
シートを用いて、受像シートの第2層上にイエロー画像
を転写した。
【0079】<乾燥工程>最後に、100℃に設定した
加熱乾燥装置27を用いて、転写後の受像シートを乾燥
させた。
【0080】同様の操作を、同一の受像シート及び各色
について繰り返し、フルカラーの画像を得た。得られた
画像は、高濃度部分と低濃度部分ともにムラは見られ
ず、ドットの欠けやリングステインも見られなかった。
【0081】実施例2 本実施例は、図3に示される大中小3つのノズル群を
(大径ノズル群13c’:40μm、中径ノズル群13
d’:30μm、小径ノズル群13b’:20μm、ノ
ズルピッチ:0.23mm、ノズル群間隔:3mm、各
ノズル群のノズル数:48)を有する液滴吐出ヘッドを
使用し、大径ノズル群13c’、中径ノズル群13
d’、及び小径ノズル群13b’の各ノズル群から吐出
される転写性促進溶液を、それぞれ、以下に示す処方で
調製した転写性促進溶液3〜5とした。そして、実施例
1で使用した画像転写材料及び受像シートを用いて、画
像情報に基づき、転写性促進溶液3、転写性促進溶液
4、及び転写性促進溶液5を吐出し、イエローの画像転
写材料に潜像を形成した。なお、最低階調部は小径ノズ
ル群13b’単独で、最高階調部は大径ノズル群13
c’単独で、中間階調部はレベルに応じて小径/中径/
大径ノズル群を併用して転写性促進溶液3〜5を吐出し
潜像を形成した。
【0082】 <転写性促進溶液3の調製> 蒸留水 53部 n−プロパノール 45部 ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル 2部 上記成分を均一に攪拌し、転写性促進溶液3を得た。
【0083】 <転写性促進溶液4の調製> 蒸留水 51部 n−プロパノール 45部 ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル 4部 上記成分を均一に攪拌し、転写性促進溶液4を得た。
【0084】 <転写性促進溶液5の調製> 蒸留水 49部 n−プロパノール 45部 ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル 6部 上記成分を均一に攪拌し、転写性促進溶液5を得た。
【0085】次に、潜像を形成したイエローの画像転写
材料に対して、実施例1で示した転写工程、乾燥工程を
行った。そして、同一の受像シート及び各色について繰
り返し、フルカラーの画像を得た。得られた画像は、高
濃度部分と低濃度部分ともにムラは見られず、ドットの
欠けやリングステインも見られなかった。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる画
像形成方法によれば、インクジェット方式の欠点である
画像形成材料の制限とノズルの詰まりの問題が解決さ
れ、さらに、熱転写方式の欠点である熱による支持体の
損傷と画像の不均一さも改良され、色相再現性に優れた
画像を形成することができ、加えて微細点の転写性・解
像度においても優れており、特に多色画像を形成する場
合において、従来の熱転写法に比較し格段に優れた画像
を形成することができる。また、口径の異なる複数のノ
ズルから選択的に転写性促進溶液を吐出させることによ
り、画像形成領域が、高階調部か低階調部かによらず、
また、画像形成が高解像度設定か低解像度設定かによら
ず、いずれの領域あるいは設定であっても良好な画像形
成が可能であり、画像の高品質化及び画像形成の効率を
さらに向上させることが可能な画像形成方法を提供する
ことができる。また該画像形成方法に使用する画像形成
装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる画像形成装置の一態様を示す
概念図である。
【図2】 2群のノズル群を有する液滴吐出ヘッドの吐
出面を示す模式図である。
【図3】 3群のノズル群を有する液滴吐出ヘッドの吐
出面を示す模式図である。
【図4】 本発明に係わる画像形成装置の吐出ヘッドが
受像シート方向に配置された態様を示す概念図である。
【図5】 本発明に係わる画像形成装置の吐出ヘッドの
方向が切り替え可能に配置された態様を示す概念図であ
る。
【図6】 図1の画像形成装置に加熱乾燥装置を設けた
画像形成装置の一態様を示す概念図である。
【図7】 図2の画像形成装置に加熱乾燥装置を設けた
画像形成装置の一態様を示す概念図である。
【符号の説明】
1、20、30、40、50 画像形成装置 3 支持ドラム 5 画像転写材料 7 ピンチローラ 11 受像シート 13、21、31 液滴吐出ヘッド 13a 吐出面 13b 13b’ 小径ノズル群 13c 13c’ 大径ノズル群 13d’ 中径ノズル群 23 剥離部材(剥離バー) 27 加熱乾燥装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B44C 1/17 B41J 3/04 101Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に熱転写材料からなる転写記録
    層を設けてなる画像転写材料と、バインダー樹脂含有受
    像層を有する受像シートとを用いる画像形成方法であっ
    て、 画像転写材料の転写記録層表面又は受像シートの受像面
    のいずれかに、熱転写材料の転写温度を低下させ得る転
    写性促進溶液の液滴を、口径の異なる複数のノズル群の
    うちから、形成する画像の画像情報に応じて選択した少
    なくとも1ノズル群から吐出して画像様に潜像を形成す
    る潜像形成工程と、 該画像転写材料の転写記録層表面と受像シートの受像面
    とを密着させて加熱し、潜像に対応した転写記録層を受
    像シート上に転写する転写工程と、を含むことを特徴と
    する画像形成方法。
  2. 【請求項2】 前記画像情報が、形成する画像の解像度
    設定であって、解像度設定が高いほど、前記複数のノズ
    ル群のうちのより口径の小さいノズル群が選択されるよ
    うに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の
    画像形成方法。
  3. 【請求項3】 前記画像情報が、形成する画像の階調で
    あって、高階調領域ほど、前記複数のノズル群のうちの
    より口径の大きいノズル群が選択されるように設定され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方
    法。
  4. 【請求項4】 前記複数のノズル群のうち、口径が大き
    いノズル群ほど、吐出する転写性促進溶液の濃度が低く
    なるように設定されていることを特徴とする請求項1か
    ら3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 【請求項5】 支持体上に熱転写材料からなる転写記録
    層を設けてなる画像転写材料の転写記録層を画像様に、
    バインダー樹脂含有受像層を有する受像シートに転写す
    る画像形成装置であって、 該転写記録層表面又は受像シートの受像面のいずれか
    に、熱転写材料の転写温度を低下させ得る転写性促進溶
    液の液滴を画像様に吐出して潜像を形成する液滴吐出ヘ
    ッドと、 該画像転写材料の転写記録層表面と受像シートの受像面
    とを密着させて、通過させることかでき、少なくとも一
    方に加熱温度の制御が可能な加熱手段を有する一対の加
    圧ローラーと、を備え、 前記液滴吐出ヘッドが、口径の異なるノズル群を複数有
    し、該複数のノズル群のうち、形成する潜像の画像情報
    に応じて選択される少なくとも1ノズル群から前記転写
    性促進溶液の液滴を吐出することを特徴とする画像形成
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103407163A (zh) * 2013-07-23 2013-11-27 广东工业大学 一种微纳三维打印喷头装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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