JP2002264244A - フォトクロミック膜付き基体とその製造方法 - Google Patents

フォトクロミック膜付き基体とその製造方法

Info

Publication number
JP2002264244A
JP2002264244A JP2001065175A JP2001065175A JP2002264244A JP 2002264244 A JP2002264244 A JP 2002264244A JP 2001065175 A JP2001065175 A JP 2001065175A JP 2001065175 A JP2001065175 A JP 2001065175A JP 2002264244 A JP2002264244 A JP 2002264244A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ring
photochromic
substrate
substituted
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001065175A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroteru Matsumoto
太輝 松本
Takeshi Morimoto
剛 森本
Hiroyuki Tomonaga
浩之 朝長
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2001065175A priority Critical patent/JP2002264244A/ja
Publication of JP2002264244A publication Critical patent/JP2002264244A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】有機フォトクロミック色素を含み良好な着褪色
特性を有し、かつ充分な耐擦傷性を有するフォトクロミ
ック膜が基体上に形成されたフォトクロミック膜付き基
体と、該フォトクロミック膜付き基体を簡便に製造でき
る製造方法の提供。 【解決手段】酸化ケイ素マトリックス中に特定のスピロ
化合物からなるフォトクロミック色素とポリエーテル化
合物とを有するフォトクロミック膜が基体上に形成され
たフォトクロミック膜付き基体とその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフォトクロミック膜
被覆物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外線によって着色するフォトクロミッ
ク材料は、窓材への応用の他、ホログラム素子や光記録
素子等への応用も期待されている。フォトクロミック材
料としては、ハロゲン化銀や金属酸化物(例えば酸化チ
タン)等の無機系材料と、ジアリールエテン、スピロピ
ラン、スピロオキサジン等の有機系材料がある。有機系
材料は耐久性の面での問題はあるものの、多色性や着色
退色の応答速度という観点では優れている。
【0003】現在、有機系材料が実用化されている例と
しては、調光によってファッション性や視覚快適性が付
与された、眼鏡レンズやサングラスなどが挙げられる。
トランジションズ・オプティカル(TRANSITIO
NS OPTICAL)社のフォトクロミックレンズは
サーマル・トランスファ・プロセスと呼ばれる方法で製
造されている。この方法は、フォトクロミック色素を含
む紙をプラスチックレンズ基体上に接触させ、加熱によ
り色素を基体中に拡散させることにより、フォトクロミ
ックレンズを得るものである。
【0004】しかし、前記方法は、プラスチックのよう
に色素が分散しないガラス基体に対しては適用できな
い。また、大面積化に際しては生産効率といった面から
も問題がある。また有機色素は熱により容易に分解する
ため、溶融ガラス中に分散させることもできない。この
ため、ガラス基体上に薄いフォトクロミック性を有する
被膜(以下、フォトクロミック膜という)を簡便に形成
できる製造方法が望まれている。
【0005】従来、有機色素系のフォトクロミック膜を
形成する方法としては、1)高分子ポリマー前駆体のモ
ノマーにフォトクロミック色素を溶解させ重合キャスト
する方法、2)シリコン系ハードコート液にフォトクロ
ミック色素を溶解させコーティングする方法、等が提案
されている。
【0006】しかし、1)の方法では、得られる膜が高
分子ポリマーであるため、強度、硬度の低いコーティン
グしか得られないうえに、重合開始剤によってフォトク
ロミック色素が分解される問題がある。また、2)の方
法では、緻密なシロキサンネットワーク中にフォトクロ
ミック色素が束縛され、着褪色反応が阻害されるため
に、充分な着褪色特性が得られない問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、有機フォト
クロミック色素を含み良好な着褪色特性を有し、かつ充
分な耐擦傷性を有するフォトクロミック膜が基体上に形
成されたフォトクロミック膜付き基体と、該フォトクロ
ミック膜付き基体を簡便に製造できる製造方法の提供を
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸化ケイ素マ
トリックス中に、式(1)で示されるスピロ化合物(式
中XはNまたはCHを示し、YはOまたはSを示す。環
αは、スピロ炭素原子に隣接する位置がNである環であ
り、環に結合する水素原子は他の基で置換されてもよ
く、Rは有機基である。環βは、ベンゼン環、ナフタレ
ン環、アントラセン環、フェナントレン環、または前記
環を構成する1つまたは2つのCHがNに置換された環
であり、環に結合する水素原子は他の基で置換されてい
てもよい。)からなるフォトクロミック色素と、該マト
リックスに結合していてもよいポリエーテル化合物と、
を有するフォトクロミック膜が基体上に形成されたフォ
トクロミック膜付き基体を提供する。
【0009】
【化4】
【0010】式(1)中の環αにおいて、スピロ炭素原
子に隣接する位置は2ヵ所あるがそのいずれかがNであ
ればよい。環αとしては、環を構成する元素が炭素と1
つのNとからなるものが挙げられ、具体的には、インド
リン環などが挙げられ、環に結合する水素は置換されて
いてもよい。式(1)中のRは、アルキル基(例えば炭
素数が1〜6のアルキル基)、アルコキシ基(例えば炭
素数が1〜6のアルコキシ基)、または−(CH)n
OOZ’(nは1〜4の整数であり、Z’は水素または
炭素数1〜6のアルキル基)であることが好ましい。
【0011】また、式(1)中の環βの具体例として
は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェ
ナントレン環、ピリジン環、キノリン環、アントラセン
環を構成する1つのCHがNに置換された環、フェナン
トレン環を構成する1つのCHがNに置換された環など
が挙げられ、前記の環に結合する水素は置換されていて
もよい。
【0012】フォトクロミック膜中の酸化ケイ素はマト
リックス(母材)であり、シロキサンネットワークを形
成している。式(1)で示されるスピロ化合物からなる
フォトクロミック色素(以下、単にスピロ系色素とい
う)は該シロキサンネットワーク中に分散している。ポ
リエーテル化合物は、1)該シロキサンネットワーク中
に分散しているか、または、2)該シロキサンネットワ
ークの一部と結合している。
【0013】スピロ系色素は、分子構造中に2つのヘテ
ロ環状部を有し、2つのヘテロ環状部は共通の炭素原子
で結合した構造となっている。スピロ系色素としては、
式(1)中のXがC(炭素)で、YがO(酸素)である
スピロピラン類(例えば、式(3)で示される化合物)
や式(1)中のXがN(窒素)で、YがO(酸素)であ
るスピロオキサジン類等が挙げられる。着色強度および
耐久性の観点からは式(2)で示されるスピロオキサジ
ン類が好ましい。スピロオキサジン類の具体例として
は、式(4)、式(5)、式(6)等が挙げられる。
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
【0017】ポリエーテル化合物は、フォトクロミック
色素の着褪色反応を円滑に進行させる着色増感剤として
働く。ポリエーテル化合物としては、A−O−(R1
O)n−B(R1は2価の有機基であり、A、Bはそれぞ
れ、水素、有機基または有機金属基であって両者は同一
でも異なっていてもよく、nは2〜500である。)で
示される化合物が好ましい。特に、R1は炭素数2〜4
のアルキレン基が好ましい。また、A、Bは、有機基で
ある場合は、アルコール類の水酸基を除いた1価の有機
基が好ましく、アルキル基、グリシジル基などであるこ
とが好ましい。有機金属基としては、例えば、Si、
B、Al、P、ZrまたはTiを有する有機金属基が挙
げられ、特に、加水分解性基がケイ素原子に結合した加
水分解性シリル基を有するアルキル基が好ましい。
【0018】ポリエーテル化合物としては、ポリオキシ
エチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、またはポリオキ
シエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖の共重合鎖であ
ることが好ましい。前記アルキレン基における水素原子
はアルコキシ基や水酸基などの置換基で置換されていて
もよい。また、フォトクロミック膜中には複数種のポリ
エーテル化合物が存在していてもよい。
【0019】ポリエーテル化合物のnは(R1−O)の
重合度を表している。重合度は分布をもっていてもよ
く、nを平均重合度とした場合、必ずしも整数である必
要はない。重合度nが小さすぎては増感作用が充分でな
く、また大きすぎては得られるフォトクロミック膜の強
度、耐水性が充分でないことから、重合度nは2〜50
0であり、特に3〜50であることが好ましい。
【0020】ポリエーテル化合物の具体例としては以下
のものが挙げられる。ポリエチレングリコール、ポリエ
チレングリコールエーテル類(例えば、ポリエチレング
リコールモノセチルエーテル、ポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジビニ
ルエーテル)、ポリグリセリン脂肪酸エステル類(例え
ば、モノラウリン酸ポリグリセリル)、ポリオキシエチ
レンステロール類(例えば、ポリオキシエチレンフィト
ステロール)。
【0021】ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類
(例えばモノステアリン酸ポリエチレングリコール)、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエー
テル類(例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピ
レンデシルエーテル)、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル)、ポリエチレングリコールメチル
(3−トリメトキシシリルプロピル)エーテル、ポリプ
ロピレングリコールメチル(3−トリメトキシシリルプ
ロピル)エーテル等が挙げられる。
【0022】得られるフォトクロミック膜の強度や耐水
性の観点からは、ポリエチレングリコールジグリシジル
エーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、
ポリエチレングリコールメチル(3−トリメトキシシリ
ルプロピル)エーテルが好ましい。
【0023】シロキサンネットワークを有するマトリッ
クスは、厳密にSiO2の組成になっている必要はな
く、網目状Si−O−Si結合を有する非晶質であれば
よい。また、マトリックス成分として、網目形成原子で
あるB、Al、P、Zr、Tiなどが含まれていてもよ
く、修飾イオンであるアルカリ金属イオンやアルカリ土
類金属イオンなどが含まれていてもよい。
【0024】本発明において用いられる基体は特に限定
されず、1)ソーダライムガラス、ホウケイ酸塩ガラ
ス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラス基体、
2)ポリカーボネート、アクリル等の樹脂基体、3)セ
ラミックス基体、4)金属基体等が挙げられる。
【0025】本発明のフォトクロミック膜付き基体は例
えば以下のようにして製造できる。ポリエーテル鎖を有
しない加水分解性ケイ素化合物の加水分解物中に、スピ
ロ系色素と、ポリエーテル化合物とを含む塗布液を、基
体上に塗布、加熱して形成する。スピロ系色素は単独で
も、2種以上混合しても用い得る。スピロ系色素の好ま
しい例は前述したとおりである。
【0026】塗布液中のスピロ系色素の含有割合は、過
少では着色強度が充分でないおそれがあり、過剰ではマ
トリックス成分との相溶性に問題があることから、全塗
布液に対して0.01〜10質量%、特に0.5〜5質
量%であることが好ましい。
【0027】ポリエーテル化合物としては前述したもの
が好ましく用いられ、単独でも、2種以上混合しても用
い得る。ポリエーテル化合物の含有割合は、過少では着
色増感剤としての効果が充分でないおそれがあり、過剰
ではフォトクロミック膜の耐久性および耐水性が低下す
るおそれがあることから、ポリエーテル化合物/スピロ
系色素の重量比は5/1〜200/1、特に10/1〜
100/1であることが好ましい。
【0028】加水分解性ケイ素化合物は、シロキサンネ
ットワークを形成するための成分であり、ポリエーテル
鎖を有していない化合物である。加水分解性ケイ素化合
物としては、R2 aSiZ4-aで表されるシラン化合物
(aは0、1または2であり、R2は置換されていても
よい有機基であり、aが2のとき2つのR2は互いに同
一でも異なっていてもよく、Zは加水分解性基であっ
て、複数のZは互いに同一でも異なっていてもよい。)
であることが好ましく、特に、前記Zがアルコキシ基で
あるアルコキシシラン化合物であることが好ましい。
【0029】アルコキシシラン化合物の具体例として
は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラメトキシシランの縮合体(例えばメチルシリケート
51)、テトラエトキシシランの縮合体(例えばエチル
シリケート40)、メチルトリメトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3
−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−
グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3
−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン等が挙げられる。
【0030】加水分解性ケイ素化合物は単独でも、2種
以上混合しても用い得る。加水分解性ケイ素化合物は、
水と酸を添加して加水分解させた形で塗布液中に存在し
ていることが好ましい。アルコキシシラン化合物はアル
コキシ基が加水分解されることでバインダ性が発現し、
加水分解条件を制御することで塗布液中で適度なネット
ワーク構造を形成する。
【0031】塗布液には、塗布性を高めるための親水性
有機溶媒(例えばアルコール)や界面活性剤、またはコ
ロイドの分散性を向上させる分散剤等を添加できる。ま
た、網目構造の形成成分となり得る、ジルコニウム、チ
タン、アルミニウム、ホウ素、リン等の化合物を塗布液
に添加できる。また、アルカリ金属の化合物やアルカリ
土類金属の化合物も塗布液に添加できる。また、より厚
い膜厚を得るため、平均粒径50nm以下のシリカやア
ルミナの超微粒子を塗布液中に分散させてもよい。
【0032】塗布方法としては公知の方法を用いること
ができ、例えば、ディップコート法、スピンコート法、
スプレーコート法、フローコート法、ダイコート法、ロ
ールコート法、転写印刷法、スクリーン印刷法等が挙げ
られる。
【0033】加熱温度は、低すぎると膜の硬化が充分で
ないおそれがあり、高すぎると酸化、熱分解によるスピ
ロ系色素の破壊や揮散を招くことから、80〜250
℃、特に100〜170℃であることが好ましい。加熱
雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気でよい。加熱時間
は短すぎると膜の硬化が充分でなく、長すぎると酸化、
熱分解によるスピロ系色素の破壊や揮散を招くことか
ら、10〜300分、特に30〜180分であることが
好ましい。
【0034】加熱後の膜厚は、薄すぎると膜中の色素の
寿命が短く、透過率変化量も充分でない傾向にあり、厚
すぎるとクラックや剥離が生じやすいことから、5〜1
00μm、特に10〜50μmであることが好ましい。
【0035】
【実施例】以下に例を挙げて説明するが、本発明は以下
の例に限定されない。 (例1)シロキサンネットワークを形成するための加水
分解性ケイ素化合物である3−グリシジルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン6.35g、メチルトリメトキシ
シラン3.66gにpH1の硝酸水溶液1.15gを加
え、さらにポリエーテル化合物である式(7)の化合物
(ポリエチレングリコールメチル(3−トリメトキシシ
リルプロピル)エーテル)2gを混合し、室温で2時間
反応させた。この液にスピロ系色素である前記式(4)
の化合物の10%酢酸ブチル溶液1.3gを添加し塗布
液とした。このとき、全溶液中のスピロ系色素の濃度は
約1質量%である。また、ポリエーテル化合物/スピロ
色素の重量比は約15/1である。
【0036】この塗布液をスピンコート法によってガラ
ス基板上に塗布し、大気雰囲気で、100℃で120分
間加熱し、フォトクロミック膜が形成されたフォトクロ
ミック膜付きガラス基板を得た。膜厚は約20μm、フ
ォトクロミック膜付きガラス基板の波長620nmでの
透過率は90%であった。得られた膜中のスピロ系色素
はシロキサンネットワーク中に分散しており、ポリエー
テル化合物はシロキサンネットワークの一部と結合して
いる。
【0037】得られたフォトクロミック膜付きガラス基
板の膜形成面に、150Wのキセノンランプを使用し、
シャープカットフィルタ(シグマ光機社製UTF−50
S−32U)を介して紫外線を30秒間照射するとフォ
トクロミック膜付きガラス基板は青色に着色し、波長6
20nmでの透過率は38%になった。またこのフォト
クロミック膜付きガラス基板を暗所に放置すると、1分
後にはもとの透過率まで回復した。
【0038】得られたフォトクロミック膜付きガラス基
板のフォトクロミック膜に対して、1kg加重下、消し
ゴム(ライオン社製50−50)で30回往復し、耐擦
傷性試験を行ったところ、大きな傷、剥離ともに見られ
なかった。また、得られたフォトクロミック膜付きガラ
ス基板を、30℃、湿度80%の恒温恒湿室中に一週間
保管し、耐湿性試験を行ったが、特性、外観ともに変化
は見られなかった。
【0039】(例2)ポリエーテル化合物の添加量を
0.67gとした(ポリエーテル化合物/スピロ色素の
重量比は約5/1)以外は例1と同様にしてフォトクロ
ミック膜付きガラス基板を得た。膜厚は約20μmであ
った。得られた膜中のスピロ系色素はシロキサンネット
ワーク中に分散しており、ポリエーテル化合物はシロキ
サンネットワークの一部と結合している。
【0040】得られたフォトクロミック膜付きガラス基
板に例1と同様にして紫外線を照射し、照射前後の波長
620nmでの透過率および暗所に1分間放置後の透過
率を測定した(以下、単に紫外線照射試験という)。ま
た、例1と同様にして耐擦傷性試験および耐湿性試験も
行った。結果を表1に示す。
【0041】なお、表中の透過率変化量とは紫外線照射
前後の透過率の差であり、耐擦傷性試験結果の「◎」は
大きな傷、剥離ともになしの意であり、「〇」は膜の磨
滅およびわずかな剥離があるが実用上は使用できるとい
う意であり、また、耐湿性試験結果の「◎」は特性、外
観ともに変化なしの意であり、「△」は膜の白濁があり
用途が制限されるという意である。
【0042】(例3)ポリエーテル化合物を式(8)の
化合物(ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル)とした以外は例1と同様にしてフォトクロミック膜
付きガラス基板を得た。膜厚は約20μmであった。得
られた膜中のスピロ系色素はシロキサンネットワーク中
に分散しており、ポリエーテル化合物はシロキサンネッ
トワークの一部と結合している。得られたフォトクロミ
ック膜付きガラス基板に例1と同様にして紫外線照射試
験、耐擦傷性試験および耐湿性試験を行った。結果を表
1に示す。
【0043】(例4)ポリエーテル化合物を式(9)の
化合物(ポリエチレングリコールモノセチルエーテル)
とした以外は例1と同様にしてフォトクロミック膜付き
ガラス基板を得た。膜厚は約20μmであった。得られ
た膜中のスピロ系色素とポリエーテル化合物とはシロキ
サンネットワーク中に分散している。得られたフォトク
ロミック膜付きガラス基板に例1と同様にして紫外線照
射試験、耐擦傷性試験および耐湿性試験を行った。結果
を表1に示す。
【0044】(例5)スピロ系色素を前記式(6)の化
合物とし、その酢酸ブチル溶液の濃度を3%、添加量を
3.9g(スピロ系色素の質量および濃度は例1と同
じ)とした以外は例1と同様にしてフォトクロミック膜
付きガラス基板を得た。膜厚は約20μmであった。得
られた膜中のスピロ系色素はシロキサンネットワーク中
に分散しており、ポリエーテル化合物はシロキサンネッ
トワークの一部と結合している。得られたフォトクロミ
ック膜付きガラス基板に例1と同様にして紫外線照射試
験、耐擦傷性試験および耐湿性試験を行った。結果を表
1に示す。
【0045】(例6)スピロ系色素を前記式(3)の化
合物とし、その酢酸ブチル溶液の濃度を10%、添加量
を1.3g(スピロ系色素の質量および濃度は例1と同
じ)とした以外は例1と同様にしてフォトクロミック膜
付きガラス基板を得た。膜厚は約20μmであった。得
られた膜中のスピロ系色素はシロキサンネットワーク中
に分散しており、ポリエーテル化合物はシロキサンネッ
トワークの一部と結合している。得られたフォトクロミ
ック膜付きガラス基板に例1と同様にして紫外線照射試
験、耐擦傷性試験および耐湿性試験を行った。結果を表
1に示す。
【0046】(例7(比較例))ポリエーテル化合物を
添加しない以外は例1と同様にしてフォトクロミック膜
付きガラス基板を得た。膜厚は約20μmであった。得
られたフォトクロミック膜付きガラス基板に例1と同様
にして紫外線照射試験、耐擦傷性試験および耐湿性試験
を行った。結果を表1に示す。
【0047】
【化8】
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明のフォトクロミック膜付き基体は
着褪色特性に優れ、フォトクロミック膜は充分な強度と
硬度を有している。また本発明の製造方法によれば、該
フォトクロミック膜付き基体を簡便に製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 83/04 C08L 83/04 83/12 83/12 C09B 19/00 C09B 19/00 57/00 57/00 B C09D 5/00 C09D 5/00 Z 7/12 7/12 171/00 171/00 183/00 183/00 C09K 9/02 C09K 9/02 B // C09D 171/02 C09D 171/02 183/02 183/02 183/04 183/04 Fターム(参考) 4F100 AA20B AH03B AH06B AH07B AK54B AT00A BA02 BA07 EH46 EJ41 GB07 GB32 GB41 JK12 JN30 JN30B 4H056 DD03 DD16 EA14 FA05 4J002 CH022 CP031 CP181 EU236 EV306 EV316 4J038 DB031 DB032 DF021 DF022 DF041 DF042 DL001 DL002 DL021 DL022 DL031 DL032 DL051 DL052 DL111 DL112 GA06 GA07 GA15 GA16 JA73 JB27 JB39 JC18 KA08 NA01 NA03 NA11 PA19 PB05 PB08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化ケイ素マトリックス中に、式(1)で
    示されるスピロ化合物(式中XはNまたはCHを示し、
    YはOまたはSを示す。環αは、スピロ炭素原子に隣接
    する位置がNである環であり、環に結合する水素原子は
    他の基で置換されてもよく、Rは有機基である。環β
    は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェ
    ナントレン環、または前記環を構成する1つまたは2つ
    のCHがNに置換された環であり、環に結合する水素原
    子は他の基で置換されていてもよい。)からなるフォト
    クロミック色素と、該マトリックスに結合していてもよ
    いポリエーテル化合物と、を有するフォトクロミック膜
    が基体上に形成されたフォトクロミック膜付き基体。 【化1】
  2. 【請求項2】前記スピロ化合物が、式(2)で示される
    スピロオキサジン類(式中環αは、スピロ炭素原子に隣
    接する位置がNである環であり、環に結合する水素原子
    は他の基で置換されてもよく、Rは有機基である。環β
    は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェ
    ナントレン環、または前記環を構成する1つまたは2つ
    のCHがNに置換された環であり、環に結合する水素原
    子は他の基で置換されていてもよい。)である請求項1
    に記載のフォトクロミック膜付き基体。 【化2】
  3. 【請求項3】ポリエーテル鎖を有しない加水分解性ケイ
    素化合物の加水分解物中に、式(1)で示されるスピロ
    化合物(式中XはNまたはCHを示し、YはOまたはS
    を示す。環αは、スピロ炭素原子に隣接する位置がNで
    ある環であり、環に結合する水素原子は他の基で置換さ
    れてもよく、Rは有機基である。環βは、ベンゼン環、
    ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ま
    たは前記環を構成する1つまたは2つのCHがNに置換
    された環であり、環に結合する水素原子は他の基で置換
    されていてもよい。)からなるフォトクロミック色素
    と、ポリエーテル化合物とを含む塗布液を、基体上に塗
    布、加熱して形成するフォトクロミック膜付き基体の製
    造方法。 【化3】
  4. 【請求項4】加水分解性ケイ素化合物としてR2 aSiZ
    4-aで表されるシラン化合物(aは0、1または2であ
    り、R2は置換されていてもよい有機基であり、aが2
    のとき2つのR2は互いに同一でも異なっていてもよ
    く、Zは加水分解性基であって、複数のZは互いに同一
    でも異なっていてもよい。)を用いる請求項3に記載の
    フォトクロミック膜被覆物の製造方法。
JP2001065175A 2001-03-08 2001-03-08 フォトクロミック膜付き基体とその製造方法 Pending JP2002264244A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001065175A JP2002264244A (ja) 2001-03-08 2001-03-08 フォトクロミック膜付き基体とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001065175A JP2002264244A (ja) 2001-03-08 2001-03-08 フォトクロミック膜付き基体とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002264244A true JP2002264244A (ja) 2002-09-18

Family

ID=18923878

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001065175A Pending JP2002264244A (ja) 2001-03-08 2001-03-08 フォトクロミック膜付き基体とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002264244A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012133920A1 (ja) * 2011-03-31 2012-10-04 国立大学法人九州大学 固体色素レーザー媒質およびその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012133920A1 (ja) * 2011-03-31 2012-10-04 国立大学法人九州大学 固体色素レーザー媒質およびその製造方法
US9048628B2 (en) 2011-03-31 2015-06-02 Kyushu University, National University Corporation Solid-state dye laser medium and process for production thereof
JP5907569B2 (ja) * 2011-03-31 2016-04-26 国立大学法人九州大学 固体色素レーザー媒質およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3909389B2 (ja) 機能性ガラス質層を形成する方法
JP5766856B2 (ja) 透明物品およびその製造方法
US5766680A (en) Method of producing structured inorganic layers
US6639039B1 (en) Photochromic coating composition comprising nanoscales particles and process for providing substrate coated with the same
US6280838B1 (en) Optical element, a display device provided with said optical element, and a method of manufacturing the optical element
JP2009517522A (ja) 中屈折及び高屈折シロキサン系ハードコーティング組成物、その製造方法、及びこれから製造される光学レンズ
JP2014522370A (ja) 半透明コーティング材料
JP6599666B2 (ja) 光散乱性被膜を有する透明スクリーン及び光散乱性被膜形成用塗布液
AU1506999A (en) Coating liquid for forming hard coat film and substrate coated with such a film
CN103201120A (zh) 将制品着色的方法和用于所述方法中的可着色组合物
JP2002264244A (ja) フォトクロミック膜付き基体とその製造方法
WO2018003772A1 (ja) 多結晶ナノダイヤモンドを分散させた光散乱性被膜及び光散乱性被膜形成用塗布液
WO2000071482A1 (fr) Verre photochrome et procede de preparation
JPS6122327A (ja) ホトクロミツク性成形品
JP2002249764A (ja) フォトクロミック膜付き基体とその製造方法
JP3897406B2 (ja) 感光性樹脂組成物の露光方法およびそれを用いたパターン形成方法
JP2005516248A (ja) 光吸収性被膜が設けられた光透過性基板
JP2871032B2 (ja) 着色被覆物
JP4449100B2 (ja) 表示装置用カラーフィルタ及び表示装置の製造方法
JP4366549B2 (ja) 着色パターン形成方法
JP2005048142A (ja) 着色膜形成用溶液、およびこれを用いた着色膜付きガラス基体の製造方法
JP4552250B2 (ja) 塗料、塗膜の形成方法及び該方法により形成された塗膜
JP2004148641A (ja) 積層体およびその製造方法
JPH11174622A (ja) フォトクロミック膜形成用塗布液およびフォトクロミックガラスの形成方法
JP4506051B2 (ja) 感光性被膜付き基体とその製造方法および着色膜付き基体の製造方法