JP2002263854A - 液相拡散接合によって組み立て接合された機械部品 - Google Patents

液相拡散接合によって組み立て接合された機械部品

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JP2002263854A
JP2002263854A JP2001065557A JP2001065557A JP2002263854A JP 2002263854 A JP2002263854 A JP 2002263854A JP 2001065557 A JP2001065557 A JP 2001065557A JP 2001065557 A JP2001065557 A JP 2001065557A JP 2002263854 A JP2002263854 A JP 2002263854A
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Hiroshi Hasegawa
泰士 長谷川
Yasuhiro Shinohara
康浩 篠原
Yutaka Takagi
豊 高木
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Fukuju Kogyo KK
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Nippon Steel Corp
Fukuju Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部に複雑かつ精密な流体搬送用、重量軽減
用の管路を有する機械部品の組み立て時の液相拡散接合
による金属製精密機械部品の製造方法を提供する。 【解決手段】 2つ以上の部品から、Ni基またはFe
基の液相拡散接合用合金を用いて、液相拡散接合によっ
て組み立てられた機械部品であり、Ni或いはSiを1
%以上含有する接合金属(それぞれの元素の被接合材料
中への拡散層を含む)の幅が接合面に垂直な方向の長さ
で片側50μm以内であり、被接合材料の組織が低温変
態生成組織に分類される、マルテンサイトあるいはベイ
ナイトであり、かつ接合金属内に接合金属と被接合材料
金属との融合によって生成された合金化により、被接合
材料と同一の低温変態生成組織を一部または全部に有す
る液相拡散接合によって組み立て接合された機械部品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、拡散接合技術を用
いて製造した各種機械部品に関し、特に、従来、素材か
ら切削、削りだし、穿孔、型抜き等の機械加工、或いは
直接溶融金属から鋳造、または鍛造等で環状ないし中空
形状を有する機械部品の加工に代わる液相拡散接合によ
り製造した機械部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、環状或いは中空形状を有し、
特に耐磨耗性、耐食性、耐疲労性の諸特性を個々に、或
いは同時に、かつ長時間にわたって要求される機械部
品、例えば、回転部品の軸受け、ベアリング、シリンダ
ーの摺動管などは、要求品質を満足するために、比較的
合金比率が高い、例えば、JIS−SUJに代表される
軸受け鋼ではC:1%、Cr:1%に加え、更にMn,
Moを含有した鋼材を使用しているが、部品同士を溶接
等により組み立てることは困難である場合が多い。その
ために、複雑な形状を有する機械部品については塊状の
鋼塊から削りだし、或いは熱間鍛造や穿孔によって概略
成形し、更に仕上げ加工を施した後、要求仕様に応じて
球状化処理、浸炭処理を行なって製造している。従っ
て、原材料の鋼塊価格よりも寧ろ製造工程における各種
加工工程コストが製品価格の大半を占めている。一方
で、自動車をはじめとする信頼性の要求される精密機械
部品では、同時に長時間の耐久性が要求され、長期間で
の仕様コスト低減を指向している。従って、例え高価で
あっても塊状金属から従来の製造方法で製造したこれら
精密機械部品が多用され、多くの部品価格、牽いては最
終製品価格の上昇を引き起こしている。
【0003】また、通常金属材料を加工して任意の形状
とする方法のうち、最も量産性が高く、低コストの方法
として熱間圧延、プレス成型が採用されているが、これ
らの技術は単一の形状、多くの場合は板などの簡単な形
状を有しており大量生産に好適であるも、中空形状の機
械部品、環状部品を上述の圧延やプレス成型で歩留まり
よく直接製造することはその形状の制約から難しく、現
在では全く工業化されていない実情にある。従って、環
状或いは中空形状を有する複雑な精密機械部品を効率よ
く大量生産する技術は工業的に確率されている状況にな
く、一方コスト低減の観点からも従来とは全く異なる製
造プロセスの開発が切望されている。
【0004】一方、最近においては液相拡散接合の技術
が脚光を浴びている。この液相拡散接合技術は、接合し
ようとする材料の接合面、すなわち開先間に、被接合材
料に比較して低い融点を有する合金、例えば、結晶構造
の50%以上が実質的に非晶質であり、かつ拡散律速の
等温凝固過程を経て継ぎ手を形成能を有する元素、例え
ばB,P,Ni,Feなどの多元合金を介在させ、継ぎ
手を挿入した低融点合金の融点以上の温度に加熱保持
し、等温凝固過程で継ぎ手を形成する技術である。
【0005】この液相拡散接合技術は、通常の溶接技術
と異なり、溶接残留応力が殆どないこと、或いは溶接の
ような余盛りを発生しない平滑かつ精密な継ぎ手を形成
できるなどの特徴を有している。しかもこの技術は面接
合であるため接合面の面積によらず接合時間が一定で、
かつ比較的短時間で接合が完了する利点を有し、従来の
溶接とは全く異なる接合技術である。従って、開先さえ
挿入して低融点金属以上の温度に所定時間保持できれ
ば、開先形状を選ばず面同士の接合を実現できる。ま
た、一方では、従来の非酸化性雰囲気でのみ実現可能な
液相拡散接合について、酸化性雰囲気下でも適用可能な
液相拡散接合用合金箔が知られている。(特許第189
1618号、同第1891619号、同第183757
2号公報)。しかしながら、現状では、この液相拡散接
合技術は、接合面の面積が比較的大きい部材の接合にの
み適用され精密機械部品等の接合には用いられていな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、環状或いは
中空形状を有する耐磨耗性、耐食性、耐疲労性の諸特性
を同時に満足する複雑な精密機械部品を高効率で、かつ
低コストで大量生産可能な液相拡散接合機械部品を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたものであって、その要旨は次のと
おりである。 (1)2つ以上の部品から、Ni基の液相拡散接合用合
金を用いて、液相拡散接合によって組み立ておよび接合
された機械部品であり、その接合部においてNiを1%
以上含有する接合金属の幅が接合面に垂直な方向で片側
50μm以内であることを特徴とする液相拡散接合によ
って組み立て接合された機械部品。 (2)2つ以上の部品から、Fe基の液相拡散接合用合
金を用いて、液相拡散接合によって組み立ておよび接合
された機械部品であり、液拡散接合に用いる合金の組成
が鉄を主体とし、該合金の液相拡散接合を可能とするた
めに必要な低融点維持、または実質的に50%以上が非
晶質となる構造維持に必要なSiが1%以上含有されて
いる接合金属の幅が、組み立て接合の際に被接合材料中
に拡散して形成された拡散層の幅を含めて、接合面に垂
直な方向の長さで片側50μm以内であることを特徴と
する液相拡散接合によって組み立て接合された機械部
品。 (3)前記被接合材料の組織が低温変態生成組織に分類
される、マルテンサイトあるいはベイナイトであり、か
つ接合金属内に前記接合金属と被接合材料金属との融合
によって生成された合金化により、被接合材料と同一の
低温変態生成組織を一部または全部に有することを特徴
とする上記(1)または(2)記載の液相拡散接合によ
って組み立て接合された機械部品。 (4)前記液相拡散接合が酸化性雰囲気中で行われるこ
とを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかの項に記
載の液相拡散接合によって組み立て接合された機械部
品。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明を実施するに当たり、対象
とする機械部品の材質は特に限定しない。液相拡散接合
ができると考えられる金属材料は全て本発明の技術を適
用することができる。例えば、通常の炭素鋼、高炭素
鋼、低炭素鋼など通常の溶接が適用困難な材質であって
も液相拡散接合は接合継ぎ手を実現可能である。また、
Cr或いはNiを種々の割合で含有するステンレス鋼、
高耐食合金鋼、Niを基材とするNi基合金やその他の
合金および非鉄材料であるAl,Ti,Znおよびその
他の実用金属などもそれらに適した接合用合金を用いれ
ば全て液相拡散接合が可能となる。また、液相拡散接合
を実現する非晶質合金組成としてもとくだんの制限がな
く、米国特許第4,144,058号公報に記載の合金
を始め、特開昭49−91014号公報に記載のP,
B,C等を拡散原子として含有する液相拡散接合用合金
を使用することができる。
【0009】本発明では、上述したような被接合材料と
液相拡散接合用合金を用いて、内部に流体搬送用、重量
軽減用、或いは摺動部品通過のため等の目的を有する管
路を備えた、元来一体成型で製造していた精密機械部品
を、最初に管路を含む面で複数に分割した部品毎に、例
えば、プレス成形或いは圧延、研削、研磨など従来の一
体成型と機械加工の組み合わせに対して安価な製造工程
を経て製造し、それらを液相拡散接合用合金を介して組
み立て、液相拡散接合によって一体化する工程を経るこ
とが必要である。
【0010】このときの分割すべき部品は、最終形状と
の対比で、内部に存在する管路を通過する面で分割して
あることが必要で、これによって各部品をプレス成形な
どの安価でかつ簡便な方法で製造可能ならしめる。ま
た、この分割は2以上であれば幾つでも可能であって、
製造が簡易化し、かつ製造工程が煩雑或いは多数となる
結果、従来製造工程に対して高価とならない範囲で適宜
選択すればよい。また、分割面は平面でも曲面でも、連
続或いは不連続の多面ないしは曲面であってもよく、そ
の形状は分割することで各部品の製造が容易になるよう
に適宜選択すればよい。なお、最終形状の部品が内部に
有する管路は連続した一つの経路でも、複数の独立した
経路でもよく、管路自体の形状は自由で、単に組み立て
時に接合する面が対応すればよく、特に制限はない。管
路は外表面に対して開口していても、いなくても組み立
ては可能である。なお、被接合材料と液相拡散接合用合
金の組み合わせで接合部の特性は種々に変化する。
【0011】本発明においては、上述したような内部に
管路を有する複数に分割された精密機械部品、例えば、
図1に示すようなCr:1.0%、Mo:0.5%を含
有する高炭素鋼からなる自動車燃料噴射弁の管路に平行
な面で2分割した分割面にNi基の液相拡散接合用合金
を介して組み立て、固相線以上の温度に加熱し、100
0〜1300℃の温度で、加熱開始から90〜120秒
の間、接合面に2MPa以上の応力を負荷し続け、その後
負荷応力を減じて低応力ないし無負荷として1分以上保
持する液相拡散接合する方法が採用される。この液相拡
散接合により、上記Ni基の液相拡散接合用合金と被接
合材料の融合によって生成した接合金属と、Niの被接
合材中への拡散で生じたNiが1%以上含まれる領域の
幅が接合面に垂直な方向の長さで片側50μm以内に拡
散させることが可能であれば強固な接合面が得られるこ
とになる。
【0012】一方、液相拡散接合用合金にFe基の液相
拡散接合用合金を用いた場合には、液相拡散接合用合金
の液相拡散接合を可能とするために必要な低融点維持、
または実質的に50%以上が非晶質となる構造維持に必
要なSiが1%以上含有されている接合金属の幅が、組
み立て接合の際に被接合材料中に拡散して形成された拡
散層の幅を含めて、接合面に垂直な方向の長さで片側5
0μm以内に拡散させることが可能であれば強固な接合
面が得られることになる。
【0013】上記液相拡散接合の条件において、加熱温
度および加熱時間は通常液相拡散接合において用いられ
る条件であるが、本発明においては、精密機械部品に必
要な接合強度を得るために、加熱下において、接合面、
即ち、被接合材料に外部から接合に必要な押力を付与し
ながら接合することが重要である。この押力は加熱開始
から液相拡散接合用合金中に含有されるNi或いはSi
が被接合材料中に拡散しうる温度、即ち、1000〜1
300℃間で液相拡散が開始する条件下で押力付与を行
う必要があり、この押力は、接合面に2MPa 以上の応力
を付加する。次いで、徐々に負荷応力を減じて低応力な
いし無負荷として5分以上保持することが必要条件とな
る。仮に、上記液相拡散接合が無負荷の状態で行われた
場合には液相拡散接合用の合金の溶融があったとして
も、等温凝固が完了しないなどの原因で健全な継手が得
られないため、必要な接合強度が得られない。なお、被
接合部材に付与される応力負荷の位置は部材サイズによ
って異なるが、1箇所であっても良いし複数箇所であっ
ても差し支えない。
【0014】なお、本発明における液相拡散接合は、酸
素0.01質量%以上を含む酸化性雰囲気中、好ましく
は大気中で、N2 或いはArを被接合材料の内外面表面
に吹きつけて接合作業を行うことが好ましい。また、接
合部でNi含有量が1%以上である接合金属幅を50μ
m以内に制限した理由は、これ以上の幅になる場合は、
必然的に十分な押し力が得られないか、或いは接合面同
士の突合せに不備があった結果であり、実験的および経
験的に接合部は健全でないことが判明したためである。
一方、前述の拡散接合の幅が余りにも小さい場合には、
拡散接合に必要な接合金属が十分に接合面に供給されな
かった場合などの結果であるため、拡散相幅の好ましい
範囲は2〜50μmである。
【0015】以上の接合金属幅、あるいは押し力の関係
は、以下の詳細な実験結果に基づいて決定した。図2
は、構造用炭素鋼、機械構造用鋼、低合金鋼などの市販
鋼材を液相拡散接合にて接合した場合の、接合時、接合
面に垂直な方向に負荷した押力と、その結果形成された
接合継手における接合金属の幅、すなわち接合金属中の
Niの拡散層(Ni含有量が1質量%以上である領域)
を含めた合金の領域との関係を示した図である。接合時
の押力が増加すると、接合時に溶融した元非晶質金属
と、被接合材料の溶融によって生じた合金は接合界面か
ら外部に押し出され、接合継ぎ手で計測できる接合金属
の幅、この場合接合金属中から被接合材料に拡散したN
iが、接合後に1質量%以上に達した領域を含める合金
の幅は、結果的に減少する。押力が2MPa の場合、接合
金属幅は50μmに達する場合があることがわかる。な
お、接合面の凹凸は、接合前において最大100μmに
達している継ぎ手の接合結果を含んでいる。また、上記
Ni含有量1%以上の領域幅は、接合後の継ぎ手断面
を、元素定量分析可能な走査型電子顕微鏡にて線分析あ
るいは面分析した結果をもとに、組織との対応で測定
し、決定した。すなわち、接合時の押力と接合金属の幅
の間には密接な関係が存在している。
【0016】図3は、同様にして計測した接合金属の幅
と接合継ぎ手の垂直方向の引張強さの関係を示してい
る。接合試験および引張試験に供した材料は0.3%C
−1%Cr−0.5%Moの組成を有する低合金鋼であ
り、接合後の継ぎ手は1℃/分の速度で冷却し、ここか
ら6mm直径の円形断面を有する引張試験片を採取し、室
温で引張強さを測定した。また、当該材料が、実使用時
に接合部に負荷される応力は最大180MPa であること
が判明しているため、ここでは継ぎ手に必要な目標強さ
を180MPa と仮定し、その値を図中に示してある。
【0017】接合金属幅が増加すると継手強さは低下
し、接合金属幅が50μmを超えると目標強度は達成で
きないことが明白である。以上の傾向は、接合金属幅と
してNiの拡散層を考慮する代わりに、鉄基接合金属箔
を用いた場合には、同箔中に含まれるSiの拡散層を考
慮した場合でも全く同様であった。また、接合温度は1
000〜1300℃の範囲でほぼ同様な傾向を示し、接
合温度依存性は強く顕れなかった。さらに、この温度範
囲では通常の鋼材はほぼ同様な強度特性を有することか
ら、鋼材間での差異もまた明確ではなかった。なお、接
合に用いた接合金属の化学成分は、Ni基についてはS
i=3%、B=3.5%、V=3%であり、Fe基につ
いてはSi=4.5%、B=3.0%、V=5.0%で
あった。質量%で同等なPをBの代わりに含有する箔を
用いた場合も同様であった。
【0018】上述した液相拡散接合処理により得られた
被接合材料の組織が低温変態生成組織に分類される、マ
ルテンサイトあるいはベイナイトであり、かつ接合金属
内に前記接合金属と被接合材料金属との融合によって生
成された合金化により、被接合材料と同一の低温変態生
成組織を一部または全部に有する組織が得られれば組織
の均質化によって強度的にも均質な接合部が得られるこ
とになる。
【0019】また、上述した液相拡散接合処理後におい
ては、被接合材料の組織がベイナイト変態開始温度以上
の温度まで焼き割れを防止するために5℃/sec 以上の
冷却速度で急冷し、続いて放冷して変態が終了するまで
この放冷を維持した後、室温まで1℃/sec 以上の冷却
速度で急冷する条件を採用することで目的とする接合組
織および接合強度が得られる。
【0020】また、本発明においては、適用する機械部
品の仕様によって接合面の特性を自由に変えることがで
き、接合継ぎ手としての特性は特に制限がない。継ぎ手
効率は1である必要はなく、かつ組織的にも完全に均質
化している必要もない。勿論、継ぎ手効率が1で完全均
質体であることは機械部品の特性上好ましいが、部品の
製造コストに応じて決定することができる。また、組み
立て終了後に機械部品に対して種々の熱処理、化成処
理、加工を施すことが可能であり、例えば、鋼材であれ
ば焼き入れ、焼き戻し、焼準、焼鈍などの熱処理工程を
単独で、或いは複合で、場合によっては繰り返し施すこ
とも、部品としての特性を向上させるのに有効であっ
て、本発明の効果を何ら妨げない。また、浸炭処理、窒
化処理、メッキ、或いは塗装、粉末などの吹きつけ処
理、ショットブラストなどの表面加工も有効である。
【0021】
【実施例】<実施例1>本発明においては、内部に燃料
供給用管路を有す自動車燃料噴射弁の製造について述べ
る。この自動車燃料噴射弁は、図1に示すようなCr:
1.0%、Mo:0.5%を含有する高炭素鋼からなる
鍛造にて管路に平行な面で2分割した半割り部品の分割
面1,2の間に厚さ30μmのB,Pを少量含むNi基
の非晶質合金からなる液相拡散接合用合金を挟み、前記
部品を突合せ、前記部品を外部上下面から押さえ治具で
押さえ、次いで、部品全体を高周波誘導加熱コイルを有
する雰囲気制御可能な高周波誘導加熱炉中で室温から加
熱を開始し液相拡散接合温度である1100℃から13
00℃の範囲に到達した時点で90〜120秒の間、接
合面に押さえ治具で2MPa 以上の負荷応力を負荷し続
け、その後負荷応力を減じて低応力ないし無負荷として
5分保持し、その後、被接合材料の組織がマルテンサイ
ト変態或いはベイナイト変態などの無拡散変態温度以上
の温度まで焼き割れを防止するために5℃/sec 以上の
冷却速度で急冷し、続いて放冷して変態が終了するまで
この放冷を維持した後、室温まで1℃/sec 以上の冷却
速度で急冷した。このような処理を行うことによって、
被接合材料の組織が低温変態生成組織に分類される、マ
ルテンサイトあるいはベイナイトであり、かつ接合金属
内に前記接合金属と被接合材料金属との融合によって形
成された接合金属においては、被接合材料と同一の低温
変態生成組織を一部または全部に有していた。そして、
Ni含有量が1%以上である接合金属の幅は接合面に垂
直な方向の長さで片側40μmであった。このようにし
て得た拡散接合面の強度は被接合材料強度と同等もしく
はそれ以上の強度を有していた。その後、最終の外形に
仕上げて自動車用燃料噴射弁の製品とした。これを実際
の自動車部品と組み込んで部品特性を評価したところ、
従来の機械加工した自動車用燃料噴射弁と同一の使用性
能が得られ、高温耐酸化特性、耐磨耗性、流体圧力に対
する接合面強度において何ら遜色のない値が得られた。
【0022】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、元来一体
成型によって製造する、内部に複雑かつ精密な管路を有
する自動車用燃料噴射弁のような精密機械部品の製造
を、簡易に製造可能な分割部品から、それらを液相拡散
接合技術によって貼り合わせる工程を採用することで、
金属製精密機械部品を安価かつ効率的に製造することを
可能にしうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一体成型によって製造する機械部品を、その内
部に有する管路を通過する面で分割した場合の分割部品
形状を示す図で、特に流体噴射弁の例を示す図。
【図2】液相拡散接合における接合時の押力と接合金属
(Ni含有量が1%以上となる拡散層を含む)の幅の関
係を示す図。
【図3】1Cr−0.5Mo鋼接合継手の引張強度と接
合金属幅の関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠原 康浩 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 高木 豊 岐阜県羽島市小熊町西小熊4005番地 福寿 工業株式会社内 Fターム(参考) 4E067 AA02 AB02 AB05 AD03 BA05 DA17 DB05 DC03 DC06 EB00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つ以上の部品から、Ni基の液相拡散
    接合用合金を用いて、液相拡散接合によって組み立てお
    よび接合された機械部品であり、その接合部においてN
    iを1%以上含有する接合金属の幅が接合面に垂直な方
    向で片側50μm以内であることを特徴とする液相拡散
    接合によって組み立て接合された機械部品。
  2. 【請求項2】 2つ以上の部品から、Fe基の液相拡散
    接合用合金を用いて、液相拡散接合によって組み立てお
    よび接合された機械部品であり、液拡散接合に用いる合
    金の組成が鉄を主体とし、該合金の液相拡散接合を可能
    とするために必要な低融点維持、または実質的に50%
    以上が非晶質となる構造維持に必要なSiが1%以上含
    有されている接合金属の幅が組み立て接合の際に被接合
    材料中に拡散して形成された拡散層の幅を含めて、接合
    面に垂直な方向の長さで片側50μm以内であることを
    特徴とする液相拡散接合によって組み立て接合された機
    械部品。
  3. 【請求項3】 前記被接合材料の組織が低温変態生成組
    織に分類される、マルテンサイトあるいはベイナイトで
    あり、かつ接合金属内に前記接合金属と被接合材料金属
    との融合によって生成された合金化により、被接合材料
    と同一の低温変態生成組織を一部または全部に有するこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の液相拡散接合に
    よって組み立て接合された機械部品。
  4. 【請求項4】 前記液相拡散接合が酸化性雰囲気中で行
    われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に
    記載の液相拡散接合によって組み立て接合された機械部
    品。
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