JP2002086278A - 環状および中空形状の機械部品の製造方法 - Google Patents

環状および中空形状の機械部品の製造方法

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JP2002086278A JP2000275632A JP2000275632A JP2002086278A JP 2002086278 A JP2002086278 A JP 2002086278A JP 2000275632 A JP2000275632 A JP 2000275632A JP 2000275632 A JP2000275632 A JP 2000275632A JP 2002086278 A JP2002086278 A JP 2002086278A
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Hiroshi Hasegawa
泰士 長谷川
Yasuhiro Shinohara
康浩 篠原
Shigemasa Takagi
茂正 高木
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Fuji Shoji Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Fuji Shoji Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環状ないし中空形状を有する機械部品の液相
拡散接合による機械部品の製造方法を提供する。 【解決手段】 環状、中空形状を有する機械部品の製造
において、板あるいは塊状の素材から従来、切削、削り
だし、型抜き、鍛造、および目標とする形状を直接、鋳
造あるいは鍛造によって製造する工程を、必要とする上
下面あるいは側面の形状を含んでプレス成形あるいは圧
延などの加工によって外表面を形成し、しかる後に必要
に応じて所定の大きさに分割し、これを曲げ加工等の成
形加工を施して目的とする環状あるいは中空形状とし、
突き合わせ部位を液相拡散接合を用いて接合し、最終形
状を得ることを特徴とする、機械部品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属を主体とする
機械部品の製造方法に関し、詳しくは炭素鋼、合金鋼製
の機械部品製造に際し、通常は素材から切削、削りだ
し、穿孔、型抜き、あるいは直接溶融金属より鋳造や高
温からの鍛造で製造する環状ないしは中空形状を有する
機械部品の製造を液相拡散接合を用いて実現する技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】液相拡散接合は、接合しようとする材料
の接合面すなわち開先間に、被接合材料に比較して低い
融点を有する合金、具体的には結晶構造の50%以上が
実質的に非晶質であり、かつ拡散律速の等温凝固過程を
経て継ぎ手を形成する能力を有する元素、例えばBある
いはPとNiないしはFeの多元合金を介在させ、継ぎ
手を挿入した低融点合金の融点以上の温度に加熱保持
し、等温凝固過程で継ぎ手を形成する技術であって、通
常の溶接技術と異なり、溶接残留応力が殆どないこと、
あるいは溶接のような余盛りを発生しない平滑かつ精密
な継ぎ手を形成できるなどの特徴を有する。特に、面接
合であるため、接合面の面積によらず接合時間が一定で
かつ比較的短時間で接合が完了する点は、従来溶接と全
く異なっている。従って、開先さえ挿入した低融点金属
以上の温度に所定の時間保持できれば、開先形状を選ば
ず、面同士の接合を実現することができる。
【0003】本発明者らは、こうした液相拡散接合の特
徴を生かして、従来の非酸化雰囲気でのみ実現可能な液
相拡散接合技術を、酸化雰囲気においても適用可能な新
しい液相拡散接合用合金箔を、すでに特許第18916
18号、特許第1891619号、特許第183757
2号に開示している。環状あるいは中空形状を有し、特
に耐摩耗性、耐食性、耐疲労性を同時にかつ長時間にわ
たって求められる機械部品、たとえば回転部品の軸受
け、ベアリング、シリンダーの摺動管などは、要求品質
を満足するために比較的合金比率が高い。たとえばJI
S−SUJに代表される軸受け鋼では1%の炭素、1%
のCrに加えてさらに、MnやMoを含有しており、部
品同士を溶接施工で組み立てる行程を採用することは困
難である場合が多い。従って、その形状が複雑なボール
ベアリングなどは各部品を塊状の鋼塊から削りだし、あ
るいは熱間鍛造や穿孔によって概略成型し、さらに仕上
げ加工を施した後に、要求仕様に応じて球状化処理、浸
炭処理を行って製造している。従って、元の合金コスト
よりもむしろ、製造工程における各種加工工程コストが
製品価格の大半を占めている。一方で、自動車をはじめ
とする信頼性の必要なこれら精密機器では、同時に長時
間の耐久性が要求され、長期間での使用コスト低減を指
向している。従って、たとえ高価であっても塊状金属か
ら従来の方法で製造したこれら精密機械部品が多用さ
れ、多くの部品価格、ひいては最終製品の価格上昇を引
き起こしている。
【0004】一方で、通常金属材料を加工して任意形状
とする方法のうち、最も量産性が高く、コストの低い方
法に熱間圧延やプレス成型が知られている。これらの技
術は単一の形状、多くの場合は板などの簡単な形状を有
しており、大量生産に好適である。当然、中空形状の機
械部品や環状部品を圧延やプレス成形で歩留まりよく、
直接製造することはその形状の制約から難しく、全く工
業化されていない。
【0005】従って、環状あるいは中空形状を有する複
雑な精密機械部品を効率よく大量生産する技術は工業的
に確立されている状況にはなく、しかしながらそのコス
ト低減の観点から従来とは全く異なる製造プロセスの提
案が切望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術が有する課題、すなわち環状あるいは中空形
状を有する、疲労特性、耐摩耗性、強度、耐食性を同時
に満足する合金鋼機械部品の高効率かつ低コストな製造
方法を、工業的に実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した新しい
液相拡散接合技術を用い、予め圧延ないしはプレス成形
加工によって、例えばベアリングあるいは継ぎ手ねじの
ケーシングを、環の周方向あるいは円周方向に垂直な面
で切断し、展開して板状とした部品を効率よく低コスト
で製造し、後に円形に成形加工し、突き合わせる終端部
分に厚さ10μm以上の、液相拡散接合が可能な、実質
的な非晶質合金箔を介在させ、その開先部分を高周波誘
導加熱あるいは直接通電加熱などの加熱方法によって局
部的に短時間のうちに加熱し、液相拡散接合のために必
要な所定の応力を負荷して、挿入金属箔の融点以上の温
度で必要な時間保持することにより、材質的には必要と
する仕様を満足し、余盛りのない平滑な継ぎ手を比較的
破綻時間で得、接合部の特性確保のために必要な熱処理
あるいは仕上げ加工を施して最終製品とすることで、従
来の製造方法に比較してコストが低い、新しい機械部品
の製造方法を可能ならしめることができる。
【0008】本発明は、上記目的を達成するためになさ
れたもので、その要旨は次の通りである。 (1)プレス成形或いは圧延加工により成形して上下面
および側面を含む外表面を有する機械部材を所定の大き
さに分割し、次いで機械加工を施して複数の環状および
中空形状の分割機械部品を形成後、前記分割機械部品の
分割面同士を突き合わせて液相拡散接合を用いて接合
し、最終形状とすることを特徴とする環状および中空形
状の機械部品の製造方法。 (2)前記機械部品が、摩擦軽減用回転体を収納するケ
ーシングであることを特徴とする上記(1)記載の環状
および中空形状の機械部品の製造方法。 (3)前記液相拡散接合に必要な接合温度を高周波誘導
加熱手段で確保し、かつ前記接合温度を接合開先にのみ
付与することを特徴とする上記(1)記載の環状および
中空形状の機械部品の製造方法。 (4)前記液相拡散接合に必要な接合温度を直接通電加
熱手段で確保し、かつ前記接合温度を接合開先にのみ付
与することを特徴とする上記(1)記載の環状および中
空形状の機械部品の製造方法。 (5)前記液相拡散接合用合金箔が、V:1〜7原子%
を含み、残部Fe又はNiからなる非晶質合金であるこ
とを特徴とする上記(1)〜(4)の何れかの項に記載
の環状および中空形状の機械部品の製造方法。 (6)前記被接合用機械部材が、質量%で、C:0.0
1〜0.20%、Si:0.05〜1.0%、Mn:
0.2〜2.0%、Cr:0.2〜13.0%、Mo:
0.1〜2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純
物からなることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れ
かの項に記載の環状および中空形状の機械部品の製造方
法。 (7)前記被接合用機械部材が、更に、質量%で、T
i,Zr,Ta,Hf,Nb,V,Ni,Co,Wから
選ばれた少なくとも1種以上を0.001〜1.0%含
むことを特徴とする上記(6)記載の環状および中空形
状の機械部品の製造方法。 (8)前記液相拡散接合部を、更に別の熱処理手段によ
る後熱処理或いは液相拡散接合に使用した熱源をそのま
ま再利用して後熱処理することを特徴とする上記(1)
〜(4)の何れかの項に記載の環状および中空形状の機
械部品の製造方法。 (9)前記液相拡散接合部の外表面を機械加工を施して
仕上げ状態とすることを特徴とする上記(1)〜(8)
の何れかの項に記載の環状および中空形状の機械部品の
製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明を実施するにあたり、対象
とする機械部品の材質は特に限らない。液相拡散接合が
適用できると考えられる金属材料はすべて本発明の技術
を適用することが可能である。例えば、通常の炭素鋼、
高炭素鋼、低炭素鋼など、通常の溶接が適用困難な材質
であっても液相拡散接合は接合継ぎ手を実現可能であ
る。また、CrあるいはNiを種々の割合で含有するス
テンレス鋼、高耐食合金鋼、Niを基材とするNi基合
金やその他の合金および非鉄材料であるAl,Ti,Z
nおよびその他の実用金属などもそれらに適した接合用
合金を用いれば、すべて液相拡散接合が可能となる。ま
た、液相拡散接合を実現する非晶質合金組成としても特
段の制限はなく、米国特許第3856513に記載の合
金をはじめ、特開昭53−81458号等に記載のP,
B,C等を拡散原子として含有する液相拡散接合用合金
を使用することができる。
【0010】ただし、本発明の技術をより効果的に得る
ためには、通常溶接が困難な高炭素鋼、高合金鋼にたい
し、特許第1891618号、特許第1891619
号、特許第1837572号公報に記載の、施工コスト
低減の可能なV含有型大気中液相拡散接合用合金箔を適
用することが望ましい。本発明においては、上記のよう
な液相拡散接合用合金箔あるいは被接合材料を用いて、
環状、中空形状を有する機械部品の製造を、塊状の素材
から従来どおりに、切削、削りだし、型抜き、鍛造、お
よび目標とする形状を直接、鋳造あるいは鍛造によって
製造するのではなく、必要とする上下面あるいは側面の
形状を含んでプレス成形あるいは圧延などの加工によっ
て外表面を形成し、しかる後に必要に応じて所定の大き
さに分割し、これを曲げ加工等の成形加工を施して目的
とする環状あるいは中空形状とし、突き合わせ部位を液
相拡散接合を用いて接合することで、目的とする形状を
有する機械部品を得る。ここで、対象とする部品形状
は、加工上プレス成形や圧延技術で製造可能なものでは
なく、環状あるいは中空形状でないと本発明の効果の1
つである製造工程の省略あるいはコスト低減が明確に顕
れない。
【0011】上記のように、最終的に環状、あるいは中
空形状を有する機械部品を、その環あるいは円周の一部
を分断する面で切断し、周方向に押し広げて展開した、
直線上あるいは板状の部品を、まず最初に圧延あるいは
プレス成形加工、切削などで製造し、これを加工前素材
とする。この段階で、円環状に曲げ加工した後に必要と
なる円環の内外面あるいは側面に、最終製品の機能上必
要とされる表面形状、例えば溝、切り欠き、凹凸、パタ
ーンなどをあらかじめプレス成型ないしは圧延などで加
工しておくことが可能で、本発明の効果をさらに高め
る。
【0012】加工前の素材は、最終形状である円環の必
要直径を満たす長さを有していることが必要である。た
だし、最終突き合わせ面は1つである必要はなく、最終
的に円環状となり、必要な形状を有すればよいのであっ
て、製造工程にあわせて最終接合部位は複数存在するこ
とも可能である。この加工前素材を、最終形状に要求さ
れる必要な真円度を達成するように、1回以上の行程を
単独であるいは組み合わせて適用し、略円環状に加工す
る。このとき、最終突き合わせ面の間隔は、液相拡散接
合用合金箔を挿入できる十分な間隙を有し、かつ液相拡
散接合を実施するために、開先同士を、合金箔を介して
必要な応力で押しつけることのできる距離以上開いてい
てはいけない。この最大開距離は、最終突き合わせ開先
を固定して、正確に開先を平行に押しつけることのでき
る冶具の形状と能力で決まるものであり、かつ部品形状
によって適宜決定する。
【0013】続いて、突き合わせた開先に、少なくとも
1MPa 、最大でも、接合温度において、液相拡散接合時
の等温凝固時間内に、被接合材料がクリープ変形によっ
て接合開先面の大変形を伴わない値以下の応力を負荷す
る。この最大負荷応力は被接合材料の1200℃におけ
る熱間変形抵抗で決定し、またクリープ変形速度を測定
することで、接合前にその変形量を予測することができ
て、同時に応力の値を決定することができる。通常の炭
素鋼では例えば約20MPa 程度の値であるが、各被接合
材料の材料特性に応じて決定すればよい。
【0014】接合時の加熱は一般に、非接触式の高周波
誘導加熱あるいは直接通電加熱で実施することが多く、
場合によっては溶接熱源であるGTAWないしはSAW
などを局所的に用いて接合することもできる。いずれの
場合も、接合用箔が加熱中の酸化によって接合能力を喪
失しない、すなわち拡散原子であるB,P,C等が酸化
物あるいは他の高融点化合物へと変質しない時間内に速
やかに加熱する必要がある。
【0015】さらに、接合継ぎ手の強度を確保するため
には液相拡散接合の等温凝固課程が、必要強度特性を得
るのに十分な程度に終了することが必要である。強度が
十分であれば、一部は等温凝固が未完了となっていても
製品特性には影響はない。この等温凝固終了時間は接合
温度における拡散原子の拡散係数と被接合材料の組織、
接合時に加える応力で決まる。通常数十秒から数十分を
要する。
【0016】接合後の冷却は、継ぎ手に要求される仕様
で決定される。靭性を強度と同時に要求される場合や、
耐力が重要な場合には加速冷却して組織改善を図る必要
があり、広範囲にわたって接合熱影響部が生じる場合に
は後熱処理が必要となる。例えば高炭素鋼では析出炭素
の球状化処理を施すことで、母材と遜色の無い継ぎ手特
性が得られ、本発明を適用して製造した機械部品は従来
の削りだし等による高コストの部品に比較して全く同等
の特性を有することは明らかである。
【0017】特段の要求仕様がない場合には、一切の冷
却状態管理は不要で、いわゆる放冷で十分である。この
ようにして得られた環状あるいは中空形状の機械部品
は、通常の溶接方法で接合したものと異なって非常に平
滑な接合部を有しており、その後の表面形状の修正加工
量はきわめて少ない。
【0018】また、本発明の効果を高める上で、合金鋼
その他の難溶接材料あるいは機能の高い材料を、本発明
に記載の製造方法によって機械部品とすることは有効で
あるが、このような特徴を有する被接合材料は、以下に
示す化学成分を有する。すなわち、質量%で、C:0.
01〜2.0%、Si:0.05〜1.0%、Mn:
0.2〜2.0%、Cr:0.2〜13.0%、Mo:
0.1〜2.0%、さらに鋼種によっては上述の化学成
分に加えて、0.001〜1.0%のTi,Zr,T
a,Hf,Nb,V,Ni,Co,Wのうち一種または
二種以上を含有する。
【0019】上記の化学組成は、金属材料の耐食性、強
度、疲労特性、靭性、耐摩耗性を向上させる性質を有し
ており、本発明の効果を顕著に発揮するためには、上記
の化学組成を有する被接合材料をもちいて機械部品を製
造することが可能であり、また最も適している。
【0020】
【実施例】表1に示す化学成分を有する鋼を、通常の高
炉出銑−転炉製鋼の後、合金元素添加と不純物除去を炉
外精錬設備で実施し、真空脱ガス等の二次精錬設備を経
て連続鋳造あるいは大型鋼塊鋳造設備にてスラブないし
はインゴットを得た。引き続き、熱間圧延あるいは鍛造
によって、3〜30mmの厚みの鋼板とし、必要な熱処理
を施してプレス成形加工素材とし、最終的にプレス成形
で、一部は冷間圧延加工あるいは切削加工で、図1に示
すような円環状の曲げ加工用素材を製造した。
【0021】なお、曲げ加工用素材には、ベアリングと
して機能するための、ボール担持溝をこの段階であらか
じめ成形可能であり、製造工程短縮効果が発揮できる。
その形状はベアリングの仕様に応じて種々あるが、例え
ば図1に付記の断面形状A,B等が一般的である。各種
直径と肉厚に応じた曲げ加工装置を用いて、直径約30
〜150mmのボールベアリング用内外環に準ずる形状ま
で加工し、接合用素材を作成した後、最終突き合わせ部
位の平坦度を確認して、開先間に被接合材料化学成分に
対応した組成を有し、かつVを1〜7%含有した液相拡
散接合用合金箔を1枚以上挿入し、外表面酸化皮膜形成
を嫌う場合には窒素または不活性ガスを吹き付け、後の
加工から酸化被膜形成が問題とならない場合においては
大気雰囲気のまま、図2に示す要領で出力50kW、発信
周波数1kHz の高周波発信器により誘導コイルに通電
し、ベアリング用内外環の最終形状になるように開先部
分を1〜20MPa で加圧、急速加熱して1分以上保持
し、必要な等温凝固課程修了後に、制御冷却あるいは放
冷でベアリングを得た。また、長時間の耐疲労特性など
の耐久性を強く要求される部品に対しては、接合部を局
部的にあるいは部品全体を、高周波誘導加熱ないしは通
常の抵抗炉、電気炉、ガス炉などで必要温度において所
定の時間、結晶粒の整粒化処理あるいは高炭素鋼では炭
素の球状化処理などを適宜実施してベアリングとした。
また、精密な寸法制度が必要な場合は接合後に外表面の
簡単な切削仕上げ加工を、表面硬度が必要な軸受け鋼な
どでは規格で定められた浸炭処理をそれぞれ実施した。
【0022】表2には、製造したベアリング部品の特性
を、従来の削りだし行程で製造した部品特性との比較で
示した。評価項目としては炭化物平均粒子径および転が
り寿命評価結果10試験片の平均値をもって定格寿命で
それぞれ比較評価した。本発明に記載の技術で製造した
ベアリング部品は、従来の高コスト削りだし行程で製造
したベアリング部品に対して、全く材質上の差異は認め
られない。
【0023】表3には、本発明に記載の技術思想のみを
擬似的に採用し、16番部品では接合開先間に箔を介在
させなかったために継ぎ手が形成できず、転動疲れ寿命
が低下した例、17番部品では介在させた箔が単純なN
i箔であったため、液相拡散接合が実現できず、従って
継ぎ手が形成できずに転動疲れ寿命が低下した例、18
番部品は液相拡散接合ではなく、通常の低合金鋼用溶接
材料を用いてSAW(サブマージアーク溶接)によって
溶接で部品を製造したため、継ぎ手の組織が母材とは全
く異なる物となり、析出炭素は粗大化して転動疲れ寿命
が低下した例、19番部品は介在させた箔が単純な鉄の
箔であり、これも液相拡散接合継ぎ手が形成できず、し
かも加熱を抵抗炉で緩慢に実施したため、析出炭素粒径
は粗大となり、かつ継ぎ手の転動疲れ寿命が低下した例
である。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【発明の効果】本発明は、環状もしくは中空形状を有
し、工業的には削りだし、鍛造あるいは鋳造などによっ
て製造していた機械部品を、より低コストの圧延もしく
はプレス成形で曲げ加工素材を安価に量産し、これを曲
げ加工して突き合わせ面を液相拡散接合により接合して
最終製品とする、新しい機械部品の製造方法を工業的に
提供可能とならしめるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は曲げ加工用素材と曲げ加工要
領を示す図で、(c)はそれら素材の断面を示す図であ
る。
【図2】円環状部品の接合と応力負荷および加熱方法の
例を示す図である。
【符号の説明】
1…曲げ加工用素材鋼板 2…転動部品保持溝 3…円環状に加工した状態 4…突き合わせ接合開先 5…接合のための応力負荷方向の一例 6…開閉式半割加熱コイルの連結方向 7…加熱コイルへの電流供給端子 8…高周波誘導加熱コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21D 9/40 C21D 9/40 A 9/50 101 9/50 101Z C22C 38/00 301 C22C 38/00 301Z 38/58 38/58 // B23K 101:30 B23K 101:30 103:04 103:04 (72)発明者 篠原 康浩 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 高木 茂正 岐阜県羽島市福寿町平方13丁目60番地 不 二商事株式会社内 Fターム(参考) 4E067 AA02 AC03 AD03 BA05 BH00 EA08 EC00 4K042 AA25 BA01 BA02 BA04 DA03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレス成形或いは圧延加工により成形し
    て上下面および側面を含む外表面を有する機械部材を所
    定の大きさに分割し、次いで機械加工を施して複数の環
    状および中空形状の分割機械部品を形成後、前記分割機
    械部品の分割面同士を突き合わせて液相拡散接合を用い
    て接合し、最終形状とすることを特徴とする環状および
    中空形状の機械部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記機械部品が、摩擦軽減用回転体を収
    納するケーシングであることを特徴とする請求項1記載
    の環状および中空形状の機械部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記液相拡散接合に必要な接合温度を高
    周波誘導加熱手段で確保し、かつ前記接合温度を接合開
    先にのみ付与することを特徴とする請求項1記載の環状
    および中空形状の機械部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記液相拡散接合に必要な接合温度を直
    接通電加熱手段で確保し、かつ前記接合温度を接合開先
    にのみ付与することを特徴とする請求項1記載の環状お
    よび中空形状の機械部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記液相拡散接合用合金箔が、V:1〜
    7原子%を含み、残部Fe又はNiからなる非晶質合金
    であることを特徴とする請求項1〜4の何れかの項に記
    載の環状および中空形状の機械部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記被接合用機械部材が、質量%で、
    C:0.01〜0.20%、Si:0.05〜1.0
    %、Mn:0.2〜2.0%、Cr:0.2〜13.0
    %、Mo:0.1〜2.0%を含み、残部Feおよび不
    可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜4の
    何れかの項に記載の環状および中空形状の機械部品の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記被接合用機械部材が、更に、質量%
    で、Ti,Zr,Ta,Hf,Nb,V,Ni,Co,
    Wから選ばれた少なくとも1種以上を0.001〜1.
    0%含むことを特徴とする請求項6記載の環状および中
    空形状の機械部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記液相拡散接合部を、更に別の熱処理
    手段による後熱処理或いは液相拡散接合に使用した熱源
    をそのまま再利用して後熱処理することを特徴とする請
    求項1〜4の何れかの項に記載の環状および中空形状の
    機械部品の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記液相拡散接合部の外表面を機械加工
    を施して仕上げ状態とすることを特徴とする請求項1〜
    8の何れかの項に記載の環状および中空形状の機械部品
    の製造方法。
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