JP2002263723A - ローラテーブルユニット、連続圧延用ローラテーブルおよび金属材の連続圧延方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 線状材、棒状材等の連続圧延に際し連続接合
が支障なく行える連続圧延用ローラテーブルを提案す
る。 【解決手段】 ローラと、ローラを支持し旋回可能に軸
支されたローラ支持アームと、ローラ支持アームを旋回
させるローラ支持アーム旋回用駆動手段とを有する退避
式ローラ装置と、エプロンと、エプロンを支持するエプ
ロン支持体と、駆動手段取付け台座に取り付けられエプ
ロン支持体を旋回させる駆動手段と、回転可能に軸支さ
れた駆動手段取付け台座と、駆動手段取付け台座を回転
駆動する回転手段とを有する退避式エプロン装置とから
構成され、ローラとエプロンを独立して圧延パスライン
から退避し、復帰可能として、移動式接合装置の移動を
可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ビレット等の金属
素形材を所定寸法まで圧延した後、圧延パスライン内で
先行する材料と、後行する材料とを接合し、連続して圧
延する金属材の連続圧延用装置に係わり、とくに移動式
接合装置を使用し連続接合し圧延する場合に好適な連続
圧延用ローラテーブルおよびそれを用いた金属材の連続
圧延方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ブルームやビレットなどの金属素
形材から線、棒、条など所定断面積、所定形状を有する
長尺の金属材を製造するにあたっては、これらの金属素
形材に熱間圧延を施すことが行われている。熱間圧延と
は、高温に加熱した金属素形材、あるいは連続鋳造によ
って得られた高温の金属素形材、を圧延し所望の寸法形
状の金属材とする方法である。

【０００３】ところで、このような熱間圧延において
は、有限な長さの金属素形材を１本ずつ順次圧延する、
いわゆるバッチ圧延では、１本の金属素形材を圧延して
から次の金属素形材の圧延にかかるまでに時間間隔が生
じ、金属素形材や粗圧延後の金属粗材の一部を床置きに
して待機せざるを得ない場合があった。このため、金属
素形材や金属粗材の温度低下が免れず、これらを圧延す
る際には再度の加熱が必要となるという問題があった。

【０００４】このような問題に対し、例えば、特開平10
-5803 号公報には、いわゆる連続圧延法が開示されてい
る。特開平10-5803 号公報に記載された技術は、複数の
材料（素形材）を第１の圧延機列で順次圧延する工程
と、走行式溶接機を材料の移動に同期させながら移動さ
せつつ、先行材料の後端と後行材料の先端とをフラッシ
ュバット溶接により接続して連続材とする工程と、連続
材の溶接部のバリを除去する研削工程と、連続材をさら
に下流に配置した第２の圧延機列で連続的に圧延する工
程とを有する圧延機間溶接連続圧延方法である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】特開平10-5803 号公報
に記載された技術では、上記したように、走行式溶接機
を先行する材料の移動に同期させながら移動させつつ、
先行材料の後端と後行材料の先端とをフラッシュバット
溶接により接続する工程を必須の要件としている。しか
し、走行式溶接機を圧延パスライン内で走行させる際に
は、被圧延材を支えるローラテーブルがその走行の障害
となることが容易に想像されるが、特開平10-5803 号公
報に記載された技術では、走行式溶接機とローラテーブ
ルの関係についてはなんの考慮もなされておらず、工業
的規模での実施には問題を残していた。

【０００６】このような問題に対し、 例えば、 特開2000
-51908号公報には、熱間圧延ラインにおける連続圧延
（エンドレス圧延）に好適とされるローラテーブルが開
示されている。特開2000-51908号公報に記載されたロー
ラテーブルは、接合台車の両側下部に船形プレートを設
けるとともに、昇降テーブルロール（ローラ）の端部に
カムロールを設けて、接合台車の走行に際し船形プレー
トによりカムロールを押し下げ、昇降テーブルロール
（ローラ）を接合台車の走行に支障のない位置まで押し
下げるという機構を有するものである。

【０００７】しかし、特開2000-51908号公報に記載され
た技術は、板材の連続熱間圧延方法に関するものであ
り、線、棒あるいは条材の圧延にそのまま適用すること
には問題がある。というのは、線、棒あるいは条材の圧
延設備においては、被圧延材の蛇行を防止するために、
図７に例示するような、エプロン561 と称する先細溝状
のガイドがローラ551 、551 間に設けられている。この
ため、単にローラだけを退避させようとすると、このエ
プロンと接合台車が干渉するという問題があったのであ
る。

【０００８】本発明は、上記した従来技術の問題を解決
し、線状材、棒状材、条材等の金属材の連続圧延に際
し、移動式接合装置の走行に支障のない、連続圧延用ロ
ーラテーブルを提案することを目的とする。また、本発
明は、接合に支障なく、かつ安定した連続圧延を可能と
する、金属材の連続圧延方法をも提案することを目的と
する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した課
題を達成するために、鋭意考究した結果、線状材、棒状
材、条材等の被圧延材同士を移動式接合装置により接合
して連続的に圧延する、金属材の連続圧延に際しては、
ローラテーブルを構成するローラとエプロンを圧延パス
ライン上の所定の位置から、接合装置の通過ラインより
下の位置まで独立して移動・退避できる構造を有するロ
ーラテーブルとする必要があることに想到した。

【００１０】本発明は、上記した考えに基づき、 さらに
検討して完成されたものである。すなわち、本発明の要
旨は、つぎのとおりである。 （１）１つのローラ装置と１つのエプロン装置とからな
るローラテーブルユニットであって、前記ローラ装置
が、固定フレーム上に水平に配設されたローラ支持アー
ム支持軸と、該ローラ支持アーム支持軸に一端を旋回可
能に軸支されたローラ支持アームと、該ローラ支持アー
ムの他端に軸を介して支持された被圧延材を搬送するロ
ーラと、前記ローラ支持アームの前記ローラ支持アーム
支持軸側の端部に連設されたローラ支持アーム連結体
と、該ローラ支持アーム連結体の他端に軸着され前記ロ
ーラ支持アームを旋回させるローラ支持アーム旋回用駆
動手段とを有する退避式ローラ装置であり、前記エプロ
ン装置が、固定フレーム上に水平に配設された台座支持
軸に回転可能に軸支された駆動手段取付け台座と、該駆
動手段取付け台座を前記台座支持軸周りに回転駆動する
回転手段と、前記駆動手段取付け台座に傾動可能に取り
付けられたエプロン旋回用駆動手段と、一端を該エプロ
ン旋回用駆動手段に軸着されたエプロン支持連結体と、
一端を該エプロン支持連結体の他端に固着されたエプロ
ン支持体と、該エプロン支持体に支持され被圧延材をガ
イドするエプロンとを有する退避式エプロン装置である
ことを特徴とするローラテーブルユニット。 （２）前記ローラ支持アームの他端にローラ荷重を相殺
するバランスシリンダーを付設したことを特徴とする
（１）に記載のローラテーブルユニット。 （３）（１）または（２）に記載のローラテーブルユニ
ットを複数個並べて配したことを特徴とする、金属材の
連続圧延用退避式ローラテーブル。 （４）金属素形材を順次圧延する上流の圧延機列と、先
行する被圧延材の後端と後行する被圧延材の先端とを接
合し連続被圧延材とする、前記上流の圧延機列と下流の
圧延機列の間に配設され、該上流の圧延機列と下流の圧
延機列の間を往復移動可能な移動式接合装置と、前記連
続被圧延材を連続して圧延し金属仕上げ材とする下流の
圧延機列とを順次直列に配設し、前記各圧延機列の間
に、 被圧延材を搬送支持するローラテーブルを設けた金
属材の連続圧延設備において、少なくとも前記移動式接
合装置の移動範囲のローラテーブルを（３）に記載の退
避式ローラテーブルとすることを特徴とする金属材の連
続圧延設備。 （５）金属素形材を、複数の圧延機列を直列に配した圧
延ラインの上流の圧延機列にて順次圧延し、連続圧延用
被圧延材としたのち、移動式接合装置を用いて、先行す
る被圧延材の後端を後行する被圧延材の先端に接合し、
ついで下流の圧延機列にて連続的に圧延する金属材の連
続圧延方法において、前記移動式接合装置の移動範囲の
ローラテーブルをエプロンとローラを有し、該エプロン
と該ローラが独立して圧延パスラインから退避可能にし
たローラテーブルユニットを複数個並べて配置した退避
式ローラテーブルとし、１本目の被圧延材の先端が走行
中は、前記退避式ローラテーブルのローラおよびエプロ
ンとも圧延パスライン上に位置させ、該１本目の被圧延
材の後端に次の２本目の被圧延材の先端を接合するため
移動式接合装置が通過する際には、前記移動式接合装置
と干渉する範囲の退避式ローラテーブルのローラおよび
エプロンを圧延パスラインから退避位置に移動させ、前
記移動式接合装置の通過後はローラのみ退避位置から圧
延パスライン上の所定の位置に移動させ、一方、１本目
と２本目の接合が完了したのちの２本目以降の被圧延材
の走行中、および２本目と３本目の接合以降の接合時に
は、移動式接合装置が通過する際に、前記移動式接合装
置と干渉する範囲の退避式ローラテーブルのローラのみ
を圧延パスライン上の所定の位置から退避位置へ移動
し、移動式接合装置が通過後はローラのみを退避位置か
ら圧延パスライン上の所定の位置へ復帰させる、 往復移
動を行うことを特徴とする金属材の連続圧延方法。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の好ましい実施形
態を説明する。図１に、本発明方法の実施に適した金属
材の連続圧延設備の一例を示す。本発明では、複数の圧
延機列を用いて、金属素形材を圧延して金属仕上げ材
（製品）とする。図示しない連続鋳造機から直送され、
もしくは加熱炉によって加熱された金属素形材（ビレッ
ト）１は、複数の圧延機延列のうちの、上流の圧延機列
（粗圧延機列）３にて粗圧延され、金属粗材５とされ
る。該金属粗材（被圧延材）は次いで下流の圧延機列
（中間圧延機列）13によって圧延され、その後必要に応
じてさらに下流の圧延機列（仕上げ圧延機列）14によっ
て仕上げ圧延され、製品の金属仕上げ材とされる。な
お、すべての配設個所については図示されていないが、
各圧延機列の間には、被圧延材を搬送支持するローラテ
ーブルが配設されている。

【００１２】本発明では、この上流の圧延機列３と下流
の圧延機列13の間に、移動式接合装置12を配設する。被
圧延材（金属粗材）は、この移動式接合装置12によっ
て、後行する被圧延材10の先端を先行する被圧延材11の
後端に接合し、下流の圧延機列13、必要に応じて下流の
圧延機列14にて連続的に圧延するのである。なお、接合
される被圧延材10、11の先端、後端は上流の圧延機列３
を出たところで切断機４によって切断して端面を接合に
適する形状に調整することが好ましい。切断機４として
はクロップシャーや走行式鋸切機などが好ましく使用で
きる。

【００１３】移動式接合装置12は、 上流の圧延機列３と
下流の圧延機列13の間を往復可能に配設される。このた
め、移動式接合装置12は、 台車とすることが好ましい。
移動式接合装置12の移動手段（図示せず）は、移動式接
合装置12に積載されたモーターによって車輪あるいはピ
ニオンを駆動する（この場合はラック・ピニオン方式）
自走方式、あるいは外部に設けたシリンダーによる他動
方式などいずれの方法であってもよい。

【００１４】なお、移動式接合装置12における、上流の
圧延機列３と下流の圧延機列13の間の往復とは、必ずし
も直線運動のみを意味するものではなく、たとえば接合
時には圧延ライン内を先行の被圧延材と後行の被圧延材
の搬送方向に沿って移動するが、戻りは圧延ラインの外
に退避して移動するものであってもよい。本発明の移動
式接合装置12は、接合手段とともに、後行する金属粗材
を把持する把持装置を有することが好ましい。把持装置
は、把持手段とともに移動手段を有し、把持手段により
後行の被圧延材10を把持し、移動手段により該後行の被
圧延材10の先端を圧延ライン19内の接合に好適な所定の
位置に移動保持することが好ましい。そして把持手段の
移動と移動式接合装置の移動によって、後行する金属粗
材を先行する金属粗材11の前進速度を上回る速度で前進
させ、後行する金属粗材10の先端が先行する金属粗材11
の後端に突き当てて、位置決めし、接合することが好ま
しい。これにより、安定して適正な接合位置が確保で
き、 適正な接合が可能となる。

【００１５】また、本発明における接合は、短時間で強
固な接合が得られれば特にその方式にこだわるものでは
ないが、この目的に合致する接合方法としてフラッシュ
バット溶接が最も好ましいが、コイルを用いる誘導加熱
溶接方式としても何ら問題はない。また、 本発明では、
上記の移動式接合装置12が圧延ラインを走行している場
合には、被圧延材を搬送支持するローラテーブルを構成
する各ローラと各エプロンは、移動式接合装置12と干渉
しない位置に順次退避する。本発明では、ローラテーブ
ルを構成する一つのローラと一つのエプロンからなる素
単位を、ローラテーブルユニットと呼ぶものとする。ロ
ーラテーブルは、このローラテーブルユニットを複数個
並べて配し構成される。

【００１６】本発明の最も特徴的な点は、ローラテーブ
ルユニットを構成するローラおよびエプロンをともに独
立して退避可能にした点にある。図２に、本発明のロー
ラテーブルユニットの一例を示す。図２(a) は、ローラ
テーブルユニットの概略を説明する側面図であり、図２
(b) はこれを圧延方向から見た正面図である。ローラ55
1 およびエプロン561 が共に圧延パスライン19上にある
状態を示している。本発明のローラテーブルユニット
は、退避式ローラ装置55と、退避式エプロン装置56とか
らなり、それぞれ独立に駆動可能に構成されている。

【００１７】本発明の退避式ローラ装置55は、固定フレ
ーム581 上に水平に配設されたローラ支持アーム支持軸
57と、被圧延材を搬送するローラ551 と、ローラ支持ア
ーム552 と、ローラ支持アームの端部に連設されたロー
ラ支持アーム連結体553 と、ローラ支持アーム旋回用駆
動手段554 とを有する。なお、ローラ支持アーム連結体
553 はローラ支持アーム55に固着しても、またこれと一
体に形成しても構わない。

【００１８】固定フレーム581 は、圧延装置の基礎ある
いは圧延装置本体のフレームに固定されたフレームであ
る。固定フレーム581 上には、水平にローラ支持アーム
支持軸57が設けられる。ローラ支持アーム支持軸57に
は、ローラ支持アーム552 の一端が旋回可能に軸支され
る。また、ローラ支持アーム552 の他端には、被圧延材
を搬送するローラ551 がローラ軸557 を介して支持され
る。さらに、ローラ支持アーム連結体553 はその一端
が、ローラ支持アーム552 の他端に固着されるか又は一
体として形成されているので、ローラ支持アーム連結体
553 とローラ支持アーム552 とが一体となって支持軸57
の周りに旋回可能とされる。

【００１９】また、このローラ支持アーム連結体553 の
他端には、ローラ支持アーム旋回用駆動手段554 が軸着
される。図２には、ローラ支持アーム旋回用駆動手段55
4 として、シリンダが図示され、シリンダのロッド先端
がローラ支持アーム連結体553 の他端に軸着されてい
る。ローラ支持アーム旋回用駆動手段554 （シリンダ）
は、固定フレーム582 に傾動可能に設けられることが好
ましい。なお、固定フレーム582 は、固定フレーム581
と同様、圧延装置の基礎あるいは圧延装置本体のフレー
ムに固定されたフレームである。

【００２０】上記のように退避式ローラ装置55を構成し
て、ローラ支持アーム旋回用駆動手段554 （シリンダ）
をロッドが縮む方向に駆動すると、ローラ支持アーム連
結体553 の他端がシリンダ（ローラ支持アーム旋回用駆
動手段554 ）側に移動し、これに伴ってローラ支持アー
ム551 が支持軸57周りに旋回し、ローラ551 のみが圧延
パスライン19上の所定の位置から移動式接合装置下端の
通過ライン191 より下方の退避位置に移動する。図３
は、このローラ551 のみが退避位置に移動した状態を示
す。

【００２１】また、図３の状態から、ロッドが伸びる方
向にシリンダ（ローラ支持アーム旋回用駆動手段554 ）
を駆動すると、ローラ551 は上記した移動と逆方向に移
動して、退避位置から圧延パスライン上の所定の位置に
復帰する。なお、本発明では、ローラ支持アーム旋回用
駆動手段554 はシリンダーに限定されるものではないこ
とはいうまでもない。

【００２２】本発明の退避式エプロン装置は、固定フレ
ーム581 上に水平に配設された台座支持軸58と、被圧延
材をガイドするエプロン561 と、 エプロン支持体562
と、エプロン支持連結体563 と、エプロン旋回用駆動手
段564 と、駆動手段取付け台座565 と、回転手段566
と、を有する。台座支持軸58には、駆動手段取付け台座
565 が回転可能に軸支される。そして、駆動手段取付け
台座565 には、エプロン旋回用駆動手段564 が傾動可能
に取り付けられる。駆動手段取付け台座565 には、スプ
ロケットホイール（図示せず）が枢設され、チェーン56
7 を介し回転機566 により台座支持軸58の周りに回転駆
動可能とされる。なお、回転機566 は、電動機、油圧、
空圧モーターなどが使用可能である。回転機566 は、圧
延装置の基礎あるいは圧延装置本体のフレームに固定さ
れた固定フレーム583 上に設置されるのが好ましい。な
お台座支持軸58と前記したローラアーム支持軸57を共通
の１本の軸としても構わない。

【００２３】エプロン旋回用駆動手段564 の先端は、エ
プロン支持連結体563 の一端に軸着される。図２には、
エプロン旋回用駆動手段564 として、シリンダが図示さ
れ、シリンダのロッド先端がエプロン支持連結体563 の
一端に軸着されている。このエプロン支持連結体563 の
他端は、エプロン支持体562 の下方の一端に連設され
る。なお、エプロン支持連結体563 はエプロン支持体56
2 に固着しても、またこれと一体に形成したものであっ
てもよい。エプロン支持連結体563 とエプロン支持体56
2 とは、固着個所で軸568 により軸支され、軸568 の周
りに一体となり旋回可能とされる。

【００２４】なお、軸568 は、エプロンの退避経路に沿
うガイド孔を有する支持手段（図示せず）によって支持
されるのが好ましい。これにより、エプロン支持体562
は、エプロン旋回用駆動手段564 の駆動により（シリン
ダのロッドの伸縮により）軸568 の周りで起倒すること
が可能となる。エプロン561 は、エプロン支持体562に
支持されて被圧延材をガイドする。

【００２５】これらのエプロン支持機構、駆動機構は図
２(b) に示すように、ローラ支持機構、駆動機構とは反
対の側に集約的に配置し、互いの干渉を避けるようにす
るのが良い。エプロンは長さが長く、ローラのように単
純に起倒させたのでは、限られたスペースの中で移動式
接合装置の下端通過ラインより下方に迅速に移動するこ
とが難しい。そこで、 本発明では、上記のように退避式
エプロン装置56を構成して、その移動を、 回転機566 に
よる駆動手段取付け台座565 の回転と、エプロン旋回用
駆動手段564 の駆動との、二つの動作の組み合わせとす
ることにより、限られたスペース内での迅速な移動を達
成している。

【００２６】まず、図２の状態から、回転機566 を反時
計方向に回転させることにより、駆動手段取付け台座56
5 が反時計方向に倒れる、第一の動作と、そして、さら
に、エプロン旋回用駆動手段564 の駆動（ロッドが伸び
る方向にシリンダを駆動する）による第二の動作とによ
り、エプロン561 は図４に示すように移動式接合装置12
下端の通過ライン191 より下方に迅速に退避することが
できる。図４は、ローラ551 （点線）が圧延パスライン
上の所定の位置に留まり、エプロン561 のみが移動式接
合装置下端の通過ライン191 より下方に退避した状態を
示す。図５はエプロン561 およびローラ551 （点線）が
共に移動式接合装置下端の通過ライン191 より下方に退
避した状態を示す。

【００２７】上記のようにすることにより、ローラとエ
プロンの退避を独立して行うことができる。ローラとエ
プロンの退避を独立して行うことの必要性は下記のよう
な理由がある。例えば、被圧延材同士を接合せずにバッ
チ圧延する場合や、連続圧延する場合の第１本目の被圧
延材をローラテーブルに通す場合には、その先端が蛇行
して圧延パスライン外に逸脱するおそれがある。このた
め、ローラテーブルでは被圧延材を下方からローラによ
り支えると同時にエプロンによってガイドする必要があ
る。

【００２８】また、連続圧延する場合には、被圧延材の
先端は、先行する被圧延材の後端に接合されているた
め、下流の圧延機にて圧延中の先行する被圧延材によっ
て引っ張られ、被圧延材が蛇行によってパスライン外に
著しく逸脱する恐れはない。したがって、このような場
合には、エプロンは圧延パスラインに位置する必要がな
く、エプロンは退避位置に退避したままでよいのであ
る。しかし、移動式接合装置内にある被圧延材以外の被
圧延材については下側から圧延パスライン上に支える必
要がある。このため、ローラは図４に示すように圧延パ
スライン上の所定の位置に復帰し、被圧延材の支承を受
け持つ必要がある。一方、移動式接合装置が移動する範
囲内にあるローラのみは移動式接合装置下端の通過ライ
ンより下に退避しなければならない。

【００２９】このようなことから、ローラとエプロンの
退避は独立して行うことが必要となるのである。また、
ローラの退避と圧延パスラインの所定の位置への復帰動
作は、上記した理由から極めて迅速に行わなければなら
ない。しかし、ローラは中実の金属体であるため質量が
大きく、とくに退避位置から圧延パスラインの所定の位
置への復帰する際の迅速な運動の妨げとなることが多
い。そこで本発明の好ましい実施態様として、図６に示
すごとく、ローラ支持アームの他端にバランスシリンダ
ー555 を付設することが好ましい。バランスシリンダー
555 の一端は圧延装置の基礎あるいは圧延機本体のフレ
ームに固定した固定フレーム556 に軸着する。そして、
バランスシリンダーには、油圧あるいは空圧によってロ
ーラ551 に作用する重力を相殺する程度の力を常にロー
ラ551 に与え続け、移動時の迅速化を図ることが好まし
い。なお、図６では、簡単のために、ローラテーブルユ
ニットのエプロン装置の図示は省略してある。

【００３０】本発明では、上記した一つの退避式ローラ
装置55と一つの退避式エプロン装置56とからなるローラ
テーブルユニット51を圧延方向に複数個並べて配し、退
避式ローラテーブル50とする。本発明の金属材の連続圧
延設備では、この退避式ローラテーブル50を、少なくと
も金属材の連続圧延設備における移動式接合装置12の移
動範囲に配設することが好ましい。

【００３１】図８に、退避式ローラテーブル50を、金属
材の連続圧延設備における移動式接合装置12の移動範囲
に配設した例を示す。図８では、移動式接合装置12が退
避式ローラテーブルを移動中であり、各ローラテーブル
ユニット51のローラ、 エプロンの退避状態を示してい
る。１本目の被圧延材の先端が走行中は、退避式ローラ
テーブルのローラおよびエプロンとも圧延パスライン19
上に位置させる（図８の51ａ）。１本目の被圧延材の後
端に次の２本目の被圧延材の先端を接合するため，移動
式接合装置が通過する際には、移動式接合装置と干渉す
る範囲の退避式ローラテーブルのローラおよびエプロン
を圧延パスライン19上の所定の位置から、移動式接合装
置の下端通過ライン191 より下の退避位置に移動させる
（図８の51ｂ、51ｃ）。移動式接合装置12の通過後は、
ローラ551 のみ退避位置から圧延パスライン19上の所定
の位置に移動させる（図８の51ｄ）。

【００３２】１本目と２本目の接合が完了したのちの２
本目以降の被圧延材の走行中、および２本目と３本目の
接合以降の接合時には移動式接合装置が通過する際に、
移動式接合装置と干渉する範囲の退避式ローラテーブル
のローラのみを圧延パスライン上の所定の位置から退避
位置へ移動し、移動式接合装置が通過後はローラのみを
退避位置から圧延パスライン上の所定の位置へ復帰させ
る。このように、２本目以降はローラのみの移動で、安
定して容易に、 棒状材、線状材、型材等の金属材の連続
圧延が可能となる。２本目以降の走行中、接合時にはエ
プロンは退避位置に移動したままである。

【００３３】なお、本発明における金属素形材として
は、線材、棒、型材などの加工原料となるブルームやビ
レット等が適合する。そしてこの連続圧延方法によって
製造される金属材は、線材、棒、型材などで、とくに線
材や棒などが好ましい。また金属としては鋼が最も一般
的であるが特にこれに限定するものではなく、銅合金や
アルミ合金などの線材、棒材の熱間圧延であってもよ
い。

【００３４】

【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、線材、 棒あるいは型材の金属圧延製品を支障なく連
続圧延することができ、歩留の向上、生産効率の向上等
産業上格段の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した連続圧延設備の一例を模式的
に示す全体図である。

【図２】本発明のローラテーブルユニットの一例を示す
側面図である。

【図３】（ａ）はローラ装置のみを退避位置に移動した
状態のローラテーブルユニットを示す側面図であり、
（ｂ）はローラ装置のみを退避位置に移動した状態のロ
ーラテーブルユニットを示す正面図である。

【図４】エプロン装置のみを退避位置に移動した状態の
ローラテーブルユニットを示す側面図である。

【図５】ローラ装置およびエプロン装置を退避位置に移
動した状態のローラテーブルユニットを示す側面図であ
る。

【図６】本発明のローラテーブルユニットの一例を示す
側面図である。

【図７】ローラテーブルの構成の一例を示す模式図であ
る。

【図８】本発明のローラテーブルユニットを使用した退
避式ローラテーブルの一例を示す説明側面図である。

【符号の説明】

１ 金属素形材 ２ 簡易加熱炉 ３ 上流の圧延機列（粗圧延機列） ４ 切断機 ５ 金属粗材（被圧延材） 10 後行する被圧延材（金属粗材） 11 先行する被圧延材（金属粗材） 12 移動式接合装置 13 下流の圧延機列（中間圧延機列） 14 下流の圧延機列（仕上げ圧延機列） 19 圧延ライン 191 移動式接合装置下端の通過ライン 50 ローラテーブル 55 ローラ装置（退避式） 551 ローラ 552 ローラ支持アーム 553 ローラ支持アーム連結体 554 ローラ支持アーム旋回用駆動手段 555 バランスシリンダー 556 固定フレーム 557 ローラ軸 56 エプロン装置（退避式エプロン装置） 561 エプロン 562 エプロン支持体 563 エプロン支持連結体 564 エプロン旋回用駆動手段 565 駆動手段取付け台座 566 回転手段 567 チェーン 568 軸 57 ローラ支持アーム支持軸 58 台座支持軸 581 固定フレーム 582 固定フレーム 583 固定フレーム

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 １つのローラ装置と１つのエプロン装置
   とからなるローラテーブルユニットであって、前記ロー
   ラ装置が、固定フレーム上に水平に配設されたローラ支
   持アーム支持軸と、該ローラ支持アーム支持軸に一端を
   旋回可能に軸支されたローラ支持アームと、該ローラ支
   持アームの他端に軸を介して支持された被圧延材を搬送
   するローラと、前記ローラ支持アームの前記ローラ支持
   アーム支持軸側の端部に連設されたローラ支持アーム連
   結体と、該ローラ支持アーム連結体の他端に軸着され前
   記ローラ支持アームを旋回させるローラ支持アーム旋回
   用駆動手段とを有する退避式ローラ装置であり、前記エ
   プロン装置が、固定フレーム上に水平に配設された台座
   支持軸に回転可能に軸支された駆動手段取付け台座と、
   該駆動手段取付け台座を前記台座支持軸周りに回転駆動
   する回転手段と、前記駆動手段取付け台座に傾動可能に
   取り付けられたエプロン旋回用駆動手段と、一端を該エ
   プロン旋回用駆動手段に軸着されたエプロン支持連結体
   と、一端を該エプロン支持連結体の他端に連設されたエ
   プロン支持体と、該エプロン支持体に支持され被圧延材
   をガイドするエプロンとを有する退避式エプロン装置で
   あることを特徴とするローラテーブルユニット。
2. 【請求項２】 前記ローラ支持アームの他端にローラ荷
   重を相殺するバランスシリンダーを付設したことを特徴
   とする請求項１に記載のローラテーブルユニット。
3. 【請求項３】 請求項１又は２に記載のローラテーブル
   ユニットを複数個並べて配したことを特徴とする、金属
   材の連続圧延用退避式ローラテーブル。
4. 【請求項４】 金属素形材を順次圧延する上流の圧延機
   列と、先行する被圧延材の後端と後行する被圧延材の先
   端とを接合し連続被圧延材とする、前記上流の圧延機列
   と下流の圧延機列の間に配設され、該上流の圧延機列と
   下流の圧延機列の間を往復移動可能な移動式接合装置
   と、前記連続被圧延材を連続して圧延し金属仕上げ材と
   する下流の圧延機列とを順次直列に配設し、前記各圧延
   機列の間に、 被圧延材を搬送支持するローラテーブルを
   設けた金属材の連続圧延設備において、少なくとも前記
   移動式接合装置の移動範囲のローラテーブルを請求項３
   に記載の退避式ローラテーブルとすることを特徴とする
   金属材の連続圧延設備。
5. 【請求項５】 金属素形材を、複数の圧延機列を直列に
   配した圧延ラインの上流の圧延機列にて順次圧延し、連
   続圧延用被圧延材としたのち、移動式接合装置を用い
   て、先行する被圧延材の後端を後行する被圧延材の先端
   に接合し、ついで下流の圧延機列にて連続的に圧延する
   金属材の連続圧延方法において、前記移動式接合装置の
   移動範囲のローラテーブルをエプロンとローラを有し、
   該エプロンと該ローラが独立して圧延パスラインから退
   避可能にしたローラテーブルユニットを複数個並べて配
   置した退避式ローラテーブルとし、１本目の被圧延材の
   先端が走行中は、前記退避式ローラテーブルのローラお
   よびエプロンとも圧延パスライン上に位置させ、該１本
   目の被圧延材の後端に次の２本目の被圧延材の先端を接
   合するため移動式接合装置が通過する際には、前記移動
   式接合装置と干渉する範囲の退避式ローラテーブルのロ
   ーラおよびエプロンを圧延パスライン上から退避位置に
   移動させ、前記移動式接合装置の通過後はローラのみを
   退避位置から圧延パスライン上の所定の位置に移動さ
   せ、一方、１本目と２本目の接合が完了したのちの２本
   目以降の被圧延材の走行中および、２本目と３本目の接
   合以降の接合時には、移動式接合装置が通過する際に、
   前記移動式接合装置と干渉する範囲の退避式ローラテー
   ブルのローラのみを圧延パスライン上の所定の位置から
   退避位置へ移動し、移動式接合装置が通過後はローラの
   みを退避位置から圧延パスライン上の所定の位置へ復帰
   させる、 往復移動を行うことを特徴とする金属材の連続
   圧延方法。