JP2002262592A - モータ制御装置 - Google Patents

モータ制御装置

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JP2002262592A JP2001053419A JP2001053419A JP2002262592A JP 2002262592 A JP2002262592 A JP 2002262592A JP 2001053419 A JP2001053419 A JP 2001053419A JP 2001053419 A JP2001053419 A JP 2001053419A JP 2002262592 A JP2002262592 A JP 2002262592A
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金子  悟
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Abstract

(57)【要約】 【課題】磁極位置センサなしで、応答性の良い制御特性
を有するモータ制御装置の提供を課題とする。 【解決手段】制御装置4のPWM信号発生用搬送波に同
期して複数の検出用電圧ベクトルVab,Vcdを印加
するとともに、搬送波に同期した電流検出パルスPdに
よりモータ電流iu,ivを検出する。検出用電圧ベク
トルVab,Vcdとそれぞれに対するモータ電流の電
流差分差ベクトルの関係から同期モータ1の突極性を利
用して磁極位置θを演算により求める。これにより、小
さい検出用電圧で短時間に精度よく磁極位置θを検出す
ることができるので、騒音が少なく、かつ制御性の良い
磁極位置センサレスモータ制御装置を安価に提供でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は交流モータを高性能
に制御する制御装置、特に、リラクタンスモータ,磁石
モータなどの突極性を有する同期モータを位置センサな
しで制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】同期モータの速度やトルクを制御するた
めには、磁極位置を検出、あるいは、推定する必要があ
る。その検出した磁極位置に基づいて電流制御あるいは
電圧制御を行うことで、同期モータのトルクや速度を制
御できる。近年、この磁極位置を位置検出器で検出する
ことなく、同期モータを制御する磁極位置センサレス制
御方式が提案されている。例えば、特開平7−2459
81号,平成8年電気学会産業応用部門全国大会No.1
70に記載されているような第1の方法がある。これは
交番電圧を印加してそれに対するモータ電流の平行成
分,直交成分(回転座標系における電流成分)に基づき
磁極位置を推定する方法であり、停止時や低速時に磁極
位置センサを用いないで、磁極位置を検出できる特徴が
ある。また、第2の方法として、特開平11−1509
83号,特開平11−69884号などに記載されてい
る追加電圧を重畳する方法がある。この方法は高トルク
領域でも磁気飽和が起こらないように印加電圧を加える
ことにより、停止時、あるいは、低速時における低負荷
から高負荷までの範囲で磁極位置センサレス化を実現で
きる。また、第3の方法として、特開平8−20557
8号には、パルス幅制御(PWM制御)により同期モー
タに印加する電圧のベクトルとそれに対するモータ電流
のリプル成分(電流差分ベクトル)の相関関係から同期
モータの突極性を検出する方法が記載されている。ま
た、この第3の方法は同期モータの電圧を制御する一般
的なPWM信号を利用しているため、検出のための追加
信号を付加する必要がない利点がある。なお、電圧ベク
トルとは、3相の電圧、あるいは、d軸,q軸電圧から
決定される大きさと方向を有する電圧のことを意味す
る。電流ベクトルについても同様であり、以下、要素と
しての各相の電圧、あるいは、d軸,q軸電圧と、総和
としての電圧ベクトルとを使い分けながら説明する。ま
た、同期モータの場合には、回転子の磁極位置を検出す
ることになるので、以下、磁極位置として説明する。リ
ラクタンスモータの場合には、突極性がある回転子の特
定な位置を検出することになる。従って、これらをすべ
てまとめて記述する場合には、磁極位置,リラクタンス
モータの特定な位置のことを回転子位置とよぶことにす
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、第1の方法は
モータを駆動しながら磁極位置検出を行おうとした場合
には、ノッチフィルタなどを用いたバンドパスフィルタ
やフーリエ積分により、検出用交番電圧と同じ周波数成
分の電流を抽出する必要である。特に、モータの回転数
が高くなると、モータの入力周波搬と検出用交番電圧の
周波数が分離しにくくなるため、高速回転での安定した
駆動が難しいという課題があった。また、インバータの
スイッチング特性による影響を受けないように、配慮す
る必要がある。つまり、PWM信号の搬送周波搬が数k
Hzから20kHzであるのに対して、検出用交番電圧
の周波数は数100Hzと低くなっているため、モータ
駆動しているとき、数100Hzの騒音がすることがあ
る。
【0004】第2の方法に関しても、モータを停止状態
あるいは低速回転状態で駆動する場合の特性改善を目的
としたものであって、モータを高速で駆動した場合に重
要となる電流検出のタイミング,PWM信号の関係が記
述されておらず、高精度に位置検出を行うための配慮が
なされていない。
【0005】さらに、第3の方法を実現するためには、
PWM信号が変化する毎にモータ電流の状態と印加電圧
の相関関係を検出する必要がある。つまり、搬送波の1
周期に対して、少なくとも6回、モータ電流の状態を検
出すること、印加電圧の状態を把握することが条件とな
るため、高性能のコントローラを用いなければならない
という問題点がある。
【0006】本発明の第1の目的は、安価なコントロー
ラ,電流検出器を用いながら、停止状態から高速回転状
態までの広範囲において、同期モータ(リラクタンスモ
ータを含む)を高応答で、かつ、モータの損失増加を抑
制しながら制御することである。また、電流により検出
した磁極位置が真の磁極位置から大きくずれた場合には
モータ制御システムの異常を検知することを第2の目的
としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、同期モータ
と、該同期モータに電圧を印加する電力変換器と、前記
印加電圧を制御する制御装置を備え、少なくとも2方向
に検出用電圧を印加し、それぞれに対する電流変化から
前記同期モータの磁極位置位置を推定する位置推定装置
を備えることにより達成される。
【0008】具体的な一例としては、制御装置は、搬送
波に同期したPWM信号により前記電力変換器の印加電
圧を制御する手段を備える。2つの電圧印加方向に検出
用電圧を印加することと、前記交流モータの電流を検出
することをこの搬送波に同期して実施することにより、
前記交流モータの回転子の磁極位置を推定する。例え
ば、突極性を有する同期モータにおいて、搬送波の半周
期毎に第1の電圧印加方向に検出用電圧を変化してモー
タの電流を検出し、半周期毎の電流差分ベクトル(静止
座標系のベクトル)を求める。次に、2回の電流差分ベ
クトルの差(以下、電流差分差ベクトルとよぶことにす
る)とそれに対応する2回の印加電圧ベクトルの差(以
下、電圧差ベクトル)を演算する。この電圧差ベクトル
が第1の検出用電圧、その方向が第1の電圧印加方向で
あり、この電流差分差ベクトルが第1の検出用電圧に対
する電流変化ベクトルである。同様に、第2の電圧印加
方向に対して、検出用電圧を変化してもモータの電流を
検出する。これにより、同様の演算を行って、第2の検
出用電圧ベクトルに対する第2の電流変化ベクトルを求
める。
【0009】同期モータにおける磁極位置方向(d軸方
向)のインダクタンスLdと、直交する方向(q軸方
向)のインダクタンスLqが異なるので、第1と第2の
検出用電圧ベクトルの方向を変えることにより、Ld,
Lqの違いによる2つの電流差分差ベクトルの大きさと
位相の違いが生じることになる。これを容易に検出する
ことができるので、磁極位置を感度良く検出することが
できる。従って、突極性を有する交流モータを高応答性
にセンサなしで制御でき、高性能な特性を要求されるモ
ータ制御分野のセンサレス化に有効である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図1に
より説明する。この実施例は、d軸インダクタンスLd
がq軸インダクタンスLqよりも小さい、いわゆる、逆
突極性を有する同期モータ1を位置センサなしで制御す
る場合の実施例である。
【0011】図1は同期モータ1をバッテリー2の直流
エネルギーで駆動するモータ制御システムの構成図であ
る。バッテリー2の直流電圧はインバータ3により3相
の交流電圧に変換され、同期モータ1に印加される。こ
の印加電圧はコントローラ4において次のような演算を
行って決定される。まず、電流指令値発生部6では、モ
ータが発生すべきトルク指令値τrに対して、d軸電流
指令値idr,q軸電流指令値iqrを決定する。ここ
で、d軸は磁極位置(磁束)の方向、q軸は電気的にd
軸に直交する方向を示しており、d−q軸座標系を構成
する。同期モータ1において同じモータ速度ωで、か
つ、同じモータトルクτを発生する条件の下で、id
r,iqrの割合を変えることができるが、モータ損失
は異なる。そこで、電流指令値発生部6にモータ速度ω
を入力することで、トルク指令値τrに対してモータ損
失が最も少ない最適なidr,iqrを出力するように
している。なお、モータ速度ωは速度検出部13におい
て後述する磁極位置θの変化量から検出している。
【0012】磁石を有する回転子が回転すると、d−q
軸座標系も回転するので、静止座標系(α−β軸座標
系)からの位相をθとする。つまり、本実施例は磁極の
位相θ(以下、磁極位置θとよぶことにする。)を電流
から検出することが目的である。d軸電流とq軸電流を
指令値どおりに制御できれば、同期モータ1はトルク指
令値τrと一致したトルクを発生することができる。な
お、トルク指令値τrは直接その値を指示される場合
も、図示していない速度制御演算回路から指令される場
合もある。
【0013】また、電流センサ5u,5vから検出され
たu相電流iu,v相電流ivは電流検出部10におい
て後述する電流検出パルスPdのタイミングにより検出
され、座標変換部11でd−q軸座標系のd軸電流i
d,q軸電流iqに変換される。この実施例では、電流
検出部10で検出する電流はU相とV相の2つの相電流
iu,ivであるが、W相電流iwはiu,ivから求
めることができるので、W相電流ivの検出を省略して
いる。本発明は3相電流をすべて検出する場合にも適用
できることは当然である。電流制御部7では、d軸電流
指令値idrとd軸電流idのd軸電流偏差、q軸電流
指令値iqrとq軸電流iqのq軸電流偏差を演算し、
それぞれの電流偏差に対して比例・積分制御演算によっ
てd軸電圧指令値Vds,q軸電圧指令値Vqsを得
る。なお、逆起電力を補償するための制御方法として、
モータ速度ωを用いた非干渉制御を行う方法も提案され
ている。d軸電圧指令値Vds,q軸電圧指令値Vqs
は電流制御部7から出力されると、それぞれd軸,q軸
の検出用電圧Vdp,Vqpが加算され、座標変換部8
に入力される。d軸,q軸の検出用電圧Vdp,Vqp
の発生方法が本発明では重要であり、これについては、
後で詳細を述べる。座標変換部8では、後述する方法に
より検出された磁極位置θにより静止座標系の3相電圧
指令値Vur,Vvr,Vwrを演算する。これらの3
相電圧指令値は、PWM信号発生部9に入力されて、3
相のPWMパルスPup,Pvp,Pwp,Pun,P
vn,Pwuをインバータ3に出力する。これにより、
同期モータ1に印加する電圧が決定される。このように
して、同期モータ1を制御することができる。
【0014】次に、本願の特徴である位置検出方法につ
いて説明する。図1において、位置検出を行う位置検出
部12は、検出用電圧発生部14,電流差分差演算部1
5,磁極位置推定部16,位置推定異常判定部17から
構成されている。
【0015】まず、検出用電圧発生部14と電流差分差
演算部15の動作原理を説明するために、図2のタイム
チャート、図3のフェーザ図、図4のフローチャートを
用いる。図2は3相の印加電圧のタイミングとPWM信
号の発生状態を示したもので、実際にはPWM信号発生
部9の動作状態である。三角波状の搬送波に対して、各
相の電圧指令値Vur,Vvr,Vwrの波形を比較す
ることにより、3相のPWMパルスPup,Pvp,P
wpを得ることができる。なお、PWMパルスPun,
Pvn,Pwuは短絡防止期間を無視すれば、それぞれ
PWMパルスPup,Pvp,Pwpを反転したものと
なるので、ここでは、短絡防止期間を省略して説明す
る。また、本発明は搬送波2周期の間の電流変化を基に
磁極位置を推定する方法であるが、容易に理解できるよ
うにするために、その期間内に変化する磁極位置は無視
できるものとして説明する。従って、省略した短絡防止
期間,回転子が検出時間内に変化することに対する位置
の補償は本方式に追加することができる。PWMパルス
はデューティー50%以上のとき、平均出力電圧が0あ
るいは正の値となり、デューティー50%未満のとき、
平均出力電圧は負の値となる。図2において、搬送波が
最大値の時点(例えば、時刻ta(n),tc(n))、及
び、最小値の時点(例えば、時刻tb(n),td(n))
で、電圧指令値Vur,Vvr,Vwrは更新される。
この実施例においては、搬送波が最大値の時点では、電
流制御部7から出力されるd軸電圧指令値Vds,q軸
電圧指令値Vqs、及び、d軸,q軸用検出電圧Vd
p,Vqpがすべて更新されるが、搬送波が最小値の時
点では、d軸,q軸用検出電圧Vdp,Vqpのみが更
新される。このように、電圧の更新のタイミングを設定
すると、PWM信号は図2に示すような特徴のある波形
となる。仮に、d軸,q軸用検出電圧Vdp,Vqpが
常に0であったとするならば、各相の電圧指令値Vu
r,Vvr,Vwrは破線のように、搬送波が最大値の時
点でしか更新されないため、各相のPWMパルスPu
p,Pvp,Pwpは搬送波が最小値の時点を中心に前
後対称である(例えば、時刻tb(n)を中心に、時刻t
a(n)から時刻tc(n)までの破線で示したパルス波形
を見ると、対称になっている。)。つまり、時刻ta
(n)から時刻tb(n)までの各相の印加電圧の平均値は
時刻tb(n)から時刻tc(n)までのそれと同じである
ことがわかる。また、その短時間での逆起電力はほぼ一
定とみなしてよいので、ta(n)からtb(n)までの電
流変化量(電流差分ベクトルΔia(n))と、tb(n)
からtc(n)までの電流変化量(電流差分ベクトルΔi
b(n))はほぼ同じになる。このことは、検出用電圧ベ
クトルVp(Vdp,Vqpの要素からなる電圧ベクト
ル)が常に0であれば、ΔiaとΔibとの差、つま
り、電流差分差ベクトルΔΔi1は0となることを意味
している。逆にいえば、ta(n)からtb(n)までの期
間と、tb(n)からtc(n)までの期間で、例えば、検
出用電圧ベクトルVpがta(n)からtb(n)の期間は
Va(n),tb(n)からtc(n)までの期間はVb(n)
というように、Va(n)とVb(n)が異なる場合には、
電流差分差ベクトルΔΔi1(n)はVa(n)−Vb(n)
(この電圧差ベクトルをVab(n)とする)だけの影響
を受けた値となる。これを得ることが目的である。
【0016】そのため、時刻ta(n)では、電流制御部
7で決定されるVds,Vqsの電圧ベクトルV1(n)
と検出用電圧ベクトルVa(n)のベクトル和がPWM信
号発生部9にセットされる。時刻tb(n)には、電圧ベ
クトルV1(n)と検出用電圧ベクトルVb(n)のベクト
ル和がセットされる。詳細は後述するが、Va(n)とV
b(n)の電圧ベクトルが Va(n)=−Vb(n) の関係を持つように設定すると、図2のように、実線で
示す各相のPWM信号Pup,Pvp,PwpはVa(n)
=Vb(n)=0のときのPWM信号を表わす破線に比べ
て、パルス幅は変化させないで、前方、あるいは、後方
に移動させられることがわかる。これによって、電流差
分差ベクトルΔΔi1(n)にVab(n)だけの影響が出
ることになる。同様に、時刻tc(n)のとき、電流制御
部7で新たに演算されたVds,Vqsの電圧ベクトル
V2(n)と検出用電圧ベクトルVc(n)のベクトル和が
PWM信号発生部9にセットされ、時刻td(n)までの
期間、それによってPWM信号が決定される。時刻td
(n)になると、V2(n)と検出用電圧ベクトルVd(n)
のベクトル和がセットされ、時刻ta(n+1)までの期
間、これによりPWM信号が設定される。この場合も、
時刻tc(n)からta(n)までの実線で示したPWM信
号は破線のPWM信号と比較して位相だけが移動してい
ることがわかる。なお、電流検出信号Pdは搬送波が最
大値、及び、最小値になった時点で発生する。このタイ
ミング、つまり、ta(n),tb(n),tc(n),td
(n)の時点において、電流検出部10での各相の電流を
検出することになり、電流差分ベクトルΔia(n)など
を求めることができる。
【0017】次に、図3のフェーザー図を用いて、図2
で発生するPWM信号の意味を補足する。図3におい
て、実際の電圧・電流ベクトルは図3(a)(b)(c)
(d)であり、それぞれta(n)からtb(n)の間、t
b(n)からtc(n)の間、tc(n)からtd(n)の間、
td(n)からta(n+1)の間の関係を示している。最
終明には、図3(f)の電圧差ベクトルVab(n),V
cd(n)、電流差分差ベクトルΔΔi1(n),ΔΔi2
(n)の関係を得ることが目的である。
【0018】図2において説明したように、時刻ta
(n)において、電圧ベクトルV1(n)と検出用電圧ベク
トルVa(n)の和であるV1a(n)をセットすると、時
刻tb(n)まで、図3(a)に示す電圧ベクトルは保持
される。ここで、電圧ベクトルV1(n)は電流制御部7
で演算された結果であり、任意に設定することはできな
い。それに対して、検出用電圧ベクトルVa(n)は次の
ように設定する。コントローラが設定している磁束の方
向(以下、dc軸とよぶ)と、それに直交する方法(以
下、qc軸とよぶ)に対して、それぞれV0の値を設定
する。つまり、図3(e)に示すように、電圧ベクトル
Va(n)はdc軸とqc軸を分割する方向、dc軸に対
して45度の方向に設定する。なお、実際の回転子の磁
極位置であるd軸とコントローラが設定しているdc軸
の関係は未定である。図3(a)において、電流ベクト
ルia(n)とその差分値である電流差分ベクトルΔia
(n)の関係を示す。Δia(n)は印加したV1a(n)だ
けでなく、逆起電力の大きさと方向,電流の値などによ
り変化するので、一義的に決定することはできない。な
お、Δia(n)はta(n)からtb(n)までの電流変化
量で求められるので、ib(n)−ia(n)を計算するこ
とで求めるが、実際には、時刻tb(n)になってib
(n)を検出して、この演算は実行することになる。ib
(n)とia(n)の差は小さいが、わかりやすくするた
め、Δia(n)を大きく示している。
【0019】時刻tb(n)から時刻tc(n)の間は、図
3(b)に示すフェーザ図となる。検出用電圧ベクトルV
b(n)は図3(e)に示すように、Vdp=−V0,Vq
p=−V0とする。つまり、Vb(n)はVa(n)に対し
て、方向が180度異なる電圧ベクトルである。このV
b(n)と電流制御部7で演算されたV1(n)の和である
電圧ベクトルV1b(n)を印加すると、電流ベクトルi
b(n)に対して、電流差分差ベクトルΔib(n)が得ら
れる。この場合も、実際にΔib(n)は時刻tc(n)で
電流ベクトルic(n)を検出し、ic(n)−ib(n)の
結果として得られる。また、時刻ta(n)から時刻tc
(n)までの印加電圧ベクトルの平均値は電流制御部7で
演算されたV1(n)と一致するので、検出用電圧ベクト
ルVa(n),Vb(n)を追加しても、電流制御系に対し
て、悪影響を及ぼすことはない。ここでは、さらにΔi
a(n)とΔib(n)との差から、第1の電流差分差ベク
トルΔΔi1(n)を求めることができる。Δia(n)
は、印加する電圧ベクトルV1(n),Va(n)の他に、
逆起電力,電流ベクトルにより決定されるので、Va
(n)だけの影響を得ることはできない。しかし、電流差
分差ベクトルΔΔi1(n)は2つの電流差分ベクトルの
差を用いることにより、V1(n),逆起電力,電流ベク
トルの演響をほぼキャンセルして、Va(n)−Vb
(n)、つまり、電圧差ベクトルVab(n)だけを同期モ
ータ1に印加したときの特性を知ることができる。この
状態を図3(f)に示す。
【0020】時刻tc(n)のとき、印加する電圧ベクト
ルV2c(n)は電流制御部7で新たに演算された電流制
御のための電圧ベクトルV2(n)と、検出用電圧ベクト
ルVc(n)との和である。Vc(n)は図3(e)に示す
ように、Vdp=V0,Vqp=−V0としている。そ
のため、時刻tc(n)から時刻td(n)の間は、図3
(c)に示すフェーザ図となる。時刻td(n)における電
流ベクトルid(n)とic(n)の差から、図3(c)の
電流差分ベクトルΔic(n)が求められる。
【0021】時刻td(n)から時刻ta(n+1)まで印
加する電圧ベクトルV2d(n)は、V2(n)と検出用電
圧ベクトルVd(n)の和である。Vd(n)はVdp=−
V0、Vqp=V0に設定しており、図3(e)のように
Vc(n)と逆方向の電圧ベクトルである。これにより、
電圧差分ベクトルΔid(n)が決定される。なお、この
Δid(n)は時刻ta(n+1)のときの電流ベクトルi
a(n+1)とid(n)の差から求められるので、時刻t
a(n+1)以降に演算しなければならない。このとき、
Δic(n)とΔid(n)の差から、第2の電流差分差ベ
クトルΔΔi2(n)を求める。ΔΔi1(n)と同様に、
ΔΔi2(n)は電圧差ベクトルVcd(n)(つまり、V
c(n)−Vd(n))だけに対する同期モータの突極性を
反映した電流ベクトルとなっている。図3(f)がこの
ベクトルの関係をまとめたものであり、コントローラ内
で想定しているdc軸が同期モータ1のd軸と一致して
いる場合の例である。同期モータ1の回転子は逆突極性
を有しているため、d軸インダクタンスLdがq軸イン
ダクタンスLqよりも小さく、d軸方向に電流が流れや
すい。そのため、d軸とq軸との中間である45度方向
(Vab(n)、及び、Vcd(n)の方向)に電圧を変化
させると、それに対する電流の変化、電流差分差ΔΔi
1,ΔΔi2は45度方向よりもd軸方向に向く、この
場合、ΔΔi1(n),ΔΔi2(n)が同じ大きさである
ということが、dc軸とd軸とが一致していることを意
味している。また、dc軸がd軸より進んでいる場合に
は、Vcd(n)がVab(n)よりもd軸に近づくので、
ΔΔi2(n)がΔΔi1(n)よりも大きくなるため、こ
れを検出することで、d軸方向がdc軸よりも遅れてい
ることを検知できる。
【0022】前述したように、上記の検出方法を具体的
に行う演算部が検出用電圧発生部14,電流差分差演算
部15であり、このフローチャートを図4に示す。基本
的には、図2,図3で説明したことをフローチャート化
したものである。ステップ110において、時刻tを判
断し、時刻t=ta(n)のとき、ステップ111からス
テップ114までの処理を行う。ステップ111では、
時刻td(n−1)で設定された電圧Vd(n−1)により
流れる電流ベクトルia(n)を検出する。図3(a)に示
す電圧ベクトルV1a(n)は時刻td(n−1)で既に演
算された結果をPWM信号発生部9にセットする。この
動作はコントローラ4内で自動的に行うことも可能であ
る。この電圧をセットすることにより、図2の時刻ta
(n)からtb(n)までのPWM信号を発生することがで
きる。ステップ112,113は後述する。ステップ1
14では、電圧ベクトルVbを検出用電圧発生部14で
決定して、座標変換部8に出力する。これにより、時刻
tb(n)にV1b(n)がPWM信号発生部9にセットさ
れる。この処理を行うのがステップ121であり、同時
に電流ベクトルib(n)を検出する。ステップ122で
は、これが図3(a)に示す電流差分ベクトルΔia
(n)がia(n)とib(n)の差から演算される。ステッ
プ124では電圧ベクトルVc(n)を座標変換部8に出
力するので、時刻tc(n)のステップ131で図3
(c)のような電圧ベクトルV2c(n)がセットされ
る。なお、電流制御部7では、搬送波周期毎に電流制御
演算が行われる場合を示しているため、時刻tc(n)よ
りも以前に電圧ベクトルV2(n)が演算されて、図3
(c)の電圧ベクトルV2c(n)がPWM信号発生部9
にセットされる。ステップ131で電流ベクトルic
(n)が入力されると、次のステップ132では電流差分
ベクトルΔib(n)が求められる。次のステップ133
は、電流差分差ΔΔi1(n)をΔia(n)とΔib(n)
の差から演算するものである。この値は電圧ベクトルV
a(n)とVb(n)の差であるVab(n)だけにより流れ
る電流成分である。さらに、ステップ134で決定され
て座標変換部8に出力される電圧ベクトルVd(n)と先
に演算されたV2(n)の和、つまり、電圧ベクトルV2
d(n)が時刻td(n)のステップ141でPWM信号発
生部9にセットされる。また、電流ベクトルid(n)も
ステップ141で入力されると、次のステップ142に
おいて、電流差分ベクトルΔic(n)がid(n)とic
(n)の差から計算される。ステップ144では、電圧ベ
クトルVa(n+1)が設定され、座標変換部8に出力さ
れる。このような一連の演算が行われることにより、電
流差分差ベクトルが求められる。時刻tc(n)から時刻
ta(n+1)までの電流差分差ベクトルΔΔi2(n)は
時刻ta(n+1)のステップ112,113において演
算される。つまり、ステップ112で、電流差分ベクト
ルΔid(n)がia(n+1)とid(n)の差から求めら
れると、次のステップ113において、電流差分ベクト
ルΔic(n)とΔid(n)の差として電流差分差ベクト
ルΔΔi2(n)が計算される。このステップ133と1
13で計算された電流差分差ベクトルΔΔi1(n)とΔ
Δi2(n)が磁極位置推定16、及び、位置推定異常判
定部17に入力され、磁極位置の演算と位置推定の異常
の有無を判断するために用いられる。
【0023】では、図5を用いて、磁極位置推定部16
の処理内容を説明する。ステップ151では、電流差分
差ベクトルΔΔi1(n)とΔΔi2(n)を入力し、それ
ぞれの大きさddi1,ddi2を演算する。次に、ス
テップ152では、電流偏差εをddi1とddi2の
差から求める。図3の説明でも述べたように、この電流
偏差εが負であれば、dc軸はd軸より進んでいること
を意味しており、電流偏差εが正であれば、dc軸はd
軸より遅れていることを意味する。従って、ステップ1
53では、電流偏差εが正の場合には、dc軸をd軸に
近づけるために、推定した磁極位置θを進め、負であれ
ば、磁極位置θを遅らせるように、現在の推定した磁極
位置θを基に、電流偏差εに対して関数fi(ε)の演算
を行う。上記の動作を行う方法として、関数fi(ε)は
電流偏差εに対して比例・積分演算を行うことが最も有
効である。また、関数fi(ε)としては、符号だけによ
り一定値を加算あるいは減算しながら磁極位置θを実際
のd軸に収束する方法もある。
【0024】ところで、この実施例の方法では、磁極位
置θを離散時間で検出しているため、検出する時間内に
もモータは回転している。特に、モータ速度が高い場合
には、その移動量がモータ速度に比例して大きくなる。
そこで、ステップ154では、速度検出部13で検出さ
れる速度ωを用いて、磁極位置のモータ速度補償演算が
行われる。関数fω(ω)は速度に比例した関数でよい。
また、モータ速度ωが非常に大きい場合には、ta(n)
からta(n+1)までの間に変化する磁極位置θによ
り、電流差分差ベクトルもその影響を受けるので、これ
を補償することを関数fω(ω)に考慮してもよい。
【0025】以上のような演算を行うことにより、磁極
位置推定部16で磁極位置θを推定することができる。
この方式の特徴は同期モータの突極性、あるいは、逆突
極性を利用することにより、モータの電流制御に用いる
電流センサだけを利用して、高精度に、短時間に磁極位
置を検出できることである。特に、2方向に検出用電圧
を印加してそれに対する電流差分差の大きさの違いを検
出するので、検出した磁極位置θが実際の磁極位置から
わずかにずれたときにも、その2つの電流差分差の大き
さが感度よく異なり、高精度化を小さい電圧印加で達成
できる。また、図5の処理方法からわかるように、同期
モータ1の定数や電圧などのパラメータを用いないで位
置検出するので、パラメータの影響を受けず、経年変化
による特性の劣化も生じない利点もある。
【0026】図6は位置推定異常判定部17において演
算される内容を示したもので、磁極位置が正しく検出さ
れていないことを判定するための磁極位置異常判定のフ
ローチャートである。ステップ161において、電流差
分差ベクトルΔΔi1(n)とΔΔi2(n)の位相θ1,
θ2をそれぞれ算出する。ステップ162では、この2
つの電流差分差ベクトルの位相差θdをθ1とθ2との
差により求める。図3(f)に示すように、印加する検
出用電圧Vab(n)とVcd(n)の位相差が90度で、
かつ、dc軸がd軸に対して、±45度以内の方向にあ
るとき、回転子の逆突極性のため、位相差θdは90度
以内になる。そこで、ステップ163において、位相差
θdが90度を越えているか否かを判断する。位相差θ
dが90度以内であれば、正常に検出ができていると判
断できるので、磁極位置異常に対する処理は行わない。
これに対して、位相差θdが90度を越えている場合に
は、推定した磁極位置θが実際の磁極位置から±45度
以上ずれたと判断して、ステップ164でインバータ停
止信号PeをPWM信号発生部9に出力する。これによ
り、インバータ3を停止することができるので、磁極位
置θが実際の磁極位置から外れて、同期モータ1を脱調
状態にすることを防止できる。ステップ164は1回の
異常判定だけでなく、複数回の異常判断を行った後、処
理する方法を採用してもよい。一般的には、図5の位置
検出処理を行うことにより、磁極位置を常に検出するこ
とを補償しているが、何らかの原因により、磁極位置が
検出できなくった場合にも、速やかに安定して停止する
ことができる特徴を持っている。
【0027】この実施例はdc軸方向に対して軸対称の
45度方向に2つの検出用電圧ベクトルを印加した場合
について説明したが、qc軸方向に対して、軸対称の4
5度方向に2つの検出電圧ベクトルを印加する場合に
も、同様に電流センサだけで位置検出を行うことができ
る。また、45度方向に電圧を印加する方法は最も安定
性が確保される方向であるが、軸対称の方向であれば、
45度方向に限定されるものではない。さらに言えば、
2つの方向に検出用電圧ベクトルを印加することによ
り、磁極位置を検出することは可能であり、軸対称の方
向以外にも2つの電圧を印加しながら位置検出を行うこ
とも本発明を適用できる。
【0028】図7から図10までは、本発明の他の実施
例で、検出用電圧ベクトルをd軸方向とq軸方向に印加
して磁極位置を検出するものである。
【0029】図7は検出用電圧発生部14の処理が図4
と異なるフローチャートである。図7の処理が図4と異
なる点は、検出用電圧を発生するステップ171,17
3,175,177と、ステップ174,176のセッ
トする電圧である。その他のステップは図4と同じ内容
なので、説明を省略する。
【0030】ステップ174,176が図4と異なる点
は直接的には発明に影響しない事項であるが、時刻ta
(n)以前に電流制御部7で演算された電圧ベクトルV1
(n)がそのまま用いられる点である。つまり、電流制御
部7が搬送波の2周期毎に電流制御演算を行う場合の処
理であり、電圧ベクトルV1(n)と検出用電圧ベクトル
Vc(n)の和である電圧ベクトルV1c(n)をPWM信
号発生部9にセットする。ステップ176についても同
様に、電圧ベクトルV1(n)と検出用電圧ベクトルVd
(n)の和である電圧ベクトルV1d(n)をセットする点
が図4と異なる。この実施例では、本発明の磁極位置検
出方法が電流制御の演算結果や演算方法には影響されな
いことを示したものである。
【0031】ステップ171,173,175,177
はそれぞれ時刻ta(n),tb(n),tc(n),td(n)
の時点で、検出用電圧発生部14から出力する電圧Vb
(n),Vc(n),Vd(n),Va(n+1)を決定するも
のである。それぞれの電圧は図7に示したとおりである
が、dc軸の正方向・負方向、あるいは、qc軸の正方
向・負方向のいずれかであり、実際に印加する電圧ベク
トルは図8に示すとおりである。つまり、図7が図4と
実質的に異なるのは印加する検出電圧ベクトルの方向だ
けである。
【0032】それでは、図8のフェーザ図について説明
する。図3のフェーザ図と比べて、図8(a),(b),
(c),(d)はVa(n),Vb(n),Vc(n),Vd(n)
の方向がdc軸、あるいはqc軸方向である。そのた
め、電流差分ベクトルΔia(n),Δib(n),Δic
(n),Δid(n)が図3の場合と少しずつ異なる。これ
らの電流差分ベクトルから計算される電流差分差ベクト
ルΔΔi1(n),ΔΔi2(n)は電圧差ベクトルVab
(n),Vcb(n)と回転子の逆突極性だけに影響される
が、dc軸が実際の磁極位置であるd軸と一致している
場合には、図8(f)に示すようなフェーザ図となる。こ
の場合には、ΔΔi1(n),ΔΔi2(n)の位相θ1,
θ2の差、位相差θdは90度である。dc軸がd軸よ
りも進んでいるときには、回転子の逆突極性の影響で位
相差θdは90度よりも大きくなり、遅れる場合には9
0度よりも小さくなる。このことを利用して位置検出を
行う方法を図9に示す。
【0033】図9のフローチャートはこの実施例に対し
て図1の磁極位置推定部16の演算方法を示したもので
ある。ステップ181でΔΔi1(n),ΔΔi2(n)の
位相θ1,θ2の演算した後、ステップ182におい
て、それらの差である位相差θdを求める。次にステッ
プ183が磁極位置θの演算部である。90度と位相差
θdの差を基に、関数fp(90゜−θd) を演算す
る。関数fp(90゜−θd) としては、比例・積分演
算を行うことにより、磁極位置θを補正している。つま
り、90゜−θdの値が正であれば、θdが90度より
も小さいことを意味しているので、dc軸はd軸より遅
れていることになる。従って、90゜−θdの値に応じ
て、比例・積分演算により磁極位置θを大きくすること
で、dc軸をd軸に近づることができる。また、90゜
−θdの値が負であれば、θdが90度よりも大きく、
dc軸がd軸よりも進んでいることになるので、比例・
積分演算により、磁極位置θを小さくしている。このよ
うな演算を行うことにより、dc軸をd軸に一致させる
ことができる。この方法は2つの電流差分差ベクトルの
位相差を90度にするように演算するだけで磁極位置を
推定することができるので、同期モータなどの定数変化
の影響を受けない利点がある。通常、位置センサレス制
御を行う場合には、逆起電力や電流脈動の影響を除くた
めに、各種のノイズ除去用フィルタを用いるが、本発明
の方法によれば、そのようなフィルタ処理を必要としな
い特徴がある。
【0034】図10は図6とは異なる磁極位置異常判定
のフローチャートである。この実施例の場合には、検出
用電圧ベクトルをd軸、あるいは、q軸に印加する。逆
突極性の影響を受けて、d軸方向の電流は流れやすく、
q軸方向の電流は流れにくいので、d軸側の電流差分差
ベクトルΔΔi1(n)の大きさddi1はq軸側の電流
差分差ベクトルΔΔi2(n)の大きさddi2に比ベて
大きくなっていなければならない。このことを利用して
磁極位置の異常状態を検出するアルゴリズムが図10で
ある。ステップ191において演算した電流差分差ベク
トルΔΔi1(n),ΔΔi(n)2の大きさddi1,d
di2を用いて、ステップ192でそれらの差である電
流偏差ε(=ddi2−ddi1)を計算する。このεが
小さい場合には、電流差分差ベクトルΔΔi1(n)が電
流差分差ベクトルΔΔi2(n)よりも実際のd軸方向に
近いことを意味しているので、ステップ193ではεが
0、または、負のとき、正常であると判断し、磁極位置
異常処理は行わない。これに対して、εが正であれば、
ΔΔi2(n)が実際のd軸方向に近いことを意味してい
るので、磁極位置異常と判断して、ステップ164の処
理を行う。これにより、インバータ停止信号PeをPW
M信号発生部9に出力し、インバータ3を停止する。こ
のように、磁極位置の推定を行う電流差分差ベクテルの
情報を用いながら、磁極位置検出状態が異常でないかを
診断できるので、高信頼の位置センサレス制御システム
を簡単な演算方法により構築できる特徴がある。
【0035】上述した方法は同期モータの逆突極性を利
用した磁極位置検出方法であるが、逆起電力の方向から
磁極位置を推定する方法などと組合せることも有効であ
る。
【0036】以上が、本発明の一実施例であり、電流セ
ンサだけを用いて同期モータの磁極位置を検出する方法
を述べた。同期モータとしては、逆突極性を含む突極性
を持つロータのいずれにも適用できることを述べた。ま
た、同期モータの他に、リラクタンスモータでも突極性
を利用して本発明を適用することができる。また、本実
施例では、モータの回転子がサンプリング時間中に回転
することによる影響を考慮して磁極位置を演算するよう
にしても、本実施例を適用できることはいうまでもな
い。さらに、磁極位置検出を搬送波2周期毎に行う方法
について述べてきたが、搬送波の多周期毎に電流変化を
用いて検出する方法や、搬送波の複数周期単位の電流変
化を基に磁極位置検出を行う方法などが同じ手法で実現
できる。応用としては、電気自動車やハイブリッド自動
車に適用できるほか、現在120度通電方式のインバー
タ制御を用いてセンサレス制御している磁石モータに対
しても、本実施例を用いれば、180度通電方式のイン
バータ制御によりトルク脈動と低騒音のセンサレスシス
テムを提供できる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、電流センサを用いるだ
けで、通常のPWM制御を行いながらオンラインで磁極
位置を高精度に検出できるので、機械的な回転位置を計
測する磁極位置センサを用いないで、低騒音で、かつ、
トルク制御性の優れた同期モータの駆動システムを低コ
ストで提供できる効果がある。
【0038】また、磁極位置検出状態を監視することが
容易なので、交流モータの信頼性の高い位置センサレス
制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PWM信号を発生する搬送波に同期して電流の
変化を検出することにより、同期モータの磁極位置を検
出する本発明を適用したときの一実施例を示す構成図で
ある。
【図2】2つの方向に検出用電圧を印加したときの各相
の電圧とPWM信号の関係を示すタイムチャートであ
る。
【図3】d軸,q軸に対して、45度方向に検出用電圧
を印加したときの電圧のベクトルと電流差分差ベクトル
の状態を示したフェーザ図である。
【図4】図1の検出用電圧発生部14と電流差分差演算
部15において、45度方向に検出用電圧を印加したと
きの演算内容を示したフローチャートである。
【図5】図1の磁極位置推定部16における磁極位置の
演算方法を示したフローチャートである。
【図6】図1の位置推定異常判定部17における磁極位
置異常を判断するフローチャートである。
【図7】図1の検出用電圧発生部14と電流差分差演算
部15において、d軸方向とq軸方向に検出用電圧を印
加したときの演算内容を示したフローチャートである。
【図8】図7の処理を行ったときの電圧ベクトルと電流
ベクトルの関係を示したフェーザ図である。
【図9】図7に示す検出用電圧を印加したときに、図1
の磁極位置推定部16で行う磁極位置の演算方法を示し
たフローチャートである。
【図10】図7に示す検出用電圧を印加したときに、図
1の位置推定異常判定部17で行う磁極位置異常を判断
するフローチャートである。
【符号の説明】
1…同期モータ、2…バッテリー、3…インバータ、4
…コントローラ、5u,5v…電流センサ、6…電流指
令値発生部、7…電流制御部、8,11…座標変換部、
9…PWM信号発生部、10…電流検出部、12…位置
検出部、13…速度検出部、14…検出用電圧発生部、
15…電流差分差演算部、16…磁極位置推定部、17
…位置推定異常判定部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 悟 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 5H560 BB04 BB12 DA14 DA18 EB01 SS02 XA12 XA13 5H576 AA15 BB09 CC02 DD07 DD09 EE01 EE15 HB01 JJ04 JJ08 JJ24 LL22 LL39 LL41

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】同期モータと、該同期モータに電圧を印加
    する電力変換器と、前記印加電圧を制御する制御装置を
    備え、少なくとも2方向に検出用電圧を印加し、それぞ
    れに対する電流変化状態から前記同期モータの回転子位
    置を推定する位置推定装置を備えたことを特徴とするモ
    ータ制御装置。
  2. 【請求項2】突極性を有する交流モータと、該交流モー
    タに電圧を印加する電力変換器と、前記印加電圧を制御
    する制御装置と、少なくとも2方向に検出用電圧を印加
    し、それぞれに対する電流変化状態から前記交流モータ
    の回転子位置を推定する位置推定装置とを備え、前記制
    御装置は、推定した前記回転子位置により前記印加電圧
    を算出することを特徴とするモータ制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載において、前記2つの
    検出用電圧のベクトルを前記推定回転子位置方向に対し
    て軸対称になる方向、あるいは、推定回転子位置方向に
    直交する方向に対して軸対称になる方向に印加して、電
    流変化の大きさから位置を検出することを特徴とするモ
    ータ制御装置。
  4. 【請求項4】請求項3記載において、前記2つの検出用
    電圧に対する電流変化の大きさを一致するように制御す
    ることで、前記回転子位置を検出することを特徴とする
    モータ制御装置。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4記載の何れかにおいて、前
    記電流変化の位相差から制御系の異常を検出することを
    特徴とするモータ制御装置。
  6. 【請求項6】請求項1又は2記載において、前記2つの
    検出用電圧のベクトルを推定回転子位置方向とそれに直
    交する方向に印加して、それぞれの電流変化の位相差か
    ら回転子位置を検出することを特徴とするモータ制御装
    置。
  7. 【請求項7】請求項1,2、または、請求項6記載にお
    いて、前記電流変化の大きさから制御系の異常を検出す
    ることを特徴とするモータ制御装置。
  8. 【請求項8】請求項1乃至請求項7記載の何れかにおい
    て、前記電力変換器は搬送波に同期したPWM信号によ
    り前記電圧を前記モータに印加するとともに、前記搬送
    波に同期して電流を検出することを特徴とするモータ制
    御装置。
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