JP2002260463A - 粉末法Nb▲3▼Sn超電導線材による超電導接続構造体の製造方法 - Google Patents

粉末法Nb▲3▼Sn超電導線材による超電導接続構造体の製造方法

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JP2002260463A
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉末法Nb3Sn超電導線材を用いて、良好
な超電導状態を維持することのできる超電導接続体を製
造する方法を提供する。等を提供する。 【解決手段】 粉末法Nb3Sn超電導線材によって超
電導接続構造体を製造するに当たり、熱処理する前に被
接続部分に相当する安定化銅を除去し、前記伸線加工に
よって形成されたフィラメントを部分的に露出させると
共に、このフィラメント付近に、少なくともNb,Cu
およびSnを構成元素として含有する混合粉末若しくは
合金粉末を配置し、その後熱処理することによって前記
パイプの内側および外側からNb3Sn層を形成して超
電導接続構造体を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末法によって製
造されることが予定されるNb3Sn超電導線材を被接
続線材の少なくとも一方として構成される超電導接続構
造体を製造する方法に関するものであり、特に高分解能
核磁気共鳴(NMR)分析装置に用いられる超電導マグ
ネットの素材として、Nb3Sn超電導線材を適用する
際に有用な超電導接続構造体の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、電気抵抗がゼロで大電流を流すこ
とができる超電導線材を用いることで、大電流送電や強
磁場発生装置等の利用が広がりつつある。特に高分解能
NMR分析装置に用いられる超電導マグネットは、大電
流通電による強磁場発生と抵抗ゼロを利用して電源を用
いない永久電流モードの運転を行うものであり、超電導
現象を利用することで初めて実現可能な応用の典型であ
る。また、NMR分析装置では、マグネットの発生磁場
が高ければ高いほど分解能が向上するので、こうした分
解能を高めるという観点から近年ますます高磁場化の傾
向にある。
【0003】超電導マグネットの素材として使用されて
いる超電導線材としては、NbTi線材とNb3Sn線
材の2種類の金属系超電導線材が一般的に知られてい
る。これらの線材における臨界磁場(超電導性を維持で
きる最高磁場)は、NbTiで11T、Nb3Snで2
3Tであるので、中・低磁場用マグネットではNbTi
線材で作製され、高磁場用マグネットではその外層をN
bTi線材、内層をNb 3Sn線材とする組み合わせで
作製されるのが一般的である。
【0004】図1は高磁場用超電導マグネットのコイル
構成の一例を示す概略説明図であり、図中1a,1bは
Nb3Sn線材からなるコイル、2a,2bはNbTi
線材からなるコイルの夫々を示す。図示するように、超
電導マグネットのコイルは、クエンチ時の保護の為に、
複数に分割して作製されている。また線材の使用量を減
らすために、図1に示すように、夫々のコイルは配置位
置によって大きさの適性化が図られており、内側のコイ
ルになるほど高さが低くなる様に工夫されている。この
様な断面構成を有する超電導マグネットを実際に励磁し
た場合、マグネットにおける各コイルの磁場の大きさに
分布が生じて、一般的に超電導コイルの内側ほど磁場が
高くなる傾向があることから、外側のコイル(前記2
a,2b)には臨界磁場の低いNbTi線材を用い、内
側のコイル(前記1a,1b)にはNb3Sn線材が用
いられている。
【0005】上記のような超電導マグネットにおいて
は、その特徴を有効に活用するために、装置に用いられ
る超電導線材同士を、超電導状態を維持しつつ接続(以
下、「超電導接続」と呼ぶことがある)することによっ
て、ループ状に永久的に電流が流れ続ける、いわゆる永
久電流モードで動作するように回路が構成されている。
図1に示した超電導マグネットにおける回路構成を図2
に示す。尚、図2中3は、磁場により一時的に超電導状
態をON/OFFする永久電流スイッチ(PCS)、4
は電源、5は電源4から電流を流すことによってPCS
3をON/OFFさせる永久電流スイッチ用ヒータ(P
CSヒータ)、6a〜6mは超電導接続部分を夫々示
す。
【0006】上記のような超電導接続は、NbTi−N
bTi間、NbTi−Nb3Sn間、およびNb3Sn−
Nb3Sn間(但し、このNb3Sn線材は、後述のブロ
ンズ法によって製造されたもの)においては、技術的に
既に確立されており、実用化されている。また図1に示
した様な構成の超電導マグネットにおいて、NMR分析
装置で実現されている最高磁場は、現在のところ900
MHz程度である。
【0007】超電導マグネットを永久電流モードで運転
するに当たっては、必要とされる磁場安定性は、磁場変
化が0.01ppm/hr以下である。換言すれば、永
久電流モードを達成するには、定格磁場を発生した数百
Aの通電状態で且つ少なくとも0.5T程度以上の磁場
環境下において、1×10-10Ω以下の接続抵抗を実現
する必要がある。
【0008】ところで、超電導接続が既に実現されてい
るNb3Sn線材は、ブロンズ法によって製造されたも
のである。このブロンズ法は、Cu−Sn基合金(ブロ
ンズ)マトリックス中に複数のNb製芯材を埋設し、こ
れを安定化の為の銅(安定化銅)に埋設して伸線加工に
より上記芯材をフィラメントとなし、600〜800℃
で熱処理することによりNb製のフィラメントに上記マ
トリックスのSnを拡散させてNb3Sn層を生成させ
る方法である。
【0009】上記の様なブロンズ法によって製造された
Nb3Sn線材を超電導接続するに当たっては、(1)
接続する超電導線材のフィラメント同士を溶接等の技術
で直接接続する方法、(2)接続する超電導線材のフィ
ラメント同士を第3の超電導材料を介在させて間接的に
接続する方法、等が知られている。このうち上記(2)
の方法ではPb等を主成分とした低融点合金を介在させ
ることによって手軽に短時間に接続できるという利点が
あることから、汎用されている。また、上記(2)の方
法では、具体的には線材を構成する安定化銅をエッチン
グ等によって除去し、Nb3Snフィラメントを囲むブ
ロンズを露出させてから、溶融した低融点金属中に浸漬
ブロンズを超電導中間介在物で置換してフィラメント同
士を超電導接続するのが一般的である。
【0010】ブロンズ法によって製造されたNb3Sn
線材を、上記(2)の方法で超電導接続したときの接続
部における断面構成を、図3に示す。尚、図3中8はN
3Snフィラメント、9はNb製芯材、10は超電導
接続された他の超電導フィラメント、11は超電導中間
介在物(例えば、ウッドメタル等)、を夫々示す。こう
した超電導接続体構造において、電流はNb3Snフィ
ラメント8→超電導中間介在物11→他の超電導フィラ
メント10の順に流れ、これによって超電導接続が達成
されている。
【0011】一方、Nb3Sn線材を製造する方法とし
ては、上記ブロンズ法の他に、粉末法も知られている。
この粉末法では、Ta6Sn5粉末(原料粉末)を、Nb
またはNb基合金(例えば、Nb/Ta合金)からなる
パイプに充填した後、伸線加工して前記パイプ中の原料
粉末をフィラメント状とし、この複数本を安定化の為の
銅(安定化銅)内に埋設した後伸線加工して熱処理する
ことによって、フィラメントパイプ中のSnとパイプで
あるNbとを反応させ、パイプの内側からNb 3Sn層
を形成をして超電導線材とするものである。
【0012】上記ブロンズ法や粉末法で製造されたNb
3Sn線材と、他の方法(急熱急冷法)で製造されたN
3Al線材等について、高磁場における特性(オーバ
オールの臨界電流密度Jc)を比較して、図4に示す。
尚、図4に示したように、900MHzに相当する磁場
は、外部磁場が21Tのときである。
【0013】この図から明らかなように、粉末法によっ
て製造されたNb3Sn線材は、21T以上であっても
高い臨界電流密度が達成されており、この線材は900
MHz以上のNMRマグネット用線材として有力視され
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ブロン
ズ法によって製造されたNb3Snを超電導接続すると
きに採用されている従来の方法[上記(2)の方法]
は、粉末法によって製造されたNb3Sn線材の場合に
はその線材構造の関係から適用できないという問題があ
る。こうした状況を、図面を用いて説明する。
【0015】図5は、粉末法によって製造されるNb3
Sn線材を上記(2)の方法で超電導接続したときを想
定した接続体の断面図であり、図中12はNb層(パイ
プ部分)、13はパイプの内側に形成されたNb3Sn
層、14は原料粉末(Ta6Sn5粉末)の夫々を示し、
10,11は前記図4と同じである。この図から明らか
なように、粉末法によって製造されたNb3Sn線材に
おいては、Nb3Sn層はNb製パイプの内側に形成さ
れているので、電流はNb3Sn層13→Nb層12→
超電導中間介在物11→他の超電導フィラメント10の
順に流れることになる。しかしながら、Nb層は0.1
9T以下の磁場で超電導性を失うので、図5に示した構
成では電流パスの途中に常電導部分(Nb層12)が存
在することになり、超電導接続は実現できない。
【0016】こうしたことから、粉末法によって製造さ
れるべきNb3Sn超電導線材(以下、「粉末法Nb3
n超電導線材」と呼ぶことがある)においては、高磁場
で優れた特性を持ちながらもその超電導接続技術が開発
されていなかったので、NMR用マグネットには適用で
きないというのが実状である。
【0017】本発明はこうした状況の下になされたもの
であって、その目的は、粉末法Nb 3Sn超電導線材を
用いて、良好な超電導状態を維持することのできる超電
導接続体を製造する方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明の超電導接続方法とは、NbまたはNb基合金から
なるパイプに、Ta6Sn5を主体とする粉末を充填し、
その複数本を安定化銅に挿入して伸線加工し、これを熱
処理して製造されるべき粉末法Nb3Sn超電導線材に
よって超電導接続構造体を製造するに当たり、熱処理す
る前に被接続部分に相当する安定化銅を除去し、前記伸
線加工によって形成されたフィラメントを部分的に露出
させると共に、このフィラメント付近に、少なくともN
b,CuおよびSnを構成元素として含有する混合粉末
若しくは合金粉末を配置し、その後熱処理することによ
って前記パイプの内側および外側からNb3Sn層を形
成して超電導接続構造体を形成する点に要旨を有するも
のである。
【0019】また本発明方法においては、前記熱処理の
時間をtとしたとき、伸線加工後熱処理前のパイプの厚
みdpが下記(1)式の関係を満足するように操業する
ことが好ましい。 d1(t)<dp≦d1(t)+d2(t) ……(1) 但し、d1(t):熱処理時間tでパイプ内側から形成
されるNb3Sn層の厚み d2(t):熱処理時間tでパイプ外側から形成される
Nb3Sn層の厚み
【0020】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記目的を達成す
る為に様々な角度から検討した。その結果、上記構成を
採用すれば上記目的が見事に達成されることを見出し、
本発明を完成した。以下、本発明が完成された経緯を説
明しつつ、本発明の作用について説明する。
【0021】本発明者らは、まず図6に示す断面構成を
有する線材15を出発材料とする粉末法Nb3Sn超電
導線材15aを2本準備して、これを図7に示すような
形態の従来方法[前記(2)の方法]で超電導接続体を
製造することを試みた。尚、図6中16は安定化銅、1
7はNb基合金(Nb−5質量%Ta)製パイプ、18
は原料粉末としての(Ta6Sn5+Cu)粉末、図7中
20は電流端子、21は電圧端子、22は安定化銅を除
去した後のフィラメント(図6の12,13,14部
分)、23は超電導中間介在物としてのTa6Sn5を主
体とする粉末、24はステンレス製容器の夫々を示す。
尚、上記では原料粉末としてTa6Sn5粉末に加えてC
u粉末を加えたものを使用したが、このCu粉末はNb
3Sn生成の際における熱処理温度低減の為に混合した
ものである。
【0022】そして、電流端子20と電圧端子21を電
気的に接続し、外部磁場を0T,0.2Tとしてこの超
電導接続体の電流特性を測定した。その結果を、図8に
示す。この結果から明らかな様に、外部磁場が0Tの場
合には、17Aまでは超電導電流が流れているものの、
それ以上の電流では抵抗が発生していることが分かる。
また外部磁場が僅かに0.2Tにしただけでも、超電導
特性が全く発揮されず、0Aのときから電流・電圧特性
は傾きをもって抵抗が発生していることが分かる。
【0023】こうした現象が生じた理由は、前記図5に
示したように、電流パスの途中にNb層12が存在し
て、このNb層12は臨界磁場が0.19Tと極めて小
さいために僅かの磁場と電流でこの部分が常電導状態に
なったものと考えられる。
【0024】本発明者らは、上記と同様にして、前記図
6に示した断面構成の熱処理前の線材15(未だNb3
Snは形成されていない)を2本準備した。これら線材
15を、硝酸水溶液で処理することによって、外側の安
定化銅16を除去した。このとき、Nb基合金製パイプ
17を伸線することによって形成されるフィラメント2
2が露出した状態となっている。
【0025】次に、図9に示すように、ステンレス製容
器24の中心付近に上記処理した2本の線材15のフィ
ラメント22を配置し、原料粉末として用いた(Ta6
Sn5+Cu)粉末に、Nb粉末を混合した混合粉末2
5(Cu:2〜5質量%、Nb:10〜50質量%:残
部Ta6Sn5粉末)を、容器の途中まで充填し、前記フ
ィラメント22が埋まるようにした。この際、図9に示
したように、線材の安定化銅16がこの混合粉末25に
直接触れることがないようにすることが必要である(そ
の理由については、後述する)。このような試料を5セ
ット準備した。尚、別途断面観察したところ、熱処理前
のフィラメント22におけるNb基合金製パイプ17の
厚みは120μmであった。
【0026】上記5つのセットの試料につき、780℃
で、10時間、20時間、40時間、80時間、160
時間と夫々の時間を変えてアルゴン雰囲気で熱処理を行
なった。このとき、原料粉末18と混合粉末25は固体
粉末が焼結された状態となる。熱処理後、安定化銅15
の先端から数cm部分まで酸に浸漬して酸化膜を除去し
て水洗し、直ちに乾燥した後、全体を銅製容器26に収
納し、溶融させたウッドメタルを安定化銅の部分まで埋
まる様に注ぎ込み、固化・凝固させて超電導接続体を製
造した。
【0027】本発明法によって製造された超電導接続構
造体を、図10(概略断面図)に示す。尚、図10に
は、抵抗測定用の電流端子20と電圧端子21をも併せ
て示してある。また、図中27は、前記ウッドメタルが
固化・凝固した部分である。
【0028】得られた各試料について、液体ヘリウム中
で、0.5Tの磁場を印加した電流−電圧特性を測定し
た結果を図11に示す。この結果から明らかなように、
熱処理時間が40時間まででは超電導接続が実現できて
いないが、80時間以上では超電導接続が達成されてい
ることが分かる。
【0029】次に、本発明者らは、20時間熱処理した
試料と80時間熱処理した試料について、線材部分を切
断してEPMAによって面分析を実施した。その結果
を、模式的に図12に示すが、この結果から次のように
考察できる。
【0030】図12(a)は、20時間熱処理ときのフ
ィラメント部分の断面を示したものであり、Nb基合金
製パイプ17の両側からNb3Sn層29,30が形成
されることになるが、20時間の処理ではこのNb3
n層29,30の厚さが薄く、未反応のNb基合金層3
1が残留しているものと考えられる。これに対し、80
時間の熱処理を施したものでは、図12(b)に示すよ
うに、Nb基合金製パイプ17の両側から形成される反
応層32(Nb3Sn層)が連結した状態となって、超
電導接続が実現できたものと考えられる。
【0031】尚、前記図10に示した製造方法では、超
超電導接続するフィラメントの双方が粉末法Nb3Sn
線材の場合を示したけれども、本発明方法はこうした場
合に限らず、少なくともその一方のフィラメントが粉末
法Nb3Sn線材であれば本発明は実施できるものであ
る。また、本発明で用いる混合粉末25としては、上記
の混合粉末(Cu:2〜5質量%、Nb:10〜50質
量%、残部:Ta6Sn5粉末)に限らず、例えばCu:
2〜8質量%、Nb:10〜30質量%、Ti:0.1
〜0.5質量%、残部:NbSn2粉末の様に、少なく
ともNb,CuおよびSnを構成元素として含有する混
合粉末若しくは合金粉末であればいずれも使用できる。
【0032】ところで、上記した本発明方法によらず、
従来の方法によって単に熱処理時間を長くして、パイプ
内側から形成されるNb3Sn層30が表面にまで及ぶ
ようにし、その後図10に示した方法で超電導接続構造
体することも考えられる。しかしながら、このような方
法では、接続部以外の部分で問題が生じることになる。
即ち、パイプの内側のSnがパイプを通過して安定化銅
16の中に拡散してこの安定化銅16に不純物を導入し
たことになり、抵抗が大きくなってしまうことになる。
Nb3Sn層部分の超電導が壊れたときに、電流をバイ
パスすることが安定化銅の本来の役割であるが、安定化
銅の抵抗が大きくなってしまうと、電流がバイパスした
ときに多量の熱を発生して線材が溶断してしまい、安定
化の意味をなさなくなる。
【0033】こうしたことから、最適な処理条件を設定
したのが、前記(1)式である。即ち、この(1)式で
は或る処理温度で所定の処理時間によって形成されるN
3Sn層19,20に関して、パイプ内側からの厚み
をd1(t)、同じく外側からの厚みをd2(t)とした
とき、これらがNbまたはNb基合金製パイプの厚みd
pとの関係で前記(1)式を満足させるように処理時間
(および処理温度)を設定することによって、パイプか
ら安定化銅16へのSnの拡散を防止して、良好な超電
導状態を維持するものである。尚、上記(1)式におい
て、右辺をdp≦d1(t)+d2(t)としたのは、N
3Sn層が形成される厚みはパイプの厚みdpよりも
大きくなることがないにしても、両側から形成されるN
3Sn層に重複部分が生じてパイプ内側からの厚みd1
(t)と外側からの厚みをd2(t)との合計がパイプ
の厚みdpを超える場合があるからである。
【0034】尚、Nb3Snを形成するときの熱処理温
度は、パイプの厚みによっても異なり、通常700〜9
00℃程度であるが、好ましくは780〜810℃程度
である。例えば、伸線加工後のフィラメントパイプの厚
みdpが150μmのときには、熱処理温度を800℃
とすれば、処理時間は60〜80時間程度が好ましい。
【0035】ところで、前記図11のデータだけからで
は、1×10-8Ω以下の抵抗が達成されていることは明
らかであるが、NMR装置用マグネットに適用するため
の抵抗値である1×10-10Ω以下の抵抗が実現できて
いるのかは不明である。この点を確認する為に、本発明
者らは、粉末法Nb3Sn線材によって製造したコイル
に本発明の接続法を適用して超電導接続を構成し(この
ときの熱処理条件は、温度:800℃、時間:80時
間)、このコイルを用いて永久電流運転状態として中心
磁場の減衰を調査した。
【0036】その結果を、図13に示す。この結果から
明らかなように、コイルの自己インダクタンスを入れて
接続部の抵抗を計算すると、接続部には1.13Tの磁
場が印加されている状態であるにも拘わらず、2.3×
10-12Ωという値になっており、理想的な超電導状態
が実現されていることが明らかになった。
【0037】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、粉
末法Nb3Sn線材を用いてその超電導状態を良好に維
持しつつ接続することが可能となった。また本発明を適
用することによって、NMR分析用の超電導マグネット
に代表されるような強磁場で永久電流モード動作が要求
される高性能超電導マグネットにおいて、従来の金属系
超電導マグネットよりも更に優れた超電導マグネットの
製作が期待でき、その他の永久電流モードを必要とする
超電導マグネット応用においても極めて有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高磁場超電導マグネットのコイル構成の一例を
示す概略説明図である。
【図2】図1に示した超電導マグネットにおける回路構
成図である。
【図3】ブロンズ法によって製造されたNb3Sn線材
を従来の方法で超電導接続したときの接続部における断
面図である。
【図4】各種製造法で製造された超電導線材の特性をを
比較して示したグラフである。
【図5】粉末法Nb3Sn線材を従来の方法で超電導接
続したときを想定した接続体の断面図である。
【図6】粉末法Nb3Sn超電導線材を製造する為の出
発材料の構成例を示す断面図である。
【図7】従来方法で接続する状態ときの形態を示す説明
図である。
【図8】粉末法Nb3Sn超電導線材を従来方法で製造
した超電導接続体の電流特性を示すグラフである。
【図9】本発明方法を実施するときの手順を説明する為
の図である。
【図10】本発明法によって製造された超電導接続構造
体を示す概略断面図である。
【図11】各熱処理時間で製造された超電導接続構造体
の液体ヘリウム中で0.5Tの磁場を印加した電流−電
圧特性を測定した結果を示すグラフである。
【図12】線材部分を切断してEPMAによって面分析
を実施した結果を模式的に示した説明図である。
【図13】本発明の接続法を適用して超電導接続を構成
したコイルの中心磁場の減衰を示したグラフである。
【符号の説明】
1a,1b Nb3Sn線材からなるコイル 2a,2b NbTi線材からなるコイル 3 永久電流スイッチ 4 電源 5 永久電流スイッチ用ヒータ 6a〜6m 超電導接続部分 8 Nb3Snフィラメント 9 Nb製芯材 10 他の超電導フィラメント 11 超電導中間介在物 16 安定化銅 17 Nb基合金製パイプ 18 原料粉末 20 電流端子 21 電圧端子 22 フィラメント 29、30 Nb3Sn層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 NbまたはNb基合金からなるパイプ
    に、Ta6Sn5を主体とする粉末を充填し、その複数本
    を安定化銅に挿入し伸線加工した後、これを熱処理して
    製造されるべき粉末法Nb3Sn超電導線材によって超
    電導接続構造体を製造するに当たり、熱処理する前に被
    接続部分に相当する安定化銅を除去し、前記伸線加工に
    よって形成されたフィラメントを部分的に露出させると
    共に、このフィラメント付近に、少なくともNb,Cu
    およびSnを構成元素として含有する混合粉末若しくは
    合金粉末を配置し、その後熱処理することによって前記
    フイラメントパイプの内側および外側からNb3Sn層
    を形成して超電導接続構造体を形成することを特徴とす
    る粉末法Nb3Sn超電導線材による超電導接続構造体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記熱処理の時間をtとしたとき、伸線
    加工後熱処理前のパイプの厚みdpが下記(1)式の関
    係を満足するのである請求項1に記載の製造方法。 d1(t)<dp≦d1(t)+d2(t) ……(1) 但し、d1(t):熱処理時間tでパイプ内側から形成
    されるNb3Sn層の厚み d2(t):熱処理時間tでパイプ外側から形成される
    Nb3Sn層の厚み
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