[本発明の実施形態の説明]
まず、本発明の実施形態を列記して説明する。
(1)一実施形態に係る超電導線材接続構造は、第1面を有する第1超電導線材と、第2面を有し、第1面及び第2面が互いに対向するように配置された第2超電導線材と、超電導体で形成された中間層とを備える。第1超電導線材は、第1シースと、第1シースの内部において第1超電導線材の長手方向に沿って延在する第1超電導フィラメントとを有する。第2超電導線材は、第2シースと、第2シースの内部において第2超電導線材の長手方向に沿って延在する第2超電導フィラメントとを有する。第1超電導線材は、第1超電導線材の長手方向における端である第1端において、第1超電導フィラメントが露出するように第1シースが除去された第1端部を有する。第2超電導線材は、第2超電導線材の長手方向における端である第2端において、第2超電導フィラメントが露出するように第2シースが除去された第2端部を有する。第1端部及び第2端部は、互いに対向するように配置されている。第1端部において第1シースから露出する第1超電導フィラメント及び第2端部において第2シースから露出する第2超電導フィラメントは、中間層を介して互いに接続されている。
上記(1)の超電導線材接続構造によると、第1端部において第1シースから露出している第1超電導フィラメントと第2端部において第2シースから露出している第2超電導フィラメントとが、超電導体で形成されている中間層で接続されている(超電導接合されている)ため、接合部における超電導特性を改善することができる。
(2)上記(1)の超電導線材接続構造において、第1端部において、第1超電導フィラメントが露出するように第1面側の第1シースが除去されていてもよい。第2端部において、第2超電導フィラメントが露出するように第2面側の第2シースが除去されていてもよい。
(3)上記(2)の超電導線材接続構造では、第1超電導線材は、第1面の反対面である第3面を有していてもよい。第2超電導線材は、第2面の反対面である第4面を有していてもよい。第1端部において、第1面は、第1端に近づくにつれて第3面との間の距離が小さくなるように第1超電導フィラメントの延在方向に対して傾斜していてもよい。第2端部において、第2面は、第2端に近づくにつれて第4面との間の距離が小さくなるように第2超電導フィラメントの延在方向に対して傾斜していてもよい。
上記(3)の超電導線材接続構造では、第1面に最も近い位置にある第1超電導フィラメント及び第2面に最も近い位置にある第2超電導フィラメント以外の第1超電導フィラメント及び第2超電導フィラメントを、超電導接合に寄与させることが可能となる。
(4)上記(3)の超電導線材接続構造では、第1端部において第1面と第3面とがなす角度及び第2端部において第2面と第4面とがなす角度は、1°未満であってもよい。
上記(4)の超電導線材接続構造によると、第1面から露出する各々の第1超電導フィラメント及び第2面から露出する各々の第2超電導フィラメントの面積を増加させることが可能となる。
(5)上記(2)又は(3)の超電導線材接続構造では、第1端部において、第3面側の第1シースが残存していてもよい。第2端部において、第4面側の第2シースが残存していてもよい。
上記(5)の超電導線材接続構造によると、第1超電導フィラメント及び第2超電導フィラメントが第3面側において残存する第1シース及び第4面側において残存する第2シースで補強されることにより、第1超電導フィラメント及び第2超電導フィラメントの折損が抑制される。
(6)上記(3)~(5)の超電導線材接続構造では、第1超電導線材及び第2超電導線材は、第1端部における第1面と第2端部における第2面とが互いに平行になるように配置されていてもよい。
上記(6)の超電導線材接続構造によると、接合部における超電導特性をさらに改善することができる。
(7)上記(6)の超電導線材接続構造は、さらに、第1筒状部材と、第1支持部材及び第2支持部材とを備えていてもよい。第1端部、第2端部及び中間層は、第1筒状部材の内部に配置されていてもよい。第1支持部材及び第2支持部材は、第1端部における第1面と第2端部における第2面とが互いに平行になるように、第1筒状部材の内部に配置されていてもよい。
(8)上記(7)の超電導線材接続構造は、さらに、第2筒状部材を備えていてもよい。第1筒状部材は、第2筒状部材の内部に配置されていてもよい。第2筒状部材は、第1筒状部材を構成する材料よりも熱膨張係数が小さい材料により構成されていてもよい。
上記(8)の超電導線材接続構造によると、接合部における超電導特性をさらに改善することができる。
(9)上記(8)の超電導線材接続構造では、第1筒状部材は、第2筒状部材を構成する材料よりも酸素透過性が高い材料により構成されていてもよい。
(10)上記(1)の超電導線材接続構造では、第1超電導線材は、第1面の反対面である第3面を有していてもよい。第2超電導線材は、第2面の反対面である第4面を有していてもよい。第1端部において第1超電導フィラメントが露出するように第3面側の第1シースが除去されていてもよく、第2端部において第2超電導フィラメントが露出するように第4面側の第2シースが除去されていてもよい。
(11)上記(10)の超電導線材接続構造では、第1端部において、第3面は第1端に近づくにつれて第1面との間の距離が小さくなるように第1超電導フィラメントの延在方向に対して傾斜していてもよい。第2端部において、第2面は第2端に近づくにつれて第4面との間の距離が小さくなるように第2超電導フィラメントの延在方向に対して傾斜していてもよい。
上記(11)の超電導線材接続構造によると、第3面に最も近い位置にある第1超電導フィラメント及び第4面に最も近い位置にある第2超電導フィラメント以外の第1超電導フィラメント及び第2超電導フィラメントを、超電導接合に寄与させることが可能となる。
(12)上記(10)又は(11)の超電導線材接続構造は、さらに、第1端部と第2端部との間に挟み込まれた補強板を備えていてもよい。第1端部において、第1面側の第1シースが残存していてもよい。第2端部において、第2面側の第2シースが残存していてもよい。
上記(12)の超電導線材接続構造によると、第1超電導フィラメント及び第2超電導フィラメントが第1面側において残存する第1シース、第2面側において残存する第2シース及び補強板で補強されることにより、第1超電導フィラメント及び第2超電導フィラメントの折損が抑制される。
(13)上記(11)又は(12)の超電導線材接続構造では、第1端部において第1面と第3面とがなす角度及び第2端部において第2面と第4面とがなす角度は1°未満であってもよい。
上記(13)の超電導線材接続構造によると、第3面から露出する各々の第1超電導フィラメント及び第4面から露出する各々の第2超電導フィラメントの面積を増加させることが可能となる。
(14)上記(1)又は(2)の超電導線材接続構造は、さらに、第1筒状部材と、第2筒状部材とを備えていてもよい。第1端部、第2端部及び中間層は、第1筒状部材の内部に配置されていてもよい。第1筒状部材は、第2筒状部材の内部に配置されていてもよい。第2筒状部材は、第1筒状部材を構成する材料よりも熱膨張係数が小さい材料により構成されていてもよい。
上記(14)の超電導線材接続構造によると、接合部における超電導特性をさらに改善することができる。
(15)一実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法は、第1面を有する第1超電導線材と、第2面を有し、第1面及び第2面が互いに対向するように配置された第2超電導線材と、超電導体で形成された中間層と、筒状部材とを備える超電導線材接続構造の製造方法である。この製造方法は、第1超電導線材を準備する工程と、第2超電導線材を準備する工程と、第1超電導線材に第1端部を形成する工程と、第2超電導線材に第2端部を形成する工程と、筒状部材の内部に超電導体の粉末を充填する工程と、粉末が充填された筒状部材の内部へと第1端部及び第2端部を挿入する工程と、粉末を焼結して中間層を形成することにより、中間層を介して第1端部において第1シースから露出する第1超電導フィラメント及び第2端部において第2シースから露出する第2超電導フィラメントを互いに接続する工程とを備える。第1超電導線材は、第1シースと、第1シースの内部において第1超電導線材の長手方向に沿って延在する第1超電導フィラメントを有する。第2超電導線材は、第2シースと、第2シースの内部において第2超電導線材の長手方向に沿って延在する第2超電導フィラメントを有する。第1端部は、第1超電導線材の長手方向における端である第1端において、第1超電導フィラメントが露出するように第1シースを除去することで形成される。第2端部は、第2超電導線材の長手方向における端である第2端において、第2超電導フィラメントが露出するように第2シースを除去することで形成される。
上記(15)の超電導線材接続構造の製造方法によると、筒状部材を用いて第1超電導線材及び第2超電導線材の接続を行うことができるとともに、その接続後には、当該筒状部材を用いて接合部の補強を行うことができる。
[本発明の実施形態の詳細]
次に、実施形態の詳細を、図面を参酌しながら説明する。なお、以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
(第1実施形態)
以下に、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の構成を説明する。
図1は、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の側面図である。図2は、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の上面図である。図1及び図2に示されるように、第1実施形態に係る超電導線材接続構造は、第1超電導線材10と、第2超電導線材20と、中間層30(図1及び図2中において図示せず)とを有している。第1実施形態に係る超電導線材接続構造は、筒状部材40を有していてもよい。なお、筒状部材40の内部にある第1超電導線材10及び第2超電導線材20は、図1中において、点線で示されている。
第1超電導線材10は、第1面10aを有している。第2超電導線材20は、第2面20aを有している。なお、第1面10aの反対面を、第3面10bといい、第2面20aの反対面を第4面20bという。第1面10a及び第3面10bは、第1超電導線材10の主面(面積が相対的に最も大きい面)を構成しており、第2面20a及び第4面20bは、第2超電導線材20の主面を構成している。第1超電導線材10及び第2超電導線材20は、第1面10a及び第2面20aが互いに対向するように配置されている。このことを別の観点からいえば、第1超電導線材10及び第2超電導線材20は、拝み合わせ接続されている。
図3は、参考例に係る超電導線材接続構造の側面図である。図3に示されるように、第1超電導線材10及び第2超電導線材20が、第1超電導線材10の長手方向における端部及び第2超電導線材20の長手方向における端部のみにおいて互いに重なり合うように配置されている場合は、「第1超電導線材10及び第2超電導線材20は第1面10a及び第2面20aが互いに対向するように配置されている」ないし「第1超電導線材10及び第2超電導線材20は拝み合わせ接続されている」に含まれない。
図4は、図1中のIV-IVにおける断面図である。図4に示されるように、第1超電導線材10は、第1シース11と、第1超電導フィラメント12とを有している。第1シース11は、例えば、銀(Ag)で形成されている。第1超電導フィラメント12は、第1シース11の内部に配置されている。第1超電導フィラメント12は、第1超電導線材10の長手方向に沿って延在している。第1超電導フィラメント12は、第1シース11の内部に複数配置されている。第1超電導フィラメント12は、超電導体で形成されている。この超電導体は、例えば酸化物超電導体である。この酸化物超電導体の例としては、(Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3Oy(以下においては、「Bi2223」という)等のビスマス系酸化物超電導体が挙げられる。
図5は、図1中のV-Vにおける断面図である。図5に示されるように、第2超電導線材20は、第1超電導線材10と同様の構成を有している。より具体的には、第2超電導線材20は、第2シース21と、第2超電導フィラメント22とを有している。第2シース21は、例えば、銀で形成されている。第2超電導フィラメント22は、第2シース21の内部に配置されている。第2超電導フィラメント22は、第2超電導線材20の長手方向に沿って延在している。第2超電導フィラメント22は、第2シース21の内部に複数配置されている。第2超電導フィラメント22は、第1超電導フィラメント12を構成している超電導体と同一材料であることが好ましい。すなわち、この超電導体は、例えば、酸化物超電導体であり、この酸化物超電導体の例としては、Bi2223等のビスマス系酸化物超電導体が挙げられる。
図6は、図2中のVI-VIにおける断面図である。図6に示されるように、第1超電導線材10は、第1超電導線材10の長手方向における端において、第1端部10cを有している。第1端部10cにおいては、第1超電導フィラメント12が露出するように第1面10a側の第1シース11が除去されている。
第2超電導線材20は、第2超電導線材20の長手方向における端において、第2端部20cを有している。第2端部20cにおいては、第2超電導フィラメント22が露出するように第2面20a側の第2シース21が除去されている。
第1端部10cにおいて第1超電導フィラメント12が露出するように第3面10b側の第1シース11が除去されているとともに、第2端部20cにおいて第2超電導フィラメント22が露出するように第4面20b側の第2シース21が除去されている。図7は、第1実施形態の変形例に係る超電導線材接続構造の接合部における断面図である。図7に示されるように、第1端部10cにおいて第3面10b側の第1シース11が残存していてもよく、第2端部20cにおいて第4面20b側の第2シース21が残存していてもよい。
第1端部10cの周囲及び第2端部20cの周囲は、中間層30で覆われている。第1端部10cにおいて第1シース11から露出している第1超電導フィラメント12及び第2端部20cにおいて第2シース21から露出している第2超電導フィラメント22は、中間層30により接続されている。中間層30は、超電導体で形成されている。第1端部10cにおいて第1シース11から露出している第1超電導フィラメント12及び第2端部20cにおいて第2シース21から露出している第2超電導フィラメント22は、中間層30により、超電導接合されている。
この超電導体は、第1超電導フィラメント12及び第2超電導フィラメント22を構成している超電導体と同一材料であることが好ましい。すなわち、この超電導体は、例えば、酸化物超電導体である。この酸化物超電導体の例としては、Bi2223等のビスマス系酸化物超電導体が挙げられる。
筒状部材40は、一方端において閉塞されており、他方端において開口されている筒状形状を有している。筒状部材40は、例えば、銀で形成されている。第1端部10c、第2端部20c及び中間層30は、筒状部材40の内部に配置されている。
以下に、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法を説明する。
図8は、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法を示す工程図である。図8に示されるように、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法は、第1超電導線材準備工程S1と、第2超電導線材準備工程S2と、第1端部形成工程S3と、第2端部形成工程S4と、粉末充填工程S5と、焼結工程S6とを有している。
第1超電導線材準備工程S1においては、第1超電導線材10が準備され、第2超電導線材準備工程S2においては、第2超電導線材20が準備される。第1超電導線材10及び第2超電導線材20の準備は、従来公知の方法にしたがって行われる。より具体的には、第1超電導線材10及び第2超電導線材20の準備は、PIT(Powder In Tube)法にしたがって行われる。
第1端部形成工程S3においては、第1超電導線材10に第1端部10cが形成される。図9は、第1端部形成工程S3における第1超電導線材10の長手方向に直交する断面図である。図9に示されるように、第1端部形成工程S3においては、第1に、第1超電導線材10の幅方向における端にある第1シース11が切断される。第1端部形成工程S3においては、第2に、第1面10a側にある第1シース11及び第3面10b側にある第1シース11が剥がされる。これにより、第1面10a側及び第3面10b側から、第1超電導フィラメント12が露出する。
第2端部形成工程S4においては、第2超電導線材20に第2端部20cが形成される。第2端部形成工程S4は、第1端部形成工程S3と同様の方法により行われるため、その詳細な説明及び図示は省略している。
粉末充填工程S5においては、筒状部材40の内部に中間層30を構成する超電導体の粉末が充填される。
焼結工程S6においては、中間層30を介して、第1端部10cにおいて露出している第1超電導フィラメント12及び第2端部20cにおいて露出している第2超電導フィラメント22が接続される。より具体的には、焼結工程S6においては、第1に、第1端部10c及び第2端部20cが、筒状部材40の内部に挿入される。この結果、第1端部10c及び第2端部20cの周囲が、中間層30を構成する超電導体の粉末で覆われることになる。なお、第1端部10c及び第2端部20cは、第1面10a及び第2面20aが互いに対向した状態で筒状部材40の内部に挿入される。
焼結工程S6においては、第2に、中間層30を構成する超電導体の粉末の焼結が行われる。この焼結は、第1端部10c、第2端部20c及び中間層30を構成する超電導体の粉末が内部に配置された状態で、筒状部材40に対して加熱及び加圧を行うことにより行われる。これにより、中間層30を構成する超電導体の粉末が焼結されて中間層30が形成され、第1端部10cにおいて露出している第1超電導フィラメント12及び第2端部20cにおいて露出している第2超電導フィラメント22が中間層30を介して互いに接続される。
以下に、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の効果を説明する。
第1実施形態に係る超電導線材接続構造では、第1端部10cにおいて第1シース11から露出している第1超電導フィラメント12と第2端部20cにおいて第2シース21から露出している第2超電導フィラメント22が、超電導体で形成されている中間層30で接続されている(超電導接合されている)ため、接合部における超電導特性を改善することができる。
第1端部10cにおいて第3面10b側の第1シース11が残存しているとともに、第2端部20cにおいて第4面20b側の第2シース21が残存している場合、第1超電導フィラメント12及び第2超電導フィラメント22は、これらの第1シース11及び第2シース21により補強される。そのため、この場合、第1超電導フィラメント12及び第2超電導フィラメント22の折損を抑制することができる。
第1実施形態に係る超電導線材接続構造では、筒状部材40を用いて第1超電導線材10及び第2超電導線材20の中間層30を介した接続が行われるが、この接続後には、接合部が筒状部材40により補強されることになるため、第1超電導フィラメント12及び第2超電導フィラメント22の折損を抑制することができる。
(第2実施形態)
以下に、第2実施形態に係る超電導線材接続構造の構成を説明する。なお、ここでは、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の構成と異なる点を主として説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
図10は、第2実施形態に係る超電導線材接続構造の接合部における断面図である。図10に示されるように、第1端部10cに位置する第1面10aは、第1超電導線材10の長手方向における端に向かうにしたがって第3面10bとの距離が小さくなるように、第1超電導フィラメント12の延在方向に対して傾斜している。同様に、第2端部20cに位置する第2面20aは、第2超電導線材20の長手方向における端に向かうにしたがって第4面20bとの距離が小さくなるように、第2超電導フィラメント22の延在方向に対して傾斜している。これらの点に関して、第2実施形態に係る超電導線材接続構造の構成は、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の構成と異なっている。
なお、「第1端部10cに位置する第1面10aは、第1超電導線材10の長手方向における端に向かうにしたがって第3面10bとの距離が小さくなるように、第1超電導フィラメント12の延在方向に対して傾斜している」ことは、別の観点からいえば、第1端部10cにおいては、第2超電導線材20に近い位置にある第1超電導フィラメント12ほど、その長さが短くなっていることを意味している。
同様に、「第2端部20cに位置する第2面20aは、第2超電導線材20の長手方向における端に向かうにしたがって第4面20bとの距離が小さくなるように、第2超電導フィラメント22の延在方向に対して傾斜している」ことは、別の観点からいえば、第2端部20cにおいては、第1超電導線材10に近い位置にある第2超電導フィラメント22ほど、その長さが短くなっていることを意味している。
第1端部10cにおいて第1面10aと第3面10bとがなす角度及び第2端部20cにおいて第2面20a及び第4面20bとがなす角度は、1°未満であることが好ましい。
第1超電導線材10の長手方向における第1端部10cの幅及び第2超電導線材20の長手方向における第2端部20cの幅は、2cm以上5cm以下であることが好ましい。
図11は、第2実施形態の変形例に係る超電導線材接続構造の接合部における断面図である。図11に示されるように、第1端部10cにおいて第3面10b側の第1シース11が残存していてもよく、第2端部20cにおいて第4面20b側の第2シース21が残存していてもよい。
以下に、第2実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法を説明する。ここでは、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法と異なる点を主として説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
第1端部形成工程S3には、第1端部10cにおいて、第1面10a側の第1シース11を剥がした後に第1面10aを研磨する工程が追加されている。同様に、第2端部形成工程S4には、第2端部20cにおいて、第2面20a側の第2シース21を剥がした後に第2面20aを研磨する工程が追加されている。これらの点に関して、第2実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法は、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法と異なっている。
以下に、第2実施形態に係る超電導線材接続構造の効果を説明する。なお、ここでは、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の効果と異なる点を主として説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
第2実施形態に係る超電導線材接続構造においては、上記のとおり、第1端部10cに位置する第1面10aが第1超電導線材10の長手方向における端に向かうにしたがって第3面10bとの距離が小さくなるように第1超電導フィラメント12の延在方向に対して傾斜しているため、第1端部10cに位置する第1面10aからは、第1面10aに最も近い位置にある第1超電導フィラメント12以外の第1超電導フィラメント12も、第1端部10cに位置する第1面10aから露出している。
同様にして、第2端部20cに位置する第2面20aからは、第2面20aに最も近い位置にある第2超電導フィラメント22以外の第2超電導フィラメント22も、第2端部20cに位置する第2面20aから露出している。
その結果、第1面10aに最も近い位置にある第1超電導フィラメント12以外の第1超電導フィラメント12及び第2面20aに最も近い位置にある第2超電導フィラメント22以外の第2超電導フィラメント22を、超電導接合に寄与させることが可能となる。
第1端部10cにおいて第1面10aと第3面10bとがなす角度及び第2端部20cにおいて第2面20a及び第4面20bとがなす角度が1°未満である場合、第1面10aから露出する各々の第1超電導フィラメント12及び第2面20aから露出する各々の第2超電導フィラメント22の面積を増加させることが可能となる。このように、第2実施形態に係る超電導線材接続構造によると、接合部における超電導特性をさらに改善することができる。
(第3実施形態)
以下に、第3実施形態に係る超電導線材接続構造の構成を説明する。なお、ここでは、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の構成と異なる点を主として説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
図12は、第3実施形態に係る超電導線材接続構造の接合部における断面図である。図12に示されるように、第1端部10cに位置する第3面10bは、第1超電導線材10の長手方向における端に向かうにしたがって第1面10aとの距離が小さくなるように、第1超電導フィラメント12の延在方向に対して傾斜している。同様に、第2端部20cに位置する第4面20bは、第2超電導線材20の長手方向における端に向かうにしたがって第2面20aとの距離が小さくなるように、第2超電導フィラメント22の延在方向に対して傾斜している。これらの点に関して、第3実施形態に係る超電導線材接続構造の構成は、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の構成と異なっている。
なお、「第1端部10cに位置する第3面10bは、第1超電導線材10の長手方向における端に向かうにしたがって第1面10aとの距離が小さくなるように、第1超電導フィラメント12の延在方向に対して傾斜している」ことは、別の観点からいえば、第1端部10cにおいては、第2超電導線材20から離れた位置にある第1超電導フィラメント12ほど、その長さが短くなっていることを意味している。
同様に、「第2端部20cに位置する第4面20bは、第2超電導線材20の長手方向における端に向かうにしたがって第2面20aとの距離が小さくなるように、第2超電導フィラメント22の延在方向に対して傾斜している」ことは、別の観点からいえば、第2端部20cにおいては、第1超電導線材10から離れた位置にある第2超電導フィラメント22ほど、その長さが短くなっていることを意味している。
第1端部10cにおいて第1面10aと第3面10bとがなす角度及び第2端部20cにおいて第2面20a及び第4面20bとがなす角度は、1°未満であることが好ましい。
第1超電導線材10の長手方向における第1端部10cの幅及び第2超電導線材20の長手方向における第2端部20cの幅は、好ましくは、2cm以上5cm以下である。
図13は、第3実施形態の変形例に係る超電導線材接続構造の接合部における断面図である。図13に示されるように、第1端部10cにおいて第1面10a側の第1シース11が残存していてもよく、第2端部20cにおいて第2面20a側の第2シース21が残存していてもよい。
以下に、第3実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法を説明する。ここでは、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法と異なる点を主として説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
第1端部形成工程S3には、第1端部10cにおいて、第3面10b側の第1シース11を剥がした後に第3面10bを研磨する工程が追加されている。同様に、第2端部形成工程S4には、第2端部20cにおいて、第4面20b側の第2シース21を剥がした後に第4面20bを研磨する工程が追加されている。これらの点に関して、第3実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法は、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法と異なっている。
以下に、第3実施形態に係る超電導線材接続構造の効果を説明する。なお、ここでは、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の効果と異なる点を主として説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
第3実施形態に係る超電導線材接続構造においては、上記のとおり、第1端部10cに位置する第3面10bが第1超電導線材10の長手方向における端に向かうにしたがって第1面10aとの距離が小さくなるように第1超電導フィラメント12の延在方向に対して傾斜しているため、第1端部10cに位置する第1面10aからは、第3面10bに最も近い位置にある第1超電導フィラメント12以外の第1超電導フィラメント12も、第1端部10cに位置する第3面10bから露出している。
同様にして、第2端部20cに位置する第4面20bからは、第4面20bに最も近い位置にある第2超電導フィラメント22以外の第2超電導フィラメント22も、第2端部20cに位置する第4面20bから露出している。
その結果、第3面10bに最も近い位置にある第1超電導フィラメント12以外の第1超電導フィラメント12及び第4面20bに最も近い位置にある第2超電導フィラメント22以外の第2超電導フィラメント22を、超電導接合に寄与させることが可能となる。
第1端部10cにおいて第1面10aと第3面10bとがなす角度及び第2端部20cにおいて第2面20a及び第4面20bとがなす角度が1°未満である場合、第3面10bから露出する各々の第1超電導フィラメント12及び第4面20bから露出する各々の第2超電導フィラメント22の面積を増加させることが可能となる。このように、第3実施形態に係る超電導線材接続構造によると、接合部における超電導特性をさらに改善することができる。
(第4実施形態)
以下に、第4実施形態に係る超電導線材接続構造の構成を説明する。なお、ここでは、第3実施形態に係る超電導線材接続構造の構成と異なる点を主として説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
図14は、第4実施形態に係る超電導線材接続構造の接合部における断面図である。第4実施形態に係る超電導線材接続構造は、補強板50をさらに有している。補強板50は、第1端部10c及び第2端部20cに挟み込まれている。補強板50は、例えば銀で形成されている。補強板50は、第1超電導線材10及び第2超電導線材20と同様の超電導線材であってもよい。
また、第4実施形態に係る超電導線材接続構造では、第1端部10cにおいて第1面10a側の第1シース11が残存しており、第2端部20cにおいて第2面20a側の第2シース21が残存している。これらの点に関して、第4実施形態に係る超電導線材接続構造の構成は、第3実施形態に係る超電導線材接続構造の構成と異なっている。
なお、第4実施形態に係る超電導線材接続構造では、筒状部材40の底部と第1端部10c及び第2端部20cとの間も、中間層30が存在している。図15は、第4実施形態に係る超電導線材接続構造の接合部における第1超電導線材10及び第2超電導線材20の長手方向に直交する断面図である。図15に示されるように、中間層30は、第1端部10c及び第2端部20cの両側面にも存在している。そのため、第4実施形態に係る超電導線材接続構造においても、第1端部10cにおいて第1シース11から露出している第1超電導フィラメント12及び第2端部20cにおいて第2シース21から露出している第2超電導フィラメント22が、中間層30により超電導接合されている。
以下に、第4実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法を説明する。ここでは、第3実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法と異なる点を主として説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
焼結工程S6においては、上記のとおり、中間層30を構成する超電導体の粉末を焼結する前に、第1端部10c及び第2端部20cが、当該粉末が充填された筒状部材40の内部に挿入される。この際、第1端部10cと第2端部20cとの間には、補強板50が挟み込まれている。この点に関して、第4実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法は、第3実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法と異なっている。
以下に、第4実施形態に係る超電導線材接続構造の効果を説明する。なお、ここでは、第3実施形態に係る超電導線材接続構造の効果と異なる点を主として説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
第4実施形態に係る超電導線材接続構造では、第1端部10cにおいて第3面10b側の第1シース11が残存しているとともに、第2端部20cにおいて第4面20b側の第2シース21が残存している。さらに、第4実施形態に係る超電導線材接続構造では、第1端部10c及び第2端部20cの間に補強板50が挟み込まれている。その結果、第1超電導フィラメント12及び第2超電導フィラメント22は、これらの第1シース11及び第2シース21並びに補強板50により補強される。したがって、第4実施形態に係る超電導線材接続構造によると、第1超電導フィラメント12及び第2超電導フィラメント22の折損を抑制することができる。
(第5実施形態)
以下に、第5実施形態に係る超電導線材接続構造の構成を説明する。なお、ここでは、第2実施形態に係る超電導線材接続構造の構成と異なる点を主として説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
図16は、第5実施形態に係る超電導線材接続構造の接合部における断面図である。図16に示されるように、第5実施形態に係る超電導線材接続構造は、筒状部材60と、第1支持部材70と、第2支持部材80とをさらに有している。
筒状部材60は、一方端において閉塞されており、他方端において開口している筒状形状を有している。筒状部材60の内部には、筒状部材40が配置されている。筒状部材60は、筒状部材40を構成する材料よりも熱膨張率が低い材料により構成されている。筒状部材60は、筒状部材40を構成する材料よりも酸素透過性が低い材料により構成されていてもよい(筒状部材40は、筒状部材60を構成する材料よりも酸素透過性が高い材料により構成されていてもよい)。筒状部材40が銀により構成されている場合、筒状部材60は、例えば、厚さが0.1mm以上0.3mm以下のステンレス鋼により構成されている。
第1支持部材70は、第1端70aと、第2端70bとを有している。第1端70a及び第2端70bは、第1支持部材70の長手方向における端である。第2端70bは、第1端70aの反対側の端である。
第1支持部材70は、第5面70cと、第6面70dとを有している。第6面70dは、第5面70cの反対面である。第5面70cは、第1端70a側から第2端70b側に向かうにしたがって第6面70dとの間隔が狭くなるように、第1支持部材70の長手方向に対して傾斜している。第5面70cと第6面70dとのなす角度は、第1端部10cにおいて第1面10aと第3面10bとがなす角度に等しい。
第1支持部材70は、第1端70aが筒状部材40の一方端側(閉塞されている側)を向くように、筒状部材40の内部に配置されている。第1支持部材70は、第5面70cが第3面10bに対向するとともに、第6面70dが筒状部材40の内壁面に対向するように、筒状部材40の内部に配置されている。
第1支持部材70は、好ましくは、第1超電導線材10と同種の超電導線材であってもよい。但し、第1支持部材70は、これに限られるものではない。
第2支持部材80は、第3端80aと、第4端80bとを有している。第3端80a及び第4端80bは、第2支持部材80の長手方向における端である。第4端80bは、第3端80aの反対側の端である。
第2支持部材80は、第7面80cと、第8面80dとを有している。第8面80dは、第7面80cの反対面である。第7面80cは、第3端80a側から第4端80b側に向かうにしたがって第8面80dとの間隔が狭くなるように、第2支持部材80の長手方向に対して傾斜している。第7面80cと第8面80dとのなす角度は、第2端部20cにおいて第2面20aと第4面20bとがなす角度に等しい。
第2支持部材80は、第3端80aが筒状部材40の一方端側(閉塞されている側)を向くように、筒状部材40の内部に配置されている。第2支持部材80は、第7面80cが第4面20bに対向するとともに、第8面80dが筒状部材40の内壁面に対向するように、筒状部材40の内部に配置されている。
第2支持部材80は、好ましくは、第2超電導線材20と同種の超電導線材であってもよい。但し、第2支持部材80は、これに限られるものではない。
第1支持部材70及び第2支持部材80がそれぞれ上記のような形状及び配置になっているため、第1超電導線材10及び第2超電導線材20は、第1端部10cにおける第1面10aと第2端部20cにおける第2面20aとが互いに平行になっている。なお、「第1端部10cにおける第1面10aと第2端部20cにおける第2面20aとが互いに平行」とは、第1端部10cにおける第1面10aと第2端部20cにおける第2面20aとがなす角度が5°以下であることをいう。
なお、図16中においては、第1端部10cにおける第1面10a側の第1シース11及び第2端部20cにおける第2面20a側の第2シース21が残存しているが、第1端部10cにおける第1面10a側の第1シース11及び第2端部20cにおける第2面20a側の第2シース21は、除去されていてもよい。
以下に、第5実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法を説明する。ここでは、第2実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
第5実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法では、粉末充填工程S5において、第1支持部材70及び第2支持部材80が、中間層30を構成する超電導体の充填に先立って、筒状部材40の内部に配置される。さらに、第5実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法では、中間層30を構成する超電導体が筒状部材40に充填された後に、筒状部材40が筒状部材60の内部に配置される。
第5実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法では、第1支持部材70及び第2支持部材80が筒状部材40の内部に配置されているため、第1端部10c及び第2端部20cが中間層30を構成する超電導体の粉末が充填された筒状部材40の内部に挿入した状態において、第1端部10cにおける第1面10aと第2端部20cにおける第2面20aとが、互いに平行になっている。
第5実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法では、筒状部材40が筒状部材60の内部に挿入されているため、焼結工程S6における加熱及び加圧は、筒状部材60に対して行われることになる。
以下に、第5実施形態に係る超電導接続構造の効果を説明する。ここでは、第2実施形態に係る超電導線材接続構造の効果と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
第5実施形態に係る超電導線材接続構造においては、第1支持部材70及び第2支持部材80が筒状部材40の内部に配置されているため、第1端部10cにおける第1面10aと第2端部20cにおける第2面20aとが、互いに平行になっている。その結果、焼結工程S6において印加される圧力が、第1端部10cにおける第1面10aと第2端部20cにおける第2面20aとの間に均等に作用しやすく、中間層30を構成する超電導体の粉末が、第1端部10cにおける第1面10aと第2端部20cにおける第2面20aとの間に留まりやすい。そのため、第5実施形態に係る超電導線材接続構造によると、第1超電導線材10と第2超電導線材20との間の接合部における超電導特性をさらに改善することができる。
第5実施形態に係る超電導線材接続構造においては、筒状部材40が筒状部材60に挿入されており、筒状部材60が筒状部材40を構成する材料よりも熱膨張係数が小さい材料により構成されているため、焼結工程S6における加熱による筒状部材40の熱膨張が、筒状部材60により拘束される。そのため、第5実施形態に係る超電導線材接続構造においては、焼結工程S6における加熱中に中間層30を構成する超電導体の粉末が移動しうる空間が筒状部材40の内部に生じにくい。その結果、中間層30を構成する超電導体の粉末が、第1端部10cにおける第1面10aと第2端部20cにおける第2面20aとの間に留まりやすく、第1超電導線材10と第2超電導線材20との間の接合部における超電導特性をさらに改善することができる。
なお、筒状部材40は、筒状部材60を構成する材料よりも酸素透過性が高い材料により構成されているため、筒状部材40中の酸素拡散により、第1超電導線材10と第2超電導線材20との接合部にある第1超電導フィラメント12及び第2超電導フィラメント22に酸素を供給することができる。これにより、焼結工程S6における加熱により第1超電導線材10と第2超電導線材20との接合部にある第1超電導フィラメント12及び第2超電導フィラメント22から酸素が離脱し、第1超電導線材10と第2超電導線材20との接合部にある第1超電導フィラメント12及び第2超電導フィラメント22の超電導特性が劣化することを抑制できる。
(第6実施形態)
以下に、第6実施形態に係る超電導線材接続構造の構成を説明する。なお、ここでは、第1実施形態に係る超電導線材接続構造の構成と異なる点を主として説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
図17は、第6実施形態に係る超電導線材接続構造の接合部における断面図である。図17に示されるように、第6実施形態に係る超電導線材接続構造は、筒状部材60をさらに有している。
筒状部材60は、一方端において閉塞されており、他方端において開口している筒状形状を有している。筒状部材60の内部には、筒状部材40が配置されている。筒状部材60は、筒状部材40を構成する材料よりも熱膨張率が低い材料により構成されている。筒状部材60は、筒状部材40を構成する材料よりも酸素透過性が低い材料により構成されていてもよい(筒状部材40は、筒状部材60を構成する材料よりも酸素透過性が高い材料により構成されていてもよい)。筒状部材40が銀である場合、筒状部材60は、例えばステンレス鋼である。
なお、図17中においては、第1端部10cにおける第1面10a側の第1シース11及び第2端部20cにおける第2面20a側の第2シース21が残存しているが、第1端部10cにおける第1面10a側の第1シース11及び第2端部20cにおける第2面20a側の第2シース21は、除去されていてもよい。
以下に、第6実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法を説明する。ここでは、第2実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
第6実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法では、粉末充填工程S5において、第1支持部材70及び第2支持部材80が、中間層30を構成する超電導体の充填に先立って、筒状部材40の内部に配置される。さらに、第6実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法では、中間層30を構成する超電導体が筒状部材40に充填された後に、筒状部材40が筒状部材60の内部に配置される。
第6実施形態に係る超電導線材接続構造の製造方法では、筒状部材40が筒状部材60の内部に挿入されているため、焼結工程S6における加熱及び加圧は、筒状部材60に対して行われることになる。
以下に、第6実施形態に係る超電導接続構造の効果を説明する。ここでは、第2実施形態に係る超電導線材接続構造の効果と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
第6実施形態に係る超電導線材接続構造においては、筒状部材40が筒状部材60に挿入されており、筒状部材60が筒状部材40を構成する材料よりも熱膨張係数が小さい材料により構成されているため、焼結工程S6における加熱による筒状部材40の熱膨張が、筒状部材60により拘束される。そのため、第6実施形態に係る超電導線材接続構造においては、焼結工程S6における加熱中に中間層30を構成する超電導体の粉末が移動しうる空間が筒状部材40の内部に生じにくい。その結果、中間層30を構成する超電導体の粉末が、第1端部10cにおける第1面10aと第2端部20cにおける第2面20aとの間に留まりやすく、第1超電導線材10と第2超電導線材20との間の接合部における超電導特性をさらに改善することができる。
なお、筒状部材40は、筒状部材60を構成する材料よりも酸素透過性が高い材料により構成されているため、筒状部材40中の酸素拡散により、第1超電導線材10と第2超電導線材20との接合部にある第1超電導フィラメント12及び第2超電導フィラメント22に酸素を供給することができる。これにより、焼結工程S6における加熱により第1超電導線材10と第2超電導線材20との接合部にある第1超電導フィラメント12及び第2超電導フィラメント22から酸素が離脱し、第1超電導線材10と第2超電導線材20との接合部にある第1超電導フィラメント12及び第2超電導フィラメント22の超電導特性が劣化することを抑制できる。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。