JP2002258074A - 光信号処理回路 - Google Patents

光信号処理回路

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のシングルバンドWDMシステム用の分
散補償器を構成するAWGと同程度の導波路パラメータ
で作製可能であり、一括で複数のWDMバンドの分散を
補償できること。 【解決手段】 スラブ導波路102は、信号光を入射及
び出射させるための導波路101の光をアレイ導波路1
03に分配する。アレイ導波路103は入射信号光を時
間−空間変換する。スラブ導波路104は、アレイ導波
路103の出力光をそれぞれフーリエ変換させる。空間
フィルタ106は、45度ミラー105で反射した光信
号の各々の周波数成分に位相遅延を加える構造になって
いる。アレイ導波路格子100は、空間的に異なる位置
に入出力光ポート#1,#2を複数有し、この入出力ポ
ートの各々には、異なる波長帯の光信号が入力される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超高速の光信号を
処理する光信号処理回路に関し、より詳細には、アレイ
導波路及びスラブ導波路を備えたアレイ導波路格子と空
間位相フィルタとを用いたスペクトルフィルタリングに
よる反射型の光信号処理回路に関する。
【0002】
【従来の技術】光信号伝送や光信号処理技術の発展に伴
い、より多くの光信号を1本のファイバで伝送するため
には、波長分割多重(WDM;wavelength division mu
ltiplexing)方式において、波長多重数を増加させるこ
とが必要になってきている。とりわけ、運用・監視・保
守の簡便さという観点から、1チャネルあたりのビット
レートは速いほうが望ましく、チャネルあたり40Gb
it/sを超える高速チャネルWDMシステムが必要と
なってきている。
【0003】また近年、より多くの光信号を光ファイバ
伝送させるために従来通信波長として用いられてきたC
バンド(1550nmを中心にして1530−1570
nm)のみならず、Cバンドの長波長側(Lバンド;1
590nmを中心にして1560−1620nm)や短
波長側(Sバンド;1510nmを中心にして1480
−1540nm)の波長帯を組み合わせたマルチバンド
WDMシステムも光ファイバアンプの実現にともなって
その利用が始まっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】1チャネルあたりの信
号伝送速度が、10Gbit/s以下のWDMシステム
の場合、WDM信号を一括分散補償するために分散補償
ファイバ(DCF)と呼ばれるファイバで、WDMバン
ド中心の1点において分散値をゼロにするだけ十分な伝
送品質を保つことは可能であった。しかしながら、光信
号の分散限界は符号化フォーマットが同じ場合で比較す
ると、チャネルビットレートの2乗に比例して弱くなっ
てしまうため、40Gbit/sを越えるチャネルビッ
トレートで伝送を行うと、DCFのみによるWDMバン
ド中心のみの分散補償では、ファイバの分散の波長依存
性(分散スロープ)によってWDMバンドの両端での波
長では、分散限界を容易に超えてしまうという問題があ
った。
【0005】例えば、通常のファイバではその分散スロ
ープの代表値は、0.07ps/nm /kmである。3
0nmの波長帯域を使用して100kmの伝送を行う場
合のWDMバンド端での分散スロープによる残留分散値
は+105ps/nm又は−105ps/nmになる。
10Gbit/sのNRZ信号の分散限界は約1300
ps/nmであり、残留分散値は致命的な問題とはなら
ないが、40Gbit/sのNRZ信号は分散限界が、
10Gbit/s信号の約1/16、つまり約±40p
s/nmとなるため、分散限界を超えてしまい、品質の
高い伝送を行うことができなくなる。
【0006】このような問題を解決するために、従来か
らアレイ導波路格子(AWG;Arrayed Waveguide Grat
ing)と空間位相フィルタとを用いた分散スロープ補償
器が実現されている。AWGは、従来の通信波長帯(C
バンド)をカバーできる、非常に高帯域な自由スペクト
ルレンジ(FSR;Free Spectral Range)を持ってい
ることが特徴である。
【0007】しかしながら、従来の一括分散スロープ補
償器をマルチバンドWDMシステムに適用する際には6
0nmを超えるFSRを持つAWGを作製する必要があ
るが、そのためには、AWG素子の大きさが非常に大き
くなってしまうこと、さらにAWGの分解時間を従来の
AWGの半分にする必要から、AWGを構成する導波路
の屈折率の不均一性や、導波路形成の際の作製誤差など
に起因する位相ノイズのため、そのような非常に大きな
FSRをもつAWGを実現することは困難であった。
【0008】他の解決方法としてマルチバンドWDM信
号をWDMカプラにより各バンドに分離してシングルバ
ンド対応の従来の分散スロープ補償器を複数用いてそれ
ぞれのバンドについて補償を行う方法もあるが、高価に
なってしまうという問題があった。
【0009】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、従来のシングルバ
ンドWDMシステム用の分散補償器を構成するAWGと
同程度の導波路パラメータで作製可能であり、一括で複
数のWDMバンドの分散を補償できるような光信号処理
回路を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、請求項1に記載の発明は、アレイ
導波路及びスラブ導波路を備えたアレイ導波路格子と空
間位相フィルタとを用いたスペクトルフィルタリングに
よる反射型の光信号処理回路において、前記アレイ導波
路格子は、空間的に異なる位置に入出力光ポートを複数
有し、該入出力ポートの各々には、異なる波長帯の光信
号が入力されることを特徴とするものである。
【0011】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の発明において、異なる波長帯の光信号は、Cバ
ンド、Sバンド、Lバンドの光信号から少なくとも2つ
を選択した光信号であることを特徴とするものである。
【0012】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明において、前記アレイ導波路格子の
自由スペクトルレンジが60nm以下であることを特徴
とするものである。
【0013】また、請求項4に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明において、前記アレイ導波路格子の
自由スペクトルレンジが45nm以下であることを特徴
とするものである。
【0014】また、請求項5に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明において、前記アレイ導波路格子の
自由スペクトルレンジが30nm以下であることを特徴
とするものである。
【0015】また、請求項6に記載の発明は、請求項1
乃至5いずれかに記載の発明において、前記スラブ導波
路の焦点面近傍に溝を設けるとともに、該溝の中に結像
させた入射光信号を基板に対して垂直方向に出射させる
ための反射鏡を設け、前記空間位相フィルタを前記反射
鏡によって反射された信号光に対して変調を与えられる
ように配置することを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施例について説明する。図1は、本発明の光信号処理回
路の一実施形態を示す図で、図中符号101は、信号光
を入射及び出射させるための2本以上の導波路で、10
2はスラブ導波路で、導波路101の光をアレイ導波路
103に分配する機能を有する。アレイ導波路103
は、入射信号光を時間−空間変換する機能を有する。
【0017】104はスラブ導波路であり、アレイ導波
路103の出力光をそれぞれフーリエ変換させる機能を
有する。つまり、スラブ導波路104のアレイ導波路に
接続された端面とは反対側に端面(焦点面)において入
力光信号の周波数成分が空間的に展開されており、空間
軸と周波数軸とは線分散を通じて互いに比例関係にあ
る。
【0018】符号105は45度ミラーであり、焦点面
においてフーリエ変換されて空間的に展開された信号光
を基板に対して上方に反射させる機能を有する。106
は空間フィルタであり、45度ミラー105で反射した
光信号の各々の周波数成分に位相遅延を加える構造にな
っている。
【0019】空間位相フィルタによって周波数スペクト
ルの位相を制御された光信号は、再びスラブ導波路10
4に入射し、逆経路を経て入射導波路101に戻る。導
波路101とスラブ導波路102とアレイ導波路103
とスラブ導波路104からなる光信号処理回路の構成
は、一般的にアレイ導波路格子100と言われている。
このアレイ導波路格子100は、入出力ポート#1,#
2を備えていて、スラブ導波路104の焦点面において
空間展開されたあるスペクトル成分の位置は、スラブ導
波路102への入射位置が異なると、それに伴って異な
った位置に焦点を結ぶため、複数の導波路101におい
て、異なるポートから入射した信号は、その中心周波数
は異なって位置することになる。
【0020】また、導波路パラメタによって決まるFS
R(中心周波数vを回折次数mで割った周波数範囲)
周波数だけ異なった周波数成分は、その特性により、空
間的に同位置に焦点を結ぶという特徴を有している。
【0021】本実施例においては、導波路を石英導波路
で構成した。石英導波路および45度ミラーの作製方法
は、以下の通りである。石英導波路は、単結晶シリコン
の基板上に火炎加水分解体積法(FHD法)によって下
部クラッド層、コア層の順にガラス微粒子膜として堆積
させた後、アニール炉中で高温に加熱し、シリコン基板
上を覆う透明なガラス膜とする。
【0022】その後、導波路の形にパターニングを施
し、ドライエッチングを用いて不要なコア層を除去した
後、再びFHD法を用いて上部クラッド層を堆積させ、
高温に加熱して上部クラッド層を透明化させることで作
製した。その後、パターニングを行い、反応性イオンエ
ッチング装置によって、スラブ導波路104の焦点面近
傍に焦点面に沿った幅50nmの溝を形成し、エポキシ
レジンを流し込んでレジン部表面に金を蒸着して45度
ミラーとした。
【0023】図2は、本実施例でのフィルタ部分の拡大
図で、石英基板201の上にPMGAをスピンコートし
てベーキングを行った後、電子線描画装置を用いて空間
的に打ち込み電荷量を変化させて描画した後、現像を行
うことで空間的に厚みの異なるPMGI膜202を形成
した。その後、表面に金を蒸着して金ミラー203とす
ることで反射型フィルタとした。なお、符号204は石
英、205はフィルタ基板、206は、屈折率が石英と
略等しいような接着剤を示している。
【0024】図3は、本実施例での導波路と空間フィル
タとの結合部分の拡大図で、フィルタ基板205の上に
PMGI膜202を形成し、さらにその上に金を蒸着し
て金ミラー203を形成している。空間フィルタ106
を石英と屈折率がほぼ同一の紫外線硬化樹脂を用いて接
着を行い、スラブ導波路104と空間位相フィルタ10
6との光結合損失を低減させている。
【0025】本実施例では石英導波路を用いたが、In
P等の半導体層にコア層としてInGaAsP等のクラ
ッドよりも屈折率の高い半導体をエピタキシャル成長さ
せパターニング、およびエッチングによって作製した半
導体の導波路構造や、コアを重水素化PMMA、クラッ
ドを紫外線硬化樹脂とするようなポリマーからなる導波
路構造などについても同様の機能を持つことは明らかで
ある。この場合は、使用したい波長域において材料が十
分透明であることが望ましい。
【0026】また、本実施例における空間位相フィルタ
は、PMGI膜の上面に金を蒸着することで作製した
が、PMGI膜の下面に金をあらかじめ蒸着し、PMG
I膜を形成後、上面に無反射コーティングを形成する方
法でも作製可能である。また、本実施例で用いたPMG
Iの代わりに石英など別の材料で構成することも可能で
ある。
【0027】本実施例では、アレイ導波路格子のFSR
は4.32THzで、入出力ポートは2つとし、これら
は0.18THzの周波数に相当する空間間隔でスラブ
導波路102に入射させるように設計した。これによっ
て、4.5THzの周波数分だけ離れている2つのWD
Mバンドの分散スローブを同一の空間位相フィルタでも
って補償することが可能になる。3つ以上の入出力ポー
トを設ければ、3つ以上のWDMバンドの分散スローブ
も本発明の光信号処理回路で補償できるようになること
は言うまでもない。
【0028】図4は、本発明の光信号処理回路の特性を
確認するためのシステム構成図で、図中符号301は波
長可変レーザ、302はパルスパターン発生器、303
は分散シフトファイバ(100km)、304はサーキ
ュレータ、305は受信器、306はエラー検出器、3
07は1×2WDMフィルタ、308はCバンド用DC
F、309はLバンド用DCFで、Cバンド用DCF3
08は、アレイ導波路格子100に相当する分散スロー
プ補償器の入出力ポート#1に接続され、Lバンド用D
CF309は、分散スロープ補償器の入出力ポート#2
に接続されている。
【0029】このような評価システムを用いて、波長可
変レーザを光源としてCバンドとLバンド各40チャネ
ル分に相当する疑似ランダム信号をそれぞれ入力して本
発明の光信号処理回路の特性をビットエラーレートで評
価したところ、80チャネル全てにおいてエラーフリー
動作することを確認した。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ア
レイ導波路及びスラブ導波路を備えたアレイ導波路格子
と空間位相フィルタとを用いたスペクトルフィルタリン
グによる反射型の光信号処理回路において、アレイ導波
路格子は、空間的に異なる位置に入出力光ポートを複数
有し、この入出力ポートの各々には、異なる波長帯の光
信号が入力されるので、従来のシングルバンドWDMシ
ステム用分散補償器を構成するAWGと同程度の導波路
パラメータで作製でき、一括で複数のWDMバンドの分
散スロープを補償することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光信号処理回路の一実施形態を示す図
である。
【図2】光信号処理回路のフィルタ部分の拡大図であ
る。
【図3】光信号処理回路の導波路と空間フィルタとの結
合部分の拡大図である。
【図4】本発明の光信号処理回路の特性を確認するため
のシステム構成図である。
【符号の説明】
100 アレイ導波路格子 101 導波路 102,104 スラブ導波路 103 アレイ導波路 105 45度ミラー 106 空間フィルタ 201 石英基板 202 PMGI膜 203 金ミラー 204 石英 205 フィルタ基板 206 接着剤 301 波長可変レーザ 302 パルスパターン発生器 303 分散シフトファイバ 304 サーキュレータ 305 受信器 306 エラー検出器 307 WDMフィルタ 308 Cバンド用DCF 309 Lバンド用DCF

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アレイ導波路及びスラブ導波路を備えた
    アレイ導波路格子と空間位相フィルタとを用いたスペク
    トルフィルタリングによる反射型の光信号処理回路にお
    いて、前記アレイ導波路格子は、空間的に異なる位置に
    入出力光ポートを複数有し、該入出力ポートの各々に
    は、異なる波長帯の光信号が入力されることを特徴とす
    る光信号処理回路。
  2. 【請求項2】 異なる波長帯の光信号は、Cバンド、S
    バンド、Lバンドの光信号から少なくとも2つを選択し
    た光信号であることを特徴とする請求項1に記載の光信
    号処理回路。
  3. 【請求項3】 前記アレイ導波路格子の自由スペクトル
    レンジが60nm以下であることを特徴とする請求項1
    又は2に記載の光信号処理回路。
  4. 【請求項4】 前記アレイ導波路格子の自由スペクトル
    レンジが45nm以下であることを特徴とする請求項1
    又は2に記載の光信号処理回路。
  5. 【請求項5】 前記アレイ導波路格子の自由スペクトル
    レンジが30nm以下であることを特徴とする請求項1
    又は2に記載の光信号処理回路。
  6. 【請求項6】 前記スラブ導波路の焦点面近傍に溝を設
    けるとともに、該溝の中に結像させた入射光信号を基板
    に対して垂直方向に出射させるための反射鏡を設け、前
    記空間位相フィルタを前記反射鏡によって反射された信
    号光に対して変調を与えられるように配置することを特
    徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の光信号処理回
    路。
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