JP2002267998A - 波長分散補償モジュール、光受信回路、及び光通信システム - Google Patents

波長分散補償モジュール、光受信回路、及び光通信システム

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JP2002267998A
JP2002267998A JP2001063262A JP2001063262A JP2002267998A JP 2002267998 A JP2002267998 A JP 2002267998A JP 2001063262 A JP2001063262 A JP 2001063262A JP 2001063262 A JP2001063262 A JP 2001063262A JP 2002267998 A JP2002267998 A JP 2002267998A
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optical
chromatic dispersion
total reflection
multilayer filter
reflection mirror
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JP2001063262A
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Hitoshi Oguri
均 小栗
Takeshi Sakai
猛 坂井
Yuichi Tanaka
佑一 田中
Hironori Tokita
宏典 時田
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Oyokoden Lab Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Oyokoden Lab Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既設のシングルモード光ファイバを用い、光
信号の損失が少なく、製作の容易な波長分散補償モジュ
ールを提供する。 【解決手段】 面内分布を付けた平面状の多層膜フィル
タ30と;多層膜フィルタ30に対向して配設された第
1の全反射ミラー22と;多層膜フィルタ30を挟ん
で、第1の全反射ミラー22に対向して、第1の全反射
ミラー22に対して傾斜して配設された第2の全反射ミ
ラー40と;多層膜フィルタ30に入射させる信号光を
平行光束にする光コリメータ12を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光通信や光計測、光
情報処理等に用いられる狭帯域の光フィルタを透過する
信号光の、波長による伝搬速度の違いにより信号光波形
に生ずる歪を補償する波長分散補償モジュール、光受信
回路、及び光通信システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に波長分割多重伝送方式(WDM)
では、伝送容量を大きくする為に、波長間隔の高密度化
とビットレートの高速化によって、例えば40Gbps
程度の伝送速度を確保している。他方、波長間隔が高密
度になると隣接波長の間隔が短くなると共に、レーザダ
イオードでは経時変化や環境により中心波長のドリフト
が発生する。この結果、WDMでは隣接波長とクロスト
ークして混信する。そこで、波長を安定化するため波長
制御装置が用いられている。
【0003】また、光ファイバでは波長による伝搬速度
の違いにより信号間で遅延が生じる。図5は光ファイバ
でオンオフ信号を伝送する場合の波形歪を説明する波形
図で、(A)は入力信号、(B)は光ファイバで伝送さ
れた出力信号を示してある。光ファイバでオンオフ信号
を伝送する場合に、オン信号の波形歪によるジッタ信号
はオフ信号にとってノイズとして作用する。すると、ノ
イズによりビットエラーが発生するが、ビットレートの
高速化によってビットエラーレートがさらに増大する。
そこで、波形歪を補正するため波長分散補償モジュール
が用いられている。
【0004】波長分散補償モジュールには、ファイバブ
ラッググレーティング(FBG)、エタロン、逆分散フ
ァイバの3通りが存在している。図6はFBGを用いた
波長分散補償モジュールの構成図である。FBG2に
は、波長λ1、λ2、…、λnで反射するための回折格
子が作りこまれている。そして、FBG2とサーキュレ
ータ3を用いて、波長毎に反射位置が異なることを利用
して、光ファイバ1の波長による伝搬速度の違いによる
遅延量を補償するものである。
【0005】エタロンを利用した波長分散補償モジュー
ルは、エタロンを用いて入射角度で波長分散補償するも
のである(例えばM. Shirasaki; “Large angular disp
ersion by a virtually imaged phased array and its
application to a wavelength demultiplexer”; OPTIC
S LETTERS/ Vol.21 p.366/ March 1,1996; Optical Soc
iety of America参照)。また、逆分散ファイバを利用
した波長分散補償モジュールは、通常の光ファイバとは
分散特性が逆のものを光ファイバに接続するものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら以上のよ
うな従来の波長分散補償モジュールでは、以下の課題を
有している。 図7はFBGの信号光伝搬特性の説明図で、(a)は
反射特性、(b)は群遅延時間特性、(c)は群遅延時
間リップル特性を示している。FBGでは、格子を構成
する材料に屈折率のゆらぎがあり、遅延時間にリップル
が重畳して分散補償が不完全になる。また、分散補償量
は、FBGでは長さがメータオーダで必要となり、モジ
ュール寸法が大きくなる。FBGの長さは一般に数cm
であり、メータオーダのFBGを製作するのは困難であ
る。 エタロンでは、対向光学系のレンズが異なる為、結合
損が大きく8dB以上になる。 逆分散ファイバでは、通常の光ファイバに比較して高
価であり、通信システムの価格を高騰させる要因となっ
ている。また既設のシングルモード光ファイバには逆分
散ファイバを接続することは出来ず、波長分散補償でき
ない。
【0007】本発明は上述する課題を解決するもので、
既設のシングルモード光ファイバを用い、光信号の損失
が少なく、製作の容易な波長分散補償モジュール及びそ
のような波長分散補償モジュールを用いた光受信回路を
提供することを目的にしている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の波長分散補償モジュールは、例えば図1に
示すように、面内分布を付けた平面状の多層膜フィルタ
30と;多層膜フィルタ30に対向して配設された第1
の全反射ミラー22と;多層膜フィルタ30を挟んで、
第1の全反射ミラー22に対向して、第1の全反射ミラ
ー22に対して傾斜して配設された第2の全反射ミラー
40と;多層膜フィルタ30に入射させる信号光を平行
光束にする光コリメータ12を備えることを特徴とす
る。
【0009】ここで、対向して配設とは、多層膜フィル
タ30と第1の全反射ミラー22との間で光を反射しあ
うような配置であればよい。典型的には、多層膜フィル
タ30と第1の全反射ミラー22とは略平行に配設す
る。略平行とは、多層膜フィルタ30は面内分布がある
ため厳密には台形であるが、面内分布による膜厚の変化
は例えば数nmと入射光の波長である約1500nmと比較
して格段に小さいため、多層膜フィルタ30の面内分布
も考慮して第1の全反射ミラー22が多層膜フィルタ3
0と実質的に平行に配設されているという意味である。
【0010】このように構成すると、多層膜フィルタは
光コリメータによって平行光束とされた入射光のうち特
定の波長の光を透過し、その他の波長の光を反射する。
入射光は多層膜フィルタを透過して、第2の全反射ミラ
ーに典型的には垂直に入射する。多層膜フィルタを透過
した光は第2の全反射ミラーで反射されて再び多層膜フ
ィルタに戻る。又、多層膜フィルタで反射された光は第
1の全反射ミラーで反射され、傾斜から定まる多層膜フ
ィルタの前回の入射位置とは異なる位置に入射する。面
内分布があるので、多層膜フィルタはここでは別の波長
の光を透過する。ここで多層膜フィルタを透過した波長
帯域の光は、第2の全反射ミラーで反射されて、再び多
層膜フィルタを透過して第1の全反射ミラーで反射され
る。そして、多層膜フィルタを透過した波長帯域の光
は、入射とは逆の光路を経て多層膜フィルタの入射光の
方向に戻る。このようにして、入射位置とグリッド波長
を多層膜フィルタの面内分布で一致させることにより、
波長毎に光路長を異ならせることができる。
【0011】好ましくは、多層膜フィルタ30は屈折率
が1.3〜4.0の光学的等方体の基板上に形成されて
いる構成としている。光学的等方体には、シリコン単結
晶のような等方性結晶や、ガラスのようなアモルファス
がある。光学的等方体を用いるので、偏波分散がない。
屈折率はアモルファスでは1.3〜2.2、等方性結晶
では2.15〜4.0になる。等方性結晶の場合はアモ
ルファスに比較して屈折率が高いので、アモルファスに
比較して基板の厚さを薄くでき、小型化に寄与すると共
に、光路長が短くなるため損失が減る。更に、好ましく
は、第2の全反射ミラーの第1の全反射ミラーに対する
傾斜角度は0.5〜10度である構成とすると良い。さ
らに好ましい傾斜角度は0.5〜1.0度、最も好まし
くは約0.7度である。
【0012】上記目的を達成する為に、本発明による光
受信回路は、図4に示すように、レーザ光源LDの発生
したレーザ光を光ファイバ62を経由して受信する光受
信回路82において;受信するレーザ光を波長分散補償
する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の波長分散
補償モジュール78と;前記波長分散補償されたレーザ
光から特定波長帯域のレーザ光を抽出する光フィルタ回
路80とを具備する。このように構成すると、レーザ光
源から送信されレーザ光は光ファイバでの伝搬に伴って
信号波形が歪むが、波長分散補償モジュールによって波
長分散補償を行って波形整形が行なわれる。これによ
り、光フィルタ回路80では所望の特定波長帯域のレー
ザ光を抽出でき、光受信回路82では受信光量が大き
く、かつノイズの少ない光信号を受信できる。
【0013】上記目的を達成する為に、本発明による光
通信システムは、図4に示すように、レーザ光を光ファ
イバ62を経由して光受信回路82で受信する光通信シ
ステムにおいて;前記レーザ光を伝送する前記光ファイ
バ62と;前記光ファイバ62で伝送されたレーザ光を
波長分散補償する請求項1乃至請求項4のいずれかに記
載の波長分散補償モジュール78と;前記波長分散補償
されるレーザ光を受信する前記光受信回路82とを具備
する。このように構成すると、光通信システムではレー
ザ光源LDから送信されたレーザ光が光ファイバ62で
の伝搬に伴って信号波形歪が発生しても、波長分散補償
モジュール78により波長分散補償が行われて、SNR
(信号対ノイズ比)が改善され、光受信回路82では誤
りなく光受信信号を受信でき、光通信が誤りなく確実に
行える。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。なお、各図において互い
に同一あるいは相当する部材には同一符号または類似符
号を付し、重複した説明は省略する。図1は本発明の波
長分散補償モジュールの実施の形態を説明する構成図で
ある。図中、コリメータ12は、光ファイバ10から放
射される信号光を平行光束に調整する。第2の全反射ミ
ラーとしての基準ミラー40は、コリメータ12の光軸
に対して垂直に位置している。基板20は透光性を備え
る材料よりなる平行平板で、コリメータ12側の面には
第1の全反射ミラーとしての傾斜ミラー22が蒸着さ
れ、基準ミラー40側の面には面内分布を付けた多層膜
フィルタ30が形成されている。基板20の材料として
用いられる物質は、例えばシリカガラスSiO2(屈折率
n=1.46)、高屈折率ガラス(n≒1.8〜2.2)のような
アモルファスに分類される材料と、シリコン結晶Si
(n=3.46)、ゲルマニウムGe(n≒4.0)のような
単結晶に分類される材料とがある。光学的には、屈折率
nと基板20の厚さdの積ndは一定であれば良いの
で、屈折率nが高い材料であれば厚さdを薄くすること
ができる。なお、図中、多層膜フィルタ30は、誇張し
て厚い楔状に示されているが、実際には基板20に対し
て極く薄い膜である。
【0015】また基板20のコリメータ12側には、傾
斜ミラー22の蒸着面が形成されていない部分(非蒸着
面)として信号光束が入射するのに十分な大きさの円形
の開口部22aが設けられている。開口部22aはコリ
メータ12側から入射した信号光が基準ミラー40で反
射して、コリメータ12側に再び出射できる構造として
いる。基準ミラー40に対して傾斜ミラー22は、所定
の傾斜角θで取付けられている。蒸着面が形成されてい
ない部分としては、円形の開口部に限らず、蒸着面の一
部をかなり大きく非蒸着としてもよい。なお開口部22
aは非蒸着面に代えて、反射防止膜を付けるとさらに好
ましい。
【0016】基準ミラー40に対する傾斜ミラー22の
傾斜角θは次のように定まる。多層膜フィルタでは、傾
斜角度を例えば10°以上とすれば偏光成分(S波、P
波)による透過中心波長の相違が無視できない程度に大
きくなる。又この多層膜フィルタの透過帯域幅(半値全
幅)も偏光成分(S波、P波)によって夫々異なり、P
波では傾斜角度θによって大きく変化することとなる。
又透過率も傾斜角度θによって変化する。更に信号光を
多層膜フィルタに垂直(傾斜角度θ=0°)に入射させ
た場合には、光が光源側に反射される。従ってその影響
を避けるための対策、例えば0°近傍での使用を避けた
り、光アイソレータを挿入する等の対策が必要となる。
そこで、基準ミラー40に対する傾斜ミラー22の傾斜
角θは0.5〜10度である構成とすると良く、さらに
好ましい傾斜角度は0.5〜1.0度、最も好ましくは
約0.7度である。
【0017】図2は多層膜フィルタの面内分布を説明す
る構成図で、(a)は断面図、(b)は波長λに対する
透過率分布、(c)は要部拡大図である。本実施の形態
による多層膜フィルタ30は、例えばガラスのようなア
モルファス、シリコンのような等方性結晶等の基板20
上に物質を多層蒸着させて構成している。この基板20
は使用する波長の範囲で光の透過率が高い材質を用いて
構成するものとし、例えば石英ガラスのような誘電体や
シリコンのような半導体が用いられる。そしてこの基板
20の一方の面には、使用する波長での光の透過率の高
い蒸着物質、誘電体、半導体等の多層膜フィルタ30を
蒸着する。ここで多層膜フィルタ30は図2(a)のよ
うに下部多層膜31、キャビティ層32及び上部多層膜
33から形成されるものとする。又基板20の他方の面
には傾斜ミラー22を蒸着によって形成する。
【0018】ここで多層膜フィルタ30、傾斜ミラー2
2の蒸着材料として用いられる物質は、例えばSiO
2(屈折率n=1.46)、Ta25(n=2.15)、Al2
3、TiO2(n≒2.3)等のアモルファスである。又本実
施の形態では多層膜フィルタ30は低屈折率膜と高屈折
率膜とを交互に積層して蒸着させている。ここで下部多
層膜31と上部多層膜33における膜厚dと透過波長
λ、屈折率nとは以下の関係となるようにする。 λ=4nd・・・(1) 即ち下部多層膜31と上部多層膜33における各層は、
その光学厚さをλ/4とする。また、キャビティ層32
の膜は、その光学厚さをλ/2とする。そして低屈折率
膜と高屈折率膜とを交互に積み重ねる回数を増やすこと
によって、透過率のピークの半値全幅(FWHM)を小
さくしている。
【0019】さて本実施の形態による多層膜フィルタ3
0の下部多層膜31と上部多層膜33においては、透過
波長と膜厚とが式(1)の関係を有することから、基板
20を細長い板状の基板とし、この上部の多層膜フィル
タ30の光学厚さを連続的に変化させて透過波長λを異
ならせるようにしている。そしてこの多層膜フィルタ3
0の透過波長をλa〜λc(λa<λc)とし、その中
心点(x=xb)での透過波長をλbとする。上下の多
層膜31、33は夫々第1の屈折率n1の第1の蒸着物
質膜とこれより屈折率の低い第2の屈折率n2の第2の
蒸着物質膜とを交互に積層して構成する。
【0020】即ち図2(a)の円形部分35の拡大図を
図2(c)に示すように、夫々の膜厚を連続的に変化さ
せている。図2(c)において、下部多層膜31の低屈
折率膜を31L、高屈折率膜を31Hとし、上部多層膜
33の高屈折率膜を33H、低屈折率膜を33Lとす
る。そして図2(a)のフィルタのx軸上での端部xa
の透過波長λa に対して、夫々低屈折率膜及び高屈折率
膜で上記の式(1)が成り立つように設定する。又x
b、xcでの透過波長λb、λcに対しても、その波長
λb、λcで式(1)が成り立つようにその膜厚を設定
する。そしてその間の膜厚も波長の変化が直線的に変化
するように設定する。従って層の各膜厚はx軸上の位置
xa〜xb〜xcにつれて連続的に変化し、x軸の正方
向に向かって膜厚が大きくなる。
【0021】例えばλaを1540nm、λcを1560nm、λb
を1550nmとし、例えば第1の屈折率n1が2.15のTiO2
と、第2の屈折率n2が1.46のシリカガラスSiO2とを
交互に積層するものとすると、上部及び下部の低屈折率
膜31L、33Lは左端(x=xa)では膜厚dは263.
7nm、右端(x=xc)では膜厚は267.1nmとなる。又屈
折率nの2.15のTiO2を高屈折率膜31H、33Hとし
て用いる場合には、高屈折率膜31H、33Hの膜厚は
x=xaでは179nm、x=xcでは181.4nmとなる。又屈
折率nが3.46のシリコン結晶Siを高屈折率膜31H、
33Hとして用いた場合には、高屈折率膜31H、33
Hの膜厚はx=xaでは111.7nm、x=xcでは112.7nm
となる。
【0022】ここで膜厚のx軸方向での変化をxの関数
d(x)とし、波長λをxの関数λ(x)とし、屈折率
もxの変数n(x)とすると、これらの関係は式
(2)、(3)で表される。ここでx0は任意の位置、
例えばx=xaの位置である。又Aは定数である。 λ(x)=4n(x)d(x)・・・(2)
【数1】
【0023】尚本実施の形態では上部及び下部の多層膜
31、33の膜厚を制御することによってその光学厚さ
を制御するようにしているが、膜厚は同一とし屈折率を
基板のx軸方向に沿って変化させて光フィルタを構成す
ることも可能である。又同一直線上に光学厚さを連続し
て変化させる必要はなく、基板の任意のラインに沿って
膜厚や屈折率等の光学厚さを変化させるようにしてもよ
い。
【0024】このように構成された装置の動作を次に説
明する。図3は図1の装置における信号光の多重反射の
説明図である。傾斜ミラー22と多層膜フィルタ30間
の多重反射において光路長が徐々に変化している。多層
膜フィルタ30では所定の波長の光を透過するので、基
準ミラー40では波長λ1、λ2、…、λnの光が異な
る位置で反射される。この関係は、FBGについて図6
で説明した関係と同様になっている。基準ミラー40が
波長λ1を反射する位置は、コリメータ12から信号光
が垂直に入射する位置Rとなっている。基準ミラー40
が波長λ2を反射する位置は、位置Rに対して、傾斜ミ
ラー22と基準ミラー40の延長線の交点O側にずれて
いる。
【0025】図4は本発明の一実施の形態を示す波長分
割多重伝送システムの構成ブロック図である。光信号の
送信回路として、レーザ光源としてのn個並列に設けら
れたレーザーダイオードLD52、レーザ光の変調や符
号化を行ない光信号を生成するモジュレータMOD5
4、並びに各モジュレータMODからの光信号の多重通
信信号を生成するマルチプレクサMUX56を備えてい
る。
【0026】送信回路から送信される光信号は、光ファ
イバ62並びに光ファイバ62の途中に挿入された光増
幅器64によつて光受信回路まで伝送される。光受信回
路は、AWG74、バッファアンプ76、本発明の実施
の形態である波長分散補償モジュール78、狭帯域光フ
ィルタ80、光受信回路82を有している。AWG74
はアレイ導波路(Aray Waveguide)で、低損失で低クロ
ストークかつ中心波長近傍で平坦な波長損失特性を有す
るものがよい。狭帯域光フィルタ80は特定の波長帯域
のみを透過し、他の波長帯域はノイズとして減衰させる
もので、例えば1530nm乃至1560nmの波長帯
域で0.8nm間隔で伝送チャネルが設けられている場
合には、この1チャネルに割り当てられている波長帯域
の光信号のみを減衰させることなく透過する。光受信回
路82は受信した光信号を電気信号に変換するフォトダ
イオードのようなO/E変換器を用いており、光信号に
重畳された信号成分を後段の信号処理回路(図示せず)
に送る。
【0027】このように構成された波長分割多重伝送シ
ステムにおいて、光信号の送信回路から送信された光信
号は光ファイバ62での伝播によつて波形が歪む。しか
しながら、波長分散補償モジュール78によって波形歪
みが矯正される。また、各帯域の光信号は狭帯域光フィ
ルタ80によつて個別の帯域に分離して抽出されて、信
号受信器82に送られる。
【0028】
【発明の効果】以上のように、本発明の波長分散補償モ
ジュールによれば、面内分布を付けた平面状の多層膜フ
ィルタと、前記多層膜フィルタに対向して配設された第
1の全反射ミラーと、前記多層膜フィルタを挟んで、前
記第1の全反射ミラーに対向して、前記第1の全反射ミ
ラーに対して傾斜して配設された第2の全反射ミラー
と、前記多層膜フィルタに入射させる信号光を平行光束
にする光コリメータを備える構成としたので、既設のシ
ングルモード光ファイバで使用することが容易であると
共に、多層膜フィルタにおける光信号の損失が少なくな
っている。また、多層膜フィルタと2枚の全反射ミラー
があればよいので、製作も容易である。
【0029】また本発明の光受信回路によれば、光受信
回路で受信するレーザ光を波長分散補償する波長分散補
償モジュールと、前記波長分散補償されるレーザ光から
特定波長帯域のレーザ光を抽出する光フィルタ回路とを
具備する構成としたので、レーザ光源から送信されレー
ザ光は光ファイバでの伝搬に伴って信号波形が歪むが、
波長分散補償モジュールによって波長分散補償を行って
波形整形が行なわれる。これにより、光フィルタ回路で
は所望の特定波長帯域のレーザ光を抽出できる。
【0030】また本発明の光通信システムによれば、レ
ーザ光を光ファイバを経由して光受信回路で受信する光
通信システムにおいて、光ファイバで伝送されたレーザ
光を波長分散補償する波長分散補償モジュールと、この
波長分散補償されるレーザ光を受信する光受信回路を設
けたので、レーザ光に光ファイバでの伝搬に伴って信号
波形歪が発生しても、波長分散補償モジュールにより波
長分散補償が行われて、SNR(信号対ノイズ比)が改
善され、光受信回路では確実に信号を受信でき、光通信
が誤りなく確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の波長分散補償モジュールの実施の形
態を説明する構成図である。
【図2】 多層膜フィルタの面内分布を説明する構成図
である。
【図3】 図1の装置における信号光の多重反射の説明
図である。
【図4】 本発明の一実施の形態を示す波長分割多重伝
送システムの構成ブロック図である。
【図5】 光ファイバでオンオフ信号を伝送する場合の
波形歪を説明する波形図である。
【図6】 FBGを用いた波長分散補償モジュールの構
成図である。
【図7】 FBGの信号光伝搬特性の説明図である。
【符号の説明】
10 光ファイバ 12 コリメータ 20 基板 22、40 全反射ミラー 30 多層膜フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂井 猛 千葉県船橋市豊富町585 住友大阪セメン ト株式会社新規技術研究所内 (72)発明者 田中 佑一 埼玉県戸田市新曽南3丁目1番23号 株式 会社応用光電研究室内 (72)発明者 時田 宏典 埼玉県戸田市新曽南3丁目1番23号 株式 会社応用光電研究室内 Fターム(参考) 2H048 GA01 GA04 GA13 GA23 GA24 GA34 GA62 5K002 AA06 BA21 CA01 CA12 DA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 面内分布を付けた平面状の多層膜フィル
    タと;前記多層膜フィルタに対向して配設された第1の
    全反射ミラーと;前記多層膜フィルタを挟んで、前記第
    1の全反射ミラーに対向して、前記第1の全反射ミラー
    に対して傾斜して配設された第2の全反射ミラーと;前
    記多層膜フィルタに入射させる信号光を平行光束にする
    光コリメータを備える;波長分散補償モジュール。
  2. 【請求項2】 前記多層膜フィルタは屈折率が1.3〜
    4.0の光学的等方体の基板上に形成されている、請求
    項1に記載の波長分散補償モジュール。
  3. 【請求項3】 前記第2の全反射ミラーの前記第1の全
    反射ミラーに対する傾斜角度は0.5〜10度である、
    請求項1又は請求項2に記載の波長分散補償モジュー
    ル。
  4. 【請求項4】 レーザ光源の発生したレーザ光を光ファ
    イバを経由して受信する光受信回路において;受信する
    レーザ光を波長分散補償する請求項1乃至請求項3のい
    ずれかに記載の波長分散補償モジュールと;前記波長分
    散補償されたレーザ光から特定波長帯域のレーザ光を抽
    出する光フィルタ回路とを具備する;光受信回路。
  5. 【請求項5】 レーザ光を光ファイバを経由して光受信
    回路で受信する光通信システムにおいて;前記レーザ光
    を伝送する前記光ファイバと;前記光ファイバで伝送さ
    れたレーザ光を波長分散補償する請求項1乃至請求項3
    のいずれかに記載の波長分散補償モジュールと;前記波
    長分散補償されるレーザ光を受信する前記光受信回路と
    を具備する;光通信システム。
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