JP2002257168A - ブレーキ用パッドまたはディスク、およびブレーキ - Google Patents
ブレーキ用パッドまたはディスク、およびブレーキInfo
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Abstract
り簡便な方法により製造可能であって、耐磨耗性に優れ
たブレーキ用パッドまたはディスク、および同パッドか
らなるブレーキの提供。 【解決手段】 複合炭素繊維であるC/Cコンポジット
または所望の形状にC/Cコンポジットを成形して製造
した成形体の表面に、耐磨耗性に優れた、少なくとも炭
化珪素と、所望により含有されていてもよい金属珪素と
からなる複合材部を所定の割合で配置させて形成するこ
とにより製造されるブレーキ用パッドまたはディスク、
および同パッドからなるブレーキにより達成。
Description
性、耐酸化性等に優れた新規ブレーキ用パッドまたはデ
ィスクに関する。特に、大型自動車等や航空機などの大
型輸送機械の停止または速度制御の際に使用する速度制
御装置に連動して装着されているブレーキ用パッドまた
はディスク、および同ブレーキ用パッドまたはディスク
を使用して構成されるブレーキに関する。
車等や航空機などの大型輸送機械において装着されてい
る制動装置で使用されるブレーキ用パッドまたはディス
クとしては、現在は高温下での摩擦係数が極めて高く、
軽量であり、熱変形を生じない材料であるカーボンファ
イバーインコンポジット(以下C/Cコンポジットと称
することもある)が広く使用されている。
急停止のための過大荷重下でのブレーキ制動、長時間に
わたるブレーキ制動、高頻度でのブレーキ制動等を繰り
返す必要に迫られることがあり、C/Cコンポジットを
摩擦材として使用した制動装置の場合には、摩擦材が空
気中で高温下に長時間曝されることとなる。従って、摩
擦材は基本的には高温で燃焼しやすい炭素繊維をその主
成分とするものであるために、このような条件下では、
酸素と反応して、著しく磨耗するだけでなく、発煙して
大事故寸前に至るケースもあると報告されている。しか
しながら、高温下における摩擦力の高さ、ブレーキに装
着の際に要求される柔軟性などの性能の点から、それに
代わる原料を見い出せていないのが現状である。
あるC/Cコンポジットが有する優れた耐衝撃性、軽量
等の優れた点を保持しながら、高温が発生することを余
儀なくされる大型輸送機械のブレーキ用摩擦材として使
用しても、酸素存在下でもその磨耗を著しく軽減でき、
結果として、頻繁に交換作業することを必要としないブ
レーキ用摩擦材として、少なくとも炭素繊維の束と炭素
繊維以外の炭素成分とを含有するヤーンが層方向に配向
しつつ三次元的に組み合わされ、互いに分離しないよう
に一体化されているヤーン集合体と、このヤーン集合体
中で隣り合う前記ヤーンの間に充填されている、Si−
SiC系材料からマトリックスとを備えている繊維複合
材料からなることを特徴とするブレーキ用部材を特開2
000−81062公報において提案している。
材は、C/Cコンポジットからなる母材にSi−SiC
材料からなる層を配したセラミックス・金属・炭素から
なる複合材料を用いて構成される。このSi−SiC材
料は、繊維複合材料のマトリックス層として形成されて
いるので、繊維の積層方向での強度が増し、剥離を防止
でき、ひいてはブレーキ用部材に耐久性を付与すること
ができる。しかし、このSi−SiC材料からなるマト
リックスを形成させるに際しては、金属珪素をC/Cコ
ンポジットである母材に含浸させ、次いで、所望の条件
下で含浸物を焼成することを要する。
C/Cコンポジットに金属珪素を含浸させるには、温度
・圧力・雰囲気を微妙に制御する特殊な設備や、かなり
の熟練と時間を要することから、さらに改良が望まれて
いる。また、母材そのものも、上述のような特別な構造
体であることから必ずしも、安価とはいえないことか
ら、より安価に入手可能な母材を利用し、用途、使用態
様等に応じてより広い製品群から所望とする性能を発揮
できる製品を選択できる様にするための品揃えのため
に、用途、使用態様等に応じた設計性能を有する複合材
料の出現が望まれているのが現状である。
明細書においては、アルミナ製の繊維、窒化珪素製の繊
維、炭素繊維などを基材とし、これにポリマー由来のセ
ラミックを配してなるブレーキ用パッドまたはディス
ク、および同パッドを使用したブレーキが提案されてい
る。しかし、製造方法についての詳しい記載は同明細書
にはないので、正確な判断はできないが、必ずしも、容
易に製造できるかについては若干の不安があるだけでな
く、その性能評価に関するデータの記載もないことから
どの程度の性能を発揮できるかについての判断材料を欠
くので、その有用性を評価できない。
うな現状に鑑みてなされたもので、C/Cコンポジット
を母材として利用し、より簡便な方法により製造可能で
あって、耐磨耗性に優れたブレーキ用パッドまたはディ
スク、および同パッドからなるブレーキを提供すること
を目的とする。
的を達成するために種々検討した結果、複合炭素繊維で
あるC/Cコンポジットまたは所望の形状にC/Cコン
ポジットを成形して製造した成形体の表面に、耐磨耗性
に優れた、少なくとも炭化珪素と、所望により含有され
ていてもよい金属珪素とからなる複合材部を所定の割合
で配置させて形成することにより製造されるブレーキ用
パッドまたはディスク、および同パッドからなるブレー
キが、耐磨耗性に優れていることを見出して本発明を完
成させたものである。
たいわゆる焼結体をも含むものであることはいうまでも
ない。また、複合材部とは、少なくとも炭化珪素と、所
望により含有されていてもよい金属珪素とからなり、母
材であるC/Cコンポジットの表面と同一か、場合によ
っては、若干飛び出して形成されているものをいう。母
材表面に形成された形状は、摩擦力を発揮できればよ
く、特別に制限は無いが、通常は、円形、楕円形、多角
形、所謂星型などの何れでもよく、加工性などの点か
ら、円形が好ましい。複合材部が、母材表面から若干飛
び出して形成されている場合の、飛び出している部分の
高さは、通常は、0.05mm〜1.5mm程度、好ま
しくは、0.1mm〜1.0mm程度である。また、各
複合材部の大きさは、円形の場合でその直径が0.5c
m〜2.5cm程度、好ましくは、0.7〜1.5cm
程度であればよい。
クは、炭素繊維と炭素とから構成される母材と、少なく
とも炭化珪素と、所望により含有されていてもよい金属
珪素とからなる複合材料であって、少なくとも炭化珪素
と、所望により含有されていてもよい金属珪素とから構
成される複合材部が、パッドの両表面に所望の大きさで
点在して形成されており、該複合材部がパッドの表面積
の5%〜50%を占める。5%未満では、充分なブレー
キ制動が発揮できず、また、50%を超えて複合材部を
形成させても、金属珪素を大量に使用しなければならな
いことから、コスト高となるだけでなく、ブレーキ制動
の効果に積極的な貢献は認められにくい。
で、外周部において疎となるように形成されており、パ
ッドの外周部からパッドの半径の2分の1の距離までの
表面における複合材部の占める面積が全複合材部の面積
の最大50%、最小で15%となるように構成させるこ
とが好ましい。なお、パッドの外周部からパッドの半径
の2分の1の距離までの表面における複合材部の占める
面積が全複合材部の面積の50%を超すことは、必ずし
も、外周部の強度低下という問題が発生することがある
ので好ましくない。また、車輪または車軸との凸部と嵌
合することによりブレーキを制動させることとなるブレ
ーキ用パッドまたはディスクに設けられている切り欠き
部近傍には、他の部分と比較して、機械的強度が高いこ
とが要求されるので、さらにブレーキ用パッドまたはデ
ィスクの切り欠き部近傍には実質的に複合材部が形成さ
れていないことが好ましい。なお、切り欠き部近傍と
は、パッドの大きさや切り欠き部そのものの大きさによ
っても異なるが、切り欠き部のそれぞれの端部から少な
くとも5mm迄の距離をいう。
た脚部を有し、かつ、該脚部は少なくとも炭化珪素と所
望により含有されていてもよい金属珪素からなることを
が好ましい。さらに、該脚部は一部が中空である管状体
であり、ブレーキ用パッドまたはディスクの両表面から
それぞれ延びて形成されており、一方の表面から延びて
形成された管状体である脚部は、他の表面から延びて形
成されている管状体である脚部とは、相互に互い違いと
なるような位置に設けられており、かつ、その先端部
は、それぞれ、他端から延びて形成されている管状体の
脚部の先端部を超えて、ブレーキ用パッドまたはディス
クを構成する母材を貫通しない長さで反対側の表面に向
かって延びていることが好ましい。
ィスクは、常温における動摩擦係数が0.05〜0.6
であることが好ましく、さらに、比磨耗量が0.0〜
0.3mm3/(N・km)であることが好ましい。さ
らにまた、大気中で10℃/分の割合で昇温したときに
5%質量減少が生じる温度が600℃以上であることが
好ましい。
またはディスクは、典型的には、図1(A)および
(B)に模式的に示すように、C/Cコンポジットから
なる母材4と、該母材4上に所望とする割合において点
在する複合材部2と、母材内部に侵入して形成された脚
部3(図示せず)とからなる複合材料1である。そして
その脚部は、図2に示すように、その先端は少なくとも
母材内部にまで達している、少なくとも炭化珪素と、所
望により含有されていてもよい金属珪素から形成され
た、少なくとも一部が中空である管状体の脚部3を形成
していてもよい複合材料1である。
ィスクは、本出願人による平成12年12月8日出願に
かかる特願2000−374972記載の方法により製
造することができる。従って、同出願の内容をここに参
考までに引用することとする。なお、本発明に係るブレ
ーキ用パッドまたはディスクの製造においては、母材ま
たは同母材からの成形体に対して、焼成により所望の
量、即ち、該複合材部がパッドの表面積の5%〜50%
を占めるような充分な密度で金属珪素を含浸させた後、
焼成し、このものを所望とする大きさ、形状に加工する
ことにより、製造される。さらに好ましくは、該複合材
部が中心部において密で、外周部において疎となるよう
に形成されており、パッドの外周部からパッドの半径の
2分の1の距離までの表面における複合材部の占める面
積が全複合材部の面積の最大50%となるように金属珪
素を配置させることが好ましい。もちろん、切り欠き部
近傍には、実質的に複合材部を設けないようにする。即
ち、パッドの大きさや切り欠き部そのものの大きさによ
っても異なるが、切り欠き部のそれぞれの端部から少な
くとも5mm迄の距離の範囲内には、複合材部を設けな
いことが好ましい。
部を形成させる場合には、ペレット状の金属珪素の配置
場所、配置量を調整することで、母材表面を複合材部が
所定の面積を占めるように形成させればよい。
CコンポジットまたはC/Cコンポジットから常法に従
い調製した成形体に、該複合材部がパッドの表面積の5
%〜50%を占めるような充分な密度で金属珪素を含浸
させた所望の大きさと深さを有する微細な孔隙を形成
し、この微細な孔隙に金属珪素を含浸させ、次いで、焼
成して目的とするブレーキ用パッドまたはディスクを形
成させることにより製造してもよい。
常、直径0.2〜2.0mm、好ましくは0.3〜1.
0mmの微細な孔隙を穿削できる方法であれば、どの様
な方法も使用可能である。即ち、通常、微細な孔隙の穿
削に採用される、ドリルによる穿削、レーザーによる穿
削、ドリルでの細孔加工などの方法が挙げられるが、作
業効率、得られた微細な孔隙の直線性等の点からドリル
による穿削が好ましい。なお、使用するドリルとして
は、穿削性能の点から、ダイヤモンドコーティングドリ
ルが好適に使用され、加工時の回転数は3600rpm
以上が好ましい。通常は、微細な孔隙の深さは、母材表
面から測定して、少なくとも10mm、好ましくは15
mm程度に達していればよい。場合によっては、貫通孔
を形成していてもよいことはいうまでもない。
うに、焼成により所望とする量で複合材部を両表面に形
成するに充分な密度であればよく、通常は、100cm
2当たり5〜50個、好ましくは、16〜36個程度
を、所望とする間隔、好ましくは各微細な孔隙相互間の
間隔が均等な位置となるように設けられる。もちろん、
所望の大きさに調製したC/CコンポジットまたはC/
Cコンポジットから常法に従い調製した成形体の表面
に、パッドの中心からパッドの外周部までのパッドの半
径の2分の1の距離までの表面における複合材部の占め
る面積が全複合材部の面積の最大50%となるように金
属珪素を配置し、圧力、温度を制御して含浸させ得るよ
うに形成されていることが好ましい。
積の5%〜50%を占めるような充分な密度となるよう
に配置させることが必要であり、好ましくは、パッドの
外周部からパッドの半径の2分の1の距離までの表面に
おける複合材部の占める面積が全複合材部の面積の最大
50%となるように形成する必要があるが、各表面から
穿削する微細な空隙の位置は、上記の条件を充足できる
限り、特に制限はないが、各表面から穿削する微細な空
隙の位置が千鳥掛けとなるように構成することが好まし
い。
本発明に係るブレーキ用パッドまたはディスクの複合材
部においては、ほぼ純粋に珪素が残留している珪素相か
ら、ほぼ純粋な炭化珪素相に至るまで、いくつかの相異
なる相を含み得る。つまり、複合材部は、典型的には珪
素相と炭化珪素相とからなるが、珪素相と炭化珪素相と
の間に、珪素をベースとして炭素の含有量が傾斜的に変
化している珪素と炭化珪素の共存相、換言すれば、Si
−SiC相を含み得る。従って、複合材部とは、炭素の
濃度が0mol%から50mol%まで変化している材
料から形成されたものをいうこととなる。
分な強度を有する脚部が形成された複合材部を形成する
には、ドリルなどにより所望とする大きさの微細な空隙
を所望とする位置に所望量形成し、この微細な空隙に金
属珪素を含浸させればよい。微細な孔隙内においても、
シリコンが同孔隙の周囲に存在する炭素繊維を構成する
炭素原子および/または微細な孔隙内で周囲に存在する
炭素繊維の表面に残存している遊離炭素原子と反応し、
炭化珪素が生成し、微細な孔隙には、母材内部深くまで
達した炭化珪素と所望により含有されていてもよい金属
珪素とから形成された少なくとも一部が中空の管状体で
ある脚部が形成されることとなる。炭化珪素と所望によ
り含有されていてもよい金属珪素とから形成された少な
くとも一部が中空の管状体の脚部は、いわゆるアンカー
効果を発揮する。即ち、少なくとも一部が中空の管状体
であるこの脚部は、複合材部がC/Cコンポジットまた
はその成形体の表面に突き出て形成されている場合で
も、この複合材部に予測を遙かに超えた機械的衝撃が加
えられても、母材から剥離することを防止できるという
効果を発揮するものである。
コンが微細な孔隙の周囲に存在する炭素繊維を構成する
炭素原子および/または微細な孔隙内で周囲に存在する
炭素繊維の表面に残存している遊離炭素原子との反応に
より生成する炭化珪素と未反応の状態で残存することも
ある金属珪素が、微細な空隙を完全に塞ぐ量には達しな
いために、一部に中空部が残存することを意味するもの
である。なお、炭化珪素と所望により含有されていても
よい金属珪素とから形成された少なくとも一部が中空で
ある管状の脚部とは、主として炭化珪素から形成された
管状体で、一端は母材表面に露出して形成されている複
合材部に接合し、他端は少なくとも母材内部深くまで達
して形成されており、その管状体の平均直径は、微細な
孔隙の径によっても左右されるが、通常は、約0.3m
m〜約1.0mm程度で、その全長は、母材の厚さによ
り異なるが、通常は、少なくとも10mm、好ましく
は、少なくとも15mm程度である。もちろん、上述の
ように貫通孔を形成していてもよい。
によればよい。C/Cコンポジットまたは成形体と金属
珪素を、1100〜1400℃の温度、0.1〜10h
Paの圧力に1時間以上保持し、かつその際、C/Cコ
ンポジットまたは成形体と金属珪素の合計質量1kg当
たり不活性ガスを0.1NL以上、好ましくは1NL以
上、さらに好ましくは10NL以上流すように制御する
ことが望ましい。C/Cコンポジットまたは成形体へ金
属珪素を溶融、含浸する際には、雰囲気温度を1450
〜2500℃、好ましくは1700〜1800℃に昇温
する。この場合、焼成炉内圧は0.1〜10hPaの範
囲が好ましい。
レーキ用パッドまたはディスクは、常温での動摩擦係数
が0.05〜0.6と大きく、また、耐クリープ性、耐
スポーリング性を有する炭化珪素と所望により含有され
ていてもよい金属珪素とからなる複合材部がパッドの表
面に形成されているので、C/Cコンポジットの有する
低耐磨耗性を克服することができ、酸素存在下において
高温下に余儀なく曝される、例えば、ブレーキ用パッド
またはディスクとしても使用する場合には、その磨耗量
は、500℃で1.0%/時間以下、より好ましくは
0.6%/時間以下である。また、優れた耐磨耗性をも
併せ持つ。
いることから、軽量であり、大型輸送機械に実装しても
燃料消費に実質的に影響せず、エネルギーの消費上問題
を生ずることがなく、省エネルギーの要請にもかなう材
料であるといえる。さらに、母材がC/Cコンポジット
であるため、靱性に富み、優れた耐衝撃性、高硬度性を
有する。従って、従来使用されているC/Cコンポジッ
トが有している特性を保持したまま、同C/Cコンポジ
ットが有する耐高温磨耗性が低いという欠点を克服する
ことができる。
よい金属珪素とからなる複合材部が母材表面に形成され
ているので、高温下で酸素に曝されても、表面に存在す
る金属珪素−炭化珪素材料が溶融してガラスとなり母材
それ自体を酸素から保護する速度の方が、酸素が母材で
あるC/Cコンポジットの内部に拡散する速度よりも大
きいため、母材を酸化から保護することができる。即
ち、本発明に係るブレーキ用パッドまたはディスクの場
合には、自己修復性を示し、より長期間にわたる使用が
可能となる。この効果は、金属珪素が窒化ホウ素、銅、
ビスマス等の物質または元素を含有しても影響は受けな
い。
Cコンポジットより大きいため、長期間のブレーキ制動
により発生する高温下で使用しても、SiC材料からな
る層が剥離するおそれがあるのに対し、本発明に係るブ
レーキ用パッドまたはディスクの場合には、表面に形成
されている炭化珪素と所望により含有されていてもよい
金属珪素とからなる複合材部の熱膨張係数はC/Cコン
ポジットと同程度であるため、熱膨張係数の差に起因す
る剥離を防ぐことができ、ブレーキ用パッドまたはディ
スクとして優れた特質を有するものであるとすることが
できる。
ドまたはディスクは、C/Cコンポジットの耐衝撃性、
高硬度性および軽量性と、Si−SiC材料の、耐酸化
性、耐スポーリング性、自己潤滑性、耐磨耗性等を併せ
持ち、さらに、自己修復性をも有するため、高温酸化条
件下での使用に長期間耐えることができ、具体的には、
航空機を含む大型輸送機械の分野におけるブレーキ用パ
ッドまたはディスクとしても、好適に用いることができ
る。
用パッドまたはディスクから構成するには、例えば、図
1(A)に示した形状のブレーキ用パッドまたはディス
クと図1(B)に示した形状のブレーキ用パッドまたは
ディスクとを通常は交互に所望とする量を重ね合わせて
調製すればよい。すなわち、本発明によれば、さらに、
炭素繊維と炭素とから構成される母材と、少なくとも炭
化珪素と、所望により含有されていてもよい金属珪素と
からなる複合材料からなるブレーキ用パッドまたはディ
スクであって、少なくとも炭化珪素と、所望により含有
されていてもよい金属珪素とから構成される複合材部
が、パッドの両表面に所望の大きさで点在して形成され
ており、該複合材部がパッドの表面積の5%〜50%を
占める複数のブレーキ用パッドまたはディスクからなる
ブレーキが提供されることとなる。
て密で、外周部において疎となるように形成されてお
り、パッドの外周部からパッドの半径の2分の1の距離
までの表面における複合材部の占める面積が全複合材部
の面積の最大50%であるブレーキ用パッドまたはディ
スクからなるブレーキが提供されることとなる。
詳しく説明することとするが、本発明はこの実施例によ
り何ら限定されるものではない。なお、各例によって得
られた複合材料は、以下に示す方法よりその特性を評価
した。
ジグにセットして100rpmで10分間回転させ、相
手材(SUJ10mm球)を2kgの荷重Fp(N)で
テストピースに押し付け、その際の摩擦力Fs(N)を
測定した。摩擦係数の値は下式により算出した。摩擦係
数μ=Fs/Fp
グにセットして100rpmで10分間回転させ、相手
材(SUJ10mm球)を2kgの荷重Pでテストピー
スに押し付け、試験前の質量Wa(mg)と試験後の質
量Wb(mg)を測定した。テストピースの密度ρ(g
/cm3)より、磨耗量V(mm3)を下式により算出し
た。 V=(Wa−Wb)/ρ 比磨耗量Vs(mm3/(N・km))は、磨耗量V
(mm3)、試験荷重P(N)および摺動距離L(k
m)より、下式にて算出した。 Vs=V/(P・L)
縮荷重を加え、下記の式により算出した。 圧縮強さ=P/A (式中、Pは最大荷重時の荷重、Aはテストピースの最
小断面積を表す。)
スの厚さhの4倍の距離を支点間距離として3点曲げを
行い、下式により算出した。 層間せん断強さ=3P/4bh (式中、Pは破壊時の最大曲げ荷重、bはテストピース
の幅を表す。)
厚さhの40倍の距離を支点間距離Lとして3点曲げを
行い、荷重−たわみ曲線の直線部の初期の勾配P/σを
用いて、下式により算出した。 曲げ弾性率=1/4・L3/bh3・P/σ (式中、bはテストピースの幅を表す。)
Pa〜Min:5MPaの繰り返し応力を10万回印加
し、内部にマイクロクラックを発生させた後、900℃
で2時間アルゴン雰囲気下でアニールし、圧縮強度の測
定を行った。
m、厚さ20mmの大きさを有する円盤様C/Cコンポ
ジット(嵩比重:1.6;アクロス社製)を母材として
使用して、以下の条件で本発明に係るブレーキ用ディス
クを製造した。すなわち、上記C/Cコンポジットに一
方の表面に、100cm2当たり45個、直径10m
m、高さ20mmで、重さ3gの純度99.5%の金属
珪素のペレットを、所定の間隔で設けられた直径0.5
mmの孔の上に配置させた。この金属珪素を母材に含浸
させ、次いで、焼成して焼結体の表面に、母材の海に点
在する島状に形成された、炭化珪素と所望により含有さ
れていてもよい金属珪素からなる複数の複合材部を形成
させて目的とする、炭素繊維とから構成される母材と、
炭化珪素と、金属珪素とからなる複合材料であって、該
C/CコンポジットまたはC/Cコンポジットからなる
成形体の焼結体の表面に、点在して形成されて炭化珪素
と所望により含有されていてもよい金属珪素からなる複
合材部であって、その一部は母材内部に侵入して脚部を
形成している複合材料を得た。
(A)に示した外周部に切り欠き部を形成させる態様に
ついては、外径290mm、内径160mm、厚さ15
mmの大きさ、図1(B)に示した外周部に切り欠き部
を形成させる態様については、外径270mm、内径1
30mm、厚さ15mmに切断加工した後、更に、図1
(A)に示した態様については、外周部に最大幅28m
m、深さ22mmの切り欠き部と、図1(B)に示した
態様については、内周部に最大幅18cm、深さ20m
mの切り欠き部をそれぞれ等間隔で設け、800#砥石
で平面研削仕上げし、ブレーキ用ディスクとした。得ら
れたブレーキ用ディスクは、その複合材部の合計面積の
表面を占める割合は10.5%で、かつ、の外周部から
パッドの半径の2分の1の距離までの表面における複合
材部の占める面積が全複合材部の面積15%を占めてお
り、その研削面における表面粗さはRa=1μmであ
り、平面度は真直度で2μmであった。得られたブレー
キ用パッドまたはディスクについて、上記の測定方法に
より、摩擦係数、比磨耗量、層間せん断強さ、圧縮強
さ、曲げ弾性率等を測定し、その結果を表1に示す。
m、厚さ20mmの大きさを有する円盤様C/Cコンポ
ジット母材に、Si−SiC系材料からなるマトリック
ス層を配した繊維複合材料を製造し、これを用いてブレ
ーキ用部材を製造した。C/Cコンポジットは、特開2
000−81062公報に記載の方法、即ち、以下のよ
うな方法により製造した。炭素繊維を一方向に引き揃え
たものにフェノール樹脂を含浸させたプリプレグシート
を炭素繊維が互いに直交するように積層し、ホットプレ
スで180℃、10kg/cm2で樹脂を硬化させた。
次いで、窒素中で2000℃で焼成し、密度1.0g/
cm3、開気孔率50%のC/Cコンポジットを得た。
純度99.8%で平均粒径1mmのSi粉末で充填され
たカーボンるつぼ内に施設した。次いで、焼成炉内にカ
ーボンるつぼを移動した。焼成炉内の温度を1300
℃、不活性ガスとしてアルゴンガス流量を20NL/
分、焼成炉内圧を1hPaとし、またその保持時間を4
時間として処理した後、焼成炉内の圧力をそのまま保持
しつつ、炉内温度を1600℃に昇温することにより、
C/CコンポジットにSiを含浸させて複合材料を製造
した。
り実施例と同様に所定の大きさに切断加工した後、切り
欠き部を設け、次いで800#砥石で平面研削仕上げ
し、ブレーキ用部材とした。得られた摺動材の研削面に
おける表面粗さはRa=1μmであり、平面度は真直度
で2μmであった。
例と同様の方法により測定し、その結果を表1に併せ示
す。
発明者らが先に提案した特開2000−81062公報
に開示のブレーキ用部材に比較して、各測定項目におい
て遜色なく、極めて優れた複合材料であることがわか
る。即ち、本発明に係るブレーキ用パッドまたはディス
クの場合には、上記の公開公報に開示のブレーキ用部材
と同程度の摩擦係数と、酸素の存在下での高温条件での
耐磨耗性とを有していることがわかる。
ーキ用ディスクは、比較例のブレーキ用部材と同等で、
また、圧縮強さおよび層間せん断強さにおいて優れた値
を示し、曲げ弾性率においてC/Cコンポジットと同程
度の値を示した。本発明に係るブレーキ用ディスクの場
合には、炭化珪素と所望により含有されていてもよい金
属珪素から形成された少なくとも一部が中空である管状
の脚部が母材内部深くまで達して形成されていることか
ら、比較例のブレーキ用部材に比べ、圧縮強さが大きく
なったものと考えられる。
での高温条件での耐磨耗性においても優れ、また、耐酸
化性、耐クリープ性、耐スポーリング性を有するSi−
SiC層が所望とする割合で両表面に配されているの
で、C/Cコンポジットの有する低耐磨耗性を克服する
ことができ、高温でかつ酸素存在下においても、使用が
可能である。また、C/Cコンポジットを母材としてい
ることから、軽量であり、エネルギーの損失が少なく、
省エネルギーの要請にも沿う。さらに、母材がC/Cコ
ンポジットであるため、靱性に富み、優れた耐衝撃性、
高硬度性を有する。従って、本発明に係るブレーキ用パ
ッドまたはディスクは、航空機などの大型輸送機械の制
動装置におけるブレーキ用部材として極めて有望な素材
であることは明らかである。
合材部の形成状態の一態様を示す模式図、(A)はブレ
ーキ制動時に車輪側に、(B)は車軸側にそれぞれ嵌合
して、停止制動するように取り付けられる。
部分断面構造を模式的に示す拡大図である。
も一部が中空の管状体である脚部、4…母材、5…ブレ
ーキ用ディスクの穴。
Claims (8)
- 【請求項1】 炭素繊維と炭素とから構成される母材
と、少なくとも炭化珪素と、所望により含有されていて
もよい金属珪素とからなる複合材料からなるブレーキ用
パッドまたはディスクであって、少なくとも炭化珪素
と、所望により含有されていてもよい金属珪素とから構
成される複合材部が、パッドの両表面に所望の大きさで
点在して形成されており、該複合材部がパッドの表面積
の5%〜50%を占めることを特徴とするブレーキ用パ
ッドまたはディスク。 - 【請求項2】 該複合材部が中心部において密で、外周
部において疎となるように形成されており、パッドまた
はディスクの外周部からパッドまたはディスクの半径の
2分の1の距離までの表面における複合材部の占める面
積が全複合材部の面積の最大50%であることを特徴と
する請求項1に記載のブレーキ用パッドまたはディス
ク。 - 【請求項3】 さらにブレーキ用パッドまたはディスク
の切り欠き部近傍には実質的に複合材部が形成されてい
ないことを特徴とする請求項1または2に記載のブレー
キ用パッドまたはディスク。 - 【請求項4】 該複合材部は母材内部に延びて形成され
た脚部を有し、かつ、該脚部は少なくとも炭化珪素と所
望により含有されていてもよい金属珪素からなることを
特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブレー
キ用パッドまたはディスク。 - 【請求項5】 該脚部は一部が中空である管状体であ
り、ブレーキ用パッドまたはディスクの両表面からそれ
ぞれ延びて形成されており、一方の表面から延びて形成
された管状体である脚部は、他の表面から延びて形成さ
れている管状体である脚部とは、相互に互い違いとなる
ような位置に設けられており、かつ、その先端部は、そ
れぞれ、他端から延びて形成されている管状体の脚部の
先端部を超えて、ブレーキ用パッドまたはディスクを構
成する母材を貫通しない長さで反対側の表面に向かって
延びていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
項に記載のブレーキ用パッドまたはディスク。 - 【請求項6】 常温における動摩擦係数が0.05〜
0.6である請求項1〜5のいずれか1項に記載のブレ
ーキ用パッドまたはディスク。 - 【請求項7】 比磨耗量が0.0〜0.3mm3/(N
・km)である請求項1〜6のいずれか1項に記載のブ
レーキ用パッドまたはディスク。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のブ
レーキ用パッドまたはディスクからなるブレーキ。
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