JP2002256414A - 硬質炭素膜被覆材およびその製造方法 - Google Patents
硬質炭素膜被覆材およびその製造方法Info
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- JP2002256414A JP2002256414A JP2001061989A JP2001061989A JP2002256414A JP 2002256414 A JP2002256414 A JP 2002256414A JP 2001061989 A JP2001061989 A JP 2001061989A JP 2001061989 A JP2001061989 A JP 2001061989A JP 2002256414 A JP2002256414 A JP 2002256414A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 基材に対する密着性に優れ、かつ高硬度(7
0GPa前後)の硬質炭素膜を有する硬質炭素膜被覆材
を提供する。 【解決手段】 基材上に元素周期表のIVa族、Va族、
VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元素、もしくはそ
の窒化物、炭化物からなる中間層を介して結晶粒径10
0nm以下の微細ダイヤモンド結晶粒を含むアモルファ
ス構造の硬質炭素膜を形成したことを特徴とする。
0GPa前後)の硬質炭素膜を有する硬質炭素膜被覆材
を提供する。 【解決手段】 基材上に元素周期表のIVa族、Va族、
VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元素、もしくはそ
の窒化物、炭化物からなる中間層を介して結晶粒径10
0nm以下の微細ダイヤモンド結晶粒を含むアモルファ
ス構造の硬質炭素膜を形成したことを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種回転機械の軸
受やスライドなどの摺動部材や情報機器記憶装置等の耐
摩耗性を要求される部材に適用される硬質炭素膜被覆材
およびその製造方法に関する。
受やスライドなどの摺動部材や情報機器記憶装置等の耐
摩耗性を要求される部材に適用される硬質炭素膜被覆材
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】硬質炭素膜は、1970年代後半から研
究が開始され始めたi−カーボン膜と言われる硬質膜で
ある。この硬質炭素膜は、炭素原子の結合状態に短周期
の結晶性が見られる、アモルファス状の結合状態を有す
るものである。
究が開始され始めたi−カーボン膜と言われる硬質膜で
ある。この硬質炭素膜は、炭素原子の結合状態に短周期
の結晶性が見られる、アモルファス状の結合状態を有す
るものである。
【0003】また、前記硬質炭素膜の物性はビッカース
硬度で30GPa前後と高硬度で、耐摩耗性や、潤滑
性、絶縁性や、耐薬品性等に優れた性質を有するため
に、工具、各種機械摺動部品、電子部品へのコーティン
グに応用されている。
硬度で30GPa前後と高硬度で、耐摩耗性や、潤滑
性、絶縁性や、耐薬品性等に優れた性質を有するため
に、工具、各種機械摺動部品、電子部品へのコーティン
グに応用されている。
【0004】前記硬質炭素膜の形成方法としては、たと
えば特開昭64−31974号公報に開示されている、
プラズマ化学気相成長法が知られている。
えば特開昭64−31974号公報に開示されている、
プラズマ化学気相成長法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法で得られた硬質炭素膜はビッカース硬度で30GP
aを示すが、アモルファス構造の炭素膜であるため、こ
れ以上の高硬度を示す膜は得られず、より厳しい環境で
使用される工具、各種機械摺動部品には適用できない。
また、硬質炭素膜が非平衡物質であるため、膜中に蓄積
される内部応力が大きく、十分な密着性が得られない。
従って、硬質炭素膜の高性能化には硬度の大幅な増加と
基材との密着性を向上させる必要がある。
方法で得られた硬質炭素膜はビッカース硬度で30GP
aを示すが、アモルファス構造の炭素膜であるため、こ
れ以上の高硬度を示す膜は得られず、より厳しい環境で
使用される工具、各種機械摺動部品には適用できない。
また、硬質炭素膜が非平衡物質であるため、膜中に蓄積
される内部応力が大きく、十分な密着性が得られない。
従って、硬質炭素膜の高性能化には硬度の大幅な増加と
基材との密着性を向上させる必要がある。
【0006】本発明は、基材に対する密着性に優れ、か
つ高硬度(70GPa前後)の硬質炭素膜を有する硬質
炭素膜被覆材およびその製造方法を提供しようとするも
のである。
つ高硬度(70GPa前後)の硬質炭素膜を有する硬質
炭素膜被覆材およびその製造方法を提供しようとするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る硬質炭素膜
被覆材は、基材上に結晶粒径100nm以下の微細ダイ
ヤモンド結晶粒を含むアモルファス構造の硬質炭素膜を
形成してなるものである。
被覆材は、基材上に結晶粒径100nm以下の微細ダイ
ヤモンド結晶粒を含むアモルファス構造の硬質炭素膜を
形成してなるものである。
【0008】本発明に係る硬質炭素膜被覆材において、
前記基材表面に元素周期表のIVa族、Va族、VIa族、
VIII族、IIIb族、IVb族の元素、もしくはその窒化
物、炭化物からなる中間層を介して前記硬質炭素膜を形
成することが好ましい。
前記基材表面に元素周期表のIVa族、Va族、VIa族、
VIII族、IIIb族、IVb族の元素、もしくはその窒化
物、炭化物からなる中間層を介して前記硬質炭素膜を形
成することが好ましい。
【0009】本発明に係る硬質炭素膜被覆材の製造方法
は、基材表面に元素周期表のIVa族、Va族、VIa族、
VIII族、IIIb族、IVb族の元素、もしくはその窒化
物、炭化物からなる中間層をスパッタリング法もしくは
蒸着法により形成する工程と、炭化水素と水素の混合ガ
スのイオンを発生させるとともに、そのイオンを加速さ
せて前記中間層に照射する、イオンビーム蒸着法により
前記中間層上に硬質炭素膜を形成する工程とを具備する
ことを特徴とするものである。
は、基材表面に元素周期表のIVa族、Va族、VIa族、
VIII族、IIIb族、IVb族の元素、もしくはその窒化
物、炭化物からなる中間層をスパッタリング法もしくは
蒸着法により形成する工程と、炭化水素と水素の混合ガ
スのイオンを発生させるとともに、そのイオンを加速さ
せて前記中間層に照射する、イオンビーム蒸着法により
前記中間層上に硬質炭素膜を形成する工程とを具備する
ことを特徴とするものである。
【0010】本発明に係る硬質炭素膜被覆材の製造方法
において、前記硬質炭素膜の形成は前記混合ガス中に占
める炭化水素の比率を2〜30体積%とし、イオン加速
電圧を200〜2000V、基材温度を400〜800
℃の条件で行なわれることが好ましい。
において、前記硬質炭素膜の形成は前記混合ガス中に占
める炭化水素の比率を2〜30体積%とし、イオン加速
電圧を200〜2000V、基材温度を400〜800
℃の条件で行なわれることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる硬質炭素膜
被覆材を説明する。
被覆材を説明する。
【0012】この硬質炭素膜被覆材は、基材上に結晶粒
径100nm以下の微細ダイヤモンド結晶粒を含むアモ
ルファス構造の硬質炭素膜を形成してなるものである。
径100nm以下の微細ダイヤモンド結晶粒を含むアモ
ルファス構造の硬質炭素膜を形成してなるものである。
【0013】前記基材としては、例えばステンレス鋼、
工具鋼、軸受け鋼、超硬合金等からなる耐摩耗性が要求
される機械部材を挙げることができる。
工具鋼、軸受け鋼、超硬合金等からなる耐摩耗性が要求
される機械部材を挙げることができる。
【0014】前記微細ダイヤモンド結晶粒の粒径が10
0nmを超えると、表面粗さが大きくなり、摩擦係数が
増加すると共に、相手材の摩耗が顕著になる虞がある。
0nmを超えると、表面粗さが大きくなり、摩擦係数が
増加すると共に、相手材の摩耗が顕著になる虞がある。
【0015】本発明に係る硬質炭素膜被覆材において、
図1に示すように基材1表面に元素周期表のIVa族、V
a族、VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元素、もし
くはその窒化物、炭化物からなる中間層2を介して硬質
炭素膜3を形成した構造にすることが好ましい。
図1に示すように基材1表面に元素周期表のIVa族、V
a族、VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元素、もし
くはその窒化物、炭化物からなる中間層2を介して硬質
炭素膜3を形成した構造にすることが好ましい。
【0016】前記中間層の厚さは、0.05〜5μmに
することが好ましい。この理由は、前記中間層の厚さを
0.05未満にすると、その中間層の機能である基材と
硬質炭素質膜間の密着性の向上化をはかることが困難に
なる。一方、前記中間層の厚さが5μmを超えると中間
層は硬質炭素膜より硬度等の機械的性質が劣るため、こ
の中間層中で破断して剥離状態になる虞がある。
することが好ましい。この理由は、前記中間層の厚さを
0.05未満にすると、その中間層の機能である基材と
硬質炭素質膜間の密着性の向上化をはかることが困難に
なる。一方、前記中間層の厚さが5μmを超えると中間
層は硬質炭素膜より硬度等の機械的性質が劣るため、こ
の中間層中で破断して剥離状態になる虞がある。
【0017】次に、本発明に係る硬質炭素膜被覆材の製
造方法を図2を参照して詳細に説明する。
造方法を図2を参照して詳細に説明する。
【0018】図2は、本発明に係る硬質炭素膜被覆材を
製造するための装置を示す概略図である。
製造するための装置を示す概略図である。
【0019】真空容器11は、図示しない真空排気装置
によって真空排気される。処理すべき基材1を保持する
ためのホルダ12は、前記真空容器11内に設けられて
いる。図示しない電源および温調器に接続された加熱ヒ
ータ13は、前記ホルダ12に内蔵されている。なお、
前記ホルダ12は必要に応じて回転機構を設けてもよ
い。
によって真空排気される。処理すべき基材1を保持する
ためのホルダ12は、前記真空容器11内に設けられて
いる。図示しない電源および温調器に接続された加熱ヒ
ータ13は、前記ホルダ12に内蔵されている。なお、
前記ホルダ12は必要に応じて回転機構を設けてもよ
い。
【0020】イオン源14は、前記真空容器11に前記
ホルダ12との対向するように取り付けられている。こ
のイオン源14は、ガス導入管15より導入した炭化水
素と水素の混合ガスのイオンを発生させるとともに、加
速してそのイオンを前記ホルダ12にイオンビーム16
として照射する。前記イオン源14には、膜質の均一
性、生産性という点から、例えばカウフマン型イオン
源、バケット型イオン源等が適用される。
ホルダ12との対向するように取り付けられている。こ
のイオン源14は、ガス導入管15より導入した炭化水
素と水素の混合ガスのイオンを発生させるとともに、加
速してそのイオンを前記ホルダ12にイオンビーム16
として照射する。前記イオン源14には、膜質の均一
性、生産性という点から、例えばカウフマン型イオン
源、バケット型イオン源等が適用される。
【0021】スパッタ源17は、前記真空容器11に取
り付けられている。このスパッタ源17は、導電材料か
らなるバッキングプレート18と、このバッキングプレ
ート18に保持された膜形成材料である元素周期表のIV
a族、Va族、VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元
素からなるターゲット19と、一端をこのバッキングプ
レート18に接続され、他端を前記真空容器11に接続
された高周波電源20とを備えている。ガス供給管21
は、前記真空容器11内にその先端が前記ターゲット1
9近傍の位置するように挿入されている。このようなス
パッタ源17において、前記ガス供給管21からアルゴ
ンガスもしくはアルゴンガスと炭化水素ガスの混合ガ
ス、またはアルゴンガスと窒素ガスの混合ガスからなる
放電ガスを前記真空容器11内に供給し、前記高周波電
源20により高周波電力を前記ターゲット19に印加し
て高周波放電を起こさせることにより、前記ターゲット
19表面より膜形成材料からなるスパッタ粒子22が叩
き出され、前記ホルダ12に向けて照射される。
り付けられている。このスパッタ源17は、導電材料か
らなるバッキングプレート18と、このバッキングプレ
ート18に保持された膜形成材料である元素周期表のIV
a族、Va族、VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元
素からなるターゲット19と、一端をこのバッキングプ
レート18に接続され、他端を前記真空容器11に接続
された高周波電源20とを備えている。ガス供給管21
は、前記真空容器11内にその先端が前記ターゲット1
9近傍の位置するように挿入されている。このようなス
パッタ源17において、前記ガス供給管21からアルゴ
ンガスもしくはアルゴンガスと炭化水素ガスの混合ガ
ス、またはアルゴンガスと窒素ガスの混合ガスからなる
放電ガスを前記真空容器11内に供給し、前記高周波電
源20により高周波電力を前記ターゲット19に印加し
て高周波放電を起こさせることにより、前記ターゲット
19表面より膜形成材料からなるスパッタ粒子22が叩
き出され、前記ホルダ12に向けて照射される。
【0022】次に、硬質炭素膜被覆材の製造方法を前述
した図2に示す装置を参照して説明する。
した図2に示す装置を参照して説明する。
【0023】まず、ホルダ12基材1を取付け、スパッ
タ源17のバッキングプレート18に元素周期表のIVa
族、Va族、VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元素
からなるターゲット19を取り付け、真空容器11を所
定の真空度に真空排気する。つづいて、前記ホルダ12
に内蔵した加熱ヒータ13により前記基材1を所望温度
に加熱する。
タ源17のバッキングプレート18に元素周期表のIVa
族、Va族、VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元素
からなるターゲット19を取り付け、真空容器11を所
定の真空度に真空排気する。つづいて、前記ホルダ12
に内蔵した加熱ヒータ13により前記基材1を所望温度
に加熱する。
【0024】次いで、ガス供給管21から所望の放電ガ
スを導入して前記真空容器11内を所望の圧力に設定し
た後、高周波電源20から高周波電力を前記ターゲット
19に印加し、高周波放電を起こさせることにより前記
ターゲット19表面よりその構成元素からなるスパッタ
粒子22を叩き出して前記基材1に照射し、基材1表面
に所望厚さの中間層2を形成する。
スを導入して前記真空容器11内を所望の圧力に設定し
た後、高周波電源20から高周波電力を前記ターゲット
19に印加し、高周波放電を起こさせることにより前記
ターゲット19表面よりその構成元素からなるスパッタ
粒子22を叩き出して前記基材1に照射し、基材1表面
に所望厚さの中間層2を形成する。
【0025】次いで、前記スパッタ源17の作動を停止
し、再び真空容器11を所望の真空度に真空排気する。
つづいて、イオン源14(例えばカウフマンイオン源)
のガス導入管15から炭化水素と水素との混合ガスを導
入し、前記真空容器11を所定の真空度に制御する。こ
の状態でイオン源14を作動させ、イオンビーム16を
前記中間層2に照射し、粒径100nm以下の微細ダイ
ヤモンド結晶粒を含むアモルファス構造の硬質炭素膜3
を成膜することにより前述した図1に示す構造の硬質炭
素膜被覆材を製造する。
し、再び真空容器11を所望の真空度に真空排気する。
つづいて、イオン源14(例えばカウフマンイオン源)
のガス導入管15から炭化水素と水素との混合ガスを導
入し、前記真空容器11を所定の真空度に制御する。こ
の状態でイオン源14を作動させ、イオンビーム16を
前記中間層2に照射し、粒径100nm以下の微細ダイ
ヤモンド結晶粒を含むアモルファス構造の硬質炭素膜3
を成膜することにより前述した図1に示す構造の硬質炭
素膜被覆材を製造する。
【0026】前記基材の加熱温度は、400〜800℃
にすることが好ましい。この理由は、前記基材の加熱温
度を400℃未満にすると、前記中間層表面に成膜され
た硬質炭素膜中に微細ダイヤモンド結晶粒を生成するこ
とが困難になる。一方、前記基材の加熱温度が800℃
を超えると、硬質炭素膜中に生成した微細ダイヤモンド
結晶粒が黒鉛状物質に変化する虞がある。
にすることが好ましい。この理由は、前記基材の加熱温
度を400℃未満にすると、前記中間層表面に成膜され
た硬質炭素膜中に微細ダイヤモンド結晶粒を生成するこ
とが困難になる。一方、前記基材の加熱温度が800℃
を超えると、硬質炭素膜中に生成した微細ダイヤモンド
結晶粒が黒鉛状物質に変化する虞がある。
【0027】前記イオン源14に導入される混合ガス中
の炭化水素としては、例えばメタン、エタン、アセチレ
ン等の容易に気体として導入できる炭化水素を用いれば
よいが、中でもメタンが好ましい。
の炭化水素としては、例えばメタン、エタン、アセチレ
ン等の容易に気体として導入できる炭化水素を用いれば
よいが、中でもメタンが好ましい。
【0028】前記イオン源14に導入される混合ガス
(炭化水素と水素との混合ガス)中に占める炭化水素の
比率は、2〜30体積%にすることが好ましい。この理
由は、前記炭化水素の比率を2体積%未満にすると、硬
質炭素膜の成膜速度が極端に低くなる虞がある。一方、
前記炭化水素の比率が30体積%を超えると黒鉛化が進
み、微細ダイヤモンド結晶粒が生成せず、成膜された炭
素膜の硬さが20GPa以下になる虞がある。これは、
炭化水素と混合している水素が黒鉛状物質を除去する機
能を十分に果たしているためであると考えられる。
(炭化水素と水素との混合ガス)中に占める炭化水素の
比率は、2〜30体積%にすることが好ましい。この理
由は、前記炭化水素の比率を2体積%未満にすると、硬
質炭素膜の成膜速度が極端に低くなる虞がある。一方、
前記炭化水素の比率が30体積%を超えると黒鉛化が進
み、微細ダイヤモンド結晶粒が生成せず、成膜された炭
素膜の硬さが20GPa以下になる虞がある。これは、
炭化水素と混合している水素が黒鉛状物質を除去する機
能を十分に果たしているためであると考えられる。
【0029】前記イオン源14でのイオン加速電圧は、
200〜2000Vにすることが好ましい。この理由
は、イオン加速電圧を200V未満にすると、炭素膜中
に水素が多く混入しポリマー状となり、軟質な炭素膜に
なる虞がある。一方、イオン加速電圧が2000Vを超
えると炭素膜の自己スパッタ効果が強くなり極端に成膜
速度が低くなる虞がある。
200〜2000Vにすることが好ましい。この理由
は、イオン加速電圧を200V未満にすると、炭素膜中
に水素が多く混入しポリマー状となり、軟質な炭素膜に
なる虞がある。一方、イオン加速電圧が2000Vを超
えると炭素膜の自己スパッタ効果が強くなり極端に成膜
速度が低くなる虞がある。
【0030】次に、本発明に係る硬質炭素膜被覆材の別
の製造方法を図3を参照して説明する。
の製造方法を図3を参照して説明する。
【0031】図3は、本発明に係る硬質炭素膜被覆材を
製造するための別の装置を示す概略図である。
製造するための別の装置を示す概略図である。
【0032】真空容器11は、図示しない真空排気装置
によって真空排気される。処理すべき基材1を保持する
ためのホルダ12は、前記真空容器11内に設けられて
いる。図示しない電源および温調器に接続された加熱ヒ
ータ13は、前記ホルダ12に内蔵されている。なお、
前記ホルダ12は必要に応じて回転機構を設けてもよ
い。
によって真空排気される。処理すべき基材1を保持する
ためのホルダ12は、前記真空容器11内に設けられて
いる。図示しない電源および温調器に接続された加熱ヒ
ータ13は、前記ホルダ12に内蔵されている。なお、
前記ホルダ12は必要に応じて回転機構を設けてもよ
い。
【0033】イオン源14は、前記真空容器11に前記
ホルダ12との対向するように取り付けられている。こ
のイオン源14は、ガス導入管15より導入した炭化水
素と水素の混合ガスのイオンを発生させるとともに、加
速してそのイオンを前記ホルダ12にイオンビーム16
として照射する。前記イオン源14には、膜質の均一
性、生産性という点から、例えばカウフマン型イオン
源、バケット型イオン源等が適用される。
ホルダ12との対向するように取り付けられている。こ
のイオン源14は、ガス導入管15より導入した炭化水
素と水素の混合ガスのイオンを発生させるとともに、加
速してそのイオンを前記ホルダ12にイオンビーム16
として照射する。前記イオン源14には、膜質の均一
性、生産性という点から、例えばカウフマン型イオン
源、バケット型イオン源等が適用される。
【0034】蒸発源23は、前記真空容器11に取り付
けられている。この蒸発源23は、蒸発材料である元素
周期表のIVa族、Va族、VIa族、VIII族、IIIb族、I
Vb族の元素からなるカソード24と、このカソード2
4近傍に配置されたアノード25と、前記カソード2
4、アノード25間に介装された直流アーク電源26と
を備える。このような蒸発源23において、前記直流ア
ーク電源26よりアーク放電電圧を供給し前記カソード
24、アノード25間にアーク放電を起こさせ、前記カ
ソード24を局部的に溶解させてカソード物質を蒸発さ
せて蒸気27を飛び出させることにより、その蒸気27
を前記ホルダ12に向けて照射する。
けられている。この蒸発源23は、蒸発材料である元素
周期表のIVa族、Va族、VIa族、VIII族、IIIb族、I
Vb族の元素からなるカソード24と、このカソード2
4近傍に配置されたアノード25と、前記カソード2
4、アノード25間に介装された直流アーク電源26と
を備える。このような蒸発源23において、前記直流ア
ーク電源26よりアーク放電電圧を供給し前記カソード
24、アノード25間にアーク放電を起こさせ、前記カ
ソード24を局部的に溶解させてカソード物質を蒸発さ
せて蒸気27を飛び出させることにより、その蒸気27
を前記ホルダ12に向けて照射する。
【0035】なお、前記蒸発源としてはアーク放電型以
外にも、電子ビーム加熱型を用いてもよい。また、前記
蒸発源23の近傍にガス供給管を取付け、炭化水素ガス
もしくは窒素ガスを導入してもよい。
外にも、電子ビーム加熱型を用いてもよい。また、前記
蒸発源23の近傍にガス供給管を取付け、炭化水素ガス
もしくは窒素ガスを導入してもよい。
【0036】次に、硬質炭素膜被覆材の製造方法を前述
した図3に示す装置を参照して説明する。
した図3に示す装置を参照して説明する。
【0037】まず、ホルダ12に基材1を取付け、蒸発
源23に元素周期表のIVa族、Va族、VIa族、VIII
族、IIIb族、IVb族の元素からなるカソード24を取
り付け、真空容器11を所定の真空度に真空排気する。
つづいて、前記ホルダ12に内蔵した加熱ヒータ13に
より前記基材1を所望温度に加熱する。
源23に元素周期表のIVa族、Va族、VIa族、VIII
族、IIIb族、IVb族の元素からなるカソード24を取
り付け、真空容器11を所定の真空度に真空排気する。
つづいて、前記ホルダ12に内蔵した加熱ヒータ13に
より前記基材1を所望温度に加熱する。
【0038】次いで、蒸発源23のカソード24とアノ
ード25との間に直流アーク電源26よりアーク放電電
圧を供給しアーク放電を起こさせて、カソード24を局
部的に溶解させて前記元素からなるカソード物質を蒸発
させ、蒸気27を基材1に照射し、基材1表面に所望厚
さの中間層2を形成する。
ード25との間に直流アーク電源26よりアーク放電電
圧を供給しアーク放電を起こさせて、カソード24を局
部的に溶解させて前記元素からなるカソード物質を蒸発
させ、蒸気27を基材1に照射し、基材1表面に所望厚
さの中間層2を形成する。
【0039】次いで、前記蒸発源23の作動を停止し、
イオン源14(例えばカウフマンイオン源)のガス導入
管15から炭化水素と水素との混合ガスを導入し、前記
真空容器11を所定の真空度に制御する。この状態でイ
オン源14を作動させ、イオンビーム16を前記中間層
2に照射し、粒径100nm以下の微細ダイヤモンド結
晶粒を含むアモルファス構造の硬質炭素膜3を成膜する
ことにより前述した図1に示す構造の硬質炭素膜被覆材
を製造する。
イオン源14(例えばカウフマンイオン源)のガス導入
管15から炭化水素と水素との混合ガスを導入し、前記
真空容器11を所定の真空度に制御する。この状態でイ
オン源14を作動させ、イオンビーム16を前記中間層
2に照射し、粒径100nm以下の微細ダイヤモンド結
晶粒を含むアモルファス構造の硬質炭素膜3を成膜する
ことにより前述した図1に示す構造の硬質炭素膜被覆材
を製造する。
【0040】前記基材の加熱温度は、前述したのと同様
な理由から400〜800℃にすることが好ましい。
な理由から400〜800℃にすることが好ましい。
【0041】前記イオン源14に導入される混合ガス中
の炭化水素としては、例えばメタン、エタン、アセチレ
ン等の容易に気体として導入できる炭化水素を用いれば
よいが、中でもメタンが好ましい。
の炭化水素としては、例えばメタン、エタン、アセチレ
ン等の容易に気体として導入できる炭化水素を用いれば
よいが、中でもメタンが好ましい。
【0042】前記イオン源14に導入される混合ガス
(炭化水素と水素との混合ガス)中に占める炭化水素の
比率は、前述したのと同様な理由から2〜30体積%に
することが好ましい。
(炭化水素と水素との混合ガス)中に占める炭化水素の
比率は、前述したのと同様な理由から2〜30体積%に
することが好ましい。
【0043】前記イオン源14でのイオン加速電圧は、
前述したのと同様な理由から200〜2000Vにする
ことが好ましい。
前述したのと同様な理由から200〜2000Vにする
ことが好ましい。
【0044】以上説明したように、本発明によれば基材
上に粒径100nm以下の微細ダイヤモンド結晶粒を含
むアモルファス構造の硬質炭素膜を形成することによっ
て、基材に対する密着性に優れ、かつ高硬度(70GP
a前後)の硬質炭素膜を有する硬質炭素膜被覆材を得る
ことができる。
上に粒径100nm以下の微細ダイヤモンド結晶粒を含
むアモルファス構造の硬質炭素膜を形成することによっ
て、基材に対する密着性に優れ、かつ高硬度(70GP
a前後)の硬質炭素膜を有する硬質炭素膜被覆材を得る
ことができる。
【0045】特に、前述した図1に示すように基材1表
面に元素周期表のIVa族、Va族、VIa族、VIII族、II
Ib族、IVb族の元素、もしくはその窒化物、炭化物か
らなる中間層2を介して硬質炭素膜3を形成することに
よって、基材に対する硬質炭素膜の密着性がより一層向
上された硬質炭素膜被覆材を得ることができる。
面に元素周期表のIVa族、Va族、VIa族、VIII族、II
Ib族、IVb族の元素、もしくはその窒化物、炭化物か
らなる中間層2を介して硬質炭素膜3を形成することに
よって、基材に対する硬質炭素膜の密着性がより一層向
上された硬質炭素膜被覆材を得ることができる。
【0046】また、本発明に係る方法によれば基材表面
に元素周期表のIVa族、Va族、VIa族、VIII族、III
b族、IVb族の元素、もしくはその窒化物、炭化物から
なる中間層をスパッタリング法もしくは蒸着法により形
成する工程と、炭化水素と水素の混合ガスのイオンを発
生させるとともに、そのイオンを加速させて前記中間層
に照射する、イオンビーム蒸着法により前記中間層上に
硬質炭素膜を形成する工程とを具備することによって、
基材に対する密着性に優れ、かつ高硬度(70GPa前
後)の硬質炭素膜を有する前述した図1に示す構造の硬
質炭素膜被覆材を製造することができる。
に元素周期表のIVa族、Va族、VIa族、VIII族、III
b族、IVb族の元素、もしくはその窒化物、炭化物から
なる中間層をスパッタリング法もしくは蒸着法により形
成する工程と、炭化水素と水素の混合ガスのイオンを発
生させるとともに、そのイオンを加速させて前記中間層
に照射する、イオンビーム蒸着法により前記中間層上に
硬質炭素膜を形成する工程とを具備することによって、
基材に対する密着性に優れ、かつ高硬度(70GPa前
後)の硬質炭素膜を有する前述した図1に示す構造の硬
質炭素膜被覆材を製造することができる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を前述した図
2および図3の製造装置を参照して詳細に説明する。
2および図3の製造装置を参照して詳細に説明する。
【0048】(実施例1)まず、前述した図2に示す製
造装置のホルダ12にステンレス鋼(JIS:SUS3
04)からなる基材1を取付け、スパッタ源17のバッ
キングプレート18に金属クロムからなるターゲット1
9を取り付けた後、真空容器11を1×10-5torr
以下に真空排気した。つづいて、前記ホルダ12に内蔵
した加熱ヒータ13により前記基材1を550℃に加熱
した。
造装置のホルダ12にステンレス鋼(JIS:SUS3
04)からなる基材1を取付け、スパッタ源17のバッ
キングプレート18に金属クロムからなるターゲット1
9を取り付けた後、真空容器11を1×10-5torr
以下に真空排気した。つづいて、前記ホルダ12に内蔵
した加熱ヒータ13により前記基材1を550℃に加熱
した。
【0049】次いで、ガス供給管21からアルゴンの放
電ガスを導入して前記真空容器11内を5×10-3to
rrの圧力に設定した後、高周波電源20から高周波電
力を前記ターゲット19に印加し、高周波放電を起こさ
せることにより前記ターゲット19表面よりクロムから
なるスパッタ粒子22を叩き出して前記基材1に照射
し、基材1表面に厚さ0.5μmの中間層2を成膜し
た。この時の成膜速度は、0.1μm/分であった。
電ガスを導入して前記真空容器11内を5×10-3to
rrの圧力に設定した後、高周波電源20から高周波電
力を前記ターゲット19に印加し、高周波放電を起こさ
せることにより前記ターゲット19表面よりクロムから
なるスパッタ粒子22を叩き出して前記基材1に照射
し、基材1表面に厚さ0.5μmの中間層2を成膜し
た。この時の成膜速度は、0.1μm/分であった。
【0050】次いで、前記スパッタ源17の作動を停止
し、再び真空容器11を1×10-5torr以下に真空
排気した。つづいて、イオン源14(カウフマンイオン
源)のガス導入管15からメタンと水素との混合ガス
(メタンの比率;20体積%)を導入し、前記真空容器
11を1×10-3torrに制御した。この状態でイオ
ン源14を作動させ、加速電圧500V、イオン電流密
度1mA/cm2でイオンビーム16を前記クロムから
なる中間層2に照射し、厚さ1μmの硬質炭素膜3を成
膜することにより前述した図1に示す構造の硬質炭素膜
被覆材を製造した。
し、再び真空容器11を1×10-5torr以下に真空
排気した。つづいて、イオン源14(カウフマンイオン
源)のガス導入管15からメタンと水素との混合ガス
(メタンの比率;20体積%)を導入し、前記真空容器
11を1×10-3torrに制御した。この状態でイオ
ン源14を作動させ、加速電圧500V、イオン電流密
度1mA/cm2でイオンビーム16を前記クロムから
なる中間層2に照射し、厚さ1μmの硬質炭素膜3を成
膜することにより前述した図1に示す構造の硬質炭素膜
被覆材を製造した。
【0051】得られた硬質炭素膜被覆材の炭素膜につい
て、ラマンスペクトル分析により調べた。その結果、1
550cm-1付近と1360cm-1付近に広いピークを
示し、なおかつ1333cm-1に小さなダイヤモンドの
ピークが現れた。これより、アモルファス構造の炭素に
50nm程度の粒径の微細ダイヤモンド結晶粒を含んだ
構造の硬質炭素膜であることが確認できた。
て、ラマンスペクトル分析により調べた。その結果、1
550cm-1付近と1360cm-1付近に広いピークを
示し、なおかつ1333cm-1に小さなダイヤモンドの
ピークが現れた。これより、アモルファス構造の炭素に
50nm程度の粒径の微細ダイヤモンド結晶粒を含んだ
構造の硬質炭素膜であることが確認できた。
【0052】また、前記硬質炭素膜のビッカース硬度を
測定した。その結果、72GPaという、アモルファス
構造からなる硬質炭素膜の硬さを遥かに凌ぐ値であっ
た。
測定した。その結果、72GPaという、アモルファス
構造からなる硬質炭素膜の硬さを遥かに凌ぐ値であっ
た。
【0053】さらに、ボールディスク型摩擦特性試験機
にて、相手材のボールをステンレス鋼(JIS:SUS
304)とし、荷重を2N、速度を0.1m/secと
し測定した。その結果、摩擦係数はステンレス鋼基材で
は0.3、クロム膜形成後で0.2、硬質炭素膜作製後
で0.08と摩擦係数が低減した。
にて、相手材のボールをステンレス鋼(JIS:SUS
304)とし、荷重を2N、速度を0.1m/secと
し測定した。その結果、摩擦係数はステンレス鋼基材で
は0.3、クロム膜形成後で0.2、硬質炭素膜作製後
で0.08と摩擦係数が低減した。
【0054】以上、実施例1によれば耐摩耗、高硬度、
潤滑が従来に比べて優れ、産業機械、自動車、航空宇宙
機器の部品の性能と寿命の向上に寄与する硬質炭素膜被
覆材を提供できる。
潤滑が従来に比べて優れ、産業機械、自動車、航空宇宙
機器の部品の性能と寿命の向上に寄与する硬質炭素膜被
覆材を提供できる。
【0055】なお、前記実施例1では中間層2をクロム
により形成したが、クロム以外の元素周期表のIVa族、
Va族、VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元素もし
くはその窒化物、炭化物を用いても同様な効果を発揮す
ることができた。
により形成したが、クロム以外の元素周期表のIVa族、
Va族、VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元素もし
くはその窒化物、炭化物を用いても同様な効果を発揮す
ることができた。
【0056】(実施例2)まず、前述した図3に示す製
造装置のホルダ12に軸受け鋼(JIS:SUJ2)か
らなる基材1を取付け、蒸発源23にシリコンからなる
カソード24を取り付け後、真空容器11を1×10-5
torr以下に真空排気した。つづいて、前記ホルダ1
2に内蔵した加熱ヒータ13により前記基材1を550
℃に加熱した。
造装置のホルダ12に軸受け鋼(JIS:SUJ2)か
らなる基材1を取付け、蒸発源23にシリコンからなる
カソード24を取り付け後、真空容器11を1×10-5
torr以下に真空排気した。つづいて、前記ホルダ1
2に内蔵した加熱ヒータ13により前記基材1を550
℃に加熱した。
【0057】次に、蒸発源23のカソード24とアノー
ド25との間に直流アーク電源26よりアーク放電電圧
を供給しアーク放電を起こさせ、カソード24を局部的
に溶解させてシリコンからなるカソード物質を蒸発さ
せ、蒸気27を基材1に照射し、厚さ0.5μmのシリ
コンからなる中間層2を成膜した。この時の成膜速度
は、0.1μm/分であった。
ド25との間に直流アーク電源26よりアーク放電電圧
を供給しアーク放電を起こさせ、カソード24を局部的
に溶解させてシリコンからなるカソード物質を蒸発さ
せ、蒸気27を基材1に照射し、厚さ0.5μmのシリ
コンからなる中間層2を成膜した。この時の成膜速度
は、0.1μm/分であった。
【0058】次いで、前記蒸発源23の作動を停止し、
イオン源14(カウフマンイオン源)のガス導入管15
からメタンと水素との混合ガス(メタンの比率;15体
積%)を導入し、前記真空容器11を1×10-3tor
rに制御した。この状態でイオン源14を作動させ、加
速電圧500V、イオン電流密度0.5mA/cm2で
イオンビーム16を前記シリコンからなる中間層2に照
射し、厚さ0.8μmの硬質炭素膜3を成膜することに
より前述した図1に示す構造の硬質炭素膜被覆材を製造
した。
イオン源14(カウフマンイオン源)のガス導入管15
からメタンと水素との混合ガス(メタンの比率;15体
積%)を導入し、前記真空容器11を1×10-3tor
rに制御した。この状態でイオン源14を作動させ、加
速電圧500V、イオン電流密度0.5mA/cm2で
イオンビーム16を前記シリコンからなる中間層2に照
射し、厚さ0.8μmの硬質炭素膜3を成膜することに
より前述した図1に示す構造の硬質炭素膜被覆材を製造
した。
【0059】得られた硬質炭素膜被覆材の炭素膜につい
て、ラマンスペクトル分析により調べた。その結果、1
550cm-1付近と1360cm-1付近に広いピークを
示し、なおかつ1333cm-1に小さなダイヤモンドの
ピークが現れた。これより、アモルファス構造の炭素に
50nm程度の粒径の微細ダイヤモンド結晶粒を含んだ
構造の硬質炭素膜であることが確認できた。
て、ラマンスペクトル分析により調べた。その結果、1
550cm-1付近と1360cm-1付近に広いピークを
示し、なおかつ1333cm-1に小さなダイヤモンドの
ピークが現れた。これより、アモルファス構造の炭素に
50nm程度の粒径の微細ダイヤモンド結晶粒を含んだ
構造の硬質炭素膜であることが確認できた。
【0060】また、前記硬質炭素膜のビッカース硬度を
測定した。その結果、72GPaという、アモルファス
構造からなる硬質炭素膜の硬さを遥かに凌ぐ値であっ
た。
測定した。その結果、72GPaという、アモルファス
構造からなる硬質炭素膜の硬さを遥かに凌ぐ値であっ
た。
【0061】さらに、ボールディスク型摩擦特性試験機
にて、相手材のボールを軸受け鋼(JIS:SUJ2)
とし、荷重を2N、速度を0.1m/secとし測定し
た。その結果、摩擦係数はス軸受け鋼基材では0.2、
シリコン膜成膜後で0.3、硬質炭素膜作製後で0.0
8と摩擦係数が低減した。
にて、相手材のボールを軸受け鋼(JIS:SUJ2)
とし、荷重を2N、速度を0.1m/secとし測定し
た。その結果、摩擦係数はス軸受け鋼基材では0.2、
シリコン膜成膜後で0.3、硬質炭素膜作製後で0.0
8と摩擦係数が低減した。
【0062】以上、実施例2によれば耐摩耗、高硬度、
潤滑が従来に比べて優れ、産業機械、自動車、航空宇宙
機器の部品の性能と寿命の向上に寄与する硬質炭素膜被
覆材を提供できる。
潤滑が従来に比べて優れ、産業機械、自動車、航空宇宙
機器の部品の性能と寿命の向上に寄与する硬質炭素膜被
覆材を提供できる。
【0063】なお、前記実施例2では中間層2をシリコ
ンにより形成したが、シリコン以外の元素周期表のIVa
族、Va族、VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元素
もしくはその窒化物、炭化物を用いても同様な効果を発
揮することができた。
ンにより形成したが、シリコン以外の元素周期表のIVa
族、Va族、VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元素
もしくはその窒化物、炭化物を用いても同様な効果を発
揮することができた。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、基
材に対する密着性に優れ、かつ高硬度(70GPa前
後)の硬質炭素膜を有し、産業機械、自動車、航空宇宙
機器の部品の性能と寿命の向上に貢献する硬質炭素膜被
覆材およびその製造方法を提供することができる。
材に対する密着性に優れ、かつ高硬度(70GPa前
後)の硬質炭素膜を有し、産業機械、自動車、航空宇宙
機器の部品の性能と寿命の向上に貢献する硬質炭素膜被
覆材およびその製造方法を提供することができる。
【図1】本発明に係る硬質炭素膜被覆材を示す概略断面
図。
図。
【図2】本発明に係る硬質炭素膜被覆材を製造するため
の装置を示す概略図。
の装置を示す概略図。
【図3】本発明に係る硬質炭素膜被覆材を製造するため
の別の装置を示す概略図。
の別の装置を示す概略図。
1…基材、 2…中間層、 3…硬質炭素膜、 11…真空容器、 12…ホルダ、 13…ヒータ、 14…イオン源、 17…スパッタ源、 19…ターゲット、 23…蒸着源、 24…カソード、 25…アノード。
フロントページの続き (72)発明者 渡辺 俊哉 茨城県つくば市東1丁目1番 財団法人フ ァインセラミックセンター内 Fターム(参考) 4K029 AA02 BA02 BA03 BA06 BA07 BA09 BA10 BA11 BA12 BA13 BA15 BA16 BA17 BA34 BA35 BA55 BA56 BA57 BA58 BA59 BA60 BB02 BB08 BB10 BC02 BD04 CA01 CA03 CA05 EA05 EA08
Claims (4)
- 【請求項1】 基材上に粒径100nm以下の微細ダイ
ヤモンド結晶粒を含むアモルファス構造の硬質炭素膜を
形成してなる硬質炭素膜被覆材。 - 【請求項2】 前記基材表面に元素周期表のIVa族、V
a族、VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元素、もし
くはその窒化物、炭化物からなる中間層を介して前記硬
質炭素膜を形成したことを特徴とする請求項1記載の硬
質炭素膜被覆材。 - 【請求項3】 基材表面に元素周期表のIVa族、Va
族、VIa族、VIII族、IIIb族、IVb族の元素、もしく
はその窒化物、炭化物からなる中間層をスパッタリング
法もしくは蒸着法により形成する工程と、 炭化水素と水素の混合ガスのイオンを発生させるととも
に、そのイオンを加速させて前記中間層に照射する、イ
オンビーム蒸着法により前記中間層上に硬質炭素膜を形
成する工程とを具備することを特徴とする硬質炭素膜被
覆材の製造方法。 - 【請求項4】 前記硬質炭素膜の形成において、前記混
合ガス中に占める炭化水素の比率を2〜30体積%と
し、イオン加速電圧を200〜2000V、基材温度を
400〜800℃にすることを特徴とする請求項3記載
の硬質炭素膜被覆材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001061989A JP2002256414A (ja) | 2001-03-06 | 2001-03-06 | 硬質炭素膜被覆材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001061989A JP2002256414A (ja) | 2001-03-06 | 2001-03-06 | 硬質炭素膜被覆材およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002256414A true JP2002256414A (ja) | 2002-09-11 |
Family
ID=18921202
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001061989A Withdrawn JP2002256414A (ja) | 2001-03-06 | 2001-03-06 | 硬質炭素膜被覆材およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002256414A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008533408A (ja) * | 2005-03-18 | 2008-08-21 | ザ ティムケン カンパニー | 油潤滑のない条件下でローラーベアリングを保護する方法、及びその方法を用いてなるベアリング |
WO2016017438A1 (ja) * | 2014-07-28 | 2016-02-04 | 日本アイ・ティ・エフ株式会社 | カーボン薄膜、それを製造するプラズマ装置および製造方法 |
-
2001
- 2001-03-06 JP JP2001061989A patent/JP2002256414A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008533408A (ja) * | 2005-03-18 | 2008-08-21 | ザ ティムケン カンパニー | 油潤滑のない条件下でローラーベアリングを保護する方法、及びその方法を用いてなるベアリング |
WO2016017438A1 (ja) * | 2014-07-28 | 2016-02-04 | 日本アイ・ティ・エフ株式会社 | カーボン薄膜、それを製造するプラズマ装置および製造方法 |
CN106661715A (zh) * | 2014-07-28 | 2017-05-10 | 日本Itf株式会社 | 碳薄膜、制造其的等离子体装置及制造方法 |
JPWO2016017438A1 (ja) * | 2014-07-28 | 2017-06-08 | 日本アイ・ティ・エフ株式会社 | カーボン薄膜、それを製造するプラズマ装置および製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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