JP2002253709A - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 製造コストを抑えながらも、フェース部の強
度、撓み量及び反発力を最適なものに調整できるゴルフ
クラブヘッドを提供する。 【解決手段】 ゴルフクラブヘッド１のフェース部４の
裏面４２に、同心円状の複数の溝部５１、５２、５３を
設け、各溝部の深さや溝部と溝部との各間隔を適宜調整
する。任意の各所における各溝部の深さを内周部から順
番にＤ１、Ｄ２、Ｄ３とすると、各溝部の深さをＤ１＜
Ｄ２＜Ｄ３の関係に設定して、内周部ほど浅く、外周部
ほど深くする。又、フェース面４１にあるスコアライン
６と裏面４２にある各溝部が重ならないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はゴルフクラブヘッド
に関するものであり、反発力を高めるとともに衝撃に対
する強度を確保するフェース部の構成に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より、金属製で中空部を有するゴル
フクラブにおいては、フェース部の肉厚を薄くすること
で、剛性を低下させフェース部を撓み易くし、フェース
面の反発力を高めて飛距離の向上が図られていた。ま
た、ヘッドを大型化することで、フェース面の高反発の
領域を拡大し、打点位置がばらついた場合でも飛距離の
低下をできる限り防ぐように図られていた。

【０００３】しかし、フェース部の肉厚を薄くすると反
発力が高まる反面、フェース部とボールとが衝突する打
撃時の衝撃に対する強度が低下する。フェース部を等肉
厚で構成する場合は、撓み量が最も大きいフェース部の
中心部を強度の基準として考えると、肉厚を薄くするに
は限界があった。さらに、フェース部の撓み量に関して
述べると、フェース部を等肉厚で構成する場合は、フェ
ース部の中心部の撓み量が最も大きく、周縁部ほど撓み
量が小さくなるので、打点位置がばらついた場合に飛距
離にもばらつきが生じる。

【０００４】そこで、フェース部の反発力及び撓み量を
最適にする目的や、衝撃に対する強度を確保する目的
で、またはその他の目的（フェース部下部の肉厚を厚く
し、ヘッドをより低重心化する目的や、打点の応力分布
を解析して最適な肉厚分布とする目的等）に応じて、フ
ェース部の肉厚を部分的に変化させる手法が試みられる
ようになった。この手法によれば、肉厚を薄くした部分
の軽減化した重量を、ヘッドを大型化するために再配分
できるので、ヘッド重量を変えずにヘッドの大型化を図
ることができる。

【０００５】例えば、特開平９−１９２２７３号には、
フェース部のセンター箇所の肉厚を衝撃に耐えるのに十
分な厚みに形成し、センター箇所周辺の肉厚をセンター
箇所よりも薄くすることで、フェース部全体にバネ性を
持たせながら、ヘッドの大型化を図ることを特徴とする
ゴルフクラブが開示されている。

【０００６】さらに、フェース部の裏面に環状の溝部を
設けることにより、フェース部の反発力を高め、高反発
の領域を拡大する手法もみられるようになった。

【０００７】例えば、特許第２８１３９６９号には、ア
イアンヘッドのフェース部の裏面にヘッドの輪郭に沿っ
た深い溝部を設けることにより、高反発の領域を拡大し
たことを特徴とするゴルフクラブが開示されている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平９−１
９２２７３号のように、フェース部の肉厚を部分的に変
化させる手法は、一般的に等肉厚の素材にプレス加工と
称される比較的弱い圧力による加工ではなく、鍛造製法
と称される強い圧力による加工を用いる必要がある。そ
の場合、強い圧力の大型の鍛造機や強い圧力に耐えうる
金型を作成する必要があり製造コストが高くなるという
問題がある。

【０００９】特許第２８１３９６９号の発明では、フェ
ース部の裏面に複数の溝部を設けること及び溝部を断続
的に設けることが記載されているが、フェース面にある
スコアラインと裏面にある溝部が同じ箇所で重なるよう
に設けてしまうと、その箇所の肉厚が極端に薄くなり、
打撃時の衝撃に対する強度が低下するという問題があ
る。

【００１０】そこで、本発明はゴルフクラブヘッドにお
いて、等肉厚の素材を用いながらも反発力を高め、強度
を損なわないフェース部を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、フェ
ース部の裏面に同心円状の複数の溝部を設けた金属製中
空ゴルフクラブヘッドにおいて、前記溝部の深さを内周
部ほど浅くし、外周部ほど深くしたことを特徴とするゴ
ルフクラブヘッドである。

【００１２】請求項２の発明は、フェース部の裏面に同
心円状の複数の溝部を設けた金属製中空ゴルフクラブヘ
ッドにおいて、前記溝部と溝部との各間隔を内周部ほど
疎にし、外周部ほど密にしたことを特徴とするゴルフク
ラブヘッドである。

【００１３】請求項３の発明は、フェース部のフェース
面にあるスコアラインとフェース部の裏面にある前記溝
部とが重ならないようにしたことを特徴とする請求項１
又は２記載のゴルフクラブヘッドである。

【００１４】

【発明の実施の形態】図１（ａ）は、ゴルフクラブヘッ
ド１のフェース部４の裏面４２に同心円状の複数の溝部
を設け、各溝部の深さを内周部ほど浅く、外周部ほど深
くした実施例の断面図であり、図１（ｂ）は図１（ａ）
中のＸ−Ｘ線断面図である。

【００１５】ヘッド本体２は金属製であり、中空部３を
有する。フェース部４の肉厚は全体的に等肉厚とし、そ
の厚みＴは打撃時の衝撃に対して十分な強度を確保する
ことができる厚みとする。

【００１６】フェース部４の裏面４２に、同心円状の複
数の溝部をプレス加工や彫刻によって設ける。図１の実
施例は溝部を３本設けた場合であり、各溝部は内周部か
ら順番に５１、５２、５３とする。同一の溝部において
は、溝の深さ及び溝の幅は全周にわたって略均一となる
ようにする。例えば、溝部５１の深さ及び幅は、その全
周にわたって、略均一である。溝部と溝部との各間隔は
略等しくしている。任意の箇所における溝部５１と溝部
５２の間隔をＷ１、溝部５２と溝部５３の間隔をＷ２と
した場合、Ｗ１とＷ２は略等しくする。各溝部の深さは
内周部ほど浅く、外周部ほど深くなっている。任意の箇
所における各溝部の深さを内周部から順番にＤ１、Ｄ
２、Ｄ３とした場合、各溝部の深さはＤ１＜Ｄ２＜Ｄ３
とする。

【００１７】前記のように等肉厚のフェース部の裏面に
各溝部を設けると、図５に示す凸状に肉厚を変化させた
従来ゴルフクラブヘッドのフェース部と同様の効果が得
られる。図５に示すゴルフクラブヘッドについて説明す
ると、フェース部４の中心部７の肉厚は打撃時の衝撃に
対する強度を十分確保できる厚みに構成されており、周
縁部８の肉厚は中心部７に比べ薄く構成されているの
で、打撃時にフェース部４全体が撓み、フェース面全体
の反発力が高まる。また、このような肉厚に構成すると
等肉厚のフェース部に比べて、フェース部の中心部は撓
み難く、周縁部は撓み易くなるので、中心部と周縁部に
おける撓み量の差が低減され、フェース部全体の撓み量
がより均等なものに近づく。

【００１８】図１に示す実施例では、フェース部４の厚
みＴは、もとより打撃時の衝撃に対して十分な強度を確
保する厚みであり、加えてフェース部４の裏面４２に設
けた各溝部の深さが内周部ほど浅く、外周部ほど深く構
成されているので、図５に示したフェース部と同様に、
中心部の強度を確保しながらも打撃時にフェース部４全
体が撓み、フェース面全体の反発力を高めることができ
る。また、フェース部全体の撓み量においても、図５で
説明したところと同様の効果が得られる。

【００１９】なお、図１では、溝部を５１、５２、５３
の３本で構成したが、フェース部の強度、撓み量及びフ
ェース部全体の反発力をより最適なものに調整するため
に、２本もしくは３本以上の複数で構成することも任意
である。

【００２０】図２（ａ）は、フェース部４の裏面４２に
設けた溝部と溝部との各間隔を、内周部ほど疎にし、外
周部ほど密にした実施例の断面図であり、図２（ｂ）は
図２（ａ）中のＸ−Ｘ線断面図である

【００２１】等肉厚のフェース部４の裏面４２に、同心
円状の複数の溝部を設ける。図２の実施例は溝部を５本
設けた場合であり、各溝部は内周部から順番に５１、５
２、５３、５４、５５とする。フェース部４の厚みＴ及
び各溝部を設ける手段は、図１で説明したところと同様
である。また、同一の溝部における溝の深さ及び幅は図
１で説明したところと同様である。

【００２２】溝部と溝部との各間隔は内周部ほど疎であ
り、外周部ほど密になっている。任意の箇所における溝
部と溝部との各間隔を内周部から順番にＷ１、Ｗ２、Ｗ
３、Ｗ４とした場合、溝部と溝部との各間隔はＷ１＞Ｗ
２＞Ｗ３＞Ｗ４とする。また、任意の箇所における各溝
部の深さＤは略等しくなっている。

【００２３】前記のように等肉厚のフェース部の裏面に
各溝部を設けると、図１の実施例及び図５のゴルフクラ
ブヘッドと同様に、中心部の強度を確保しながらも打撃
時にフェース部４全体が撓み、フェース面全体の反発力
が向上する。また、フェース部全体の撓み量において
も、中心部と周縁部における撓み量の差が低減され、フ
ェース部全体の撓み量がより均等なものに近づく。

【００２４】なお、図２では、溝部を５１、５２、５
３、５４、５５の５本で構成したが、図１で説明したと
ころと同様の目的で、４本以下の複数もしくは５本以上
の複数で構成することも任意である。

【００２５】また図示はしないが、図１で説明した各溝
部の深さを内周部ほど浅く、外周部ほど深くする構成
と、図２で説明した溝部と溝部の各間隔を内周部ほど疎
にし、外周部ほど密にする構成を組み合わせて、各溝部
を構成することもできる。このように構成すると、フェ
ース部の強度、撓み量及びフェース部全体の反発力をよ
り最適なものに調整できるので、設計の自由度が向上す
る。

【００２６】次に、フェース面のスコアライン又は裏面
の各溝部を断続的に設ける場合の各々の端部について説
明する。

【００２７】前記図１及び図２の各実施例において、フ
ェース面のスコアラインと裏面の各溝部とが重なるよう
に同じ箇所に設けてしまうと、その箇所の肉厚が極端に
薄くなる。従って、打撃時の衝撃に対する強度を考慮す
ると、フェース面のスコアラインと裏面の各溝部とは重
ならないように設けることが望ましい。

【００２８】さらに詳しく説明すると、図１及び図２に
示すように、裏面４２に設けた同心円状の各溝部が無端
状で構成される場合は、フェース面４１のスコアライン
６は、裏面４２の各溝部と重ならないように断続的に設
ける。このようにすれば、フェース部４の任意の箇所で
肉厚が極端に薄くなることがないので、フェース部４
は、打撃時の衝撃に対する強度をより確保することがで
きる。

【００２９】または、図３に示すように、フェース面の
スコアライン６が無端状の直線で構成される場合は、溝
部５１、５２を断続的に設ける。図３では最外周の溝部
５３が無端状になっているが、スコアライン６の端部が
溝部５３に達する場合は、溝部５３も断続的に設ける。

【００３０】また、図４に示すように、スコアラインと
溝部のそれぞれを任意の箇所で断続的にし、互いに重な
らないようにすることもできる。

【００３１】打撃時のボールとの衝突の回数を考える
と、少なくともフェース部の中心部の領域においては、
前記のようにフェース面にあるスコアラインと裏面にあ
る各溝部とが重ならないように構成することが望まし
い。

【００３２】前記の各溝部は、同一の溝部においては、
全周にわたって深さが略均一であるとしたが、必要に応
じて強度が必要な部分は浅く、そうでない部分は深くす
ることもできる。また、金属製中空構造のゴルフクラブ
であれば、ウッド型のヘッドに限らず、アイアン型のヘ
ッドにおいても本発明は実施可能である。

【００３３】

【発明の効果】本発明のゴルフクラブのフェース部は、
等肉厚の素材を用いながらも、裏面に同心円状の複数の
溝部を設けることで、凸状に肉厚を変化させたフェース
部と同様の効果を発揮する。加工の際に鍛造製法ではな
くプレス加工等を用いるので、製造コストを抑えること
ができる。

【００３４】また、各溝部の深さ及び溝部と溝部との各
間隔を適宜調整することで、フェース部の強度、撓み量
及びフェース部全体の反発力をより最適なものに調整で
き、設計の自由度が向上する。

【００３５】少なくともフェース部の中心部の領域にお
いては、フェース面にあるスコアラインと裏面にある各
溝部とが重ならないように構成すれば、衝撃に対する強
度をより確保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ）は本発明に係るゴルフクラブヘッド
の一実施例を示す断面図であり、図１（ｂ）は図１
（ａ）中のＸ−Ｘ線断面図である。

【図２】図２（ａ）は本発明に係るゴルフクラブヘッド
の他の実施例を示す断面図であり、図２（ｂ）は図２
（ａ）中のＸ−Ｘ線断面図である。

【図３】本発明に係るゴルフクラブヘッドの他の実施例
を示す断面図である。

【図４】本発明に係るゴルフクラブヘッドの他の実施例
を示す断面図である。

【図５】図５（ａ）は従来のゴルフクラブヘッドを示す
断面図であり、図５（ｂ）は図５（ａ）中のＸ−Ｘ線断
面図である。

【符号の説明】

１ ゴルフクラブヘッド ２ ヘッド本体 ３ 中空部 ４ フェース部 ４１ フェース面 ４２ 裏面 ５１ 溝部 ５２ 溝部 ５３ 溝部 ５４ 溝部 ５５ 溝部 ６ スコアライン ７ 中心部 ８ 周縁部 Ｔ 厚み Ｗ１ 間隔 Ｗ２ 間隔 Ｗ３ 間隔 Ｗ４ 間隔 Ｄ 深さ Ｄ１ 深さ Ｄ２ 深さ Ｄ３ 深さ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フェース部の裏面に同心円状の複数の溝部
   を設けた金属製中空ゴルフクラブヘッドにおいて、前記
   溝部の深さを内周部ほど浅くし、外周部ほど深くしたこ
   とを特徴とするゴルフクラブヘッド。
2. 【請求項２】フェース部の裏面に同心円状の複数の溝部
   を設けた金属製中空ゴルフクラブヘッドにおいて、前記
   溝部と溝部との各間隔を内周部ほど疎にし、外周部ほど
   密にしたことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
3. 【請求項３】フェース部のフェース面にあるスコアライ
   ンとフェース部の裏面にある前記溝部とが重ならないよ
   うにしたことを特徴とする請求項１又は２記載のゴルフ
   クラブヘッド。