JP2002251101A - 電子写真画像形成装置の定着ローラー組立体及びその製造方法 - Google Patents

電子写真画像形成装置の定着ローラー組立体及びその製造方法

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    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒートパイプ原理を適用して,熱的分布が改
善され,しかも省力及び瞬間加熱が可能な,電子写真画
像形成装置の定着ローラー組立体を提供する。 【解決手段】 電子写真画像形成装置の定着ローラー組
立体210は,軸方向に空洞を具備する管状の定着ロー
ラー212と,定着ローラー212の内部に同軸上に位
置し,両端が密封されて真空状態を維持できるチャンバ
を具備するヒートパイプ262と,空洞内部の円筒状表
面と円筒状ヒートパイプの外面との間に同軸上に介在さ
れ,円筒状ヒートパイプの外面を螺旋状に巻き包む電気
伝導性発熱コイル213とを含む。ヒートパイプはその
内部に,所定量の作動流体214が収容され,密閉され
ている。定着ローラー212の表面は,目標定着温度に
瞬間的に加熱される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,電子写真画像形成
装置の定着ローラー組立体に係り,より詳細には省力及
び瞬間加熱が可能な電子写真画像形成装置の定着ローラ
ー組立体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に,電子写真現象方式を利用する電
子写真画像形成装置,例えば複写機,レーザービームプ
リンタ等は,感光ドラムに隣接している帯電ローラが回
転しつつ感光ドラムの外周面上に形成された感光体を均
一に帯電させる。感光体は,露光走査部(LSU;Lase
r Scanning Unit)からのレーザービームにより与えら
れたパターンで露光される。そしてこの露光により,感
光体の表面に所望の静電潜像が形成される。
【0003】現像器は感光体にトナーを供給し,感光体
に形成された静電潜像を可視像の粉末状態のトナー画像
に現像する。そして,感光ドラムに所定の圧力で接触さ
れる転写ローラと,トナー画像が形成された感光ドラム
との間に所定の転写電圧が印加される。この状態でこれ
らの間を記録媒体の用紙が通過すると,感光体に形成さ
れているトナー画像が用紙に転写される。
【0004】定着ローラーを含む定着部は,トナー画像
が転写された用紙を加熱して,粉末状態のトナー画像を
一時的な溶融により用紙に融着させる。定着部の熱源と
しては,一般にハロゲンランプが使われる。ハロゲンラ
ンプは,定着ローラー内側に設けられた状態で,輻射熱
により定着ローラーの表面を決められた温度に加熱す
る。
【0005】ハロゲンランプを熱源として使用する従来
の電子写真形成装置の定着ローラーでは,定着ローラー
の外面は熱をもたなければならない。従って,定着ロー
ラーはハロゲンランプからの輻射熱により内側から加熱
される。加圧ローラーは定着ローラーの下部に位置して
いる。粉末状のトナー画像が載せられている記録用紙が
定着ローラーと加圧ローラーとの間を通過するとき,記
録用紙は加熱及び加圧され,定着ローラー及び加圧ロー
ラーからの熱と力により融着される。
【0006】加熱の制御は,定着ローラーの表面温度を
電気的信号で検出するサーミスタ(Thermistor)や,ハ
ロゲンランプへの電源を遮断するサーモスタットが適用
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の定着ローラー組
立体の他の設計では,可撓性円筒状フィルムチューブの
下部に位置する加熱板,及びこの加熱板の下部側に装着
される加圧ローラーとを使用している。
【0008】前記フィルムチューブは別の回転装置によ
り回転され,加熱プレートと加圧ローラーとの間で局部
的に変形されつつ加熱される。このように,加熱プレー
トによりフィルムチューブを局部的に加熱する方式は,
消費電力が少ないという長所はある。しかし,高速印刷
には適用し難い短所を有する。
【0009】日本国特許出願昭58-163836号(1
983.9.16;日付は出願日。以下同じ。),同平3-
107438号(1991.5.13),同平3-1364
78号(1991.6.7),同平5-135656号(19
93.6.7),同平6-296633号(1994.11.
30),同平6-316435号(1994.12.20),
同平7-65878号(1995.3.24),同平7-10
5780号(1995.4.28),同平7-244029
号(1995.9.22),同平8-110712号(199
6.5.1),同平10-27202号(1998.2.9),
同平10-84137号(1998.3.30),及び同平
10-208635号(1998.7.8)は,いずれもヒ
ートパイプを適用した定着ローラー組立体を開示する。
【0010】これらヒートパイプを適用した定着ローラ
ー組立体は,瞬間加熱が可能なために消費電力を少なく
する。また,待機状態と印刷動作との間を転換する際の
遅延時間が短い。
【0011】また,日本国特許出願平5-135656
号,同平10-84137号,同平6-29663号,及
び同平10-208635号に開示された定着ローラー
組立体は,定着領域を外れた定着ローラーの一側端部に
設けられる相異なる形の熱源を使用する。これら定着ロ
ーラー組立体の熱源の配置構造は,定着ローラー組立体
の全体の大型化及び構造の複雑化を招く。従って,これ
ら定着ローラー組立体は,構造的な複雑性が改善される
必要がある。
【0012】また,日本国特許出願昭58-16383
6号,同平3-107438号,同平3-136478
号,同平6-316435号,同平7-65878号,同
平7-105780号,及び同平7-244029号に開
示された定着ローラー組立体は,定着ローラーの内部に
設けられる熱源を有する。このため,前述したように装
置全体の大型化はあまり問題にならない。しかし,定着
ローラーに対して局部的なヒートパイプが複数設けられ
る構造を有する。このため,加工及び製造が非常に複雑
な欠点を有する。またヒートパイプが局部的に配置され
ている構造を有するため,ヒートパイプの接触部分と非
接触部分との間に温度偏差が生じる欠点を有する。
【0013】図23は,一般の電子写真画像形成装置を
示す斜視図である。装置は,用紙引出し部1,操作部
2,コントロールボードカーバー3,上カーバー開きボ
タン4,用紙表示窓5,多用途給紙窓6,用紙カセット
7,オプションカセット8,補助支持台9を備える。
【0014】また,図24は,ハロゲンランプが熱源と
して適用された従来の電子写真画像形成装置の定着ロー
ラー組立体の,概略的な縦断面図である。図25は,図
24に示されたハロゲンランプを熱源として適用した,
従来の電子写真画像形成装置の定着ローラー組立体,及
び加圧ローラーの関係を示す縦断面図である。
【0015】図24を参照すれば,従来の定着ローラー
組立体10は,円筒状の定着ローラー11及びその内部
中央に設けられるハロゲンランプなどの発熱部12を具
備する。定着ローラー11の外面が熱を放出するよう
に,定着ローラー11は発熱部12からの輻射熱により
内部から外部に加熱される。
【0016】図25を参照すれば,その表面にテフロン
(登録商標)によるコーティング層11aが形成された
定着ローラー11の下部には,加圧ローラー13が位置
する。加圧ローラー13は,スプリング装置13aによ
り弾力的に支持され,定着ローラー11と加圧ローラー
13との間を通過する用紙14を,定着ローラー11に
所定の圧力で加圧する。用紙14には粉末状態のトナー
画像14aが形成されており,定着ローラー11と加圧
ローラー13との間を通過しながら所定の圧力及び熱に
より加圧,加熱される。すなわちトナー画像14aは,
定着ローラー11及び加圧ローラー13による所定温度
の熱及び圧力により,用紙14に融着される。
【0017】定着ローラー11の一側には,定着ローラ
ー11の表面温度を電気的信号で検出するサーミスタ1
5及びハロゲンランプなどの発熱部12に対する電源を
遮断する,サーモスタット16が設けられる。定着ロー
ラー11の表面温度が所定の臨界値を越えたとき,サー
モスタット16は発熱部12に対する電源を遮断する。
【0018】サーミスタ15は,定着ローラー11の表
面温度を検出してプリンタの制御部(図示せず)に伝送
する。制御部は,検出温度によって発熱部12のハロゲ
ンランプに対する電源を制御して,定着ローラー11の
表面温度を所定の範囲内で維持する。サーモスタット1
6は,サーミスタ15及び制御部による定着ローラー1
1の温度調節が失敗したとき,定着ローラー11及び隣
接要素を保護するための過熱防止手段としての役割を果
たす。
【0019】上記のように,熱源としてハロゲンランプ
を適用する従来の定着ローラー組立体は,無駄な電力を
多く消費する。特に,画像形成のために電源を投入した
とき,かなり長時間のウォーミングアップを要する。す
なわち,電源を投入した後,定着ローラー11が所望の
目標温度に到達するまで数十秒から数分の待機時間が必
要である。従来の定着ローラー組立体においては,熱源
からの輻射熱により定着ローラーが加熱されるために熱
伝逹率が低い。特に,用紙が接触しているときの温度低
下による温度偏差の補償が遅い。このため,定着ローラ
ー11の温度散布を均一に制御し難い。また,印刷の動
作が停止した待機モードでも,定着ローラー11の温度
を一定に維持させるために,電力を熱源に一定の周期で
印加しなければならない。このため,無駄な電力消耗が
起きる。また,待機状態から画像出力のための動作モー
ドに転換するのにも相当な時間がかかる。このため,速
い画像出力を達成できない問題点がある。
【0020】図26は,電子写真画像形成装置に適用さ
れる従来の定着ローラー組立体の概略の断面図である。
可撓性の円筒状フィルムチューブ21の内側下部に加熱
プレート22が設けられる。そして,加熱プレート22
の直下に,加圧ローラー23が設けられている。フィル
ムチューブ21は,別の回転装置により回転され,加熱
プレート22と加圧ローラー23との間で,局部的に変
形しつつ加熱される。このように,加熱プレート22に
よりフィルムチューブ21が局部的に加熱される方式に
省力性はある。しかしこの局部的加熱方法は,高速印刷
のためには不適切である。
【0021】本発明は,上記従来の電子写真画像形成装
置の定着ローラーの問題点を解決するためになされたも
のであり,以下の事項を目的とする。
【0022】本発明の目的は,電子写真画像形成装置及
びその製造方法を提供することにある。
【0023】また,本発明の他の目的は,改善された定
着ローラー及びその製造方法を提供することにある。
【0024】また,本発明の他の目的は,定着ローラー
の局部的な温度偏差がきわめて低減して全体的な熱的分
布が改善された電子写真画像形成装置用定着ローラー組
立体とその製造方法を提供することにある。
【0025】また,本発明の他の目的は,定着ローラー
組立体の極大化を抑え,製造しやすい電子写真画像形成
装置用定着ローラー組立体及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0026】また,本発明の他の目的は,短時間内に待
機状態から印刷状態に進みうる定着ローラー及びその製
造方法を提供することにある。
【0027】また,本発明の他の目的は,エネルギー効
率が高い定着ローラー及びその製造方法を提供すること
にある。
【0028】また,本発明の他の目的は,短時間内に定
着ローラーの温度を常温から動作温度に変化させうる組
立体を具備し,感光体上に形成されたトナーによる静電
潜像を融着する工程,定着ローラーを構成する工程,及
び定着ローラーを提供することにある。
【0029】また,本発明の他の目的は,短時間内に定
着ローラーの温度を常温から動作温度に変化させうる組
立体を具備し,感光体上に形成されたトナーによる静電
潜像を融着する工程,定着ローラーを構成する工程,及
び定着ローラーを提供することにある。
【0030】さらに,本発明の他の目的は,定着ローラ
ーの円筒状外面上の局部的な温度偏差を最小化して改善
された熱平衡を有する定着ローラー組立体を設け,感光
体上に形成されたトナーによる静電潜像を融着する工
程,定着ローラーを構成する工程,及び定着ローラーを
提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の電子写真画像形成装置の定着ローラー組立体
は,軸方向に空洞を具備する管状の定着ローラーと,定
着ローラーの内部に同軸上に位置し,両端が密封されて
真空状態を維持できるチャンバを具備するヒートパイプ
と,空洞内部の円筒状表面と円筒状ヒートパイプの外面
との間に同軸上に介在され,円筒状ヒートパイプの外面
を螺旋状に巻き包む電気伝導性発熱コイルとを含むこと
を特徴とする。
【0032】ヒートパイプの内部空洞内には,所定量の
作動流体が収容されている。ヒートパイプは管状の定着
ローラーの内部空洞に同軸に設けられ,発熱部は定着ロ
ーラーの円筒状内面とヒートパイプとの間に位置してヒ
ートパイプの円筒状外面を螺旋状に包む。
【0033】このような構成により,定着ローラーの局
部的な温度偏差がきわめて低減して全体的な熱的分布が
改善された電子写真画像形成装置用定着ローラー組立体
が提供できる。
【0034】また,上記目的を達成するための本発明の
電子写真画像形成装置の定着ローラー組立体の製造方法
は,中央及び軸方向に内部空洞を有する管状の定着ロー
ラーを形成する段階と,内部チャンバを有するヒートパ
イプを形成する段階と,円筒状ヒートパイプの外面を軸
方向に沿って電気伝導性発熱コイルが螺旋状に巻き包む
ヒートパイプを内部空洞内に同軸上に位置させるために
ヒートパイプを定着ローラーに挿入する段階と,内部チ
ャンバを排気する段階と,内部チャンバを所定量の作動
流体で部分的に充填する段階と,内部チャンバを密封す
る段階と,コイルを通じて電気的な連結を提供する段階
とを含むことを特徴とする。
【0035】このような工程により,定着ローラーの局
部的な温度偏差がきわめて低減して全体的な熱的分布が
改善された電子写真画像形成装置用定着ローラー組立体
が製造できる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下,添付した図面を参照して本
発明の望ましい実施形態について詳細に説明する。
【0037】(第1の実施形態)図1は,本発明の定着
ローラー組立体の第1の実施形態が適用された電子写真
画像形成装置の定着部を示す図である。また,図2は,
図1に示された第1の実施形態に係る定着ローラー組立
体の構造を,概略的に示す部分斜視図である。そして,
図2の円内は,図2の上部に示された抵抗加熱コイル2
13の一部分を拡大した断面図である。また,図3,図
4,及び図5は,第1の実施形態の原理による定着ロー
ラー組立体の,設置段階を順次示す図である。また,図
6は,図1及び図2に示された第1の実施形態に係る定
着ローラー組立体の内部構造を示す概略的横断面図であ
る。
【0038】図1及び図2を参照すれば,定着部200
は,トナー画像231aが形成された用紙231が排出
される方向,すなわち,図面で時計回りに回転する定着
ローラー組立体210と,定着ローラー組立体210と
接触して逆時計回り回転する加圧ローラー220とを具
備する。
【0039】定着ローラー組立体210は,表面にテフ
ロンコーティング等による保護層211が形成された管
状の定着ローラー212,及びこの内部空間に収容され
る発熱部260とを具備する。定着ローラー212の上
部には,定着ローラー212の表面温度を検知するサー
ミスタ230が設けられている。
【0040】発熱部260は,外部電源供給装置(図示
せず)から供給された電源を利用して熱を生じるよう
に,定着ローラー212の内側に設けられている。発熱
部260は,所定圧力を維持するように両端部はエンド
キャップ264によって密閉されており,外側には発熱
体213により巻かれている内部ヒートパイプ262を
具備する。内部ヒートパイプ262は,所定体積比の作
動流体214を収容する。
【0041】定着ローラー212,及び保護層211の
表面温度を検知するためのサーミスター230が,保護
層211に物理的に直接接触し,定着ローラー212の
上側に設けられている。定着ローラー212,及び保護
層211の表面温度が激しく上昇する場合に電源供給部
の電源を遮断して過熱を防止するサーモスタット240
が,定着ローラーの上側に設けられている。
【0042】発熱体213は,外部電源供給装置から電
源を供給されて熱を生じる。望ましくは,定着ローラー
212の内側に接触し,内部ヒートパイプ262の外側
に接触するように螺旋状の抵抗発熱コイルにする。
【0043】定着ローラー212の内部空洞242によ
って形成される内部空間には,発熱部260が位置して
いる。発熱体213は,定着ローラー212の内側面に
直接物理的に接触しながら,内部空洞242に沿って設
けられた螺旋状の発熱コイルが巻かれる。
【0044】発熱体213は,鉄-クロム合金(Fe-Cr)
または,ニッケル-クロム合金(Ni-Cr)などの電気的抵
抗物質により形成された発熱線213a,及びこれを保
護する酸化マグネシウム(MgO)による電気的絶縁物質
で形成された絶縁性被覆層213bとを含む。発熱部2
13の絶縁性被覆層213bは,後述する作動流体21
4内で温度変化や経時変化から発熱線213aが変形し
たり特性が変化するのを防止する。
【0045】ステンレススチールのように比較的不活性
な物質により形成された外部被覆層213bは,絶縁層
213cの周りに保護膜を形成する。
【0046】発熱線213aの両端は,定着ローラー2
12の両端で電気的に連結されるように,絶縁性被覆層
213bでは被覆されていない。
【0047】絶縁性被覆層213bの両端は,酸化マグ
ネシウムで形成された絶縁層213cが,空気に露出さ
れることを防止するために封印部213dで仕上げられ
る。封印部213dは,耐熱性,耐食性,及び耐久性が
向上するようにジルコニアセラミック(ZrO2)よりなる
ことが望ましい。発熱体213の抵抗は,AC電源22
0Vに対して25ないし40Ωの範囲内の値を有し,A
C電源110Vに対して5ないし20Ωの範囲内の値を
有することが望ましい。
【0048】図3,図4,及び図5に示したように,定
着ローラー212の内部円筒状表面246の半径方向に
対向する内部壁間の距離は,d1である。このとき,発
熱体213の外面は,d2の直径を有する。図3に示さ
れたように,発熱体213は,ヒートパイプ262の軸
方向にその外面に巻き包まれるように設けられている。
発熱体213の平均外径は,d1よりやや小さいd2であ
る。図4に示されたように,発熱体213を縮径するよ
うに発熱体213の同軸的に相反した方向から電極21
5に力Fが加わる。このとき,発熱体213を具備した
発熱部262は,定着ローラー212の内部空洞242
に挿入される。
【0049】図5に示されたように,力Fを除去したと
き,発熱体213の各ループの外面は,定着ローラー2
12内部の周辺表面と物理的かつ熱的に直接接触する。
力Fの除去は,円筒状の外径d1が定着ローラー212
の内径と同一であるとみなされる。発熱体213の隣接
したループ間のピッチx1,x2は,相異なっていてもよ
い。より重要なことは,発熱体213の外面の大部分ま
たはあらゆる外面が,定着ローラー212の内面と物理
的かつ熱的に直接接触する状態にあることである。
【0050】図4及び図5に示されたように,まず発熱
部260は,転写ローラ212の内部空洞242に設け
られた後,発熱体213の内面がヒートパイプ262の
外面と物理的に直接接触する。これと同時に,定着ロー
ラー212の内面246に物理的または熱的に直接接触
するまでヒートパイプ262の内部に空気圧力を加え
て,ヒートパイプ262の円筒状壁を半径方向に拡張さ
せる。その後,ヒートパイプ262の内部空洞に所定量
の作動流体214を充填し,ヒートパイプ262は所定
圧力で密封する。
【0051】ヒートパイプ262の密封された内部空間
には,作動流体214が収容される。作動流体214
は,ヒートパイプ262の内部空洞268に対して5%
〜50%,望ましくは5%〜15%の体積を占めるよう
にする。作動流体214は,ヒートパイプの原理に基づ
き,発熱体213から生じうる定着ローラー212表面
の局部的な表面温度偏差を防止する。そして,従来の組
立体に比べて,短時間内に定着ローラー212及びヒー
トパイプ262の全体を均一に加熱する熱的媒体の役割
を果たす。作動流体214が占める体積が5%未満の場
合には,作動流体は十分に気化されず,そして気化直後
に液化されてしまう「ドライアウト現象」が生じる可能
性が高くなる。
【0052】ヒートパイプ262は,SUS304など
のステンレススチール,または銅合金で形成できる。こ
こで銅合金とは,銅を主成分とする合金をいい,純銅も
含む。ヒートパイプ262がステンレススチールである
場合,作動流体として水,すなわち蒸留水を除外した公
知の大部分の作動流体が使用できる。作用流体として水
に代えて最も好ましいのは,3M社のFC−40であ
る。一方,ヒートパイプ262が銅合金で形成される場
合,ほとんどの公知の作動流体が適用できる。銅合金の
ヒートパイプ262の場合,水,すなわち蒸留水が最も
好まれる作動流体である。
【0053】図6を参照すれば,ヒートパイプ262の
両端には,ヒートパイプ262の内部空洞を密閉して真
空気密内部空洞268を形成するエンドキャップ264
が結合されている。発熱体213の軸上の両端部は,軸
方向にヒートパイプ262を通過してさらに延びる電極
215を形成し,発熱体213に電流を提供するスリッ
プリング(図示せず)などの電気的接触部に結合され
る。非導電性ブッシング及びギア接続用キャップが定着
ローラー212の外部円筒状表面に装着できる。電極2
15は,発熱部260の発熱体213の両端リード部分
に電気的に連結される。発熱体213と電極215との
連結構造が具体的に示されていないが,このような構造
は容易に具現可能である。
【0054】前記のような構造を有する定着ローラー組
立体210は,別に設けられた回転装置によって回転す
る。この目的のために,付加的な部品が設けることがで
きる。例えば,ギア接続用キャップは,定着ローラー組
立体210を回転させるのに必要な平ギアを結合するた
めの付加的部品である。
【0055】第1の実施形態の原理によって構成された
電子写真画像形成装置の定着部200において,電源供
給部からの電極215を通じて発熱体213に電流が供
給されれば,発熱体213の斜線コイルを通じて電流が
流れ,発熱体213に熱が生じる。この熱により,定着
ローラー212は内側から外側に向かって加熱される。
これと同時に,ヒートパイプ262の内部に収容された
作動流体214は,熱により気化される。発熱体213
で生じた熱が定着ローラー212の円筒状壁面に伝達さ
れ,これと同時に,気化された作動流体214により定
着ローラー212の胴体が均一に加熱される。従って,
定着ローラー212の表面温度が定着に必要な目標温度
まで,短時間に到達する。
【0056】銅合金またはステンレススチールにより形
成された穿孔層あるいは金属スクリーンよって毛細管と
しての役割をするウィック244を円筒状内に形成し,
ヒートパイプ262の内部内面266に沿って位置する
ことができる。ヒートパイプ262を構成する材料とし
て使うことができる物質を表2に記載する。また,前述
したFC−40や,水(蒸留水),または他に後述され
る表3に記載するような物質などが作動流体214とし
て使うことができる。作動流体として水(蒸留水)が使
われる場合,低コストで環境にやさしい利点がある。
【0057】定着ローラー212の温度がトナー画像の
定着に必要な目標温度に到達すれば,トナー画像は用紙
に転写される。このとき,トナー画像が定着される用紙
が定着ローラー212から熱を吸収する。このため,気
化された作動流体は,ヒートパイプ262の内部空洞2
68で再び液状に変わる。液化された作動流体は連続し
て発熱部260により加熱されて気化され,これにより
定着ローラー212の温度は所定温度に維持される。
【0058】正常なトナー画像の定着温度が160〜1
80℃である場合,第1の実施形態に係る定着ローラー
組立体は,約10秒以内に目標温度に到達する。そし
て,定着ローラー212の表面温度は,サーミスタ23
0により検知される定着ローラー212の表面温度に対
応して,発熱体213に断続的な電流供給により所定の
温度範囲内で維持される。もしサーミスタ230及び制
御部による定着温度調節が失敗して定着ローラー212
の表面温度が急上昇しても,定着ローラー212の円筒
状表面に近接して設けられたサーモスタット240が定
着ローラー212の温度を検知し,過熱防止のために発
熱体213に対する電源供給が遮断される。このような
電源供給動作は,目標温度によって可変である。また電
源供給動作は,周期的なオン/オフ制御,またはデュー
ティサイクル比などの制御技術により制御可能である。
【0059】上述した構造の第1の実施形態の定着ロー
ラー組立体は,次のような段階を通じて製造できる。 a) 定着ローラーのための物質として金属パイプを備
える段階と, b) ヒートパイプのための構造として金属チューブを
備える段階と, c) 金属パイプ及び金属チューブの露出面を蒸留水や
揮発性液体で洗浄する段階と, d) 螺旋状の抵抗発熱コイルの露出面を蒸留水や揮発
性液体で洗浄する段階と, e) 外径が金属パイプの内径と同一か,あるいは内径
よりやや大きくなるように螺旋状の発熱コイルで管状の
ヒートパイプを巻き包む段階と, f) 選択的に,前記ヒートパイプ内部の円筒状表面に
円柱状に形成されたウィックを挿入する段階と, g) ヒートパイプを螺旋状に巻き包む抵抗発熱コイル
の両端リードをヒートパイプの外側に取り出した状態で
作動流体注入に必要な部分を除外した部分をエンドキャ
ップにより密封する段階と, h) 前記金属パイプの内部に同軸で螺旋状の発熱コイ
ルより巻き包まれたヒートパイプを挿入する段階と, i) 螺旋状に巻かれた発熱コイルが前記定着ローラー
内部の円筒状表面及び円筒状ヒートパイプの外面と直接
物理的かつ熱的に接触され,前記定着ローラー内部の円
筒状表面と円筒状ヒートパイプの外面との間の半径方向
の空気層が最小になるまで前記ヒートパイプを半径方向
に膨脹させるために高圧の不活性ガスを前記ヒートパイ
プ内に注入して膨脹させる段階と, j) 金属パイプの内部空洞に真空を形成するために金
属パイプの内部空間からガスを排出するように金属パイ
プを加熱,冷却,排出させることによってヒートパイプ
の内部空間から不要なガスを除去する段階と, k) 作動流体注入部を通じて5〜50Vol%の作動流
体(FC−40または蒸留水)を,前記ヒートパイプの
内部空洞に注入する段階と, l) 前記ヒートパイプの作動流体注入部を密封する段
階と, m) 前記定着ローラーの表面に保護層を形成させるた
めに前記金属パイプ表面にテフロンなどをスプレー法な
どでコーティングした後に,乾燥,研磨する段階と, n) 軸受として非導電性ブッシングを定着ローラーの
一側端部に挿入する段階と, o) 金属製,耐熱性プラスチック類,エポキシ類など
で製造されたギア装着用キャップを金属パイプにより形
成された定着ローラーの一端部に設ける段階とである。
【0060】定着ローラー組立体の製造でウィックが使
われる場合,ウィックを挿入した後に金属パイプの両端
にエンドキャップ264を熔接するときは,ヒートパイ
プの酸化防止のために金属パイプ内部空洞268にアル
ゴンガスが作動流体注入部分を通じて注入される。作動
流体が注入される前に,内部空洞268から不要なガス
が内部空洞268から除去され,ヒートパイプの内部は
真空化される。そして,真空状態でヒートパイプ内部の
あらゆるガスが排出されるように加熱及び冷却されるこ
とによって,実質的にヒートパイプ内面に付着されたガ
スなどの異物を除去する。
【0061】例えば,内部空洞268をパージする工程
で,ヒートパイプは40気圧の内部圧力下で250℃ま
で加熱しなければならない。常温で,内部空洞268は
絶対圧力,すなわち内部空洞268には,いかなる分子
もほとんど存在しないようにする。
【0062】図7,図8は,図6に示された第1の実施
形態の熱的動作モードを説明する図である。発熱体21
3の各巻取部は,矢印Kで表示される熱伝導によって定
着ローラー212,またはヒートパイプ262を直接加
熱し,そして矢印Lで表示される発熱体213の隣接す
る巻取部間の空気層Aを間接的に加熱する。また,発熱
体213の各巻取部の半径方向位置に依存して,巻取部
は矢印Mで表示される輻射熱によって,作動流体214
または定着ローラー212を間接的に加熱する。発熱体
213の隣接する二つの巻取部の半径方向に測定した温
度T1,T3は,図8に示されたように,転移時間t1
2に対して実質的に同じ温度上昇,及び温度分布を提
供する。発熱体213の隣接する二つの巻取部間の空気
層A内で測定された温度T2は,最初はT1とT3の温度
分布によるが,結果的には転移時間t1に対して温度が
低く測定される。しかし,停止期間のt2中にはT1,T
2,そしてT3は,実質的に同一である。
【0063】(第2の実施形態)図9,図10,図1
1,及び図12は,本発明の第2の実施形態を説明する
図である。図9,図10,図11,及び図12を参照す
れば,螺旋状の抵抗発熱コイル213の隣接する離隔空
間(空気層)A(図7参照)には,発熱体213及びヒ
ートパイプ262から定着ローラー212に熱を伝達す
るために,媒介部またはスペーサ213’がヒートパイ
プ262と定着ローラー212との間に設けられる。媒
介部213’の高さt1は,発熱体213の高さt2と同
一か,あるいは媒介部213’の高さt1と発熱体21
3の高さt2との差だけ空間部Eを形成するように,さ
らに大きいことが望ましい。空間部Eは空気で充填され
ているので,発熱体213で生じた熱は,空気を媒介体
として輻射熱として定着ローラー212に伝達される。
【0064】空気層Aを充填してヒートパイプ262か
ら定着ローラー212に熱を伝逹する媒介部213’を
使用することによって,発熱コイルだけで熱を伝達する
のに比べて熱伝達能力が向上する。そして,定着ローラ
ー212全体の温度が定着目標温度に均一に向上する。
従って,媒介部213’は,熱伝導性に優れた材料を使
用し,特に,10系列のアルミニウム合金を使用するこ
とが望ましい。ここで,アルミニウム合金とは,アルミ
ニウムを主成分とする合金で,純アルミニウムも含む。
【0065】ヒートパイプ262は管状よりなり,その
両端は密閉されている。ヒートパイプ262の内部空洞
268には,作動流体214が所定量収容されている。
ヒートパイプ262の内面には,網状のウィック構造が
設けられることが望ましい。これは,発熱体213から
生じた熱が,ヒートパイプ262の内面全体に短時間内
に均一に伝わるようにするためである。もちろん,ヒー
トパイプ262の内面全体に均一に熱を伝達できる多様
な変更例が可能である。
【0066】作動流体214は,発熱体213で生じた
熱を伝達して気化され,その熱を前記定着ローラー21
2に伝達して定着ローラー212の軸方向の表面の温度
偏差を防止する。そして,短時間内に定着ローラー21
2の全体が加熱されるための熱的媒体の役割を果たす。
これら機能のために作動流体214は,ヒートパイプ2
62の容積に対し5ないし50%の体積比を有し,内部
空洞268の容積に対し5ないし15%体積比を有する
ことが望ましい。作動流体214の体積比が5%未満の
場合には,ドライアウト現象が生じる可能性が非常に高
い。従って,作動流体214が,内部空洞268の体積
容量の5%以上にすることが望ましい。
【0067】作動流体214は,ヒートパイプ262の
材料によって選択的に使われる。すなわち,ヒートパイ
プ262の材料がステンレススチールである場合は,作
動流体214として水,すなわち,蒸留水を使用するこ
とは望ましくない。蒸留水を除外した現在公知の大部分
の作動流体を使用でき,その中でもFC−40(3M社
製)が最も望ましい。
【0068】図11及び図12は,図9に示された第2
の実施形態の熱的動作モードを説明する。半径方向に配
置されて隣接して巻かれた発熱体213は,矢印K方向
に熱を伝達してヒートパイプ262,または定着ローラ
ー212を加熱でき,熱伝導によって作動流体214を
加熱する。また,発熱体213は,隣接して設けられて
いる媒介部213’を矢印L方向に直接加熱する。
【0069】媒介部213’は熱伝導によって直接的に
定着ローラー212を加熱する。また,半径方向に配置
されて巻かれた発熱体213は,矢印M方向に定着ロー
ラー213,及び作動流体214を間接的に加熱する。
発熱体213の各巻取部の間に位置する媒介部213’
のそれぞれの半径方向に定着ローラー212上に,テフ
ロンコーティング保護層211の表面を測定した温度T
4,T5は,図12に示された転移時間区間,及び停止時
間区間中にいずれも同一である。結果的に,媒介部は,
定着ローラーの軸方向にその表面温度をほとんど均一に
する。発熱体213の各巻取部の直径は,略同一にすべ
きである。そして,媒介部213’の半径方向横断面の
直径よりはやや小さなことが望ましい。
【0070】定着ローラー212が60系列アルミニウ
ム合金により形成されれば,媒介部213’は,10系
列アルミニウム合金により形成できる。10系列アルミ
ニウム合金は容易に変形できるため,媒介部213’は
柔軟な性質を有する。ヒートパイプ262が銅合金また
はアルミニウム合金により形成されれば,高圧の空気に
よって膨脹するときにヒートパイプ262は変形され
る。そして,10系列のアルミニウム合金により製造さ
れた媒介部213’の半径方向内面,及び外面が,ヒー
トパイプ262の外径,及び60系列アルミニウム合金
により形成された定着ローラー212の内径に同時に物
理的かつ熱的に直接接触するまで,媒介部213’は変
形される。しかし,60系列アルミニウム合金により形
成された定着ローラーは変形されない。50系列アルミ
ニウム合金の硬度は,60系列アルミニウム合金の硬度
より大きい。また,50系列と60系列アルミニウム合
金の硬度は,10系列アルミニウム合金の硬度よりも大
きい。なお,50系列,60系列,及び10系列のアル
ミニウム合金の熱伝逹特徴は本質的に同一であり,電気
伝導度も本質的に同一である。
【0071】上記のような構造を有する第2の実施形態
に係る定着ローラー組立体は,次の段階を通じて製造で
きる。 a) 定着ローラーのための物質として金属パイプを備
える段階と, b) ヒートパイプのための構造として金属チューブを
備える段階と, c) 金属パイプ及び金属チューブの露出面を蒸留水や
揮発性液体で洗浄する段階と, d) 螺旋状の抵抗発熱コイルの露出面を蒸留水や揮発
性液体で洗浄する段階と, e) 選択的に,前記ヒートパイプ内部の円筒状表面に
円柱状に形成されたウィックを挿入する段階と, f) 円筒状ヒートパイプの外面と定着ローラー内部の
円筒状表面との間に介在されるように螺旋状発熱コイル
と前記螺旋状発熱コイルのそれぞれの巻取部を分離す
る,例えば,10系列のアルミニウム合金などの熱伝導
性材料よりなる媒介部を,前記ヒートパイプの円筒状外
径を巻き包む段階と, g) ヒートパイプを螺旋状に巻き包む抵抗発熱コイル
の両端リードをヒートパイプの外側に取り出した状態で
作動流体注入に必要な部分を除外した部分をエンドキャ
ップにより密封する段階と, h) 前記金属パイプの内部に同軸で螺旋状の発熱コイ
ルより巻き包まれたヒートパイプを挿入する段階と, i) 螺旋状に巻かれた発熱コイルが前記定着ローラー
内部の円筒状表面及び円筒状ヒートパイプの外面と直接
物理的かつ熱的に接触されるまで前記ヒートパイプを半
径方向に膨脹させるために高圧の不活性ガスを前記ヒー
トパイプ内に注入して膨脹させる段階と, j) 金属パイプの内部空洞に真空を形成するために金
属パイプの内部空間からガスを排出するように金属パイ
プを加熱,冷却,排出させることによってヒートパイプ
の内部空洞から不要なガスを除去する段階と, k) 作動流体注入部を通じて5〜50Vol%の作動流
体(FC−40または蒸留水)を前記ヒートパイプの内
部空洞に注入する段階と, l) 前記ヒートパイプの作動流体注入部を密封する段
階と, m) 前記定着ローラーの表面に保護層を形成させるた
めに前記金属パイプ表面にテフロンなどをスプレー法な
どでコーティングした後に,乾燥,研磨する段階と, n) 軸受として非導電性ブッシングを定着ローラーの
一側端部に挿入する段階と, o) 金属製,耐熱性プラスチック類,エポキシ類など
で製造されたギア装着用キャップを金属パイプにより形
成された定着ローラーの一端部に設ける段階とである。
【0072】以下は,第1,第2の実施形態に係る定着
ローラー組立体の動作の理解のための,ヒートパイプに
ついての説明である。
【0073】ヒートパイプは,作動流体の相変化過程に
必要な潜熱を利用して,発熱密度が高い所から低い所に
熱を伝達する器具である。ヒートパイプは流体の相変化
特性を用いるために,その熱伝導係数は公知のいかなる
金属よりも高い。実際に常温範囲で作動するヒートパイ
プの場合,非常に高い熱伝導係数(k=400W/m
K)を有する銀や銅の数百倍に相当する。
【0074】図13は,温度上昇とヒートパイプ作動期
間の関数として作動流体の相変化を示すグラフである。
また,表1は,ヒートパイプといくつかの熱伝逹物質の
有効熱伝導度を示す。
【0075】
【表1】
【0076】1kgの水を25℃から26℃に上昇させ
るのに,4.18kJのエネルギーが必要である。水を
温度変化なしに液体から気体(蒸気)に相変化させる場
合,2,442kJのエネルギーが必要である。ヒート
パイプは約584倍大きい潜熱を,液体−気体間の相変
化を通じて移送する。常温範囲で作動するヒートパイプ
の場合,良質の熱伝導体として知らされた銀や銅の数百
倍に相当する熱伝導性能を有する。高温で作動する作動
流体として液体金属を使用するヒートパイプの熱伝導度
は,108W/mKに達する。
【0077】図14は,ヒートパイプの内部に毛細管構
造を備えるウィックを適用したヒートパイプの内部構造
と,液体−気体,及び気体−液体相変化による熱伝達過
程を示す図である。抵抗性発熱コイル(図示せず)とウ
ィックが円筒状に配置され,ヒートチューブの内面に接
して直接装着される。表2に,作動流体別に推奨/非推
奨ヒートパイプの材料を示す。
【0078】
【表2】
【0079】また,表3は,作動温度帯域別に使われる
作動流体の種類を示すものである。
【0080】
【表3】
【0081】作動流体の選定時に考慮されねばならない
事項は,1)使われるヒートパイプの物質との適合性,
2)作動流体のヒートパイプ内で適切な作動温度,そし
て,3)作動流体の熱伝導度,である。
【0082】ヒートパイプを応用した定着ローラーの材
質がステンレススチール(SUS)または銅(Cu)で
ある場合,ヒートパイプの物質との適合性及び作動温度
を考慮すると,選定できる作動流体は制限される。FC
−40は,165℃で1気圧,またはそれ以下の飽和圧
力を有するので,相対的に適した材料である。
【0083】FC−40は,無毒性,不燃性,及び大部
分の金属に対する反応性を有しない。また,FC−40
は,オゾン層を破壊しない。作動流体としてのFC−4
0について,その熱力学的特性によって飽和温度と圧力
との関係が,経験的に数式1で表現できる。
【0084】
【数1】
【0085】ここで,Tは,℃で測定された温度であ
る。
【0086】図15は,作動流体としてFC−40,及
び水の飽和温度に対する飽和圧力の変化を示すグラフで
ある。また,表4は,図13から得られた,特定圧力下
でFC−40が示す飽和圧力の値である。
【0087】
【表4】
【0088】ヒートパイプの動作の安全性面からみて,
ヒートパイプ耐圧によるパイプ材質とエンドキャップの
厚さは,圧力容器の安全性を評価するASME(Americ
an Society of Mechanical Engineers)コードによって
決定できる。例えば,円筒状ヒートパイプ壁面の厚さが
その直径の10%以内の円形管のの場合,パイプ壁と半
球形のエンドキャップで各々生じる最大応力は,各々次
の数式2,数式3のように表現される。
【0089】
【数2】
【0090】
【数3】
【0091】ここで,ΔP:管内外部間の圧力差 d:管の外径 t1:管の厚さ t2:エンドキャップの厚さ である。
【0092】ASMEコードによれば,任意温度での最
大許容応力は,その温度の最大極限引張強度の0.25
倍である。ヒートパイプ作動温度範囲内で蒸気圧が作動
流体の飽和蒸気圧と同じであれば,圧力差ΔPは飽和蒸
気圧と大気圧との差になる。
【0093】図16は,アルミニウム(Al),銅(C
u),304ステンレススチール(SUS304)より
なるヒートパイプで製造された他の3つの定着ローラー
の,温度変化の関数として極限引張強度の変化を示すグ
ラフであって,約0℃〜500℃の温度範囲で得られた
グラフである。
【0094】図17は,アルミニウム,銅,及びSUS
304ステンレススチールより製造された,ヒートパイ
プのための作動流体としてFC−40が使われたとき,
温度変化に関するヒートパイプ壁に作用する最大許容応
力と最大応力の変化を示すグラフである。
【0095】図18は,作動流体として蒸留水が使われ
たとき,約0℃〜300℃の温度範囲で温度変化に関し
て銅ヒートパイプ壁に作用する最大応力の変化を示すグ
ラフである。
【0096】図17に示したように,304ステンレス
スチールの最大許容応力は,銅やアルミニウムの最大許
容応力に比べて非常に大きい。304ステンレススチー
ルの場合,約400℃の作動温度まで作動流体の漏れが
なく,安全である。
【0097】図19,図20は,作動流体として各々F
C−40と蒸留水が適用されたとき,150℃から50
0度の温度範囲で,パイプの壁厚さ(T)の変化に依存
して銅ヒートパイプ壁面に作用する最大応力の変化を示
すグラフである。図19及び図20に示されたように,
作動流体として蒸留水が適用されるヒートパイプの厚さ
を各々1.0mmから1.8mmに,そして作動流体とし
てFC−40が適用されるヒートパイプの厚さを各々
0.8mmら1.5mmに増加させても,約165℃より
大きくて200℃より低い作動領域では,ヒートパイプ
に作用する最大応力はあまり変わらない。
【0098】図21及び図22は,前述した定着ローラ
ー組立体の第1の実施形態に係る0〜85秒の間に,定
着ローラーの中央部分で測定された0℃〜400℃の温
度変化のグラフである。定着ローラー組立体は銅合金よ
り製作され,作動流体としては蒸留水を含む。定着ロー
ラーの厚さは1.0mm,外径が17.85mm,長さは
258mmである。また実験時に定着ローラーを47r
pmで回転させ,定着ローラーの内面に接触する螺旋状
抵抗発熱体の抵抗は32Ω,そして電圧は200V,瞬
間最大消費電力を約1.5kWににした。螺旋状抵抗発
熱コイルは定着ローラー内部の円筒状表面に直接接触す
るようにした。
【0099】図21は,定着ローラーの内部空間の容積
に対して10%体積比で収容された蒸留水を作動流体と
して適用した場合に得られた結果を示すものである。ま
た,図22は,定着ローラーの内部空間の容積に対して
30%体積比で収容された蒸留水を作動流体として適用
した場合に得られた結果を示すものである。
【0100】図21を参照すれば,常温の約22℃から
約175℃の作動温度まで,定着ローラーの温度が上昇
するのに約8〜12秒がかかり,200℃まで上昇する
のに14秒未満であった。図22を参照すれば,常温の
約22℃から約175℃まで,定着ローラーの温度が上
昇するのに約13秒がかかり,200℃まで上昇するの
に約22秒しかかからなかった。
【0101】図21及び図22の結果を比較してみれ
ば,定着ローラーの内部に収容される作動流体の体積比
によって温度上昇速度に差が出ることがわかる。多様な
条件下で行われた実験結果によれば,定着ローラーの内
部空間に対する作動流体の体積比が5〜50%範囲内で
使用が可能であり,5〜15%で非常に速い温度上昇速
度を得ることができた。
【0102】前記の温度上昇率の観点から従来の画像形
成装置と比較すれば,待機状態で第1,第2の実施形態
(以下,「本実施形態」という)に係る定着ローラー組
立体に,継続的な電力供給は要らない。画像形成が始ま
る時期に始めて電力が供給されても,本実施形態により
構成された定着ローラー組立体は,従来の定着ローラー
に比べて非常に速い速度で画像形成,特にトナー画像の
定着が可能である。
【0103】作動流体が占める体積比が50%体積比よ
り高い場合には,目標温度までの温度上昇速度が順次遅
くなる。反面,作動流体が占める体積比が5%未満であ
れば,作動流体の不充分な供給によってドライアウト現
象が生じたり,あるいは生じる可能性が非常に高くて,
ヒートパイプとしての機能が弱まるか,または失われ
る。
【0104】本実施形態の原理によって構成された定着
ローラー組立体は,発熱部に高周波電圧ばかりでなく,
一般常用電源と同じ50〜70Hz範囲の90〜240
Vの電圧も印加されうる。
【0105】前述したように,本実施形態により構成さ
れた定着ローラー組立体は,熱伝導性に優れた金属性定
着ローラーの胴体内に発熱コイルと作動流体を含み,定
着ローラーの表面を瞬間的に用紙に転写されているトナ
ー画像を定着させうる目標定着温度まで加熱させること
ができる。
【0106】従来のハロゲンランプタイプ,または直接
表面加熱方式(Pd,Ru,Carbon系などの発熱体使
用)と比較すれば,本実施形態の定着ローラー組立体
は,低電力量でさらに短時間内に目標定着温度に到達で
き,定着ローラー表面温度を均一に維持できる。
【0107】また,本実施形態に係る定着ローラー組立
体は,ウォーミングアップとスタンバイが不要で,本実
施形態に係る定着ローラー組立体を装着したプリンタ,
複写機,ファクシミリなどでは印刷作業命令を待つ間に
定着ローラーに電源が供給されなくて済む。従って,画
像形成装置において,全体的に低消耗電力を維持する低
消費電力を実現できる。
【0108】また,本実施形態に係る定着ローラー組立
体は,ヒートパイプの原理を利用することによって定着
ローラーの長手方向への温度分布が均一に調節でき,ト
ナー定着特性を最適に向上できる。
【0109】また,本実施形態に係る定着ローラー組立
体は,大量生産が可能で安全な動作を保障する。定着ロ
ーラー組立体の部品は,他の商業的部品と互換できる。
定着ローラー組立体は,その品質面で管理が容易で高速
用プリンタに適用できる拡張性を有する。
【0110】以上示したように,本実施形態に係る定着
ローラー組立体及びその製造方法の利点は次の通りであ
る。
【0111】第1に,製作が簡単で自動化できる。第2
に,ヒートパイプの軸方向または長手方向に表面温度偏
差が非常に小さい(±1℃以内)。第3に,高速用プリン
タに容易に適用できる。
【0112】第4に,ヒートローラー装置の構成要素の
加熱源と,ヒートパイプを別の部品に分離するために,
製作性,安全性,部品の互換性,量産性面において非常
に有利であり,品質管理が容易である。第5に,密閉さ
れたヒートパイプ容器内で作動流体が蒸発と凝縮を反復
するために,温度が高くなる場合圧力が増加でき(FC
−40:165℃で1気圧以下),爆発や大変形のおそ
れが非常に少ない。
【0113】以上,添付図面を参照しながら本発明の電
子写真画像形成装置の定着ローラー組立体及びその製造
方法の好適な実施形態について説明したが,本発明はこ
れらの例に限定されない。いわゆる当業者であれば,特
許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において
各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかで
あり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属
するものと了解される。
【0114】
【発明の効果】本発明により,ヒートパイプ原理を適用
することで,熱的分布が改善され,しかも省力及び瞬間
加熱が可能な電子写真画像形成装置の定着ローラー組立
体,及び,その製造方法が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は,第1の実施形態に係る定着ローラー組
立体が適用された電子写真画像形成装置の定着部の概略
的縦断面図である。
【図2】図2は,第1の実施形態に係る定着ローラー組
立体の構造を,概略的に示す部分斜視図である。
【図3】図3は,第1の実施形態に係る定着ローラー組
立体の設置段階を示す側面図である。
【図4】図4は,第1の実施形態に係る定着ローラー組
立体の設置段階を示す側面図である。
【図5】図5は,第1の実施形態に係る定着ローラー組
立体の設置段階を示す側面図である。
【図6】図6は,第1の実施形態に係る定着ローラー組
立体の内部構造を示す概略的横断面図である。
【図7】図7は,第1の実施形態の熱的動作モードを説
明する細部横断面図である。
【図8】図8は,第1の実施形態の熱的動作モードを説
明するための,作動時間に対する温度変化を示すグラフ
である。
【図9】図9は,第2の実施形態に係る定着ローラー組
立体の横断面図である。
【図10】図10は,第2の実施形態に係る定着ローラ
ー組立体の,図9のX部分の細部縦断面図である。
【図11】図11は,第2の実施形態の熱的動作モード
を説明する細部横断面図である。
【図12】図12は,第2の実施形態の熱的動作モード
を説明するための,作動時間に対する温度変化を示すグ
ラフである。
【図13】図13は,温度上昇とヒートパイプ作動期間
の関数として作動流体の相変化を示すグラフである。
【図14】図14は,ヒートパイプの内部構造と,液体
−気体,及び気体−液体相変化による熱伝達過程を示す
図である。
【図15】図15は,作動流体としてFC−40,及び
蒸留水の飽和温度に対する飽和圧力の変化を示すグラフ
である。
【図16】図16は,各種ヒートパイプで製造された定
着ローラーの,温度変化の関数として極限引張強度の変
化を示すグラフである。
【図17】図17は,各種ヒートパイプに作動流体とし
てFC−40が使われたときに,温度変化に関するヒー
トパイプ壁に作用する最大許容応力と最大応力の変化を
示すグラフである。
【図18】図18は,銅のヒートパイプに作動流体とし
て蒸留水が使われたときに,温度変化に関するヒートパ
イプ壁に作用する最大許容応力と最大応力の変化を示す
グラフである。
【図19】図19は,作動流体としてFC−40が使わ
れたとき,150〜500℃の温度範囲で,パイプの壁
厚さ(T)の変化に依存して銅ヒートパイプ壁面に作用
する最大応力の変化を示すグラフである。
【図20】図20は,作動流体として蒸留水が使われた
とき,120〜350℃の温度範囲で,パイプの壁厚さ
(T)の変化に依存して銅ヒートパイプ壁面に作用する
最大応力の変化を示すグラフである。
【図21】図21は,第1の実施形態に係る定着ローラ
ー組立体の,10%体積比で収容された蒸留水を作動流
体として適用した場合の,0〜85秒の間に定着ローラ
ーの中央部分で測定された温度変化を示すグラフであ
る。
【図22】図22は,第1の実施形態に係る定着ローラ
ー組立体の,30%体積比で収容された蒸留水を作動流
体として適用した場合の,0〜65秒の間に定着ローラ
ーの中央部分で測定された温度変化を示すグラフであ
る。
【図23】図23は,一般的な電子写真画像形成装置の
概略的斜視図である。
【図24】図24は,従来の定着ローラー組立体の概略
的断面図である。
【図25】図25は,従来の定着ローラー組立体が適用
された電子写真画像形成装置の定着部の構造の概略図で
ある。
【図26】図26は,従来の他の定着ローラー組立体が
適用された電子写真画像形成装置の定着部の構造の概略
図である。
【符号の説明】
1 用紙引出し部 2 操作部 3 コントロールボードカーバー 4 上カーバー開きボタン 5 用紙表示窓 6 多用途給紙窓 7 用紙カセット 8 オプションカセット 9 補助支持台 10 従来の定着ローラー組立体 11 従来の定着ローラー 11a テフロンによるコーティング層 12 発熱部 13,23 加圧ローラー 13a スプリング装置 14 用紙 14a トナー画像 15 サーミスタ 16 サーモスタット 21 円筒状フィルムチューブ 22 加熱プレート 200 定着部 210 定着ローラー組立体 211 保護層 212 定着ローラー 213 発熱体 213a 発熱線 213b 絶縁性被覆層 213c 絶縁層 213d 封印部 213’ 媒介部またはスペーサ 214 作動流体 215 電極 220 加圧ローラー 230 サーミスタ 231a トナー画像 231 用紙 240 サーモスタット 242 内部空洞 244 ウィック 246 内部円筒状表面(内面) 260 発熱部 262 内部ヒートパイプ 264 エンドキャップ 266 内部内面 268 内部空洞 A 空気層 E 空間部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 2001−024378 (32)優先日 平成13年5月4日(2001.5.4) (33)優先権主張国 韓国(KR)

Claims (48)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に空洞を具備する管状の定着ロー
    ラーと,前記定着ローラーの内部に同軸上に位置し,両
    端が密封されて真空状態を維持できるチャンバを具備す
    るヒートパイプと,前記空洞内部の円筒状表面と円筒状
    ヒートパイプの外面との間に同軸上に介在され,前記円
    筒状ヒートパイプの外面を螺旋状に巻き包む電気伝導性
    発熱コイルとを含むことを特徴とする定着ローラー組立
    体。
  2. 【請求項2】 前記空洞に前記コイルを挿入する前には
    前記コイルは前記定着ローラーの内径より大きい外径を
    有し,前記コイルの巻取部は所定の力で前記空洞内部の
    円筒状壁に接触することを特徴とする請求項1に記載の
    定着ローラー組立体。
  3. 【請求項3】 前記ヒートパイプは銅合金により形成さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の定着ローラ
    ー組立体。
  4. 【請求項4】 前記定着ローラーはアルミニウム合金に
    より形成されていることを特徴とする請求項1に記載の
    定着ローラー組立体。
  5. 【請求項5】 前記チャンバ内に収容された作動流体を
    さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の定着ロー
    ラー組立体。
  6. 【請求項6】 前記作動流体は蒸留水であることを特徴
    とする請求項5に記載の定着ローラー組立体。
  7. 【請求項7】 前記チャンバ内に収容された作動流体の
    量は,前記チャンバの容積に対し5〜50%範囲である
    ことを特徴とする請求項5に記載の定着ローラー組立
    体。
  8. 【請求項8】 前記チャンバ内に収容された作動流体の
    量は,前記チャンバの容積に対し5〜15%範囲である
    ことを特徴とする請求項5に記載の定着ローラー組立
    体。
  9. 【請求項9】 軸方向に所定間隔に離隔している前記コ
    イルの隣接する巻取部の間に介在される熱伝導材の媒介
    部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の定着
    ローラー組立体。
  10. 【請求項10】 前記空洞内部の円筒状表面及び前記円
    筒状ヒートパイプの外面の軸方向の全長と実質的に接触
    するように,前記コイルの隣接する巻取部の間に介在さ
    れる熱伝導材の媒介部をさらに含むことを特徴とする請
    求項1に記載の定着ローラー組立体。
  11. 【請求項11】 前記定着ローラー,前記媒介部,及び
    前記ヒートパイプはアルミニウム合金により形成されて
    いることを特徴とする請求項10に記載の定着ローラー
    組立体。
  12. 【請求項12】 前記定着ローラーは高硬度の熱伝導材
    により形成され,前記媒介部は前記定着ローラーより低
    い硬度を有する熱伝導材により形成され,前記ヒートパ
    イプは前記媒介部より低い硬度を有する熱伝導材により
    形成されていることを特徴とする請求項10に記載の定
    着ローラー組立体。
  13. 【請求項13】 前記チャンバ内に収容された作動流体
    をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の定着
    ローラー組立体。
  14. 【請求項14】 前記チャンバ内に収容された作動流体
    の量は,前記チャンバの容積に対し5〜50%範囲であ
    ることを特徴とする請求項13に記載の定着ローラー組
    立体。
  15. 【請求項15】 前記チャンバ内に収容された作動流体
    の量は,前記チャンバの容積に対し5〜15%範囲であ
    ることを特徴とする請求項13に記載の定着ローラー組
    立体。
  16. 【請求項16】 軸方向に空洞を具備する管状の定着ロ
    ーラーと,両端が密封されて真空状態を維持できるよう
    に中空の内部チャンバを具備するヒートパイプと,前記
    ヒートパイプの軸方向に沿って外部の円筒状表面を螺旋
    状に巻き包む電気伝導性発熱コイルとを具備し,前記ヒ
    ートパイプ及び前記コイルは前記空洞の内部に同軸上に
    位置しており,前記コイルは前記定着ローラーの内面と
    前記円筒状ヒートパイプの外面との間に介在しているこ
    とを特徴とする定着ローラー組立体。
  17. 【請求項17】 前記空洞に前記コイルを挿入する前に
    は前記コイルの外径は定着ローラーの内径より大きく,
    前記空洞に前記コイルを挿入した後には前記コイルの各
    巻取部は所定の力で前記空洞内部の円筒状壁に接触する
    ことを特徴とする請求項16に記載の定着ローラー組立
    体。
  18. 【請求項18】 前記ヒートパイプは銅合金により形成
    されていることを特徴とする請求項16に記載の定着ロ
    ーラー組立体。
  19. 【請求項19】 前記定着ローラーはアルミニウム合金
    により形成されていることを特徴とする請求項16に記
    載の定着ローラー組立体。
  20. 【請求項20】 前記チャンバ内に所定量で収容された
    作動流体をさらに含むことを特徴とする請求項16に記
    載の定着ローラー組立体。
  21. 【請求項21】 前記作動流体は蒸留水であることを特
    徴とする請求項20に記載の定着ローラー組立体。
  22. 【請求項22】 前記チャンバ内に収容された作動流体
    の量は,前記チャンバの容積に対し5〜50%範囲であ
    ることを特徴とする請求項20に記載の定着ローラー組
    立体。
  23. 【請求項23】 前記チャンバ内に収容された作動流体
    の量は,前記チャンバの容積に対し5〜15%範囲であ
    ることを特徴とする請求項20に記載の定着ローラー組
    立体。
  24. 【請求項24】 軸方向に所定間隔に離隔している前記
    コイルの,隣接する巻取部の間に介在される熱伝導材の
    媒介部をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載
    の定着ローラー組立体。
  25. 【請求項25】 前記空洞内部の円筒状表面及び前記円
    筒状ヒートパイプの外面の軸方向の全長と実質的に接触
    するように,前記コイルの隣接する巻取部の間に介在さ
    れる熱伝導材の媒介部をさらに含むことを特徴とする請
    求項16に記載の定着ローラー組立体。
  26. 【請求項26】 前記定着ローラー,前記媒介部,及び
    前記ヒートパイプはアルミニウム合金により形成されて
    いることを特徴とする請求項24に記載の定着ローラー
    組立体。
  27. 【請求項27】 前記定着ローラーは高硬度の熱伝導材
    により形成され,前記媒介部は前記定着ローラーより低
    い硬度を有する熱伝導材により形成され,前記ヒートパ
    イプは前記媒介部より低い硬度を有する熱伝導材より形
    成されていることを特徴とする請求項24に記載の定着
    ローラー組立体。
  28. 【請求項28】 前記チャンバ内に収容された作動流体
    をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載の定着
    ローラー組立体。
  29. 【請求項29】 前記チャンバの容積に対し5〜50%
    範囲で前記チャンバ内に収容された作動流体をさらに含
    むことを特徴とする請求項24に記載の定着ローラー組
    立体。
  30. 【請求項30】 前記チャンバの容積に対し5〜15%
    範囲で前記チャンバ内に収容された作動流体をさらに含
    むことを特徴とする請求項24に記載の定着ローラー組
    立体。
  31. 【請求項31】 軸方向に空洞を具備する管状の定着ロ
    ーラーと,両端が密封されて真空状態を維持できるよう
    に中空の内部チャンバを具備するヒートパイプと,前記
    ヒートパイプの軸方向に沿って外部の円筒状表面を螺旋
    状に巻き包む電気伝導性発熱コイルと,所定間隔に離隔
    して連続して巻かれた前記コイルの間に位置して前記円
    筒状ヒートパイプの外面を螺旋状に巻き包む媒介部とを
    具備し,前記ヒートパイプ,前記コイル,及び前記媒介
    部は前記空洞の内部に同軸上に位置しており,前記コイ
    ル及び前記媒介部は前記定着ローラーの内面と前記円筒
    状ヒートパイプの外面との間に介在していることを特徴
    とする定着ローラー組立体。
  32. 【請求項32】 前記空洞に前記コイルを挿入する前に
    は前記コイルの外径は定着ローラーの内径より大きく,
    前記空洞に前記コイルを挿入した後には前記コイルの各
    巻取部は所定の力で前記空洞内部の円筒状壁に接触する
    ことを特徴とする請求項31に記載の定着ローラー組立
    体。
  33. 【請求項33】 前記ヒートパイプは銅合金により形成
    されていることを特徴とする請求項31に記載の定着ロ
    ーラー組立体。
  34. 【請求項34】 前記定着ローラーはアルミニウム合金
    により形成されていることを特徴とする請求項31に記
    載の定着ローラー組立体。
  35. 【請求項35】 前記チャンバ内に所定量で収容された
    作動流体をさらに含むことを特徴とする請求項31に記
    載の定着ローラー組立体。
  36. 【請求項36】 前記作動流体は蒸留水であることを特
    徴とする請求項35に記載の定着ローラー組立体。
  37. 【請求項37】 前記チャンバ内に収容された作動流体
    の量は,前記チャンバの容積に対し5〜50%範囲であ
    ることを特徴とする請求項35に記載の定着ローラー組
    立体。
  38. 【請求項38】 前記チャンバ内に収容された作動流体
    の量は,前記チャンバの容積に対し5〜15%範囲であ
    ることを特徴とする請求項35に記載の定着ローラー組
    立体。
  39. 【請求項39】 中央及び軸方向に内部空洞を有する管
    状の定着ローラーを形成する段階と,内部チャンバを有
    するヒートパイプを形成する段階と,前記円筒状ヒート
    パイプの外面を軸方向に沿って電気伝導性発熱コイルが
    螺旋状に巻き包むヒートパイプを前記内部空洞内に同軸
    上に位置させるために前記ヒートパイプを前記定着ロー
    ラーに挿入する段階と,前記内部チャンバを排気する段
    階と,前記内部チャンバを所定量の作動流体で部分的に
    充填する段階と,前記内部チャンバを密封する段階と,
    前記コイルを通じて電気的な連結を提供する段階とを含
    むことを特徴とする定着ローラー組立体の製造方法。
  40. 【請求項40】 内側の第1直径を含む内部空洞を有す
    る前記定着ローラーを形成する段階と,前記コイルを前
    記内部空洞に挿入する前に前記第1直径よりさらに大き
    い外部の第2直径を有する電気伝導性発熱コイルを巻く
    段階と,前記コイルを前記定着ローラー内に挿入する過
    程で前記第2直径を縮める段階と,前記コイルの挿入後
    に前記コイルが第2直径を回復するように解く段階とを
    さらに含むことを特徴とする請求項39に記載の定着ロ
    ーラー組立体の製造方法。
  41. 【請求項41】 前記ヒートパイプ内に収容された作動
    流体の量は,前記内部チャンバの容積に対し5〜50%
    範囲であることを特徴とする請求項39に記載の定着ロ
    ーラー組立体の製造方法。
  42. 【請求項42】 前記ヒートパイプ内に収容された作動
    流体の量は,前記チャンバの容積に対し5〜15%範囲
    であることを特徴とする請求項39に記載の定着ローラ
    ー組立体の製造方法。
  43. 【請求項43】 軸方向に所定間隔に離隔して連続的に
    巻かれた前記コイルの間に熱伝導材の媒介部を位置させ
    る段階をさらに含むことを特徴とする請求項39に記載
    の定着ローラー組立体の製造方法。
  44. 【請求項44】 軸方向に所定間隔に離隔して連続的に
    巻かれた前記コイルの間に熱伝導材として,前記内部空
    洞内部の円筒状表面及び前記円筒状ヒートパイプの外面
    に軸方向に同時に接触するように媒介部を位置させる段
    階をさらに含むことを特徴とする請求項39に記載の定
    着ローラー組立体の製造方法。
  45. 【請求項45】 前記定着ローラー及び前記媒介部はア
    ルミニウム合金により形成されていることを特徴とする
    請求項43に記載の定着ローラー組立体の製造方法。
  46. 【請求項46】 前記定着ローラーは高硬度の熱伝導材
    より形成し,前記媒介部は前記定着ローラーより低い硬
    度を有する熱伝導材より形成し,前記ヒートパイプは前
    記媒介部より低い硬度を有する熱伝導材より形成するこ
    とを特徴とする請求項43に記載の定着ローラー組立体
    の製造方法。
  47. 【請求項47】 前記チャンバ内に収容された作動流体
    の量は,前記チャンバの容積に対し5〜50%範囲であ
    ることを特徴とする請求項43に記載の定着ローラー組
    立体の製造方法。
  48. 【請求項48】 前記チャンバ内に収容された作動流体
    の量は,前記チャンバの容積に対し5〜15%範囲であ
    ることを特徴とする請求項43に記載の定着ローラー組
    立体の製造方法。
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