JP2002248792A - インクジェット記録装置およびその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびその製造方法

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JP2002248792A JP2001048667A JP2001048667A JP2002248792A JP 2002248792 A JP2002248792 A JP 2002248792A JP 2001048667 A JP2001048667 A JP 2001048667A JP 2001048667 A JP2001048667 A JP 2001048667A JP 2002248792 A JP2002248792 A JP 2002248792A
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昭弘 山中
Mitsuru Kurata
満 蔵田
Hironori Tajima
裕基 但馬
Tetsuhito Kageyama
徹人 蔭山
Takeaki Shima
丈明 島
Toshihiro Sasaki
俊博 佐々木
Tadao Watabe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録ヘッド内のインク量を一定に保ち、無駄
なインク排出量を低減する。 【解決手段】 メインタンク204と記録ヘッド201が、イ
ンク供給チューブ206と遮断弁210を介して連結され、吸
引ポンプ207cが、記録ヘッド201を密閉する吸引キャッ
プ207aに連結されている。記録ヘッド201は、フィルタ2
01cで分離されたサブタンク部201bと液室201fとを有
し、これらをそれぞれ所望の圧力に減圧させると、遮断
弁210が開きインク209が充填される。サブタンク部201b
の容積V1は、吸引時のサブタンク部201bの減圧値をp1[a
tm]、サブタンク部201bに存在すべきインク量をS1とし
て、V1=S1/|p1|であり、液室201fの容積V2は、吸引時
の液室201fの減圧値をp2[atm]、液室201fに存在すべき
インク量をS2として、V2=S2/|p2|である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録
装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、記録媒体に記録を行う記録装置
は、種々の記録方式、例えば、ワイヤードット方式、感
熱方式、熱転写方式、インクジェット方式等の記録方式
のものがある。このうち、微小なノズルから微小なイン
ク滴を吐出させて記録媒体に記録を行うインクジェット
記録装置は、いわゆるノンインパクト記録方式の記録装
置であり、高密度かつ高速の記録やさまざまな記録媒体
への記録が可能であって、記録時の騒音が殆ど生じない
といった利点を有し、広く普及している。
【0003】一般的なインクジェット記録装置は、記録
ヘッドと、記録紙を搬送する搬送手段と、これらを制御
するための制御手段などを備えている。そして、インク
ジェット記録ヘッドのノズルからインクを吐出するため
のエネルギーを発生するために、ピエゾ素子などの電気
機械変換体を用いてインクに加圧するもの、レーザなど
の電磁波を照射して発熱させ発熱により発泡させるも
の、あるいは発熱抵抗体を有する電気熱変換素子によっ
て液体を加熱させ発泡させるものなどがある。その中で
も、熱エネルギーを利用してインク滴を吐出させる方式
(バブルジェット(登録商標)方式)のインクジェット
記録装置は、ノズルを高密度に配列させることができる
ため高解像度を記録することが可能である。特に電気熱
変換体素子をエネルギー発生素子として用いたインクジ
ェット記録ヘッドは、小型化が容易であり、最近の半導
体製造分野において技術の進歩と信頼性の向上が著しい
IC技術やマイクロ加工技術を応用して、その長所を十
分に活用することにより高密度実装化が容易でかつ製造
コストを低くできる。
【0004】図6に示されている従来のインクジェット
記録装置は、記録ヘッドをキャリッジ(図示せず)に搭
載し、このキャリッジを移動させながら記録動作を行う
シリアル型であり、記録ヘッドとメインタンクとをチュ
ーブで接続したいわゆるチューブ供給方式のものであ
る。そしてこのインクジェット記録装置は、インクを貯
蔵するメインタンク(インクタンク)104と、熱エネ
ルギーを利用してインク滴を吐出させる記録ヘッド10
1と、メインタンク104から記録ヘッド101にイン
クを供給するためのインク供給ユニット105およびイ
ンク供給チューブ106と、記録ヘッド101を大気に
開放させるための排気チューブ110aおよび遮断弁1
10bおよび排気ポンプ110cと、記録ヘッド101
の回復処理を行う回復ユニット107とを有している。
【0005】まず、記録ヘッド101の概略構成につい
て説明する。記録ヘッド101の吐出用ノズル101g
は微細な穴である。ノズル101g内に弁機構はなく、
ノズル内部を負圧に保ち先端部にインクのメニスカスを
形成することにより、ノズル101gからのインクの漏
れや大気の進入を防いでいる。この点について詳述する
と、ノズル101gは大気に対して開放されており、し
かもノズル101gの開口面は下方を向いて配置されて
いるので、ノズル101gからのインクの漏れを防止す
るために、記録ヘッド101の内部は負圧に保たれてい
る必要がある。一方、負圧が大きすぎるとノズル101
g内に空気が侵入し、ノズル101gからインクを吐出
することができなくなってしまう。そこで、記録ヘッド
101内を適度の負圧状態とするために、ノズル101
gの開口面の位置が、後述するインク室105f内のイ
ンクの液面に対して高さHだけ高い位置になるように、
記録ヘッド101を配置し、記録ヘッド101内が高さ
Hの水頭差分の負圧に保たれた状態とする。これにより
ノズル101gは、開口面にメニスカスを形成した状態
でインクを満たした状態に保たれる。
【0006】インクの吐出は、ノズル101gの近傍に
配置された図示しないヒータ(発熱抵抗体)の膜沸騰エ
ネルギーにより、ノズル101g内のインクを押し出す
ことによって行われる。吐出後には、ノズル101gの
毛細管力により再びノズル内にインクが満たされ、イン
クはインク供給チューブ106を介して随時メインタン
ク104から吸い上げられる。このような吐出とインク
供給(再充填)とが繰り返される。
【0007】記録ヘッド101の内部には、ノズル10
1gの微細な穴にゴミが詰まることを防止する微細なメ
ッシュ構造のフィルタ101cと、フィルタ101cと
ノズル101gとを結ぶ細く分岐した流路101fと、
フィルタ101cの上流でインクを一定量蓄えるサブタ
ンク部101bとが配置されており、インク供給チュー
ブ106より流入したインクはノズル101gへと供給
される。
【0008】次に、メインタンク104およびインク供
給ユニット105の概略構成について説明する。これら
は、例えば特許登録第2929804号に開示されてい
るのと実質的に同様な構成であり、インク供給ユニット
105に固定された中空のインク供給針105aと中空
の大気導入針105bが、メインタンク104の底面の
コネクタ104bを貫通してメインタンク104内部に
入り込む。インク供給ユニット105の内部には、大気
連通口105gにより大気に開放されているインク室1
05fがあり、そのインク室105f中に、両針105
a、105bが下端の高さを変えた状態でインクに浸る
ように配置される。インク室105fの底部はインク供
給チューブ106に連通しており、インクを消費してい
くと、インク室105f内のインクが減り、大気導入針
105bの下端がインクから離れて空気中に露出する。
そのため、大気導入針105bの下端からメインタンク
104内に空気が入り、それに伴ってメインタンク10
4内のインクがインク室105fへ流れ出す。インクが
流れ込んでインク室105f内の液面が上がると、大気
導入針105bの下端が再びインク内に浸かり、メイン
タンク104内への大気の導入およびインク室105f
へのインクの流入が終了する。このような方法で、メイ
ンタンク104内のインクが徐々に取り出される構成と
なっている。
【0009】メインタンク104下部には、電極104
eがインクに接するよう設置されており、インク供給ユ
ニット105に設置された接点105jに導通する。接
点105jと大気導入針105bとの間に、インクの電
気抵抗を測定する検出器105hを含む検出回路が接続
されている。この検出回路によりインクの電気抵抗を測
定することにより、インクの有無を検出可能である。
【0010】次に、排気チューブ110a、遮断弁11
0b、および排気ポンプ110cについて説明する。記
録ヘッド101のサブタンク部101bにおいては、イ
ンク供給チューブ106などの樹脂材料を透過して侵入
する空気や、インク内に溶存していた空気が蓄積してし
まうおそれがある。そこで、蓄積した余分な空気を、排
気チューブ110aおよび排気ポンプ110cにより、
サブタンク部101bの側部から定期的にインクととも
に吸引排出する。排出が終了すると、遮断弁110bに
よりこの経路を密閉する。
【0011】次に、回復ユニット107について説明す
る。この回復ユニット107は、吐出ノズル101gに
インクの増粘物が詰まった場合や、インク吐出時に発生
する余分な泡が詰まった場合に、この増粘物や泡を除去
するために、吸引キャップ107aを記録ヘッド101
に密着させ、吸引ポンプにてノズル101gからインク
を勢いよく吸引し、同時に増粘物や泡を吸引することに
より記録ヘッド101を回復する機構となっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来のインク
ジェット記録装置においては、記録のためにノズル10
1gに対応するヒータを加熱しインク内の溶存空気を発
泡させインクを吐出させる際に、発泡した泡が分裂しフ
ィルタ101cの下方の流路101fに溜まったり、ヒ
ータ周辺の温度上昇によりインク内に溶存する微細な泡
が集まったりして、徐々に流路101f内に気泡が蓄積
してしまう現象がある。
【0013】前記した従来の構成では、流路101fが
細く絞られた形状であるため、流路101f内でインク
の流れが淀みやすく、気泡が移動しにくい。回復ユニッ
ト107により勢いよく吸引すれば、インクの流速が早
まって、流路101f内のインクおよび気泡を排出する
ことが可能であるが、気泡が流路101fを寸断するほ
ど大きく成長すると、ノズル101gへのインクの供給
を妨げてしまうので、回復ユニット107により頻繁に
吸引を行い、気泡があまり大きく成長しないうちに排出
する必要がある。従って、吸引の際にその都度無駄に排
出してしまうインクの量が増大してしまう。
【0014】流路101fを、気泡で寸断されないよう
に、すなわち気泡で詰まらないように太く形成すると、
気泡は流路101fの上方へと上がり、回復ユニット1
07によりノズル101gからいくら勢いよく吸引して
も、インクを吸引するだけで、気泡を吸引排出すること
ができなくなる。一方、フィルタ101cは微細なメッ
シュ構造であるため、インクが各孔部に浸み込むと、各
孔部にメニスカスが形成され空気を通さなくなってしま
うため、気泡はサブタンク部101bに逃げることもで
きず、流路101fの上部に蓄積する。気泡が蓄積する
ことにより、流路101f内において空気の占める体積
が増えることに伴って、インク量が減少する。流路10
1f中のインク量が減少すると、最終的にはノズル10
1gの上面のインク供給口となる部分が空気に露出して
しまい、ノズル101gへのインク供給が不能になると
いう致命的問題となってしまうおそれがある。
【0015】特に近年では、記録の高速化のために、記
録ヘッドの多ノズル化および高速駆動(高周波数吐出)
が進み、印字時の気泡の発生が多くなる傾向にある。そ
れに伴って時間当たりのインクの消費量が多くなるた
め、従来のような細い流路では圧力損失が高くなり、吐
出不良を起こしてしまう問題がある。
【0016】そこで本発明の目的は、記録ヘッド内のイ
ンク量が大幅に減少することや、記録ヘッド内の流路が
気泡で寸断されることを防ぎ、回復処理における記録に
寄与しない無駄なインク排出量を低減するインクジェッ
ト記録装置およびその製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、ノズル
からインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、記録ヘ
ッド内のインクをノズルから強制排出する吸引手段と、
記録ヘッドにインクを供給するインク供給手段とを有す
るインクジェット記録装置において、記録ヘッドが、イ
ンクの流れ方向に関して上流側の第1の液室と下流側の
第2の液室とを含み、第1の液室および第2の液室の少
なくとも一方は、吸引手段の吸引力と、吸引手段による
吸引が行われた後に存在すべき所望のインク量とに基づ
いて決定された容積を有しており、インク供給手段が、
インクを収容するインクタンクと、インクタンクと記録
ヘッドとを連通させるインク供給チューブと、インク供
給チューブを開閉する遮断弁とを含み、吸引手段が、記
録ヘッドを密閉する吸引キャップと、吸引キャップを介
して吸引する吸引ポンプとを含み、吸引手段が、第1の
液室および第2の液室をそれぞれ所望の圧力にまで減圧
させた時点で、遮断弁が開き、インクタンク内のインク
がインク供給チューブを介して第1の液室および第2の
液室に充填されるように、インク供給手段と吸引手段と
が連動するところにある。
【0018】これによると、2つに分割された液室のそ
れぞれにインクが充填されて、適量のインクが存在する
ようになる。記録ヘッド内の流路を幅広にしても、両液
室ともに、空気を抜きインクを充填することができる。
また、両液室において長期にわたりインク量が不足する
ことがなく、さほど頻繁な回復吸引は必要なく、インク
を無駄に消費する量が減る。さらに、両液室ともにイン
ク充填を必要とする場合にも、1度の充填工程で済むた
めインクを節約できる。
【0019】本発明の他の特徴は、第1の液室の容積V
1を、吸引時の第1の液室の減圧値をp1[atm]
(大気圧からの相対値)、第1の液室に存在すべきイン
ク量をS1として、V1=S1/|p1|の関係を実質
的に満たすように設定するところにある。また、本発明
のさらに他の特徴は、第2の液室の容積V2を、吸引時
の第2の液室の減圧値をp2[atm](大気圧からの
相対値)、第2の液室に存在すべきインク量をS2とし
て、V2=S2/|p2|の関係を実質的に満たすよう
に設定するところにある。これにより、PV=一定の法
則を利用して、充填動作によって、各液室内のインクが
適量になるようにインクを充填できる。
【0020】第1の液室と第2の液室との間に位置し両
者を分離するフィルタを有することが好ましい。このフ
ィルタが多数の孔部を有するメッシュ構造であってもよ
い。その場合、フィルタの各孔部におけるインクのメニ
スカス強度圧力をpmとし、吸引時の第1の液室の減圧
値をp1[atm](大気圧からの相対値)、吸引時の
第2の液室の減圧値をp2[atm](大気圧からの相
対値)とすると、p1=p2−pmの関係を満たし、第
1の液室の容積V1は、第1の液室に存在すべきインク
量をS1として、V1=S1/|p1|の関係を実質的
に満たすように設定し、第2の液室の容積V2を、第2
の液室に存在すべきインク量をS2として、V2=S2
/|p2|の関係を実質的に満たすように設定すること
が好ましい。
【0021】この点について説明すると、微細なメッシ
ュ構造のフィルタにインクが浸み込むと各孔部に微細な
メニスカスが形成され、インクは透過容易であるが空気
の流通は困難になる。メッシュが細かいほどそのメニス
カス強度が増しさらに空気を通しにくくなり、空気を透
過するには圧力pmが必要である。この圧力pmは実験
により特定できる。回復ユニットによりノズルから吸引
した場合、第2の液室の圧力p2はフィルタを通してサ
ブタンク部内の空気を透過させるために、第1の液室の
圧力p1よりもメニスカス強度分の圧力pmだけ低くな
る。よって、この関係を液室の容積を決定する際に使用
すると、容易に条件を決めることができる。
【0022】第1の液室および第2の液室にそれぞれ存
在すべきインク量は、第1の液室および第2の液室にそ
れぞれ蓄積する空気量よりも多く、さらに、これらのイ
ンク量は、第1の液室および第2の液室にそれぞれ蓄積
する空気量と、第1の液室および第2の液室の安定した
性能を保証するためにそれぞれ必要な最低インク量との
和よりも多いことが好ましい。
【0023】第1の液室に、最低限必要とされるインク
量(フィルタがインク内に確実に浸かるインク量)より
多く、所定時間(例えば1ヶ月など長期間)において第
1の液室に蓄積する空気量の和より多いインク量S1が
存在するようにインクを充填でき、同様に、第2の液室
に、最低限必要とされるインク量(ノズルがインク内に
確実に浸かるインク量)より多く、前記したのと同じ所
定期間において第2の液室に蓄積する空気量の和よりも
多いインク量S2が存在するようにインクを充填できれ
ば、その所定期間内に1回の割合で充填動作を実施すれ
ばよく、排出するインクを節約できる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0025】図1は、本発明の一実施形態のインクジェ
ット記録装置の概略構成を示す斜視図である。本実施形
態のインクジェット記録装置は、記録ヘッド201の往
復移動(主走査)と、一般記録紙、特殊紙、OHPフィ
ルム等の記録用シートSの所定ピッチごとの搬送(副走
査)とを繰り返しつつ、これらの動きと同期させながら
記録ヘッド201から選択的にインクを吐出させ、記録
用シートSに付着させることで、文字や記号、画像等を
形成するシリアル型の記録装置である。
【0026】図1において、記録ヘッド201は、2本
のガイドレールに摺動自在に支持され不図示のモータ等
の駆動手段によりガイドレールに沿って往復移動される
キャリッジ202に着脱可能に搭載されている。記録用
シートSは、搬送ローラ203により、記録ヘッド20
1のインク吐出面に対面し、かつ、インク吐出面との距
離を一定に維持するように、キャリッジ202の移動方
向と交差する方向(例えば、直交する方向である矢印A
方向)に搬送される。
【0027】記録ヘッド201は、それぞれ異なる色
(例えば黒、シアン、マゼンタ、イエローの4色)のイ
ンクを吐出する複数のノズル列を有する。このノズル列
は主走査方向と実質的に直交する。記録ヘッド201か
ら吐出されるインクの色に対応して、複数の独立したメ
インタンク(インクタンク)204が、インク供給ユニ
ット205に着脱可能に装着される。インク供給ユニッ
ト205と記録ヘッド201とは、それぞれインクの色
に対応した複数のインク供給チューブ206によって接
続され、メインタンク204をインク供給ユニット20
5に装着することで、メインタンク204内に収納され
た各色のインクを、記録ヘッド201の各ノズル列に独
立して供給することが可能となる。
【0028】記録ヘッド201の往復移動範囲内で、か
つ、記録用シートSの通過範囲外の領域である非記録領
域には、回復ユニット207が、記録ヘッド201のイ
ンク吐出面と対面するように配置されている。この回復
ユニット207は、記録ヘッド201の吐出用ノズルか
ら強制的にインクや気泡等を吸い出し、ノズルのクリー
ニングなどを行う機構である。
【0029】次に、このインクジェット記録装置におけ
るインク供給の基本原理について、図2を参照して簡単
に説明する。
【0030】記録ヘッド201とメインタンク204と
がインク供給チューブ206で連結されて、インク経路
が構成されている。このインク経路がインク209で満
たされ、記録ヘッド201は、ノズル201gの位置が
メインタンク204の液面よりも高さHだけ高くなるよ
うに配置され、記録ヘッド201内が高さHの水頭差分
の負圧に保たれる。この負圧により、記録ヘッド201
のノズル201gの先端部にインクのメニスカスが形成
された状態を維持している。これにより、ノズル201
gからのインクの漏れや大気の進入を防いでいる。ノズ
ル201gからインクが吐出されると、記録ヘッド20
1内のインク量が減り一時的に負圧が増大してメニスカ
スが後退するが、ノズル201gの毛細管力により再び
ノズル201g内にインクが満たされ、インク209は
インク供給チューブ206を介してメインタンク204
から吸い上げられることにより、記録ヘッド201内の
圧力が元に戻り、ノズル201gの先端部にてメニスカ
スが安定する。このような吐出とインク供給(再充填)
とが繰り返される。本実施形態のインクジェット記録装
置は、この基本原理に則ったものである。
【0031】次に、このインクジェット記録装置のイン
ク供給系の詳細な構成について図3を参照して説明す
る。図3は、図1に示すインクジェット記録装置のイン
ク供給経路を説明するための図であり、説明を簡単にす
るため、1色分の経路についてのみ示している。
【0032】まず、記録ヘッド201について説明す
る。記録ヘッド201へは、インク供給チューブ206
の先端に設けられた液体コネクタが気密接続されるコネ
クタ挿入口201aからインクが供給される。コネクタ
挿入口201aは記録ヘッド201の上部に形成された
サブタンク部(第1の液室)201bと連通している。
サブタンク部201bの重力方向下側には、並列に配列
された複数のノズル201gを有するノズル部にインク
を直接供給する液室(第2の液室)201fが形成され
ている。サブタンク部201bと液室201fとはフィ
ルタ201cによって区画されているが、サブタンク部
201bと液室201fとの境界には開口部201dが
形成された仕切部201eを有し、フィルタ201cは
この仕切部201e上に設置されている。
【0033】上述の構成により、コネクタ挿入口201
aから記録ヘッド201に供給されたインクは、サブタ
ンク部201b、フィルタ201c、液室201fを経
てノズル201gに供給される。コネクタ挿入口201
aからノズル201gまでの間は大気に対して気密な状
態に保たれている。
【0034】サブタンク部201bの上面には開口部が
形成され、この開口部はドーム状の弾性部材201hで
覆われている。この弾性部材201hで囲まれた空間が
圧力調整室201iであり、サブタンク部201b内の
圧力に応じて容積が変化し、後述するようにサブタンク
部201b内の圧力を調整する機能を有する。
【0035】ノズル201gは、断面幅が20μm程度
の筒状の構造を持ち、ノズル201g内のインクに吐出
エネルギーを与えることでインクをノズル201gから
吐出させ、インクの吐出後、ノズル201gの毛管力に
よりノズル201g内にインクが満たされる。通常は、
この吐出を20kHz以上のサイクルで繰り返し、微細
で高速な画像形成を行っている。ノズル201g内のイ
ンクに吐出エネルギーを与えるために、記録ヘッド20
1は、ノズル201gごとにエネルギー発生手段を有す
る。本実施形態では、エネルギー発生手段として、ノズ
ル201g内のインクを加熱する発熱抵抗素子を用いて
おり、記録ヘッド201の駆動を制御するヘッド制御部
(不図示)からの指令により発熱抵抗素子を選択的に駆
動し、所望のノズル201g内のインクを膜沸騰させ、
これにより生じる気泡の圧力を利用してノズル201g
からインクを吐出させている。
【0036】ノズル201gは、インクを吐出する先端
を下向きにして配列されているが、その先端を閉鎖する
弁機構は設けられておらず、インクはメニスカスを形成
した状態でノズル201gを満たしている。そのため、
記録ヘッド201の内部、特にノズル201g内は負圧
の状態に保たれている。ただし、負圧が小さすぎると、
ノズル201gの先端に異物やインクが付着した場合、
インクのメニスカスが崩れてインクがノズル201gか
ら漏れ出てしまうことがある。また、逆に負圧が大きす
ぎると、吐出時にインクに与えられるエネルギーよりも
ノズル201g内にインクを引き戻す力が強くなってし
まい、吐出不良となってしまう。よって、ノズル201
g内における負圧は、大気圧よりも若干低い一定の範囲
に保たれる。この負圧の範囲は、ノズル201gの数、
断面積、発熱抵抗素子の性能等により異なるが、本発明
者らの実験結果によれば、−40mmAq(約−0.0
040atm=−4.053kPa)〜−200mmA
q(約−0.0200atm=−2.0265kPa)
(ただし、インクの比重≒水の比重とする)の範囲が好
ましい。
【0037】本実施形態では、インク供給ユニット20
5と記録ヘッド201とをインク供給チューブ206で
接続しており、インク供給ユニット205に対する記録
ヘッド201の位置を比較的に自由に設定できるので、
記録ヘッド201内を負圧とするために、記録ヘッド2
01をインク供給ユニット205よりも高い位置に配置
している。
【0038】フィルタ201cは、ノズル201gを詰
まらせるような異物がサブタンク部201bから液室2
01fへ流出するのを防止するものである。フィルタ2
01cの面積は、インクによる圧力損失を許容値以下と
するように設定される。圧力損失は、フィルタ201c
のメッシュが細かいほど、また、インクの流量が多いほ
ど高くなり、フィルタ201cの面積には反比例する。
近年の、高速かつ多ノズルかつ小ドットの記録装置にお
いては、圧力損失が高くなる傾向があり、サイズが10
×20mm程度の大きなフィルタ201cが用いられて
おり、それに伴って、フィルタ201cの上流のサブタ
ンク部201bやフィルタ201cの下流の液室201
fにも大きな空間が必要になっている。フィルタ201
cの上面にはサブタンク部201b内のインクが接触し
ているが、このインクと接触している面積がフィルタ2
01cの有効面積となる。フィルタ201cによる圧力
損失はフィルタ201cの有効面積に依存している。本
実施形態では、フィルタ201cを記録ヘッド201の
使用状態において水平となるように配置し、フィルタ2
01cの上面全体にインクを接触させることによりフィ
ルタの有効面積を最大とし、圧力損失を低くしている。
【0039】フィルタ201cは、インクに接すると、
毛細管力によりインクが各孔部(メッシュ)に浸み込ん
で微細なメニスカスが形成され、インクの透過は容易で
あるが、空気の流通は困難になる性質を持つ。メッシュ
が細かいほどそのメニスカス強度が増し、より空気を通
しにくくなる。
【0040】本実施形態のフィルタ201cにおいて、
空気を透過させるのに必要な圧力は0.1atm(1
0.1325kPa)程度(実験値)である。そのた
め、記録ヘッド201内でのインクの移動方向に関して
フィルタ201cの下流に位置する液室201fに空気
が存在すると、空気は空気自身の浮力程度ではフィルタ
201cを通過することができないので、液室201f
内の空気は液室201f内に留まる。本実施形態におい
てはこの現象を利用しており、液室201fをインクで
満たさず、液室201f内のインクとフィルタ201c
との間に空気の層が存在しこの空気層によって液室20
1f内のインクとフィルタ201cとが隔てられるよう
に、所定の量のインクを液室201f内に蓄えている。
【0041】また、ノズル201g内に液室201fか
らの空気が侵入すると、インク吐出後のノズル201g
にインクが補充されず吐出不良をおこすため、ノズル2
01g内は常にインクで満たされている必要がある。
【0042】圧力調整室201iは、内部の負圧が高ま
るにつれてその容積が縮小する部屋であり、圧力調整室
201iが本実施形態のように弾性部材201hで構成
される場合は、弾性部材201hとしてはゴム材等が好
ましく用いられる。
【0043】圧力調整室201iを設けない場合、サブ
タンク部201b内の圧力は、インクがメインタンク2
04、インク供給ユニット205、およびインク供給チ
ューブ206を通過する際の圧力損失による抵抗を直接
受ける。そのため、全てのノズル201gよりインクを
吐出するなど、高い割合でインクを吐出するいわゆる高
デューティーの場合には、吐出されるインクに対して記
録ヘッド201に供給されるインクが不足状態となり、
負圧が急激に上昇してしまう。ノズル201gの負圧
が、前述した限界値である−200mmAq(約−2.
0265kPa)を越えると、吐出が不安定になり画像
形成の上で不都合な状態となる。
【0044】本実施形態のような、シリアル型の記録装
置においては、高デューティーでの画像形成であっても
キャリッジ202(図1参照)の反転の際にインクの吐
出を中断する状態が存在する。圧力調整室201iは、
インクの吐出中には容積を縮小させてサブタンク部20
1b内の負圧の上昇を緩和し、反転時に復元するといっ
た、コンデンサのような役割を果たす。
【0045】次に、インク供給ユニット205およびメ
インタンク204について説明する。
【0046】メインタンク204は、インク供給ユニッ
ト205に対して着脱可能な構成であり、剛性を有する
タンク本体の底部に、ゴム栓204bで密封されたイン
ク供給口と、ゴム栓204cで密封された大気導入口と
を有する。メインタンク204は、単体では気密な容器
であり、インク209はメインタンク204内に液体の
まま収容される。
【0047】一方、インク供給ユニット205は、メイ
ンタンク204からインク209を取り出すためのイン
ク供給針205aと、メインタンク204内へ大気を導
入させるための大気導入針205bとを有する。インク
供給針205aおよび大気導入針205bはともに中空
の針であり、メインタンク204のインク供給口および
大気導入口の位置に対応させて針先を上方に向けて配置
されており、メインタンク204がインク供給ユニット
205に装着されることで、インク供給針205aおよ
び大気導入針205bがそれぞれゴム栓204b,20
4cを貫通し、メインタンク204の内部に侵入する構
成となっている。
【0048】インク供給針205aは、液路205c、
遮断弁210、および液路205dという経路を経て、
インク供給チューブ206と接続される。大気導入針2
05bは、液路205e、バッファ室205f、大気連
通口205gを経て大気と連通する。インク供給針20
5aおよび大気導入針205bは、本実施形態では、イ
ンクの流動抵抗を抑えるため、内径が1.6mmの太い
ものを使用している。
【0049】遮断弁210は、ゴム材からなるダイアフ
ラム210aを有し、このダイアフラム210aを変位
させることにより2つの液路205c,205d間の開
閉を行う。ダイアフラム210aの上面には、押圧ばね
210cを内部に保持する筒状のばねホルダ210bが
取り付けられており、この押圧ばね210cによりばね
ホルダ210bを介してダイアフラム210aを押し潰
すことにより、液路205c,205d間が遮断され
る。ばねホルダ210bは、後述する回復ユニット20
7のリンク207eにより動作されるレバー210dが
係合するフランジを有する。レバー210dを動作させ
て、押圧ばね210cのばね力に抗してばねホルダ21
0bを持ち上げることで、液路205c,205d間が
連通する。遮断弁210は、記録ヘッド201がインク
を吐出している状態では開かれ、待機中および休止中は
閉じられ、後述するインク充填動作時には、回復ユニッ
ト207とタイミングを合わせて開閉される。
【0050】上述したインク供給ユニット205の構成
は、レバー210dを除き、メインタンク204ごと、
すなわちインクの色(本実施形態では黒、シアン、マゼ
ンタ、イエローの4色)ごとに設けられている。レバー
210dは全ての色に共通のものであり、全ての色につ
いての遮断弁210を同時に開閉させる。
【0051】以上の構成により、記録ヘッド201内の
インクが消費されると、その負圧により、インクが随時
メインタンク204からインク供給ユニット205およ
びインク供給チューブ206を介して記録ヘッド201
へ供給される。その際、メインタンク204から供給さ
れたインクと同量の空気が、大気連通口205gからバ
ッファ室205f、大気導入針205bを経て、メイン
タンク204内に導入される。
【0052】バッファ室205fは、メインタンク20
4内の空気の膨張によりメインタンク204から流出し
たインクを一時的に保持する目的の空間であり、大気導
入針205bの下端はバッファ室205fの底部に位置
している。インクジェット記録装置の待機中または休止
中に環境温度が上昇したり外気圧が低下する等、メイン
タンク204内の空気が膨張した場合は、遮断弁210
は閉じられているため、メインタンク204内のインク
209が大気導入針205bから液路205eを経てバ
ッファ室205fへ流出する。逆に、環境温度が低下す
る等、メインタンク204内の空気が収縮した場合は、
バッファ室205f内に流出していたインクはメインタ
ンク204へ戻る。また、バッファ室205fにインク
が存在している状態で記録ヘッド201からインクを吐
出させると、まず、バッファ室205f内のインクがメ
インタンク204へ戻り、バッファ室205f内のイン
クがなくなった後、メインタンク204内に空気が導入
される。
【0053】バッファ室205fの容積Vbは、製品の
使用環境を満足するように設定する。例えば、5℃(2
78K)〜35℃(308K)の温度範囲内での使用を
前提とする製品であれば、メインタンク204の容量を
100mlとすると、Vb=100×(308−27
8)/308=9.7ml以上として設定される。
【0054】ここで、メインタンク204の基本水頭
と、メインタンク204内に空気が導入される際のイン
ク供給ユニット205の液路内での空気およびインクの
挙動について、図4を用いて説明する。
【0055】図4(a)に、メインタンク204から記
録ヘッド201(図3参照)へインクを供給可能な通常
の状態を示す。この状態では、メインタンク204内
は、バッファ室205fを除いて気密状態であるためメ
インタンク204内は負圧に保たれ、インクの先端20
9aは、液路205eの途中に留まっている。インクの
先端209aの圧力は、大気と接しているため大気圧
(=0mmAq)である。インクの先端209aが位置
する液路205cとインク供給チューブ206(図3参
照)に連通する液路205eとは同じ高さであり、両液
路205c,205e間はインクのみで連通されている
ので、液路205cの圧力も大気圧となる。これはイン
クの先端209aと液路205cとの高さの関係で決ま
るものであり、メインタンク204内のインク209の
量には影響されない。
【0056】メインタンク204内のインクが消費され
ると、図4(b)に示すように、インクの先端209a
は徐々に大気導入針205bへ向かって移動し、大気導
入針205bの直下に達した時点で、図4(c)に示す
ように、気泡となって大気導入針205b内を浮上し、
メインタンク204内に進入する。これと入れ替えに、
メインタンク204内のインクが大気導入針205b内
に浸入し、インクの先端209aは図4(a)に示した
元の状態に戻る。
【0057】図4(d)に、バッファ室205f内にイ
ンクが溜まった状態を示す。この場合、インクの先端2
09aはバッファ室205fの高さ方向中間の、液路2
05cよりもh1(mm)だけ高い位置に位置してお
り、液路205cの圧力が−h1(mmAq)となって
いる。
【0058】以上より、本実施形態において、ノズル2
01g(図3参照)にかかる水頭差による圧力は、図5
に示すように流路205cからサブタンク部201b内
のインク上面209bまでの高さをh2(mm)、フィ
ルタ201cからサブタンク部201b内のインク上面
209bまでの高さをh3(mm)、ノズル201gの
下端から液室201f内のインク上面209cまでの高
さをh4(mm)とすると、ノズル201g下端での負
圧Pnは、通常の状態では、Pn≒−9.8×(h2−h
3−h4)Paとなり、バッファ室205fにインクが
溜まった状態では、Pn≒−9.8×(h2−h1−h
3−h4)Paとなる。Pnの値は、前述した負圧の範
囲(−4.053kPa〜−2.0265kPa)の範
囲に収まるように設定される。
【0059】再び図3を参照すると、インク供給針20
5aと大気連通針205bとにはインクの電気抵抗を測
定する回路205hが接続されており、メインタンク2
04内のインクの有無を検出可能となっている。この回
路205hは、メインタンク204内にインクが存在し
ている状態では、メインタンク204内のインクを介し
て回路205hに電流が流れるため電気的クローズを検
出し、インクが存在しないまたはメインタンク204が
装着されていない状態では電気的オープンを検出する。
検出電流は微弱であるため、インク供給針205aと大
気導入針205bとの絶縁は重要であり、本実施形態で
は、インク供給針205aから記録ヘッド201までの
経路と、大気連通針205bから大気連通口205gま
での経路とを完全に独立させ、メインタンク204内の
インクのみの電気抵抗を測定可能なように配慮してい
る。
【0060】次に、回復ユニット207について説明す
る。回復ユニット207は、ノズル201gからのイン
クや空気の吸引と、遮断弁210の開閉を行うものであ
り、記録ヘッド201のインク吐出面(ノズル201g
が開口した面)をキャッピングする吸引キャップ207
aと、遮断弁210のレバー210dを動作させるリン
ク207eとを有する。
【0061】吸引キャップ207aは、少なくともイン
ク吐出面と接触する部分がゴム等の弾性部材で構成さ
れ、インク吐出面を密閉する位置と記録ヘッド201か
ら退避した位置との間を移動可能に設けられている。吸
引キャップ207aには吸引ポンプ207cが接続さ
れ、吸引ポンプ207cはポンプモータ207dに駆動
されて吸引キャップ207aを介して吸引を行う。吸引
ポンプ207cは複数コロを有するチューブポンプ方式
であり、連続吸引が可能で、ポンプモータ207dの回
転量に応じて吸引量を変えることができる。本実施形態
では、0.4atm(40.53kPa)まで減圧可能
な吸引ポンプ207cを用いている。
【0062】リンク207eはカム207fによりスラ
イドし、遮断弁210のレバー210dを動かし遮断弁
210の開閉を行う。カム207bとカム207fは同
軸に配置され、カム制御モータ207gにより図中矢印
方向に回転可能である。カム207bのa〜cの位置が
それぞれ吸引キャップ207aと接触するタイミング
は、カム207fのa〜cの位置がそれぞれリンク20
7eと接触するタイミングと一致している。aの位置で
は、カム207bは吸引キャップ207aを記録ヘッド
201のインク吐出面から離間させ、カム207fはリ
ンク207eを押しつけてレバー210dを押し上げ、
遮断弁210を開かせる。bの位置では、カム207b
は吸引キャップ207aをインク吐出面に密着させ、カ
ム207fはリンク207eを引き戻して遮断弁を閉じ
させる。cの位置では、カム207bは吸引キャップ2
07aをインク吐出面に密着させ、カム207fはリン
ク207eを押しつけて遮断弁210を開かせる。
【0063】記録動作の際は、カム207b,207f
をaの位置とし、ノズル201gからのインクの吐出
と、メインタンク204から記録ヘッド201へのイン
クの供給を可能にする。待機中および休止中を含む非動
作時は、カム207b,207fをbの位置とし、吸引
キャップ207aが記録ヘッド1のノズル面を覆い、ノ
ズル201gの乾燥を防止するとともに、記録ヘッド2
01からのインクの流出を防止する(特に装置自身の移
動時は、装置が傾けられてインクが流出する場合もあ
る)。カム207b,207fのcの位置は、以下に説
明する、記録ヘッド201へのインク充填動作時に用い
られる。
【0064】以上、メインタンク204から記録ヘッド
201までのインク供給経路を説明したが、図3に示し
たような構成では、長期にわたって見ると、記録ヘッド
201内に空気が蓄積してしまう。
【0065】サブタンク部201bにおいては、インク
供給チューブ206や弾性部材201hを透過して侵入
する空気や、インク内に溶存していた空気が蓄積する。
インク供給チューブ206や弾性部材201hを透過す
る空気については、それらを構成する材料としてガスバ
リア性の高いものを使用すればよいが、ガスバリア性の
高い材料は高価であり、大量生産される民生用の機器で
は、コスト面の都合上、高性能な材料を容易に使用する
ことはできない。本実施形態では、インク供給チューブ
206には低コストかつ柔軟性が高く使い易いポリエチ
レンチューブを用い、弾性部材201hにはブチルゴム
を使用している。
【0066】一方、液室201fにおいては、ノズル2
01gからインクを吐出する際にインクの膜沸騰により
生じた気泡が分裂して液室201fに戻ったり、インク
中に溶存している微細な気泡がノズル201g内のイン
クの温度上昇により集まって大きな気泡となることによ
り、徐々に空気が蓄積する。
【0067】本発明者らが行った実験によると、本実施
形態に示した構成においては、サブタンク部201b内
での空気の蓄積量は1ヶ月当たり約1ml、液室201
f内での空気の蓄積量は1ヶ月当たり約0.5mlであ
った。
【0068】サブタンク部201b内および液室201
f内での空気の蓄積量が多いと、サブタンク部201b
および液室201fが各々収納しているインク量が減少
してしまう。サブタンク部201bにおいては、インク
が不足すると、フィルタ201cが空気に露出してフィ
ルタ201cの有効面積が減少し、その結果としてフィ
ルタ201cの圧力損失が上昇し、最悪の場合は液室2
01fへインクが供給できなくなってしまう。一方、液
室201fにおいては、ノズル201gの上端が空気に
露出すると、ノズル201gへのインク供給が不能とな
る。このように、サブタンク部201bおよび液室20
1fのいずれも、一定量以上のインクが収納されていな
いと致命的な問題が生じる。
【0069】そこで、所定の期間ごとにサブタンク部2
01bおよび液室201fの各々に適量のインクを充填
することで、ガスバリア性の高い材料を使用しなくても
インクの吐出機能を長期間にわたって安定して維持する
ことができる。例えば本実施形態の場合、1ヶ月当たり
に蓄積する空気の量に充填時のばらつきをプラスした量
を、サブタンク部201bおよび液室201fにそれぞ
れ1ヶ月ごとに充填すればよい。
【0070】サブタンク部201bおよび液室201f
へのインクの充填は、回復ユニット207による吸引動
作を利用して行う。すなわち、吸引キャップ207aで
記録ヘッド201のインク吐出面を密閉した状態で吸引
ポンプ207cを駆動し、記録ヘッド201内のインク
をノズル201gから吸引することによって行う。ただ
し、単にノズル201gからインクを吸引しただけで
は、ノズル201gから吸引したインクとほぼ同量のイ
ンクがサブタンク部201bから液室201fへ流れ込
み、同様に、サブタンク部201bから流出したインク
とほぼ同量のインクがメインタンク204からサブタン
ク部201bへ流れ込むだけで、吸引前と状況はほとん
ど変わらず、適量のインクを充填することができない。
【0071】したがって、本実施形態では、フィルタ2
01cで仕切られたサブタンク部201bと液室201
fとに各々適量のインクを充填するために、遮断弁21
0を利用してサブタンク部201bおよび液室201f
を所定の圧力まで減圧し、サブタンク部201bおよび
液室201fの容積設定を行う。
【0072】以下に、サブタンク部201bと液室20
1fとへのインク充填動作、および容積設定について説
明する。
【0073】インク充填動作は、まず、記録ヘッド20
1が吸引キャップ207aと対向する位置までキャリッ
ジ202(図1参照)を移動させ、回復ユニット207
のカム制御モータ207gを駆動してカム207b,2
07eを、それぞれbの位置が吸引キャップ107aお
よびリンク207eと接触するまで回転させる。これに
より、記録ヘッド201のインク吐出面が吸引キャップ
207aにより密閉され、遮断弁210はメインタンク
204から記録ヘッド201までのインク経路を閉じた
状態となる。
【0074】この状態でポンプモータ207dを駆動
し、吸引ポンプ207cにより吸引キャップ207aか
ら吸引を行う。この吸引により、記録ヘッド201内に
残留しているインクおよび空気がノズル201gを通し
て吸引され、記録ヘッド201内が減圧される。吸引ポ
ンプ207cによる吸引量が所定の量に達した時点で、
吸引ポンプ207cを停止させ、カム制御モータ207
gを駆動してカム207b,207fをそれぞれcの位
置が吸引キャップ207aおよびリンク207eと接触
するまで回転させる。これにより、吸引キャップ207
aによるインク吐出面の密閉状態はそのままで、遮断弁
210が開かれる。吸引ポンプ207cによる吸引量
は、記録ヘッド201内が所定の圧力となる吸引量であ
り、これは計算や実験等によって求めることができる。
【0075】記録ヘッド201内が減圧されると、イン
ク供給チューブ206を介して記録ヘッド201内にイ
ンクが流れ込み、サブタンク部201bおよび液室20
1fの各々にインクが充填される。充填されるインクの
量は、減圧されているサブタンク部201bおよび液室
201fがほぼ大気圧に戻るのに必要な体積であり、サ
ブタンク部201bおよび液室201fの容積および圧
力により決定される。
【0076】サブタンク部201bおよび液室201f
へのインクの充填は、遮断弁210が開かれてから約1
秒程度で完了する。インクの充填が完了すると、カム制
御モータ207gを駆動してカム207b,207fを
bの位置がそれぞれ吸引キャップ207aおよびリンク
207eと接触する位置まで回転させる。これにより吸
引キャップ207aを記録ヘッド201から離間させ、
再び吸引ポンプ207cを駆動して吸引キャップ207
a内に残ったインクを吸引する。またこの状態では遮断
弁210は開いた状態であるので、ノズル201gから
インクを吐出して記録用シートS(図1参照)へ文字や
画像等を形成可能な状態となる。なお、待機中および休
止中の場合は、カム制御モータ207gを再び駆動して
カム207b,207fをそれぞれbの位置が吸引キャ
ップ207aおよびリンク207eと接触する位置まで
回転させ、記録ヘッド201のインク吐出面を吸引キャ
ップ207aで密閉するとともに、遮断弁210を閉じ
る。
【0077】サブタンク部201bおよび液室201f
内のインクの量が長期間にわたって不足することがなけ
れば、回復ユニット207による吸引動作を頻繁に行う
必要もなく、インクを無駄にする機会も減る。さらに、
サブタンク部201bおよび液室201fの両方にイン
クの充填が必要な場合であっても1回の充填動作で済む
のでインクを節約することができる。
【0078】ここで、上述した充填動作および容積設定
について説明する。
【0079】サブタンク部201bの容積をV1、サブ
タンク部201bに存在すべきインクの量をS1、サブ
タンク部201b内の圧力をP1(大気圧からの相対
値)とすると、「PV=一定」の原理により、これらの
関係をV1=S1/│P1│となるように設定すること
により、充填動作により、サブタンク部201bに適量
のインクが存在するようにインクを充填することができ
る。同様に、液室201fの容積をV2、液室201f
に存在すべきインクの量をS1、液室201f内の圧力
をP2(大気圧からの相対値)としたとき、これらの関
係をV2=S2/│P2│となるように設定することに
より、充填動作により液室201fに適量のインクが存
在するようにインクを充填することができる。
【0080】また、サブタンク部201bと液室201
fとを区画するフィルタ201cは微細なメッシュ構造
であり、前述したようにメニスカスが形成された状態で
は空気の流れが困難な性質を持っている。ここで、メニ
スカスが形成されたフィルタ201cに対して空気を透
過させるのに必要な圧力をPmとする。回復ユニット2
07によりノズル201gから吸引した場合、液室20
1f内の圧力P2は、フィルタ201cを通してサブタ
ンク部201b内の空気を透過させるために、サブタン
ク部201b内の圧力P1よりも上記圧力Pm分だけ低
くなる。よって、この関係を、サブタンク部201bお
よび液室201fの容積を決定する際に用いると、充填
動作の条件を容易に決定することができる。
【0081】以上の関係に基づいて、以下に具体例を示
す。本実施形態において、インクの充填は、1ヶ月に1
回実施し、1ヶ月間で蓄積する空気の量は、サブタンク
部201bで1ml、液室201fで0.5mlとす
る。また、サブタンク部201bにおいてフィルタ20
1cを空気に露出させないようにするために必要なイン
クの量は0.5ml、液室201fにおいてノズル20
1gを空気に吐出させないようにするために必要なイン
クの量は0.5ml、インクの充填量のばらつきは、サ
ブタンク部201b、液室201fとも0.2mlとす
る。これらの数値は、実験によって求められたものであ
る。以上より、1回の充填後に存在すべきインクの量は
これらの合計値であり、サブタンク部201bでは1.
7ml、液室201fでは1.2mlという比較的大き
な値になる。
【0082】記録ヘッド201内の減圧圧力は、回復ユ
ニット207の能力を超えない範囲で設定される。本実
施形態では吸引ポンプ207cの実力限界が−0.6a
tm(−60.795kPa)であるため、余裕を持た
せて、吸引キャップ207a内の圧力が−0.5atm
(−50.6625kPa)となるように、吸引ポンプ
207cの吸引量が実験により求められて設定され、ポ
ンプモータ207dの回転量として制御される。
【0083】ここで、ノズル201gのメニスカスによ
る空気を透過させるのに必要な圧力は実験値で−0.0
5atm(−5.06625kPa)であるので、吸引
キャップ207a内の圧力と液室201f内の圧力との
間にノズル201gの抵抗分の差が生じ、液室201f
内の圧力がキャップ207a内の圧力よりも0.05a
tm(5.06625kPa)だけ高くなる。同様に、
フィルタ201cのメニスカスによる空気を透過させる
のに必要な圧力は実験値で−0.1atm(−10.1
325kPa)なので、液室201f内の圧力とサブタ
ンク部201b内の圧力との間にフィルタ201cの抵
抗分の差が生じ、サブタンク部201b内の圧力が液室
201f内の圧力よりも0.1atm(10.1325
kPa)だけ高くなる。よって、吸引キャップ207a
内の圧力を−0.5atm(−50.6625kPa)
に設定すると、液室201f内の圧力は−0.45at
m(−45.5963kPa)、サブタンク部201b
内の圧力は−0.35atm(−35.4638kP
a)となる。
【0084】サブタンク部201bに1.7mlのイン
クを存在させるためには、内圧がほぼ1atm(10
1.325kPa)となっているサブタンク部201b
から1.7mlだけインクを吸引した時点で内圧が−
0.35atm(−35.4638kPa)となるよう
に、サブタンク部201bの容積V1を設定する。すな
わち、V1=1.7/0.35=4.85mlとなる。
同様にして、液室201fの容積V2についても、V2
=1.2/0.45=2.67mlと設定する。
【0085】以上の条件で記録ヘッド201内を減圧し
た後、遮断弁210を開くことで、負圧となっている記
録ヘッド201内へインクが流れ込む。より詳しく説明
すると、まず、サブタンク部201b内にインクが流れ
込み、減圧によってV1まで膨張していた空気がほぼ大
気圧まで復元する。そのときのサブタンク部201b内
での空気の体積をV1aとすると、V1a=V1×(1−
0.35)=3.15mlであり、サブタンク部201
bにV1−V1a=1.7mlのインクが存在するよう
になるまでインクが充填された時点で落ち着く。同様に
液室201fについても、サブタンク部201bからイ
ンクが流れ込み、減圧によってV2まで膨張していた空
気がほぼ大気圧まで復元する。そのときの液室201f
内での空気の体積をV2aとすると、V2a=V2×(1
−0.45)=1.47mlであり、液室201fにV
2−V2a=1.2mlのインクが存在するようになる
までインクが充填された時点で落ち着く。
【0086】以上のように、サブタンク部201bおよ
び液室201fの各々の容積と減圧する圧力とを設定す
ることにより、1回の充填動作で、フィルタ201cで
仕切られたサブタンク部201bと液室201fとに各
々適量のインクが存在するようにインクを充填すること
ができ、空気が記録ヘッド201内に蓄積する状況下で
あってもその吸引動作なしに、長期間にわたって正常に
稼働させることができる。
【0087】なお、フィルタとノズルとの間の流路を気
泡が塞いでしまう問題に関しては、本実施形態では、液
室201f内に存在し得る気泡の直径に対して液室20
1fの断面積を十分に大きく構成して、液室201f内
の気泡がインクの流れを妨げない構成としている。ま
た、液室内の気泡がノズル内に侵入したり液室とノズル
との間の連通部を塞いでしまう問題に関しては、上述し
たように液室201fの断面積が十分に大きいので、液
室201f内に生じた気泡はその浮力によりインク中を
上昇して空気層と合体するので、ノズル201g内に侵
入することはなくなる。すなわち、フィルタ201cで
サブタンク部201bと仕切られた液室201fを以上
のように構成することで、液室201f内に気泡が生じ
たり、この気泡が移動することが原因となって発生して
いた吐出不良に対する信頼性を大幅に向上させることが
できる。
【0088】サブタンク部と液室とのいずれか一方のみ
を本実施形態のような構成とし、他方を従来例と同様な
構成として場合でも、少なくとも前者に関しては、前記
したような機能が成り立つと同時に空気除去が効率的に
行え効果がある。
【0089】以上の説明においては、吸引動作後にサブ
タンク部201bや液室201f内に僅かでもインクが
残留することを想定し、残留するインク量とインクの充
填量との和が適量となるように考慮し、すなわち、イン
クが存在すべき量=残留するインク量+インクを充填す
る量とした。しかし、吸引動作によりサブタンク部20
1bや液室201f内のインクが一旦完全に排出されて
しまう場合には、サブタンク部201bや液室201f
内に存在すべきインク量が、インクを充填する量と一致
し、インクが存在すべき量=インクを充填する量と考え
られる。
【0090】
【発明の効果】本発明によると、2つに分割された液室
のそれぞれに適量のインクが存在するようにインクが充
填される。記録ヘッド内の流路を幅広にしても、両液室
ともに、空気を抜きインクを充填することができる。ま
た、両液室において長期にわたりインク量が不足するこ
とがなく、さほど頻繁な回復吸引は必要なく、インクを
無駄に消費する量が減る。さらに、両液室ともにインク
充填を必要とする場合にも、1度の充填工程で済むため
インクを節約できる。また、PV=一定の法則を利用し
て、充填動作によって各液室に適量のインクが存在する
ようにインクを充填できる。
【0091】第1の液室に、最低限必要とされるインク
量(フィルタがインク内に確実に浸かるインク量)より
多く、所定時間(例えば1ヶ月など長期間)において第
1の液室に蓄積する空気量の和より多いインク量S1が
存在するようにインクを充填でき、同様に、第2の液室
に、最低限必要とされるインク量(ノズルがインク内に
確実に浸かるインク量)より多く、前記したのと同じ所
定期間において第2の液室に蓄積する空気量の和よりも
多いインク量S2が存在するようにインクを充填できれ
ば、その所定期間内に1回充填動作を実施すればよいの
で、排出するインクを節約できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェット記録
装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置のインク供
給原理の説明図である。
【図3】図1に示すインクジェット記録装置の、1色分
についてのインク供給経路を説明するための図である。
【図4】図3に示すインク供給経路での、メインタンク
内に空気が導入される際の、インク供給ユニットの液路
内での空気およびインクの挙動を説明する図である。
【図5】図3に示すインク供給経路での、ノズルにかか
る水頭差による圧力を説明する図である。
【図6】従来のチューブ供給方式のインクジェット記録
装置におけるインク供給系の図である。
【符号の説明】
201 記録ヘッド 201a コネクタ挿入口 201b サブタンク部(第1のインク室) 201c フィルタ 201d 開口部 201e 仕切部 201f 液室(第2のインク室) 201g 吐出ノズル 201h 弾性部材 201i 圧力調整室 202 キャリッジ 203 搬送ローラ 204 メインタンク(インクタンク) 204b、204c ゴム栓 205 インク供給ユニット 205a インク供給針 205b 大気導入針 205c、205d、205e 流路 205f バッファ室 205g 大気連通口 205h 回路 206 インク供給チューブ 207 回復ユニット 207a 吸引キャップ 207b カム 207c 吸引ポンプ 207d ポンプモータ 207e リンク 207f カム 207g カム制御モータ 209 インク 210 遮断弁 210a ダイアフラム 210b ばねホルダ 210c 押圧ばね 210d レバー S 記録用シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蔵田 満 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 但馬 裕基 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 蔭山 徹人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 島 丈明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 佐々木 俊博 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 渡部 格生 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA14 EA25 EB20 EB21 EB34 EC18 EC24 EC57 EC62 JA13 JC06 KB04 KB08 KB37

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルからインクを吐出して記録を行う
    記録ヘッドと、前記記録ヘッド内のインクを前記ノズル
    から強制排出する吸引手段と、前記記録ヘッドにインク
    を供給するインク供給手段とを有するインクジェット記
    録装置において、 前記記録ヘッドが、インクの流れ方向に関して上流側の
    第1の液室と下流側の第2の液室とを含み、 前記第1の液室および前記第2の液室の少なくとも一方
    は、前記吸引手段の吸引力と、前記吸引手段による吸引
    が行われた後に存在すべき所望のインク量とに基づいて
    決定された容積を有しており、 前記インク供給手段が、インクを収容するインクタンク
    と、前記インクタンクと前記記録ヘッドとを連通させる
    インク供給チューブと、前記インク供給チューブを開閉
    する遮断弁とを含み、 前記吸引手段が、前記記録ヘッドを密閉する吸引キャッ
    プと、前記吸引キャップを介して吸引する吸引ポンプと
    を含み、 前記吸引手段が、前記第1の液室および前記第2の液室
    をそれぞれ所望の圧力にまで減圧させた時点で、前記遮
    断弁が開き、前記インクタンク内のインクが前記インク
    供給チューブを介して前記第1の液室および前記第2の
    液室に充填されるように、前記インク供給手段と前記吸
    引手段とが連動することを特徴とするインクジェット記
    録装置。
  2. 【請求項2】 ノズルからインクを吐出して記録を行う
    記録ヘッドと、前記記録ヘッド内のインクを前記ノズル
    から強制排出する吸引手段と、前記記録ヘッドにインク
    を供給するインク供給手段とを有するインクジェット記
    録装置において、 前記記録ヘッドが、インクの流れ方向に関して上流側の
    第1の液室と下流側の第2の液室とを含み、 前記第1の液室の容積V1は、吸引時の前記第1の液室
    の減圧値をp1[atm](大気圧からの相対値)、前
    記第1の液室に存在すべきインク量をS1として、V1
    =S1/|p1|の関係を実質的に満たすように設定さ
    れることを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 ノズルからインクを吐出して記録を行う
    記録ヘッドと、前記記録ヘッド内のインクを前記ノズル
    から強制排出する吸引手段と、前記記録ヘッドにインク
    を供給するインク供給手段とを有するインクジェット記
    録装置において、 前記記録ヘッドが、インクの流れ方向に関して上流側の
    第1の液室と下流側の第2の液室とを含み、 前記第2の液室の容積V2は、吸引時の前記第2の液室
    の減圧値をp2[atm](大気圧からの相対値)、前
    記第2の液室に存在すべきインク量をS2として、V2
    =S2/|p2|の関係を実質的に満たすように設定さ
    れることを特徴とするインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記第1の液室と前記第2の液室との間
    に位置し両者を分離するフィルタを有する請求項1〜3
    のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 前記フィルタが多数の孔部を有するメッ
    シュ構造である請求項4に記載のインクジェット記録装
    置。
  6. 【請求項6】 前記フィルタの前記各孔部におけるイン
    クのメニスカス強度圧力をpmとし、吸引時の前記第1
    の液室の減圧値をp1[atm](大気圧からの相対
    値)、吸引時の前記第2の液室の減圧値をp2[at
    m](大気圧からの相対値)とすると、p1=p2−p
    mの関係を満たし、 前記第1の液室の容積V1は、前記第1の液室に存在す
    べきインク量をS1すると、V1=S1/|p1|の関
    係を実質的に満たすように設定され、 前記第2の液室の容積V2は、前記第2の液室に存在す
    べきインク量をS2とすると、V2=S2/|p2|の
    関係を実質的に満たすように設定される請求項5に記載
    のインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 前記第1の液室および前記第2の液室に
    それぞれ存在すべきインク量は、前記第1の液室および
    前記第2の液室にそれぞれ蓄積する空気量よりも多い、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記
    録装置。
  8. 【請求項8】 前記第1の液室および前記第2の液室に
    それぞれ存在すべきインク量は、前記第1の液室および
    前記第2の液室にそれぞれ蓄積する空気量と、前記第1
    の液室および前記第2の液室の安定した性能を保証する
    ためにそれぞれ必要な最低インク量との和よりも多い、
    請求項7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 【請求項9】 ノズルからインクを吐出して記録を行う
    記録ヘッドと、前記記録ヘッド内のインクを前記ノズル
    から強制排出する吸引手段と、前記記録ヘッドにインク
    を供給するインク供給手段とを有するインクジェット記
    録装置の製造方法において、 前記記録ヘッド内に、インクの流れ方向に関して上流側
    の第1の液室と下流側の第2の液室とを形成し、 前記第1の液室および前記第2の液室の少なくとも一方
    は、前記吸引手段の吸引力と、前記吸引手段による吸引
    が行われた後に存在すべき所望のインク量とに基づいて
    決定された容積を有するように形成し、 前記インク供給手段を、少なくとも、インクを収容する
    インクタンクと、前記インクタンクと前記記録ヘッドと
    を連通させるインク供給チューブと、前記インク供給チ
    ューブを開閉する遮断弁とから構成し、 前記吸引手段を、少なくとも、前記記録ヘッドを密閉す
    る吸引キャップと、前記吸引キャップを介して吸引する
    吸引ポンプとから構成し、 前記吸引手段が、前記第1の液室および前記第2の液室
    をそれぞれ所望の圧力にまで減圧させた時点で、前記遮
    断弁が開き、前記インクタンク内のインクが前記インク
    供給チューブを介して前記第1の液室および前記第2の
    液室に充填されるように、前記インク供給手段と前記吸
    引手段とが連動するように構成することを特徴とするイ
    ンクジェット記録装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 ノズルからインクを吐出して記録を行
    う記録ヘッドと、前記記録ヘッド内のインクを前記ノズ
    ルから強制排出する吸引手段と、前記記録ヘッドにイン
    クを供給するインク供給手段とを有するインクジェット
    記録装置の製造方法において、 前記記録ヘッド内に、インクの流れ方向に関して上流側
    の第1の液室と下流側の第2の液室とを形成し、 前記第1の液室の容積V1を、吸引時の前記第1の液室
    の減圧値をp1[atm](大気圧からの相対値)、前
    記第1の液室に存在すべきインク量をS1として、V1
    =S1/|p1|の関係を実質的に満たすように設定す
    ることを特徴とするインクジェット記録装置の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 ノズルからインクを吐出して記録を行
    う記録ヘッドと、前記記録ヘッド内のインクを前記ノズ
    ルから強制排出する吸引手段と、前記記録ヘッドにイン
    クを供給するインク供給手段とを有するインクジェット
    記録装置の製造方法において、 前記記録ヘッド内に、インクの流れ方向に関して上流側
    の第1の液室と下流側の第2の液室とを形成し、 前記第2の液室の容積V2を、吸引時の前記第2の液室
    の減圧値をp2[atm](大気圧からの相対値)、前
    記第2の液室に存在すべきインク量をS2として、V2
    =S2/|p2|の関係を実質的に満たすように設定す
    ることを特徴とするインクジェット記録装置の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 前記第1の液室と前記第2の液室との
    間にフィルタを介在させ、前記フィルタにより前記第1
    の液室と前記第2の液室とを分離させる請求項9〜11
    のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 前記フィルタを、多数の孔部を有する
    メッシュ構造とする請求項12に記載のインクジェット
    記録装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記フィルタの前記各孔部におけるイ
    ンクのメニスカス強度圧力pmを、吸引時の前記第1の
    液室の減圧値をp1[atm](大気圧からの相対
    値)、吸引時の前記第2の液室の減圧値をp2[at
    m](大気圧からの相対値)とすると、p1=p2−p
    mの関係を満たすように設定し、 前記第1の液室の容積V1は、前記第1の液室に存在す
    べきインク量をS1とすると、V1=S1/|p1|の
    関係を実質的に満たすように設定し、 前記第2の液室の容積V2は、前記第2の液室に存在す
    べきインク量をS2とすると、V2=S2/|p2|の
    関係を実質的に満たすように設定する請求項13に記載
    のインクジェット記録装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第1の液室および前記第2の液室
    にそれぞれ存在すべきインク量を、前記第1の液室およ
    び前記第2の液室にそれぞれ蓄積する空気量よりも多く
    なるように設定する、請求項9〜14のいずれか1項に
    記載のインクジェット記録装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記第1の液室および前記第2の液室
    にそれぞれ存在すべきインク量を、前記第1の液室およ
    び前記第2の液室にそれぞれ蓄積する空気量と、前記第
    1の液室および前記第2の液室の安定した性能を保証す
    るためにそれぞれ必要な最低インク量との和よりも多く
    なるように設定する、請求項15に記載のインクジェッ
    ト記録装置の製造方法。
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