JP2002246176A - 有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画質改良方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画質改良方法

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JP2002246176A
JP2002246176A JP2001046125A JP2001046125A JP2002246176A JP 2002246176 A JP2002246176 A JP 2002246176A JP 2001046125 A JP2001046125 A JP 2001046125A JP 2001046125 A JP2001046125 A JP 2001046125A JP 2002246176 A JP2002246176 A JP 2002246176A
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Yoshihiro Ogata
吉弘 尾形
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Tohoku Pioneer Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機EL素子の有機膜層への異物の混入に起
因して陰陽電極間で生じるリーク電流を抑制し、有機E
Lディスプレイの画質を改良する方法を提供する。 【解決手段】 透光性の基板11上に、透明電極12
と、発光層13bを少なくとも含む有機膜層13と、金
属電極14とが順次積層されてなる有機EL素子と、そ
の駆動回路を備えた有機ELディスプレイにおいて、前
記有機EL素子の有機膜層に混入している異物15の周
縁部に、金属電極14側から紫外線または可視光線を照
射し、前記異物15の周縁部における電極間の通過電流
密度を低減させることにより、有機ELディスプレイの
画質を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機エレクトロル
ミネッセンス(以下、有機ELと略称する場合がある)
ディスプレイの画質改良方法に関し、より詳細には、有
機ELディスプレイを構成する有機EL素子に異物等が
存在することによる電極間のリーク電流の発生を抑制
し、ディスプレイの画質を改良する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機ELディスプレイは、CRTやプラ
ズマディスプレイと同様、自己発光型の表示デバイスで
あり、非自己発光型の液晶ディスプレイに比べて、視野
角が広い、コントラストが高い、応答速度が速い等の多
くの特長を有している。このため、近年、非常に注目さ
れ、盛んに開発研究が行われており、一部は既に実用化
されている。
【0003】エレクトロルミネッセンス(EL)は、無
機化合物である硫化亜鉛(ZnS)系の蛍光物質に、交
流高電圧を印加したときに発光する現象として古くから
知られているが、有機ELは、蛍光性の有機化合物を発
光物質として用いたものである。有機EL素子は、動作
機構の点では、無機系半導体のp−n接合を利用した発
光ダイオード(LED)に類似するものであり、キャリ
ア注入型の素子である。
【0004】上記のように、有機EL素子はキャリア注
入型であり、通常、図1に示すような薄膜積層構造を有
する。これは、仕事関数が異なる電極間に、キャリア輸
送能が異なる有機化合物を各厚さ数百Åで、真空蒸着法
等により積層したものである。基板1には、透光性、表
面平滑性、取扱い容易性、防水性等の理由から、通常、
ガラス等が用いられる。また、陽極2には、透明電極と
して、一般に、ITO(インジウム/錫酸化物)が用い
られる。ITOは、仕事関数が5.0eVと高く、ホー
ル(正孔)注入能が高く、かつ、可視光領域での透過率
が高いため、好適な物質である。前記ITOからなる陽
極2の上に、有機膜層3が積層される。図1に示した素
子の場合は、この有機膜層3は、ホール輸送層3a、発
光層3b、電子輸送層3cからなる。そして、この有機
膜層3の上にアルミニウム等の良導電性の金属薄層から
なる陰極4が形成される。この有機EL素子は、直流電
流源5から供給された電流により、陽極2からホール
(正孔)が、陰極4から電子が供給され、発光層3b内
で再結合し、有機分子を励起させることにより発光す
る。
【0005】ところで、表示デバイスであるディスプレ
イは、その表示フォーマットからキャラクター表示、ド
ットマトリクス表示、両者が混在するハイブリッド表示
の3種類の表示方式がある。このうち、有機EL素子を
ディスプレイに応用する場合は、ドットマトリクス表示
が一般的である。このドットマトリクス表示の有機EL
ディスプレイの駆動には、アクティブ方式とパッシブ方
式とがある。
【0006】前者のアクティブ方式は、画素を構成する
有機EL素子の個々に薄膜トランジスタ(TFT)から
なるスイッチング素子が接続され、駆動時は、常時点灯
する、いわゆる、スタティック駆動である。
【0007】一方、後者のパッシブ方式は、図2に示す
ような構造からなる。すなわち、基板1上に、陰陽各電
極2、4が、スダレ(簾)状のライン電極群として形成
され、行(例えば、陰極4)、列(例えば、陽極2)状
に上下に交差し、発光層を含む有機膜層3を間に挟んだ
構造からなる。このパッシブ方式においては、陰陽各電
極2、4のラインを選択して、直流電圧を印加すること
により、その間に挟まれた素子(画素)の点灯・非点灯
を制御する。より具体的には、例えば、行ライン(陰極
4)をライン順に逐次走査し、走査選択されている電極
ラインを接地電位とし、一方、列ライン(陽極2)は定
電流回路に接続され、各素子(画素)は定電流駆動され
る。選択された以外の陰極4は、すべての陽極2との間
で、素子が発光する電圧よりも低い電圧しか印加されな
いように、陽極2の電源電圧とほぼ同電位に接続され
る。このように、パッシブ方式は、列ラインと行ライン
とが選択された時にのみ点灯する、いわゆる、デューテ
ィ駆動である。
【0008】上記2方式のディスプレイのうち、アクテ
ィブ方式は、TFTを必要とし、高価であるが、画素数
の多い、比較的大型のディスプレイに適している。一
方、ドットマトリクス表示のパッシブ方式のディスプレ
イは、アクティブ方式と比較して、製造プロセスが簡単
であり、低コストで製造できるため、特に、比較的画素
数の少ない小型ディスプレイに多く用いられ、既に実用
規模で生産されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、有機E
L素子は、通常、基板上に各薄膜層を、蒸着等により順
次積層して製造される。蒸着等の薄膜積層工程は、十分
に清浄された基板を用い、かつ、清浄な環境下で行われ
るが、それでもなお、微細なゴミや粉塵等を完全には除
去することは困難であり、これらが基板や積層処理中の
薄膜層の面上に付着する場合がある。
【0010】このような微細なゴミや粉塵等が、例え
ば、図3に示すように、ガラス基板11 用に積層され
たITO電極(陽極)12上に付着し、異物15として
存在すると、これにより、その異物15の下部接触点の
周縁部は、積層させるための蒸着粒子が蒸着しにくくな
る。このため、異物15の周縁部では、有機膜層13の
膜厚が、他の領域に比べて薄くなる傾向がある。その結
果、異物15の下部周縁部では、ITO電極12と金属
電極(陰極)14とが近接して、電界集中が生じ、発光
輝度が変化する。また、場合によっては、ITO電極1
2と金属電極14との間で、過電流が生じ、膜破壊、シ
ョート等を引き起こすこともある。
【0011】特に、上記したパッシブ方式の有機EL素
子においては、電極の非選択ライン同士の交点に位置す
る画素(素子)は、逆バイアスに接続されているため、
上記のように、異物の存在に起因して、その画素(素
子)の整流特性が不良となる場合は、リーク電流が生
じ、消費電力が大きくなる。また、両電極間で一旦ショ
ートすると、ショートした箇所は、ダークスポットとな
り、また、ショートした画素(素子)を含むライン全体
(ショート箇所を除く)が輝線となり、ディスプレイの
画質を損なうことになる。
【0012】上記不都合を回避するため、従来は、各層
の積層工程毎に基板の被積層面を洗浄する等の対策が採
られていた。しかしながら、このような対策は、工程が
増加することにより、スループットの低下を招来するも
のであり、また、洗浄によっても、一旦付着した異物を
完全に除去することは困難であった。
【0013】本発明者等は、上記課題を解決するための
検討を行った結果、紫外線を照射することにより、前記
有機膜層の電圧−電流特性が劣化することを見出し、こ
れを利用して、上記のような異物による両電極間の局所
的なリーク電流の発生を抑制することを着想した。そし
て、その実施化を目指して鋭意研究を重ねた結果、本発
明を完成するに至った。
【0014】したがって、本発明は、有機EL素子の有
機膜層への異物の混入に起因して陰陽電極間で生じるリ
ーク電流を抑制することにより、有機ELディスプレイ
の画質を改良する方法を提供することを目的とするもの
である。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る有機エレク
トロルミネッセンスディスプレイの画質改良方法は、透
光性の基板上に、透明電極と、発光層を少なくとも含む
有機膜層と、金属電極とが順次積層されてなる有機エレ
クトロルミネッセンス素子と、その駆動回路とを備えた
有機エレクトロルミネッセンスディスプレイにおいて、
前記有機エレクトロルミネッセンス素子の有機膜層に異
物が混入している場合、該異物の周縁部に、金属電極側
から紫外線または可視光線を照射し、前記異物の周縁部
における電極間の通過電流密度を低減させることを特徴
とする。紫外線または可視光線を異物の周縁部に局所照
射し、該被照射部分の有機膜層の電圧−電流特性を劣化
させ、通過電流密度を低減させることにより、有機膜層
の絶縁破壊等による過電流発生を回避することができ、
リーク電流に起因する輝線の発生や発熱による膜の損傷
を防止することができる。
【0016】本発明においては、前記紫外線または可視
光線の波長が100nm以上780nm以下であるこ
と、また、その照射強度が、10mJ/cm2 以上50
J/cm2 以下であることが好ましい。当該範囲内の波
長および照射強度であれば、有機膜層以外のEL素子構
成部材に損傷を与えることなく、有機膜層の通過電流密
度を十分に低減させることができる。
【0017】さらに、本発明に係る方法は、ディスプレ
イがドットマトリックス表示のパッシブ方式である場合
に、特に有効にディスプレイの画質を向上させることが
できる。
【0018】また、別の態様の有機ELディスプレイの
画質改良方法としては、前記紫外線または可視光線の照
射に代えて、該有機膜層の導電性を低下させる性質を有
するガスを、前記異物の周縁部に曝露させる。このよう
なガスを用いた場合も、上記紫外線照射の場合と同様
に、ディスプレイの画質を向上させる効果を奏する。
【0019】前記ガスとして、好ましくは、酸素、一酸
化二窒素、一酸化窒素、塩素、フッ素、三フッ化窒素、
二フッ化酸素、三酸化フッ化塩素およびオゾンから選ば
れた少なくとも1種を挙げることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を添付
図面に基づき、より詳細に説明する。本発明に係る方法
が適用される有機ELディスプレイにおいて、有機EL
素子は、特に限定されるものではなく、一般的な薄膜積
層構造からなるものであれば対象とすることができる。
すなわち、図1に示すような、透明性物質からなる基板
1の上に透明性の陽極2と、発光層3bを少なくとも含
み、通常は、ホール輸送層3a、電子輸送層3c等の複
数の層からなる有機膜層3と、陰極4とが順次積層され
た構造のものが用いられる。各薄膜層は、一般的には、
数百Å程度の膜厚で積層される。
【0021】基板1は、透光性、表面の平滑性、取扱い
容易性、防水性等の点から、主としてガラス基板が用い
られるが、最近では、より軽量で、割れず、フレキシビ
リティに富むプラスチックフィルム基板も用いられてい
る。
【0022】陽極2には、透明性電極としてITO(イ
ンジウム/錫酸化物)が用いられる。ITOの仕事関数
は、5.0eVと高く、ホール注入電極として好適に機
能する。
【0023】有機膜層3は、図1に示した有機EL素子
の場合は、ホール輸送層3a、発光層3b、電子輸送層
3cからなり、それぞれの機能を発現する有機化合物が
用いられる。例えば、ホール輸送層3aとしては、N,
N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニ
ル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン(TP
D)、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニ
ル)シクロヘキサン(TPAC)等の芳香属アミン誘導
体が用いられる。また、発光層3bに用いられる発光材
料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム
錯体(Alq)、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウ
ム錯体(BeBq)等が用いられる。また、電子輸送層
3cには、1,3,4−オキサゾール誘導体(OX
D)、1,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ)等が
用いられる。そして、陰極4には、仕事関数の低い金属
やそれらの金属からなる合金、例えば、リチウム、マグ
ネシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、アルミ
ニウム等の第13族金属、または、これらの合金等が用
いられる。
【0024】上記した有機EL素子の製造は、まず、基
板1上に、真空蒸着法(エレクトロンビーム法)、スパ
ッタリング法、イオンプレーティング法等により、陽極
2となるITO電極を形成する。その上に、ホール輸送
層3a、発光層3b、電子輸送層3c等の有機膜層3
を、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法等の通常
の薄膜形成に用いられる方法により順次積層する。さら
に、その上に、陰極4となる金属電極を蒸着等により形
成する。なお、有機膜層3中には、上記以外に、さら
に、ホール注入層、電子注入層等も形成することができ
る。
【0025】なお、有機ELディスプレイは、上記有機
EL素子を要部とする表示パネル部とその駆動回路部と
により構成される。マトリックス表示のパッシブ方式の
ディスプレイの場合は、図2に示すように、基板1上
に、陰陽各電極2、4が、スダレ(簾)状のライン電極
群として形成され、行(例えば、陰極4)、列(例え
ば、陽極2)状に上下に交差し、発光層を含む有機膜層
3を間に挟んだ構造からなる。そして、ディスプレイ上
から見た場合の両ラインの交差点が、発光点、すなわ
ち、画素を構成する。
【0026】前記ディスプレイにおける画素の点灯は、
行ラインを順に逐次走査するとともに、点灯すべき画素
が属する行ラインを選択し、列ラインと行ラインが選択
された時にのみ、陰陽電極間に直流電圧が印加され、駆
動電流が流れて発光する方式により制御される。一方、
非点灯は、両電極の非選択ライン同士の交点に位置する
画素(素子)であり、非通電状態を担保するため、通
常、逆バイアスに接続されている。
【0027】ここで、上記のような有機EL素子の製造
過程等において、図3に示すように、例えば、ITO電
極12の表面上の一部に、ゴミ等の異物15が存在する
と、該異物15の周縁部における有機膜層13の膜厚が
他の領域の膜厚より薄くなってしまう場合がしばしば生
じる。このような箇所に位置する画素(素子)では、選
択通電時に、ITO電極12と金属電極14との間で過
電流が流れ、薄い有機膜層部分が絶縁破壊を起こしてリ
ーク電流を生じたり、極端な場合には、過電流に起因す
る発熱により、該箇所の受熱損傷や燃焼を招来する。特
に、マトリックス表示のパッシブ方式のディスプレイの
場合は、このようなショートが一旦発生すると、ショー
トした箇所はダークスポットとなり、また、ショートし
た画素を含む列ラインまたは行ライン全体(ショートし
た箇所を除く)が輝線状に発光するため、ディスプレイ
の画質が損なわれる。
【0028】本発明に係る方法は、このような欠陥部分
を改質し、上記不都合を回避するものであり、前記異物
15の周縁部に、金属電極4側から、紫外線Uを局所照
射する。これにより有機膜層13が劣化し、その電気特
性、特に、電圧−電流特性が変化する。
【0029】図4に、以下の実施例において詳述する照
射条件(4000〜5000J/cm2 )で紫外線照射
した有機EL素子(b)と、照射前の有機EL素子
(a)の電圧(V)−電流密度(μA/mm2 )曲線を
示す。図4に示したように、紫外線照射前の通常の素子
(a)においては、電圧9Vの場合、電流密度が100
0μA/mm2 であるのに対して、照射後の有機EL素
子(b)は、電流密度が400μA/mm2 であり、電
流密度は40%低下する。したがって、有機EL素子に
おいて、上記のような異物が存在する箇所の周縁部に紫
外線を局所照射することにより、前記有機膜層が薄く形
成された欠陥部分を上記のように改質し、この欠陥部分
に流れ込む電流を抑制することができる。
【0030】ところで、有機EL素子においては、発光
輝度と電流密度とは比例関係にあり、電流密度を40%
低下させると、前記欠陥の周縁部の輝度も40%低下す
る。しかしながら、このような画素内のローカル的な輝
度の低下は、ディスプレイ全体には大きな影響を及ぼす
ものではなく、むしろ、上記の過電流による輝線の発現
や有機膜層の絶縁破壊、膜層の熱破壊等、ディスプレイ
の画質に大きく影響する損傷を回避することができる。
すなわち、前記紫外線の局所照射により、該欠陥部分の
電流密度を、通常の電流密度よりも40%低下させた場
合、該欠陥部分に発生する熱量は、約16%低減され、
有機膜層の熱損傷を十分に回避することができる。
【0031】前記紫外線または可視光線の波長は、10
0nm以上780nm以下、より好ましくは、120n
m以上450nm以下とする。また、その照射強度は、
10mJ/cm2 以上50mJ/cm2 以下、より好ま
しくは、500mJ/cm2以上20J/cm2 以下と
する。有機膜層中には、それを構成する有機化合物とし
て、上記した多種の芳香族化合物が存在し、これらの化
合物は、炭素−炭素二重結合、ヒドロキノリン基、カル
ボニル基等の多種かつ多数の官能基を有するため、有機
膜層は、有機化合物固有の吸収波長の可視光線、およ
び、380nmより短波長の光線、すなわち、紫外線を
吸収する。しかしながら、波長が100nm未満の場合
は、劣化の程度が過激となり、構成材の分解等、過度の
損傷を与えるため好ましくない。一方、780nmを超
える、赤外線に近い長波長の光の場合には、劣化効果が
ほとんど認められない。
【0032】照射光源は、連続スペクトル、すなわち、
上記範囲のすべての波長の光を発するもの、あるいはま
た、水銀ランプ、エキシマレーザーのように一定の波長
の光を発するものでもよい。上記範囲内の波長および照
射強度であれば、有機膜層以外の有機EL素子構成部材
に大きな損傷を与えることなく、有機膜層の前記電気特
性を十分に劣化させることができる。
【0033】また、上記紫外線または可視光線の照射に
代えて、前記有機膜層の導電性を低下させる性質を有す
るガスを、前記異物の周縁部に曝露させる方法を用いて
もよい。この方法もまた、上記紫外線または可視光線の
照射の場合と同様のディスプレイの画質を改良する効果
を奏する。
【0034】このようなガスとして、好ましくは、酸
素、一酸化二窒素、一酸化窒素、塩素、フッ素、三フッ
化窒素、二フッ化酸素、三酸化フッ化塩素およびオゾン
から選ばれた少なくとも1種を挙げることができる。
【0035】上記のような有機ELディスプレイの画質
改良方法は、特に、ドットマトリックス表示のパッシブ
方式のディスプレイに適用した場合に有効であり、ディ
スプレイの画質を向上させることができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明について、実施例に基づき、さ
らに具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に制
限されるものではない。縦26mm×横95mm(厚さ
0.7mm)の長方形ガラス基板上に膜厚155nmの
ITO電極(陽極)を形成し、その上に膜厚45nmの
ホール注入層と、膜厚50nmのホール輸送層と、膜厚
30nmの発光層と、膜厚25nmの電子輸送層と、膜
厚0.5nmの電子注入層とからなる有機膜層と、膜厚
60nmのアルミニウム電極(陰極)とを、蒸着法によ
り順次積層し、有機EL素子の構造体を形成した。この
構造体の上面(金属電極側)の半分を遮光板で覆った
後、保護コート硬化用UVコンベア(有効波長域200
〜500nm)を用いて、4000〜5000mJ/c
2 の強度で、上面側から紫外線を照射した。この有機
EL素子の紫外線照射域および非照射域(遮光板被覆
域)における電極間の電圧−電流密度特性を測定評価
し、その結果を、線図として図4に示した。図4におい
て、曲線(a)は非照射域を表し、(b)は紫外線照射
域を表す。
【0037】図4に示したように、上記条件下にて紫外
線を照射した場合(b)、印加電圧9Vにおける電極間
の電流密度は、非照射の場合(a)に比べて、40%低
減されることが認められた。
【0038】
【発明の効果】上記のように、本発明に係る方法によれ
ば、有機EL素子の製造工程等において、有機膜層に異
物が混入した場合であっても、ITO電極と金属電極と
の間に生ずるリーク電流を抑制することができる。した
がって、ディスプレイパネルを構成する画素の破壊を防
止することができるとともに、走査ライン全体の発光輝
度の異常変化を回避することができるため、その画質を
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の構造を示す概略断面図である。
【図2】パッシブ方式の有機ELディスプレイの概略構
造を示した一部破断斜視図である。
【図3】異物が混入した場合の有機EL素子の断面を示
す概略説明図である。
【図4】有機EL素子の紫外線非照射域(a)と照射域
(b)との電圧−電流密度曲線を示す線図である。
【符号の説明】
1 基板 2 陽極 3、13 有機膜層 3a ホール輸送層 3b 発光層 3c 電子輸送層 4 陰極 5 直流電流源 11 ガラス基板 12 ITO電極 14 金属電極 15 異物 U 紫外線

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性の基板上に、透明電極と、発光層
    を少なくとも含む有機膜層と、金属電極とが順次積層さ
    れてなる有機エレクトロルミネッセンス素子と、その駆
    動回路とを備えた有機エレクトロルミネッセンスディス
    プレイにおいて、 前記有機エレクトロルミネッセンス素子の有機膜層に異
    物が混入している場合、該異物の周縁部に、金属電極側
    から紫外線または可視光線を照射し、前記異物の周縁部
    における電極間の通過電流密度を低減させることを特徴
    とする有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画
    質改良方法。
  2. 【請求項2】 前記紫外線または可視光線の波長が、1
    00nm以上780nm以下であることを特徴とする請
    求項1記載の有機エレクトロルミネッセンスディスプレ
    イの画質改良方法。
  3. 【請求項3】 前記紫外線または可視光線の照射強度
    が、10mJ/cm2以上50J/cm2 以下であるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2記載の有機エレ
    クトロルミネッセンスディスプレイの画質改良方法。
  4. 【請求項4】 前記ディスプレイがドットマトリックス
    表示のパッシブ方式のディスプレイであることを特徴と
    する請求項1から請求項3までのいずれかに記載の有機
    エレクトロルミネッセンスディスプレイの画質改良方
    法。
  5. 【請求項5】 透光性の基板上に、透明電極と、発光層
    を少なくとも含む有機膜層と、金属電極とが順次積層さ
    れてなる有機エレクトロルミネッセンス素子と、その駆
    動回路とを備えた有機エレクトロルミネッセンスディス
    プレイにおいて、 前記有機エレクトロルミネッセンス素子の有機膜層に異
    物が混入している場合、該有機膜層の導電性を低下させ
    る性質を有するガスを、前記異物の周縁部に曝露させる
    ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスディス
    プレイの画質改良方法。
  6. 【請求項6】 前記ガスが、酸素、一酸化二窒素、一酸
    化窒素、塩素、フッ素、三フッ化窒素、二フッ化酸素、
    三酸化フッ化塩素およびオゾンから選ばれた少なくとも
    1種であることを特徴とする請求項5記載の有機エレク
    トロルミネッセンスディスプレイの画質改良方法。
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