JP2002242240A - 井戸の揚水方法及び井戸の揚水ポンプ装置 - Google Patents

井戸の揚水方法及び井戸の揚水ポンプ装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地盤が本来有する透水性に見合った揚水量を
確保できる井戸の揚水方法及び井戸の揚水ポンプ装置を
提供する。 【解決手段】 掘削した穿孔5にストレーナ付きパイプ
2を挿入し、その内部に、揚水管12の排水口17が地
上に位置するように揚水ポンプ装置10を配置したの
ち、リターンパイプ13をストレーナ付きパイプ2と平
行でかつ孔壁6に這わせ、ストレーナ3が位置する深さ
範囲内にノズル15が位置するように配置し、ストレー
ナ付きパイプ2と孔壁6の間隙にフィルタ材4を充填す
る。井戸1の集水効率を高めるため、バルブ14を開栓
し、揚水管12より地上に排水される地下水9の一部を
リターンパイプ13を介して、ノズル15より孔壁6か
ら井戸1の外周面にジェット噴水し、井戸の掘削時に生
じた孔壁の泥膜や継続排水作業により蓄積された井戸1
の外周面の細粒分7を破壊する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、井戸より地下水を
揚水する際の井戸の揚水方法及び井戸の揚水ポンプ装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】図2に従来の掘削工事現場などに設置す
る井戸の詳細を示す。符号51は井戸、52はストレー
ナ付きパイプ、53はストレーナ、54はフィルタ材、
55は穿孔、56は孔壁を示す。従来、深井戸工法では
所定深さまで掘削した穿孔55にストレーナ付きパイプ
52を挿入して井戸51を形成するとともに、孔壁56
と該ストレーナ付きパイプ52の間隙にフィルタ材54
を充填する。
【0003】ここで、ストレーナ付きパイプ52は、鋼
管等の材質により形成されたパイプの先端もしくは途中
にストレーナ53が設けられた集水管である。該ストレ
ーナ53は、スクリーン(網状のもの)で形成された筒
体であり、地下水59を前記ストレーナ付きパイプ52
内へ集水する際にゴミや砂等の吸い込みを阻止する機能
を有するものである。
【0004】また、該ストレーナ付きパイプ52と孔壁
56の間隙部に充填される前記フィルタ材54は、地下
水59が井戸51へ集まる際に該地下水59の流速が大
きくなり細砂等の細粒分57を巻き込むことがあるた
め、これらをあらかじめ該フィルタ材54に付着させて
前記ストレーナ53の目詰まりを防ぐ役割を果たすもの
である。
【0005】地盤中の地下水59は、該フィルタ材54
を通過するとともに、さらにストレーナを通過すること
でゴミや細砂等が除かれて井戸内に集水され、ポンプに
より地上に排水される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の工法では、掘削
の際に孔壁56に泥膜58が生じるため、井戸51の集
水効率が低下しやすいだけでなく、地下水59が井戸内
へ流入する際には、井戸付近における地下水の流速が大
きくなるとともに、地下水59の流れが井戸51への一
方向となるため、孔壁56周辺に地盤の細粒分57が蓄
積され、地盤の透水性が低下しやすい。これにより、地
盤が本来有する透水性に見合った揚水量が確保できない
ことから、必要な水位高さが得られるまで井戸の本数を
増加する必要が生じていた。
【0007】上記事情に鑑み、本発明は、形成した井戸
が地盤の本来有する透水性に見合った揚水量を確保でき
るような、井戸の揚水方法及び井戸の揚水ポンプ装置を
提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の井戸の揚
水方法は、井戸の揚水方法であって、掘削現場に設けた
井戸内にポンプを挿入し、該ポンプより鉛直上方に設け
られて地上に達する長さを有する揚水管から該ポンプに
より揚水された地下水を地上へ排水するとともに、前記
ポンプにより揚水された地下水の一部を、井戸の掘削孔
壁に沿って鉛直下方向に配置されたリターンパイプを用
いて、井戸の外周面へ噴射することを特徴としている。
【0009】請求項2記載の井戸の揚水ポンプ装置は、
井戸の揚水ポンプ装置であって、井戸内に挿入されるポ
ンプと、該ポンプより鉛直上方に設けられて地上に達す
る長さを有し、該ポンプより揚水された地下水を地上へ
排出する揚水管と、該揚水管の地上部から分岐されて井
戸の掘削孔壁に達するリターンパイプと、前記ポンプに
より揚水した地下水の一部を井戸の外周面へ噴射する前
記リターンパイプの先端部に取り付けられたノズルと、
を備えることを特徴としている。
【0010】請求項3記載の井戸の揚水ポンプ装置は、
前記該リターンパイプの前記揚水管との取り付け部付近
には、前記ノズルから地下水の一部を噴射させるか否か
の切り替えを行うバルブが設けられていることを特徴と
している。
【0011】請求項4記載の井戸の揚水ポンプ装置は、
前記リターンパイプは揚水管の地上部から井戸の掘削孔
壁に沿って、揚水管と平行で鉛直下方向へ直線状に配置
されていることを特徴としている。
【0012】請求項5記載の井戸の揚水ポンプ装置は、
前記リターンパイプは井戸の掘削孔壁に沿って螺旋を形
成しながら鉛直下方向へ配置されていることを特徴とし
ている。
【0013】
【発明の実施の形態】図1に本発明の実施形態を示す。
符号1は井戸、2はストレーナ付きパイプ、3はストレ
ーナ、4はフィルタ材、5は穿孔、6は孔壁を示してい
る。図1より明らかなように、井戸1は、所定深さまで
掘削した穿孔5にストレーナ付きパイプ2を挿入して井
戸1を形成し、孔壁6と該ストレーナ付きパイプ2の間
隙にフィルタ材4を充填したもので、ストレーナ付きパ
イプ2やフィルタ材4は従来より用いられているものと
同様である。
【0014】地下水9を排水する原理も従来の深井戸工
法の場合と同様で、地盤中の地下水9は、井戸1に向か
って徐々に流速を早めて細粒分7を巻き込みながら井戸
1付近に集まり、フィルタ材4により該細粒分7を除か
れて前記ストレーナ3を通過し、井戸1内に集水され、
揚水ポンプ装置10により揚水され地上へ排水される。
【0015】該揚水ポンプ装置10は、ポンプ11と、
該ポンプ11により揚水される地下水9を排水する揚水
管12と、該揚水管12に取り付けられて揚水した地下
水9の一部を井戸1の外周面へ噴射するリターンパイプ
13と、該リターンパイプ13の先端部に取り付けられ
たノズル15と、により構成される。
【0016】揚水ポンプ装置10に装備されている前記
ポンプ11は、従来より利用されているものと同様のも
のであり、該ポンプ11の鉛直上方には排水口17が地
上に達する長さを有する揚水管12が設けられている。
鋼管等の材質よりなる該揚水管12の地上部分には、揚
水管12から分岐するようにリターンパイプ13が取り
付けられて、掘削孔壁6に沿って配置できるよう、鉛直
下方向に前記ストレーナ付きパイプ2と一定の距離を隔
てつつ平行に延伸している。該リターンパイプ13は、
前記揚水管12と同じく鋼管等の材質からなるものであ
るが、揚水管12に比べて断面積が極小さいものであ
り、その長さは、前記揚水管12との取り付け部から前
記ストレーナ付きパイプ2におけるストレーナ3を有し
ている深さ範囲に位置する程度の長さを有するものであ
る。
【0017】なお、該リターンパイプ13は、掘削孔壁
6に沿って配置できるものであれば良く、弾性力を有す
る変形自在なゴム管等の材質によるものでも良い。
【0018】また、該リターンパイプ13の先端部には
ノズル15が設けられている。該ノズル15は、高圧水
を噴射するものであり、リターンパイプ13を配置する
際には、該ノズル15が井戸1の孔壁6から井戸1の外
周面に噴射するように設置する。該ノズル15は井戸1
の外周面に向かってジェット噴水することにより、井戸
1周辺に蓄積した細粒分7の蓄積箇所を破壊するととも
に、井戸1の掘削時に掘削孔壁6に生成された泥膜8を
破壊する。
【0019】さらに、該リターンパイプ13には前記揚
水管との取り付け部にバルブ14が設けられており、該
バルブ14を開閉することでジェット噴水するか否かの
切り替えを行う。前記ノズル15によるジェット噴水
は、ポンプ11によって揚水されることで生じる前記揚
水管12内の地下水9の水圧を利用するもので、新たな
動力を用いるものではない。
【0020】次に本発明の施工方法を示す。まず、比較
的深くまで透水性地層16を有する所定の位置を泥水工
法等により所定深さまで掘削し、掘削した穿孔5に掘削
断面より断面積の小さい前記ストレーナ付きパイプ2を
挿入する。次に、ストレーナ付きパイプ2の内部で、所
望深さに前記ポンプ11を挿入し、揚水管12の排水口
17が地上に位置するように前記揚水ポンプ装置10を
配置したのち、前記リターンパイプ13を前記ストレー
ナ付きパイプ2と平行で、かつ前記孔壁6に這うように
取り付けるとともに、ストレーナ付きパイプ2のストレ
ーナ3が位置する深さ範囲内に前記ノズル15が位置す
るように配置する。その後、該ストレーナ付きパイプ2
と孔壁6の間隙に前記フィルタ材4を充填する。このと
き、該ノズル15は孔壁6から井戸1外周面に噴射する
方向に設置する。
【0021】前記ポンプ11により揚水された地下水9
は、揚水管12より地上に排水される。排水が始まった
ところで集水効率を高めるため、前記バルブ14を開栓
し、揚水管12より地上に排水される地下水9の一部を
リターンパイプ13を介して、前記ノズル15より前記
孔壁6から井戸1の外周面にジェット噴水し、井戸の掘
削時に生じた孔壁の泥膜を破壊する。
【0022】その後、前記バルブ14を閉栓して排水を
継続するが、継続排水作業を行うと、井戸1の外周面に
細粒分7が蓄積されて井戸の集水量に減少傾向が現れ始
める。そこで、再度前記バルブ14を開栓し、再度井戸
の外周面にジェット噴水を行い、井戸1の周辺に蓄積さ
れた細粒分7を破壊する。
【0023】なお、前記リターンパイプを前記揚水管1
2に数本取り付けて、孔壁6より井戸1の外周面である
複数の方向に向けてジェット噴水を行うと、より多くの
箇所に蓄積された細粒分7を破壊することができ、井戸
1の集水効果はより一層高まることとなる。(図1
(a)参照)
【0024】さらに、前記リターンパイプ13をあらか
じめ孔壁6に沿うよう螺旋状に形成するとともに、該リ
ターンパイプ13の先端だけでなく、途中部分数カ所に
井戸1の外周面に向けてノズル15を取り付けることに
より、前記揚水管12に該リターンパイプ13を1本取
り付けるのみで前記井戸1の外周面のあらゆる方向へジ
ェット噴水を行うことが可能となる。(図1(b)参
照)
【0025】一方、井戸内に設置する前記ポンプ11は
揚水量に比べて十分な能力を有するものとし、揚水の一
部を地盤へ戻しても揚水作業に支障のないものを適用す
ることとする。
【0026】上記構成によれば、前記揚水ポンプ装置1
0に前記リターンパイプ13が装備されて、井戸1の外
周面で所望位置にジェット噴水が行えることにより、穿
孔5の掘削時に形成される泥膜8を破壊できるととも
に、井戸1の揚水継続により蓄積された細砂のような細
粒分7も洗い出され、透水性が向上し井戸1半径を拡大
した場合と同等の集水効果を得ることが可能である。
【0027】さらに、井戸1周辺の水の流れが1方向で
無くなるため、井戸1の外周面における細粒分7の蓄積
を防ぐことも可能となり、前記フィルタ材4や前記スト
レーナ3の汚れも低減することが可能となる。
【0028】また、1本あたりの井戸1の集水効果が高
まるため、必要な地下水位を得るための井戸1の本数を
従来より減じることも可能となる。
【0029】
【発明の効果】請求項1記載の井戸の揚水方法によれ
ば、井戸の揚水方法であって、掘削現場に設けた井戸内
にポンプを挿入し、該ポンプより鉛直上方に設けられて
地上に達する長さを有する揚水管から該ポンプにより揚
水された地下水を地上へ排水するとともに、前記ポンプ
により揚水された地下水の一部を、井戸の掘削孔壁に沿
って鉛直下方向に配置されたリターンパイプを用いて、
井戸の外周面へ噴射することから、井戸周辺の水の流れ
が1方向で無くなるため、井戸の外周面における細粒分
の蓄積を防ぐとともに、前記フィルタ材や前記ストレー
ナの汚れも低減でき、井戸の集水効果を高めることが可
能となる。
【0030】請求項2記載の井戸の揚水ポンプ装置によ
れば、井戸の揚水ポンプ装置であって、井戸内に挿入さ
れるポンプと、該ポンプより鉛直上方に設けられて地上
に達する長さを有し、該ポンプより揚水された地下水を
地上へ排出する揚水管と、該揚水管の地上部から分岐さ
れて井戸の掘削孔壁に達するリターンパイプと、前記ポ
ンプにより揚水した地下水の一部を井戸の外周面へ噴射
する前記リターンパイプの先端部に取り付けられたノズ
ルと、を備えることから、穿孔の掘削時に形成される泥
膜が破壊できるとともに、井戸の揚水継続により蓄積さ
れた細粒分が洗い出され、透水性が向上し井戸半径を拡
大した場合と同等の集水効果を得ることが可能となる。
【0031】請求項3記載の井戸の揚水ポンプ装置によ
れば、前記該リターンパイプの前記揚水管との取り付け
部付近には、前記ノズルから地下水の一部を噴射させる
か否かの切り替えを行うバルブが設けられていることか
ら、必要に応じてジェット噴水を連続的、もしくは断続
的に噴出することが可能となる。
【0032】請求項4記載の井戸の揚水ポンプ装置によ
れば、前記リターンパイプは揚水管の地上部から井戸の
掘削孔壁に沿って、揚水管と平行で鉛直下方向へ直線状
に配置されていることから、該リターンパイプの先端に
ノズルを設けることにより、簡略な設備で新たな動力を
用いることなく、井戸の外周面へジェット噴水を行うこ
とが可能となる。
【0033】請求項5記載の井戸の揚水ポンプ装置によ
れば、前記リターンパイプは井戸の掘削孔壁に沿って螺
旋を形成しながら鉛直下方向へ配置されていることか
ら、1本のリターンパイプに先端だけでなく途中の複数
箇所にノズルを設けることにより、井戸の外周面であら
ゆる所望位置に一斉にジェット噴射を行うことが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るリターンパイプを装備した井戸
の揚水ポンプ装置の詳細を示した図である。
【図2】 従来の揚水ポンプ装置の詳細を示した図であ
る。
【符号の説明】
1 井戸 2 ストレーナ付きパイプ 3 ストレーナ 4 フィルタ材 5 穿孔 6 孔壁 7 細粒分 8 泥膜 9 地下水 10 ポンプ装置 11 ポンプ 12 揚水管 13 リターンパイプ 14 バルブ 15 ノズル 16 透水性地層 17 排水口 51 井戸 52 ストレーナ付きパイプ 53 ストレーナ 54 フィルタ材 55 穿孔 56 孔壁 57 細粒分 58 泥膜 59 地下水

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 井戸の揚水方法であって、掘削現場に設
    けた井戸内にポンプを挿入し、該ポンプより鉛直上方に
    設けられて地上に達する長さを有する揚水管から該ポン
    プにより揚水された地下水を地上へ排水するとともに、
    前記ポンプにより揚水された地下水の一部を、井戸の掘
    削孔壁に沿って鉛直下方向に配置されたリターンパイプ
    を用いて、井戸の外周面へ噴射することを特徴とする井
    戸の揚水方法。
  2. 【請求項2】 井戸の揚水ポンプ装置であって、井戸内
    に挿入されるポンプと、該ポンプより鉛直上方に設けら
    れて地上に達する長さを有し、該ポンプより揚水された
    地下水を地上へ排出する揚水管と、該揚水管の地上部か
    ら分岐されて井戸の掘削孔壁に達するリターンパイプ
    と、前記ポンプにより揚水した地下水の一部を井戸の外
    周面へ噴射する前記リターンパイプの先端部に取り付け
    られたノズルと、を備えることを特徴とする井戸の揚水
    ポンプ装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の井戸の揚水ポンプ装置に
    おいて、前記該リターンパイプの前記揚水管との取り付
    け部付近には、前記ノズルから地下水の一部を噴射させ
    るか否かの切り替えを行うバルブが設けられていること
    を特徴とする井戸の揚水ポンプ装置。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載の井戸の揚水ポン
    プ装置において、前記リターンパイプは揚水管の地上部
    から井戸の掘削孔壁に沿って、揚水管と平行で鉛直下方
    向へ直線状に配置されていることを特徴とする井戸の揚
    水ポンプ装置。
  5. 【請求項5】 請求項2または3記載の井戸の揚水ポン
    プ装置において、前記リターンパイプは井戸の掘削孔壁
    に沿って螺旋を形成しながら鉛直下方向へ配置されてい
    ることを特徴とする井戸の揚水ポンプ装置。
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