JP2002241432A - 弾性ポリプロピレン及びその製造方法 - Google Patents

弾性ポリプロピレン及びその製造方法

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JP2002241432A
JP2002241432A JP2001039984A JP2001039984A JP2002241432A JP 2002241432 A JP2002241432 A JP 2002241432A JP 2001039984 A JP2001039984 A JP 2001039984A JP 2001039984 A JP2001039984 A JP 2001039984A JP 2002241432 A JP2002241432 A JP 2002241432A
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propylene
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heat
moles
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Tsutomu Shioda
勉 潮田
Goji Hachiman
剛司 八幡
Yoshiyuki Oki
義之 大木
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JNC Corp
JNC Petrochemical Corp
Original Assignee
Chisso Petrochemical Corp
Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】立体規則性が高度に制御されて弾性が優れたポ
リプロピレンとその製造方法を提供する。本発明のポリ
プロピレンは、柔軟性に非常に優れ、べとつきが少な
く、耐熱性、透明性に優れるとともに、弾性回復性に優
れている。 【解決手段】融点が151〜165℃、融解熱が、10
〜60J/g、メルトフローレート(MFR)が0.4
〜40g/10分であって、アイソタクチックペンダン
ド分率及びトリアッド連鎖分率が特定された。ポリプロ
ピレンであって、固有粘度〔η〕が1dl/gより大き
く10dl/g未満で、融点を示さないかまたは融解熱
が10J/g以下である沸騰ジエチルエーテル可溶分
を、ポリプロピレンの重量基準で、20〜70wt%含
むことを特徴とするポリプロピレン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、柔軟性に優れた
ポリプロピレンに関する。特に、柔軟性に優れるととも
に、べとつきが少なく、耐熱性、透明性、弾性回復性に
も優れた ポリプロピレンに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは、安価であるととも
に、低比重であり、剛性、耐熱性、耐薬品性等に優れる
事から、自動車用部品、工業部品をはじめ、食品用フィ
ルムや文具等、様々な分野に広く用いられている。その
反面、ポリプロピレンは、一般に硬く脆いため、柔軟性
が主に要求される分野には不向きであると考えられてい
た。
【0003】柔軟性の改良を目的としては、いわゆる、
重合のみにより製造されるTPO(以降、「リアクター
TPO」と称す)が開発されている。例えば、技術情報
協会発行の「オレフィン系、スチレン系樹脂の高機能化
/改質技術」(2000年10月27日 第1刷発
行)、株式会社矢野経済研究所発行の「99年版 熱可
塑性エラストマー市場の展望と戦略」などには、種々の
リアクターTPOが開示されている。
【0004】しかし、これらのリアクターTPOは、一
般に、従来のポリプロピレンに比べると、格段に柔軟性
が向上されているものの、一部の例外を除き、一般に曲
げ弾性率が100MPa以上であり、軟質ポリ塩化ビニ
ルや各種エラストマーに比べると、まだ硬く、それら、
軟質ポリ塩化ビニルやエラストマー等が好適に用いられ
ている分野に展開するには、エラストマー等を多量にブ
レンドして対応する等、必ずしも、コスト面で有利とは
言えなかった。また、一部の例外を除いて、透明性にも
やや劣るなど、未だ十分なものとは言えなかった。更
に、あるものは、MFRの測定が不可能な程に低分子量
であるために、通常のポリプロピレンの成形加工機では
扱いにくい上に、製品がべとつき、また、耐熱性にも悪
影響が懸念されているなど、必ずしも市場の求めに十分
満足できるものではなかった。
【0005】一方、分子量が、一般のポリプロピレンと
同等で、非常に優れた柔軟性、透明性、耐熱性を示す、
いわゆる、エラストメリックポリプロピレンが、特開昭
50−161583号公報、US4335225号公
報、特表平11−510745号公報等に開示されてい
る。しかしながら、従来のエラストメリックポリプロピ
レンを製造する触媒は、その重合活性が非常に低く、重
合系内のコンタミの影響を受けて失活しやすいという欠
点を有していたため、エラストメリックポリプロピレン
を実用的に製造することが困難であった。加えて、Ma
rkus Gahleitnerらによって、SPO
‘96,281−290頁(1996年)にて報告され
ているように、エラストメリックポリプロピレンは、べ
とつくため、特に、薄肉の成形品に成形するのは困難で
あった。
【0006】また、日本国特許第2912483号に
は、実質的に無定形の弾性高分子量 ポリプロピレンに
おいて、融点が145℃−165℃であり、190℃に
おける溶融粘度が200,000cps以上であり、融
解熱が4cal./gm.−10cal./gm.であ
り、ポリマーが35%−55%の、固有粘度が1.0d
l/g以下で実質的にアイソタクチックな結晶性を持た
ないジエチルエーテル可溶性画分を含むことを特徴とす
る ポリプロピレンが開示されている。この場合には、
得られるポリプロピレンの分子量が、従来のポリプロピ
レンと同等であり、成形加工上の問題やべとつきの問題
は、大幅に改善されていると考えられる。しかしなが
ら、該発明のポリプロピレンは、固有粘度が1.0dl
/g以下という、低い分子量のエーテル可溶分を含むこ
とから、最終製品のべとつき、特に高温時のべとつき
や、耐熱性に劣ることが十分に解決されたものとは言え
なかった。
【0007】本発明者らは、このような状況下、得られ
るポリプロピレンの立体規則性を、最適に制御すること
によって、前記従来技術の様々な問題点を改良し、柔軟
性に非常に優れ、べとつきが少なく、耐熱性、透明性に
優れるとともに、弾性回復性に優れた ポリプロピレン
を得ることができることを見出し、本発明を完成するに
至った。また、本発明者らは、非常に安価な触媒を用い
て、高効率で、本発明のポリプロピレンが得られること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、弾性に優れ
たポリプロピレンとその製造方法に関する発明であり、
特に、立体規則性が高度に制御されて弾性が優れたポリ
プロピレンとその製造方法を提供することを目的とす
る。本発明のポリプロピレンを用いると、柔軟性に非常
に優れ、べとつきが少なく、耐熱性、透明性に優れると
ともに、弾性回復性に優れた各種成形品を得ることがで
きる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の(1)
〜(5)に示される ポリプロピレンとその製造方法で
ある。 (1)融点が151〜165℃、融解熱が、10〜60
J/g、メルトフローレート(MFR)が0.4〜40
g/10分であって、ポリプロピレンを構成しているプ
ロピレン単位の総モル数に対し、プロピレンモノマーの
2,1−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数の
占める割合、および、プロピレンモノマーの1,3−挿
入反応に起因するプロピレン単位のモル数の占める割合
がいずれも0.02%未満であるポリプロピレンであっ
て、固有粘度〔η〕が1dl/gより大きく10dl/
g未満で、融点を示さないかまたは融解熱が10J/g
以下である沸騰ジエチルエーテル可溶分を、ポリプロピ
レンの重量基準で、20〜70wt%含むことを特徴と
するポリプロピレン。 (2)アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)
が、0.20〜0.55であり、トリアッド連鎖分率m
m、rr、mrが、mm>rr>mrの関係にあること
を特徴とする、前記(1)記載のポリプロピレン。 (3)JIS K6301に準拠して測定した永久伸び
が、15〜50%であることを特徴とする前記(1)ま
たは(2)記載のポリプロピレン。 (4)JIS K7215に準拠して測定されたタイプ
Dのデュロメータ硬さHDDが30〜55であることを
特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1に記載のポ
リプロピレン。 (5)チタン系固体触媒を用いることを特徴とする、前
記(1)〜(4)のいずれか1に記載のポリプロピレン
の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のポリプロピレンは、融点
が151〜165℃、融解熱が、10〜60J/g、M
FRが0.4〜40g/10分であって、ポリプロピレ
ンを構成しているプロピレン単位の総モル数に対し、プ
ロピレンモノマーの2,1−挿入反応に起因するプロピ
レン単位のモル数の占める割合、および、プロピレンモ
ノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位の
モル数の占める割合がいずれも0.02%未満であっ
て、固有粘度〔η〕が1dl/gより大きく10dl/
g未満で、融点を示さないかまたは融解熱が10J/g
以下である沸騰ジエチルエーテル可溶分を、ポリプロピ
レンの重量基準で、20〜70wt%含むことを特徴と
するポリプロピレンである。
【0011】融点(Tm)は、パーキン・エルマー社製
「DSC7型示差走査熱量分析計」を用いて測定され
る。まず、試験体である重合体を、室温から30℃/分
の速度で230℃まで昇温し、同温度にて10分間保持
した後、−20℃/分の速度で−20℃まで降温、同温
度にて10分間保持する。その後、あらためて20℃/
分の速度で昇温していく際に、融解のピークを示す温度
を融点とした。
【0012】本発明のポリプロピレンは、151〜16
5℃、好ましくは、151℃〜160℃、さらに好まし
くは、152〜158℃の融点を有する。融点が151
より低いと、成形品の耐熱性が悪化する恐れがあり、融
点が165℃を越えると、成形品の柔軟性が低くなる恐
れがある。
【0013】また、融解熱は、上記の融点を求める際に
求めることができる。融解熱は、融解に必要な熱量であ
り、本発明のポリプロピレンの融解熱は10〜60J/
g、好ましくは、20〜60J/g、さらに好ましく
は、30〜60J/g、特に好ましくは、30〜55J
/gである。融解熱が10J/g未満の場合には、成形
品の耐熱性が悪化する恐れがあり、融解熱が60J/g
を越えると、成形品の柔軟性が低くなる恐れがある。
【0014】また、本発明のポリプロピレンは、メルト
フローレ−ト(MFR:JIS K7210に準拠し、
表1の条件14で測定)が、0.4〜40g/10分、
更に好ましくは0.5〜30g/10分の範囲にある。
メルトフローレートが0.4g/10分より小さい場
合、従来公知の成形加工機での成形が困難となる恐れが
ある。また、メルトフローレートが、40g/10分よ
り大きいと、成形品のべとつきが顕著になる恐れがあ
る。
【0015】本発明の、ポリプロピレンは、ポリプロピ
レンを構成しているプロピレン単位の総モル数に対し、
プロピレンモノマーの2,1−挿入反応に起因するプロ
ピレン単位のモル数の占める割合、および、プロピレン
モノマーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位
のモル数の占める割合がいずれも0.02%未満であ
る。これら、プロピレンモノマーの2,1−挿入反応に
起因するプロピレン単位のモル数の占める割合、およ
び、プロピレンモノマーの1,3−挿入反応に起因する
プロピレン単位のモル数の占める割合が少ないというこ
とは、ポリプロピレン中の立体規則性の乱れがより少な
いということを示している。そのため、これらの値が、
上記の範囲以外、即ち、ポリプロピレンを構成している
プロピレン単位の総モル数に対し、プロピレンモノマー
の2,1−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数
の占める割合、および、プロピレンモノマーの1,3−
挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数の占める割
合のいずれかが、0.02%以上存在すると、このポリ
プロピレンを用いて得られる成形品の耐熱性が劣る等製
品の品質を低下させる恐れがある。
【0016】上記の、ポリプロピレンを構成しているプ
ロピレン単位の総モル数に対する、プロピレンモノマー
の2,1−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数
およびプロピレンモノマーの1,3−挿入反応に起因す
るプロピレン単位のモル数のそれそれが占める割合と
は、筒井(T.Tsutsui)等によって「ポリマー
(Polymer),30,1350(1989)」に
発表された方法に基づき 13C核磁気共鳴スペクトルによ
り測定し求められる、ポリプロピレンの立体規則性を示
す指標である。
【0017】13C核磁気共鳴スペクトルの測定は例え
ば、以下にようにして行われる。すなわち、o−ジクロ
ロベンゼン/臭化ベンゼン=8/2重量比の混合溶液
に、試験体(オレフィン重合体)を、その混合溶液中で
の濃度が20重量%となるように溶解する。この試験液
について、測定波長が67.20MHz,測定温度が1
30℃で、13C核磁気共鳴スペクトルを測定する。測定
装置としては、例えば日本電子(株)社製「JEOL−
GX270NMR(商品名)」を用いることができる。
【0018】本発明のポリプロピレンは、固有粘度
〔η〕が1dl/gより大きく10dl/g未満で、融
点を示さないかまたは融解熱が10J/g以下である沸
騰ジエチルエーテル可溶分を、ポリプロピレンの重量基
準で、20〜70wt%含むことを特徴とするポリプロ
ピレンである。
【0019】固有粘度〔η〕は、例えば、自動粘度測定
装置(AVS2型、三井東圧(株)製)を使用し、溶媒
としてテトラリンを用いて135℃の温度条件で測定し
た固有粘度である。
【0020】本発明の弾性ポリプロピレンの沸騰ジエチ
ルエーテル可溶分は、固有粘度〔η〕が、1dl/gよ
り大きく10dl/g未満、好ましくは、1dl/gよ
り大きく5dl/g未満、さらに好ましくは、1dl/
gより大きく2dl/g未満、特に好ましくは、1dl
/gより大きく1.5dl/g未満である。沸騰ジエチ
ルエーテル可溶分の固有粘度〔η〕が、1dl/g以下
の場合、成形品のべとつきが顕著となる、耐熱性が悪く
なる、等の恐れがある。
【0021】また、本発明のポリプロピレンの沸騰ジエ
チルエーテル可溶分は、実質的にアイソタクチックな結
晶性を持たないが、これは、沸騰ジエチルエーテル可溶
分が、融点を示さないか、融点を示してもその融解熱
が、10J/g以下、さらに好ましくは、5J/g以下
の小さい値しか示さないことを意味する。この沸騰ジエ
チルエーテル可溶分が、アイソタクチック結晶性を示す
場合、成形品の柔軟性が低くなる恐れがある。
【0022】また、本発明のポリプロピレンは、ポリプ
ロピレンの重量基準で、20〜70wt%、好ましく
は、20〜55wt%、さらに好ましくは、20〜45
wt%、特に好ましくは、20〜41wt%の沸騰ジエ
チルエーテル可溶分を有することを特徴とする。この沸
騰ジエチルエーテル可溶分量が20wt%未満だと、成
形品の柔軟性が低くなる恐れがあり、70wt%より多
いと、成形品の耐熱性に劣る恐れがある。
【0023】本発明のポリプロピレンは、アイソタクチ
ックペンタッド分率(mmmm)が、0.20〜0.5
5であり、トリアッド連鎖分率mm、rr、mrが、m
m>rr>mrの関係にあることが好ましい。
【0024】「アイソタクチックペンタッド分率(mm
mm)」及びトリアッド連鎖分率mm、rr、mrは、
エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等の「マクロ
モレキュールズ(Macromolecules)6,
925(1973)」で提案された13C核磁気共鳴スペ
クトルにより測定し求められる、重合体の立体規則性を
示す指標である。本13C核磁気共鳴スペクトルの測定に
おけるピークの帰属決定法はエイ・ザンベリ(A.Za
mbelli)等の「マクロモレキュールズ(Macr
omolecules)8,687(1975)」で提
案された帰属に従った。
【0025】すなわち、o−ジクロロベンゼン/臭化ベ
ンゼン=8/2重量比の混合溶液に、試験体( ポリプ
ロピレン)を、その混合溶液中での濃度が20重量%と
なるように溶解する。この試験液について、測定波長が
67.20MHz,測定温度が130℃で、13C核磁気
共鳴スペクトルを測定する。測定装置としては、例えば
日本電子(株)社製「JEOL−GX270NMR(商
品名)」を用いることができる。
【0026】アイソタクチックペンタッド分率(mmm
m)とは、ポリプロピレンを構成しているプロピレン単
位の総数に対し、5個連続してメソ結合をしているプロ
ピレン単位の占める割合を表し、トリアッド分率mm、
rr、mrは、ポリプロピレンを構成しているプロピレ
ン単位の総数に対して、3個連続してメソ結合をしてい
る場合(mm)、3個連続してラセミ結合している場合
(rr)、3個連続しているプロピレンの1個目と2個
目がメソ結合で、2個目と3個目がラセミ結合、もしく
は、1個目と2個目がラセミ結合で、2個目と3個目が
メソ結合している場合(mr)のそれぞれのプロピレン
単位の割合を表す。
【0027】本発明のポリプロピレンのアイソタクチッ
クペンタッド分率(mmmm)は、0.20〜0.5
5、好ましくは、0.35〜0.55、さらに好ましく
は、0.40〜0.53である。アイソタクチックペン
タッド分率(mmmm)が、0.55より大きいと、柔
軟性、透明性が劣る恐れがあり、0.20より小さい
と、成形品のべとつきや耐熱性が劣る恐れがある。
【0028】本発明のポリプロピレンの、トリアッド連
鎖分率mm、rr、mrの間には、mm>rr>mrの
関係が成り立つことが好ましい。この関係式を満たさな
いと、該ポリプロピレンを用いて得られた成形品は、耐
熱性が劣り、べとつきが多くなるなどの恐れがある。ま
た、mm、rr、mrのそれぞれの数値に関しては、上
記の関係式を満たせば、特に制限はないが、mmは、好
ましくは、0.25〜0.65、さらに好ましくは、
0.40〜0.65、特に好ましくは、0.50〜0.
63である。また、rrは、好ましくは、0.20〜
0.30、さらに好ましくは、0.22〜0.29であ
り、mrは、好ましくは、0.10〜0.20、さらに
好ましくは、0.13〜0.20である。具体的には、
mmが0.50〜0.65、rrが0.22〜0.3
0、mrが0.13〜0.20であることが好ましく、
更に、mmが0.53〜0.63、rrが0.23〜
0.29、mrが0.14〜0.18であることが好ま
しい。
【0029】また、本発明のポリプロピレンは、重量平
均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比
(Mw/Mn)が、好ましくは3.0〜5.5、更に好
ましくは3.5〜5.0の値を有する。
【0030】本発明のポリプロピレンは、JIS K6
301に準拠して、測定した永久伸びが、好ましくは、
15〜50%、より好ましくは、18〜40%、さらに
好ましくは、20〜30%である。上記の永久伸びは、
弾性回復性を表す指標であり、その値が小さいほど、弾
性回復性に優れる。本発明の ポリプロピレンは、非常
に優れた弾性回復性を奏する
【0031】また、本発明のポリプロピレンは、JIS
K7215に準拠して測定されたタイプDのデュロメ
ータ硬さが、好ましくは、HDD 30〜55であり、
より好ましくは、HDD 35〜50、さらに好ましく
は、HDD 40〜50である。上記のデュロメータ硬
さは、その値が小さいほど柔軟性に優れていることを示
している。本発明のポリプロピレンは、非常に優れた柔
軟性を奏する。
【0032】本発明のポリプロピレンを製造する触媒と
しては、上記の特性を満足するポリプロピレンを製造す
るものであれば、何れの触媒を用いても良いが、好まし
くは、以下のようにして製造されるチタン系固体触媒を
用いる。
【0033】本発明のポリプロピレンの製造に好ましく
使用されるチタン系固体触媒は、下記の(I)〜(II
I)群の化合物を後述のように反応させて得られた固体
生成物(以下に詳細に説明する)と(IV)群の有機アル
ミニウム化合物との組み合わせからなる触媒である。
【0034】(I)群 (A)3価の金属のハロゲン化物 (B)2価の金属の水酸化物、酸化物、炭酸化物、これ
らを含む複塩または2価金属の水和物 (II)群 (C)ポリシロキサン (III)群 (D)液状のチタン化合物 (IV)群 (E)有機アルミニウム化合物
【0035】本発明のポリプロピレンの製造に好ましく
使用されるチタン系固体触媒の調整法について以下に詳
細に説明する。 (I)群の(A)3価の金属のハロゲン化物と(B)2
価金属の水酸化物、酸化物、炭酸化物、これらを含む複
塩または2価金属の水和物とをボールミル、振動ミル等
を用いて室温ないし500℃で混合粉砕し、(A)、
(B)両成分を反応させて得られた固体生成物(1)
を、(II)群の(C)ポリシロキサンと反応させて固体
生成物(2)を得る。この固体生成物(2)と(III)
群の(D)液状のチタン化合物とを反応させた後、濾過
し、ノルマルヘキサン等の溶媒で、遊離のチタン化合物
が検出されなくなるまで洗浄を繰り返した後、乾燥を行
い、得られた固体生成物(3)を(IV)群の(E)有機
アルミニウム化合物と組み合わせて触媒が得られる。
【0036】(I)群の、(A)の3価の金属のハロゲ
ン化物としては、三塩化アルミニウム(無水)、三塩化
鉄(無水)がある。(B)の2価金属の化合物として
は、例えば、Mg(OH)、Ca(OH)、Zn
(OH)、Mn(OH)のような水酸化物、Mg
O、CaO、ZnO、MnOのような酸化物、MgAl
、MgSiOのような2価金属金属を含む複
酸化物、MgCO、MnCO 、MgCO・CaC
のような炭酸化物、SnCl・2HO、MgC
・6HO、NiCl・6HO、MnCl
4HO、KMgCl・6HOのようなハロゲン化
物水和物、8MgO・MgCl・15HOのような
酸化物とハロゲン化物を含む複塩の水和物、3MgO・
2SiO・2HOのような2価金属の酸化物を含む複
塩の水和物、3MgCO・Mg(OH) ・3H
のような炭酸化物と水酸化物の複塩の水和物、等が挙げ
られる。
【0037】(I)群の、(A)の3価の金属のハロゲ
ン化物と(B)の2価金属の化合物との混合による反応
は、ボールミルで5〜50時間、振動ミルでは、1〜1
0時間混合、粉砕を行い、十分混合された状態にするこ
とが望ましい。(I)群の、(A)の3価の金属のハロ
ゲン化物と(B)の2価金属の化合物との混合割合は、
(A)の3価の金属のハロゲン化物1モルに対し、
(B)の2価金属の化合物は、通常、0.1〜20モル
で十分であり、好ましくは、1〜10モルの範囲であ
る。反応温度は、通常、室温から500℃であり、好ま
しくは、50〜300℃である。反応時間は30分〜5
0時間が適し、反応温度が低い場合には、長時間反応さ
せ、未反応3価金属が残らないように、反応を十分に行
わせ、得られた固体生成物を固体生成物(1)とする。
【0038】(I)群の、(A)の3価の金属のハロゲ
ン化物と(B)の2価金属の化合物との反応により得ら
れた固体生成物(1)は、次いで、(II)群(C)のポ
リシロキサンと反応させる。本発明において、(II)群
(C)として使用するポリシロキサンとは、一般式 で表される鎖状または環状のシロキサン化合物であり、
各Rは、それぞれ同じであっても異なっていても良い、
ケイ素に結合しうる置換基を表し、具体的には、水素、
アルキル基、アリール基等の炭化水素基、ハロゲン、ア
ルコキシ基またはアルールオキシ基、脂肪酸基等であ
る。
【0039】ポリシロキサンとして通常用いられるもの
は、前記式中の各Rが、炭化水素基からなるものであ
り、アルキルシロキサン重合物、アリールシロキサン重
合物、アルキルアリールシロキサン重合物が挙げられ
る。
【0040】アルキルシロキサン重合物としては、例え
ば、オクタメチルトリシロキサン CH〔Si(CH
O〕Si(CH、オクタエチルシクロテ
トラシロキサン 〔Si(CO〕などの低
級重合物、及び、ジメチルポリシロキサン 〔Si(C
O〕、エチルポリシクロシロキサン 〔Si
H(C)O〕、メチルエチルポリシロキサン
〔Si(CH)(C)O〕などの重合物が挙
げられる。
【0041】また、アリールシロキサン重合物として
は、例えば、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン
〔Si(CO〕、ジフェニルポリシロキサ
ン 〔Si(CO〕が挙げられ、アルキル
アリールシロキサン重合物としては、例えば、ジフェニ
ルヘキサメチルテトラシロキサン (CHSiO
〔Si(CH)(C)O〕Si(C
、メチルフェニルポリシロキサン 〔Si(C
)(C)O〕などが挙げられる。
【0042】これら種々のポリシロキサンは、混合して
用いることもできる。また、用いるポリシロキサンは、
液状であることが望ましく、粘度は、10〜10,00
0センチスト−クスが適し、好ましくは、10〜1,0
00センチストークスの範囲である。
【0043】固体生成物(1)とポリシロキサンとの反
応は、通常、室温から300℃、好ましくは、60℃〜
200℃で、10分〜5時間の反応で十分である。固体
生成物(1)とポリシロキサンの量比は、固体生成物
(1)100gに対し、ポリシロキサン10〜1,00
0gを添加するのが好ましい。また、固体生成物(1)
とポリシロキサンの反応は、溶媒の存在下においても実
施することができ、溶媒が存在しても、本発明の効果は
損なわれない。
【0044】用いられる溶媒としては、ノルマルヘプタ
ン、ノルマルオクタン、ノルマルノナン、ノルマルデカ
ン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素の他、
クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン
化芳香族炭化水素、および四塩化炭素、クロロホルム、
ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエ
チレン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素を例示する
ことができる。
【0045】これらの溶媒類と、ポリシロキサンとは同
時に加えて反応させることもでき、その混合割合は、固
体生成物(1)100gに対し、溶媒0〜1,000m
l、および、ポリシロキサン10〜1,000gである
ことが好ましい。また、固体生成物(1)にポリシロキ
サンを反応後、溶媒を加えても差し支えなく、逆に、固
体生成物(1)に溶媒を加えた後に、ポリシロキサンを
加えて反応させても良い。
【0046】固体生成物(1)とポリシロキサンとの反
応で得られたものを固体生成物(2)とする。固体生成
物(1)とポリシロキサンとの反応後は、そのままスラ
リー状態で、次の(III)群(D)の液状のチタン化合
物との反応に用いても良く、また、固体生成物(1)と
ポリシロキサンとを反応後、濾別して、未反応のポリシ
ロキサンを除き、ノルマルヘキサン等の溶媒で洗浄し
て、固体生成物(2)を得て、これを次の(III)群
(D)の液状のチタン化合物との反応に用いても良い。
【0047】(III)群(D)の液状のチタン化合物と
しては、チタンのハライド、オキシハライド、アルコレ
ート、アルコキシハライド、アセトシキハライド等であ
って、例えば、四塩化チタン、四臭化チタン、テトラエ
トキシチタン、テトラブトキシチタン、モノクロロトリ
ブトキシチタン、ジクロロジブトキシチタン、トリクロ
ロモノエトキシチタン等が挙げられる。
【0048】固体生成物(2)と(III)群(D)の液
状のチタン化合物との混合割合は、固体生成物(2)1
00gに対し、1g〜1,000gの範囲にあることが
望ましく、より好ましい範囲は、10g〜500gであ
る。
【0049】固体生成物(2)と液状のチタン化合物と
の反応条件は、通常50〜300℃、好ましくは、80
〜200℃で、反応時間は、10分間〜5時間で十分で
ある。この反応は、固体生成物(2)と液状のチタン化
合物の混合によるが、反応の際、ノルマルヘキサン、ノ
ルマルヘプタン、ノルマルノナン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の脂肪族若し
くは芳香族炭化水素、クロロベンゼン、オルソジクロロ
ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタ
ン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハ
ロゲン化炭化水素等の溶媒を加えて、反応のための混合
を容易にすることもできる。加える溶媒の量は、固体生
成物(2)100gに対して、0〜1,000mlの範
囲にあることが好ましい。
【0050】固体生成物(2)と液状のチタン化合物と
の反応終了後は、未反応チタン化合物または同化合物と
溶媒とを濾別し、ノルマルヘキサン等の溶媒で洗浄を繰
り返し、微量の遊離のチタン化合物を除き、得られた固
体を固体生成物(3)とする。
【0051】本発明のポリプロピレンの製造に好ましく
用いられるチタン系固体触媒とは、上記のようにして得
られた固体生成物(3)と、(IV)群(E)の有機アル
ミニウム化合物とを組み合わた触媒である。
【0052】有機アルミニウム化合物としては、トリメ
チルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソ
ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のト
リアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノク
ロリド等のジアルキルアルミニウムモノクロリド、エチ
ルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウム
ジクロリド等が挙げられ、他に、モノエトキシジエチル
アルミニウム、ジエトキシモノエチルアルミニウム等の
アルコキシアルキルアルミニウムを用いることができ
る。
【0053】上記の如くして得られたチタン系固体触媒
は、実質的にドナーを加えることなく、本発明のポリプ
ロピレンの製造に用いることができる。
【0054】本発明のポリプロピレンを製造するプロセ
スとしては、公知のオレフィン重合プロセスが使用可能
であり、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソ
オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロ
ヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、
トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水
素、ガソリン留分や水素化ジーゼル油留分等の不活性溶
媒中でオレフィン類を重合させるスラリー重合法を採用
することができる。また、オレフィン類自身を溶媒とし
て用いるバルク重合法、オレフィン類の重合を気相中で
実施する気相重合法を採用することもできる。そして、
これらのプロセスの2種以上を組み合わせた重合プロセ
スを採用することもできる。
【0055】本発明のポリプロピレンの製造は、重合温
度が−50〜150℃、好ましくは20〜120℃、さ
らに好ましくは40〜100℃、重合圧力が大気圧〜
9.9MPa(ゲ−ジ圧)、好ましくは0.4〜5.0M
Pa(ゲ−ジ圧)の条件下で行なわれる。また、必要に
応じて水素のような連鎖移動剤を導入して得られる重合
体の分子量を調節しても良い。
【0056】重合反応終了後、重合系から未反応単量体
及び水素を分離し、触媒失活処理等を行うことによっ
て、本発明のポリプロピレンを得ることができる。
【0057】上記のようにして得られたポリプロピレン
は、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着
色剤、無機質または有機質の充填剤等の各種添加剤、更
には種々の合成樹脂を配合した後、通常、溶融混練機を
用いて190〜350℃の温度で20秒〜30分間程度
加熱溶融混練し、必要に応じてストランド状に押し出し
た後に、更に細断して粒状体、すなわちペレットの形態
で各種成形品の製造に供される。
【0058】
【実施例】以下、本発明を、実施例および比較例により
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定され
るものではない。実施例及び比較例において測定した諸
物性の測定条件を以下に記す。 (1)アイソタクチックペンタッド分率(mmmm):
13C−NMRを用いて、記述の方法で測定した。 (2)トリアッド連鎖分率mm、rr、mr:13C−
NMRを用いて、記述の方法で測定した。 (3)ポリプロピレンを構成しているプロピレン単位の
総モル数に対し、プロピレンモノマーの2,1−挿入反
応に起因するプロピレン単位のモル数の占める割合、お
よび、プロピレンモノマーの1,3−挿入反応に起因す
るプロピレン単位のモル数の占める割合:13C−NM
Rを用いて、記述の方法で測定した。(mol%)
【0059】(4)融点(Tm):パーキン・エルマー
社製「DSC7型示差走査熱量分析計」を用いて記述の
方法で求めた。(単位:℃) (5)沸騰ジエチルエーテル可溶分量:加熱プレスを用
い、無加圧状態で、100×100×1mmの大きさの
フィルムを作製した後、得られたフィルムを20℃に設
定された冷却プレスで冷却する。次いで得られたフィル
ムを20×20×1mmの大きさに細かく裁断し、粉砕
器を用いて500μm(32メッシュ)パスまで粉砕す
る。(この粉砕操作の際に、予めサンプルをドライアイ
スで冷却しておく。)ソックスレー抽出装置を使用し、
得られた500μmパスのサンプル2gを沸騰ジエチル
エーテルにより3時間抽出する。抽出後、サンプルを8
0℃にて真空乾燥して重量を測定する。抽出前のサンプ
ルから、抽出後のサンプルの重量減少率を算出して、沸
騰ジエチルエーテル可溶分量とする。(単位:wt%) (6)重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)
に対する比(Mw/Mn):ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィーを用いて求めた、。 (7)メルトフローレイト(MFR):JIS K72
10に準拠し、表1の条件14で測定して求めた。(単
位:g/10分) (8)永久伸び:JIS K6301に準拠して、JI
Sの1号ダンベルを100%伸長し、10分間保持した
のち、サンプルを取り出し、さらに10分後の長さを測
定し求めた。永久伸びの小さいものは、弾性回復性に優
れる。(単位:%)
【0060】(9)デュロメータ硬さ:JIS K72
15に準拠して、タイプDのデュロメータ硬さ(HD
D)を求めた。 (10)曲げ弾性率:JIS K7203に準拠して、
23℃で測定した。(単位:MPa) (11)ヘイズ:ASTM D1003に準拠して、厚
さ1mmの試験片を用いて測定した。(単位:%) (12)光沢:ASTM D523に準拠して、23
℃、角度60°で測定した。(単位:%) (13)熱変形温度:JIS K7207に準拠して測
定した(単位:℃)。 (14)アイゾット衝撃強度:JIS K7110に準
拠してノッチ有りで測定した。(単位:kJ/m) (15)比重:JIS K7112に準拠して測定し
た。 (16)固有粘度〔η〕:自動粘度測定装置(AVS2
型、三井東圧(株)製)を使用し、溶媒としてテトラリ
ンを用いて135℃の温度条件で測定した固有粘度であ
る。(単位:dl/g)
【0061】実施例1 〔チタン系固体触媒の製造〕三塩化アルミニウム(無
水)80gと水酸化マグネシウム58gを振動ミルで5
時間混合、粉砕し、130℃で10時間加熱したとこ
ろ、脱塩化水素反応を伴いながら反応が起こった。加熱
終了後、窒素気流下で冷却、微粉砕を行い、固体生成物
(1)を得た。500mlの丸底フラスコに固体生成物
(1)100g、鎖状ジメチルポリシロキサン(粘度
100センチストークス)100g、トルエン100m
lを加え、120℃で2時間反応させて固体生成物
(2)を得た。反応終了後、上澄み液を除き、ノルマル
ヘキサン200mlを加え、上澄み液を除く操作を4回
繰り返した後、四塩化チタン200mlを加え、110
℃で1時間加熱反応させた。反応終了後、窒素置換され
たドライボックス中で、濾別した後、ノルマルヘキサン
により、濾液中にチタンが検出されなくなる迄洗浄を繰
り返した後、減圧下で1時間乾燥させ、固体生成物
(3)を得た。固体生成物(3)中のチタン原子の含有
量は、7.7mg(チタン原子)/g(固体生成物
(3))であった。
【0062】〔チタン系固体触媒を用いたポリプロピレ
ンの製造〕十分に窒素置換された内容積50リットルの
オートクレーブにトリエチルアルミニウムを50mmo
l、液体プロピレンモノマーを20kg導入した後、攪
拌しながら温度を60℃にした。その後、ヘキサンスラ
リーとした上記の固体生成物(3)を333mgを、窒
素ガスにより圧入することにより重合反応を開始し、6
0℃にて2時間重合反応を行った。重合反応の停止は、
1Lのメタノールの圧入することによって行い、未反応
のプロピレンモノマーをパージすることにより、ポリプ
ロピレン8kgを回収した。
【0063】〔ポリプロピレンの分析〕上記にて得られ
たポリプロピレンを分析したところ、mmmmが0.4
2であり、mmが0.53、rrが0.25、mrが
0.20であった。このことから、mm>rr>mrの
関係が成り立つことが確認された。また、重合体を構成
しているプロピレン単位の総モル数に対し、プロピレン
モノマーの2,1−挿入反応に起因するプロピレン単位
のモル数の占める割合、および、プロピレンモノマーの
1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数の
占める割合がいずれも用いた測定機器の検出下限界値
(0.02%)未満であった。また、融点が152.8
℃、融解熱が、31.4J/g、Mw/Mnが、3.
9、MFRが、3.2g/10分であった。また、沸騰
ジエチルエーテル可溶分量は、36.3wt%であり、
沸騰ジエチルエーテル可溶分の、固有粘度〔η〕は、
1.7dl/gであった。
【0064】〔ポリプロピレンの物性測定〕上記のポリ
プロピレン100重量部に対して、テトラキス〔メチレ
ン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシル・ハイ
ドロシンナメート)〕メタンを0.05重量部、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトを
0.1重量部およびステアリン酸カルシウムを0.05
重量部の割合で添加し、押出温度を200℃に設定した
スクリュ−径40mmの単軸押出造粒機を使用してペレ
ットとした。得られたペレットを用いて所定の試験片を
作製し、物性の測定を行った。その結果、永久伸びが2
0%であり、タイプDのデュロメータ硬さがHDD4
5、ヘイズが9%、熱変形温度が50℃、曲げ弾性率が
80MPa、比重が0.877、光沢が121%であっ
た。0℃におけるアイゾット衝撃強度の測定を試みた
が、試験片は衝撃破壊しなかった。
【0065】実施例2 〔チタン系固体触媒を用いたポリプロピレンの製造〕水
素5Lを導入した以外は、実施例1と同様にして、プロ
ピレンの重合を行い、ポリプロピレン7.5kgを得
た。
【0066】〔ポリプロピレンの分析〕上記にて得られ
たポリプロピレンを分析したところ、mmmmが0.4
3であり、mmが0.56、rrが0.25、mrが
0.19であった。このことから、mm>rr>mrの
関係が成り立つことが確認された。また、ポリプロピレ
ンを構成するプロピレン単位の総モル数に対し、プロピ
レンモノマーの2,1−挿入反応に起因するプロピレン
単位のモル数の占める割合、および、プロピレンモノマ
ーの1,3−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル
数の占める割合がいずれも用いた測定機器の検出下限界
値(0.02%)未満であった。 また、融点が、15
4.7℃、融解熱が、34.1J/g、Mw/Mnが、
3.6、MFRが、26.7g/10分であった。ま
た、沸騰ジエチルエーテル可溶分量は、40.5wt%
であり、沸騰ジエチルエーテル可溶分の、固有粘度
〔η〕は、1.2dl/gであった。
【0067】〔ポリプロピレンの物性測定〕上記のポリ
プロピレン100重量部に対して、テトラキス〔メチレ
ン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシル・ハイ
ドロシンナメート)〕メタンを0.05重量部、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトを
0.1重量部およびステアリン酸カルシウムを0.05
重量部の割合で添加し、押出温度を200℃に設定した
スクリュ−径40mmの単軸押出造粒機を使用してペレ
ットとした。得られたペレットを用いて所定の試験片を
作製し、物性の測定を行った。その結果、永久伸びが2
6%であり、タイプDのデュロメータ硬さがHDD4
3、ヘイズが13%、熱変形温度が48℃、曲げ弾性率
が90MPa、比重が0.879、光沢が102%であ
った。0℃におけるアイゾット衝撃強度の測定を試みた
が、試験片は衝撃破壊しなかった。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、柔軟性、透明性、弾性
回復性、光沢、耐熱性に優れるとともに、得られる成形
品のべとつき性が改善されたポリプロピレンが得られ
る。本発明のポリプロピレンは、ストレッチラップフィ
ルム、軟質フィルム、軟質シート、医療用器具、特に、
ディスポーザブル医療器具、自動車用部品、住宅内装
材、クッション材、発泡体、不織布、ホットメルト接着
剤、プロテクトフィルム、化粧紙などに好適に用いるこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大木 義之 千葉県市原市五井海岸5番地の1 チッソ 石油化学株式会社高分子研究所内 Fターム(参考) 4J028 AA01A AB01A AC02A AC03A AC04A AC06A AC07A BA00A BA01B BB00A BB01B BC14B BC15B BC16B BC17B BC19B BC24B CA14A CA19A CA22A CA24A CA25A CA36A CA38A CB91A EA01 EB04 EC01 FA01 FA02 FA04 FA07 GA07 GA12 GA14 GA18 GA21 4J100 AA03P CA01 CA10 DA24 DA39 DA43 FA09 JA58 4J128 AA01 AB01 AC02 AC03 AC04 AC06 AC07 BA00A BA01B BB00A BB01B BC14B BC15B BC16B BC17B BC19B BC24B CA14A CA19A CA22A CA24A CA25A CA36A CA38A CB91A EA01 EB04 EC01 FA01 FA02 FA04 FA07 GA07 GA12 GA14 GA18 GA21

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】融点が151〜165℃、融解熱が、10
    〜60J/g、メルトフローレート(MFR)が0.4
    〜40g/10分であって、ポリプロピレンを構成して
    いるプロピレン単位の総モル数に対し、プロピレンモノ
    マーの2,1−挿入反応に起因するプロピレン単位のモ
    ル数の占める割合、および、プロピレンモノマーの1,
    3−挿入反応に起因するプロピレン単位のモル数の占め
    る割合がいずれも0.02%未満であるポリプロピレン
    であって、固有粘度〔η〕が1dl/gより大きく10
    dl/g未満で、融点を示さないかまたは融解熱が10
    J/g以下である沸騰ジエチルエーテル可溶分を、ポリ
    プロピレンの重量基準で、20〜70wt%含むことを
    特徴とするポリプロピレン。
  2. 【請求項2】アイソタクチックペンタッド分率(mmm
    m)が、0.20〜0.55であり、トリアッド連鎖分
    率mm、rr、mrが、mm>rr>mrの関係にある
    ことを特徴とする、請求項1記載のポリプロピレン。
  3. 【請求項3】JIS K6301に準拠して測定した永
    久伸びが、15〜50%であることを特徴とする請求項
    1または2記載のポリプロピレン。
  4. 【請求項4】JIS K7215に準拠して測定された
    タイプDのデュロメータ硬さHDDが30〜55である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    ポリプロピレン。
  5. 【請求項5】チタン系固体触媒を用いることを特徴とす
    る、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレ
    ンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006113132A1 (en) * 2005-04-14 2006-10-26 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Transparent polyolefin compositions

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006113132A1 (en) * 2005-04-14 2006-10-26 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Transparent polyolefin compositions

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