JP2002241323A - 炭素クラスターアニオン及びこれを含む金属錯体 - Google Patents

炭素クラスターアニオン及びこれを含む金属錯体

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JP2002241323A JP2001043180A JP2001043180A JP2002241323A JP 2002241323 A JP2002241323 A JP 2002241323A JP 2001043180 A JP2001043180 A JP 2001043180A JP 2001043180 A JP2001043180 A JP 2001043180A JP 2002241323 A JP2002241323 A JP 2002241323A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】フラーレンC60に10個の有機置換基が付加し
た炭素クラスター誘導体モノアニオンまたはジアニオ
ン、並びに該アニオンがη5様式で金属に結合した金属
錯体であって、置換基を適宜選定することにより、フラ
ーレン特有の低溶解度性の問題を解決し、且つ電子伝導
性や光化学的特性に優れた誘導体を提供する。 【解決手段】一般式I又はIIIのフラーレンから誘導され
る炭素クラスターアニオン、その水素置換体、及び該ア
ニオンがη5様式で金属に結合した金属錯体。 (式I、III中、R同士、R’同士並びにR及びR’は同
一でも異なっても良い有機基を表す。YはCNまたはH
を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフラーレンから誘導
される10個の有機置換基が結合した炭素クラスター誘
導体及び該炭素クラスター誘導体を含む金属錯体に関す
るものである。更に詳しくは、本発明は、フラーレンC
60に10個の有機置換基が付加した炭素クラスター誘導
体モノアニオンまたはジアニオン、並びに該アニオンが
η5様式で金属に結合した金属錯体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般的なシクロペンタジエニル錯体は、
シクロペンタジエニル骨格を有する有機配位子が、シク
ロペンタジエニル部でη5型、すなわちシクロペンタジ
エニル部の5個の炭素が金属と結合する様式で結合した
遷移金属錯体(以下、シクロペンタジエニル錯体と略記
する。)であり、その結合様式により金属錯体の対称
性、電子状態が変わり、有機化合物との反応において特
異的な反応性を示すことが明らかにされている。そのよ
うな理由から、これまでにシクロペンタジエニル錯体の
種々の誘導体が合成され、それらは、金属錯体を用いた
有機合成反応において重要な役割を果たしてきた。特
に、これらの中で、工業触媒として最も重要な金属錯体
は、シクロペンタジエニルが2個金属に結合したメタロ
セン錯体である。このメタロセン錯体は特定のAl化合
物、B化合物あるいは粘土鉱物等と組み合わせることに
より、チーグラーナッタ触媒に代わるエチレンやプロピ
レン等のオレフィン重合触媒として注目され、実用化さ
れてきた。また、これらのメタロセン錯体は、共役系有
機配位子が金属に2個結合した錯体であるため、電子伝
導等のネットワークを構築するのに優れ、電子伝導材料
や光機能材料としても広く利用されている。
【0003】ところで、1990年になってC60の大量
合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が世
界中で精力的に展開されてきた。その結果、数多くのフ
ラーレン誘導体が合成され、その多様な反応性、物性が
見出されている。現在では、これらのフラーレン誘導体
を用いた電子伝導材料、半導体、医薬などの開発が多面
的に進められている(例えば、総説として、現代化学、
1992年、4月号、p12、2000年,6月号,p46;Acc.Chem.Re
s.1998,31,593;Chem.Rev.1998, 98,2527)。また、フ
ラーレンが、5員環部と6員環部の共役系炭素骨格から
構成されている為、フラーレンが金属に対し上記のシク
ロペンタジエニル配位子のようにη5型で、或いはベン
ゼン配位子のようにη6型で結合した金属錯体は、フラ
ーレン骨格の電気化学的並びに光化学的特性の双方を兼
ね備えた新規な材料や触媒になるものとして期待され
た。そのような背景から、フラーレンが金属に結合した
金属錯体の合成に関する研究も同時に精力的になされて
きたが、これらの殆どは、一般に、フラーレンが芳香族
化合物というよりは電子欠乏性のポリエンとしての反応
性を示すことから、フラーレンのオレフィン部の二重結
合が低原子価で電子が豊富な中心金属にη2様式で配位
した錯体であった。(例えば、総説として、Chem.Rev.1
998, 98,2123)。
【0004】本発明者らは、先に、フラーレン内の1個
の5員環部がシクロペンタジエニル配位子としてη5
で金属に配位した錯体を見出し、報告した。(J.Am.Che
m.Soc.1996,118,12850;特開平10-167994;特開平11-25
5508;特開平11-255509)。しかしながら、これらの錯
体は、1個のフラーレン骨格の炭素クラスターがη5
で結合した錯体であり、特に電子伝導材料などの機能性
材料としては、分子間の電子伝導性に劣り、その用途は
極限られていた。また、炭素クラスター骨格に導入され
た種々の有機置換基の数は、高々5個であり、依然、有
機溶媒への溶解度が低い等、フラーレン特有の製造工程
上の問題を解決するには十分なものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、フラーレン骨格の炭素クラスターに10個の有機置
換基が結合した炭素クラスター誘導体ならびにそれらを
含む金属錯体を合成できれば、低い溶解性等、フラーレ
ン特有の製造工程上の問題を解決できるばかりでなく、
置換基を適当に選択することにより金属上の電子密度を
より自由自在に制御することが出来る為、触媒、材料設
計において有用な錯体になりうると考えた。又、炭素ク
ラスターの内、ジアニオン体を合成できれば、これは2
個の部位で金属にη5型で結合する炭素クラスターとな
るため、それらを含む金属錯体は、メタロセン錯体以上
に電子伝導性等に優れ、且つフラーレン骨格の電気化学
的、光化学的特性を生かした刺激応答性触媒や材料等の
従来にない機能性分子になり得ると考えた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記観点
からフラーレンのη5型のシクロペンタジエニル配位子
に関する研究を進めた結果、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明の要旨は、下記式(I)又は(I
I)で表されるフラーレンから誘導される炭素クラスタ
ージアニオン及びC605R’52で表されるその水素
置換体、並びに該炭素クラスタージアニオンを含有する
金属錯体に存する。
【化7】
【化8】 (式(I)及び(II)中、R同士、R’同士並びにR及
びR’は、互いに同一であっても異なっていても良く、
有機基を表す。)
【0007】本発明の他の要旨は、上記式(I)又は(I
I)で表されるフラーレンC60から誘導される炭素クラ
スタージアニオンの5員環アニオン部の1個の炭素にC
N、または水素が結合した下記式(III)又は(IV)で表
されるが炭素クラスターモノアニオン及びC60YR
5R’5Hで表されるその水素置換体、並びに該炭素クラ
スターモノアニオンを含有する金属錯体に存する。
【化9】
【化10】 (式(III)及び(IV)中、R同士、R’同士並びにR
及びR’は、互いに同一であっても異なっていても良
く、有機基を表す。YはCNまたはHを表す。)
【0008】本発明の更なる要旨は、フラーレンから誘
導される炭素クラスタージアニオンが下記の式 (V) で
表されるη5様式で2個の金属に結合している金属錯
体、
【化11】 (式(V)中、R同士、R’同士並びにR及びR’は、
互いに同一であっても異なっていても良く、有機基を表
し、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金
属、Sn及びTlから選ばれる金属原子、Xは金属に配
位した配位子及び/又は対イオンを表す。但し、n≧0
である。)並びにフラーレンから誘導される炭素クラス
ターモノアニオンが下記の式 (VI)で表されるη5様式で
金属に結合している金属錯体に存する。
【化12】 (式(VI)中、R同士、R’同士並びにR及びR’は、
互いに同一であっても異なっていても良く、有機基を表
し、YはCNまたはHを表す。Mは、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、遷移金属、Sn及びTlから選ばれる
金属原子を表し、Xは、金属に配位した配位子及び/又
は対イオンを表す。但し、n≧0である。)
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明は、フラーレンから誘導される炭素クラスタ
ーアニオン、その水素置換体及び金属錯体に係わるもの
である。この炭素クラスターアニオンの中、炭素クラス
タージアニオンは、上記式(I)又は(II)で表され、
その水素置換体はC6 05R’52で表され、又金属錯
体では、該炭素クラスタージアニオンが上記式(V) で表
されるη5様式で2個の金属に結合している。炭素クラ
スターモノアニオンは、上記式(III)又は(IV)で表さ
れ、該炭素クラスタージアニオンの5員環アニオン部の
1個の炭素にCN、または水素が結合したものであり、
その水素置換体はC60YR5R’5Hで表され、又その金
属錯体は、該炭素クラスターモノアニオンが上記の式
(VI) で表されるη5様式で金属に結合している金属錯体
である。
【0010】上記式(I)及び(IV)におけるR及び
R’は、公知の任意の有機基である。通常、これらの置
換基は、グリニャール試薬[RMgX、R’MgX(X
=ハロゲン)]または有機リチウム試薬(RLi、R’
Li)から調製される有機銅試薬との反応によりフラー
レン骨格に導入されるが、本発明においては、R及び
R’は、特に上記試薬調製可能なR及びR’に限定され
ず、グリニャール試薬または有機リチウム試薬の調製が
困難なもの(R及びR’)であっても良い。即ち、グリ
ニャール試薬または有機リチウム試薬の調製が困難なも
の(R及びR’)をフラーレン骨格に導入したい場合
は、グリニャール試薬または有機リチウム試薬から調製
される有機銅試薬との反応により一旦フラーレン骨格に
有機基を導入後、公知の任意の有機反応により置換基を
所望の置換基に誘導することもできる。これらのR及び
R’としては、合成の容易性から、特に置換基を有して
いても良いアリール基、アルキル基、又はアルケニル基
が好ましい。また、R同士並びにR’同士は同一であっ
ても異なっていてもよく、異なる置換基を導入する場合
には、公知の、例えばOrganic Letters,2000,2,1919に
記載の方法が有用である。更に、炭素クラスター骨格へ
のR、R’の導入は、通常、実施例に記載したように、
順次導入されるため、R、R’が同一の誘導体とするこ
ともできるし、R、R’が異なる誘導体とすることもで
きる。
【0011】以下、有機金属試薬[(RMgX、R’M
gX)、(RLi、R’Li)]のR及びR’について
説明する。R及びR’で定義されるアリール基として
は、フェニル基やナフチル基が挙げられる。このアリー
ル基が有し得る置換基としては、グリニャール試薬の調
製が可能な不活性置換基であれば特に限定されず、例え
ば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、
ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-
ペンチル基等のアルキル基;ベンジル基、CF3,C2
5等の置換アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−
プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、te
rt-ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子等のハロ
ゲン原子;メチレンジオキシ基等が挙げられ、これらの
置換基を1個又は2個以上有していても良い。これらの
置換基中、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、CF3,C25等の炭素数1〜3の低級ア
ルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ
基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜3の低級アルコキ
シ基、フッ素原子等のハロゲン原子が好ましい。
【0012】また、アルキル基としては、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の
直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜10程度のアルキ
ル基;ベンジル基、CF3,C25等の置換アルキル基
が挙げられる。これらの中、好ましいアルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基、C
3,C25等が挙げられる。アルケニル基としては、
ビニル基、アリル基、プロペニル基、2−ブテニル基,
3−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、スチレ
ニル基等の炭素数2〜20程度のアルケニル基が挙げら
れ、それらの中でも合成のし易さから1−アルケニル基
が好ましい。
【0013】本発明の金属錯体において、式(I)で示さ
れる炭素クラスタージアニオン及び式(III)で示される
炭素クラスターモノアニオンは、金属に対しη5様式で
結合し、その結合様式はそれぞれ式(V)及び式(VI)で表
される。式(V)及び式(VI)において、MXnは金属フラグ
メントであり、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、
遷移金属、Sn及びTlからなる群から選ばれる金属原
子、Xは金属に配位した配位子及び/又は対イオンを表
す。但し、n≧0である。
【0014】Mで定義される金属原子はアルカリ金属、
アルカリ土類金属、遷移金属、Sn及びTlからなる群
から選ばれるが、具体的には、Li、Na、K、Ba、
Sn、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、Cu、Zn、Zr、Ru、Rh、Pd、Ag、C
d、Hf、Ta、W、Re、Pt、Au、Hg、Tl及
びSmが例示される。これらの金属の中、特にLi、
K、Ba、Ti、Fe、Cu、Zr、Ru、Rh、P
d、Hfが好ましい。
【0015】Xで定義される金属に配位した配位子及び
/又は対イオンとしては、錯体が安定化されるために存
在する配位子或いはハロゲン原子、アニオンを表す。X
の具体例としては、THFやジメトキシエタン等のエー
テル類、トリメチルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ン等のホスフィン類、アセトニトリル等のニトリル類、
CO等の中性配位子、Cl、Br等のハロゲン原子、メト
キシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ
基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert- ブトキシ
基、ネオペントキシ基等のアルコキシ基、ジメチルアミ
ド、ジエチルアミド等のアミド基、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル等のアルキル基、上記の置換基
を有していても良いフェニル基、メタンスルホネート、
トシレート等のスルホネート、BF4、B(C6F5)4等のボレ
ート、PF6等のホスフェート等のアニオンが挙げられ
る。このような配位子やアニオンの個数(n)は使用す
る金属原子の性質によって決定されることは当業者に容
易に理解されよう。また、これらの配位子やアニオンが
それぞれ複数個存在する場合は、それらは同一であって
も異なっていてもよい。
【0016】MXnフラグメントは、金属1個の単核錯
体フラグメントで表現しているが、本発明においては、
これは、シクロペンタジエニルとの結合が可能なフラグ
メントであれば、複数個からなる2核錯体フラグメン
ト、3個以上の金属クラスターフラグメントでも良い。
金属が複数個からなる場合は、金属は同一でも異なって
いても良い。
【0017】本発明の上記式(I)〜(VI)で表される
炭素クラスターアニオンを含む水素置換体及び金属錯体
について、その予備的な物性を調べたところ、発光素子
としての機能を有し、また、10個の有機置換基が導入
されたことによって有機溶媒への溶解度が向上し、取扱
いが容易になるため、フラーレン特有の低溶解度性によ
る種々の製造工程上の課題が克服できることが判った。
更に、これらの金属錯体の炭素クラスターアニオンの金
属への結合様式が、特に下記式(V)及び(VI)に示す
ようなη5 型であると、優れた電子伝導等のネットワー
クを構築することが可能となり、電子伝導材料や光機能
材料として従来にない機能性分子となる。
【0018】
【化13】 (上記式(V)及び(VI)において、R、R’ 、Y及び
MXnは、前記と同義である。)
【0019】また、特に式(I)で表される炭素クラスタ
ージアニオンは、C60の南北両極が結合部位となった構
造であるため、下記式(VII)に表されるような分子電
線のような高い電子導電性が期待される棒状π共役系高
分子化合物の設計が可能となる。
【0020】
【化14】
【0021】式 (VII) 中、R、R’ は、上記と同義で
ある。M’ は、金属を含むフラグメントを示し、金属
としては、Ba、Sn、Sc、Ti、Cr、Mn、F
e、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Ru、Rh、H
f、Pt及びSmからなる群から選ばれる金属であるこ
とが好ましいが、特に限定はされない。
【0022】以下、本発明の炭素クラスターアニオンを
含む水素置換体及び金属錯体の製法について説明する。
通常、式(I)〜(VI)で表されるフラーレンC60から誘導
される炭素クラスターアニオン骨格の置換基R、R’の
導入は、先ず、フラーレンC 60と種々のグリニャール試
薬[RMgX、R’MgX(X=ハロゲン)]又は有機
リチウム試薬(RLi、R’Li)とハロゲン化銅誘導
体とから調製される有機銅試薬との反応により5個のR
またはR’を導入した後、加水分解によりその水素体を
製造する。この反応に使用する有機銅試薬は、グリニャ
ール試薬又は有機リチウム試薬とハロゲン化銅から調製
されるが、グリニャール試薬、有機リチウム試薬として
は、RMgCl、RMgBr、RMgI、R’MgC
l、R’MgBr、R’MgI、RLi、R’Li
(R、R’は上記に定義したのと同義である)などが挙
げられ、ハロゲン化銅誘導体の具体的な例としては、C
uBr・SMe2 (Me:メチル)などが挙げられる。
このグリニャール試薬又は有機リチウム試薬とハロゲン
化銅誘導体をテトラヒドロフラン(THF)、ジエチル
エーテル等のエーテル系溶媒中で混合することにより有
機銅試薬は調製することができる。
【0023】次いで、5個の置換基を導入した炭素クラ
スター水素体に、必要に応じてシクロペンタジエン部上
の水素をCN基等で置換し、上記と同様の有機銅試薬との
反応により残り5個のRまたはR’を導入する。後段の
置換基の導入には、特に限定はされないが、LiBr等
の塩の存在下で反応を行うと収率良く目的物が得られ
る。ここで得られる化合物は、有機銅試薬に由来し、式
(VI)においてMがCuで表される金属錯体である。その
後、必要に応じて、該金属錯体を加水分解してC60YR
5R’5Hを製造する。次いで、このC60YR5R’5Hに
種々の金属錯体(塩)等を反応させることにより、種々
の式(VI)で表される金属錯体が合成できる。また、式
(V)で表される金属錯体の製造方法としては、C60YR
5R’5Hを製造後、必要に応じて、脱CN反応、加水分解
を行うことによりC605R’52を製造し、これに金
属錯体(塩)等を反応させる方法が好適に用いられる。
【0024】金属錯体の製造方法としては、特に限定は
されないが、C60YR5R’5H又はC605R’52
金属アルコキシド、金属アミド等の種々の金属錯体
(塩)を反応させる方法が採用される。金属アルコキシ
ド又は金属アミドの金属としては、上記アルカリ金属、
アルカリ土類金属、遷移金属、Sn又はTlが好まし
く、また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキ
シ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ
基、sec-ブトキシ基、tert- ブトキシ基、ネオペントキ
シ基などの炭素数1〜6の低級アルコキシ基、アミド基
としては、N(SiMe32、N(i−Pr)2等が挙
げられる。具体的には、リチウムtert- ブトキシド、カ
リウムtert- ブトキシド、タリウムエトキシド、銅tert
- ブトキシド又はK(N(SiMe32)などを用いる
ことができる。更に、上記の手法を用いて製造した金属
錯体と種々の公知の金属―ハロゲン結合を有する錯体と
のトランスメタレーション反応等によっても一般式
(V)、(VI)で表される金属錯体を製造することができ
る。
【0025】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例
に限定されるものではない。
【0026】実施例1 C60Me5 H(Me:メチル)
の製造 50mlの2径フラスコにフラーレンC60(101m
g,0.14mmol)を秤り取り、減圧下ヒートガン
で加熱して乾燥を行ない、その後減圧のまま放冷した。
この操作を2回くりかえした後、アルゴンを導入してオ
ルトジクロロベンゼン(40ml)に溶解した。この溶
液を減圧下、室温で20分間放置することにより脱気し
た。CuBr・Me2 S(921mg,4.48mmo
l)のTHF(5ml)懸濁液をアルゴン雰囲気下−7
8℃に冷却し、ここにMeMgBrのTHF溶液(1.
03M,4.40mL,4.53mmol)を一度に加
えた。この混合物を−78℃で25分間撹拌すると黄色
い懸濁液となった。
【0027】ここに上記のフラーレンC60のオルトジク
ロロベンゼン溶液をカニュラーで移し、さらに素早くヘ
キサメチルホスホリックトリアミド(HMPA;0.3
9ml,2.24mmol)と塩化トリメチルシラン
(TMSCl;35μl,0.28mmol)を加え、
攪拌しながら水浴を用いて10分間で室温まで昇温し
た。室温で16時間攪拌した後、HPLCでC60が完全
に消費されたことを確認し、系中に脱気した水(1.5
ml)を加え攪拌した。混合物を10分間攪拌した後、
硫酸ナトリウムで乾燥し、アルゴン雰囲気下シリカゲル
のカラムに通した。濾液を減圧下濃縮し、HMPAを除
くため残渣を減圧下100℃で12時間加熱した。その
後、わずかに混入した沈殿物を除去するために、残った
固体を脱気したトルエンに溶かしアルゴン雰囲気下短い
シリカゲルのカラムで濾過した。濾液を減圧下濃縮し目
的物が赤褐色のアモルファス状の固体として106mg
(収率95%)得られた。生成物の物性は以下の通りで
ある。1 H NMR(CDCl3 ,δ):4.46(s,1
H),2.42(s,3H),2.32(s,6H),
2.30(s,6H).
【0028】実施例2 C60Me5 CN(Me:メチ
ル)の製造 窒素雰囲気下、カリウムtert-ブトキシド溶液(1.0 M in
THF, 0.69 mmol)0.69mlを、C60Me5 H(489.23mg,
0.627 mmol)のベンゾニトリル(PhCN ;50.0 ml)溶液
に23℃で加えた。この際反応液の色は赤から黒色に変
化した。この溶液にp−トルエンスルホニルシアニド
(p-CH3C6H4SO2CN;TsCN 0.18M in PhCN,0.66 mmol)を
加え、5分後、 NH4Cl 水溶液(0.50 ml)を加えて反応を
停止した。反応混合物をシリカゲルのカラムで濾過した
後、更にシリカゲルから目的物をトルエン(300 ml)で
溶離した。溶離液を濃縮後、濃縮液をHPLC(Nacalai Tes
que, Buckyprep, 250 mm, トルエン:イソフ゜ロハ゜ノール=7:3)で精製
し、C60Me5 CN(純度:99%)を315 mg (収
率:63 % ) 得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0029】IR (KBr) 3435, 2963, 2920, 2860, 2229,
1641, 1547, 1445, 1418, 1374, 1264, 1239, 1200, 1
106, 684, 658, 552, 522 cm-1;1 H NMR (400 MHz CDCl3-) δ2.36 (s, 6H, CH3), 2.37
(s, 6H, CH3), 2.62 (s, 3H, CH3);13 C NMR (100 MHz CDCl3 ) δ25.36 (2C, CH3, sp3), 2
6.80 (2C, CH3, sp3),32.35 (1C, CH3, sp3), 51.12 (2
C, C60, sp3), 51.37 (1C, C60, sp3), 52.62(2C, C60,
sp3), 55.46 (1C, C60-CN, sp3),118.08 (1C, CN, s
p), 143.02 (2C, C60, sp2), 143.07 (2C, C60, sp2),
143.93 (2C, C60, sp2), 144.03 (2C, C 60, sp2), 144.
10 (2C+2C, C60, sp2), 144.31 (2C, C60, sp2), 144.3
5 (2C, C 60, sp2), 144.50 (2C, C60, sp2) , 145.10
(2C, C60, sp2), 145.27 (2C, C60, sp2), 146.71 (1C,
C60, sp2), 146.83 (2C, C60, sp2), 146.85 (2C,
C60, sp2), 147.77 (2C, C60, sp2), 147.91 (2C, C60,
sp2), 147.98 (1C, C60, sp2), 148.03 (2C, C60, s
p2), 148.15 (2C, C60, sp2), 148.31 (2C, C60, sp2),
148.33 (2C, C60, sp2), 148.50 (2C, C60, sp2), 14
8.56 (2C, C60, sp2), 148.68 (2C, C60, sp2), 151.75
(2C, C60, sp2), 152.24 (2C, C60, sp2), 152.98(2C,
C60, sp2), 156.37 (2C, C60, sp2); APCI-MASS (LC) m/z = 821 (M+).
【0030】C60Me5 CN結晶のX−線構造解析図を
図1に示す。C60Me5 CNの結晶化は、C60Me5
Nの塩化メチレン(CH2Cl2)飽和溶液にエタノールを添
加する方法を用いた。得られた赤色結晶をDIP2030 (Mac
Science, Japan)で解析した。結晶データ及び解析デー
タを表1に示した。また、結晶中の原子座標及び等方性
温度因子を表2に示した。作図及び計算はmaXus (MacSc
ience, Japan)により行った。尚、X線構造解析の結
果、C60Me5 CNの構造は、CN基が、それぞれ、0.
69、0.23、0.08の多重度でdisorderした構造として収束
した。図1はdisorderした構造の内、一つの構造のみを
示した。また、結晶溶媒である塩化メチレンも省略し
た。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】実施例3 C60Me5CNPh5H(Ph:
フェニル) 窒素雰囲気下、CuBr・SMe2 (3.75 g, 18.3 mmol)のTHF
(31 ml)白色懸濁液に、順次23℃でPhMgBr ( 18.6 m
mol)のTHF溶液(20.0 ml)、LiBr (1.59 g 18.3mmol)を
加えた。得られた暗橙色の溶液に、C60Me5CN (515
mg, 0.608 mmol)の1, 2-ジクロロベンゼン(50 ml)溶
液をカニュラーを用いて加えた。23℃で24時間撹拌
した後、飽和NH4Cl水溶液(0.5 ml)を加え、反応を停
止した。反応液をトルエン(300 ml)で希釈後、希釈液
を予めメタノールで洗浄したシリカゲルカラムに通し
た。橙色の溶離液を減圧濃縮後、HPLC (Nacalai Tesque
Co., Buckyprep, 250 mm, トルエン:イソフ゜ロハ゜ノール=7:3 、トルエ
ン:ヘキサン=3:7 )を用いて目的物を精製した。C60Me5
NPh5Hを含む溶離液を、減圧濃縮後、メタノールを
加えることにより、C60Me5CNPh5Hを3異性体
の混合物として 110.5 mg(収率14 % )得た。NMR、MSの
結果から本化合物は式(III)で表される構造の表題化
合物であることが判った。
【0036】1H NMR (400 MHz CDCl3-) δ2.42, 2.44,
2.47 (s, 6H+6H, CH3) , 2.65, 2.67 (s, 3H, CH3), 5.
415, 5.419, 5.444 ( s, 1H, Cp-H), 7.10-7.25, 7.30-
7.37(m, 10H+5H, C6H5), 7.42-7.47, 7.62-7.68, 7.80-
7.87 (o, 10H, C6H5,); MS m/z (LC-APCI,トルエン:イソフ゜ロハ゜ノール = 7:3) 1207 (M-). 又、反応液から同一の分子量を持つ化合物が得られ、こ
れはその異性体構造が不可能であることから式(IV)で
表される構造の同組成の化合物であると帰属した。
【0037】実施例4 K+[C60Me5CNPh5-
の製造 NMR管中、C60Me5CNPh5H (27.0 mg, 22.4μmol)
の脱気したTHF-d8(0.5 ml)溶液に、30.0μLのカリウ
ムtert-ブトキシド溶液 (1.0 M in THF, 30.0μmol)
を、窒素雰囲気下で加えた。溶液の色は直ちに黄色から
黒色に変化した。NMRの結果から本化合物は式(VI)で
表される構造の表題化合物であることが判った。1 H NMR (400 MHz THF-d8-) δ2.36 (s, 12H, CH3), 2.
52 (s, 3H, CH3), 7.00-7.07 (m, 15H, C60-C6H5 m-, p
-), 7.90-7.98 (m, 10H, C60-C6H5 o-);13 C NMR (100 MHz); δ26.06 (2C, CH3, sp3), 27.22
(2C, CH3, sp3), 32.09(1C, CH3, sp3), 51.13 (1C, CH
3, sp3), 51.56 (2C, CH3, sp3), 53.09 (1C,CH3, s
p3), 56.34 (1C, CN, sp3), 62.58 (2C, C6H5, sp3), 6
2.68 (2C, C6H5,sp3), 62.73 (1C, C6H5, sp3), 119.75
(1C, CN, sp), 125.69 (2C, C6H5, p-,sp2), 125. 70
(1C+2C, C6H5, p-, sp2), 125. 81 (1C, C60 -Cp- sp2)
126.03(2C, C60 -Cp- sp2) 127. 03 (2C, C60 -Cp- sp
2), 127. 98 (4C+4C+2C, C6H5,o-, sp2) 129. 50 (4C+4
C, C6H5, m-, sp2), 129. 54 (2C, C6H5, m-, sp2), 14
3.49 (2C, C60, sp2), 143.78 (2C, C60, sp2), 144.03
(2C, C60, sp2), 144.46 (2C, C60, sp2), 145.65 (2
C, C60, sp2), 147.10 (2C, C60, sp2), 147.55 (2C+1
C, C6H5, ipso-, sp2), 147. 63 (2C, C6H5, ipso-, sp
2), 148.54 (2C, C6 0, sp2), 149.31 (2C, C60, sp2),
149.56 (2C+2C, C60, sp2), 149.77 (2C, C6 0, sp2), 1
51.01 (2C, C60, sp2), 152.37 (2C, C60, sp2), 153.4
5 (2C, C60,sp2), 154.70 (2C, C60, sp2), 156.40 (2
C, C60, sp2), 158.15 (2C, C60, sp2), 159.33 (2C, C
60, sp2), 159.53 (2C, C60, sp2), 160.15 (2C, C60,
sp2),160.80 (2C, C60, sp2), 160.90 (2C, C60, sp2).
【0038】実施例5 C60Me5Ph52の製造 シュレンク管を用いて、C60Me5CNPh5H (18.3 m
g, 15.1μmol)のベンゾニトリル(10 ml)溶液に、[C10
H8 -]Li+ (リチウムナフタレニド)溶液 (0.18M in TH
F,2.5 ml)を窒素雰囲気下で加えた。溶液の色は直ちに
黄色から暗赤色に変化した。23℃で1時間撹拌した
後、50μl の飽和 NH4Cl水溶液を加え、反応を停止し
た。溶液の色は暗赤色から赤色に直ちに変化した。混合
物をトルエン(30 ml)で希釈し、予めメタノールで洗
浄したシリカゲルカラムで濾過した。赤色の濾液を減圧
濃縮し、濃縮液からメタノールを加えることによりC60
Me5Ph52を結晶として16.5 mg (収率 93 %) で得
た。この結晶は、 HPLC純度93%で、3異性体の混合物で
あった。この混合物をアルゴン雰囲気下、 HPLC (Nacal
ai Tesque Co., Buckyprep, 250mm, トルエン:イソフ゜ロハ゜ノール =
7:3)で精製した。C60Me5Ph52 の留分を集め、
減圧濃縮し、メタノールを加えることにより、C60Me
5Ph52 を 結晶として10.3 mg (収率 58 %)で得
た。この結晶は、HPLC純度98 %で、3異性体の混合物で
あった。NMR、MSの結果から本化合物は式(I)で表され
る構造の表題化合物であることが判った。1 H NMR (400 MHz CDCl3-); δ2.35, 2.38, 2.41 (s, 6H
+6H+3H, CH3), 4.797,4.803, 4.818 (s, 1H, CpMe-H ),
5.477, 5.495 (s, 1H, CpPh-H ),7.00-718.,7.24-7.29
7.40-7.50, 7.60-7.68, 7.84-7.89 (m, 10H+10H+5H, C
6H5 ); MS m/z (LC-APCI,トルエン:イソフ゜ロハ゜ノール = 7:3) 1182 (M-). 又、反応液から同一の分子量を持つ化合物が得られ、こ
れはその異性体構造が不可能であることから式(IV)で
表される構造の同組成の化合物であると帰属した。
【0039】実施例6 K+[C60Me5Ph5H]-
の製造 NMR管中、C60Me5Ph52 (2.0 mg, 1.7μmol)の脱
気したTHF-d8(0.5 ml)溶液に、3.4μLのカリウムter
t-ブトキシド溶液(0.5 M in THF, 1.7μmol) を、窒素
雰囲気下加えた。溶液の色は直ちに黄色から褐色に変化
した。NMRの結果から本化合物は式(VI)で表される構
造の表題化合物であることが判った。Cpアニオンの生
成を示した。1 H NMR (400 MHz THF-d8-) δ2.25, 2.26 (s, 15H, CH
3 ), 4.54 (s, 1H, Cp Me-H), 6.80-7.00 (m, 15H, C
6H5), 7.84-7.95 (m, 10H, C6H5).
【0040】実施例7 K+ 2[C60Me5Ph52-の製
造 NMR管中、C60Me5Ph52(5.0 mg, 4.2μmol)の脱気
したTHF-d8(0.5 ml)溶液に、42μLのカリウムtert-
ブトキシド溶液 (1.0 M in THF, 42μmol) を、窒素雰
囲気下で加えた。溶液の色は直ちに黄色から黒褐色に変
化した。NMRの結果から本化合物は式(V)で表される構
造の表題化合物であることが判った。1 H NMR (400 MHz THF-d8-) δ2.36 (s, 15H, CH3), 6.
97-7.05 (m, 15H, C6H 5 ), 7.85-7.91 (m, 10H, C6H
5 ); 13C NMR (100 MHz); δ31.48 (5C, CH3, sp3), 5
2.73 (5C, CH3, sp3), 60.76 (5C, C6H5, sp3), 124.56
(5C, CpPh - sp2, very weak), 124.76 (5C, C6H5, p-,
sp2), 127. 36 (10C, C6H5, sp2), 128.08(5C, CpMe -
sp2) 128. 41 (10C, C6H5, sp2), 145.82 (10C, C60, s
p2), 145.91(10C, C60, sp2), 148.22 (5C, C6H5, ipso
-, sp2), 155.61 (10C, C60, sp2),158.07 (10C, C60,
sp2).
【0041】
【発明の効果】本発明の炭素クラスターアニオンを含む
水素置換体及び金属錯体は、発光素子としての機能を有
し、フラーレン骨格に導入される10個の有機置換基を
適宜選定することにより、フラーレン特有の低溶解度性
の問題を解決することが出来る。しかも、これらの金属
錯体の炭素クラスターアニオンの金属への結合様式が、
特にη5 型であると、優れた電子伝導等のネットワーク
を構築することが可能となり、電子伝導材料や光機能材
料として従来にない機能性分子となり有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】C60Me5 CN結晶のX−線構造解析図であ
る。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I)又は式(II)で表されるフラ
    ーレンから誘導される炭素クラスタージアニオン及びC
    605R’52で表されるその水素置換体。 【化1】 【化2】 (式(I)及び(II)中、R同士、R’同士並びにR及
    びR’は、互いに同一であっても異なっていても良く、
    有機基を表す。)
  2. 【請求項2】請求項1に記載された炭素クラスタージア
    ニオンを含有することを特徴とする金属錯体。
  3. 【請求項3】請求項1に記載された炭素クラスタージア
    ニオンの5員環アニオン部の1個の炭素にCN、または
    水素が結合した下記式(III)又は式(IV)で表される炭
    素クラスターモノアニオンならびにC60YR5R’5Hで
    表されるその水素置換体。 【化3】 【化4】 (式(III)及び(IV)中、R同士、R’同士並びにR
    及びR’は、互いに同一であっても異なっていても良
    く、有機基を表す。YはCNまたはHを表す。)
  4. 【請求項4】請求項3に記載された炭素クラスターモノ
    アニオンを含有することを特徴とする金属錯体。
  5. 【請求項5】フラーレンから誘導される炭素クラスター
    ジアニオンが下記の式 (V) で表されるη5様式で2個の
    金属に結合していることを特徴とする請求項2に記載の
    金属錯体。 【化5】 (式(V)中、R同士、R’同士並びにR及びR’は、
    互いに同一であっても異なっていても良く、有機基を表
    し、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金
    属、Sn及びTlから選ばれる金属原子、Xは、金属に
    配位した配位子及び/又は対イオンを表す。但し、n≧
    0である。)
  6. 【請求項6】フラーレンから誘導される炭素クラスター
    モノアニオンが下記の式 (VI) で表されるη5様式で金
    属に結合していることを特徴とする請求項4に記載の金
    属錯体。 【化6】 (式(VI)中、R同士、R’同士並びにR及びR’は、
    互いに同一であっても異なっていても良く、有機基を表
    し、YはCNまたはHを表す。Mは、アルカリ金属、ア
    ルカリ土類金属、遷移金属、Sn及びTlから選ばれる
    金属原子を表し、Xは、金属に配位した配位子及び/又
    は対イオンを表す。但し、n≧0である。)
  7. 【請求項7】金属原子が、Li、Na、K、Ba、S
    n、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、
    Cu、Zn、Zr、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、H
    f、Ta、W、Re、Pt、Au、Hg、Tl及びSm
    からなる群から選ばれることを特徴とする請求項2,4
    〜6のいずれか一項に記載の金属錯体。
  8. 【請求項8】上記式(I)〜(VI)においてR及びR’
    で表される炭素クラスターに結合した有機基が、置換基
    を有していても良いアリール基、アルキル基、又はアル
    ケニル基であることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    か一項に記載の化合物。
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