JP2002240970A - 事務機器の用紙ピックアップ用スプリングクラッチ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】事務機器の用紙ピックアップ用スプリングクラ
ッチを提供する。 【解決手段】 機器給紙経路に設けられたピックアップ
ギア60の中心軸に組立てられ、用紙を1枚ずつ機器の給
紙経路にピックアップするためのスプリングクラッチで
あり、装置全体の部品を支持固定するためのブラケット2
0と、中心軸が挿入されて中心軸を支持するための孔を
有するシャフト30と、シャフト30の外周面に設けられた
係止顎を有するスリーブ40と、ブラケット20の一方の側
に弾性的に設けられた板状のストッパ片26に形成された
ストッパ26aと、シャフト30とスリーブ40との間に弾性
的に設けられ、固定端52を有するスプリング50と、駆動
力を伝達するためのクラッチの役割を担うハブ64を備え
たピックアップギヤ60が順に設けられ、さらにブッシン
グ70と、電磁気力発生用のボビン80とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、事務機器の用紙ピ
ックアップ用スプリングクラッチに係り、更に詳しく
は、複数個のスプリング固定溝が形成されており、用紙
ピックアップ用ストッパがスリーブの一方の側に形成さ
れてるように構造上の改善を行うとともに、ブッシング
の内側に突起を形成して回転抵抗を少なくし、シャフト
脱離防止弾性突起を形成して作動の際シャフトが脱離す
ることを防ぎ、ボビンが空回りすることを防ぐために、
本体と係止作用を持つ係止体を備える事務機器の用紙ピ
ックアップ用スプリングクラッチに係わるものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、電磁写真現像方式を利用した現
像装置には、複写機、プリンタ、レーザービームプリン
タ、ファクシミリ等がある。このような機器では、一般
的な記録用紙を用いて複写や印刷が行われる。また、複
数枚の用紙を収納する給紙カセットや、複数枚の用紙を
１枚ずつ順次送り込むための用紙セッティング装置が設
けられている。

【０００３】図1を参照し、本発明の用紙ピックアップ
用スプリングクラッチに係る従来の用紙給紙装置の基本
的な構造をの概略を説明する。図1は、用紙ピックアッ
プ用クラッチが利用された給紙装置の主要部の構造の概
略を示した正面図である。

【０００４】最上部から用紙を給紙するための半円筒形
状をしたピックアップローラ200が、中心軸150に固定さ
れており、前記ピックアップローラ200の外周面には摩
擦ラバー202が固定されている。さらに、この中心軸150
はフレームに回転可能に固定される。

【０００５】前記ピックアップローラ200を基準とし
て、一方の端部には外部動力源(図示されていないモー
タ)から動力の伝達を受けるピックアップギヤ210が設け
られており、前記ギヤ210の側部にはブッシング220が、
互いに向い合うように軸150に固定されている。そし
て、前記ギヤ210とブッシング220のハブ211，221の外周
面には、クラッチスプリング230が設けられており、動
力を伝達し、またと遮断する役割を果たす。

【０００６】このような構造を持つ従来の給紙装置は、
用紙がセットされた後、ピックアップギヤ210のハフ゛2
11とブッシング220のハブ221との間に設けられたクラッ
チスプリング230とが一方向に回転すると、前記クラッ
チスプリング230の内径が小さくなりながら前記ハブ21
1、221の外周に密着するので、ハブ211側の動力が隣接
する他のハブ221に伝達される。 即ち、前記ピックア
ップギヤ210の動力が、クラッチスプリング230とブ#シ
ング220とを介してピックアップローラ200を回転させ、
その回転により、用紙がピックアップローラ200から給
紙され、用紙の先端部から画像形成部へ向かって送られ
る。

【０００７】一方、用紙の後端部がピックアップローラ
200から抜け出ると、一定速度で回転しているピックア
ップギヤ210が回転して、ギヤ210のハブ211とブッシン
グ220のハブ221に嵌められたクラッチスプリング230の
隙間がなくなるまで密着して回転続ける。その結果、動
力がブッシング220を介して中心軸150に伝達され、次の
用紙がピックアップローラ200に給紙される。

【０００８】このようなスプリングを利用するクラッチ
は、各種の事務機器において省製造原価または機器の小
形化を図ることなどの理由から、一つの動力源によって
いくつかの部分の駆動部へ駆動力を伝達する働きをして
いる。その過程において、駆動源の動力を選択的に利用
するために、入力信号があれば電磁力が生じて動力を伝
達し、入力信号が無ければ電磁力が生じないようにして
動力を伝達しないように構成されている。

【０００９】前記スプリングクラッチ230の動力伝達の
メカニズムは、当業界において通常の知識を有する者で
あれば容易に理解し得ることである。

【００１０】前記のようなスプリングクラッチを利用す
るクラッチ装置の外に、他の実例として、ソレノイドや
スウィングギヤおよびソレノイドを利用する装置が用い
られている。ただし、本発明はスプリングクラッチに係
わるものであるため、説明は省くことにする。

【００１１】本発明は、本格的な用紙の給紙が行われる
前に、１枚ずつピックアップする装置に関するものであ
る。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】スプリングを利用する
従来のピックアップクラッチには、次のような問題があ
った。１．上記クラッチスプリング230は、巻数や内径
公差などが高精度に製造されなければならない。

【００１３】その理由は、動力を転達するときには、ク
ラッチスプリング230の内周と金属製ハブ211，221の外
周とが圧着されるように嵌め合わせて動力を伝達し、動
力を切るときには、嵌め合わせを緩くして、前記ハブ21
1、221の外周とクラッチスプリング230の内周との間に
隙間を設けるようにしなければならないからである。

【００１４】図2Aは一般的なクラッチスプリングを示し
た正面図、図2Bは図2Aの側面図である。図2A、図2Bに示
されているように、クラッチスプリング230は、両端に
突起状の係止端232を備え、その係止端232は動力源側と
非動力源側とに繋がれており、クラッチスプリング230
の内径を変化させる機能を持っている。即ち、クラッチ
スプリング230の両方の端部(係止端232)を、ピックアッ
プギヤ210およびブッシング220側に固定する機能を持た
なければならないので、その固定部は、高精度に仕上げ
られていなければならない。

【００１５】ところで、クラッチスプリング230を製造
する過程で、クラッチスプリング230の両方の端部が後
で組立てられる場合、製品の全てが所定の組立て公差範
囲内を満足するようにするすることは難しい。

【００１６】従来のクラッチスプリングは、その端部を
固定する位置が一個の溝で構成されているために、クラ
ッチスプリング230を固定する位置が限定的であり、製
造過程でしばしば不良品が生ていた。 ２．クラッチスプリング230を利用した事務機器の用紙
ピックアップ装置においては、1枚の用紙の給紙が完了
した後、次の用紙を給紙するためのセッティング状態に
するためには、前記ピックアップローラ200が常時定位
置に固定されていなければならない。 そのように作動
させるために、事務機器の用紙ピックアップ用スプリン
グクラッチには、ストッパおよびストッパ係止顎が設け
られている。そのストッパは、常時回転状態にあるピッ
クアップギヤ210が空回りしている状態で、電磁石装置
側のストッパによって係止されている。そのようなで、
給紙信号が入力されるとストッパが下降して、係止顎と
の係止状態がいったん解除され、ストッパはピックアッ
プギヤ210と共に1回転して用紙を給紙し、その後ストッ
パが上昇して係止顎に掛かると、ピックアップギヤ210
は空回りする状態に復帰する。このように、ストッパ
は、1枚ずつ用紙を給紙する、即ちピックアップする機
能を遂行させる。 従来は、このストッパおよび係止顎
が部品などの中央に位置する構造が採られており、トル
クを多く受ける各部品に無理がかかり誤作動を生じるの
で、ストッパは設けることに伴う附加装置を要してい
た。そのため、装置全体を小形化するのには限界があっ
た。 ３．事務機器の用紙ピックアップ用スプリングクラッチ
は、製造費を安くするために、大部分の部品が合成樹脂
材で作製されている。ただし、装置全体の部品を支持し
一端側にボビンと係止片を装着する「└」字形フレ―ム
(ブラケット)には、耐久性や強度面の観点から、金属製
のフレームが利用されている。

【００１７】ところで、回転する部品(ハブ等)が、直接
金属製のフレ―ムと接触し回転すると、回転抵抗が大き
いだけではなく、合成樹脂製の部品の磨耗も激しいた
め、装置全体に支障を及ぼすという問題があった。 ４．事務機器の用紙ピックアップ用スプリングクラッチ
は、ピックアップローラ200を駆動するシャフト(軸100)
の一端側に取り付けられる。この場合、従来は、イーリ
ング(E-ring)を用いてクラッチとシャフトとを固定して
いる。そのために、前記イーリングを固定するのに要す
る部品数が多く、その固定も大変煩雑で、製作にも多く
の時間を要するという問題があった。 ５．前記フレームに装着されるボビンは、中央にリベッ
トを装着しリベッティングにより固定される。しかし、
長時間用いられている間に、ボビンが周囲の回転部品の
振動の影響を受けて中心軸分離し、空回りするという問
題があった。

【００１８】本発明は、上記のような従来の問題点を解
決するためになされたものであって、スプリングの固定
位置を調整可能なように複数個のスプリング固定溝を有
し、ブッシングの内側に突起を形成して回転抵抗を小さ
くし、シャフト離脱防止弾性突起を形成して作動の際、
シャフトが離脱することを防ぎ、ボビンが空回りするこ
とを防ぐために、本体と係止作用を持つ係止体を備える
事務機器の用紙ピックアップ用スプリングクラッチを提
供することを目的とする。

【００１９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の事務機器の用紙ピックアップ用スプリングク
ラッチは、前記給紙経路に設けられたピックアップロー
ラの中心軸のに組立てられ、用紙を一枚ずつ機器の給紙
経路にピックアップするための事務機器の用紙ピックア
ップ用スプリングクラッチであって、装置全体の部品を
支持固定するためのブラケットと、該ブラケットの一方
の側に設けられ、前記中心軸が挿入されて該中心軸を支
持するための孔を有するシャフトと、該シャフトの外周
面に設けられた係止顎を有するスリーブと、該スリーブ
の係止顎に面接触して、操作スイッチによる操作信号の
入力に応じて作動し、前記ピックアップギアへの用紙の
給紙を待機状態にするために、前記ブラケットの一方の
側(ボビンの外側)に弾性的に設けられた板状のストッパ
片に形成されたストッパと、前記シャフトとスリーブと
の間に弾性的に設けられ、ピックアップ駆動力の伝達ま
たは遮断を行うための固定端を有するスプリングと、前
記スプリングの内周面に嵌め合わされるように組立てら
れ、中心軸が挿入される孔とスプリングと連動し駆動力
を伝達するためのクラッチの役割を担うハブを備えたピ
ックアップギヤが順次に設けられ、さらに、前記ブラケ
ットの他方の側に、前記シャフトを支持し、シャフトの
円滑な回転を保障するためのブッシングと、前記ブラケ
ット内に内蔵された電磁気力発生用のボビンとを備えて
いることを特徴とする。

【００２０】したがって、機器の操作者の操作およびそ
れに伴う入力信号により、前記スプリングがストップ状
態から解除されるときに、スプリングの一方の端部に何
らの係止力も作用しないため、内径が縮小するように変
化し前記ハブを締めるときには、ピックアップローラ側
へ動力を伝達し、更に1回転後にストップ状態に復帰す
るときには、前記スプリングの一方の端部が係止力を受
けスプリングの内径が拡大するように変化し、ハブとの
間の間隔が生じる時には、前記ピックアップギヤだけが
空回りするようになって、前記ピックアップローラへの
動力の伝達が絶たれるようになる。

【００２１】上述の構成において、前記ストッパがスリ
ーブの係止顎に面接触するように、一定の傾斜角(θ)を
有する傾斜面を備えていることが望ましい。この場合に
は、スリーブの係止顎の回転半径と一致する角度でスト
ッパが係止顎に係止される面積が大きく、効果的に面接
触させることが可能なため、確実にストップ作用を発揮
させることができる。

【００２２】上述の構成に付け加えて、前記シャフトお
よびスリーブに、前記クラッチスプリングを係止するた
め複数個のクラッチスプリング固定溝が各々形成されて
いることが望ましく、前記スリーブの係止顎が、スリー
ブの一方の側に形成されていることが望ましい。

【００２３】このような構成の場合には、スプリングの
両端をシャフトおよびスリーブに組立てるときに、組立
公差範囲を比較的広くすることができるので、スプリン
グ製造時の製造公差が一定でないような場合でも、それ
を充分にカバーすることができる。更に前記シャフトに
は、前記孔の一方の側に適用される機器の中心軸に嵌め
合わされて、両方の部品が相互に緊密に固定され脱離し
ないように、端部に係止端を有する脱離防止弾性片が形
成されているのがよく、前記ブシングが、前記シャフト
が挿入されるための孔と、外周面に前記ブラケットの固
定溝に挿入されて前記ブラケットを固定するための固定
突起と、固定突起に弾性力を与えるための弾性溝と、前
記シャフトのフランジの面と点接触するための複数個の
突起と、中央の孔の端が僅かに高く形成された突起顎を
備えることが望ましく、また、前記ブラケットの一方の
側には、ボビンの空回りを防ぐための空回り防止溝が形
成され、前記ストッパ片の誘導溝と組み合わされてスト
ッパ片が円滑に誘導されるように作用する誘導片が形成
され、前記ボビンのボビンケースの一方の端部には、前
記ブラケットの空回り防止溝に挿入される係止片が形成
されるのがよく、前記ハブは金属製であることが望まし
い。

【００２４】上記のような構成を有する場合には、適用
する機器の中心軸と本発明に係るスプリングクラッチと
の相互の嵌め合わせが迅速に行われ、いったん組み合わ
された後は、脱離防止弾性片が係止作用を持つので任意
に抜けることない。また、前記ブシングをブラケットに
組立てる時にも、短時間に組立てることができ、いった
ん組立てられた後は抜けることがない。さらに、前記シ
ャフトのフランジの面と複数個の突起および突起顎が点
接触し回転抵抗を最小化し、空回り防止溝に挿入される
係止片により前記ボビンが空回りすることを防ぐことが
できる。

【００２５】このように、本発明においては、複数個の
スプリング固定溝を形成し、用紙ピックアップ用ストッ
パがスリーブの一方の端部で構成をされるように構造上
の改善が図られており、回転する部品の接触を面接触か
ら点接触へと転換し、ボビンとブラケットとの組み立て
の際に係止片を利用するように構成されている。そのた
めに、仮りに前記クラッチスプリングが高精度に製造さ
れていないような場合にも、組立ての際にそれを補うこ
とが可能であり、無駄な不良品が生じることを防止すこ
とができる。さらに、スリーブやストッパにかかるトル
クを最小化し、機器の部品全体に無理がかからず、スプ
リングクラッチを中心軸に固定する方式を単純化して、
組立て工数を減らし、長時間使用においてもボビンの振
動や空回りを防ぐことができるという有用な効果が得ら
れる。

【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、本発明に係
る事務機器の用紙ピックアップ用スプリングクラッチに
ついてより詳しく説明する。

【００２６】以下に、本発明の望ましい実施の形態の一
例を詳しく説明する。なお、各図面の説明において、同
一の構成要素については、各図面を通してできるだけ同
じ符号を用いるようにした。また、本発明に係る説明に
ついては、関係する公知の機能或いは構成についての具
体的な説明が、本発明の要旨を却って不明瞭にすると判
断される場合には、その詳細な説明を省くことにする。

【００２７】図3は本発明の実施の形態に係る事務機器
の用紙ピックアップ用スプリングクラッチの装着状態を
示す斜視図、図4は本発明の実施の形態に係事務機器の
用紙ピックアップ用スプリングクラッチの主要構造を示
す分解斜視図、図5は本発明の実施の形態に係る事務機
器の用紙ピックアップ用スプリングクラッチに用いられ
るスリーブの構造を示す正面図、図6は図5の側面図、図
7は本発明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピックア
ップ用スプリングクラッチに用いられるストッパを示す
側面図、図8は図7の正面図、図9は本発明の実施の形態
に係るストッパと係止顎の作動関係を説明するための正
面図、図10は本発明の実施の形態に係るストッパと係止
顎の作動関係を説明するための正面図、図11は本発明の
実施の形態に係る事務機器の用紙ピックアップ用スプリ
ングクラッチに用いられるシャフトを示す断面図、図12
は図11の右側面図、図13は図11の左側面図、図14は本発
明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピックアップ用ス
プリングクラッチに用いられるブシングを示す断面図、
図15は図14の右側面図、図16は図14の左側面図、図17は
本発明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピックアップ
用スプリングクラッチに用いられるブラケットを示す平
面図、図18は図17の正面図、図19は図17の側面図、図20
は本発明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピックアッ
プ用スプリングクラッチに用いられるボビンケースを示
す断面図、図21は本発明の実施の形態に係る事務機器の
用紙ピックアップ用スプリングクラッチに用いられるボ
ビンの組立て態様を示す分解斜視図である。

【００２８】従来の技術の説明において示した部品につ
いては、できるだけ同じな符号を用いるようにした。

【００２９】まず、図3を参照すると、図面の左側に本
発明に係る事務機器の用紙ピックアップ用スプリングク
ラッチ10が図示され、右側にピックアップローラ60が図
示されている。これらの２つの部品は、前記中心軸150
一端にキー溝が形成された切断面206を有する組立てブ
ロック204に、本発明のスプリング10を挿入することに
よって組み立てられる。前記切断面206には、中心軸150
とスプリングクラッチ10とを相互に固定するための係止
溝208が形成されている。

【００３０】また、前記スプリングクラッチ10には、駆
動源から動力の伝達を受けて、前記中心軸150に伝達す
るためのピックアップギヤが取り付けられている。

【００３１】図4には、本発明のスプリングクラッチ10
の主要な構成要素である各部品が図示されている。図4
において、符号20は各部品を支持固定するためのブラケ
ットである。このブラケット20の一方側部には、順に、
前記中心軸150が挿入され、その中心軸150を支持するた
めの孔31を有するシャフト30と、スプリング50を支持す
るスリーブ40と、ピックアップ駆動力を伝達したり遮断
するための固定端52を有するスプリング50と、中心軸15
0が挿入される孔62とスプリング50と連動し駆動力を伝
達するためのクラッチの役割をする金属製のハブ64を備
えるピックアップギヤ60とが設けられている。また、ブ
ラケット20のもう一方の側部には、前記シャフト30を支
持しシャフト30の円滑な回転を保障するためのブッシン
グ70が設けられている。さらに、前記ブラケット20内に
は、電磁気力発生装置のボビン80を内蔵されている。

【００３２】前記ブラケット20には、適用される機器、
例えばプリンターや複写機の本体のフレームに固定する
ための固定溝22と、前記ブッシング70を固定するための
複数個の突起受け用溝24およびストッパ26aを有するス
トッパ片26を掛けるためのコイルスプリング28が弾性的
に設置されている。符号23、27は、前記コイルスプリン
グ28を掛けるときに用いられる掛け棒を示している。

【００３３】図5および図6は、前記スリーブ40を具体的
に示す図である。スリーブ40は全体的には円筒形であ
り、一端側に段顎42とスリーブの筒部を貫通するクラッ
チスプリング固定溝44が形成されている。符号47はスプ
リング50の外周面に挿入される内周面である。

【００３４】図7および図8は、本発明に係る事務機器の
用紙ピックアップ用スプリングクラッチの特徴の一つで
あるストッパを示す図である。このストッパ26aは、前
記ブラケット20の一方の側部に弾性的に設けられるもの
であり、更に詳しくはボビン80の外側に取り付けられる
板状のストッパ片26の隅部に形成されている。

【００３５】前記ストッパ片26には、コイルスプリング
28を掛けるための掛け棒27と、電磁石による移動動作を
確保するためにブラケット20の一端に掛かる移動溝26b
が形成されている。ここで、重要な点の一つが、前記ス
トッパ26aに一定の傾斜角を有する傾斜面266aが設けら
れている点である。

【００３６】この傾斜部266aは、後述のように、スリー
ブ40に形成された係止顎がストッパ26aに掛かるように
接触したときに、傾斜部266aで面接触するようにして、
ストッピングが円滑に行われるようにするため開発され
たものである。

【００３７】図9および図10には、上記図5ないし図8に
図示したスリーブ40とストッパ26aとを組み立てた状態
が示されている。図9には、前記ストッパ26aが前記スリ
ーブ40の一端側(ピックアップギヤ60側)に形成された係
止顎46に係止された状態が示されている。なお、ボビン
80の外側面の中央付近には、ボビン80に入力された電子
信号に応じて、コイルを多数回巻き取るためのコイル溝
が形成されている。

【００３８】図21は、前記ボビン80がブラケット20に組
み立てられる状態を示している。前記ボビン80が空回り
することを防ぐために、係止片84がボビン80の端部付近
に形成されている。このボビン80は、ブラケット20のリ
ベット溝21aにリベット86を用いて、リベッティング作
業により固定される。符号21は、前記ブッシング70の突
起顎76を挿入するために、前記ブラケット20に形成され
た孔である。

【００３９】次に、上記のような構造を有する本発明の
実施の形態に係る事務機器の用紙ピックアップ用スプリ
ングクラッチの動作について説明する。

【００４０】はじめは、事務機器の用紙ピックアップ用
スプリングクラッチ10が、中心軸150によりピックアッ
プローラ60と繋がれている。したがって、ピックアップ
ギヤ60が回転すれば中心軸150が回転し、それに伴って
ピックアップローラ200が回転し、用紙を一枚ずつピッ
クアップして、給紙経路上に供給する。

【００４１】操作者が複写機の複写スイッチを押した場
合、コンピュータと接続されたプリンターがコンピュー
タのプリント命令を受けた場合、または普通用紙ファク
シミリに送信信号がに入力された場合には、前記ピック
アップギヤ60が回転する。しかし、図9に示されている
ように、前記ストッパ片26のストッパ26aが前記スリー
ブ40の一端側に形成された係止顎46を係止しているた
め、ギヤ60の回転力はピックアップローラ200に伝達さ
れず、ピックアップローラ200は回転しない状態にあ
る。

【００４２】このとき、前記スプリング50の内周面と金
属製のハブ64の外周面との間に隙間が生じるので、前記
ピックアップギヤ60が空回りできるようになる。

【００４３】その状態において、図10に示した通り、フ
レミングの左手の法則に従って、ボビン80のコイル82に
電磁気力が生じ、前記ストッパ片26を引き寄せて、前記
係止顎46を止めていた前記ストッパ26aを解除する。そ
の時に、前記スプリング50の内径が小さくなり、内周面
が前記ハブ64の外周面に接触し、前記ピックアップギヤ
60の駆動力がスプリング50に伝達される。

【００４４】更に詳しく説明すると、機器操作者の操作
およびそれに伴う入力信号によって、前記スプリング50
がストッピング状態からピックアップギヤ60を空回りさ
せるようになっている。したがって、スプリング固定端
52がストッピング状態から解除されるときに、スプリン
グ50の固定端52には何らの係止力が作用しないため内径
が縮小するように変化し、前記ハブ64を締めるときに
は、ピックアップローラ200側へ動力を伝達する。更に1
回転した後にストッピング状態に戻るときには、前記ス
プリング50の固定端52が係止力を受け、スプリング50内
径が拡大するように変化し、ハブ64との間に間隔が生じ
る。このとき、前記ピックアップギヤ60だけが空回りす
るようになり、前記ピックアップローラ200への動力の
伝達が絶たれるようになる。

【００４５】この駆動力は、前記スプリング50の各固定
端52が前記シャフト30のスプリング固定溝36とスリーブ
40のスプリング固定溝44に固定されているため、スリ-
ブ40とシャフト30とを同時に駆動する。このシャフト30
の孔31は、中心軸150と組立ててあり、塊204の上記切断
面206上の係止溝208に脱離防止弾性片32が嵌め合わせて
いるために、シャフト30が回転すると、その駆動力は中
心軸150に伝達されて中心軸150が回転し、前記ピックア
ップローラ200を駆動するようになる。

【００４６】そのピックアップローラ200にはラバー202
が装着されており、セッティングされた用紙を給紙経路
上へ移送することにより、1枚の用紙をピックアップす
るように作用する。

【００４７】一方、図11ないし図13に示した本発明に係
るスプリングクラッチのシャフト30には、両側端に係止
端34が形成されている。また、図14ないし図16に示した
通り、本発明に係るスプリングクラッチのブッシング70
には、端部に係止顎を有する固定突起72が放射状に間歇
的に形成されている。そのために、簡単に圧入する操作
だけでそれらの部品の組立てが完了するので、組み立て
性が高められている。

【００４８】更に前記固定突起72の左右の付け根付近
に、弾性溝73が更に深く形成されているため、固定突起
72に弾性力が与えられる。したがって、円滑に組立てを
行うことができる。

【００４９】更に、前記ブシング70の前記固定突起72の
間に、複数個の突起74と中央に突起顎76を組立てた後、
他の部位より更に突出するように(望ましくは約0.3mm)
形成されているために、前記シャフト30のフランジ35面
に点接触するので、面接触の場合より回転抵抗が少な
い。

【００５０】更に、図17ないし19に示されているよう
に、ブラケット20の一方の側には空回り防止溝20aが、
ボビンケース80aには係止片84がそれぞれ形成されてお
り、相互に組み合わせられることによって、前記ボビン
80が空回りすることが防止されている。

【００５１】このように、本発明に係る事務機器の用紙
ピックアップ用スプリングクラッチは、前記スプリング
の両端部の固定位置を僅かずつ調整可能なようにスプリ
ング固定溝36、44が形成され、仮りに前記クラッチスプ
リング50が精密に製造されていない場合であっても、組
み立て過程においてそれを補うことができる。そのた
め、無駄な不良品が生じることを防止することができ
る。

【００５２】したがって、従来のように、クラッチスプ
リング230を固定する位置が一つの溝で構成されている
場合には、製品全体で一定の公差範囲内を満たす製品だ
けが使用可能という構造的な欠陥を完全に解決すること
ができた。

【００５３】また、一枚の用紙を給紙した後、次の用紙
の給紙セッティング状態に移るためのストッパ―26a
と、そのストッパ26aに掛かるスリーブ40の係止顎46と
の作用が、スリーブ40の一方の側において成されるよう
に、構造上の改善を図ることにより、スリーブ40やスト
ッパ26aに作用するトルクを最小化して、機器の部品全
体に無理がかからないようになっている。

【００５４】また、回転する部品を面接触から点接触へ
換えることにより、回転抵抗を減らし、イーリングを用
いてスプリングクラッチを中心軸に固定する方式から脱
却して部品数も減らし、その固定作業も簡単に行われる
ようにして、製作時間を顕著に減らしている。さらに、
ボビン80とブラケット20との組み合わせの際、係止片84
を形成しリベットによる装着力のアップを図ることによ
り、長時間使用に伴う振動や空回りを防ぐ効果を得てい
る。

【００５５】一方、本発明の詳しい説明においては、具
体的な実施の形態に関して説明したが、本発明の技術的
範囲内において、様々な変形、改良が可能であること
は、当該分野において通常の知識を有する者にとっては
自明であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。

【００５６】

【発明の効果】上述のように、本発明の事務機器の用紙
ピックアップ用スプリングクラッチによれば、複数個の
スプリング固定溝が形成されており、用紙ピックアップ
用ストッパがスリーブの一方の側で構成されるように構
造上の改善を行い、回転する部品の接触が面接触から点
接触になるように転換し、ボビンとブラケットとの組立
ての際に係止片を利用することができるように構成し
た。そのため、仮りに、前記クラッチスプリングが高精
度に製造されていないような場合にも、組み立て過程に
おいてそれを補うことができるので、無駄な不良品が生
じることを避けることができる。また、スリーブやスト
ッパに掛かるトルクを最小化して、機器の部品全体に無
理がかからないようにし、スプリングクラッチを中心軸
に固定する方式を単純化して組立て工数を減らし、長時
間使用しても、ボビンの振動や空回りが防止されるとい
う有用な効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図1】用紙ピックアップ用スプリングクラッチが利用
された給紙装置の主要部の構造の概略を示した正面図で
ある。

【図2A】一般的なクラッチスプリングを示した正面図で
ある。

【図2B】図2Aの側面図である。

【図3】本発明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピッ
クアップ用スプリングクラッチの装着状態を示す分解斜
視図である。

【図4】本発明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピッ
クアップ用スプリングクラッチの主要構造を示す分解斜
視図である。

【図5】本発明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピッ
クアップ用スプリングクラッチに用いられるスリーブの
構造を示す正面図である。

【図6】図5の側面図である。

【図7】本発明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピッ
クアップ用スプリングクラッチに用いらるストッパを示
す側面図である。

【図8】図7の正面図である。

【図9】本発明の実施の形態に係るストッパと係止顎の
関係を示す正面図である。

【図10】本発明の実施の形態に係るストッパと係止顎の
作動関係を説明するための正面図である。

【図11】本発明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピッ
クアップ用スプリングクラッチに用いられるシャフトを
示す断面図である。

【図12】図11の右側面図である。

【図13】図11の左側面図である。

【図14】本発明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピッ
クアップ用スプリングクラッチに用いられるブッシング
を示す断面図である。

【図15】図14の右側面図である。

【図16】図14の左側面図である。

【図17】本発明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピッ
クアップ用スプリングクラッチに用いられるブラケット
を示す平面図である。

【図18】図17の正面図である。

【図19】図17の側面図である。

【図20】本発明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピッ
クアップ用スプリングクラッチに用いられるボビンケー
スを示す断面図である。

【図21】本発明の実施の形態に係る事務機器の用紙ピッ
クアップ用スプリングクラッチに用いられるボビンの組
み立て態様を示す分解斜視図である。

【符号の説明】

10:ピックアップ用スプリングクラッチ 20:ブラケッ
ト 20a:空回り防止溝 21:孔 21a:リべット 22:固定溝 24:突起溝 23、27:係止棒 25:固定溝 26:ストッパ片 266a:傾斜面 26a:ストッパ 26b:誘動溝 28:コイルスプリング 29:誘動片 30:シャフト 31:孔 32:脱離防止
弾性片 32a:平坦面 33:弾性片 33a:切断溝 34:係止端 35:フランジ 36:スプリン
固定溝 42:段顎 44:スプリ
ング固定溝 46:係止顎 47:内径 50:スプリング 52:固定段 60:ピックアップギヤ 62:孔 64:ハブ 70:ブッシ
ング 71:孔 72:固定突
起 73:弾性溝 74:突起 76:突起顎 80:ボビン 80a:ボビンケース 81:コア孔 82:コイル 84:係止片 85:コイル溝 150:中心軸 200:ピックアップローラ 204:組立て
の塊 206:切断面 208:係止溝

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項1】機器給紙経路に設けられたピックアップギ
   アギア(60)の中心軸に組立てられ、用紙を1枚ずつ機器
   の給紙経路にピックアップするための事務機器の用紙ピ
   ックアップ用スプリングクラッチ(10)であって、装置全
   体の部品を支持固定するためのブラケット(20)と、 該ブラケット(20)の一方の側に設けられ、前記中心軸が
   挿入されて該中心軸を支持するための孔(31)を有するシ
   ャフト(30)と、該シャフト(30)の外周面に設けられた係
   止顎(46)を有するスリーブ(40)と、 該スリーブ(40)の係止顎(46)に面接触して、操作スイッ
   チによる操作信号の入力に応じて作動し、前記ピックア
   ップギア(60)への用紙の給紙を待機状態にするために、
   前記ブラケット(20)の一方の側[ボビン(80)の外側]に弾
   性的に設けられた板状のストッパ片(26)に形成されたス
   トッパ(26a)と、 前記シャフト(30)とスリーブ(40)との間に弾性的に設け
   られ、ピックアップ駆動力の伝達または遮断を行うため
   の固定端(52)を有するスプリング(50)と、 該スプリング(50)の内周面に嵌め合わされるように組立
   てられ、中心軸(150)が挿入される孔(62)とスプリング
   (50)と連動し、駆動力を伝達するためのクラッチの役割
   を担うハブ(64)を備えたピックアップギヤ(60)が順に設
   けられ、 前記ブラケット(20)の他方の側に前記シャフト(30)を支
   持し、シャフト(30)の円滑な回転を保障するためのブッ
   シング(70)と、 前記ブラケット(20)内に内蔵された電磁気力発生用のボ
   ビン(80)とを備えていることを特徴とする事務機器の用
   紙ビックアップ用スプリングクラッチ。
2. 【請求項2】前記ストッパ(26a)が、係止顎(46)に面接触
   するように、一定の傾斜角(θ)を有する傾斜面(266a)を
   備えていることを特徴とする請求項1に記載の事務機器
   の用紙ピックアップ用スプリングクラッチ。
3. 【請求項3】前記シャフト(30)およびスリーブ(40)に、
   前記クラッチスプリング(50)を係止するための複数個の
   クラッチスプリングの固定溝(36)、(44)がそれぞれ形成
   されていることを特徴とする請求項1に記載の事務機器
   の用紙ピックアップ用スプリングクラッチ。
4. 【請求項4】前記スリーブ(40)の係止顎(46)が、スリー
   ブ(40)の一方の側に形成されていることを特徴とする請
   求項1に記載の事務機器の用紙ビックアップ用スプリン
   グクラッチ。
5. 【請求項5】前記シャフト(30)には、前記孔(31)の一方
   の側に適用される機器の中心軸に嵌め合わされて、両方
   の部品が相互に緊密に固定され脱離しないように、端部
   に係止端(34)を有する脱離防止弾性片(32)が形成されて
   いることを特徴とする請求項1に記載の事務機器の用紙
   ピックアップ用スプリングクラッチ。
6. 【請求項6】前記ブシング(70)が、前記シャフト(30)が
   挿入されるための孔(71)と、外周面に前記ブラケット(2
   0)の固定溝(25)に挿入されて前記ブラケット(20)を固定
   するための固定突起(72)と、固定突起(72)に弾性力を与
   えるための弾性溝(73)と、前記シャフト(30)のフランジ
   (35)の面と点接触するための複数個の突起(74)と、中央
   の孔(71)の端が僅かに高く形成された突起顎(76)を備え
   ることを特徴とする請求項1に記載の事務機器の用紙ピ
   ックアップ用スプリングクラッチ。
7. 【請求項7】前記ブラケット(20)の一方の側には、ボビ
   ン(80)の空回りを防ぐための空回り防止溝(20a)が形成
   され、前記ストッパ片()の誘導溝(26b)と組合わされて
   ストッパ(26)を円滑に誘導するように作用する誘導片(2
   9)が形成され、 前記ボビン(80)のボビンケース(80a)の一方の端部に
   は、前記ブラケット(20)の空回り防止溝(20a)に挿入す
   るための係止片(84)が形成されていることを特徴とする
   請求項1に記載の事務機器の用紙ピックアップ用スプリ
   ングクラッチ。
8. 【請求項8】前記ハブ(64)は金属製であることを特徴と
   する請求項1に記載の事務機器の用紙ピックアップ用ス
   プリングクラッチ。