JP2002239809A - 高速切削ですぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具 - Google Patents
高速切削ですぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具Info
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Abstract
被覆超硬合金製切削工具を提供する。 【解決手段】 表面被覆超硬合金製切削工具が、炭化タ
ングステン基超硬合金基体または炭窒化チタン系サーメ
ット基体の表面に、組成式:(Ti1-XAlX)N(ただ
し、原子比で、Xは0.45〜0.75を示す)を有す
るTiとAlの複合窒化物からなる素地に、酸化アルミ
ニウム相が、走査型電子顕微鏡による組織観察で5〜4
0面積%の割合で分散分布した組織を有する硬質被覆層
を0.8〜15μmの平均層厚で物理蒸着してなる。
Description
どの高速切削ですぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮す
る表面被覆超硬合金製切削工具(以下、被覆超硬工具と
いう)に関するものである。
などの被削材の旋削加工や平削り加工にバイトの先端部
に着脱自在に取り付けて用いられるスローアウエイチッ
プ、前記被削材の穴あけ切削加工などに用いられるドリ
ルやミニチュアドリル、さらに前記被削材の面削加工や
溝加工、肩加工などに用いられるソリッドタイプのエン
ドミルなどがあり、また前記スローアウエイチップを着
脱自在に取り付けて前記ソリッドタイプのエンドミルと
同様に切削加工を行うスローアウエイエンドミル工具な
どが知られている。
示される物理蒸着装置の1種であるアークイオンプレー
ティング装置を用い、基本的に、ヒータで装置内を、例
えば雰囲気を1.3×10-3Paの真空として、500
℃の温度に加熱した状態で、アノード電極と所定組成を
有するTi−Al合金がセットされたカソード電極(蒸
発源)との間に、例えば電圧:35V、電流:100A
の条件でアーク放電を発生させ、同時に装置内に反応ガ
スとして窒素ガスを導入し、一方炭化タングステン(以
下、WCで示す)基超硬合金または炭窒化チタン(以
下、TiCNで示す)基サーメットからなる基体(以
下、これらを総称して超硬基体と云う)には、例えば−
100Vのバイアス電圧を印加した条件で、前記超硬基
体の表面に、例えば特開昭62−56565号公報に記
載されるように、TiとAlの複合窒化物[以下、(T
i,Al)Nで示す]で構成された硬質被覆層を0.8
〜15μmの平均層厚で蒸着することにより被覆超硬工
具を製造することが知られている。
FA化および高性能化はめざましく、一方で切削加工に
対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求
は強く、これに伴い、切削加工は高速化を追求する傾向
にあるが、上記の従来被覆超硬工具においては、これを
鋼や鋳鉄などの通常の条件での切削加工に用いた場合に
は問題はないが、これを高速切削に用いた場合には、摩
耗進行が著しく促進されるようになり、比較的短時間で
使用寿命に至るのが現状である。
上述のような観点から、特に鋼や鋳鉄などの高速切削加
工に用いた場合にも、すぐれた耐摩耗性を発揮する被覆
超硬工具を開発すべく研究を行った結果、 (a)例えば原料粉末として、Ti粉末およびAl粉
末、さらに酸化アルミニウム(以下、Al2O3で示す)
粉末を用い、これら原料粉末を所定の配合割合に配合
し、混合した後、圧粉体にプレス成形し、この圧粉体
を、通常の条件、例えば真空雰囲気中、500〜600
℃の範囲内の所定の温度に所定時間保持の条件で焼結し
て、所定の組成をもった焼結体を形成し、この焼結体を
カソード電極(蒸発源)として用いて、例えばアークイ
オンプレーティング装置にて、反応ガスとして窒素ガス
を導入して、上記超硬基体表面に硬質被覆層を形成する
と、形成された硬質被覆層は、(Ti,Al)Nの素地
にAl2O3相が分散分布した組織をもつものとなるこ
と。 (b)上記(a)で得られた被覆超硬工具の硬質被覆層
の素地を、組成式:(Ti1-XAlX)Nで表わした場
合、原子比で、X:0.45〜0.75を満足するもの
とし、かつ前記素地に分散分布するAl2O3相の割合を
走査型電子顕微鏡による組織観察で5〜40面積%とす
ると、この結果の硬質被覆層には前記素地によってすぐ
れた靭性と耐熱性、そして前記Al2O3相によって高い
高温硬さとすぐれた熱的安定性が確保されることから、
前記被覆超硬工具は、これを高速切削加工に用いても切
刃に欠けやチッピング(微小欠け)などの発生なく、す
ぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するようになるこ
と。以上(a)および(b)に示される研究結果を得た
のである。
されたものであって、超硬基体の表面に、組成式:(T
i1-XAlX)N(ただし、原子比で、Xは0.45〜
0.75)を有する(Ti,Al)Nからなる素地に、
Al2O3相が、走査型電子顕微鏡による組織観察で5〜
40面積%の割合で分散分布した組織を有する硬質被覆
層を0.8〜15μmの平均層厚で物理蒸着してなる、
高速切削ですぐれた耐摩耗性を発揮する被覆超硬工具に
特徴を有するものである。
硬質被覆層の素地を構成する(Ti,Al)Nにおける
AlはTiNに対して耐熱性を向上させるために固溶す
るものであり、したがって組成式:(Ti1-XAlX)N
のX値が原子比で0.45未満では所望の耐熱性を確保
することができず、一方その値が同0.75を越える
と、TiNによってもたらされるすぐれた靭性が急激に
低下するようになり、切刃に欠けやチッピングが発生し
易くなるという理由で、X値を原子比で0.45〜0.
75、望ましくは0.5〜0.7と定めた。
l2O3相は、上記の通り硬質被覆層に高い高温硬さとす
ぐれた熱的安定性を付与し、もって高い発熱を伴なう、
高速切削でも硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する
ようにする作用をもつが、硬質被覆層におけるAl2O3
相の割合が、走査型電子顕微鏡による組織観察で5面積
%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方同割
合が40面積%を超えると素地によってもたらされる靭
性が急激に低下するよになることから、Al2O3相の硬
質被覆層における割合を5〜40面積%、望ましくは1
0〜30面積%と定めた。
15μmとしたのは、その層厚が0.8μmでは所望の
すぐれた耐摩耗性を長期に亘って確保することができ
ず、一方その層厚が15μmを越えると、切刃に欠けや
チッピングが発生し易くなるという理由によるものであ
る。
を実施例により具体的に説明する。 (実施例1)原料粉末として、いずれも1〜3μmの平
均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、V
C粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr3 C2 粉末、T
iN粉末、TaN粉末、およびCo粉末を用意し、これ
ら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、ボー
ルミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、100MP
a の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を6P
aの真空中、温度:1400℃に1時間保持の条件で焼
結し、焼結後、切刃部分にR:0.05のホーニング加
工を施してISO規格・CNMG120408のチップ
形状をもったWC基超硬合金製の超硬基体A1〜A10
を形成した。
2μmの平均粒径を有するTiCN(重量比でTiC/
TiN=50/50)粉末、Mo2 C粉末、ZrC粉
末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、お
よびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示さ
れる配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合
し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス
成形し、この圧粉体を2kPaの窒素雰囲気中、温度:
1500℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃
部分にR:0.03のホーニング加工を施してISO規
格・CNMG120408のチップ形状をもったTiC
N系サーメット製の超硬基体B1〜B6を形成した。
Al粉末、さらにAl2O3粉末を用い、これら原料粉末
を所定の配合組成に配合し、ボールミルで72時間湿式
混合し、乾燥した後、100MPa の圧力で圧粉体に
プレス成形し、この圧粉体を6Paの真空中、500〜
600℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で焼
結して、Ti、Al、およびAl2O3の含有割合を所定
の含有割合とした種々のカソード電極用焼結体(本発明
硬質被覆層形成用)を製造した。また、別途従来硬質被
覆層形成用カソード電極として、TiとAlの含有割合
が異なる各種のTi−Al合金も用意した。
びB1〜B6を、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した
状態で、それぞれ図1に例示される通常のアークイオン
プレーティング装置に装入し、一方カソード電極(蒸発
源)用の焼結体またはTi−Al合金を装着し、装置内
を排気して1.3×10-3Paの真空に保持しながら、
ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、Arガスを
装置内に導入して2.5PaのAr雰囲気とし、この状
態で超硬基体に−800vのバイアス電圧を印加して超
硬基体表面をArガスボンバート洗浄し、ついで装置内
をに2.5Paの窒素ガス(反応ガス)の雰囲気とする
と共に、前記超硬基体に印加するバイアス電圧を−10
0vに下げて、前記カソード電極とアノード電極との間
にアーク放電を発生させ、もって前記超硬基体A1〜A
10およびB1〜B6のそれぞれの表面に、表3、4に
示される目標組成および目標層厚の硬質被覆層を蒸着す
ることにより、本発明被覆超硬工具としての本発明表面
被覆超硬合金製スローアウエイチップ(以下、本発明被
覆超硬チップと云う)1〜20、および従来被覆超硬工
具としての従来表面被覆超硬合金製スローアウエイチッ
プ(以下、従来被覆超硬チップと云う)1〜19をそれ
ぞれ製造した。
ップ1〜20および従来被覆超硬チップ1〜19の硬質
被覆層について、その厚さ方向中央部をオージェ分光分
析装置を用いて測定したところ、それぞれ表3、4に示
される目標X値と実質的に同じ値を示し、また、Al2
O3相の分布割合および厚さを、走査型電子顕微鏡を用
いて断面測定したところ、いずれも同じく表3、4に示
される目標割合および目標層厚と実質的に同じ平均値
(5点測定の平均値)を示した。
0および従来被覆超硬チップ1〜19ついて、これを工
具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態
で、 被削材:JIS・SNCM439の丸棒、 切削速度:280m/min.、 切り込み:1.5mm、 送り:0.2mm/rev.、 切削時間:10分、 の条件での合金鋼の乾式高速連続旋削加工試験、 被削材:JIS・SCr420の長さ方向等間隔4本縦
溝入り丸棒、 切削速度:300m/min.、 切り込み:2mm、 送り:0.25mm/rev.、 切削時間:2分、 の条件での合金鋼の乾式高速断続旋削加工試験を行い、
いずれの旋削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定し
た。この測定結果を表3、4に示した。
5.5μmを有する中粗粒WC粉末、同0.8μmの微
粒WC粉末、同1.3μmのTaC粉末、同1.2μm
のNbC粉末、同1.2μmのZrC粉末、同2.3μ
mのCr3C2粉末、同1.5μmのVC粉末、同1.0
μmの(Ti,W)C粉末、同1.8μmのCo粉末、
および同1.2μmの炭素(C)粉末を用意し、これら
原料粉末をそれぞれ表5に示される配合組成に配合し、
さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミ
ル混合し、減圧乾燥した後、100MPaの圧力で所定
形状の各種の圧粉体にプレス成形し、これらの圧粉体
を、6Paの真空雰囲気中、7℃/分の昇温速度で13
70〜1470℃の範囲内の所定の温度に昇温し、この
温度に1時間保持後、炉冷の条件で焼結して、直径が2
6mm(超硬基体a〜c形成用)、20mm(超硬基体
d〜f形成用)、および8mm(超硬基体g、h形成
用)の3種の丸棒焼結体を用い、この3種の丸棒焼結体
から、研削加工にて、切刃部の寸法(外径×刃長)およ
び形状が、それぞれ10mm×22mmの6枚刃スクエ
ア(超硬基体a〜c)、10mm×18mmの2枚刃ボ
ール(超硬基体d〜f)、および2mm×6mmの2枚
刃ボール(超硬基体g、h)の超硬基体(エンドミル)
a〜hをそれぞれ製造した。
a〜hの表面に、ホーニングを施し、アセトン中で超音
波洗浄し、乾燥した状態で、同じく図1に例示される通
常のアークイオンプレーティング装置に装入し、上記実
施例1と同一の条件で、表6、7に示される目標組成お
よび目標層厚をもった硬質被覆層を蒸着することによ
り、本発明被覆超硬工具としての本発明表面被覆超硬合
金製エンドミル(以下、本発明被覆超硬エンドミルと云
う)1〜16および従来被覆超硬工具としての従来表面
被覆超硬合金製エンドミル(以下、従来被覆超硬エンド
ミルと云う)1〜8をそれぞれ製造した。
ンドミル1〜16および従来被覆超硬エンドミル1〜8
の硬質被覆層について、その厚さ方向中央部をオージェ
分光分析装置を用いて測定したところ、それぞれ表6、
7に示される目標X値と実質的に同じ値を示し、Al2
O3相の分布割合および厚さを、走査型電子顕微鏡を用
いて断面測定したところ、いずれも同じく表6、7に示
される目標割合および目標層厚と実質的に同じ平均値
(5点測定の平均値)を示した。
〜16および従来被覆超硬エンドミル1〜8のうち、本
発明被覆超硬エンドミル1〜6および従来被覆超硬エン
ドミル1〜3ついては、 被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:5
0mmのJIS・SKD61(硬さ:HRC52)の板
材、 切削速度:300m/min.、 半径方向切込み:0.5mm、 軸方向切込み:15mm、 テーブル送り:6m/分、 形態:乾式(エアーブロー)、 の条件での焼入れ鋼の高速側面切削加工試験、本発明被
覆超硬エンドミル7〜12および従来被覆超硬エンドミ
ル4〜6については、 被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:5
0mmのJIS・SCM440(硬さ:HB320)の
板材、 切削速度:300m/min.、 半径方向切込み:4mm、 軸方向切込み:0.5mm、 テーブル送り:2m/分、 形態:乾式(エアーブロー)、 の条件での合金鋼の高速側面切削加工試験、本発明被覆
超硬エンドミル13〜16、および従来被覆超硬エンド
ミル7<8については、 被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:5
0mmのJIS・SKD11(硬さ:HRC60)の板
材、 切削速度:126m/min.、 軸方向切込み:0.1mm×10回での溝加工、 テーブル送り:1.2m/分、 形態:乾式(エアーブロー)、 の条件での焼入れ鋼の高速溝切削加工試験、をそれぞれ
行い、いずれの切削加工試験でも外周刃の逃げ面摩耗幅
が0.1mmに至るまでの切削長を測定した。この測定
結果を表6、7にそれぞれ示した。
径が26mm(超硬基体a〜c形成用)、20mm(超
硬基体d〜f形成用)、および8mm(超硬基体g、h
形成用)の3種の丸棒焼結体を用い、この3種の丸棒焼
結体から、研削加工にて、溝形成部の直径×長さがそれ
ぞれ16mm×45mm(超硬基体a‘〜c’)、8m
m×22mm(超硬基体d‘〜f’)、および4mm×
13mm(超硬基体g‘、h’)の寸法をもった超硬基
体(ドリル)a‘〜h’をそれぞれ製造した。
‘〜h’の表面に、ホーニングを施し、アセトン中で超
音波洗浄し、乾燥した状態で、同じく図1に例示される
通常のアークイオンプレーティング装置に装入し、上記
実施例1と同一の条件で、表8、9に示される目標組成
および目標層厚をもった硬質被覆層を蒸着することによ
り、本発明被覆超硬工具としての本発明表面被覆超硬合
金製ドリル(以下、本発明被覆超硬ドリルと云う)1〜
16、および従来被覆超硬工具としての従来表面被覆超
硬合金製ドリル(以下、従来被覆超硬ドリルと云う)1
〜8をそれぞれ製造した。
ドリル1〜16および従来被覆超硬ドリル1〜8の硬質
被覆層についても、その厚さ方向中央部をオージェ分光
分析装置を用いて測定したところ、それぞれ表8、9に
示される目標X値と実質的に同じ値を示し、Al2O3相
の分布割合および厚さを、走査型電子顕微鏡を用いて断
面測定したところ、いずれも同じく表8、9に示される
目標割合および目標層厚と実質的に同じ平均値(5点測
定の平均値)を示した。
6および従来被覆超硬ドリル1〜8のうち、本発明被覆
超硬ドリル1〜6および従来被覆超硬ドリル1〜3につ
いては、 被削材:平面寸法:100mm×250厚さ:8mmの
JIS・SS400の板材、 切削速度:200m/min.、 送り:0.14mm/rev、 の条件での構造用鋼の湿式高速穴あけ切削加工試験(水
溶性切削油使用)、本発明被覆超硬ドリル7〜12よび
従来被覆超硬ドリル4〜6については、 被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:1
6mmのJIS・S45Cの板材、 切削速度:200m/min.、 送り:0.23mm/rev、 の条件での炭素鋼の湿式高速穴あけ切削加工試験(水溶
性切削油使用)、本発明被覆超硬ドリル13〜16およ
び従来被覆超硬ドリル7、8については、 被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:3
2mmのJIS・SCM440の板材、 切削速度:150m/min.、 送り:0.27mm/rev、 の条件での合金鋼の湿式高速穴あけ切削加工試験(水溶
性切削油使用)、をそれぞれ行い、いずれの湿式高速穴
あけ切削加工試験でも先端切刃面の逃げ面摩耗幅が0.
3mmに至るまでの穴あけ加工数を測定した。この測定
結果を表8、9にそれぞれ示した。
Al)Nの素地にAl2O3相が分散分布した組織を有す
る硬質被覆層を形成してなる本発明被覆超硬工具は、い
ずれも鋼の切削加工を高い発熱を伴う高速で行っても、
切刃に欠けやチッピングの発生なく、すぐれた耐摩耗性
を発揮するのに対して、硬質被覆層が(Ti,Al)N
だけで構成された従来被覆超硬工具においては、高速切
削加工では摩耗進行が速く、比較的短時間で使用寿命に
至ることが明らかである。上述のように、この発明の被
覆超硬工具は、各種の鋼や鋳鉄などの通常の条件での切
削加工は勿論のこと、特に高速切削加工でもすぐれた耐
摩耗性を示し、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮す
るものであるから、切削加工装置のFA化および高性能
化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低
コスト化に十分満足に対応できるものである。
である。
〜16および従来被覆超硬エンドミル1〜8のうち、本
発明被覆超硬エンドミル1〜6および従来被覆超硬エン
ドミル1〜3ついては、 被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:5
0mmのJIS・SKD61(硬さ:HRC52)の板
材、 切削速度:300m/min.、 半径方向切込み:0.5mm、 軸方向切込み:15mm、 テーブル送り:6m/分、 形態:乾式(エアーブロー)、 の条件での焼入れ鋼の高速側面切削加工試験、本発明被
覆超硬エンドミル7〜12および従来被覆超硬エンドミ
ル4〜6については、 被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:5
0mmのJIS・SCM440(硬さ:HB320)の
板材、 切削速度:300m/min.、 半径方向切込み:4mm、 軸方向切込み:0.5mm、 テーブル送り:2m/分、 形態:乾式(エアーブロー)、 の条件での合金鋼の高速側面切削加工試験、本発明被覆
超硬エンドミル13〜16、および従来被覆超硬エンド
ミル7〜8については、 被削材:平面寸法:100mm×250mm、厚さ:5
0mmのJIS・SKD11(硬さ:HRC60)の板
材、 切削速度:126m/min.、 軸方向切込み:0.1mm×10回での溝加工、 テーブル送り:1.2m/分、 形態:乾式(エアーブロー)、 の条件での焼入れ鋼の高速溝切削加工試験、をそれぞれ
行い、いずれの切削加工試験でも外周刃の逃げ面摩耗幅
が0.1mmに至るまでの切削長を測定した。この測定
結果を表6、7にそれぞれ示した。
径が26mm(超硬基体a〜c形成用)、20mm(超
硬基体d〜f形成用)、および8mm(超硬基体g、h
形成用)の3種の丸棒焼結体を用い、この3種の丸棒焼
結体から、研削加工にて、溝形成部の直径×長さがそれ
ぞれ4mm×13mm(超硬基体a‘〜c’)、8mm
×22mm(超硬基体d‘〜f’)、および16mm×
45mm(超硬基体g‘、h’)の寸法をもった超硬基
体(ドリル)a‘〜h’をそれぞれ製造した。
Claims (1)
- 【請求項1】 炭化タングステン基超硬合金基体または
炭窒化チタン系サーメット基体の表面に、組成式:(T
i1-XAlX)N(ただし、原子比で、Xは0.45〜
0.75を示す)を有するTiとAlの複合窒化物から
なる素地に、酸化アルミニウム相が、走査型電子顕微鏡
による組織観察で5〜40面積%の割合で分散分布した
組織を有する硬質被覆層を0.8〜15μmの平均層厚
で物理蒸着してなる高速切削ですぐれた耐摩耗性を発揮
する表面被覆超硬合金製切削工具。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007119859A (ja) * | 2005-10-28 | 2007-05-17 | Kyocera Corp | 表面被覆部材およびその製造方法および表面被覆部材を用いた切削工具 |
CN103046042A (zh) * | 2011-10-12 | 2013-04-17 | 河北农业大学 | 一种碳氮化钛/铁基合金复合涂层的反应氮弧熔涂制备方法 |
-
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- 2001-02-16 JP JP2001039550A patent/JP3475932B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN103046042A (zh) * | 2011-10-12 | 2013-04-17 | 河北农业大学 | 一种碳氮化钛/铁基合金复合涂层的反应氮弧熔涂制备方法 |
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JP3475932B2 (ja) | 2003-12-10 |
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