JP2002236123A - 着色顔料ペーストの選定方法、該方法を用いて得られるメタリック塗料 - Google Patents

着色顔料ペーストの選定方法、該方法を用いて得られるメタリック塗料

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JP2002236123A
JP2002236123A JP2001032389A JP2001032389A JP2002236123A JP 2002236123 A JP2002236123 A JP 2002236123A JP 2001032389 A JP2001032389 A JP 2001032389A JP 2001032389 A JP2001032389 A JP 2001032389A JP 2002236123 A JP2002236123 A JP 2002236123A
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color pigment
pigment paste
paint
color
coating
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JP2001032389A
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English (en)
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Yasukiyo Shiomi
泰清 塩見
Katsuhiko Kano
勝彦 加野
Kazuaki Sakoyama
和哲 迫山
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗料サーキュレーション中に起こる着色顔料
の微細な凝集に対して優れた安定性を有する着色顔料ペ
ーストを選定する方法、該方法を用いて得られるメタリ
ック塗料、該塗料を使用するメタリック塗膜の形成方
法、および該方法により得られるメタリック塗膜を提供
すること。 【解決手段】 少なくとも着色顔料、分散用樹脂と有機
溶剤とを含有する着色顔料ペーストに、前記着色顔料ペ
ーストに混ざることなく相分離する芳香族系有機溶剤を
着色顔料ペーストの固形分との比率が1:20〜3:1(重量
比)となるように混合し、着色顔料ペーストに含有され
ている着色顔料が着色顔料ペースト相から前記芳香族系
有機溶剤相に移行する程度を基準として、着色顔料の分
散安定性の良否を検査し、着色顔料ペーストを選定する
ことを特徴とする、着色顔料ペーストの選定方法、該方
法を用いて得られるメタリック塗料、該塗料を使用する
メタリック塗膜の形成方法、および該方法により得られ
るメタリック塗膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車車体等の塗
装に用いられるメタリックベース塗料用の分散安定性に
優れた着色顔料ペーストを選定する方法、その着色顔料
ペーストを用いて調製されたメタリックベース塗料およ
びそのメタリックベース塗料を用いたメタリック塗膜の
形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用上塗り塗膜として、光輝
性顔料を含有するいわゆるメタリックベース塗料を用い
て形成される塗膜が年々増えてきている。
【0003】このメタリックベース塗料を、工業的に塗
装ラインで使用する際には、塗料中の光輝性顔料や着色
顔料がタンク内あるいは搬送パイプ中に滞留し、沈澱す
るのを防止するために、ギアーポンプもしくはプランジ
ャーポンプを用いて、塗料を絶えず循環させる塗料サー
キュレーションが行なわれている。
【0004】しかしながら、この塗料サーキュレーショ
ンによって、特にポンプ付近で激しい乱流が発生するた
め、塗料内に均一に分散されていた着色顔料であって
も、鱗片状顔料への吸着を起こしたり、微小な凝集を起
こすことによって顔料粒子の大きさが変化し、色の変化
(以降「色飛び」と称す)が発生することがある。この
顔料凝集に有効な対策は示されていない。このような塗
膜の品質不良の原因となる塗料中の顔料の分散不良発生
の可能性を、最終製品としてのメタリック塗料を製造す
るまでの段階であらかじめチェックできるのであれば、
その技術は、塗料の開発、塗料の品質保証等の観点から
非常に有用であり、利用価値が大きい。
【0005】
【解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑みなさ
れたものであって、本発明の目的は、塗料サーキュレー
ション中に起こる着色顔料の微細な凝集を、メタリック
ベース塗料を調製する前に未然に判別する、着色顔料ペ
ーストの選定方法を提供すること、および該方法を用い
て得られるメタリック塗料、該塗料を使用するメタリッ
ク塗膜の形成方法、および該方法により得られるメタリ
ック塗膜を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は少な
くとも着色顔料、分散用樹脂と有機溶剤とを含有する着
色顔料ペーストに、前記着色顔料ペーストに混ざること
なく相分離する芳香族系有機溶剤を着色顔料ペーストの
固形分との比率が1:20〜3:1(重量比)となるように混
合し、着色顔料ペーストに含有されている着色顔料が着
色顔料ペースト相から前記芳香族系有機溶剤相に移行す
る程度を基準として、着色顔料の分散安定性の良否を検
査し、着色顔料ペーストを選定することを特徴とする、
着色顔料ペーストの選定方法、該方法を用いて得られる
メタリック塗料、該塗料を使用するメタリック塗膜の形
成方法、および該方法により得られるメタリック塗膜に
関する。
【0007】
【発明の実施の形態】着色顔料ペースト 本発明の選定方法の対象となる着色顔料ペーストは、着
色顔料、分散用樹脂、有機溶剤、必要により更に体質顔
料及び添加剤等を含有したものであり、その含有成分の
種類、その割合等は、最終製品の塗料に要求される特性
に合わせて適宜調整されるが、本発明の選定方法は、最
終的にメタリック塗料を製造するのに適した着色顔料ペ
ーストの選定に特に適しているものである。
【0008】一般に着色顔料ペーストは、着色顔料を一
種のみ含有し、他の着色顔料を含有することは調色時の
作業性等の観点からほとんど無いが、顔料分散性の観点
から二種以上の着色顔料を含有するものであってもよ
い。
【0009】上記着色顔料としては、例えば有機系のア
ゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔
料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン
系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノ
ン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナク
リドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料
等が挙げられ、無機系では黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガ
ラ、カーボンブラック、二酸化チタン等があげられる。
また、体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、クレー、タルク等を用いることができる。
【0010】着色顔料ペースト中の顔料濃度(PWC)と
しては、1.0〜80%であり、好ましくは、1.5〜60%であ
り、より好ましくは、2.0〜50%である。下限を下回る
と着色力の低下が起こることがあり、上限を越えると顔
料ペースト中における顔料分散性が低下することがあ
る。
【0011】着色顔料ペーストに使用される分散用樹脂
としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド
樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等、その種類、含有
割合等は、最終製品の塗料に要求される特性に合わせて
適宜調整されてよい。これらのなかでも、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂あるいはアルキド樹脂等が分散性
あるいは取扱い性の観点から好ましく用いられている。
また、これらの樹脂は、通常、着色顔料ペースト総重量
に対して10〜80重量%、好ましくは15〜70重量%含有さ
れる。上限を越えると顔料分散の効率が低下し、下限を
下回ると分散安定性が低下する。
【0012】着色顔料ペーストに使用される有機溶剤と
しては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エ
チレングリコールモノエチルエーテルアセテート(通称
「セロアセ」)等のエステル系有機溶剤、メトキシプロ
パノール(通称「MP」)、エトキシプロパノール(通
称「EP」)等のエーテル系有機溶剤、ブタノール、エ
タノール、プロピルアルコール等のアルコール系有機溶
剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン等のケトン系有機溶剤、トルエン、キシレン等の
芳香族系有機溶剤等が挙げられ、その種類、含有割合等
は、最終製品の塗料に要求される特性に合わせて適宜調
整されてよい。
【0013】着色顔料ペーストに含有される他の成分と
しては、耐ハジキ性や抵抗性を調整するための添加剤、
粘度を調整する為の粘性調整剤、あるいは顔料分散を促
進するための分散剤等を含有することができる。その種
類、含有割合等は、最終製品の塗料に要求される特性に
合わせて適宜調整されてよい。
【0014】着色顔料ペーストは、例えば、ガラス、ス
チール、ジルコン等の分散媒体が充填された分散機に上
記ペースト構成成分を所望の所定量入れ、着色顔料の粒
径が5μm以下になるまで、物理的に粉砕して得られるも
のである。
【0015】着色顔料ペーストの選定方法 本発明の着色顔料ペーストを選定する方法は、上記のよ
うにして得られる顔料ペーストを対象とすることができ
るが、着色顔料、分散用樹脂と有機溶剤を含有する組成
物段階で選定することができる。
【0016】本発明の選定方法では、少なくとも着色顔
料、分散用樹脂と有機溶剤とを含有する着色顔料ペース
トに、前記着色顔料ペーストに混ざることなく相分離す
る芳香族系有機溶剤を着色顔料ペーストの固形分との比
率が1:20〜3:1(重量比)となるように混合し、着色顔
料ペーストに含有されている着色顔料が着色顔料ペース
ト相から前記芳香族系有機溶剤相に移行する程度を基準
として、着色顔料の分散安定性の良否を検査し、特にメ
タリック塗料に適した着色顔料ペーストを選定すること
ができる。
【0017】上記着色顔料ペーストと、上記着色顔料ペ
ーストが混ざることなく相分離する芳香族系有機溶剤
を、前記着色顔料ペーストの固形分に対し、1:20〜3:1
(重量比)で混合する。上記範囲外では、着色顔料ペー
ストの使用量が多量になったり、移行する着色顔料の量
が少なすぎたりして、評価がし難くなる。好ましくは1:
10〜2:1であり、特に好ましくは1:8〜1:1である。
【0018】本発明で「混ざることなく」とは、着色顔
料ペーストと芳香族系有機溶剤を混合、攪拌した場合で
も、撹拌停止後、両成分が溶解しあい、一相の均一な状
態になることなく、一定の期間、例えば室温あるいは特
定の条件において、少なくとも二相に分離することを意
味する。
【0019】「顔料ペーストの固形分」とは、着色顔
料、分散用樹脂と有機溶剤を含有する段階のものである
場合、着色顔料と分散用樹脂の固形分とが選定対象の顔
料ペーストの固形分に相当する。
【0020】すなわち、上記芳香族系有機溶剤として、
着色顔料ペーストと混合、攪拌した場合でも、相分離す
る溶剤を用いる。好ましくは、着色顔料ペーストに含ま
れる分散用樹脂の溶解性パラメーター(以降「SPr値」
と称す。)より、1.5以上SP値が低い溶剤が好ましく、
より好ましくは2.0以上SP値が低い溶剤である。SP値の
差が、1.5未満であると、着色顔料ペーストと溶剤とを
混合した場合に、分散用樹脂のSP値と近くなるため樹脂
が溶解し、相分離しなくなることがあり、顔料の分散安
定性の判断がし難くなる。
【0021】具体的には、顔料成分が顔料分散ペースト
相から後述する芳香族系有機溶剤相へ移行する様子が目
視で観察できるような透明な容器、例えば、透明ガラス
製のサンプル瓶あるいは試験管等の容器を用いて、着色
顔料ペーストと芳香族系有機溶剤とを上記混合比で混合
・攪拌した後、層分離に必要な時間の間、例えば2〜8時
間程度静置する。次に、分離した芳香族系有機溶剤相
に、有機顔料成分すなわち着色成分が移行したかどうか
を、目視により判断する。
【0022】混合撹拌の条件は、例えば、ガラス棒等で
手撹拌しても、卓上バイブレーターあるいは卓上ディス
パー等を用いて、数十秒〜数分程度撹拌しても良い。
【0023】着色顔料ペーストに含有されている着色顔
料が着色顔料ペースト相から前記芳香族系有機溶剤相に
移行する程度を基準として、着色顔料の分散安定性の良
否を検査し、メタリック塗料に適した着色顔料ペースト
を選定する。着色顔料の着色顔料ペースト相から前記芳
香族系有機溶剤相への移行の程度は目視で捉えて、芳香
系有機溶剤層の着色顔料による着色の程度を目視で判断
する。芳香系有機溶剤に着色の程度が低いほど顔料分散
安定性に優れていおり、芳香系有機溶剤相が透明である
場合は、問題ないが、かすかに着色している、あるい
は、わずかに着色している程度であれば、着色顔料ペー
ストの分散安定性は良好であると判断して差し障りがな
く、メタリック塗料の着色顔料ペーストとしては適した
ものであると判断が容易にできる。なお、この選定方法
は特にメタリック塗料に使用する着色顔料ペーストの選
定に有効な方法であるが、この選定方法を使用して選定
された着色顔料ペーストは、メタリック塗料以外のソリ
ッド塗料等の塗料の着色顔料ペーストとして使用されて
も、最終的に得られる塗料の顔料分散安定性はきわめて
良好である。
【0024】上記芳香族系有機溶剤としては、特ソル
(SP値=7.83)、スワゾール310(エクソン社製、8.2
6、商品名)、スワゾール1000(エクソン社製、8.43、
商品名)、スワゾール1500(エクソン社製、8.37、商品
名)、S-100(エッソ社製、8.36、商品名)、S-150(エ
ッソ社製、8.44、商品名)等が挙げられる。但し、上記
溶剤のなかでも、上記着色顔料ペーストに含まれる分散
用樹脂のSPr値との差が、1.5以上のものを用いることが
好ましく、分散用樹脂のSPr値によって好適な溶剤は変
わる。すなわち、上記溶剤は、着色顔料ペーストに含ま
れる分散用樹脂が溶解せず、相分離させ易く、着色顔料
の相移行が、確認し易い。着色顔料の相移行及び着色顔
料ペーストの相分離にかかる時間短縮の観点から、好ま
しくはSP値が2.0以上の差を有する有機溶剤を用いる。
【0025】例えば、分散用樹脂のSPr値が10.0の場合
には、SP値が8.5以下の芳香族系有機溶剤を用いること
で分散安定性の評価はできるが、SP値が8.0以下の有機
溶剤を用いることがより好ましい。また、上記分散用樹
脂のSPr値が11.0の場合は、SP値が9.5以下の有機溶剤を
用いることができるが、9.0以下の有機溶剤を用いるこ
とがより好ましい。
【0026】尚、本明細書において、上記SP値は、溶解
性の尺度を示すもので、溶解パラメーター(solubility
parameter)の略号である。分散用樹脂のSPr値は、SU
H, CLARKE、J. Polymer Science, A-1、第5巻、1671-16
81頁(1967)記載の方法により算出することができ、例
えば試料中の溶剤を揮散させ、残留した樹脂固形分0.5g
を、ジオキサン10mlに再溶解し、n−ヘキサンおよび水
を用いて、濁度測定法により測定することができる。
【0027】更に、溶媒のSP値は、C.M.Hansen提唱の3
次元溶解性パラメーターを意味し、既知の値を用いた。
尚、上記分散用樹脂としては、特に限定されるものでは
なく、上述のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキ
ド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等
が利用でき、これらは後述するメタリックベース塗料の
塗膜形成性樹脂として用いられるものであってよい。
【0028】メタリックベース塗料 本発明のメタリック塗膜は、メタリックベース塗料を塗
布することにより形成される。このメタリックベース塗
料は、上述の選定方法で選定された着色顔料ペーストに
光輝性顔料、塗膜形成性樹脂および硬化剤を配合したも
のであり、必要に応じてその他の塗料成分を配合する。
必要に応じて配合するその他の塗料成分としては、粘性
制御剤、表面調整剤等がある。
【0029】上記メタリックベース塗料に含有される光
輝性顔料としては、形状は特に限定されず、更に着色さ
れていても良いが、例えば、平均粒径(D50)が2〜50μ
mであり、且つ厚さが0.1〜5μmであるものが好ましい。
また、平均粒径が10〜35μmの範囲のものが光輝感に優
れ、更に好適に用いられる。なお、ここで平均粒径は例
えば、光散乱法により測定したものである。
【0030】塗料の全固形分中の上記光輝性顔料の濃度
(PWC)は、一般に23.0%以下である。上限を越えると
塗膜外観が低下する。好ましくは、0.01〜21.0%であ
り、より好ましくは、0.01〜19.0%である。
【0031】上記光輝性顔料としては、金属または合金
等の無着色あるいは着色された金属性光輝材及びその混
合物、干渉マイカ粉、着色マイカ粉、ホワイトマイカ
粉、鱗片状グラファイトあるいは無色または有色の偏平
顔料等を挙げることができる。好ましくは、分散性に優
れ、透明感の高い塗膜を形成することができるため、金
属またはその合金等の無着色あるいは着色された金属製
光輝材及びその混合物である。その金属の具体例として
は、アルミニウム、酸化アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、
ニッケル、スズ等を挙げることができる。
【0032】上記光輝性顔料、着色顔料およびその他の
全ての顔料を含めたメタリックベース塗料中の固形分に
占める全顔料濃度(PWC)としては、0.1〜50%であり、
好ましくは、0.5〜40%であり、より好ましくは、1.0〜
30%である。上限を越えると塗膜外観が低下する。
【0033】また、上記メタリックベース塗料に含有さ
れる塗膜形成性樹脂としては、特に限定されるものでは
なく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹
脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が利用でき、これら
はアミノ樹脂および/またはブロックイソシアネート樹
脂等の硬化剤と組み合わせて用いられる。顔料分散性あ
るいは作業性の点から、アクリル樹脂および/またはポ
リエステル樹脂とメラミン樹脂との組合わせが好まし
い。
【0034】上記硬化剤の含有量は上記塗膜形成性樹脂
の固形分に対して20〜100重量%であることが好まし
い。含有量が20重量%を下回ると硬化性が不十分とな
り、100重量%を上回ると硬化膜が堅くなりすぎ脆くな
る。
【0035】上記メタリックベース塗料を水性型塗料と
して用いる場合には、塗膜形成性樹脂として、米国特許
第5151125号および同5183504号等に具体的に説明されて
いる塗膜形成性樹脂が用い得る。特に米国特許第518350
4号記載のアクリルアミド基、水酸基および酸基を有す
るアクリル樹脂とメラミン樹脂とを組み合わせた塗膜形
成性樹脂は仕上がり、外観性能の点で良好である。
【0036】また、上記メタリックベース塗料には、塗
装作業性を確保するために、粘性制御剤を添加すること
が好ましい。粘性制御剤は、ムラ及びタレのない塗膜を
良好に形成するために用いられるのであり、一般にチク
ソトロピー性を示すものを使用できる。
【0037】このようなものとしては例えば、脂肪酸ア
マイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミ
ノアマイドの燐酸塩等のポリアマイド系のもの、酸化ポ
リエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系
のもの、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等
の有機ベントナイト系のもの、ケイ酸アルミ、硫酸バリ
ウム等の無機顔料、顔料の形状により粘性が発現する偏
平顔料等、極性基の相互作用を利用する非架橋あるいは
架橋型の樹脂あるいは粒子を粘性制御剤として挙げるこ
とができる。
【0038】但し、塗膜化した場合に光沢、発色性に影
響を及ぼさないものが特に好ましく、特に好ましい粘性
制御剤としては、極性基の相互作用を利用する非架橋あ
るいは架橋型の樹脂あるいは粒子を挙げることができ
る。
【0039】上記粘性制御剤は、メタリックベース塗料
中の樹脂固形分100重量部に対して0.01〜15重量部であ
り、好ましくは0.1〜13重量部、より好ましくは0.2〜12
重量部の量で添加される。粘性制御剤の添加量が、15重
量部を越えると、外観が低下し、0.01重量部を下回ると
粘性制御効果が得られず、層間でなじみや反転をおこす
原因となる。
【0040】本発明で用いられるメタリックベース塗料
の塗装時の固形分量は、20〜70重量%であり、好ましく
は25〜50重量%である。上限を越えると、粘性が高すぎ
て塗膜外観が低下し、下限を下回ると粘性が低すぎてな
じみやムラ等の外観不良が発生する。また、この範囲外
では、塗料安定性が低下する。
【0041】上記メタリックベース塗料は、一般には溶
液型のものが好ましく用いられ、溶液型であれば有機溶
剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルジョン)、非
水分散型のいずれでもよい。
【0042】本発明に用いられる塗料組成物の製造に
は、後述するものを含めて、特に限定されず、顔料等の
配合物をニーダーまたはロール等を用いて混練、分散す
る等の当業者に周知のいずれの方法をも用い得る。
【0043】クリヤー塗膜 本発明のメタリック塗膜の形成方法では、クリヤー塗膜
を形成する為にクリヤー塗料を使用する。このクリヤー
塗料として、塗膜形成性樹脂および硬化剤等を含有する
クリヤー塗料を利用できる。上記塗膜形成性樹脂として
は、特に限定されるものではなく、アクリル樹脂、ポリ
エステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を利用す
ることができ、これらはアミノ樹脂および/またはブロ
ックイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用い
られる。透明性あるいは耐酸エッチング性等の点から、
アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂とアミノ
樹脂との組合わせ、あるいはカルボキシル基とエポキシ
基との硬化系のアクリル樹脂および/またはポリエステ
ル樹脂等を用いることが好ましい。
【0044】上記クリヤー塗料中の塗装時の固形分量
は、20〜60重量%であり、好ましくは25〜55重量%であ
る。
【0045】尚、クリヤー塗料は、通常メタリックベー
ス塗料を塗装後、未硬化の状態で塗装するため、層間の
なじみや反転、あるいは、タレ等の防止のため、上述の
メタリックベース塗料で記載した粘性制御剤を含有する
ことが好ましい。粘性制御剤の添加量は、クリヤー塗料
組成物の樹脂固形分100重量部に対して0.01〜10重量部
であり、好ましくは0.02〜8重量部、より好ましくは0.0
3〜6重量部の量で添加される。粘性制御剤の量が、10重
量部を越えると、外観が低下し、0.01重量部を下回ると
粘性制御効果が得られず、タレ等の不具合をおこす原因
となる。
【0046】本発明で用いるクリヤー塗料の塗料形態と
しては、有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマ
ルジョン)、非水分散型、粉体型のいずれでもよく、ま
た必要により、硬化触媒、表面調製剤等を配合すること
ができる。
【0047】メタリック塗膜の形成方法 本発明のメタリック塗膜の形成方法においては、下塗り
塗膜および中塗り塗膜を形成した基材上に、まず上記で
得られたメタリックベース塗料を塗布し、メタリックベ
ース塗膜を形成する。
【0048】基材 基材としては、種々の基材、例えば金属、ガラス、プラ
スチック、発泡体等に用いうるが、特にカチオン電着塗
装可能な金属製品に対し好適に使用できる。上記金属製
品としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜
鉛等およびこれらの金属を含む合金及び鋳造物が挙げら
れる。具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バ
ス等の自動車車体および部品が挙げられる。これらの金
属は予めリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理されたもの
が特に好ましい。
【0049】下塗り塗膜 基材上に形成される下塗り塗膜は、電着塗料により形成
することができる。この電着塗料としては、カチオン型
及びアニオン型を使用できるが、カチオン型電着塗料組
成物が防食性において優れた積層塗膜を与える。
【0050】中塗り塗膜 中塗り塗膜は、下地欠陥を隠蔽し、上塗り塗装後の表面
平滑性を確保(外観向上)し、塗膜物性(耐衝撃性、耐
チッピング性等)を付与するためのものである。中塗り
塗膜を形成するために用いられる中塗り塗料は、有機
系、無機系の各種着色顔料、体質顔料等、塗膜形成性樹
脂および硬化剤等を含む。
【0051】上記中塗り塗料に用いられる着色顔料とし
ては、例えば上述のメタリックベース塗料で記載した有
機系の顔料、及び無機系の顔料が挙げられる。また、体
質顔料、更に、アルミニウム粉、マイカ粉等の扁平顔料
を併用しても良い。
【0052】標準的には、カーボンブラックと二酸化チ
タンを主要顔料としたグレー系中塗り塗料が用いられ
る。更に、上塗り塗色と明度あるいは色相等を合わせた
セットグレーや各種の着色顔料を組み合わせた、いわゆ
るカラー中塗り塗料を用いることもできる。
【0053】上記中塗り塗料に用いられる塗膜形成性樹
脂としては、特に限定されるものではなく、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、
ウレタン樹脂等が利用でき、これらはアミノ樹脂および
/またはブロックイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み
合わせて用いられる。顔料分散性あるいは作業性の点か
ら、アルキド樹脂および/またはポリエステル樹脂とア
ミノ樹脂との組合わせが好ましい。
【0054】中塗り塗膜は、下塗りされた基材上へ塗装
された後、未硬化の状態でも用い得るが、硬化させる場
合には、硬化温度は100〜180℃、好ましくは120〜160℃
で焼き付けることにより高い架橋度の硬化塗膜を得られ
る。上限を越えると、塗膜が固く脆くなり、下限未満で
は硬化が充分でない。硬化時間は硬化温度により変化す
るが、120℃〜160℃で、10〜30分が適当である。
【0055】メタリックベース塗膜 上記、中塗り塗膜の上に、メタリックベース塗料を塗布
するが、メタリックベース塗料を自動車車体に塗装する
場合は、作業性及び外観を高めるために静電塗装機を用
いる。この静電塗装機の例としては、例えば「リアクト
ガン」等と言われるエアー静電スプレー塗装、或いは、
通称「μμ(マイクロマイクロ)ベル」、「μ(マイク
ロ)ベル」あるいは「メタベル」等と言われる回転霧化
式の静電塗装機が挙げられる。これらによる多ステージ
塗装、好ましくは2〜3ステージ塗装が挙げられ、エア
ー静電スプレー塗装と、回転霧化式の静電塗装機等とを
組み合わせた塗装方法等により塗膜を形成することもで
きる。
【0056】但し、本発明で形成されるメタリックベー
ス塗膜は、一種の塗料の多ステージ塗装により形成され
るメタリックベース塗膜と、二つ以上の塗料、たとえば
マイカ顔料を含むマイカベース塗料と、アルミニウム等
の光輝材を含むメタリックベース塗料との組み合わせに
より形成された複層塗膜であっても構わない。
【0057】本発明で用いられるメタリックベース塗料
により形成されるメタリックベース塗膜の乾燥膜厚は所
望の用途により変化するが、多くの場合5〜35μmが有用
である。上限を越えると、鮮映性が低下したり、塗装時
にムラあるいは流れ等の不具合が起こることがあり、下
限を下回ると、下地が隠蔽できず膜切れが発生する。
【0058】すなわち、本発明の塗膜形成方法で形成す
るメタリックベース塗膜自身は約100〜180℃の温度で加
熱硬化させることができるが、本発明の方法では、塗装
ラインでのコストダウン等の経済性の観点からクリヤー
塗膜とを組合わせ、同時に加熱硬化させるのが好まし
い。
【0059】その場合には、未硬化のメタリックベース
塗膜の上に、ウエットオンウエット塗装でクリヤー塗料
を塗布し、クリヤー塗膜を形成した後に、積層された塗
膜を硬化させる。
【0060】但し、上記メタリックベース塗料を水性型
塗料で用いる場合には、良好な仕上がりの塗膜を得るた
めに、クリヤー塗料を塗装する前に、それぞれ予め塗膜
を60〜100℃で2〜10分間加熱しておくことが望ましい。
【0061】クリアー塗膜 上記メタリックベース塗膜層を形成した後に塗装される
クリヤー塗膜は、上記メタリックベース塗膜層に含まれ
る光輝性顔料に起因する凹凸、チカチカ等を平滑にし、
保護するために形成される。塗装方法として具体的に
は、先に述べたμμベル、μベル等の回転霧化式の静電
塗装機により塗膜形成することが好ましい。
【0062】上記クリヤー塗料により形成されるクリヤ
ー塗膜の乾燥膜厚は、一般に10〜70μm程度が好まし
く、より好ましくは20〜60μm程度である。上限を越え
ると、塗装時にワキあるいはタレ等の不具合が起こるこ
ともあり、下限を下回ると、下地の凹凸が隠蔽できな
い。
【0063】上記クリヤー塗膜の塗装後、塗膜を硬化さ
せる硬化温度は100〜180℃、好ましくは120〜160℃に設
定することで高い架橋度の硬化塗膜を得られる。上限を
越えると、塗膜が固く脆くなり、下限未満では硬化が充
分でない。硬化時間は硬化温度により変化するが、120
℃〜160℃で10〜30分が適当である。
【0064】本発明で形成される積層塗膜の膜厚は、多
くの場合30〜300μmであり、好ましくは50〜250μmであ
る。上限を越えると、冷熱サイクル等の膜物性が低下
し、下限を下回ると膜自体の強度が低下する。
【0065】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細
に説明するが、本発明は以下の実施例により限定される
ものではない。尚、以下に於いて「部」とあるのは「重
量部」を意味する。
【0066】製造例 〔塗膜形成性樹脂の製造1〕窒素導入管、撹拌機、温度
調節機、滴下ロートおよび冷却管を備えた1Lの反応容
器にキシレン80部及び酢酸ブチル20部を仕込んで、温度
を120℃とした。また、スチレン5部、メチルメタクリ
レート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10.4
部、エチルアクリレート44.4部、エチルメタクリレート
7部、メタクリル酸2.3部およびt−ブチルパーオキシ
−2−ヘキサノエート2部を混合することによりモノマ
ー溶液を別途調製した。このモノマー溶液を反応容器に
撹拌下、温度を120℃に維持しつつ3時間かけて添加し
た後、1時間撹拌を継続した。数平均分子量21000、水
酸基価45および酸価15mgKOH/gのアクリル樹脂1を得
た。尚、得られたアクリル樹脂1のSP値は11.0であっ
た。
【0067】〔塗膜形成性樹脂の製造2〕窒素導入管、
撹拌機、温度調節機、滴下ロートおよび冷却管を備えた
1Lの反応容器にキシレン80部及び酢酸ブチル20部を仕込
んで、温度を120℃とした。スチレン30部、エチルメタ
クリレート37.6部、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト16.2部、エチルヘキシルアクリレート13.8部、メタク
リル酸2.3部およびt−ブチルパーオキシ−2−ヘキサ
ノエート2部を混合することによりモノマー溶液を別途
調製した。このモノマー溶液を反応容器に撹拌下、3時
間かけて添加した後、1時間撹拌を継続した。数平均分
子量20000、水酸基価70および酸価15mgKOH/gのアクリル
樹脂2を得た。尚、得られたアクリル樹脂2のSP値は1
0.3であった。
【0068】実施例1 〔着色顔料ペースト1の調製〕上述の製造例で得られた
アクリル樹脂1を20部(固形分)、シャニンブルー5206
(大日精化社製青色顔料)15部、酢酸ブチル20部および
キシレン45部を混合し、ガラスビーズが充填された卓上
SGミルを用いて、顔料の粒度が5μm以下になるまで分
散した。得られた着色顔料ペーストは、透明感のある均
一な青色をしたペースト状であった。
【0069】〔着色顔料ペーストの分散安定性評価〕ま
た、サンプル管にこの着色顔料ペーストとS-150(エク
ソン社製芳香族系有機溶剤、SP値=8.44)とを、着色顔
料ペーストの固形分と有機溶剤の重量比が1/5の混合
比になるように入れ、攪拌した後、5時間静置した。着
色顔料ペーストのS-150溶液は、完全な二相に分離し
た。この有機溶剤(S-150)相である上澄み部分の色相
を目視で観察したが、かすかに着色する程度であった。
分散安定性の評価を下記基準に従い、ランク付けを行
い、結果を表1に示した。「○」、「○△」、「△」で
あれば、着色顔料ペーストの分散安定性は良好でありメ
タリック塗料の顔料ペーストとしては適したものであ
る。顔料分散安定性評価基準 ○ ;溶剤相は透明である ○△;溶剤相は、かすかに着色している △ ;溶剤相は、わずかに着色している × ;溶剤相は、顔料と同色に着色している。
【0070】実施例2〜5 〔着色顔料ペースト2〜5の調製〕表1に示す配合で、上
述の着色顔料ペーストの調製1と同様にして、各有機顔
料を含有する着色顔料ペースト2〜5を作成した。 〔着色顔料ペーストの分散安定性評価〕得られた着色顔
料ペーストを上述の着色顔料ペースト1と同様に、顔料
分散安定性の評価を実施した。但し、上記分散用樹脂と
してアクリル樹脂2を用いた場合は、顔料分散安定性の
評価にあたって芳香族系有機溶剤として、スワゾール31
0(エクソン社製、SP値=8.26、商品名)を用いた。結果
を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】実施例6 〔メタリックベース塗料1の調製〕キシレン10部に、イ
リオジン103W2(メルクジャパン社製マイカ顔料)0.2部
およびシラリックF60-50W3(メルクジャパン社製マイカ
顔料)0.9部を分散した後、上記調製例で得られた着色
顔料ペースト1〜3及び下記に示すその他の成分を添加
し、下記に示す塗料配合(固形分中の顔料濃度PWC=8.2
%)になるように、紫色系のメタリックベース塗料1を
調製した。尚、樹脂は固形分で表示した。
【0073】 イリオジン103W2(メルクジャパン社製マイカ顔料) 0.2部 シラリックF60-50W3(メルクジャパン社製マイカ顔料) 0.9部 シャニンブルー5206(大日精化社製青色顔料) 0.5部 モナーク1400(コロンビアカーボン社製黒色顔料) 0.7部 シンカシャマゼンタRT-343D(チバガイギー社製赤色顔料) 1.1部 先の製造例のアクリル樹脂1 5.0部 先の製造例のアクリル樹脂2 18.0部 ユーバン20N60(三井東圧社製ブチル化メラミン樹脂、固形分60%)15.0部 アクリル系表面調整剤 0.2部 架橋樹脂粒子(日本ペイント社製粘性付与剤、固形分20%) 2.3部 酢酸ブチル 8.6部 n−ブタノール 11.0部 キシロール 30.5部トルエン 6.0部 合計 100.0部
【0074】〔メタリック塗膜の形成〕リン酸亜鉛処理
した厚さ0.8cm、20cm×30cmのダル鋼板に、カチオン電
着塗料であるパワートップU-50(日本ペイント社製)
を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装し、160℃で
30分間焼き付けた。次に、得られた電着塗膜上に、グレ
ー色の中塗り塗料であるオルガTO-870グレー(日本ペイ
ント社製、ポリエステル・メラミン樹脂系塗料)を、乾
燥膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で20
分間焼き付け下地塗膜を作成した。
【0075】得られた中塗り塗膜上に、上記で調製した
紫色系メタリックベース塗料1を、乾燥膜厚が15μmと
なるように、2分間隔の2ステージで「メタベル」(ラ
ンズバーグ社製エアー静電塗装機)により塗装した。次
に7分間のセッテイングの後、クリヤー塗料であるスー
パーラック O-360クリヤー(日本ペイント社製、メラミ
ン硬化型アクリル樹脂系塗料)を、乾燥膜厚が30μmと
なるように、μμベルにより回転霧化型静電塗装した。
140℃で20分間焼き付けた。得られたメタリック塗膜
は、深み感、透明感、光輝感という視点で、かなり優れ
たものであった。
【0076】〔メタリックベース塗料の循環時の顔料分
散安定性評価〕塗料の循環時に起こる有機着色顔料の分
散安定性(塗料サーキュレーション性)を評価するた
め、塗装粘度に調整された紫色系メタリックベース塗料
1を4L用意した。圧縮比1:3のアネスト岩田社製プラン
ジャーポンプ「PPS-102」を使用し、エアー圧0.5kg/cm2
で、24時間循環させた。
【0077】次に、上記循環前の塗料と循環後の塗料と
を、それぞれ手吹きスプレーガン(「ワイダー88」アネ
スト岩田塗装機社製)を用いて、エアー圧4kg/cm2で、
上述した方法で同様に作成した下地塗膜上に塗装した。
更に、上述のクリヤー塗料を、それぞれのメタリックベ
ース塗膜上に塗布し、メタリック塗膜を作成した。
【0078】得られた塗膜を硬化させた後、目視により
比較し、評価したが、色相差は認められなかった。更
に、ミノルタ社製色差計「CR-200」により色差を測定し
たところ、△L=-0.06、△a=-0.15、△b=+0.12、
△E=0.2と色相の変化は小さく、目視で問題のないレ
ベルであった。
【0079】比較例1 〔メタリックベース塗料2の調製〕上記実施例6で用い
た着色顔料ペーストを用いる代わりに、下記の着色顔料
を含有する調製例1、4及び5の着色顔料ペースト1、4及
び5を用いて、下記の顔料重量比になるように塗料調製
し、紫色系のメタリックベース塗料2を調製した。その
他の塗料成分は、実施例6と同様に添加した。
【0080】 〔塗料100部中の顔料組成〕 シャニンブルー5206(大日精化社製青色顔料) 0.5部 ラーベン5000ウルトラ3パウダー(コロンビアカーボン社製黒色顔料) 0.7部 ホスタパームバイオレットRLNFVP336(クラリアント社製紫色顔料) 1.1部
【0081】〔メタリックベース塗料の循環時の顔料分
散安定性評価〕上記実施例6のメタリックベース塗料1
をメタリックベース塗料2に変更して、実施例6と同様
にメタリック塗膜を作成し、同様に分散安定性(塗料サ
ーキュレーション性)を評価した。
【0082】調製直後のメタリックベース塗料を用いて
得られたメタリック塗膜は、深み感、透明感、光輝感と
いう視点で、優れたものであった。しかし、塗料に含有
される有機着色顔料の分散安定性を評価するためプラン
ジャーポンプで循環させた塗料を用いて作成した塗膜
は、目視評価において、かなり色相に差のあるものであ
った。ミノルタ社製色彩色差計「CR-200」により色差を
測定したところ、△L=+0.22、△a=-0.46、△b=+
1.83、△E=1.9と色相の変化は大きく、目視でも青味
が抜けているのが顕著であった。尚、色差データの示す
色変化の方向は、赤味、青味がマイナスであるため、紫
色顔料の色相が抜けていることが明白である。但し、安
定性が悪い「ラーベン5000ウルトラ3パウダー」を用い
た黒色顔料ペーストの影響は、評価した塗色が濃色であ
ったため色差への影響が比較的少なかったものと思われ
る。
【0083】以上の結果から、本発明に従う実施例の積
層塗膜は、着色顔料が起こす微細な凝集を抑制すること
ができるため、色飛びも発生せず、深み感と透明感のあ
る塗膜を作製することができた。
【0084】本発明で用いたメタリックベース塗料は、
塗料のサーキュレーション配管等での循環時に起こる有
機着色顔料の凝集、すなわち、有機着色顔料の凝集に起
因すると考えられる色飛びが起こらず、優れたメタリッ
クベース塗膜を形成することができる。
【0085】
【発明の効果】本発明は、塗料サーキュレーション中に
起こる着色顔料の微細な凝集を、メタリックベース塗料
を調製する前に未然に判別する、着色顔料ペーストの選
定方法該方法を用いて得られるメタリック塗料、該塗料
を使用するメタリック塗膜の形成方法、および該方法に
より得られるメタリック塗膜を提供した。
【0086】本発明の選定方法は、分散された着色顔料
が、着色顔料ペースト相から上記有機溶剤相に移行する
か否かを目視により確認して、着色顔料ペーストの顔料
分散安定性を判断するので、熟練した者でなくても容易
に判断することができる。
【0087】上記方法により選定された着色顔料ペース
トを使用したメタリック塗料は、顔料の分散安定性に優
れ、それから得られる塗膜は色飛びがなく、深み感、透
明感、光輝感に優れている。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも着色顔料、分散用樹脂と有機
    溶剤とを含有する着色顔料ペーストに、前記着色顔料ペ
    ーストに混ざることなく相分離する芳香族系有機溶剤を
    着色顔料ペーストの固形分との比率が1:20〜3:1(重量
    比)となるように混合し、着色顔料ペーストに含有され
    ている着色顔料が着色顔料ペースト相から前記芳香族系
    有機溶剤相に移行する程度を基準として、着色顔料の分
    散安定性の良否を検査し、着色顔料ペーストを選定する
    ことを特徴とする、着色顔料ペーストの選定方法。
  2. 【請求項2】 芳香族系有機溶剤が、前記分散用樹脂の
    溶解性パラメーターより1.5以上低い溶解性パラメータ
    ー有する請求項1記載の着色顔料ペーストの選定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法により選
    定された着色顔料ペーストおよび光輝性顔料を含むメタ
    リックベース塗料。
  4. 【請求項4】 下塗り塗膜および中塗り塗膜を形成した
    基材上に請求項3に記載のメタリックベース塗料および
    クリヤー塗料を順次塗布して形成する、メタリック塗膜
    の形成方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の方法により形成されるメ
    タリック塗膜。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005313168A (ja) * 2004-04-26 2005-11-10 E I Du Pont De Nemours & Co 特殊効果多層被覆方法
JP2017109358A (ja) * 2015-12-16 2017-06-22 株式会社Uacj プレコートアルミニウム材
WO2023116737A1 (zh) * 2021-12-23 2023-06-29 老虎表面技术新材料(苏州)有限公司 测试效果粉末涂料组合物在静电喷涂过程中应用稳定性的方法

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