JP2002232183A - 電磁波シールドシート、およびその製造方法 - Google Patents

電磁波シールドシート、およびその製造方法

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JP2002232183A
JP2002232183A JP2001028526A JP2001028526A JP2002232183A JP 2002232183 A JP2002232183 A JP 2002232183A JP 2001028526 A JP2001028526 A JP 2001028526A JP 2001028526 A JP2001028526 A JP 2001028526A JP 2002232183 A JP2002232183 A JP 2002232183A
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conductive
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pressure
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Ichiro Suehiro
一郎 末▲ひろ▼
Yuji Hotta
祐治 堀田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造で充分な電磁波シールド性能を備
え、軽量でかつ対象物への設置が容易であり、原材料お
よび製造コストの低い電磁波シールドシート、およびそ
の好適な製造方法を提供する。 【解決手段】 互いに略平行に粘着剤層上に固着された
複数本の直線状の導通線を有する複数枚のシート材と、
主として導電性材料からなる接地用部材とを備え、シー
ト材が互いに積層され、かつ各導通線と接地用部材とが
電気的に接続されてなる電磁波シールドシートであっ
て、該導通線が、積層方向からみたときに互いに交差す
るように配置され、かつ各シート材における導通線間の
間隔が、該導通線の径の2倍〜500倍である電磁波シ
ールドシート、およびその好適な製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁波シールドシ
ート、およびその好適な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクスの急激な発展に
より、電子・電気機器を発生源とする電磁波による障害
に、多くの関心が払われるようになってきている。電磁
波障害として挙げられる問題の一つとして、直接に人体
に及ぼす影響がある。この電磁波が人体に及ぼす影響
は、現段階では因果関係は明確ではないが、安全である
とは断言できない以上、人体が電磁波に晒されることを
防ぐに越したことはない。
【0003】また他には、電磁波による電子・電気機器
の誤動作やノイズの問題がある。コンピュータやパーソ
ナル通信が普及し、情報化社会となった近年において
は、電磁波障害による電子・電気機器の誤動作やノイズ
を減ずることが強く要求されている。さらに、ここ数年
の携帯電話の著しい普及に伴ない、携帯電話使用時の電
磁波による周辺機器への電磁干渉の問題が社会問題化し
ており、たとえば、病院で使用中の点滴ポンプの突然の
停止、体内にペースメーカーを植え込んだ人の不調は、
近くにおける携帯電話の使用に起因することがある。
【0004】このような電磁波障害を未然に防ぐ手段と
して、従来から様々なものが知られている。たとえばシ
ールド法は、金属板、金属箔、金属蒸着・スパッタリン
グ層、金属メッキ層、金属溶射層、導電性メッシュや導
電性繊維編織物、導電性塗膜、導電性プラスチックなど
の導電性材料による電磁波の吸収または反射能力を利用
する方法である。
【0005】シールド法では、鉄板や銅板などの金属板
を使用して、電磁波を遮蔽することが最もよく行われ
る。この方法は高い電磁波シールド効果をもたらすが、
実際にはそんなに高いシールド効果を得る必要のない場
合が多く、また重量が重くなる、柔軟性のないことによ
り凹凸やカーブのある加工に手間がかかる、さらにこの
ように加工性が悪いことから生産性が低いなどの欠点が
ある。
【0006】柔軟性があり、軽く、薄く、加工性のよい
素材を用いた電磁波シールドの例としては、金属箔の使
用、金属蒸着・スパッタリング層の設置などが挙げられ
る。金属箔の代表的な使用例は、金属箔/粘着剤層/剥
離性シートの層構成を有するテープである。金属箔とし
ては銅箔やアルミニウム箔が挙げられる。粘着剤層につ
いては、導電性のものを用いる場合と、非導電性のもの
を用いる場合とがある。金属蒸着・スパッタリング層
は、プラスチックフィルムに金属蒸着またはスパッタリ
ングを施したものであり、ITOなどの透明金属を用い
れば、透光性を得ることができる。また透明金属を用い
ずとも、金属蒸着・スパッタリング層をエッチングによ
り多孔化すれば、透光性が得られる。しかしながらこれ
らは、製造工程が複雑であり、かつ高コストであるとい
う問題がある。また、対象物への適用(設置)がしにく
く、そのための加工も施しにくい。
【0007】また導電性メッシュや導電性繊維編織物
も、柔軟性があり、軽く、薄く、凹凸やカーブの加工性
のよい素材として好適に使用できる。これらは金属被覆
した繊維(導電性繊維)を用いて得られたものであり、
導電性繊維の編織の程度を粗くすることによって、透光
性を有するように形成できる。このような導電性メッシ
ュおよび導電性繊維編織物は、低コストで、製造工程も
簡易であり、さらには対象物への適用(設置)も容易で
ある。しかしながらこれら導電性メッシュや導電性繊維
編織物では、電磁波シールド効果が不充分であるという
問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、簡単
な構造で充分な電磁波シールド効果を備え、軽量でかつ
対象物への設置が容易であり、原材料および製造コスト
の低い電磁波シールドシート、およびその好適な製造方
法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成す
るに至った。本発明は、以下のとおりである。 (1)互いに略平行に粘着剤層上に固着された複数本の
直線状の導通線を有する複数枚のシート材と、主として
導電性材料からなる接地用部材とを備え、シート材が互
いに積層され、かつ各導通線と接地用部材とが電気的に
接続されてなる電磁波シールドシートであって、該導通
線が、積層方向からみたときに互いに交差するように配
置され、かつ各シート材における導通線間の間隔が、該
導通線の径の2倍〜500倍であることを特徴とする電
磁波シールドシート。 (2)二枚のシート材が、それぞれの導通線を挟んで、
粘着剤層にて互いに接合されてなることを特徴とする上
記(1)に記載の電磁波シールドシート。 (3)導通線が、金属材料または絶縁性樹脂材料からな
る被覆層を有することを特徴とする上記(1)または
(2)に記載の電磁波シールドシート。 (4)導通線が、シート材の積層方向からみたときに互
いに60°〜120°の角度を成して交差するように配
置されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のい
ずれかに記載の電磁波シールドシート。 (5)粘着剤層を有する粘着シートを、該粘着剤層が外
側となるように芯材に巻き付けてなる巻線用芯材を形成
し、この巻線用芯材の外周に導通線を螺旋状に巻き付け
て、導通線が互いに略平行でありかつ各導通線間が導通
線の径の2倍〜500倍の間隔を有するように粘着剤層
上に固着されたシート材を形成するシート材形成工程
と、前記シート材形成工程を経て得られた複数枚のシー
ト材を、積層方向からみたときに導通線が互いに交差す
るように積層させ、かつ導通線を主として導電性材料か
らなる接地用部材に電気的に接続させる積層・接続工程
とを少なくとも含むことを特徴とする電磁波シールドシ
ートの製造方法。 (6)積層・接続工程において、複数枚のシート材を、
積層方向からみたときに導通線が互いに60°〜120
°の角度を成して交差するように積層することを特徴と
する上記(5)に記載の電磁波シールドシートの製造方
法。 (7)芯材に巻き付ける粘着シートが両面粘着シートで
あることを特徴とする上記(5)または(6)のいずれ
かに記載の電磁波シールドシートの製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の好ましい一例の電磁波シールド
シート1を簡略化して示す上面図であり、図1(b)は
図1(a)の切断面線IB−IBからみた簡略化した断
面図である。本発明の電磁波シールドシートは、基本的
に、複数枚のシート材(図1の態様では、二枚のシート
材2,3)と、接地用部材4とを備える。本発明におけ
るシート材の枚数は、目的とする電磁波シールドシート
に応じて適宜選択されるが、軽量化、ならびに後述する
導通線および接地用部材間の電気的接続の簡便さの観点
からは、二枚〜三枚であるのが好ましく、図1に示すよ
うに二枚であるのが特に好ましい。また本発明の電磁波
シールドシートの形状は、特には限定されず、設置する
対象物の形状などに応じて、積層方向A(シートの厚み
方向と同じ方向)からみた形状が方形状、円形状、三角
形状、多角形状など、適宜の形状に選択できる。図1に
は、積層方向Aからみた上記形状が方形状の場合の電磁
波シールドシート1を示している。
【0011】本発明におけるシート材2,3は、それぞ
れ粘着剤層5,6と、該粘着剤層5,6上にそれぞれ固
着された複数本の直線状の導通線7,8とを少なくとも
有する。該導通線7,8は、同一の粘着剤層5,6上に
固着されたもの同士で互いに略平行に並ぶ。各シート材
に固着される各導通線間の間隔、言い換えれば、各導通
線7間の間隔および各導通線8間の間隔は、導通線7,
8の径の2倍〜500倍に選ばれるのが好ましく、4倍
〜100倍に選ばれるのがより好ましく、4倍〜40倍
に選ばれるのが特に好ましい。上記各導通線間の間隔が
このように選ばれることによって、電磁波のシールド効
果が高くなる。
【0012】本発明において、シート材2,3の積層の
され方は、積層方向からみたときに導通線7,8が互い
に交差するように配置され、かつ後述するように導通線
7,8が接地用部材4に電気的に接続され得るならば特
には限定されず、導通線7,8を共にシート材2,3で
挟み込むようにしてもよいし、導通線7,8が共に外面
に露出する(すなわち導通線が固着されるのと反対側の
面同士でシート材2,3を接合する)ようにしてもよい
し、あるいは導通線7,8のうちいずれか一方が外面に
露出し、残る他方がシート材間に挟み込まれるようにし
てもよい。中でも、図1に示すようにシート材2,3
が、それぞれの導通線7,8を挟んで、粘着剤層5,6
にて互いに接合されてなるように積層されるのが、高い
電磁波シールド効果を得る点から特に好ましい。
【0013】また本発明の電磁波シールドシート1にお
いては、上記導通線7,8がいずれも接地用部材4に電
気的に接続される。該接地用部材4は、電磁波シールド
シート1の使用時には接地され、これにより導通線7,
8が接地用部材4を介して接地され、各導通線7,8の
両端は同電位となる。
【0014】上述のような本発明の電磁波シールドシー
トは、簡単な構造かつ軽量であるとともに、充分な電磁
波シールド効果を備えるように実現できる。また、良好
な変形性を有しているため、シールド対象物への適用が
容易であり、後述の原材料およびその製造におけるコス
トが従来のものと比較して格段に低い。
【0015】なお本明細書において「充分な電磁波シー
ルド効果を有する」とは、たとえば、近傍電磁界でのシ
ールド効果評価方法であるKEC(Kansai El
ectronic industry develop
ment Center)法によってたとえばシールド
ボックス及びスペクトラムアナライザ装置(アンリツ
製)を用いて測定される電磁波シールド効果が、1MH
z〜1GHzの範囲において、30dB以上であること
をいう。
【0016】図2は、本発明における導通線の好ましい
一例を簡略化して示す斜視図である。本発明の電磁波シ
ールドシート1における導通線7,8は、導通性を有す
る導線を少なくとも有するならば、特には限定されな
い。導線を形成する材料としては、従来公知の各種金属
線が使用できるが、電気伝導性の点からは、金、銅、
銀、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、鉄−ニッケ
ル合金、銅−ニッケル合金、ニッケル−クロム合金など
の材料から選ばれる少なくとも一種からなる金属線を用
いるのがよい。上述した中でも特に、低コストでかつ電
磁波シールド効果の高い銅線を用いるのが望ましい。ま
た上記導線は、単線のほか、集束線、撚り線、平箔線で
あってもよい。本発明における導通線7,8は、該導線
が金属材料または絶縁性樹脂材料からなる被覆層にて被
覆されているものを用いるのが好ましい。図2では、た
とえば導通線7が、導線9と、該導線9を被覆してなる
被覆層10を備える例を示している。
【0017】被覆層10を形成する金属材料としては、
たとえばニッケル、スズ、クロムなどが挙げられ、中で
も特にニッケルが好ましい。この場合、被覆層10は、
たとえば電解めっき、無電解めっきなどの方法によって
好適に形成される。このように金属材料で形成されてな
る被覆層を有することによって、貼り合せ時の導通線間
の接触性が良好で金属材料表面の光反射が抑制された電
磁波シールドシートを実現できる。該金属材料による被
覆層の厚みは、1μm〜5μmであるのが好ましい。
【0018】被覆層10を形成する絶縁性樹脂材料とし
ては、たとえばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェ
ノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、
フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂など
の熱可塑性樹脂が挙げられ、中でも特にポリカルボジイ
ミド樹脂が好ましい。この場合、被覆層10は、たとえ
ば導線を線引きしながら樹脂被覆ダイスを通過させる方
法などによって好適に形成される。このように絶縁性樹
脂で形成されてなる被覆層を有することで金属線表面の
光の反射を抑制したシールドシートを実現できる。該絶
縁性樹脂材料による被覆層の厚みは、1μm〜10μm
が好ましい。
【0019】導通線7,8の断面形状は、円形、多角形
またはその他の形状など、特には限定されないが、製造
方法が容易でコストが安く、かつ入手が容易である理由
から、通常は円形に形成される。導通線7,8の径も特
には限定されないが、後述する本発明の製造方法にて電
磁波シールドシートを製造する場合には、巻線用芯材2
1に巻き付け可能な径であればよい。なお従来の銅箔を
用いた電磁波シールドシートと同程度の電磁波シールド
効果を有し、かつ軽量化された電磁波シールドシートを
得たい場合には、該径が100μm以下であることが望
まれる。取扱い性およびコストの観点からは、径が18
μm〜100μmの導通線7,8を用いるのが好まし
い。また径が8μm〜12μmの径の導通線を用いて、
可視光透過性の高い粘着剤を用いることによって、可視
光透過性の高い電磁波シールドシートを実現するように
してもよい。なお本明細書でいう導通線の「径」は、該
導通線がその断面形状が円形でない場合には、導通線の
軸線方向に垂直な方向における最大長さを指すものとす
る。
【0020】本発明の電磁波シールドシートにおいて、
各シート材に固着される導通線の本数は、特に限定され
ないが、たとえば各シート材が100mm角の直方形状
で実現される場合、シート材1枚あたり100本〜10
00本であるのが好ましく、200本〜500本である
のがより好ましい。該導通線の本数が100本未満であ
ると、電磁波シールド効果が不充分となる虞があるため
好ましくない。また該導通線の本数が1000本を超え
ると、格子(メッシュ)開口率が小さくなり過ぎてしま
い、加工しにくくなる虞があるため好ましくない。
【0021】また本発明におけるシート材2,3は、積
層方向Aからみて導通線7,8が互いに60°〜120
°の角度、好ましくは図1に示すように90°の角度で
交差するように配置されるように、積層されるのが好ま
しい。導通線7,8の成す角度が60°未満であったり
120°を超えたりすると、電磁波シールド効果が充分
に得られない虞があるため好ましくない。
【0022】本発明のシート材2,3は、上述のように
粘着剤層5,6と、該粘着剤層5,6上に互いに略平行
に固着される複数本の直線状の導通線7,8とを少なく
とも有していればよく、それ以外の構成は特には限定さ
れない。本発明においては、各シート材2,3の導通線
7,8を除くシート状の部分(以下、「粘着シート状部
分11,12」と呼ぶことがある。)が、それぞれ粘着
剤層5,6のみからなる単層であってもよく、また粘着
剤層5,6以外に基材層など他の層を有するような複数
層であってもよい。無論、片方の粘着シート状部分が単
層、残る片方の粘着シート状部分が複数層で実現されて
もよい。図1には、粘着シート状部分11,12が、そ
れぞれ粘着剤層5,6と基材層13,14とからなる態
様を示している。
【0023】粘着剤層5,6を形成する粘着剤として
は、たとえばシリコーン系、ポリイソブチレン系、スチ
レン−ブタジエン系などの合成ゴム系粘着剤、たとえば
天然ゴム系などの天然樹脂系粘着剤、たとえばアクリル
系、ビニル系などの合成樹脂系粘着剤、たとえばポリエ
チレン系、ジエン系、ポリ酢酸ビニル系などのホットメ
ルト形粘着剤、たとえばアクリル系などのエマルジョン
形粘着剤などが挙げられる。
【0024】粘着剤層5,6の厚みは、導通線7,8を
充分に固着し得るならば特に限定はないが、導通線7,
8の径の0.5倍〜4倍であるのが好ましく、1倍〜4
倍であるのがより好ましい。このように粘着剤層5,6
の厚みを選ぶことによって、粘着剤層間への気泡の混入
を防止するというような効果がある。
【0025】粘着シート状部分11,12が複数層であ
る場合、基材層13,14を形成する材料としては、た
とえば紙や高分子樹脂フィルム、板ガラスなどが例示さ
れる。この場合、粘着剤層5,6を形成する粘着剤は、
基材層13,14を形成する材料との組合せに応じて、
上述した中から適宜選択される。
【0026】本発明の電磁波シールドシートを透光性を
有するように実現する場合、少なくとも粘着剤として可
視光透過性が70%以上であって、耐候性および耐熱性
に優れる透明性粘着剤を使用する必要がある。このよう
な透明性粘着剤としては、上記にて例示した各粘着剤な
どが例示され、中でも特にアクリル系粘着剤を用いるの
が望ましい。
【0027】粘着シート状部分が複数層の構成である場
合には、上記透明性粘着剤に加えて、可視光透過性が9
0%以上の透明性基材をさらに有する必要がある。この
ような透明性基材としては、たとえばポリエチレンテレ
フタレートやトリアセテートセルロースなどが例示され
る。
【0028】このような透光性を有する電磁波シールド
シートは、電磁波をシールドすべく該電磁波シールドシ
ートを設置する対象物からの光を透過させることが可能
である。したがってコンピュータの端末表示部分、プラ
ズマディスプレィその他の表示装置における表示部分の
電磁波シールドに好適に使用できる。
【0029】本発明における接地用部材4は、金属線、
金属薄板、導電性ペースト、半田、導電性粘着剤などを
用いて実現される。中でも特に、金属線および/または
金属薄板にて実現されるのが好ましい。該接地用部材に
用いられる金属材料としては、良好な電気伝導性を有す
る点から、たとえば銅、アルミニウム、ステンレス、ニ
ッケルなどの材料から選ばれる少なくとも一種が挙げら
れる。使用される金属線の径、金属薄板の厚みは、用途
に応じて設定すればよい。図1には、たとえば接地用部
材4が金属薄板で形成された場合を示している。
【0030】本発明の電磁波シールドシート1を製造す
る方法としては、特に限定されないが、たとえば次のよ
うな本発明の製造方法によって製造される。本発明の電
磁波シールドシートの製造方法は、基本的に、シート
材形成工程と、積層・接続工程とを含有する。図3
は、本発明の電磁波シールドシート1の製造方法を段階
的に簡略化して示す図であり、図3(a)はシート材
形成工程を示し、図3(b)は積層・接続工程を示し
ている。
【0031】まずシート材形成工程では、粘着剤層2
4を有する粘着シート22を、該粘着剤層24が外側と
なるように芯材23に巻き付けてなる巻線用芯材21を
形成する。用いる粘着シート22の構成としては、目的
とする電磁波シールドシートの粘着シート状部分の態様
に応じて、適宜選択すればよい。芯材23としては、そ
の大きさに特に限定はなく、作製したいシート材の大き
さに応じて適宜選択される。また芯材23の形状も、導
通線を巻き付け可能な形状であれば特に限定されない
が、円滑に巻き付けが行える円柱形または円筒形で実現
されるのが好ましい。
【0032】上記巻線用芯材21の外周に、図3(a)
に示すように、導通線を螺旋状に巻線する。該巻線にお
ける導通線の間隔(互いに隣り合う導通線間の直線距
離)は、導通線の径の2倍〜500倍となるように行
う。該巻線は、従来公知のたとえばコイル巻線機を使用
することで、好適に行える。
【0033】このようにして導通線を巻線した巻線用芯
材から、本発明におけるシート材を形成する。該シート
材の形成は、粘着剤層上に導通線を固着させた状態の粘
着シートを芯材23から剥離したものをそのままシート
材としてもよいし、該剥離させたものからたとえばトム
ソン打ち抜き装置などを用いて適宜の大きさ、形状に切
り出してシート材としてもよい。このようにして、目的
とする電磁波シールドシートに応じた態様の複数枚のシ
ート材を形成する。
【0034】なお本発明の製造方法において用いられる
粘着シート22としては、両面に粘着剤層を有するもの
を使用してもよい。両面の粘着シートを使用すること
で、電磁波シールドシートに容易に粘着機能を付加し、
被着体に容易に貼り付けることができるというような利
点がある。但し、該両面の粘着シートを使用する場合に
は、巻線後に芯材23から剥がし易いように、粘着シー
トを巻き付ける前の芯材23の表面に剥離シートを予め
巻き付けておく必要がある。
【0035】続く積層・接続工程では、で作製した
複数枚のシート材の積層を行い、かつ導通線の接地用部
材4への電気的接続を行う工程である。本工程では、た
とえば、まず複数枚のシート材の粘着剤層上に略平行に
固着された複数本の導通線の両端に、接地用部材4を電
気的に接続する。該電気的接続は、具体的には、接地用
部材4がたとえば金属線、金属薄板などで実現される場
合には、これを導通線の両端に固定することで行われ、
接地用部材4がたとえば導電性ペースト、導電性粘着剤
などで実現される場合には、これを導通線の両端に塗布
することで行われる。
【0036】続いて、複数枚のシート材を互いに積層さ
せる。該積層は、積層方向Aからみて、導通線が互いに
60°〜120°の角度を成して交差するように配置し
て行われるのが好ましい。図3(b)には、導通線7,
8が互いに略垂直に配置されるように配置してなる二枚
のシート材2,3を、該導通線7,8を挟み込んで粘着
剤層5,6で互いに接合して積層してなる例を示してい
る。各シート材は、粘着剤層にて接合されてもよいし、
たとえば粘着剤層を介在せずに積層された部分などに
は、従来公知の適宜の接着剤などを用いて接合してもよ
い。なお各シート材間を強固に接合する点からは、積層
方向Aに沿って0.098MPa〜0.98MPaの押
圧力を加えることが好ましい。以上の各工程を経た本発
明の製造方法によって、上述したような構造の電磁波シ
ールドシートを製造できる。
【0037】なお上述の例では積層・接続工程におい
て、導通線と接地用部材との電気的接続の作業を、シー
ト材の積層作業の前に行うものとして説明したが、これ
らの作業の順は同時に行ってもよい(すなわち、シート
材の積層の際の押圧によって導通線および接地用部材間
の電気的接続を行う)し、あるいは逆の順番であっても
よい。すなわち本発明の製造方法は、シート材を積層し
た後にでも各導通線を接地用部材に電気的に接続させる
ことが可能な態様であるならば、シート材の積層後に、
導通線と接地用部材との電気的接続を行ってもよい。
【0038】このような本発明の製造方法は、簡易な工
程かつ低い製造コストで上述した本発明の電磁波シール
ドシートを製造することができ、該電磁波シールドシー
トの製造方法として、特に好適である。
【0039】なお本発明の電磁波シールドシートは、上
述した本発明の製造方法によって得られたものには限定
されない。
【0040】本発明の電磁波シールドシートは、導通線
が導電材の役割を果たすので、粘着剤層に導電性を付与
する必要性はないが、たとえば電磁波の吸収効果を付加
するために、金属粉、金属短繊維、カーボンブラック、
イオン性高分子などの導電性材料やフェライト磁性粉な
どの磁性材料を混入してなる粘着剤にて粘着剤層を形成
することで、粘着剤層に導電性を付与することも可能で
ある。
【0041】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではな
い。 実施例1 円柱状(直径:200mm)の芯材に、予め剥離シート
(MRN38、ダイアホイル社製)を巻き付け、その上
から厚さ100μmの耐熱性両面アクリル系粘着シート
(No.5919、日東電工製)を粘着剤層が外側とな
るように巻き付け、巻線用芯材を形成した。この巻線用
芯材の外周に、コイル巻線機(HPW−02、日特エン
ジニアリング社製)を用いて、導通線を200μmの間
隔で螺旋状に巻き付けた。導通線としては、50μm径
の裸銅線(古河電工製)を用いた。巻線後、導通線が固
着された粘着シートを芯材から剥離し、この剥離したも
のから、500本の直線状の導通線が互いに略平行に粘
着剤層上に固着された100mm角のシート材を二枚切
り出した。95mm角に打ち抜いた開口を有する外形1
10mm角の枠状の銅薄板を、接地用部材として各シー
ト材の各導通線に電気的に接触するように、各シート材
の粘着剤層端部にそれぞれ配置した。このような二枚の
シート材を、各シート材の導通線が互いに略垂直に配置
して、導通線および接地用部材を挟み込んで積層し、
0.098MPaの押圧力を加えて粘着剤層で互いに接
合して、図1に示したような本発明の電磁波シールドシ
ートを作製した。このようにして作製した電磁波シール
ドシートを、銅薄板を接地させて、シールドボックス及
びスペクトラムアナライザ装置(アンリツ製)を用い
て、KEC法による電磁波シールド効果測定を行ったと
ころ、1MHz〜1GHzの範囲において、40dB程
度であった。
【0042】実施例2 粘着シートとして厚さ25μmの光透過性アクリル系粘
着シート(No.5919、日東電工製)を用い、導通
線として25μm径の裸銅線(古河電工製)を用い、巻
き付け時の導通線の間隔を300μmとした以外は、実
施例1と同様にして、透光性を有する電磁波シールドシ
ートを作製した。なお各シート材の粘着剤層上に固着さ
れた導通線の本数は、333本であった。このようにし
て得られた電磁波シールドシートに、実施例1と同様に
してKEC法による電磁波シールド効果測定を行ったと
ころ、1MHz〜1GHzの範囲において、40dB程
度であった。
【0043】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、簡単な構造で充分な電磁波シールド性能を備
え、軽量でかつ対象物への設置が容易であり、原材料お
よび製造コストの低い電磁波シールドシート、およびそ
の好適な製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の好ましい一例の電磁波シ
ールドシート1を簡略化して示す上面図であり、図1
(b)は図1(a)の切断面線IB−IBからみた簡略
化した断面図である。
【図2】本発明における導通線の好ましい一例を簡略化
して示す斜視図である。
【図3】本発明の電磁波シールドシート1の製造方法を
段階的に簡略化して示す図であり、図3(a)はシー
ト材形成工程を示し、図3(b)は積層・接続工程を
示す。
【符号の説明】
1 電磁波シールドシート 2,3 シート材 4 接地用部材 5,6 粘着剤層 7,8 導通線

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに略平行に粘着剤層上に固着された
    複数本の直線状の導通線を有する複数枚のシート材と、
    主として導電性材料からなる接地用部材とを備え、シー
    ト材が互いに積層され、かつ各導通線と接地用部材とが
    電気的に接続されてなる電磁波シールドシートであっ
    て、 該導通線が、積層方向からみたときに互いに交差するよ
    うに配置され、かつ各シート材における導通線間の間隔
    が、該導通線の径の2倍〜500倍であることを特徴と
    する電磁波シールドシート。
  2. 【請求項2】 二枚のシート材が、それぞれの導通線を
    挟んで、粘着剤層にて互いに接合されてなることを特徴
    とする請求項1に記載の電磁波シールドシート。
  3. 【請求項3】 導通線が、金属材料または絶縁性樹脂材
    料からなる被覆層を有することを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の電磁波シールドシート。
  4. 【請求項4】 導通線が、シート材の積層方向からみた
    ときに互いに60°〜120°の角度を成して交差する
    ように配置されていることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の電磁波シールドシート。
  5. 【請求項5】 粘着剤層を有する粘着シートを、該粘着
    剤層が外側となるように芯材に巻き付けてなる巻線用芯
    材を形成し、この巻線用芯材の外周に導通線を螺旋状に
    巻き付けて、導通線が互いに略平行でありかつ各導通線
    間が導通線の径の2倍〜500倍の間隔を有するように
    粘着剤層上に固着されたシート材を形成するシート材形
    成工程と、 前記シート材形成工程を経て得られた複数枚のシート材
    を、積層方向からみたときに導通線が互いに交差するよ
    うに積層させ、かつ導通線を主として導電性材料からな
    る接地用部材に電気的に接続させる積層・接続工程とを
    少なくとも含むことを特徴とする電磁波シールドシート
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 積層・接続工程において、複数枚のシー
    ト材を、積層方向からみたときに導通線が互いに60°
    〜120°の角度を成して交差するように積層すること
    を特徴とする請求項5に記載の電磁波シールドシートの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 芯材に巻き付ける粘着シートが両面粘着
    シートであることを特徴とする請求項5または6のいず
    れかに記載の電磁波シールドシートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012035556A (ja) * 2010-08-10 2012-02-23 Kurabo Ind Ltd 導電性繊維強化プラスチック及びその製造方法、並びにそれを用いた電磁波シールド材

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