JP2002230746A - 磁化パターン形成方法及び磁化パターン形成装置並びに磁気ディスク及び磁気記録装置 - Google Patents

磁化パターン形成方法及び磁化パターン形成装置並びに磁気ディスク及び磁気記録装置

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JP2002230746A
JP2002230746A JP2001030102A JP2001030102A JP2002230746A JP 2002230746 A JP2002230746 A JP 2002230746A JP 2001030102 A JP2001030102 A JP 2001030102A JP 2001030102 A JP2001030102 A JP 2001030102A JP 2002230746 A JP2002230746 A JP 2002230746A
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magnetic
magnetic disk
pattern
energy beam
mask
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Yuzo Seo
雄三 瀬尾
Yoshiyuki Ikeda
祥行 池田
Takeshi Kuriwada
健 栗和田
Toshihiko Kuriyama
俊彦 栗山
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 局所加熱と外部磁界印加を組み合わせて磁気
ディスクに磁化パターンを形成する技術において、微細
な磁化パターンを効率よく更に精度よく形成することが
できるようにする。 【解決手段】 基板上に磁性層を有してなる磁気ディス
ク1に所望の磁化パターンを形成する磁化パターン形成
装置であって、エネルギ線を照射する照射光学系63
と、所望の磁化パターンと同一又は相似形のパターンを
有するマスク12と、磁性層を加熱すべくマスクを介し
て入射されるエネルギ線11を磁気ディスクに照射して
マスクパターンを磁気ディスクに等倍率又は所定の縮小
倍率で投影する投影光学系64と、磁気ディスクの一部
領域に外部磁界を印加する磁界印加手段62と、磁気デ
ィスクの一部領域毎にエネルギ線が照射されるようにエ
ネルギ線の照射位置を変える制御手段68とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスクに用
いられる磁化パターン形成方法及び磁化パターン形成装
置並びに磁気ディスク及び磁気記録装置に関し、特に、
浮上型/接触型磁気ヘッドで記録再生を行うに適した、
磁気ディスクの磁化パターン形成方法及び磁化パターン
形成装置並びに磁気ディスク及び磁気記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置(ハードディスクドラ
イブ)に代表される磁気記録装置はコンピュータなどの
情報処理装置の外部記憶装置として広く用いられ、近年
は動画像の録画装置やセットトップボックスのための記
録装置としても使用されつつある。
【0003】磁気ディスク装置(ハードディスクドライ
ブ)は、通常、磁気ディスクを1枚或いは複数枚を串刺
し状に固定するシャフトと、該シャフトにベアリングを
介して接合された磁気ディスクを回転させるモータと、
記録及び/又は再生に用いる磁気ヘッドと、該ヘッドが
取り付けられたアームと、ヘッドアームを介してヘッド
を磁気記録媒体上の任意の位置に移動させることのでき
るアクチュエータとからなり、記録再生用ヘッドが磁気
記録媒体上を一定の浮上量で移動している。
【0004】また、浮上型ヘッドの他に媒体との距離を
より縮めるために、コンタクトヘッド(接触型ヘッド)
の使用も提案されている。磁気ディスク装置に搭載され
る磁気記録媒体は、一般にアルミニウム合金などからな
る基板の表面にNiP層を形成し、所要の平滑化処理、
テキスチャリング処理などを施した後、その上に、金属
下地層、磁性層(情報記録層)、保護層、潤滑層などを
順次形成して作製されている。あるいは、ガラスなどか
らなる基板の表面に金属下地層、磁性層(情報記録
層)、保護層、潤滑層などを順次形成して作製されてい
る。磁気記録媒体には面内磁気記録媒体と垂直磁気記録
媒体とがある。面内磁気記録媒体は、通常、長手記録が
行われる。
【0005】磁性層上の保護層は浮上する磁気ヘッドの
衝突や接触型ヘッドとの摺動による磁性層の損傷を防
ぎ、さらに潤滑層は磁気ヘッドと媒体との間に潤滑性を
付与する。本構成により浮上型/接触型磁気ヘッドでの
記録再生が可能となる。浮上型/接触型ヘッドの使用に
より磁性層とヘッドとの距離を小さくできるため、他方
式のヘッドを用いる光ディスクや光磁気ディスクなどに
比べ格段に高密度の情報記録が可能となる。
【0006】磁気記録媒体の高密度化は年々その速度を
増しており、これを実現する技術には様々なものがあ
る。例えば磁気ヘッドの浮上量をより小さくしたり磁気
ヘッドとしてGMRヘッドを採用したり、また磁気ディ
スクの記録層に用いる磁性材料を保磁力の高いものにす
るなどの改良や、磁気ディスクの情報記録トラックの間
隔を狭くするなどが試みられている。例えば100Gb
it/inch2を実現するには、トラック密度は10
0ktpi以上が必要とされる。
【0007】各トラックには、磁気ヘッドを制御するた
めの制御用磁化パターンが形成されている。例えば磁気
ヘッドの位置制御に用いる信号や同期制御に用いる信号
である。情報記録トラックの間隔を狭めてトラック数を
増加させると、データ記録/再生用ヘッドの位置制御に
用いる信号(以下、「サーボ信号」と言うことがあ
る。)もそれに合わせてディスクの半径方向に対して密
に、すなわちより多く設けて精密な制御を行えるように
しなければならない。
【0008】また、データ記録に用いる以外の領域、即
ちサーボ信号に用いる領域や該サーボ領域とデータ記録
領域の間のギャップ部を小さくしてデータ記録領域を広
くし、データ記録容量を上げたいとの要請も大きい。こ
のためにはサーボ信号の出力を上げたり同期信号の精度
を上げる必要がある。従来広く製造に用いられている方
法は、ドライブ(磁気記録装置)のヘッドアクチュエー
タ近傍に穴を開け、その部分にエンコーダ付きのピンを
挿入し、該ピンでアクチュエータを係合し、ヘッドを正
確な位置に駆動してサーボ信号を記録するものである。
しかしながら、位置決め機構とアクチュエータの重心が
異なる位置にあるため、高精度のトラック位置制御がで
きず、サーボ信号を正確に記録するのが困難であった。
【0009】一方、レーザービームを磁気ディスクに照
射してディスク表面を局所的に変形させ物理的な凹凸を
形成することで、凹凸サーボ信号を形成する技術も提案
されている。しかし、凹凸により浮上ヘッドが不安定と
なり記録再生に悪影響を及ぼす、凹凸を形成するために
大きなパワーをもつレーザービームを用いる必要があり
コストがかかる、凹凸を1ずつ形成するために時間がか
かる、といった問題があった。
【0010】このため新しいサーボ信号形成法が提案さ
れている。一例は、高保磁力の磁性層を持つマスターデ
ィスクにサーボパターンを形成し、マスターディスクを
磁気記録媒体に密着させるとともに、外部から補助磁界
をかけて磁化パターンを転写する方法である(USP
5,991,104号)。他の例は、媒体を予め一方向
に磁化しておき、マスターディスクに高透磁率で低保磁
力の軟磁性層をパターニングし、マスターディスクを媒
体に密着させるとともに外部磁界をかける方法である。
軟磁性層がシールドとして働き、シールドされていない
領域に磁化パターンが転写される[特開昭50−602
12号公報(USP3,869,711号)、特開平1
0−40544号公報(EP915456号)、Digest
of InterMag 2000,GP−06、参照]。
【0011】本技術はマスターディスクを用い、強力な
磁界によって磁化パターンを媒体に形成している。一般
に磁界の強度は距離に依存するので、磁界によって磁化
パターンを記録する際には、漏れ磁界によってパターン
境界が不明瞭になりやすい。そこで、漏れ磁界を最小に
するためにマスターディスクと媒体を密着させることが
不可欠である。そしてパターンが微細になるほど、隙間
なく完全に密着させる必要があり、通常、両者は真空吸
着などにより圧着される。
【0012】また、媒体の保磁力が高くなるほど転写に
用いる磁界も大きくなり、漏れ磁界も大きくなるため、
更に完全に密着させる必要がある。従って上記技術は、
圧着しやすい可撓性のフロッピー(登録商標)ディスク
や、あまり強く密着しなくてよい保磁力の低い磁気ディ
スクには適用しやすいが、硬質基板を用いた、高密度記
録用の保磁力が3000Oe以上もあるような磁気ディ
スクへの適用が非常に難しい。
【0013】即ち、硬質基板の磁気ディスクは、密着の
際に微小なゴミ等を挟み込み媒体に欠陥が生じたり、或
いは高価なマスターディスクを痛めてしまう恐れがあっ
た。特にガラス基板の場合、ゴミの挟み込みで密着が不
十分になり磁気転写できなかったり、磁気記録媒体にク
ラックが発生したりするという問題があった。また、特
開昭50−60212号公報(USP3,869,71
1号)に記載されたような技術では、ディスクのトラッ
ク方向に対して斜めの角度を有したパターンは、記録は
可能であるが信号強度の弱いパターンしか作れないとい
う問題があった。保磁力が2000〜2500Oe以上
の高保磁力の磁気記録媒体に対しては、転写の磁界強度
を確保するために、マスターディスクのパターン用強磁
性体(シールド材)は、パーマロイあるいはセンダスト
等の飽和磁束密度の大きい軟磁性体を使わざるを得な
い。
【0014】しかし、斜めのパターンでは、磁化反転の
磁界はマスターディスクの強磁性層が作るギャップに垂
直方向となってしまい所望の方向に磁化を傾けることが
できない。その結果、磁界の一部が強磁性層に逃げてし
まい磁気転写の際に所望の部位に十分な磁界がかかりに
くく、十分な磁化反転パターンを形成できず高い信号強
度が得にくくなってしまう。こうした斜めの磁化パター
ンは、再生出力が、トラックに垂直のパターンに対して
アジマスロス以上に大きく減ってしまう。
【0015】これに対して、特願2000−13460
8号及び特願2000−134611号の明細書に記載
された技術は、局所加熱と外部磁界印加を組み合わせて
磁気記録媒体に磁化パターンを形成する。例えば、媒体
を予め一方向に磁化しておき、パターニングされたマス
クを介してエネルギ線等を照射し局所的に加熱し、該加
熱領域の保磁力を下げつつ外部磁界を印加し、加熱領域
に外部磁界による記録を行い、磁化パターンを形成す
る。
【0016】本技術によれば、加熱により保磁力を下げ
て外部磁界を印加するので、外部磁界が媒体の保磁力よ
り高い必要はなく、弱い磁界で記録できる。そして、記
録される領域が加熱領域に限定され、加熱領域以外には
磁界が印加されても記録されないので、媒体にマスク等
を密着させなくても明瞭な磁化パターンが記録できる。
このため圧着によって媒体やマスクを傷つけることな
く、媒体の欠陥を増加させることもない。
【0017】また、本技術では斜めの磁化パターンも良
好に形成できる。従来のようにマスターディスクの軟磁
性体によって外部磁界をシールドする必要がないためで
ある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】このように、特願20
00−134608号及び特願2000−134611
号の明細書に記載された磁化パターン形成技術は、各種
の微細な磁化パターンを効率よく精度よく形成でき、し
かも媒体やマスクを傷つけることなく媒体の欠陥を増加
させることもない優れた技術である。
【0019】本技術においては、マスクのパターニング
精度により磁化パターンの精度がある程度決まってしま
うため、本技術を有効に利用するにはマスクの微細加工
を精度良く行う必要がある。磁化パターンがさらに微細
化し1〜2μm或いはサブミクロン単位となると、加工
精度の限界からマスクが精度良くパターニングできず、
またマスクと媒体とのアライメント精度が悪化し、十分
な精度の磁化パターンが得られないおそれがある。
【0020】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、局所加熱と外部磁界印加を組み合わせて磁気
記録媒体に磁化パターンを形成する技術において、微細
な磁化パターンを効率よく更に精度よく形成することが
できるようにした、磁化パターン形成方法及び磁化パタ
ーン形成装置を提供し、ひいてはより高密度記録が可能
な磁気ディスク及び磁気記録装置を短時間かつ安価に提
供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明の
磁化パターン形成方法は、基板上に磁性層を有してなる
磁気ディスクに、マスクを介してエネルギ線を照射して
磁性層を加熱すると同時に、磁性層の加熱部分に外部磁
界を印加して、磁気ディスクに所望の磁化パターンを形
成する磁化パターン形成方法であって、エネルギ線を照
射する照射光学系によって照射位置を変えてマスク及び
磁気ディスクの一部領域毎にエネルギ線を照射して、マ
スクに形成されたパターンを等倍率又は所定の縮小倍率
で投影して磁気ディスクに所望の磁化パターンを形成す
ることを特徴としている。
【0022】また、一部領域が、磁気ディスクの半径方
向の略全長にわたって延びる領域であり、エネルギ線の
照射位置を磁気ディスク及びマスクの周方向へ向けて移
動させるのが好ましい(請求項2)。さらに、一部領域
が、磁気ディスクの周方向及び半径方向の一部を占める
領域であり、エネルギ線の照射位置を磁気ディスク及び
マスクの周方向及び半径方向へ向けて移動させるのが好
ましい(請求項3)。
【0023】また、一部領域が略扇形形状であるのが好
ましい(請求項4)。さらに、エネルギ線が、スポット
状エネルギ線であり、一部領域が、スポット状エネルギ
線の照射領域に相当する大きさの領域であるのが好まし
い(請求項5)。また、照射光学系が、回転可能なホモ
ジナイザを備え、ホモジナイザを回転させることでエネ
ルギ線の照射位置を磁気ディスクの周方向へ移動させる
のが好ましい(請求項6)。
【0024】さらに、一部領域が、磁気ディスクの半径
方向の一部を占め、磁気ディスクの周方向の全周に延び
る領域であり、エネルギ線の照射位置を磁気ディスク及
びマスクの半径方向へ向けて移動させるのが好ましい
(請求項7)。また、照射光学系が、エネルギ線の照射
位置を変える照射位置移動手段を備え、照射位置移動手
段によってエネルギ線の照射位置を磁気ディスクの半径
方向へ移動させるのが好ましい(請求項8)。
【0025】さらに、エネルギ線が、一部領域を一括照
射しうるものであるのが好ましい(請求項9)。また、
エネルギ線が、スポット状エネルギ線であり、一部領域
にエネルギ線を照射すべくスポット状エネルギ線を走査
させるのが好ましい(請求項10)。さらに、マスクパ
ターンが、磁気ディスクに形成すべき全ての磁化パター
ンを拡大したものとして構成され、マスクパターンの全
てを磁気ディスクに投影しうる投影光学系を用いて投影
するものとして構成するのが好ましい(請求項11)。
【0026】また、磁気ディスクに、外部磁界を印加し
て磁性層を予め所望の方向に一様に磁化し、エネルギ線
を照射して磁性層を加熱すると同時に、磁性層の加熱部
分に外部磁界を印加して所望の方向とは逆方向に磁化し
て、磁気ディスクに所望の磁化パターンを形成するのが
好ましい(請求項12)。さらに、磁気ディスク及びマ
スクを固定したままの状態で、照射光学系によってエネ
ルギ線の照射位置を変えるのが好ましい(請求項1
3)。
【0027】また、磁気ディスクの一部領域に外部磁界
を印加するのが好ましい(請求項14)。さらに、磁気
ディスクの一部領域に外部磁界を印加する磁界印加手段
を備え、エネルギ線の照射位置を変える毎に、エネルギ
線の照射位置に対応する位置に磁界印加手段を移動させ
るのが好ましい(請求項15)。
【0028】また、磁気ディスクが、直径65mm以下
であるのが好ましい(請求項16)。さらに、マスク
が、マスクパターンに応じて形成され、エネルギ線を透
過しうる透過部を備えるのが好ましい(請求項17)。
また、マスクと磁気ディスクとの間に遮光板を介在させ
るのが好ましい(請求項18)。
【0029】さらに、磁化パターンの最小幅が、2μm以
下であるのが好ましい(請求項19)。また、磁化パタ
ーンが、記録再生用ヘッドの位置制御を行うためのサー
ボパターン又はサーボパターン記録用の基準パターンを
含むことが好ましい(請求項20)。
【0030】請求項21記載の本発明の磁気ディスク
は、請求項1〜20のいずれか1項に記載の磁化パター
ン形成方法により磁化パターンを形成されてなることを
特徴としている。請求項22記載の本発明の磁気記録装
置は、磁気ディスクと、磁気ディスクを記録方向に駆動
する駆動部と、記録部と再生部とからなる磁気ヘッド
と、磁気ヘッドを磁気ディスクに対して相対的に移動さ
せる移動手段と、磁気ヘッドヘの記録信号の入力と磁気
ヘッドからの再生信号の出力とを行うための記録・再生
信号処理手段とを有する磁気記録装置であって、磁気デ
ィスクが、請求項1〜20のいずれか1項に記載の磁化
パターン形成方法により磁化パターンを形成されてなる
ことを特徴としている。
【0031】請求項23記載の本発明の磁化パターン形
成装置は、基板上に磁性層を有してなる磁気ディスクに
所望の磁化パターンを形成する磁化パターン形成装置で
あって、エネルギ線を照射する照射光学系と、所望の磁
化パターンと同一又は相似形のパターンを有するマスク
と、磁性層を加熱すべくマスクを介して入射されるエネ
ルギ線を磁気ディスクに照射してマスクパターンを磁気
ディスクに等倍率又は所定の縮小倍率で投影する投影光
学系と、磁気ディスクの一部領域に外部磁界を印加する
磁界印加手段と、磁気ディスクの一部領域毎にエネルギ
線が照射されるようにエネルギ線の照射位置を変える制
御手段とを備えることを特徴としている。
【0032】また、一部領域が、磁気ディスクの半径方
向の略全長にわたって延びる領域であり、制御手段が、
エネルギ線の照射位置を磁気ディスク及びマスクの周方
向へ向けて移動させるのが好ましい(請求項24)。さ
らに、一部領域が、磁気ディスクの周方向及び半径方向
の一部を占める領域であり、制御手段が、エネルギ線の
照射位置を磁気ディスク及びマスクの周方向及び半径方
向へ向けて移動させるのが好ましい(請求項25)。
【0033】また、一部領域が略扇形形状であるのが好
ましい(請求項26)。さらに、照射光学系が、スポッ
ト状エネルギ線を照射しうるものであり、一部領域が、
スポット状エネルギ線の照射領域に相当する大きさの領
域であるのが好ましい(請求項27)。また、照射光学
系が、回転可能なホモジナイザを備え、制御手段が、エ
ネルギ線の照射位置を磁気ディスクの周方向へ移動させ
るべくホモジナイザを回転させるのが好ましい(請求項
28)。
【0034】さらに、一部領域が、磁気ディスクの半径
方向の一部を占め、磁気ディスクの周方向の全周に延び
る領域であり、制御手段が、エネルギ線の照射位置を磁
気ディスク及びマスクの半径方向へ向けて移動させるの
が好ましい(請求項29)。また、照射光学系が、エネ
ルギ線の照射位置を変える照射位置移動手段を備え、制
御手段が、エネルギ線の照射位置を磁気ディスクの半径
方向へ移動させるべく照射位置移動手段を制御するのが
好ましい(請求項30)。
【0035】さらに、照射光学系が、エネルギ線を一部
領域に一括照射しうるものであるのが好ましい(請求項
31)。また、照射光学系が、一部領域にスポット状エ
ネルギ線を走査させて照射しうるものであるのが好まし
い(請求項32)。さらに、マスクパターンが、磁気デ
ィスクに形成すべき全ての磁化パターンを拡大したもの
として構成され、投影光学系が、マスクパターンの全て
を磁気ディスクに投影しうるものとして構成されるのが
好ましい(請求項33)。
【0036】また、制御手段が、固定されたままの状態
の磁気ディスク及びマスクに対してエネルギ線の照射位
置を変えるべく照射光学系を制御するのが好ましい(請
求項34)。さらに、磁気ディスクの一部領域に外部磁
界を印加する磁界印加手段を備えるのが好ましい(請求
項35)。
【0037】また、制御手段が、エネルギ線の照射位置
を変える毎に、エネルギ線の照射位置に対応する位置に
磁界印加手段を移動させるのが好ましい(請求項3
6)。さらに、磁気ディスクが、直径65mm以下であ
るのが好ましい(請求項37)。また、マスクが、マス
クパターンに応じて形成され、エネルギ線を透過しうる
透過部を備えるのが好ましい(請求項38)。
【0038】さらに、マスクと磁気ディスクとの間に遮
光板を備えるのが好ましい(請求項39)。また、磁化
パターンの最小幅が、2μm以下であるのが好ましい(請
求項40)。さらに、磁化パターンが、記録再生用ヘッ
ドの位置制御を行うためのサーボパターン又はサーボパ
ターン記録用の基準パターンを含むのが好ましい(請求
項41)。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態にかか
る磁気記録装置(磁気ディスク)に用いられる磁化パタ
ーン形成装置及び磁化パターン形成方法について、図面
を参照しながら詳細に説明する。本発明においては、局
所過熱と外部磁界印加とを組み合わせて磁気ディスクに
磁化パターンを形成する場合に、エネルギ線を照射する
照射光学系によってエネルギ線の照射位置を変えて磁気
ディスクにエネルギ線を照射することで磁気ディスクを
加熱しながら磁化パターンを形成するので、磁気ディス
クやマスクを回転させる機構が不要で、安価なものを採
用しながら、短時間で効率的に磁化パターンを形成でき
るという利点がある。また、回転系が無いことで、磁気
ディスクやマスクの回転ブレも防ぐことができ、パター
ン形成の精度を高くすることができる。さらに、縮小投
影を行なうことにより、微細な磁化パターンを高精度で
形成することができる。
【0040】本発明の一実施形態にかかる磁化パターン
形成装置及び磁化パターン形成方法について、図1〜図
9を参照しながら説明する。まず、本実施形態にかかる
磁化パターン形成装置(方法)を用いて磁化パターンを
形成する磁気ディスクについて説明する。本実施形態で
は、磁気ディスクは、以下のように構成される。つま
り、磁気ディスクの基板としては、高速記録再生時に高
速回転させても振動しない必要があり、通常、硬質基板
が用いられる。振動しない十分な剛性を得るため、基板
厚みは一般に0.3mm以上が好ましい。但し厚いと磁
気記録装置の薄型化に不利なため、3mm以下が好まし
い。例えば、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金
等のAl合金基板や、Mgを主成分とした例えばMg−
Zn合金等のMg合金基板、通常のソーダガラス、アル
ミノシリケート系ガラス、非結晶ガラス類、シリコン、
チタン、セラミックス、各種樹脂のいずれかからなる基
板やそれらを組み合わせた基板などを用いることができ
る。中でもAl合金基板や強度の点では結晶化ガラス等
のガラス製基板、コストの点では樹脂製基板を用いるこ
とが好ましい。
【0041】本実施形態にかかる磁化パターン形成装置
(方法)では、後述するように、マスクと磁気ディスク
とが非接触なので、従来の磁気転写法のように硬質基板
を有する磁気ディスクとマスターディスクとの密着が不
十分になり傷や欠陥が発生したり転写された磁区の境界
が不明確でPW50が広がりやすいと言った問題がな
く、硬質基板を有する磁気ディスクに適用すると効果が
高い。特に、ガラス製基板のようにクラックの入りやす
い基板を有する磁気ディスクには効果的である。
【0042】ここで、本磁化パターン形成装置(方法)
を適用しうる磁気ディスクは、基板上に磁性層を有して
なる円盤状の磁気記録媒体であれば良く、例えばハード
ディスクや光磁気ディスク等が含まれる。なお、本磁化
パターン形成装置を熱磁気プリンティング用結像露光装
置,ハードディスク用プリント装置ともいう。磁気ディ
スクの製造工程においては、まず基板の洗浄・乾燥が行
われるのが通常であり、本発明においても各層の密着性
を確保する見地からもその形成前に洗浄、乾燥を行うこ
とが望ましい。
【0043】本実施形態にかかる磁気ディスクの製造に
際しては、基板表面にNiP等の金属層を形成してもよ
い。金属層を形成する場合に、その手法としては、無電
解めっき法、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法
など薄膜形成に用いられる方法を利用することができ
る。導電性の材料からなる基板の場合であれば電解めっ
きを使用することが可能である。金属層の膜厚は50n
m以上が好ましい。ただし、磁気ディスクの生産性など
を考慮すると500nm以下であることが好ましい。さ
らに好ましくは300nm以下である。
【0044】また、金属層を成膜する領域は基板表面全
域が望ましいが、一部だけ、例えばテキスチャリングを
施す領域のみでも実施可能である。また、基板表面、又
は基板に金属層が形成された表面に同心状テキスチャリ
ングを施してもよい。本実施形態において同心状テキス
チャリングとは、例えば遊離砥粒とテキスチャーテープ
を使用した機械式テキスチャリングやレーザ光線などを
利用したテキスチャリング加工、又はこれらを併用する
ことによって、円周方向に研磨することによって基板円
周方向に微小溝を多数形成した状態を指称する。
【0045】機械的テキスチャリングを施すための遊離
砥粒の種類としてはダイアモンド砥粒、中でも表面がグ
ラファイト化処理されているものが最も好ましい。機械
的テキスチャリングに用いられる砥粒としては他にアル
ミナ砥粒が広く用いられているが、特にテキスチャリン
グ溝に沿って磁化容易軸を配向させるという面内配向媒
体の観点から考えるとダイアモンド砥粒が極めて良い性
能を発揮する。
【0046】ヘッド浮上量ができるだけ小さいことが高
密度磁気記録の実現には有効であり、またこれら基板の
特長のひとつが優れた表面平滑性にあることから、基板
表面の粗度Raは2nm以下が好ましく、より好ましく
は1nm以下である。特に0.5nm以下が好ましい。
なお、基板表面粗度Raは、触針式表面粗さ計を用いて
測定長400μmで測定後、JIS B0601に則っ
て算出した値である。このとき測定用の針の先端は半径
0.2μm程度の大きさのものが使用される。
【0047】次に基板上には、磁性層との間に下地層等
を形成してもよい。下地層は、結晶を微細化し、かつそ
の結晶面の配向を制御することを目的とし、Crを主成
分とするものが好ましく用いられる。Crを主成分とす
る下地層の材料としては、純Crのほか、記録層(磁性
層)との結晶マッチングなどの目的で、CrにV、T
i、Mo、Zr、Hf、Ta、W、Ge、Nb、Si、
Cu、Bから選ばれる1又は2以上の元素を添加した合
金や酸化Crなども含む。
【0048】中でも純Cr、又はCrにTi、Mo、
W、V、Ta、Si、Nb、Zr及びHfから選ばれる
1又は2以上の元素を添加した合金が好ましい。これら
第二、第三元素の含有量はそれぞれの元素によって最適
な量が異なるが、一般には1原子%〜50原子%が好ま
しく、より好ましくは5原子%〜30原子%、さらに好
ましくは5原子%〜20原子%の範囲である。
【0049】下地層の膜厚はこの異方性を発現させ得る
に十分なものであればよいが、好ましくは0.1〜50
nmであり、より好ましくは0.3〜30nm、さらに
好ましくは0.5〜10nmである。Crを主成分とす
る下地層の成膜時は基板加熱を行っても行わなくてもよ
い。下地層の上には、記録層との間に、場合により軟磁
性層を設けても良い。特に磁化遷移ノイズの少ないキー
パーメディア、或いは磁区がメディア面内に対して垂直
方向にある垂直記録媒体には、効果が大きく、好適に用
いられる。
【0050】軟磁性層は透磁率が比較的高く損失の少な
いものであればよいが、NiFeや、それに第3元素と
してMo等を添加した合金が好適に用いられる。最適な
透磁率は、データの記録に利用されるヘッドや記録層の
特性によっても大きく変わるが、概して、最大透磁率が
10〜1000000(H/m)程度であることが好ま
しい。
【0051】或いはまた、Crを主成分とする下地層上
に必要に応じて他の中間層を設けてもよく、例えばCo
Cr系中間層を設けると、磁性層の結晶配向が制御しや
すくなるため好ましい。次に記録層(磁性層)を形成す
るが、記録層と軟磁性層の間には下地層と同一材料の層
又は他の非磁性材料が挿入されていてもよい。記録層の
成膜時は、基板加熱を行っても行わなくてもよい。
【0052】記録層としては、Co合金磁性層、TbF
eCoを代表とする希土類系磁性層、CoとPdの積層
膜を代表とする遷移金属と貴金属系の積層膜等が好まし
く用いられる。Co合金磁性層としては、通常、純Co
やCoNi、CoSm、CoCrTa、CoNiCr、
CoCrPtなどの磁性材料として一般に用いられるC
o合金磁性材料を用いうる。これらのCo合金に更にN
i、Cr、Pt、Ta、W、Bなどの元素やSiO2
の化合物を加えたものでも良い。例えばCoCrPtT
a、CoCrPtB、CoNiPt、CoNiCrPt
B等が挙げられる。Co合金磁性層の膜厚は任意である
が、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以
上である。また、好ましくは50nm以下、より好まし
くは30nm以下である。また、本記録層は、適当な非
磁性の中間層を介して、或いは直接2層以上積層しても
よい。その時、積層される磁性材料の組成は、同じであ
っても異なっていてもよい。
【0053】希土類系磁性層としては、磁性材料として
一般的なものを用いうるが、例えばTbFeCo、Gd
FeCo、DyFeCo、TbFeなどが挙げられる。
これらの希土類合金にTb、Dy、Hoなどを添加して
もよい。酸化劣化防止の目的からTi、Al、Ptが添
加されていてもよい。希土類系磁性層の膜厚は、任意で
あるが、通常5〜100nm程度である。また、本記録
層は、適当な非磁性の中間層を介して、或いは直接2層
以上積層してもよい。その時、積層される磁性材料の組
成は、同じであっても異なっていてもよい。特に希土類
系磁性層は、アモルファス構造膜であり、かつメディア
面内に対して垂直方向に磁化を持つため高記録密度記録
に適し、高密度かつ高精度に磁化パターンを形成できる
本発明の方法がより効果的に適用できる。
【0054】同様に垂直磁気記録が行える、遷移金属と
貴金属系の積層膜としては、磁性材料として一般的なも
のを用いうるが、例えばCo/Pd、Co/Pt、Fe
/Pt、Fe/Au、Fe/Agなどが挙げられる。こ
れらの積層膜材料の遷移金属、貴金属は、特に純粋なも
のでなくてもよく、それらを主とする合金であってもよ
い。積層膜の膜厚は、任意であるが、通常5〜1000
nm程度である。また、必要に応じて3種以上の材料の
積層であってもよい。
【0055】本実施形態では、記録層としての磁性層
は、室温において磁化を保持し、加熱時に消磁される
か、或いは加熱と同時に外部磁界を印加されることで磁
化される。磁性層の室温での保磁力は、室温において磁
化を保持し、かつ適当な外部磁界により均一に磁化され
るものである必要がある。磁性層の室温での保磁力を2
000Oe以上とすることで、小さな磁区が保持でき高
密度記録に適した磁気ディスクが得られる。より好まし
くは3000Oe以上である。
【0056】従来の磁気転写法では、あまり保磁力が高
い磁気ディスクには転写が困難であったが、本実施形態
においては磁性層を加熱し保磁力を十分に下げて磁化パ
ターンを形成するため、保磁力の大きい媒体への適用が
好ましい。ただし、好ましくは20000Oe以下とす
る。20000Oeを超えると、一括磁化のために大き
な外部磁界が必要となり、また通常の磁気記録が困難と
なる可能性がある。
【0057】磁性層は、室温において磁化を保持しつ
つ、適当な加熱温度では弱い外部磁界で磁化されるもの
である必要がある。また室温と磁化消失温度との差が大
きい方が磁化パターンの磁区が明瞭に形成しやすい。こ
のため磁化消失温度は高いほうが好ましく、100℃以
上が好ましくより好ましくは150℃以上である。例え
ば、キュリー温度近傍(キュリー温度のやや下)や補償
温度近傍に磁化消失温度がある。
【0058】キュリー温度は、好ましくは100℃以上
である。100℃未満では、室温での磁区の安定性が低
い傾向がある。より好ましくは150℃以上である。ま
た好ましくは700℃以下である。磁性層をあまり高温
に加熱すると、変形してしまう可能性があるためであ
る。磁気ディスクが面内磁気記録媒体である場合、高密
度用の高い保磁力を持った磁気ディスクに対しては従来
の磁気転写法では飽和記録が難しく、磁界強度の高い磁
化パターン生成が困難となり、半値幅も広がってしま
う。このような高記録密度に適した面内記録媒体でも、
本実施形態によれば良好な磁化パターン形成が可能とな
る。特に、該磁性層の飽和磁化が50emu/cc以上
である場合は、反磁界の影響が大きいので本発明を適用
する効果が大きい。
【0059】100emu/cc以上だとより効果が高
い。ただしあまり大きいと磁化パターンの形成がしにく
いため、500emu/cc以下が好ましい。磁気ディ
スクが垂直磁気記録媒体であり、磁化パターンが比較的
大きく1磁区の単位体積が大きい場合は、飽和磁化が大
きくなり、磁気的な減磁作用で磁化反転が起こりやすい
ためそれがノイズとなり半値幅を悪化させる。しかし、
本実施形態では、軟磁性を使用した下地層の併用で、こ
れらの磁気ディスクにも良好な記録が可能となる。これ
らの記録層は、記録容量増大などのために、2層以上設
けても良い。このとき、各記録層の間には他の層を設け
るのが好ましい。
【0060】本実施形態においては、磁性層上に保護層
を形成するのが好ましい。すなわち、磁気ディスクの最
表面を硬質の保護層により覆う。保護層はヘッドや衝突
や塵埃・ゴミ等のマスクとの挟み込みによる磁性層の損
傷を防ぐ働きをする。本実施形態のようにマスクを用い
た磁化パターン形成法を適用する際には、マスクとの接
触から磁気ディスクを保護する働きもある。
【0061】また、本実施形態においては、保護層は、
加熱された磁性層の酸化を防止する効果もある。磁性層
は一般に酸化されやすく、加熱されると更に酸化されや
すい。本実施形態では、磁性層をエネルギ線などで局所
的に加熱するため、酸化を防ぐための保護層を磁性層上
に予め形成しておくのが望ましい。なお、磁性層が複数
層ある場合には、最表面に近い磁性層の上に保護層を設
ければよい。また、保護層は磁性層上に直接設けても良
いし、必要に応じて間に他の働きをする層をはさんでも
良い。
【0062】エネルギ線の一部は保護層でも吸収され、
熱伝導によって磁性層を局所的に加熱する働きをする。
このため保護層が厚すぎると横方向への熱伝導により磁
化パターンがぼやけてしまう可能性があるため、膜厚は
薄い方が好ましい。また、記録再生時の磁性層とヘッド
との距離を小さくするためにも薄い方が好ましい。従っ
て50nm以下が好ましく、より好ましくは30nm以
下、さらに好ましくは20nm以下である。ただし、充
分な耐久性を得るためには0.1nm以上が好ましく、
より好ましくは1nm以上である。
【0063】保護層としては、硬質で酸化に強い性質を
有していれば良い。一般に、カーボン、水素化カーボ
ン、窒素化カーボン、アモルファスカーボン、SiC等
の炭素質層やSiO2、Zr23、SiN、TiNなど
を用いる。保護層が磁性を有する材料であっても良い。
磁気ディスクにおいては、ヘッドと磁性層との距離を極
限まで近づけるため、非常に硬質の保護層を薄く設ける
ことが好ましい。従って、耐衝撃性及び潤滑性の点では
炭素質保護膜が好ましく、特にダイヤモンドライクカー
ボンが好ましい。エネルギ線による磁性層の損傷防止の
役割を果たすだけでなく、ヘッドによる磁性層の損傷に
も極めて強くなる。本実施形態にかかる磁化パターン形
成方法は、炭素質保護層のような不透明な保護層に対し
ても適用できる。
【0064】また、保護層が2層以上の層から構成され
ていてもよい。磁性層の直上の保護層をCrを主成分と
する層を設けると、磁性層への酸素透過を防ぐ効果が高
く好ましい。さらに、保護層上には潤滑層を形成するの
が好ましい。磁気ディスクのマスク及び磁気ヘッドによ
る損傷を防ぐ機能を持つ。潤滑層に用いる潤滑剤として
は、フッ素系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤及びこれらの混
合物等が挙げられ、ディップ法、スピンコート法などの
常法で塗布することができる。蒸着法で成膜しても良
い。磁化パターン形成の妨げとならないために潤滑層は
薄い方が好ましく、10nm以下が好ましい。より好ま
しくは4nm以下である。十分な潤滑性能を得るために
は0.5nm以上が好ましい。より好ましくは1nm以
上である。潤滑層上からエネルギ線を照射する場合に
は、潤滑剤のダメージ(分解、重合)等を考慮し、再塗
布などを行ってもよい。また、以上の層構成には他の層
を必要に応じて加えても良い。
【0065】本実施形態の磁化パターン形成法は、潤滑
層の形成前に行っても形成後に行ってもよい。更に、浮
上型/接触型ヘッドの走行安定性を損なわないよう、磁
化パターン形成後の該磁気ディスクの表面粗度Raを3
nm以下に保つのが好ましい。なお、磁気ディスク表面
粗度Raとは潤滑層を含まない磁気ディスク表面の粗度
であって、触針式表面粗さ計を用いて測定長400μm
で測定後、JIS B0601に則って算出した値であ
る。より好ましくは1.5nm以下とする。
【0066】さらに望ましくは磁化パターン形成後の該
磁気ディスクの表面うねりWaを5nm以下に保つ。W
aは潤滑層を含まない磁気ディスク表面のうねりであっ
て、触針式表面粗さ計を用いて測定長2mmで測定後、
Ra算出に準じて算出した値である。より好ましくは3
nm以下とする。ところで、このように構成される磁気
ディスクへの磁化パターンの形成は、記録層に対して行
う。記録層上に保護層、又は保護層と潤滑層を形成した
後に既述のいずれかの方法で行うのが好ましいが、記録
層の酸化の心配がない場合は記録層の成膜直後に行って
も良い。
【0067】磁気ディスクの各層を形成する成膜方法と
しては各種の方法が採りうるが、例えば直流(マグネト
ロン)スパッタリング法、高周波(マグネトロン)スパ
ッタリング法、ECRスパッタリング法、真空蒸着法な
どの物理的蒸着法が挙げられる。また、成膜時の条件と
しては、得るべき磁気ディスクの特性に応じて、到達真
空度、基板加熱の方式と基板温度、スパッタリングガス
圧、バイアス電圧等を適宜決定する。例えば、スパッタ
リング成膜では、通常の場合、到達真空度は5×10-6
Torr以下、基板温度は室温〜400℃、スパッタリ
ングガス圧は1×10-3〜20×10-3Torr、バイ
アス電圧は0〜−500Vが好ましい。
【0068】成膜にあたっては、基板を加熱する場合は
下地層形成前に行っても良い。或いは、熱吸収率が低い
透明な基板を使用する場合には、熱吸収率を高くするた
め、Crを主成分とする種子層又はB2結晶構造を有す
る下地層を形成してから基板を加熱し、しかる後に記録
層等を形成しても良い。記録層が、希土類系の磁性層の
場合には、腐食・酸化防止の見地から、ディスクの最内
周部及び最外周部を最初マスクして、記録層まで成膜、
続く保護層の成膜の際にマスクを外し、記録層を保護層
で完全に覆う方法や、保護層が2層の場合には、記録層
と第一の保護層までをマスクしたまま成膜、第二の保護
層を成膜する際にマスクを外し、やはり記録層を第二の
保護層で完全に覆うようにすると希土類系磁性層の腐
食、酸化が防げて好適である。
【0069】ところで、本実施形態では、上述のように
構成される磁気ディスクに、以下のようにして磁化パタ
ーンを形成する。つまり、基板上に磁性層を有してなる
磁気ディスクに、磁性層を局所的に加熱する工程と、磁
性層に外部磁界を印加する工程とにより磁化パターンを
形成するようにしており、エネルギ線を磁気ディスク表
面に照射することにより磁性層を局所的に加熱するにあ
たり、マスクパターンに応じてエネルギ線を照射し、マ
スクパターンを磁気ディスク表面に等倍率又は縮小倍率
で投影(結像)させるようにしている。
【0070】これによれば、磁化パターンを形成するに
あたり局所加熱と外部磁界印加を組み合わせるので、従
来のように強い外部磁界を用いる必要がない。そして、
加熱領域以外に磁界が印加されても磁化されないので、
磁区形成を加熱領域に限定できる。このため、磁区境界
が明瞭となり、磁化遷移幅が小さく磁区の境界での磁化
遷移が非常に急峻で出力信号の品質が高いパターンが形
成できる。条件を選べば磁化遷移幅を1μm以下にする
ことも可能である。
【0071】そして、従来のように磁気ディスクとマス
ターディスクを圧着させる必要がないので、磁気ディス
クやマスクを傷つけることなく、磁気ディスクの欠陥を
増加させる虞れもない。本技術によればトラックに対し
て斜めの磁化パターンも良好に形成できる。また、局所
加熱にエネルギ線を用いるので、加熱する部位の大きさ
やパワーの制御がしやすく、磁化パターンを精度よく形
成できる。
【0072】更に、本実施形態では、好ましくは、形成
すべき磁化パターンに応じた強度分布を有するパターン
化エネルギ線を磁気ディスク表面に縮小して磁気ディス
ク表面に投影(結像)するので、エネルギ線を対物レン
ズで絞った後マスクを通す場合、すなわち近接露光の場
合に比較して、マスクのパターニング精度やアライメン
ト精度により磁化パターンの精度が制限されることがな
く、より微細な磁化パターンを精度良く形成することが
できる。また、マスクと磁気ディスクとが離間している
ため、磁気ディスク上のゴミの影響も受けにくい。
【0073】光源から出射したエネルギ線は、マスクを
通して強度分布を変化させ、結像レンズなどの結像手段
を通して磁気ディスク表面に結像させる。なお、結像レ
ンズは投影レンズと、縮小結像を縮小投影と称すること
もある。マスクは、形成すべき磁化パターンに応じて磁
気ディスク上にエネルギ線の強弱(濃淡)を形成するも
のであればよい。例えば、パターンに応じてエネルギ線
透過部と非透過部を作成したフォトマスクや、特定のパ
ターンを磁気ディスク上に結像するようにホログラムが
記録されたホログラムマスクなどである。
【0074】本技術においては、マスクと磁気ディスク
との間に結像手段を有する。従来、フォトマスクと磁気
ディスクを密着させてエネルギ線を照射すると、材質に
よってはマスクがエネルギ線を吸収して加熱され、密着
した磁気ディスク表面の温度も上昇し、磁化パターンが
明りょうに書けなくなることがあるが、本発明によれば
この問題点も解決される。
【0075】つまり、磁化パターンが形成される磁気デ
ィスク表面は、パルス状エネルギ線の照射時と非照射時
で温度差が大きい方が、パターンのコントラストを上
げ、或いは記録密度を上げるために好ましい。従ってパ
ルス状エネルギ線の非照射時には磁気ディスク面は室温
以下程度が好ましい。室温とは25℃程度である。マス
クを用いると、複雑な磁化パターンをエネルギ線を照射
するだけで簡便かつ短時間に形成できる。また、磁気ヘ
ッドでは記録しにくい特殊なパターンも容易に形成でき
る。
【0076】例えば、磁気ディスクの位相サーボ方式に
は、内周から外周に、半径及びトラックに対して斜めに
直線的に延びる磁化パターンが用いられる。このよう
な、半径方向に連続したパターンや半径に斜めのパター
ンは、ディスクを回転させながら1トラックずつサーボ
信号を記録する従来のサーボパターン形成方法では作り
にくかった。本発明によれば、複雑な計算や複雑な装置
構成を必要とせず、このような磁化パターンを一度の照
射で簡便かつ短時間に形成できる。
【0077】マスクとしては、エネルギ線を部分的に透
過する透過部を有するマスク、いわゆるフォトマスクを
用いるのが好ましい。フォトマスクは作成が容易で良好
な加工精度が得られやすいので、精度のよいマスクが得
られ、精度の良い磁化パターンが形成できる。マスクの
前にコンデンサレンズを通すと、エネルギ線の強度分布
を均一にでき、かつエネルギ線を効率よく結像レンズに
集めることができ、好ましい。
【0078】本技術は、エネルギ線のビーム径と外部磁
界強度が許す限り、どのような大きさ或いは形状の磁化
パターンにも適用できるが、磁化パターンが微細なほど
効果が高い。磁化パターンの最小幅が2μm以下になる
と、磁気ディスクとマスクのアライメントが特に難しく
なるので、本技術の適用効果が高い。より好ましくは1
μm以下である。形成可能なパターンの下限はなく、理
論的にエネルギ線の波長限界程度までの微細なパターン
が形成できる。例えばエキシマレーザー等で百nm程度
である。
【0079】なお、パターンの最小幅とは、形成すべき
パターンの最も狭い部分の長さをいう。例えば、パター
ンの形状が四角形である場合にはその短辺の長さであ
り、円形である場合にはその直径の長さであり、楕円形
である場合にはその短径の長さである。また本技術は、
縮小結像することでより細かい磁化パターンが形成でき
るので、データ記録/再生用ヘッドの位置制御に用いる
サーボパターン又は該サーボパターン記録用の基準パタ
ーンの形成に適用すると効果が大きい。サーボパターン
は、磁気ディスク上のデータトラックに記録/再生ヘッ
ドをトラッキングするためのサーボ信号を発生するパタ
ーンである。
【0080】サーボパターンは、データトラックの位置
制御用パターンであるため、サーボパターンの精度が悪
いとヘッドの位置制御も粗くなる。このため、サーボパ
ターン以上に高い位置精度をもったデータパターンは理
論的に記録できず、従って磁気ディスクの記録密度が高
くなるほどサーボパターンは高精度に形成する必要があ
る。
【0081】本技術は、マスクを用いるので単純な繰り
返し磁化パターンの形成に適し、かつ縮小結像すること
でより細かい磁化パターンを高精度に形成できるので、
サーボパターンの作成に用いると効果が高い。また、サ
ーボパターンが特殊な、又は複雑なパターンであって
も、マスクを用いることで容易に形成できる。サーボパ
ターンそのものでなく、ドライブ等がサーボパターンを
記録するために使用する、レファレンス信号を発生する
基準パターンの形成に適用しても、同様に効果が大き
い。
【0082】精度の高いサーボパターン又は基準パター
ンが得られるため、高密度記録用の、トラック密度が4
0kTPI以上であるような磁気ディスクに適用すると
効果が高い。また、上述のように、磁化パターンがトラ
ックに対して斜めに延在するパターンを含む場合も、本
発明によれば信号強度が強く取れるので、特に位相サー
ボ信号等の傾斜パターンには本発明は好適である。
【0083】斜めに延在するパターンは、例えば、ヘッ
ド走行方向に直交する方向を基準線としたとき、該基準
線から傾きを擁しているパターンである。好ましくは基
準線からの傾きが±45°以内であると、サーボ信号と
して使用するにも十分な信号が取り出せる。あるいは、
本技術で形成した磁化パターンを、磁気ディスクの欠陥
検査に用いてもよい。欠陥検査の記録工程が省けるの
で、製造時間が短縮でき、コストダウンにつながり、ま
た、欠陥検査の密度を上げることもできる。
【0084】本技術において、マスクを通したのち結像
手段により縮小結像するので、その縮小割合を大きくす
ると、より微細なパターンが形成できる。しかしながら
絞り込みによってエネルギ線のビーム径が小さくなるた
め一度で形成できるパターン領域が小さくなってしま
う。このため、本技術は高密度かつ小径の磁気ディス
ク、特に直径65mm以下の磁気ディスクに適してい
る。
【0085】一般に、小径の磁気ディスクほど、記録面
積が小さいにも係わらず大きな記録容量が求められ記録
密度が非常に高い。より好ましくは直径1.8インチ以
下、特に好ましくは直径1インチ以下の磁気ディスクに
用いられる。例えば、直径1インチ以下程度の非常に小
さな磁気ディスクに、データなどを記録することも可能
である。
【0086】本実施形態においては、局所加熱と外部磁
界印加の組み合わせは様々考えられるが、好ましくは、
外部磁界を印加し磁性層を予め所望の方向に均一に磁化
したのち、磁性層を局所的に加熱すると同時に外部磁界
を印加し加熱部を該所望の方向とは逆方向に磁化して磁
化パターンを形成する。これによれば、互いに逆向きの
磁区が明りょうに形成されるので、信号強度が強くC/
N及びS/Nが良好な磁化パターンが得られる。
【0087】エネルギ線としては記録層表面を部分的に
加熱できればよいが、不要な部分へのエネルギ線の照射
を防げることからレーザが好ましい。磁化遷移幅を急峻
にするためには、エネルギ線の照射時と非照射時で温度
差が大きく、熱の蓄積が起こりにくいパルス状のレーザ
を使用することが好ましい。連続レーザを光学部品によ
りパルス化してもよいが、特にパルスレーザ光源の使用
が好適である。パルスレーザ光源はレーザをパルス状に
断続的に発振するものであり、パワー尖頭値の高いレー
ザをごく短時間に照射することができ熱の蓄積が起こり
にくい。
【0088】以上のような方法で磁化パターンが形成さ
れた磁気ディスクは、マスクのパターニング精度やアラ
イメント精度により磁化パターンの精度が制限されるこ
とがないので、微細な磁化パターンが精度良く形成され
る。そして、磁化遷移幅が小さく磁区の境界での磁化遷
移が非常に急峻で出力信号の品質が高いパターンが形成
される。
【0089】また非常に短時間で簡便に製造でき、従来
のようにマスターディスクと密着させることがないた
め、傷や欠陥が少ない。特に、高密度記録になるにつれ
て、サーボ信号が書きにくいだけでなくサーボ記録がコ
ストアップの主原因となるため高密度記録用の磁気ディ
スクに本発明を適用すると効果が大きい。垂直磁気記録
媒体であれば磁界の印加が容易であることからより本発
明を適用しやすい。
【0090】本技術を磁気ディスクの製造ラインに組み
入れれば、ヘッド制御用の高精度の磁化パターンが形成
された磁気ディスクを短時間かつ安価に製造できる。と
ころで、本実施形態では、基板上に磁性層を有してなる
磁気ディスクに所望の磁化パターンを形成すべく、磁化
パターン形成装置は、以下のように構成される。
【0091】つまり、本磁化パターン形成装置は、図1
に示すように、磁気ディスク1を保持するディスクステ
ージ(ディスクテーブル,ディスク保持手段)60と、
マスク(フォトマスク)12と、マスク12を保持する
マスクステージ(マスクテーブル,マスク保持手段)6
1と、磁界印加手段62と、エネルギ線11を出射する
エネルギ線源を備え、エネルギ線を照射する照射光学系
63と、投影光学系64と、磁界印加手段62を回転駆
動する磁界印加手段用アクチュエータ70とを備えて構
成される。
【0092】なお、本磁化パターン形成装置には、図1
に示すように、磁気ディスク1を回転駆動するディスク
用スピンドルモータ(ディスク回転用アクチュエータ,
ディスク回転駆動手段)2も設けられている。このディ
スク用スピンドルモータ2は、後述するように、最初に
磁気ディスク1の全面を予め一方向に磁化させる際に、
磁気ディスク1を回転駆動するのに用いられる。
【0093】ここで、マスク12は、エネルギ線源より
出射されたエネルギ線11を、磁気ディスク1に形成す
べき所望の磁化パターンに応じて強度分布を変化させる
ものであり、ここでは、磁気ディスク1に形成すべき所
望の磁化パターンに応じた全てのパターンを有するもの
として構成される。このマスク12は、縮小投影による
縮小倍率に応じて磁気ディスク(磁化パターン)を拡大
して構成される。このため、マスク12は磁気ディスク
1と相似形となる。マスク12の形状は問わないが、通
常、方形又は磁気ディスク1と同様に円盤状のものとし
て構成される。
【0094】なお、ここでは、マスク12には、所望の
磁化パターンに応じた全てのパターンを形成している
が、これに限られるものではなく、例えば、磁気ディス
ク1に形成すべき磁化パターンが同一パターンの繰り返
しである場合には、基本となるパターン(基本パター
ン;一部のパターン)のみを形成するようにしても良
い。この場合、磁化パターン形成装置には、図1中、二
点鎖線で示すように、マスク12を回転駆動するマスク
用スピンドルモータ(マスク回転用アクチュエータ,マ
スク回転駆動手段)65を設けるのが好ましい。
【0095】そして、後述するように、コントローラ6
8からの制御信号に基づいて照射光学系63によって照
射されるエネルギ線11の照射位置を変える毎に、この
マスク用スピンドルモータ65によってマスク12を回
転駆動することで、マスク12上の基本パターンを形成
されたパターン形成部分をエネルギ線の照射位置に合わ
せるように制御すれば良い。なお、磁気ディスク1は回
転させずに固定したままの状態にしておく。これによ
り、基本パターンのみを有するマスク12を用いて、磁
気ディスク1の全面に所望の磁化パターンを形成できる
ようになる。
【0096】なお、ここでは、マスク12を回転させる
ことで、マスク12のパターン形成部分をエネルギ線の
照射位置に合わせているが、これに限られるものではな
く、例えばマスク12を複数の基本パターンを有するも
のとして構成し、さらに、マスクステージ61をX−Y
ステージとして構成して、コントローラ68からの制御
信号に基づいて照射光学系63によって照射されるエネ
ルギ線11の照射位置を変える毎に、マスクステージ6
1を移動させることでマスク12を移動させて、マスク
12上の基本パターンを形成されたパターン形成部分を
エネルギ線の照射位置に合わせるように制御しても良
い。
【0097】磁界印加手段(外部磁界印加手段,磁界発
生装置)62は、磁気ディスク1に外部磁界を印加する
ものである。本実施形態では、まず最初に、外部磁界を
印加して磁性層を予め均一に磁化し、その後に磁気ディ
スク1を局所的に加熱しながら逆向きの外部磁界を印加
して磁化パターンを形成するようにしている。このた
め、磁界印加手段62として、第一磁界印加手段4及び
第二磁界印加手段8が備えられている。
【0098】投影光学系64は、エネルギ線(レーザの
光軸)が直線状になるように、直線状の筒状部材として
構成され、マスク12と磁気ディスク1との間に配置さ
れて、磁性層を加熱すべくエネルギ線源からのエネルギ
線11をマスク12を介して照射してマスクパターンを
磁気ディスク1に縮小投影するものである。この投影光
学系64は、図3に示すように、マスク12によって強
度分布を変化させたエネルギ線(パターン化エネルギ
線)11を磁気ディスク1表面に縮小結像する結像手段
15を備える。
【0099】ここで、図2及び図3は本発明の磁化パタ
ーン形成装置のディスクステージ及び磁界印加手段の一
例である。図2(a)の断面図に示すように、磁化パタ
ーンが形成される磁気ディスク1を、ディスク用スピン
ドルモータ(モータによって回転駆動される回転軸とし
てのスピンドルをまとめてスピンドルモータという)2
に同軸に固定されたターンテーブル3上に載置したの
ち、真空溝7により真空吸着され固定される。磁気ディ
スク1は、硬質基板21上に磁性層22a、22bを備
える。
【0100】このディスク1の一面上に、ヨーク5と永
久磁石6とからなる第一磁界印加手段4が配置される。
図2(b)は、図2(a)を矢印方向から見た模式図で
ある。第一磁界印加手段4はディスク1の半径方向に長
い形状をしており、NdFe磁石などの永久磁石6a、
6bを対に、磁極を互いに逆向きにしてヨーク5上に固
定され、磁石6aのN極と磁石6bのS極を結ぶように
磁界が発生している。この磁界はディスク1の保磁力よ
り大きくすることで、磁気ディスク1の上面側の磁性層
22aは面内方向の円周方向に磁化される。
【0101】この状態で、第一磁界印加手段4を固定し
たままスピンドルモータ2を回転させると、磁気ディス
ク1が矢印方向に回転し、磁性層22a全体に磁界が印
加され一方向に磁化される。次いで、第一磁界印加手段
4はディスク上から退避される。なお、本実施形態で
は、上述のように磁気ディスク1を回転させながら外部
磁界を印加するためにディスク用スピンドルモータ2を
設け、このディスク用スピンドルモータ2によって磁気
ディスク1を回転駆動するようにしているが、これに限
られるものではなく、例えば、ディスク用スピンドルモ
ータ2を設けずに、磁界印加手段用アクチュエータ70
によって磁界印加手段62を回転駆動しながら、磁気デ
ィスク1に外部磁界を印加するようにしても良い。
【0102】次いで、磁気ディスク1に局所加熱しなが
ら逆向きの外部磁界を印加する。図3の断面図に示すご
とく、磁気ディスク1の他面上に、ヨーク9と永久磁石
10とからなる第二磁界印加手段8が配される。第二磁
界印加手段8が発生する磁界は、第一磁界印加手段4と
は逆向きで、かつ小さく、ディスク1の保磁力以下とす
る。
【0103】なお、第二磁界印加手段8のそれ以外の構
成や形状は、第一磁界印加手段4と同じで良いが、エネ
ルギ線11を照射する一部領域(例えば略扇形の領域,
略四角形の領域)の略全域に外部磁界を印加しうるよう
にする必要がある。例えば、ヨーク9の形状をエネルギ
線11の照射領域に対応する形状とし、その端部に一対
の永久磁石10をそれぞれ配置すれば良い。また、図4
に示すように、ヨーク9の代わりに円盤状部材9′を用
い、その一部にエネルギ線11を照射する一部領域に対
応する形状(例えば略扇形,略四角形)の開口部(透過
部)9′Aを設け、この開口部9′Aの端部に沿って一
対の永久磁石10を配置して、第二磁界印加手段8′を
構成することもできる。なお、図4中、符号90は遮光
板である。
【0104】図示しない光源から出射しコンデンサレン
ズを通過したパルスレーザ11はフォトマスク12に到
達する。フォトマスク12は、レーザ波長に対して透明
な基板13上に、形成すべき磁化パターンに対応して不
透明層14が形成されており、透明部のみをレーザ11
が透過することで、強度分布を磁化パターンに応じて変
化させ、空間的にパターン化されたレーザとなる。
【0105】フォトマスク12には、石英ガラス、ソー
ダライムガラス等の基板上に、Cr等の金属に代表され
る、エネルギ線に対して不透明な材料等をスパッタリン
グ形成し、その上にフォトレジストを塗布し、エッチン
グ等によって、所望の透過部と非透過部を作成すること
ができる。レーザ11は、結像レンズ15に達し、そこ
で所望の大きさに絞り込まれ、フォトマスク12に形成
されたパターンと相似なレーザの濃淡が磁気ディスク1
上に縮小結像される。結像部は加熱され、磁性層22a
は磁化消失温度近傍まで昇温される。このとき同時に、
磁気ディスク1の磁性層22aの保磁力より小さい第二
外部磁界印加手段8によって外部磁界が印加されている
ので、昇温部のみが外部磁界の方向に磁化される。次い
でレーザ照射を停止し、昇温部は室温まで冷却され磁化
が安定する。第二外部磁界は、先に一様に磁化した際の
第一外部磁界とは逆方向なので、以上により磁性層22
aに磁化パターンが形成される。
【0106】なお、ここでは、図3に示すように、結像
レンズ15を1枚で構成されているが、収差等を改善す
るために複数のレンズで構成しても良い。磁性層22a
の他の領域にも磁化パターンを形成する場合には、磁気
ディスク1及びフォトマスク12を固定したままの状態
で、照射光学系63によって照射されるエネルギ線の照
射位置を変え、これに同期させて第二磁界印加手段8を
回転させて、加熱と磁界印加を行えばよい。
【0107】なお、磁気ディスク1を均一に磁化する際
には高精度の装置は必要ないので、図1に示す磁化パタ
ーン形成装置に磁気ディスク1を装着する前に、他の装
置によって予め均一に磁化しておいても良い。この場
合、磁化パターン形成装置には上述のような第一磁界印
加手段やディスク用スピンドルモータ2等のディスク回
転機構を設ける必要がなくなるので、装置を簡素化で
き、コストも低く抑えることができ好ましい。また、デ
ィスク用スピンドルモータ2等のディスク回転機構をな
くすことにより、ディスク回転機構によって磁気ディス
ク1を回転させることによって生じる磁気ディスク1の
ブレや偏心等をなくすことができ、磁化パターン形成の
精度をより高めることができ好ましい。
【0108】結像レンズで絞り込む最小のビーム径φ
は、結像レンズの開口数NAと、使用するエネルギ線の
波長λで決まり、φ=1.22×(λ/NA)の関係が
ある。すなわち、より細かなパターンを磁気ディスクに
形成したい場合は、λを小さくするか、NAを大きくす
る必要がある。予めコンデンサレンズで絞り込みを行う
場合は、コンデンサレンズのNAも考慮する。
【0109】図5は、本実施形態で用いる、レーザ照射
のための照射光学系63の構成の一例である。図5に示
すように、パルスレーザ光源41から発振したパルスレ
ーザ11はプログラマブルシャッター42を通過する。
プログラマブルシャッター42は、光源から所望のパル
スのみ取り出す役目をする。パルスレーザ光源41とし
ては、例えば、エキシマレーザやYAGの4倍波Qスイ
ッチレーザなどを用いる。
【0110】プログラマブルシャッター42で選択され
たレーザ11は、アッテネータ43で所望のパワーに変
換されたのち、ホモジナイザ80及びコンデンサレンズ
44を通過しフォトマスク12に至る。ここで、コンデ
ンサレンズ44は一般に、非球面レンズ44aと平凸レ
ンズ44bの組み合わせからなり、ホモジナイザ80と
協働して、マスク面でのエネルギ強度分布を均一にする
機能を有し、かつエネルギ束を効率よく結像レンズ15
に導く。
【0111】次いで、レーザ11はフォトマスク12に
より強度分布を磁化パターンに応じて変化させたのち、
結像レンズ15を通して、ディスク1の磁性層22a上
に縮小結像される。ここで、図6は、本実施形態で用い
るレーザ照射のための照射光学系63の構成の他の一例
である。
【0112】図6に示すように、パルスレーザ光源41
から発振したパルスレーザ11はプログラマブルシャッ
ター42及びアッテネータ43を通過したのち、ビーム
エキスパンダ45に至る。ビームエキスパンダ45は、
マスク12の縮小投影率を上げたいときなど、結像前に
一旦ビーム径を大きくする場合に用いられる。次いで、
レーザ11はホモジナイザ80及びコンデンサレンズ4
4を通過しフォトマスク12により強度分布を磁化パタ
ーンに応じて変化させたのち、結像レンズ15を通し
て、ディスク1の磁性層22a上に縮小結像される。
【0113】ここでは、図5及び図6に示すように、エ
ネルギ強度分布を均一にするためにコンデンサレンズ4
4及びホモジナイザ80を併用しているが、コンデンサ
レンズ44を用いずに、ホモジナイザ80のみを用いる
ようにしても良い。さらに、エネルギ線を遮光板によっ
て、エネルギの弱い部分を遮蔽し分布の良いところのみ
を用いたり、所望のビーム形状に整形したりしてもよ
い。図7は遮光板の一例の模式図である。この図7に示
すように、遮光板46には、レーザ11が透過しない基
板51に、所望のビーム形状に応じたレーザ透過部52
が形成されている。図7では、略扇形に形成された例で
あるが、略四角形など他の形状でも勿論よい。なお、遮
光板46を設ける場合には、エネルギ線の照射位置を変
えるたびに、これに応じて遮光板46の位置も変える必
要がある。この場合、遮光板46を磁気ディスク1の周
方向や半径方向へ移動させうるように、遮光板46に移
動機構を設ける必要がある。
【0114】遮光板46は、このほかにも、不必要な領
域へのレーザ照射を防いだり、既に磁化パターンを形成
した領域への再照射を防ぐ機能を有するが、必要に応じ
て設ければよい。設ける位置は限られないが、マスク1
2の直前または直後が望ましい。以上説明したように、
本発明において使用する光学系の構成及び順序は必要に
応じて様々に変形が可能である。
【0115】第二外部磁界印加手段8はディスクのどち
らの面から印加してもよいが、上記態様においては、磁
気ディスク1のレーザ照射面に対して反対側に配したの
でレーザを遮ることがない。なお、磁界印加手段62
は、磁気ディスク1の両面側に設けても良く、このよう
に磁気ディスク1を挟んで磁界印加手段62を設けれ
ば、磁気ディスク1に磁化パターンを形成するのに適し
た外部磁界を磁気ディスク1にかけることができるよう
になる。
【0116】次に、本実施形態で使用するエネルギ線1
1の好ましい条件を説明する。エネルギ線11として
は、記録層表面を部分的に加熱できればよいが、不要な
部分へのエネルギ線の照射を防げることからレーザが好
ましい。特にパルスレーザ光源の使用が好適である。パ
ルスレーザ光源はレーザをパルス状に断続的に発振する
ものであり、連続レーザを音響光学素子(AO)や電気
光学素子(EO)などの光学部品で断続させパルス化す
るのに比して、パワー尖頭値の高いレーザをごく短時間
に照射することができ熱の蓄積が起こりにくく非常に好
ましい。
【0117】連続レーザを光学部品によりパルス化した
場合、パルス内ではそのパルス幅に亘ってほぼ同じパワ
ーを持つ。一方パルスレーザ光源は、例えば光源内で共
振によりエネルギーをためて、パルスとしてレーザを一
度に放出するため、パルス内では尖頭のパワーが非常に
大きく、その後小さくなっていく。本発明では、コント
ラストが高く精度の高い磁化パターンを形成するため
に、ごく短時間に急激に加熱しその後急冷させるのが好
ましいため、パルスレーザ光源の使用が適している。
【0118】磁化パターンが形成される磁気ディスク面
は、パルス状エネルギ線の照射時と非照射時で温度差が
大きい方が、パターンのコントラストを上げ、或いは記
録密度を上げるために好ましい。従ってパルス状エネル
ギ線の非照射時には室温以下程度になっているのが好ま
しい。室温とは25℃程度である。エネルギ線の波長
は、1100nm以下であることが好ましい。これより
波長が短いと回折作用が小さく分解能が上がるため、微
細な磁化パターンを形成しやすい。更に好ましくは、6
00nm以下の波長である。高分解能であるだけでな
く、回折が小さいため間隙によるマスクと磁気ディスク
のスペーシングも広くとれハンドリングがしやすく、磁
化パターン形成装置が構成しやすくなるという利点が生
まれる。また、波長は150nm以上であるのが好まし
い。150nm未満では、マスクに用いる合成石英の吸
収が大きくなり、加熱が不十分となりやすい。波長を3
50nm以上とすれば、光学ガラスをマスクとして使用
することもできる。
【0119】具体的には、エキシマレーザ(248n
m)、YAGのQスイッチレーザ(1064nm)の2
倍波(532nm)、3倍波(355nm)、或いは4
倍波(266nm)、Arレーザー(488nm、51
4nm)、ルビーレーザー(694nm)などである。
パルス状エネルギ線の1パルス当たりのパワーは100
0mJ/cm2以下とすることが好ましい。これより大
きなパワーをかけると、パルス状エネルギ線によって該
磁気ディスク表面が損傷を受け変形を起こす可能性があ
る。変形により粗度Raが3nm以上やうねりWaが5
nm以上に大きくなると、浮上型/接触型ヘッドの走行
に支障を来すおそれがある。
【0120】より好ましくは500mJ/cm2以下で
あり、更に好ましくは100mJ/cm2以下である。
この領域であると比較的熱拡散の大きな基板を用いた場
合でも分解能の高い磁化パターンが形成しやすい。ま
た、パワーは10mJ/cm2以上とするのが好まし
い。これより小さいと、磁性層の温度が上がりにくく磁
気転写が起こりにくい。
【0121】本実施形態で用いる基板がAl等の金属又
は合金である場合は、熱伝導率が大きいことから、局所
に与えた熱が所望の部位以外にも広がってしまい磁化パ
ターンを歪ませることが無いよう、また、過剰なエネル
ギーによって基板に物理的な損傷が起きないよう、該パ
ワーは30〜120mJ/cm2の範囲であることが好
ましい。
【0122】基板がガラス等のセラミックスである場合
はAl等に比して熱伝導が少なく、パルス状エネルギ線
照射部位での熱の蓄積が多いことから、該パワーは10
〜100mJ/cm2の範囲であることが好ましい。基
板がポリカーボネイト等の樹脂である場合は、パルス状
エネルギ線照射部位での熱の蓄積が多くガラス等に比し
て融点が低いことから、該パワーは10〜80mJ/c
2の範囲であることが好ましい。
【0123】また、エネルギ線による磁性層、保護層、
潤滑層の損傷が心配される場合は、パルス状エネルギ線
のパワーを小さくして、該パルス状エネルギ線と同時に
印加される磁界強度を上げるといった手段を取ることも
できる。例えば、面内記録媒体の場合は、常温での保磁
力の25〜75%、垂直記録の場合には、1から50%
のできるだけ大きな磁界をかけ、照射エネルギーを下げ
る。
【0124】なお、保護層と潤滑層を介してパルス状エ
ネルギ線を照射するにあたり、潤滑剤の受けるダメージ
(分解、重合)等も考慮し、照射後に再塗布するなどの
必要がある場合がある。パルス状エネルギ線のパルス幅
は、1μsec以下であることが望ましい。これよりパ
ルス幅が広いと該磁気ディスクにパルス状エネルギ線に
て与えたエネルギによる発熱が分散して、分解能が低下
しやすい。1パルス当たりのパワーが同じである場合、
パルス幅を短くし一度に強いエネルギを照射した方が、
熱拡散が小さく磁化パターンの分解能が高くなる傾向に
ある。より好ましくは100nsec以下である。この
領域であるとAlなど金属の比較的熱拡散の大きな基板
を用いた場合でも分解能の高い磁化パターンが形成しや
すい。即ち、分解能を重視すれば、パルス幅は短いほど
良い。また、パルス幅は1nsec以上であるのが好ま
しい。磁性層の磁化反転が完了するまでの時間、加熱を
保持しておくのが好ましいからである。
【0125】なお、パルス状レーザの一種として、モー
ドロックレーザのようにピコ秒、フェムト秒レベルの超
短パルスを高周波で発生できるレーザがある。超短パル
スを高周波で照射している期間においては、各々の超短
パルス間のごく短い時間はレーザが照射されないが非常
に短い時間であるため加熱部はほとんど冷却されない。
すなわち、一旦キュリー温度以上に昇温された領域はキ
ュリー温度以上に保たれる。
【0126】従ってこのような場合、連続照射期間(超
短パルス間のレーザが照射されない時間も含めた連続照
射期間)を1パルスとする。また連続照射期間の照射エ
ネルギ量の積分値を1パルス当たりのパワー(mJ/c
2)とする。磁気ディスクへの外部磁界の印加方向
は、周方向、半径方向、板面に垂直方向のいずれかをと
るのが好ましい。
【0127】磁性層に外部磁界を印加する手段は、磁気
ヘッドを用いてもよいし、電磁石または、永久磁石を所
望の磁化方向に磁界が生じるよう複数個配置して用いて
もよい、更にそれらの異なる手段を組み合わせて使用し
てもよい。本実施形態においては、結像手段と磁気ディ
スクとの間には焦点距離分の十分なスペーシングがあ
り、従来の転写技術で問題になっているダスト挟み込み
による磁気ディスクの損傷、磁気ディスクのうねりによ
る他構成部品との接触による損傷の心配がなくなる。
【0128】結像面までの距離は予め決まるため、その
距離になるよう磁気ディスクとの間隔を調節する。磁化
パターンを形成する際には、エネルギ線の光源とマスク
手段との間、又はマスク手段と該磁気ディスクとの間
に、エネルギ線を部分的に遮光可能な遮光板を設けて、
エネルギ線の再照射を防ぐ構造とするのが好ましい。
【0129】遮光板としては、使用するエネルギ線の波
長を透過しないものであればよく、エネルギ線を反射又
は吸収すればよい。ただし、エネルギ線の熱を吸収する
と加熱し磁化パターンに影響を与えやすいため、熱伝導
率がよく反射率の高いものが好ましい。例えば、Cr、
Al、Feなどの金属板である。本実施形態において
は、磁性層を局所的に加熱する工程と、磁性層に外部磁
界を印加する工程の組み合わせとして以下の態様をとり
うる。
【0130】態様1:加熱と同時に弱い外部磁界を印加
することで、加熱部のみ外部磁界の方向に磁化して、磁
化パターンを形成する方法。これによれば簡便に磁化パ
ターンを形成することができ、かつ外部磁界も弱いもの
でよい。態様2:加熱前に強い外部磁界で磁性層を所望
の方向に均一に磁化し、その後所望部位を加熱すると同
時に弱い磁界を加熱前とは逆方向に印加磁化することで
磁化パターンを形成する方法。これによれば、信号強度
が強く、C/N及びS/Nが良好な磁化パターンが得ら
れる。
【0131】以下、各態様について説明する。態様1の
加熱と同時の外部磁界の方向は、磁気ディスクの磁性層
の種類によって異なる。磁化容易軸が面内方向にある磁
気ディスクの場合には、磁性層が、データの書込み/再
生ヘッドの走行方向(磁気ディスクとヘッドの相対移動
方向)と同一又は逆方向に磁化されるように印加する。
さらに、磁気ディスクの半径方向に磁化するように印加
することも可能である。磁化容易軸が面内方向に垂直に
ある場合には、磁性層が、該垂直方向のいずれかに磁化
されるように印加する。
【0132】また、磁界の強さは、磁気ディスクの磁性
層の特性によって異なるが磁性層の室温での保磁力より
小さい磁界とする。好ましくは磁性層の室温での保磁力
の1/8以上の磁界とする。これより弱いと、加熱部
が、冷却時に周囲の磁区からの磁界の影響をうけて再び
周囲と同じ方向に磁化されてしまう可能性がある。ただ
し、磁性層の室温での保磁力の2/3倍以下とするのが
好ましい。これより大きいと、加熱部の周囲の磁区も影
響を受けてしまう可能性がある。より好ましくは1/2
倍以下である。
【0133】加熱は、磁性層の保磁力の低下が見られる
温度まで加熱できればよいが、例えば磁性層のキュリー
温度近傍である。好ましくは100℃以上に加熱する。
100℃未満で外部磁界により影響を受けるような磁性
層は、室温での磁区の安定性が低い傾向がある。また、
加熱温度は400℃以下とするのが好ましい。これを超
えると、磁性層が変形してしまう可能性がある。
【0134】態様2の加熱前の外部磁界の方向は、磁気
ディスクの磁性層の種類によって異なる。磁化容易軸が
面内方向にある磁気ディスクの場合には、磁性層が、デ
ータの書込み/再生ヘッドの走行方向(磁気ディスクと
ヘッドの相対移動方向)と同一又は逆方向に磁化される
ように印加する。さらに、磁気ディスクが円板状である
場合には、その半径方向に磁化するように印加すること
も可能である。磁化容易軸が面内方向に垂直にある場合
には、磁性層が、該垂直方向のいずれかに磁化されるよ
うに印加する。
【0135】磁界の強さは磁気ディスクの磁性層の特性
によって異なり、磁性層の室温での保磁力の2倍以上の
磁界によって磁化することが好ましい。これより弱いと
磁化が不十分となる可能性がある。ただし、磁界印加に
用いる着磁装置の能力上、磁性層の室温での保磁力の5
倍以下とするのが好ましい。態様2において、加熱と同
時に印加する磁界の方向は、加熱前の磁界の方向とは逆
方向である。
【0136】磁界の強さは、態様1の、加熱と同時の外
部磁界の強さと同様である。また、加熱温度についても
態様1と同様である。以上述べたような条件を最適化す
ることにより、磁化パターンをより精度良く形成でき、
かつ出力信号の品質を上げることができる。すなわち磁
化遷移幅が小さく磁区の境界での磁化遷移が非常に急峻
で出力信号の品質が高いパターンが形成できる。条件を
選べば磁化遷移幅1μm以下、さらには0.5μm以
下、0.3μm以下も可能となる。
【0137】本実施形態において磁化遷移幅は、磁化パ
ターンを磁気ヘッドにより再生した再生信号波形の最大
磁化の50%の磁化のパルス幅(即ち、半値幅)を言
う。さらに、本発明の方法は、従来のレーザービームに
より凹凸パターンを形成する方法に比べて、レーザービ
ーム強度を低く抑えることができる点でも有利であり、
また凹凸が無いため浮上ヘッドが不安定となることもな
い。
【0138】これによれば、磁化パターンを形成するに
あたり、局所加熱手段による局所加熱と外部磁界印加手
段による外部磁界印加を組み合わせるので、従来のよう
な強力な外部磁界印加手段を用いなくても磁化パターン
が形成できる。そして、加熱領域以外に磁界が印加され
ても磁化されないので、磁区形成を加熱領域に限定でき
る。このため、磁区境界が明瞭であり、磁化遷移幅が小
さく磁区の境界での磁化遷移が非常に急峻で出力信号の
品質が高いパターンが形成できる。条件を選べば磁化遷
移幅を1μm以下にすることも可能である。
【0139】本技術によれば、従来の磁気転写技術のよ
うに真空吸着などによって磁気ディスクとマスターディ
スクを一体に圧着する必要がないので、複雑なディスク
保持手段を設ける必要がない。また、従来は磁気ディス
クの交換ごとにマスクも吸着・解除を繰り返す必要があ
ったが、本技術によればマスクは一旦取り付ければ外す
必要がない。さらに、ディスクとマスクとが離間されて
いるので、ディスクやマスクの取付け、取り外しなどの
ハンドリングが行いやすい。
【0140】また、局所加熱にとしてエネルギ線を用い
るので、加熱する部位やパワーの制御がしやすい。さら
に、縮小結像技術を用いるので、従来の転写装置と比較
すると、磁気ディスクに対するマスクのアライメント精
度やマスクのパターニング精度が同じであれば、より微
細な磁化パターンが精度良く形成できる。
【0141】マスクとしてエネルギ線を部分的に透過す
る透過部を有するマスク、いわゆるフォトマスクを用い
ると、作成が容易で良好な加工精度が得られやすいの
で、精度のよいマスクが得られ、より精度の良い磁化パ
ターンが形成できる。エネルギ線源としては記録層表面
を部分的に加熱できればよいが、不要な部分へのエネル
ギ線の照射を防げることからレーザ光源が好ましい。
【0142】磁化遷移幅を急峻にするためには、エネル
ギ線の照射時と非照射時で温度差が大きく、熱の蓄積が
起こりにくいパルス状のレーザが好ましい。連続レーザ
を光学部品によりパルス化してもよいが、特にパルスレ
ーザ光源の使用が好適である。パルスレーザ光源はレー
ザをパルス状に断続的に発振するものであり、パワー尖
頭値の高いレーザをごく短時間に照射することができ熱
の蓄積が起こりにくい。
【0143】マスクの前にコンデンサレンズ44やホモ
ジナイザ80を設けると、エネルギ線の強度分布を均一
にでき、かつエネルギ線を効率よく結像レンズに集める
ことができ、好ましい。ところで、高い解像度が得られ
るようにしながら、磁気ディスク1に磁化パターンを形
成するのにかかる時間をできるだけ短縮し、高生産性を
実現したいという要請がある。
【0144】しかし、磁化パターン形成時間をできるだ
け短縮するために、例えば磁気ディスク1の広範囲(例
えば全面)にわたってエネルギ線11を照射して、磁気
ディスク1の広範囲にわたって一度に磁化パターンを形
成することが考えられるが、これでは照射光学系63
(特に光源41)として大型のものが必要になり、高価
なものとなる。
【0145】このため、照射光学系63(特に光源4
1)として、小型で、安価なもの[磁気ディスク1上の
狭い範囲だけしか照射できないもの(即ち、結像範囲が
狭いもの)]を採用しながら、できるだけ短時間で、効
率的に磁化パターンの形成を行なえるようにしたい。特
に、磁気ディスク1が面内磁気記録媒体である場合に
は、磁化パターンを形成するのにディスク周方向への磁
界をかける必要があるが、一度に磁気ディスク1の全面
に対してディスク周方向への磁界をかえるのは難しい。
このため、磁気ディスク1の全面に磁化パターンを形成
するのに、磁気ディスク1のディスク周方向に沿って分
割した狭い範囲(例えば円弧の短い扇形)毎に間歇的に
磁化パターンを書き込んでいくのが効率的である。
【0146】そこで、本実施形態では、照射光学系63
によってエネルギ線11の照射方向(エネルギ線11の
向き,エネルギ線11の照射角度)を変えて、磁気ディ
スク1の一部領域毎に、順次、エネルギ線11を照射す
ることで、磁気ディスク1上の一部領域を照射しうるス
リット状(磁気ディスク1の半径方向の略全長にわたっ
て延びるスリット;例えば略扇形又は略四角形)のエネ
ルギ線11をディスク面上を二次元的にスキャン(走
査)させて、磁気ディスク1の全面に磁化パターンを形
成するようにしている。
【0147】ここでは、磁気ディスク1の一部領域を、
磁気ディスク1の半径方向の略全長にわたって延びる領
域としている。つまり、エネルギ線11を、その照射領
域が磁気ディスク1の半径方向の略全長にわたって延び
るスリット状エネルギ線としている。そして、コントロ
ーラ68が、エネルギ線11の照射方向を変えてエネル
ギ線11の照射位置を磁気ディスク1及びマスク12の
周方向へ向けて移動させるように制御して、スリット状
エネルギ線11を磁気ディスク1及びマスク12の周方
向へ向けて走査させ、マスク12に形成されたパターン
を等倍率又は所定の縮小倍率で投影して磁気ディスクに
所望の磁化パターンを形成するようにしている。
【0148】これにより、照射光学系63(特に光源4
1)を、小型で、安価なものとしながら、短時間で、効
率的に磁化パターンの形成が行なえるようになる。ここ
では、照射光学系63の光源41としては、上述したよ
うに種々のものを用いることができるが、特に、本実施
形態では、繰り返し速度が遅いものの、1パルス当たり
のエネルギが大きいエキシマレーザを用いている。
【0149】この場合、後述するように、磁気ディスク
1に対して比較的広い照射面積でレーザを照射すること
が可能となり、磁気ディスク1の一部領域(磁気ディス
ク1の半径方向の略全長にわたって延びる領域;例えば
略扇形領域,略四角形領域)に対して同時に(一括し
て)レーザ(エネルギ線)を照射しうるようになってい
る。そして、後述するように、ホモジナイザ80を1回
転させるだけで、磁気ディスク1の全面に磁化パターン
を形成できるようにしている。これにより、磁化パター
ン形成にかかる時間を短縮でき、また、エネルギ線(ビ
ーム)を磁気ディスク1の半径方向へ向けて移動させる
ための移動機構も必要ないため、装置構成の複雑化,高
コスト化を避けることができる。
【0150】ここで、エキシマレーザは比較的高い出力
が得られるため、磁気ディスク1の半径方向の略全長に
わたって延びる一部領域に対して、同時に(一括して)
照射しても、磁気ディスク1を磁化可能な温度まで加熱
することが可能である(単位照射面積当たりのエネルギ
を十分なものに確保できる)。なお、ここでは、磁気デ
ィスク1に照射されるエネルギ線11は投影光学系63
によって縮小投影するようになっているため、磁気ディ
スク1の一部領域に対してエネルギ線11を照射するた
めには、この磁気ディスク1の一部領域に対応するマス
ク12の一部領域(マスク12の半径方向の略全長にわ
たって延びる領域;例えば略扇形領域,略四角形領域)
を照射しうるものとして構成することになる。
【0151】また、本実施形態では、上述のように、照
射光学系63に、エネルギ線11のエネルギ分布を変え
る(通常は均一にする)機能を有するホモジナイザ80
が備えられているため、このホモジナイザ80を用い
て、エネルギ線11の照射方向(エネルギ線の向き,エ
ネルギ線の照射角度)を変えることで、スリット状エネ
ルギ線11を磁気ディスク及びマスクの周方向へ向けて
走査させるようにしている。
【0152】ここで、ホモジナイザ80とは、エネルギ
線(エネルギビーム,レーザビーム)を、一旦、光学的
に複数の小領域に分割した後、各領域に分割されたエネ
ルギビームを照射部(照射すべき一部領域)の全体に重
ね合わせてパワー分布(エネルギ密度分布)を均一化す
る装置(光学部品)であって、例えばプリズムアレイ
(多シリンドリカルレンズ)やフライアイレンズ(蝿の
目レンズ)などの総称である。
【0153】例えば、図8中、符号80A,80Bで示
す多シリンドリカルレンズの組み合わせがホモジナイザ
80である。このようなホモジナイザ80を用いてエネ
ルギ線11の均一化処理を行なうと、エネルギ線11を
無駄なく使用でき、使用効率が良い。本実施形態におい
ては、磁性層の加熱には高強度のエネルギ線11を短時
問照射するのがよく、このためにはエネルギ線11を無
駄なく使用できるようにするのは好ましい。
【0154】図9は、エネルギ線の強度分布の一例と分
割方法を説明するための模式図である。図9では、ビー
ム形状が楕円形のエネルギ線が、短軸方向分布111及
び長軸方向分布112を持つ。このとき、プリズムアレ
イ(多シリンドリカルレンズ)等でビームの短軸方向の長
さを例えば3分割したのち重ね合わせることで、強度の
違いを分散でき、短軸方向の強度分布をある程度均一化
できる。また、同じくプリズムアレイ(多シリンドリカ
ルレンズ)等でビームの長軸方向の長さを例えば7分割
したのち重ね合わせることで、長軸方向の強度分布をあ
る程度均一化できる。両方を併せて行えば、全体として
均一性の増した、強度分布の小さいビームが得られる。
ただし必要に応じて1軸方向だけ行っても良い。強度分
布が大きいときは、分割数が多くすることにより均一性
を増すことができる。
【0155】同じ軸方向のプリズムアレイを2枚以上通
すと、分割数を増したのと同じ効果を得ることができ
る。あるいは、2軸方向にレンズが多数形成されたフラ
イアイレンズなどを用いて2軸方向を一度に分割しても
良い。上記処理だけでは均一化が不十分な場合には、遮
光板を併用することにより、ビームの周辺部分をカット
したり絞り込むことによって更なる均一化を図っても良
い。
【0156】このようなホモジナイザ80は、上述のよ
うにエネルギ分布を均一化させるだけでなく、一旦、分
割したエネルギビームを集光する際に、特定の形状に集
光することもできるため、本実施形態では、この機能を
利用して、エネルギビームを所望の形状(例えば扇形や
四角形,長方形)に整形して、マスク12や磁気ディス
ク1へ照射するようになっている。
【0157】特に、本実施形態では、ホモジナイザ80
は、照射光学系63に回転可能に取り付けられており、
後述するホモジナイザ用アクチュエータ81によって回
転させられるようになっている。そして、ホモジナイザ
80を回転させることによって、ホモジナイザ80を通
って照射されるエネルギ線11の照射方向(エネルギ線
11の向き,エネルギ線11の照射角度)を変えること
ができるようになっている。つまり、ホモジナイザ80
を回転させて、ホモジナイザ80によって所望の形状に
整形されるエネルギ線11の照射方向(エネルギ線11
の向き,エネルギ線11の照射角度)を変化させること
で、エネルギ線11の照射位置を、磁気ディスク1の周
方向へ向けて、順次、移動させる(ずらす)ことができ
るようになっている。
【0158】ここでは、エネルギ線11の照射位置が、
磁気ディスク1の周方向へ向けて順番にずれていくよう
に(即ち、スリット状エネルギ線11を磁気ディスク1
及びマスク12の周方向へ向けて走査させるべく)、エ
ネルギ線11の照射方向を変えるようになっている。こ
のように、エネルギ線11の照射位置を磁気ディスク1
の周方向へ向けて、順次移動させながら、エネルギ線1
1をスキャンさせる。これをθ方向スキャン(周方向ス
キャン)という。
【0159】また、本実施形態では、マスク12に形成
されるマスクパターンは、磁気ディスク1に形成すべき
全ての磁化パターンを拡大したものとして構成してい
る。投影光学系64は、マスクパターンの全てを磁気デ
ィスク1に投影しうるものとしている。つまり、投影光
学系64は、その視野がマスク12のパターン形成領域
の全体をカバーするように構成されており、磁気ディス
ク1のパターン形成領域のいずれの位置に対してもエネ
ルギ線11を照射することができ、磁気ディスク1のパ
ターン形成領域の全体にマスクパターンの全てを投影し
うるようになっている。
【0160】このように、マスクパターンの全てを投影
しうるものとするためには、投影光学系64は、例えば
直径20〜30cmぐらいの大径のレンズを備えるもの
とする必要がある。磁界印加手段62は、上述のように
構成されるが(図3,図5参照)、磁気ディスク1の一
部領域(エネルギ線の照射位置に対応する領域)に外部
磁界を印加するものとする。
【0161】これは、エネルギ線11を照射する照射領
域(照射位置)のみに外部磁界を印加すれば十分であ
り、磁界印加手段62にかかるコストを低く抑え、効率
的に外部磁界を印加するためである。また、本実施形態
では、磁気ディスク1が面内方向(周方向)へ磁化させ
る面内磁気記録媒体であるため、磁気ディスク1の全面
に一度(同時)に外部磁界を印加するのは難しいからで
ある。
【0162】なお、磁気ディスク1の全面に一度(同
時)に外部磁界を印加するものとしても良い。例えば、
磁気ディスク1が垂直方向へ磁化させる垂直磁気記録媒
体である場合には、磁界印加手段62は、磁気ディスク
1の全面に外部磁界を印加しうるものとして構成すれば
よい。例えば、磁気ディスク1の直径よりも大径の円筒
型永久磁石やソレノイドを用いることができる。
【0163】ところで、エネルギ線11を磁気ディスク
1及びマスク12の周方向へスキャンさせるために、本
実施形態では、ディスクステージ60及びマスクステー
ジ61(即ち、磁気ディスク1及びマスク12)、投影
光学系64の位置を固定したままの状態で、照射光学系
63を通じて照射されるエネルギ線11の照射方向(エ
ネルギ線11の向き,エネルギ線11の照射角度)を変
えてエネルギ線11の照射位置を変えるとともに、エネ
ルギ線11の照射位置に応じて磁界印加手段62の位置
を移動させるようにしている。
【0164】つまり、ディスクステージ60とマスクス
テージ61とを間隔を置いて互いに平行になるように配
設するとともに、投影光学系64の出射部がディスクス
テージ60に対向し、投影光学系64の入射部がマスク
ステージ61に対向するように、ディスクステージ60
とマスクステージ61との間に投影光学系64をディス
クステージ60及びマスクステージ61に直角に配設し
ている。
【0165】そして、ディスクステージ60及びマスク
ステージ61と投影光学系64との配置関係を維持し、
これらを固定したままの状態で、照射光学系63によっ
てエネルギ線11の照射方向(エネルギ線11の向き,
エネルギ線11の照射角度)を変えてエネルギ線11の
照射位置を磁気ディスク1の周方向へ移動させるととも
に、エネルギ線11の照射位置に応じて磁界印加手段6
2の位置を移動させるようにしている。
【0166】このため、本磁化パターン形成装置は、図
1に示すように、照射光学系63に備えられるホモジナ
イザ80を回転駆動するホモジナイザ用アクチュエータ
(ホモジナイザ用駆動手段,照射位置周方向移動手段)
81と、磁界印加手段62を回転駆動する磁界印加手段
用アクチュエータ70と、これらのホモジナイザ用アク
チュエータ81及び磁界印加手段用アクチュエータ70
の作動を制御するコントローラ(制御手段)68とを備
えている。なお、コントローラ68は、ディスク用スピ
ンドルモータ2及びマスク用スピンドルモータ65の作
動も制御する。
【0167】このうち、ホモジナイザ用アクチュエータ
81は、ホモジナイザ80に取り付けられており、エネ
ルギ線11の照射方向(エネルギ線の向き,エネルギ線
の照射角度)を変えて、固定されたままの状態の磁気デ
ィスク1,マスク12及び投影光学系64に対して、エ
ネルギ線11の照射位置が磁気ディスク1の周方向へ向
けて順次移動しうるように、ホモジナイザ80を回転駆
動するものである。
【0168】つまり、ホモジナイザ用アクチュエータ8
1は、制御手段68からの制御信号(作動信号)に基づ
いて作動するようになっており、これによりホモジナイ
ザ用アクチュエータ81が作動すると、エネルギ線11
の照射方向が変わり、照射光学系63を通じて照射され
るエネルギ線11の照射位置が、磁気ディスク1の周方
向へ向けて、順次、移動するようになっている。ここで
は、ホモジナイザ80が1回転すると、エネルギ線11
の照射位置が磁気ディスク1の全周を移動するようにな
っている。
【0169】これにより、照射光学系63を通じて照射
されるエネルギ線11の照射位置を、磁気ディスク1の
全周にわたって移動させることができるようになってい
る。磁界印加手段用アクチュエータ70は、磁界印加手
段62に取り付けられており、固定されたままの状態の
磁気ディスク1,マスク12及び投影光学系64に対し
て、磁界印加手段62を回転駆動するものである。
【0170】つまり、磁界印加手段用アクチュエータ7
0は、制御手段68からの制御信号(作動信号)に基づ
いて作動するようになっており、これにより磁界印加手
段用アクチュエータ70が作動すると、磁界印加手段6
2が、エネルギ線11の照射位置に対応して、磁気ディ
スク1の周方向へ向けて、順次、移動するようになって
いる。
【0171】これにより、照射光学系63を通じて照射
されるエネルギ線11の照射位置が、順次、移動してい
く際に、磁界印加手段62によって外部磁界を印加され
る磁気ディスク1の一部領域も、これに伴って移動して
いくようになっている。制御手段68は、エネルギ線1
1の照射位置と、磁界印加手段62によって外部磁界を
印加する領域とを同期して移動させるべく、ホモジナイ
ザ用アクチュエータ81及び磁界印加手段用アクチュエ
ータ70に対して制御信号を出力して、これらの作動を
制御する機能を有する。
【0172】本実施形態にかかる磁化パターン形成装置
は、上述のように構成されるため、以下のように動作す
る。つまり、基板上に磁性層22aを有してなる磁気デ
ィスク1に、エネルギ線11をマスク12を介して照射
して磁性層22aを加熱すると同時に、磁性層22aの
加熱部分に磁界印加手段62(8)によって外部磁界を
印加して、磁気ディスク1に所望の磁化パターンを形成
する際に、ホモジナイザ用アクチュエータ81によって
ホモジナイザ80を回転させてエネルギ線11の照射方
向を変えるとともに、これと同期して磁界印加手段用ア
クチュエータ70によって磁界印加手段62を回転させ
ることによって、スリット状(例えば略扇形又は略四角
形)のエネルギ線11の照射位置を磁気ディスク1及び
マスク12の周方向へ向けて順次移動させる。
【0173】したがって、本実施形態にかかる磁化パタ
ーン形成装置及び磁化パターン形成方法によれば、局所
加熱と外部磁界印加を組み合わせて磁気ディスク1に磁
化パターンを形成する場合に、微細な磁化パターンを効
率よく更に精度よく形成することができるようになり、
ひいては、より高密度記録が可能な磁気ディスク及び磁
気記録装置を短時間かつ安価に提供できるようになると
いう利点がある。
【0174】特に、照射光学系63(特に光源41)と
して大型のものを採用することなく、小型で、安価なも
の[磁気ディスク1上の狭い範囲だけしか照射できない
もの(即ち、結像範囲が狭いもの)]を採用しながら、
磁気ディスク1への磁化パターンの形成を、短時間で、
効率的に行なえるようになり、高生産性を実現できると
いう利点もある。
【0175】特に、本実施形態では、磁気ディスク1及
びマスク12を固定したままの状態とし、照射光学系6
4のホモジナイザ80を回転させることによってエネル
ギ線11の照射方向を変えることで、エネルギ線11の
照射位置を変えるようにしており、マスク12と磁気デ
ィスク1との相対位置は常に固定されるため、マスクパ
ターン毎の精密な位置合わせが不要となるという利点が
ある。
【0176】なお、本実施形態では、ホモジナイザ80
を1回転させることで、エネルギ線11の照射位置を磁
気ディスク1の全周にわたって移動させて、磁気ディス
ク1の全ての領域を照射するようにしているが、これに
限られるものではなく、エネルギ線11の照射位置を磁
気ディスク1の周方向へ移動させて、磁気ディスク1に
磁化パターンを形成していくものであれば良い。
【0177】例えば、ホモジナイザ80を半回転だけ可
能なものとして構成し、ホモジナイザ80を半回転させ
ることで、エネルギ線11の照射位置を磁気ディスク1
の半周にわたって移動させて、磁気ディスク1の半分の
領域に磁化パターンを形成し、次に、コントローラ68
からの制御信号に基づいてディスク用スピンドルモータ
2及びマスク用スピンドルモータ65を作動させ、磁気
ディスク1及びマスク12を半回転させた後、同様に、
ホモジナイザ80を半回転させることで、エネルギ線1
1の照射位置を磁気ディスク1の半周にわたって移動さ
せて、磁気ディスク1の残りの半分の領域に磁化パター
ンを形成するようにしても良い。なお、当然のことなが
ら、エネルギ線11の照射位置の移動は半周でなくても
良く、任意に設定することができる。
【0178】また、上述の本実施形態では、ホモジナイ
ザ80を回転させることで、ホモジナイザ80によって
所望の形状に整形されるエネルギ線11の照射方向(エ
ネルギ線の向き,エネルギ線の照射角度)を変化させ
て、エネルギ線11の照射位置を移動させるようにして
いるが、これに限られるものではなく、他の方法によっ
て(例えばモータ等で制御されるミラーやプリズム等を
用いて)、エネルギ線11の照射方向(エネルギ線の向
き,エネルギ線の照射角度)を変化させて、エネルギ線
11の照射位置を移動させるようにしても良い。
【0179】ところで、上述の実施形態では、エネルギ
線11を照射する磁気ディスク1の一部領域を、磁気デ
ィスク1の半径方向の略全長にわたって延びる領域と
し、この一部領域を一括照射(同時照射,一部領域全面
照射)しうるように構成して(例えば光源としてエキシ
マレーザを用い、ホモジナイザ80によって照射領域を
調整する)、コントローラ68によってホモジナイザ8
0を制御し、エネルギ線11の照射方向を変えてエネル
ギ線11の照射位置を磁気ディスク1及びマスク12の
周方向へ向けて移動させるようにしているが、これに限
られるものではなく、エネルギ線11の照射方向を変え
て磁気ディスク1の一部領域毎にエネルギ線を照射する
ようにすれば良く、例えば、以下のように構成すること
もできる。
【0180】磁気ディスク1の一部領域を、磁気ディ
スク1の周方向及び半径方向の一部を占める領域(磁気
ディスクの磁化パターン形成領域の半径方向長さよりも
小さい領域;例えば扇形状又は四角形状領域)とし、こ
の一部領域を一括照射しうるように構成する(例えば光
源としてエキシマレーザを用い、ホモジナイザや遮光板
等によって照射領域を調整する)。
【0181】また、照射光学系63は、磁気ディスク1
の一部領域を照射すべく例えば扇形状又は四角形状に整
形されたエネルギ線(スリット状エネルギ線)11の照
射位置を、磁気ディスク1の半径方向へ沿って移動させ
る照射位置移動手段(照射位置半径方向移動手段)を備
えるものとして構成する。
【0182】ここで、照射位置移動手段としては、例え
ば、照射光学系63の一部又は全部をスライダー上に載
せ、例えばリニアモータ等によって移動させることでエ
ネルギ線11の照射位置を移動させるものとして構成す
ることができる。また、ガルバノメータ及びf−θレン
ズを用いてもよい。この場合、エネルギ線11を、ガル
バノメータを通して角度を随時変化させながら、f−θ
レンズに入射させることでエネルギ線11の照射位置を
移動させることもできる。
【0183】そして、コントローラ68によってホモジ
ナイザ80を制御して、エネルギ線11の照射方向を変
えてエネルギ線11の照射位置を磁気ディスク1及びマ
スク12の周方向へ向けて移動させるとともに、コント
ローラ68によって照射位置移動手段を制御して、エネ
ルギ線11の照射位置を磁気ディスク1及びマスク12
の半径方向へ向けて移動させるようにする。
【0184】この場合、例えば、まず磁気ディスク1の
最内周側(又は最外周側)の領域に対して、エネルギ線
11の照射位置を磁気ディスク1及びマスク12の周方
向へ向けて所定量だけ移動させることで、一部領域毎に
エネルギ線11を照射して磁化パターンを形成する。
【0185】次に、エネルギ線11の照射位置を磁気デ
ィスク1及びマスク12の半径方向へ向けて所定量だけ
移動させて、磁気ディスク1の半径方向位置を変えて、
磁気ディスク1の最内周側領域(又は最内周側領域)に
隣接する領域に対して、同様に、エネルギ線11の照射
位置を磁気ディスク1及びマスク12の周方向へ向けて
所定量だけ移動させることで、一部領域毎にエネルギ線
11を照射して磁化パターンを形成する。
【0186】そして、これらの処理を繰り返すことで、
エネルギ線11の照射位置(照射方向)を変えて、磁気
ディスク1の一部領域毎にエネルギ線11を照射して、
磁気ディスク1の全面に磁化パターンを形成する。な
お、遮光板によって照射領域を調整する場合、エネルギ
線11の照射位置を変える際に、これに応じて遮光板の
位置や大きさも変える必要がある。
【0187】磁気ディスク1の一部領域を、磁気ディ
スク1の半径方向の一部を占め、磁気ディスク1の周方
向の全周に延びる領域(環状領域)とし、この一部領域
を一括照射しうるように構成する(例えば光源としてエ
キシマレーザを用い、遮光板によって照射領域を調整す
る)。また、照射光学系63は、上述のの場合と同様
に、照射位置移動手段を備えるものとして構成する。
【0188】そして、コントローラ68によって照射位
置移動手段を制御して、エネルギ線11の照射位置を磁
気ディスク1及びマスク12の半径方向へ向けて移動さ
せるようにする。この場合、例えば、まず磁気ディスク
1の最内周側(又は最外周側)の一部領域に対してエネ
ルギ線11を照射して磁化パターンを形成する。
【0189】次に、エネルギ線11の照射位置を磁気デ
ィスク1及びマスク12の半径方向へ向けて所定量だけ
移動させて磁気ディスク1の半径方向位置を変えて、磁
気ディスク1の最内周側領域(又は最内周側領域)に隣
接する領域に対して、同様に、エネルギ線11を照射し
て磁化パターンを形成する。
【0190】そして、これらの処理を繰り返すことで、
エネルギ線11の照射位置(照射方向)を変えて、磁気
ディスク1の一部領域毎にエネルギ線11を照射して、
磁気ディスク1の全面に磁化パターンを形成する。な
お、遮光板によって照射領域を調整する場合、エネルギ
線11の照射位置を変える際に、これに応じて遮光板の
位置や大きさも変える必要がある。
【0191】照射光学系を、比較的小さなビーム形状
のスポット状(小さな四角形,楕円形又は円形)のエネ
ルギ線(例えばYAGレーザ)を照射しうるものとし、
これを磁気ディスク1に対してそのまま照射するように
構成しても良い(磁気ディスク1の一部領域を、スポッ
ト状エネルギ線11の照射領域に相当する大きさの領域
とする)。
【0192】なお、光源41としては種々のものを用い
ることができるが、エネルギ線(レーザ)をスポット状
として照射するため、高パワーで、照射範囲の広いレー
ザを使用する場合には、例えば遮光板を用いて、照射す
るレーザ光をスポット状のレーザ光に整形することにな
る。この場合、遮光板は、不必要な領域へのレーザ照射
を防いだり、既に磁化パターンを形成した領域への再照
射を防ぐ機能を有することになる。この遮光板を設ける
位置は、マスク12の直前が望ましい。なお、遮光板に
よって照射領域を調整する場合、エネルギ線11の照射
位置を変える際に、これに応じて遮光板の位置も変える
必要がある。
【0193】ここで、スポット状エネルギ線のスポット
の大きさとしては、磁気ディスク1の半径の1/10〜
1/10,000程度が好ましい。特に、スポットの大
きさ(スポット径)は半径の1/10以下とするのが好
ましい一方、あまりに小さいとパターン形成に長時間を
要することになるので、1/10,000以上とするの
が好ましい。例えば、2.5インチ径などの通常の磁気
ディスクなら、スポットの大きさ(スポット径)は約1
0μm〜約1mm程度が適当である。
【0194】ここで、スポット状エネルギ線11として
は、例えば、安定性が高いものの、繰り返し速度が速
く、1パルス当たりのエネルギが小さい、LD連続励起
によるパルスYAGレーザを用いるのが好ましい。この
場合、レーザスポットは、四角形で、大きさは例えば縦
約0.2mm、横約0.2mmである。これにより、光
源にかかるコストを低く抑えることができる。
【0195】このように、YAGレーザは比較的低い出
力しか得られないため、磁気ディスク1に対して磁化可
能な加熱性能を保持すべく、比較的小さな照射面積で
(スポット状で)レーザを照射して単位照射面積当たり
のエネルギを十分なものに確保するようにしている。こ
れにより、エネルギ線11で磁気ディスク1上を走査し
ながら照射することで、小径に絞ったビームでも広い領
域を短時間で照射できることになる。この場合、広い領
域をできるだけ短時間で走査するには、エネルギ線を短
パルスで高速に発生させることができるものが好まし
い。
【0196】また、照射光学系63は、上述のの場合
と同様に、エネルギ線11の照射位置を変える照射位置
移動手段を備えるものとして構成する。そして、コント
ローラ68によってホモジナイザ80を制御して、エネ
ルギ線11の照射方向を変えてエネルギ線11の照射位
置を磁気ディスク1及びマスク12の周方向へ向けて移
動させるとともに、コントローラ68によって照射位置
移動手段を制御して、エネルギ線11の照射位置を磁気
ディスク1及びマスク12の半径方向へ向けて移動させ
るようにする。
【0197】この場合、例えば、ホモジナイザ80を回
転させながら、照射位置移動手段によってエネルギ線の
照射位置を磁気ディスク1の半径方向に沿って直線状
(又は円弧状)に移動させることで、エネルギ線11を
二次元的(例えばうずまき状又は同心円状)に移動(走
査)させ、これにより、エネルギ線11の照射位置(照
射方向)を変えて、磁気ディスク1の一部領域毎にエネ
ルギ線11を照射して、磁気ディスク1の全面に磁化パ
ターンを形成する。
【0198】このようにホモジナイザ80を回転させな
がら、エネルギ線11を磁気ディスク1及びマスク12
の半径方向へ向けてスキャンさせるため、これをr−θ
方向スキャン(半径方向−周方向スキャン)という。こ
こでは、エネルギ線11を、磁気ディスク1の中心部近
傍から最外周部近傍まで(又は最外周部近傍から中心部
近傍まで)、1回だけ直線状(又は円弧状)に走査させ
ることで、磁気ディスク1の全面に磁化パターンを形成
する。
【0199】なお、ホモジナイザ80を回転させなが
ら、磁気ディスク1に照射されるエネルギ線11を磁気
ディスク1及びマスク12の半径方向へ向けて走査させ
る場合としては、エネルギ線11の照射位置を、磁気デ
ィスク1の中心部近傍から最外周部近傍まで(又は最外
周部近傍から中心部近傍まで)連続的に走査させること
で、エネルギ線11をうずまき状に走査させる場合と、
エネルギ線11の照射位置を、磁気ディスク1の半径方
向に沿って段階的に複数回変えることで、エネルギ線1
1を同心円状に走査させる場合とがある。
【0200】また、例えば、ホモジナイザ80の回転速
度と照射位置移動手段によるエネルギ線の照射位置の移
動速度とを制御することで、磁気ディスク1の中心部近
傍と最外周部近傍との間でエネルギ線11を往復動(走
査)させ(蛇行させ)、これにより、エネルギ線11の
照射位置(照射方向)を変えて、磁気ディスク1の一部
領域毎にエネルギ線11を照射して、磁気ディスク1の
全面に磁化パターンを形成する。
【0201】また、上述の実施形態では、照射光学系6
3の光源として、エネルギ線11を磁気ディスク1の一
部領域に一括照射しうるように、1パルス当たりのエネ
ルギが大きいエキシマレーザを使用していたが、これに
限られるものではなく、照射光学系63として、磁気デ
ィスク1の一部領域にスポット状エネルギ線11を走査
させて照射しうるものを用いても良い。
【0202】このようなスポット状エネルギ線11を用
いる場合、例えば略扇形等の一部領域内を磁気ディスク
1の半径方向に沿って直線状又は曲線状に繰り返し走査
させることで、一部領域を照射することになる。なお、
一部領域内を磁気ディスクの周方向に沿って走査させる
ようにしても良い。
【0203】また、上述の実施形態では、コントローラ
68によってホモジナイザ用アクチュエータ81の作動
を制御して、ホモジナイザ80を回転駆動するようにし
ているが、これに限られるものではなく、例えば、コン
トローラ68を設けずに、ホモジナイザ80を回転駆動
するホモジナイザ用アクチュエータ81を設け、このホ
モジナイザ用アクチュエータ81に取り付けられている
スイッチをオンにすることで、ホモジナイザ用アクチュ
エータ81を作動させて、ホモジナイザ80を回転させ
るようにしても良い。
【0204】この場合、ホモジナイザ80又は遮光板に
よって整形される磁気ディスク1の一部領域は、磁気デ
ィスクの半径方向の略全長にわたって延びる領域とす
る。また、マスク12は磁気ディスクに形成すべき全て
の磁化パターンを拡大したものとして構成する。さら
に、投影光学系64は、このマスクパターンの全てを磁
気ディスク1に投影しうるものとして構成する。また、
磁界印加手段62は、磁気ディスク1の全面に外部磁界
を印加しうるものとして構成する。
【0205】また、上述の実施形態では、磁化パターン
形成装置(方法)を所定の縮小倍率に縮小投影するもの
として説明しているが、これに限られるものではなく、
例えば等倍率や拡大倍率に投影するものでも良い。
【0206】(磁気記録装置の説明)ところで、本実施
形態にかかる磁気記録装置は、上述の磁気ディスク1
と、磁気ディスク1を記録方向に駆動する駆動部と、記
録部と再生部からなる磁気ヘッドと、磁気ヘッドを磁気
記録媒体に対して相対移動させる手段と、磁気ヘッドへ
の記録信号入力と磁気ヘッドからの再生信号出力を行う
ための記録再生信号処理手段を有する。磁気ヘッドとし
ては、高密度記録を行うため、通常は浮上型/接触型磁
気ヘッドを用いる。
【0207】微細かつ高精度なサーボパターン等の磁化
パターンが形成された磁気ディスクを用いるので、この
ような磁気記録装置は高密度記録が可能である。また、
磁気ディスクに傷がなく欠陥も少ないため、エラーの少
ない記録を行うことができる。また、磁気ディスクを装
置に組みこんだ後、上記磁化パターンを磁気ヘッドによ
り再生し信号を得、該信号を基準としてサーボバースト
信号を該磁気ヘッドにより記録してなる磁気記録装置に
用いることで、簡易に精密なサーボ信号を得ることがで
きる。
【0208】また、磁気ヘッドでのサーボバースト信号
記録後にも、ユーザデータ領域として用いられない領域
には本発明により磁化パターンとして記録した信号が残
っていると何らかの外乱により磁気ヘッドの位置ずれが
起きたときにも所望の位置に復帰させやすいので、両者
の書き込み方法による信号が存在する磁気記録装置は、
信頼性が高い。
【0209】本発明の磁気記録装置は、上述してきた磁
気ディスクを少なくとも1枚と、これを記録方向に駆動
する駆動部と、記録部と再生部からなる磁気ヘッドと、
磁気ヘッドを磁気ディスクに対して相対移動させる手段
と、磁気ヘッドへの信号入力と磁気ヘッドからの出力信
号再生を行うための記録再生信号処理手段を有する磁気
記録装置である。
【0210】また、磁気ディスクを装置に組みこんだ
後、上記磁化パターンを磁気ヘッドにより再生し信号を
得、該信号を基準としてサーボバースト信号を該磁気ヘ
ッドにより記録してなる磁気記録装置に用いても、簡易
に精密なサーボ信号を得ることが可能である。また、磁
気ヘッドでのサーボバースト信号記録後にも、ユーザデ
ータ領域として用いられない領域には本発明により磁化
パターンとして記録した信号が残っていると何らかの外
乱により磁気ヘッドの位置ずれが起きたときにも所望の
位置に復帰させやすいので、両者の書き込み方法による
信号が存在する磁気記録装置は、信頼性が高い。
【0211】磁気記録装置として代表的な、磁気ディス
ク装置を例に説明する。磁気ディスク装置は、通常、磁
気ディスクを1枚或いは複数枚を串刺し状に固定するシ
ャフトと、該シャフトにベアリングを介して接合された
磁気ディスクを回転させるモータと、記録及び/又は再
生に用いる磁気ヘッドと、該ヘッドが取り付けられたア
ームと、ヘッドアームを介してヘッドを磁気ディスク上
の任意の位置に移動させることのできるアクチュエータ
とからなり、記録再生用ヘッドが磁気ディスク上を一定
の浮上量で移動している。記録情報は、信号処理手段を
経て記録信号に変換されて磁気ヘッドにより記録され
る。また、磁気ヘッドにより読み取られた再生信号は同
信号処理手段を経て逆変換され、再生情報が得られる。
【0212】ディスク上には、情報信号が同心円状のト
ラックに沿って、セクター単位で記録される。サーボパ
ターンは通常、セクター間に記録される。磁気ヘッドは
該パターンからサーボ信号を読み取り、これによりトラ
ックの中心に正確にトラッキングを行い、そのセクター
の情報信号を読み取る。記録時も同様にトラッキングを
行う。
【0213】前述の通り、サーボ信号を発生するサーボ
パターンは、情報を記録する際のトラッキングに使用す
るという性質上、特に高精度が要求される。また現在多
く使用されているサーボパターンは、1トラックあた
り、互いに1/2ピッチずれた2組のパターンからなる
ため、情報信号の1/2のピッチ毎に形成する必要があ
り、2倍の精度が要求される。
【0214】しかしながら、従来のサーボパターン形成
方法では、外部ピンとアクチュエータの重心が異なるこ
とから生じる振動の影響でライトトラック幅で0.2〜
0.3μm程度が限界であり、トラック密度の増加にサ
ーボパターンの精度が追いつかず、磁気記録装置の記録
密度向上及びコストダウンの妨げとなりつつある。本実
施形態によれば、縮小結像技術を用いることで効率よく
精度の高い磁化パターンを形成することができるので、
従来のサーボパターン形成方法に比べて格段に低コス
ト、短時間で精度良くサーボパターンを形成でき、例え
ば40kTPI以上に磁気ディスクのトラック密度を高
めることができる。従って本磁気ディスクを用いた磁気
記録装置は高密度での記録が可能となる。
【0215】また、位相サーボ方式を用いると連続的に
変化するサーボ信号が得られるのでよりトラック密度を
上げることができ、0.1μm幅以下でのトラッキング
も可能となり、より高密度記録が可能である。前述のよ
うに、位相サーボ方式には、例えば、内周から外周に、
半径に対して斜めに直線的に延びる磁化パターンが用い
られる。このような、半径方向に連続したパターンや斜
めのパターンは、ディスクを回転させながら1トラック
ずつサーボ信号を記録する従来のサーボパターン形成方
法では作りにくく、複雑な計算や構成が必要であった。
【0216】しかし、本実施形態によれば、該形状に応
じたマスクを一旦作成すれば、マスクを通したエネルギ
線をディスク上の所望の位置で縮小結像するだけで当該
パターンを容易に形成できるため、位相サーボ方式に用
いる磁気ディスクを簡単かつ短時間、安価に作成するこ
とができる。ひいては、高密度記録が可能な、位相サー
ボ方式の磁気記録装置を提供できる。
【0217】特にビームを絞り込むことから小径の磁気
ディスクで高記録密度のものに適し、好ましくは、直径
が65mm以下の磁気ディスクに適用するのが好まし
い。より好ましくは2インチ以下、更に好ましくは1イ
ンチ以下である。さて、従来主流のサーボパターン形成
方法は、磁気ディスクを磁気記録装置(ドライブ)に組
み込んだのちに、クリーンルーム内で専用のサーボライ
ターを用いて行う。
【0218】各ドライブをサーボライターに装着し、ド
ライブ表面あるいは裏面のいずれかにある孔よりサーボ
ライターのピンを差し入れ磁気ヘッドを機械的に動かし
ながら、トラックに沿って1パターンずつ記録を行う。
このためドライブ一台あたり15〜20分程度と非常に
時間がかかる。専用のサーボライターを用い、またドラ
イブに孔を開けるためこれら作業はクリーンルーム内で
行う必要があり、工程上も煩雑でコストアップの要因で
あった。
【0219】本実施形態では、予めパターンを記録した
マスクを通してエネルギ線を照射することで、サーボパ
ターン或いはサーボパターン記録用基準パターンを一括
して記録でき、非常に簡便かつ短時間で磁気ディスクに
サーボパターンを形成できる。このようにしてサーボパ
ターンを形成した磁気ディスクを組み込んだ磁気記録装
置は、上記サーボパターン書込み工程は不要となる。
【0220】或いはサーボパターン記録用基準パターン
を形成した磁気ディスクを組み込んだ磁気記録装置は、
該基準パターンをもとにして装置内で所望のサーボパタ
ーンを書込むことができ、上記のサーボライターは不要
であり、クリーンルーム内での作業も必要ない。また、
磁気記録装置の裏側に孔を開ける必要がなく耐久性や安
全性の上でも好ましい。
【0221】さらに、本発明においては結像手段と磁気
ディスクとの間には、焦点距離に相当する間隙があるの
で、磁気ディスクと他の構成部材との接触による損傷
や、微小な塵埃やゴミの挟み込みによる磁気ディスクの
損傷を防ぎ、欠陥の発生を防ぐことができる。以上のよ
うに、本実施形態によれば高密度記録が可能な磁気記録
装置を、簡便な工程で安価に得ることができる。
【0222】磁気ヘッドとしては、薄膜ヘッド、MRヘ
ッド、GMRヘッド、TMRヘッドなど各種のものを用
いることができる。上述の磁気ヘッドの再生部をMRヘ
ッドで構成することにより、高記録密度においても十分
な信号強度を得ることができ、より高記録密度の磁気記
録装置を実現することができる。
【0223】またこの磁気ヘッドを、浮上量が0.00
1μm以上、0.05μm未満と、従来より低い高さで
浮上させると、出力が向上して高い装置S/Nが得ら
れ、大容量で高信頼性の磁気記録装置を提供することが
できる。また、最尤復号法による信号処理回路を組み合
わせるとさらに記録密度を向上でき、例えば、トラック
密度13kTPI以上、線記録密度250kFCI以
上、1平方インチ当たり3Gビット以上の記録密度で記
録・再生する場合にも十分なS/Nが得られる。
【0224】さらに磁気ヘッドの再生部を、互いの磁化
方向が外部磁界によって相対的に変化することによって
大きな抵抗変化を生じる複数の導電性磁性層と、その導
電性磁性層の間に配置された導電性非磁性層からなるG
MRヘッド、あるいはスピン・バルブ効果を利用したG
MRヘッドとすることにより、信号強度をさらに高める
ことができ、1平方インチ当たり10Gビット以上、3
50kFCI以上の線記録密度を持った信頼性の高い磁
気記録装置の実現が可能となる。
【0225】
【発明の効果】請求項1〜41記載の本発明の磁化パタ
ーン形成方法及び磁化パターン形成装置並びに磁気ディ
スク及び磁気記録装置によれば、局所加熱と外部磁界印
加を組み合わせて磁気ディスクに磁化パターンを形成す
る場合に、微細な磁化パターンを効率よく更に精度よく
形成することができるようになり、ひいては、より高密
度記録が可能な磁気ディスク及び磁気記録装置を短時間
かつ安価に提供できるようになるという利点がある。
【0226】特に、照射光学系(特に光源)として大型
のものを採用することなく、小型で、安価なもの[磁気
ディスク上の狭い範囲だけしか照射できないもの(即
ち、結像範囲が狭いもの)]を採用しながら、磁気ディ
スクへの磁化パターンの形成を、短時間で、効率的に行
なえるようになり、高生産性を実現できるという利点も
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる磁化パターン形成
装置の全体構成を説明するための模式的側面図である。
【図2】(a)は、本発明の一実施形態にかかる磁化パ
ターン形成装置のディスク保持部及び磁界印加部の一例
の断面模式図である。(b)は、本発明の一実施形態に
かかる磁化パターン形成装置のディスク保持部及び磁界
印加部の一例の模式図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる磁化パターン形成
装置のディスク保持部及び磁界印加部の一例の断面模式
図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる磁界印加手段の一
例を説明するための模式図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるエネルギ線照射用
光学系の一例を説明するための模式図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるエネルギ線照射用
光学系の他の一例を説明するための模式図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる遮光板の一例を説
明するための模式図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかるホモジナイザの一
例を説明するための模式図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかるホモジナイザによ
るエネルギ線の分割方法を説明するための模式図であ
る。
【符号の説明】
1 磁気ディスク 2 ディスク用スピンドルモータ(ディスク回転駆動用
アクチュエータ,ディスク回転駆動手段) 3 ターンテーブル3 4 第一磁界印加手段 5 ヨーク 6、6a、6b 永久磁石 7 真空溝 8 第二磁界印加手段 9 ヨーク 10 永久磁石 11 パルスレーザ 12 フォトマスク 13 透明基板 14 不透明層 15 結像レンズ 21 硬質基板 22a、22b 磁性層 41 パルスレーザ光源 42 プログラマブルシャッター 43 アッテネータ 44 コンデンサレンズ 44a 非球面レンズ 44b 平凸レンズ 45 ビームエキスパンダ 46 遮光板 60 ディスクステージ 61 マスクステージ 62 磁界印加手段 63 照射光学系 64 投影光学系 65 マスク用スピンドルモータ(マスク回転駆動用ア
クチュエータ,マスク回転駆動手段) 68 コントローラ(制御手段) 70 磁界印加手段用アクチュエータ 80 ホモジナイザ 80A,80B 多シリンドリカルレンズ 81 ホモジナイザ用アクチュエータ(照射位置移動用
アクチュエータ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗和田 健 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 栗山 俊彦 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 5D112 AA24 DD00 GA19 GB01

Claims (41)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に磁性層を有してなる磁気ディス
    クに、マスクを介してエネルギ線を照射して前記磁性層
    を加熱すると同時に、前記磁性層の加熱部分に外部磁界
    を印加して、前記磁気ディスクに所望の磁化パターンを
    形成する磁化パターン形成方法であって、 前記エネルギ線を照射する照射光学系によって照射位置
    を変えて前記マスク及び前記磁気ディスクの一部領域毎
    に前記エネルギ線を照射して、前記マスクに形成された
    パターンを等倍率又は所定の縮小倍率で投影して前記磁
    気ディスクに所望の磁化パターンを形成することを特徴
    とする、磁化パターン形成方法。
  2. 【請求項2】 前記一部領域が、前記磁気ディスクの半
    径方向の略全長にわたって延びる領域であり、 前記エネルギ線の照射位置を前記磁気ディスク及び前記
    マスクの周方向へ向けて移動させることを特徴とする、
    請求項1記載の磁化パターン形成方法。
  3. 【請求項3】 前記一部領域が、前記磁気ディスクの周
    方向及び半径方向の一部を占める領域であり、 前記エネルギ線の照射位置を前記磁気ディスク及び前記
    マスクの周方向及び半径方向へ向けて移動させることを
    特徴とする、請求項1記載の磁化パターン形成方法。
  4. 【請求項4】 前記一部領域が略扇形形状であることを
    特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁化
    パターン形成方法。
  5. 【請求項5】 前記エネルギ線が、スポット状エネルギ
    線であり、 前記一部領域が、前記スポット状エネルギ線の照射領域
    に相当する大きさの領域であることを特徴とする、請求
    項3記載の磁化パターン形成方法。
  6. 【請求項6】 前記照射光学系が、回転可能なホモジナ
    イザを備え、 前記ホモジナイザを回転させることで前記エネルギ線の
    照射位置を前記磁気ディスクの周方向へ移動させること
    を特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の磁
    化パターン形成方法。
  7. 【請求項7】 前記一部領域が、前記磁気ディスクの半
    径方向の一部を占め、前記磁気ディスクの周方向の全周
    に延びる領域であり、 前記エネルギ線の照射位置を前記磁気ディスク及び前記
    マスクの半径方向へ向けて移動させることを特徴とす
    る、請求項1記載の磁化パターン形成方法。
  8. 【請求項8】 前記照射光学系が、前記エネルギ線の照
    射位置を変える照射位置移動手段を備え、 前記照射位置移動手段によって前記エネルギ線の照射位
    置を前記磁気ディスクの半径方向へ移動させることを特
    徴とする、請求項3〜7のいずれか1項に記載の磁化パ
    ターン形成方法。
  9. 【請求項9】 前記エネルギ線が、前記一部領域を一括
    照射しうるものであることを特徴とする、請求項1〜
    4,6〜8のいずれか1項に記載の磁化パターン形成方
    法。
  10. 【請求項10】 前記エネルギ線が、スポット状エネル
    ギ線であり、 前記一部領域に前記エネルギ線を照射すべく前記スポッ
    ト状エネルギ線を走査させることを特徴とする、請求項
    1〜4,6〜8のいずれか1項に記載の磁化パターン形
    成方法。
  11. 【請求項11】 前記マスクパターンが、前記磁気ディ
    スクに形成すべき全ての磁化パターンを拡大したものと
    して構成され、 前記マスクパターンの全てを前記磁気ディスクに投影し
    うる投影光学系を用いて投影することを特徴とする、請
    求項1〜10のいずれか1項に記載の磁化パターン形成
    方法。
  12. 【請求項12】 前記磁気ディスクに、外部磁界を印加
    して前記磁性層を予め所望の方向に一様に磁化し、 前記エネルギ線を照射して前記磁性層を加熱すると同時
    に、前記磁性層の加熱部分に外部磁界を印加して前記所
    望の方向とは逆方向に磁化して、前記磁気ディスクに所
    望の磁化パターンを形成することを特徴とする、請求項
    1〜11のいずれか1項に記載の磁化パターン形成方
    法。
  13. 【請求項13】 前記磁気ディスク及び前記マスクを固
    定したままの状態で、前記照射光学系によって前記エネ
    ルギ線の照射位置を変えることを特徴とする、請求項1
    〜12のいずれか1項に記載の磁化パターン形成方法。
  14. 【請求項14】 前記磁気ディスクの一部領域に外部磁
    界を印加することを特徴とする、請求項1〜13のいず
    れか1項に記載の磁化パターン形成方法。
  15. 【請求項15】 前記磁気ディスクの一部領域に外部磁
    界を印加する磁界印加手段を備え、 前記エネルギ線の照射位置を変える毎に、前記エネルギ
    線の照射位置に対応する位置に前記磁界印加手段を移動
    させることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1
    項に記載の磁化パターン形成方法。
  16. 【請求項16】 前記磁気ディスクが、直径65mm以
    下であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか
    1項に記載の磁化パターン形成方法。
  17. 【請求項17】 前記マスクが、前記マスクパターンに
    応じて形成され、前記エネルギ線を透過しうる透過部を
    備えることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1
    項に記載の磁化パターン形成方法。
  18. 【請求項18】 前記マスクと前記磁気ディスクとの間
    に遮光板を介在させることを特徴とする、請求項1〜1
    7のいずれか1項に記載の磁化パターン形成方法。
  19. 【請求項19】 前記磁化パターンの最小幅が、2μm以
    下であることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか
    1項に記載の磁化パターン形成方法。
  20. 【請求項20】 前記磁化パターンが、記録再生用ヘッ
    ドの位置制御を行うためのサーボパターン又はサーボパ
    ターン記録用の基準パターンを含むことを特徴とする、
    請求項1〜19のいずれか1項に記載の磁化パターン形
    成方法。
  21. 【請求項21】 請求項1〜20のいずれか1項に記載
    の磁化パターン形成方法により磁化パターンを形成され
    てなることを特徴とする、磁気ディスク。
  22. 【請求項22】 磁気ディスクと、前記磁気ディスクを
    記録方向に駆動する駆動部と、記録部と再生部とからな
    る磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気ディスクに
    対して相対的に移動させる移動手段と、前記磁気ヘッド
    ヘの記録信号の入力と前記磁気ヘッドからの再生信号の
    出力とを行うための記録・再生信号処理手段とを有する
    磁気記録装置であって、 前記磁気ディスクが、請求項1〜20のいずれか1項に
    記載の磁化パターン形成方法により磁化パターンを形成
    されてなることを特徴とする、磁気記録装置。
  23. 【請求項23】 基板上に磁性層を有してなる磁気ディ
    スクに所望の磁化パターンを形成する磁化パターン形成
    装置であって、 エネルギ線を照射する照射光学系と、 前記所望の磁化パターンと同一又は相似形のパターンを
    有するマスクと、 前記磁性層を加熱すべく前記マスクを介して入射される
    前記エネルギ線を前記磁気ディスクに照射して前記マス
    クパターンを前記磁気ディスクに等倍率又は所定の縮小
    倍率で投影する投影光学系と、 前記磁気ディスクの一部領域に外部磁界を印加する磁界
    印加手段と、 前記磁気ディスクの一部領域毎に前記エネルギ線が照射
    されるように前記エネルギ線の照射位置を変える制御手
    段とを備えることを特徴とする、磁化パターン形成装
    置。
  24. 【請求項24】 前記一部領域が、前記磁気ディスクの
    半径方向の略全長にわたって延びる領域であり、 前記制御手段が、前記エネルギ線の照射位置を前記磁気
    ディスク及び前記マスクの周方向へ向けて移動させるこ
    とを特徴とする、請求項23記載の磁化パターン形成装
    置。
  25. 【請求項25】 前記一部領域が、前記磁気ディスクの
    周方向及び半径方向の一部を占める領域であり、 前記制御手段が、前記エネルギ線の照射位置を前記磁気
    ディスク及び前記マスクの周方向及び半径方向へ向けて
    移動させることを特徴とする、請求項23記載の磁化パ
    ターン形成装置。
  26. 【請求項26】 前記一部領域が略扇形形状であること
    を特徴とする、請求項23〜25のいずれか1項に記載
    の磁化パターン形成装置。
  27. 【請求項27】 前記照射光学系が、スポット状エネル
    ギ線を照射しうるものであり、 前記一部領域が、前記スポット状エネルギ線の照射領域
    に相当する大きさの領域であることを特徴とする、請求
    項25記載の磁化パターン形成装置。
  28. 【請求項28】 前記照射光学系が、回転可能なホモジ
    ナイザを備え、 前記制御手段が、前記エネルギ線の照射位置を前記磁気
    ディスクの周方向へ移動させるべく前記ホモジナイザを
    回転させることを特徴とする、請求項24〜27のいず
    れか1項に記載の磁化パターン形成装置。
  29. 【請求項29】 前記一部領域が、前記磁気ディスクの
    半径方向の一部を占め、前記磁気ディスクの周方向の全
    周に延びる領域であり、 前記制御手段が、前記エネルギ線の照射位置を前記磁気
    ディスク及び前記マスクの半径方向へ向けて移動させる
    ことを特徴とする、請求項23記載の磁化パターン形成
    装置。
  30. 【請求項30】 前記照射光学系が、前記エネルギ線の
    照射位置を変える照射位置移動手段を備え、 前記制御手段が、前記エネルギ線の照射位置を前記磁気
    ディスクの半径方向へ移動させるべく前記照射位置移動
    手段を制御することを特徴とする、請求項25〜29の
    いずれか1項に記載の磁化パターン形成方法。
  31. 【請求項31】 前記照射光学系が、前記エネルギ線を
    前記一部領域に一括照射しうるものであることを特徴と
    する、請求項23〜26,28〜30のいずれか1項に
    記載の磁化パターン形成装置。
  32. 【請求項32】 前記照射光学系が、前記一部領域にス
    ポット状エネルギ線を走査させて照射しうるものである
    ことを特徴とする、請求項23〜26,28〜30のい
    ずれか1項に記載の磁化パターン形成装置。
  33. 【請求項33】 前記マスクパターンが、前記磁気ディ
    スクに形成すべき全ての磁化パターンを拡大したものと
    して構成され、 前記投影光学系が、前記マスクパターンの全てを前記磁
    気ディスクに投影しうるものとして構成されることを特
    徴とする、請求項23〜32のいずれか1項に記載の磁
    化パターン形成装置。
  34. 【請求項34】 前記制御手段が、固定されたままの状
    態の前記磁気ディスク及び前記マスクに対して前記エネ
    ルギ線の照射位置を変えるべく前記照射光学系を制御す
    ることを特徴とする、請求項23〜33のいずれか1項
    に記載の磁化パターン形成装置。
  35. 【請求項35】 前記磁気ディスクの一部領域に外部磁
    界を印加する磁界印加手段を備えることを特徴とする、
    請求項23〜34のいずれか1項に記載の磁化パターン
    形成装置。
  36. 【請求項36】 前記制御手段が、前記エネルギ線の照
    射位置を変える毎に、前記エネルギ線の照射位置に対応
    する位置に前記磁界印加手段を移動させることを特徴と
    する、請求項23〜35のいずれか1項に記載の磁化パ
    ターン形成装置。
  37. 【請求項37】 前記磁気ディスクが、直径65mm以
    下であることを特徴とする、請求項23〜36のいずれ
    か1項に記載の磁化パターン形成装置。
  38. 【請求項38】 前記マスクが、前記マスクパターンに
    応じて形成され、前記エネルギ線を透過しうる透過部を
    備えることを特徴とする、請求項23〜37のいずれか
    1項に記載の磁化パターン形成装置。
  39. 【請求項39】 前記マスクと前記磁気ディスクとの間
    に遮光板を備えることを特徴とする、請求項23〜38
    のいずれか1項に記載の磁化パターン形成装置。
  40. 【請求項40】 前記磁化パターンの最小幅が、2μm以
    下であることを特徴とする、請求項23〜39のいずれ
    か1項に記載の磁化パターン形成装置。
  41. 【請求項41】 前記磁化パターンが、記録再生用ヘッ
    ドの位置制御を行うためのサーボパターン又はサーボパ
    ターン記録用の基準パターンを含むことを特徴とする、
    請求項23〜40のいずれか1項に記載の磁化パターン
    形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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