JP2002229229A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2002229229A
JP2002229229A JP2001020882A JP2001020882A JP2002229229A JP 2002229229 A JP2002229229 A JP 2002229229A JP 2001020882 A JP2001020882 A JP 2001020882A JP 2001020882 A JP2001020882 A JP 2001020882A JP 2002229229 A JP2002229229 A JP 2002229229A
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JP
Japan
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formula
photosensitive layer
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Pending
Application number
JP2001020882A
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English (en)
Inventor
Eiichi Miyamoto
栄一 宮本
Yoshio Inagaki
義雄 稲垣
Hideaki Fukunaga
秀明 福永
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Kyocera Corp
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Corp
Kyocera Mita Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実使用環境下や長期の保管等によってクラッ
クや剥離を生じにくい、物理的な安定性に優れた無機の
表面保護層を有し、これまでよりも耐久性に優れた有機
の電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 有機感光層と、無機の表面保護層とをこ
の順に積層してなり、このうち有機感光層の、少なくと
も表面保護層に接する最表面部が、式(1): 【化1】 〔式(1)中、Aは環を構成する原子数7〜16のアリ
ール基あるいは複素環基、または式(2): 【化2】 (式(2)中、Arはアリール基、複素環基またはアラ
ルキル基を示す。)で表される基を示し、R1およびR2
は同一または異なって水素原子、アルキル基またはアル
コシキ基を示し、mおよびnは1〜5の整数を示す。〕
で表されるアリールアミン誘導体を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】静電式複写機、レーザープリンタ、普通
紙ファクシミリ装置などの画像形成装置に使用される電
子写真感光体としては、下記の各成分を組み合わせて形
成するいわゆる有機感光体が広く普及している。 ・光照射により電荷(正孔と電子)を発生する電荷発生
剤。 ・発生した電荷を輸送する電荷輸送剤(電荷輸送剤は、
電荷のうち正孔を輸送する正孔輸送剤と、電子を輸送す
る電子輸送剤に大別される)。 ・成膜性を有する結着樹脂。
【0003】有機感光体は、無機半導体材料を用いた無
機感光体に比べて製造が容易で、安価に製造できるとい
う利点がある。
【0004】また有機感光体は、上記電荷発生剤、電荷
輸送剤、結着樹脂などの材料の選択肢が多様であり、機
能設計の自由度が大きいという利点もある。
【0005】上記有機感光体は、導電性基体上に、単層
型もしくは積層型の感光層を形成することで構成され
る。
【0006】このうち単層型感光層は、電荷発生剤を、
電荷輸送剤(正孔輸送剤および/または電子輸送剤)と
ともに結着樹脂中に分散することで形成される。
【0007】また積層型感光層は、電荷発生剤を含有す
る電荷発生層と、電荷輸送剤(正孔輸送剤または電子輸
送剤)を含有する電荷輸送層とを積層することで形成さ
れる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】有機感光体は、上記の
ように様々な利点を有するものの、実使用環境下での感
光層の削れ、傷などが発生しやすく、無機感光体に比べ
て耐久性が十分でないという問題がある。
【0009】そこでこの問題を解決して、有機感光体の
耐久性を向上すべく、最表層に表面保護層を積層するこ
とが検討されている。
【0010】表面保護層の、広く一般に採用されている
例としては、有機感光層との密着性、親和性、積層状態
での一体性、成膜作業の一貫性などを考慮して、例えば
成膜性を有する結着樹脂の層や、あるいは上記結着樹脂
中に、金属酸化物等の導電性微粒子を分散させた層など
の有機の層が挙げられる。
【0011】しかしこの有機の層を表面保護層として使
用した電子写真感光体は、繰り返し使用時の残留電位上
昇や帯電性低下、環境(温度、湿度等)の変化による感
度特性の変動等が大きいという問題がある。
【0012】それゆえ近時、金属元素や炭素、あるいは
これら元素を含む無機の化合物等の、無機の材料からな
る、高硬度でかつ耐磨耗性に優れた無機の層を表面保護
層として、例えばスパッタリング法、プラズマCVD
法、光CVD法等の気相成長法などによって、有機感光
層上に積層、成膜することが検討されている。
【0013】この、表面保護層は有機感光層を保護し、
上記の問題点を解消するために用いられるものである。
すなわち、有機感光層上に無機の表面保護層を設けた感
光体は、有機感光層で電荷の発生や輸送などを受け持
ち、表面保護層で感光体の耐久性や耐環境性を受け持つ
という、それぞれの層の特性に応じた機能を有するので
ある。
【0014】しかしながら無機の表面保護層は、有機の
層に比べて有機感光層との間で十分な密着性を得ること
が難しい上、たとえ成膜方法や成膜条件の調整等によっ
て成膜初期の密着性を確保できたとしても、実使用環境
下や、あるいは長期の保管時等に感光体に加わる様々な
ストレスによってクラックが入ったり剥離したりしやす
いという問題がある。
【0015】すなわち、互いに異質の材料からなる有機
感光層と無機の表面保護層とは、有機の層同士、あるい
は無機の層同士のような緊密な密着性、親和性、一体性
が得られず、非常に弱い結合力でもって互いに結合され
ているだけであることが多い。
【0016】このため感光体が、例えば画像形成装置の
クリーニングブレードの圧接等による機械的ストレス
や、あるいは装置運転時の加熱と停止時の冷却の繰り返
し、もしくは保管時の温度変化等による熱的ストレスな
どを受けると、互いの硬度や柔軟性、膨張収縮特性等が
大きく異なることが原因となって、前記のように無機の
表面保護層にクラックが入ったり、表面保護層が有機感
光層から剥離したりするのである。
【0017】それゆえ従来の無機の表面保護層は、有機
感光層の耐久性を向上する効果が未だ十分でないため、
実用化されるに至っていないのが現状である。
【0018】本発明の目的は、実使用環境下や長期の保
管等によってクラックや剥離を生じにくい、物理的な安
定性に優れた無機の表面保護層を有し、これまでよりも
耐久性に優れた有機の電子写真感光体を提供することに
ある。
【0019】
【課題を解決するための手段および発明の効果】上記課
題を解決するために、発明者らは、無機の表面保護層の
成膜過程について分析、検討を行った。
【0020】その結果、有機感光層の最表面部におけ
る、表面保護層の成膜初期の状態が、当該表面保護層
の、その後の物理的な安定性に大きく影響することを見
出した。
【0021】すなわち成膜初期の段階では、表面保護層
を構成する無機材料と、有機感光層の最表面部に露出し
た材料の一部とが何らかの形で結合して膜成長の核とな
り、この核を中心として無機材料の膜が成長して表面保
護層が形成され、また形成された表面保護層において
は、上記核の部分が、有機感光層との結合点として機能
して、両層間の密着性を確保する働きをする。
【0022】このため個々の結合点での、有機感光層と
無機材料との結合力の大小、並びに有機感光層と表面保
護層との界面における、結合点の、単位面積あたりの個
数、すなわち密度の高低が、表面保護層の、有機感光層
との密着性、ひいては表面保護層の物理的安定性に大き
く影響する。
【0023】具体的には、個々の結合点での、有機感光
層と無機材料との結合力が大きく、また両層の界面にお
ける上記結合点の密度が高いほど、表面保護層の、有機
感光層に対する密着性が向上して、その物理的安定性が
良好になる。
【0024】通常の有機感光層は、前記のように電荷発
生剤、電荷輸送剤等の低分子の機能性材料を、層を構成
する結着樹脂中に分散した構造を有している。
【0025】このため、上記結合点に関する知見に鑑み
れば、層自体を構成し、しかも層の大半を占める結着樹
脂が、膜成長の核として、表面保護層を構成する無機材
料と結合するのが理想的であると考えられる。
【0026】しかし実際には、分子自体の安定性や反応
性、あるいは反応部位の関係から、電荷発生剤、電荷輸
送剤等の、層中に分散した低分子の材料のうち、有機感
光層の最表面部に露出したものが膜成長の核として機能
して、表面保護層の成膜が進行することが多い。
【0027】それゆえ上記低分子の材料の、無機材料と
の反応性の良否、および結合力の大小や、有機感光層を
構成する結着樹脂に対する相溶性、親和性の強弱、ある
いは材料自体の大きさ(分子量だけでなく、分子的、空
間的な広がりも含めた大きさ)なども、表面保護層の、
有機感光層との密着性、並びに物理的安定性に大きく影
響する。
【0028】つまり低分子の材料の、無機材料との反応
性が良好で、かつ結合力が大きいほど、表面保護層の、
有機感光層との密着性、並びに物理的安定性が向上す
る。
【0029】また低分子の材料の、有機感光層を構成す
る結着樹脂に対する相溶性、親和性が良好で、かつ材料
自体の大きさが大きいほど、いわゆるアンカー効果(投
錨効果)によって、やはり表面保護層の、有機感光層と
の密着性、物理的安定性が向上する。
【0030】また上記低分子の材料と無機材料との結合
形態としては、結合力の強弱を考慮すると分子結合が最
も好ましいが、この結合によって分子構造が変化する結
果、電荷のトラップが生成されるようなことがあると、
感光体の感度低下を引き起こすおそれがある。
【0031】したがって低分子の材料は、反応によって
電気的な特性を低下させる分子状態に移行しないことも
重要である。
【0032】このように、従来の感光層上に単に硬度の
大きい材料を積層するだけで、良好な画像形成ができる
感光体を、簡単に作製できるのではないことを見出し
た。また、上記のような条件で作製された感光体は、有
機感光層の電気的特性をそのまま維持しつつ、表面保護
層による耐久性、耐環境性を向上させることが可能にな
る。
【0033】そこで発明者らは、これらの知見を考慮し
つつ、有機感光層を構成する種々の材料について検討を
行った結果、正孔輸送剤として用いられる、式(1):
【0034】
【化3】
【0035】〔式(1)中、Aは環を構成する原子数7
〜16のアリール基あるいは複素環基、または式
(2):
【0036】
【化4】
【0037】(式(2)中、Arはアリール基、複素環
基またはアラルキル基を示す。)で表される基を示し、
1およびR2は同一または異なって水素原子、アルキル
基またはアルコシキ基を示し、mおよびnは1〜5の整
数を示す。〕で表されるアリールアミン誘導体が、これ
らの要求を満足する好適な材料であることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0038】すなわち本発明の電子写真感光体は、導電
性基体上に、有機感光層と、無機の表面保護層とをこの
順に積層したものであって、上記有機感光層の、少なく
とも表面保護層に接する最表面部が、上記式(1)で表
されるアリールアミン誘導体を含有することを特徴とし
ている。
【0039】上記式(1)で表されるアリールアミン誘
導体は、その分子全体にπ電子共役系が広がっており、
成膜初期の段階で、表面保護層を構成する無機材料のう
ちとくに金属元素や炭素等を引きつける機能を有してお
り、無機材料との反応性が高い。
【0040】また上記の機能により、有機感光層の最表
面部に露出したアリールアミン誘導体が無機材料と結合
して膜成長の核となる率が高いため、両層の界面におけ
る結合点の密度が高い。
【0041】また膜成長の速度も速いため、有機感光層
が、気相成長法などによる表面保護層の成膜時に受ける
ダメージを極力減らすこともできる。
【0042】またアリールアミン誘導体は、分子中の二
重結合のうちπ結合が切れて、上記金属元素や炭素等
と、分子結合によって強固に結合されるため、有機感光
層と無機材料との結合力も大きい。
【0043】しかもアリールアミン誘導体は、正孔輸送
剤の中では比較的分子量が大きい上、平面状に拡がった
分子構造を有しており、分子的、空間的な広がりも大き
く、しかも結着樹脂との相溶性、親和性にも優れている
ため、結着樹脂に対して良好なアンカー効果を示す。
【0044】それゆえ有機感光層と無機材料との結合力
も大きい。
【0045】したがって本発明によれば、無機の表面保
護層の、有機感光層に対する密着性を向上して、当該表
面保護層の物理的安定性を改善できるため、実使用環境
下や長期の保管等によるクラックや剥離の発生を防止し
て、これまでよりも耐久性に優れた電子写真感光体を得
ることが可能となる。
【0046】またアリールアミン誘導体は、それ自体の
正孔輸送能が高い上、前記のように金属元素や炭素等と
分子結合して分子構造が変化した状態でも、深い電荷の
トラップを生成することがなく、しかも上記の結合は有
機感光層の最表面部に露出したごく一部のアリールアミ
ン誘導体のみで発生し、有機感光層内部の大多数のアリ
ールアミン誘導体は、元の、正孔輸送能に優れた状態を
維持しているため、感光体の感度低下を引き起こすおそ
れもない。
【0047】このため上記アリールアミン誘導体が、前
記のように結着樹脂との相溶性に優れており、有機感光
層中に、凝集等を生じることなく均一に、しかも多量に
分散できることと相まって、本発明の電子写真感光体
は、感度特性にも優れたものとなる。
【0048】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を説明する。 〈アリールアミン誘導体〉本発明の電子写真感光体にお
いて、有機感光層の、少なくとも表面保護層に接する最
表面部に含有されるアリールアミン誘導体は、前記のよ
うに式(1):
【0049】
【化5】
【0050】〔式(1)中、Aは環を構成する原子数7
〜16のアリール基あるいは複素環基、または式
(2):
【0051】
【化6】
【0052】(式(2)中、Arはアリール基、複素環
基またはアラルキル基を示す。)で表される基を示し、
1およびR2は同一または異なって水素原子、アルキル
基またはアルコシキ基を示し、mおよびnは1〜5の整
数を示す。〕で表されるものである。
【0053】式中の基R1およびR2に相当するアルキル
基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イ
ソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチ
ル、tert−ブチル、ペンチル、i−ペンチル、ネオ
ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デ
シル、ウンデシル、ドデシルなどの、炭素数1〜12の
アルキル基が挙げられる。
【0054】また基R1およびR2に相当するアルコキシ
基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキ
シ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s
ec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキ
シ、i−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシ
ルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオ
キシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキ
シなどの、炭素数1〜12のアルコキシ基が挙げられ
る。
【0055】基Aに相当するアリール基としては、例え
ばシクロヘプタジエニル、ナフチル、シクロヘプタジエ
ニル、インデニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェ
ニリル、フルオリル、フェナントリル、アントリル、ピ
リルなどの、アリール部分の炭素数7〜16のアリール
基が挙げられる。
【0056】基Aに相当する複素環基としては、例えば
インドリル、キノリル、クロメニル、キナゾリル、キサ
ンテニル、カルバゾリル、フェナントリジル、フェナン
トリジンカルボラクトニルなどの、複素環を構成する原
子数7〜16の複素環基が挙げられる。
【0057】基Arに相当するアリール基としては、例
えば上記基Aに相当するアリール基にフェニル、トリ
ル、キシリルなどを加えた、アリール部分の炭素数6〜
16のアリール基が挙げられる。
【0058】基Arに相当する複素環基としては、例え
ば上記基Aに相当する複素環基にピリジル、ピペリジ
ル、ピペジリノ、チエニル、ピロリル、フリルなどを加
えた、複素環を構成する原子数5〜16の複素環基が挙
げられる。
【0059】基Arに相当するアラルキル基としては、
例えばベンジル、トリチル、フェネチル、テニル、フル
フリルなどの、アリール部分の炭素数4〜10のアラル
キル基が挙げられる。
【0060】基A、Ar、R1〜R2に相当するアルキル
基、アリール基、複素環基は置換基を有していても良
く、具体的にはヒドロキシアルキル基、アルコキシアル
キル基、モノアルキルアミノアルキル基、ジアルキルア
ミノアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ
カルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、アルカ
ノイルオキシアルキル基、アミノアルキル基、ハロゲン
原子、アミノ基、ヒドロキシ基、エステル化されていて
もよいカルボキシル基、シアノ基などの他、前述と同様
の炭素数1〜12の置換基を有してもよいアルキル基や
炭素数1〜12の置換基を有してもよいアルコキシ基な
どがあげられる。なお、これらの置換基の置換位置につ
いては特に限定されない。
【0061】このようなアリールアミン誘導体の具体例
としてはこれに限定されないが、例えば下記式(1−
1)〜(1−31)で表される化合物等が挙げられる。
【0062】
【化7】
【0063】
【化8】
【0064】
【化9】
【0065】
【化10】
【0066】
【化11】
【0067】
【化12】
【0068】
【化13】
【0069】
【化14】
【0070】
【化15】
【0071】
【化16】
【0072】上記アリールアミン誘導体は、それぞれ1
種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良
い。 〈有機感光層〉有機感光層には、前述したように単層型
感光層と積層型感光層とがあるが、本発明には、このい
ずれのものも適用可能である。
【0073】このうち単層型感光層は、正孔輸送剤とし
ての、前記式(1)で表されるアリールアミン誘導体
と、電荷発生剤とを、結着樹脂とともに適当な有機溶媒
に溶解または分散した塗工液を、塗布などの手段によっ
て導電性基材上に塗布し、乾燥させることで形成され
る。
【0074】以上に述べた単層型感光層は、層構成が簡
単で生産性に優れている。
【0075】また単層型感光層には、さらに電子輸送剤
を含有させても良く、両極性の電荷輸送剤を併用した感
光層は、単独の構成で正負いずれの帯電にも対応できる
という利点がある。
【0076】一方、積層型感光層は、まず導電性基体上
に、塗布または蒸着などの手段によって、電荷発生剤を
含有する電荷発生層を形成し、ついでこの電荷発生層上
に、電荷輸送剤と結着樹脂とを含む塗工液を、塗布など
の手段によって塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成す
るか、もしくは上記と逆に、導電性基体上に電荷輸送層
を形成し、その上に電荷発生層を形成することで構成さ
れる。
【0077】また上記のうち電荷発生層には、電荷輸送
層と逆極性の電荷輸送剤を含有させることができる。
【0078】積層型感光層は、上記電荷発生層、電荷輸
送層の形成順序と、両層に含有させる電荷輸送剤の極性
によって種々の組み合わせが考えられるが、本発明にお
いては、上記のうち表面保護層と接する最表面部に位置
する上側の層が、正孔輸送剤として機能する、式(1)
のアリールアミン誘導体を含有している必要がある。
【0079】したがって積層型感光層の具体例として
は、(a)導電性基体上に、電荷発生剤と、必要に応じ
て電子輸送剤とを含有する電荷発生層を形成し、その上
に、正孔輸送剤としての式(1)のアリールアミン誘導
体を含有する電荷輸送層を積層した負帯電型の積層型感
光層、(b)導電性基体上に、電子輸送剤を含有する電
荷輸送層を形成し、その上に、電荷発生剤と、正孔輸送
剤としての式(1)のアリールアミン誘導体とを含有す
る電荷発生層を積層した負帯電型の積層型感光層の2種
が挙げられる。
【0080】但し電荷発生層は、電荷輸送層に比べて膜
厚がごく薄いため、その保護のためには、導電性基体上
に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した
上記(a)の構成がさらに好ましい。
【0081】上記単層型もしくは積層型感光層に使用さ
れる電荷発生剤としては、例えばセレン、セレン−テル
ル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、α−シリコンなど
の無機光導電材料の粉末、式(CG−1):
【0082】
【化17】
【0083】で表される無金属フタロシアニン、式(C
G−2):
【0084】
【化18】
【0085】で表されるチタニルフタロシアニン等のフ
タロシアニン化合物の、種々の結晶型を有する結晶から
なるフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、ビスアゾ系顔
料、ペリレン系顔料、アンサンスロン系顔料、インジゴ
系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、ト
ルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔
料、ジチオケトピロロピロール系顔料などの、従来公知
の種々の顔料が挙げられる。
【0086】電荷発生剤は、感光層が所望の波長域に感
度を有するように、それぞれ1種単独で、あるいは2種
以上を組み合わせて使用することができる。
【0087】特に半導体レーザー等の赤外光を利用し
た、レーザービームプリンタや普通紙ファクシミリ装置
等のデジタル光学系の画像形成装置には、700nm以
上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、
電荷発生剤として、前記例示のうちフタロシアニン系顔
料が好適に使用される。
【0088】また電子輸送剤としては、従来公知の種々
の電子輸送性化合物がいずれも使用可能である。
【0089】特にベンゾキノン系化合物、ジフェノキノ
ン系化合物〔例えば式(ET−1):
【0090】
【化19】
【0091】で表される2,6−ジメチル−2’,6’
−t−ブチルベンゾキノンなど〕、ナフトキノン系化合
物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシア
ノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、
フルオレノン系化合物〔例えば2,4,7−トリニトロ
−9−フルオレノンなど〕、ジニトロベンゼン、ジニト
ロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラ
キノン、無水こはく酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水
マレイン酸、2,4,7−トリニトロフルオレノンイミ
ン系化合物、エチル化ニトロフルオレノンイミン系化合
物、トリプトアントリン系化合物、トリプトアントリン
イミン系化合物、アザフルオレノン系化合物、ジニトロ
ピリドキナゾリン系化合物、チオキサンテン系化合物、
2−フェニル−1,4−ベンゾキノン系化合物、2−フ
ェニル−1,4−ナフトキノン系化合物、5,12−ナ
フタセンキノン系化合物、α−シアノスチルベン系化合
物、4′−ニトロスチルベン系化合物、ならびに、ベン
ゾキノン系化合物の陰イオンラジカルとカチオンとの塩
などの電子吸引性化合物が好適に使用される。
【0092】これらはそれぞれ単独で使用される他、2
種以上を併用することもできる。
【0093】本発明においては、正孔輸送剤である前記
式(1)のアリールアミン誘導体とともに、他の正孔輸
送剤を併用しても良い。
【0094】当該他の正孔輸送剤としては、従来公知の
種々の正孔輸送性化合物がいずれも使用可能である。
【0095】特にスチルベン系化合物、ベンジジン系化
合物、フェニレンジアミン系化合物、ナフチレンジアミ
ン系化合物、フェナントリレンジアミン系化合物、オキ
サジアゾール系化合物〔例えば2,5−ジ(4−メチル
アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールな
ど〕、スチリル系化合物〔例えば9−(4−ジエチルア
ミノスチリル)アントラセンなど〕、カルバゾール系化
合物、ヒドラゾン系化合物〔例えば式(HT−1):
【0096】
【化20】
【0097】で表されるジエチルアミノベンズアルデヒ
ドジフェニルヒドラゾンなど〕、式(HT−2):
【0098】
【化21】
【0099】〔式中、Ra、Rbは同一または異なって、
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはアラル
キル基を示す。〕で表される繰り返し単位を有する有機
ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物〔例えば1−フ
ェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリ
ンなど〕、トリフェニルアミン系化合物〔例えば式(H
T−3):
【0100】
【化22】
【0101】で表されるトリス(3−メチルフェニル)
アミンなど〕、インドール系化合物、オキサゾール系化
合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合
物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、
ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、ブタジエ
ン系化合物、ピレン−ヒドラゾン系化合物、アクロレイ
ン系化合物、カルバゾール−ヒドラゾン系化合物、キノ
リン−ヒドラゾン系化合物、アリールアミン系化合物、
およびジフェニレンジアミン系化合物などが好適に使用
される。
【0102】これらはそれぞれ単独で使用される他、2
種以上を併用することもできる。
【0103】結着樹脂としては、例えばスチレン系重合
体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、
アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポ
リエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポ
リエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキッド
樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、
ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹
脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエー
テル樹脂などの熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂そ
の他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシ−アクリレ
ート、ウレタン−アクリレートなどの光硬化性樹脂など
があげられる。
【0104】これらはそれぞれ単独で使用できるほか、
2種以上を併用することもできる。
【0105】また、前記例示の正孔輸送剤うち、有機ポ
リシラン化合物等の高分子の正孔輸送剤を、式(1)の
アリールアミン誘導体と併用する場合は、当該化合物を
結着樹脂としても機能させて、上記例示の通常の結着樹
脂を省略することもできる。
【0106】感光層には、上記各成分の他に、例えばフ
ルオレン系化合物、紫外線吸収剤、可塑剤、界面活性
剤、レベリング剤などの種々の添加剤を添加することも
できる。また感光体の感度を向上させるために、例えば
ターフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレンな
どの増感剤を添加してもよい。
【0107】単層型感光層においては、結着樹脂100
重量部に対して、電荷発生剤を0.1〜50重量部、特
に0.5〜30重量部の割合で、また正孔輸送剤を5〜
500重量部、特に25〜200重量部の割合で、それ
ぞれ含有させるのが好ましい。
【0108】このうち正孔輸送剤の含有割合は、式
(1)のアリールアミン誘導体を単独で用いる場合は、
当該アリールアミン誘導体の含有割合であり、アリール
アミン誘導体と他の正孔輸送剤とを併用する場合は、両
者の合計の含有割合である。
【0109】またアリールアミン誘導体と他の正孔輸送
剤とを併用する場合、当該他の正孔輸送剤は、前述した
アリールアミン誘導体の効果を妨げない範囲で少量、含
有させるのが好ましい。具体的には他の正孔輸送剤を、
アリールアミン誘導体100重量部に対して30重量部
以下の割合で配合するのが好ましい。
【0110】また電子輸送剤を併用する場合は、結着樹
脂100重量部に対して、当該電子輸送剤を5〜100
重量部、特に10〜80重量部の割合で含有させるのが
好ましい。またこの際、正孔輸送剤と電子輸送剤との総
量は、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量
部、特に30〜200重量部が好ましい。
【0111】単層型感光層の厚みは5〜100μm、特
に10〜50μm程度が好ましい。
【0112】積層型感光層のうち電荷発生層は、電荷発
生剤単独で形成される場合と、結着樹脂中に、電荷発生
剤と、前記のように必要に応じて電子輸送剤とを分散さ
せて形成される場合とがあり、このうち後者の構成で
は、結着樹脂100重量部に対して、電荷発生剤を5〜
1000重量部、特に30〜500重量部の割合で、ま
た電子輸送剤を1〜200重量部、特に5〜100重量
部の割合で、それぞれ含有させるのが好ましい。
【0113】また電荷輸送層においては、結着樹脂10
0重量部に対して、正孔輸送剤を10〜500重量部、
特に25〜200重量部の割合で含有させるのが好まし
い。
【0114】正孔輸送剤の含有割合は、先の、単層型感
光層の場合と同様に、式(1)のアリールアミン誘導体
を単独で用いる場合は、当該アリールアミン誘導体の含
有割合であり、アリールアミン誘導体と他の正孔輸送剤
とを併用する場合は、両者の合計の含有割合である。
【0115】またアリールアミン誘導体と他の正孔輸送
剤とを併用する場合、当該他の正孔輸送剤は、前述した
アリールアミン誘導体の効果を妨げない範囲で少量、含
有させるのが好ましい。具体的には他の正孔輸送剤を、
アリールアミン誘導体100重量部に対して30重量部
以下の割合で配合するのが好ましい。
【0116】積層型感光層の厚みは、電荷発生層が0.
01〜5μm、特に0.1〜3μm程度、電荷輸送層が
2〜100μm、特に5〜50μm程度が好ましい。
【0117】上記単層型、または積層型の有機感光層と
導電性基体との間や、あるいは積層型感光層を構成する
電荷発生層と電荷輸送層との間には、感光体の特性を阻
害しない範囲で中間層、バリア層を形成しても良い。
【0118】感光体を構成する各層を、塗布の方法によ
り形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送
剤、結着樹脂などを、前述したテトラヒドロフランなど
の有機溶媒とともに、公知の方法、例えば、ロールミ
ル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカーある
いは超音波分散器などを用いて分散混合して塗工液を調
整し、これを公知の手段により塗布、乾燥すればよい。
【0119】塗工液を作るための有機溶媒としては、例
えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタ
ノールなどのアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、
シクロヘキサンなどの脂肪族系炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼンなど
のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エ
チレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メ
チルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、
酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、ジメチルホ
ルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシドなどの1種または2種以上があげられる。
【0120】さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散
性、感光層表面の平滑性をよくするため、塗工液には界
面活性剤、レベリング剤などを添加してもよい。 〈表面保護層〉上記有機感光層の上に積層、形成される
無機の表面保護層としては金属元素〔長周期型周期表の
うちホウ素(B)とアスタチン(At)とを結ぶ線より
左側にある元素〕、および炭素からなる群より選ばれた
少なくとも1種の元素、またはこれらの元素を含む無機
の化合物からなる、従来公知の種々の表面保護層が挙げ
られる。
【0121】この表面保護層は、例えばプラズマCVD
法、光CVD法等の化学蒸着法、スパッタリング法、真
空蒸着法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法な
ど、従来公知の種々の気相成長法によって形成すること
ができる。
【0122】このうちプラズマCVD法等の化学蒸着法
では、(1)14族元素のうち炭素(C)および/また
はケイ素(Si)からなる膜、すなわち炭素(C)の
膜、ケイ素(Si)の膜、またはケイ素−炭素(Si
C)複合膜、(2)上記炭素(C)および/またはケイ
素(Si)と、13族元素のうちホウ素(B)、アルミ
ニウム(Al)、15族元素のうち窒素(N)、リン
(P)、16族元素のうち酸素(O)、イオウ(S)、
17族元素のうちフッ素(F)、塩素(Cl)、および
臭素(Br)からなる群より選ばれた少なくとも1種の
元素との化合物からなる膜、例えばケイ素−窒素(Si
N)複合膜、ケイ素−酸素(SiO)複合膜、炭素−フ
ッ素(CF)複合膜、炭素−窒素(CN)複合膜、炭素
−ホウ素(CB)複合膜、炭素−酸素(CO)複合膜
等、(3)13族元素のうちホウ素(B)および/また
はアルミニウム(Al)と、上述した窒素(N)、リン
(P)、酸素(O)、イオウ(S)、フッ素(F)、塩
素(Cl)、および臭素(Br)からなる群より選ばれ
ら少なくとも1種の元素との化合物からなる膜、例えば
ホウ素−窒素(BN)複合膜、アルミニウム−窒素(A
lN)複合膜等、が形成される。
【0123】またこれらの膜には、表面保護層の電気的
特性を向上するために、微量の水素(H)を含有させる
こともできる。
【0124】化学蒸着法において、表面保護層の構成元
素を導入するために使用できる原料ガスとしては、各構
成元素の分子、酸化物、水素化物、窒化物、ハロゲン化
物等の、常温常圧下でガス状を呈するか、もしくは成膜
条件下で容易にガス化しうる化合物があげられる。また
必要に応じてこれらの化合物を、水素ガス(H2)、ヘ
リウムガス、アルゴンガス、ネオンガス等のガスによっ
て希釈しても良い。
【0125】原料ガスの具体例としては、例えばケイ素
導入用としてシランガス(SiH4)、ジシランガス(S
26)、炭素導入用としてメタンガス(CH4)、エ
タンガス(C26)、プロパンガス(C38)、エチレ
ンガス(C24)、フッ素導入用としてフッ素ガス(F
2)、一フッ化臭素ガス(BrF)、二フッ化塩素ガス
(ClF2)、四フッ化炭素ガス(CF4)、四フッ化ケ
イ素ガス(SiF4)、窒素導入用として窒素ガス
(N2)、アンモニアガス(NH3)、窒素酸化物ガス
(NOX)、ホウ素導入用として水素化ホウ素ガス〔ジ
ボランガス(B26)、テトラボランガス(B410
等〕などがそれぞれ挙げられる。
【0126】その他の構成元素についても同様であっ
て、常温常圧下でガス状を呈するか、もしくは膜形成条
件下で容易にガス化しうる化合物があげられる。
【0127】また物理蒸着法、特にスパッタリング法や
イオンプレーティング法では、前記各膜に加えて、例え
ば13族であればガリウム(Ga)、インジウム(I
n)等、14族であればゲルマニウム(Ge)、スズ
(Sn)、鉛(Pb)、15族であればヒ素(As)、
アンチモン(Sb)等、16族であればセレン(Se)
等を含む各種金属元素の1種または2種以上からなる膜
や、あるいは上記金属元素を含む無機の化合物からなる
膜を形成することができる。
【0128】このうち無機の表面保護層として好適な膜
としては、例えば炭素(C)の膜やケイ素−炭素(Si
C)複合膜などが挙げられる。
【0129】無機の表面保護層の厚みは0.01〜30
μm、特に0.1〜10μm程度が好ましい。
【0130】表面保護層を形成する無機の膜は非晶質、
マイクロクリスタル、および結晶のいずれの形態の膜で
あっても良く、非晶質と結晶とが混在した膜であっても
良い。 〈導電性基体〉上記各層が形成される導電性基体として
は、導電性を有する種々の材料を使用することができ
る。例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バ
ナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、
ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真
鍮などの金属にて形成された導電性基体や、上記金属が
蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる
基体、あるいはヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化イ
ンジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示さ
れる。
【0131】要するに基体自体が導電性を有するか、あ
るいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、
導電性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有す
るものが好ましい。
【0132】導電性基体の形状は使用する画像形成装置
の構造に合わせて、シート状、ドラム状などのいずれで
あってもよい。
【0133】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて
説明する。 [実施例1] 〈単層型感光層の形成〉電荷発生剤としての、前記式
(CG−1)で表されるX型無金属フタロシアニン結晶
5重量部と、正孔輸送剤としての、前記式(1−3)で
表されるアリールアミン誘導体100重量部と、電子輸
送剤としての、前記式(ET−1)で表される2,6−
ジメチル−2’,6’−t−ブチルベンゾキノン80重
量部と、結着樹脂としてのZ型ポリカーボネート(重量
平均分子量20000)100重量部とを、テトラヒド
ロフラン800重量部とともにボールミルを用いて50
時間、混合、分散させて単層型感光層用の塗工液を作製
した。
【0134】次いでこの塗工液を、導電性基材であるφ
60のアルミニウム素管上に、ディップコート法によっ
て塗布し、100℃で30分間、熱風乾燥させて、膜厚
25μmの単層型感光層を形成した。 〈表面保護層の形成〉上記のようにして単層型感光層が
形成されたアルミニウム素管をプラズマCVD装置のチ
ャンバ内にセットしたのち、到達真空度0.67Paま
で真空引きするとともに、装置のヒータを使用して素管
の温度を50℃に調整した。
【0135】次いでチャンバ内に、メタンガス(C
4)、シランガス(SiH4)および水素ガス(H2
を、それぞれ下記の流量で供給して真空度を0.47h
Paに調整した。
【0136】メタンガス:208SCCM シランガス:2.5SCCM 水素ガス:300SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力133Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.2μm/hrの成膜速度で、非晶質のケイ
素−炭素(SiC)複合膜からなる、厚み0.5μmの
表面保護層を成膜して、実施例1の電子写真感光体を製
造した。 [実施例2〜6]正孔輸送剤として、それぞれ表1に示
す式番号のアリールアミン誘導体80重量部を使用した
こと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜6の電子
写真感光体を製造した。 [比較例1]正孔輸送剤として、前記式(HT−1)で
表されるジエチルアミノベンズアルデヒドジフェニルヒ
ドラゾン80重量部を使用したこと以外は実施例1と同
様にして、比較例1の電子写真感光体を製造した。 [比較例2]正孔輸送剤として、前記式(HT−3)で
表されるトリス(3−メチルフェニル)アミン80重量
部を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例
1の電子写真感光体を製造した。 〈感度特性試験(1)〉上記各実施例、比較例の電子写
真感光体について、ジェンテック(GENTEC)社製のドラ
ム感度試験機を用いて各感光体の表面に印加電圧を加
え、グリッド電圧調整することでその表面を+800±
20Vに帯電させた後、表面電位V0(V)を測定し
た。
【0137】次いで試験機の露光光源であるハロゲンラ
ンプの白色光から、バンドパスフィルタを用いて波長7
80nm、半値幅20nmに単色化した光強度10μW
/cm2の単色光を、上記電子写真感光体の表面に1秒
間、照射した際に、上記表面電位V0(V)が1/2に
なるのに要した時間を測定して、半減露光量E1/2(μ
J/cm2)を求めた。また露光開始から0.5秒、経
過した時点での表面電位を、残留電位Vr(V)として
測定した。 〈耐久性試験(1)〉各実施例、比較例の電子写真感光
体を静電式複写機〔京セラミタ(株)製の商品名Crea
ge7350〕に搭載して連続10万枚の複写を行い、
途中1万枚、2万枚、5万枚の複写後と、10万枚の複
写後にそれぞれ表面保護層を目視にて観察して、下記の
基準で、電子写真感光体の耐久性を評価した。
【0138】○:表面保護層に、クラックや剥離などは
全く見られず、感光体の耐久性は良好であった。
【0139】△:表面保護層は剥離していなかったが、
その全面にクラックが入っており、感光体の耐久性はや
や不良であった。
【0140】×:表面保護層が剥離しており、感光体の
耐久性は不良であった。
【0141】以上の結果を表1に示す。
【0142】
【表1】
【0143】表より、アリールアミン誘導体に代えてジ
エチルアミノベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾンを
使用した比較例1の感光体、およびトリス(3−メチル
フェニル)アミンを使用した比較例2の感光体は連続2
万枚複写後に表面保護層が剥離しているのが確認され、
このことからこれらの化合物では、無機の表面保護層の
物理的な安定性を向上する効果が得られないことが判っ
た。
【0144】また両比較例の感光体はいずれも、露光後
の残留電位が高く、かつ半減露光量が大きいことから、
表面保護層を形成した際に大きく感度低下することも判
明した。
【0145】これに対し、実施例1〜6の感光体はいず
れも、連続10万枚の複写後も、表面保護層にクラック
や剥離などが全く見られなかった。そしてこのことか
ら、アリールアミン誘導体を使用することで、無機の表
面保護層の物理的な安定性を改善して、これまでよりも
感光体の耐久性を向上できることが確認された。
【0146】また上記各実施例の感光体はいずれも、露
光後の残留電位が低く、かつ半減露光量が小さいことか
ら、表面保護層を形成した際に大きく感度低下せず、良
好な感度を有することも確認された。 [実施例7〜12、比較例3、4]単層型感光層の表面
に、前記ケイ素−炭素複合膜に代えて、下記の工程によ
り、非晶質の炭素(C)からなる厚み0.5μmの表面
保護層を成膜したこと以外は実施例1〜6、比較例1、
2と同様にして、それぞれ実施例7〜12、比較例3、
4の電子写真感光体を製造した。 〈表面保護層の形成〉単層型感光層が形成されたアルミ
ニウム素管をプラズマCVD装置のチャンバ内にセット
したのち、到達真空度0.67Paまで真空引きすると
ともに、装置のヒータを使用して素管の温度を50℃に
調整した。
【0147】次いでチャンバ内に、メタンガス(C
4)と水素ガス(H2)とを、それぞれ下記の流量で供
給して真空度を0.47hPaに調整した。
【0148】メタンガス:300SCCM 水素ガス:300SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力200Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.15μm/hrの成膜速度で、非晶質の炭
素(C)からなり、前記厚みを有する表面保護層を成膜
した。
【0149】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて、前記と同じ感度特性試験(1)、および耐久性
試験(1)を行って、その特性を評価した。結果を表2
に示す。
【0150】
【表2】
【0151】表より、表面保護層の種類を違えても、下
地である単層型感光層の構成に基づいて、前記と同じ結
果が得られることが確認された。
【0152】すなわちアリールアミン誘導体に代えてジ
エチルアミノベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾンを
使用した比較例3の感光体は、連続2万枚の複写後に既
に、表面保護層の全体にクラックが入っており、連続3
万枚の複写後には表面保護層が剥離しているのが確認さ
れた。また、トリス(3−メチルフェニル)アミンを使
用した比較例4の感光体は、連続2万枚の複写後に、表
面保護層が剥離しているのが確認された。そしてこのこ
とから、これらの化合物では、無機の表面保護層の物理
的な安定性を向上する効果が得られないことが判った。
【0153】また両比較例の感光体はいずれも、露光後
の残留電位が高く、かつ半減露光量が大きいことから、
表面保護層を形成した際に大きく感度低下することも判
明した。
【0154】これに対し、実施例7〜12の感光体はい
ずれも、連続10万枚の複写後も、表面保護層にクラッ
クや剥離などが全く見られなかった。そしてこのことか
ら、アリールアミン誘導体を使用することで、無機の表
面保護層の物理的な安定性を改善して、これまでよりも
感光体の耐久性を向上できることが確認された。
【0155】また上記各実施例の感光体はいずれも、露
光後の残留電位が低く、かつ半減露光量が小さいことか
ら、表面保護層を形成した際に大きく感度低下せず、良
好な感度を有することも確認された。 [実施例13〜15、比較例5]単層型感光層の表面
に、前記ケイ素−炭素複合膜に代えて、下記の工程によ
り、非晶質のケイ素−窒素(SiN)複合膜からなる厚
み0.5μmの表面保護層を成膜したこと以外は実施例
2、4、6、比較例2と同様にして、それぞれ実施例1
3〜15、比較例5の電子写真感光体を製造した。 〈表面保護層の形成〉単層型感光層が形成されたアルミ
ニウム素管をプラズマCVD装置のチャンバ内にセット
したのち、到達真空度0.67Paまで真空引きすると
ともに、装置のヒータを使用して素管の温度を50℃に
調整した。
【0156】次いでチャンバ内に、シランガス(SiH
4)、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)を、それ
ぞれ下記の流量で供給して真空度を0.47hPaに調
整した。
【0157】シランガス:15SCCM 窒素ガス:150SCCM 水素ガス:75SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力150Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.75μm/hrの成膜速度で、ケイ素−窒
素(SiN)複合膜からなり、前記厚みを有する表面保
護層を成膜した。 [実施例16〜18、比較例6]単層型感光層の表面
に、前記ケイ素−炭素複合膜に代えて、下記の工程によ
り、非晶質の炭素−窒素(CN)複合膜からなる厚み
0.5μmの表面保護層を成膜したこと以外は実施例
2、4、6、比較例2と同様にして、それぞれ実施例1
6〜18、比較例6の電子写真感光体を製造した。 〈表面保護層の形成〉単層型感光層が形成されたアルミ
ニウム素管をプラズマCVD装置のチャンバ内にセット
したのち、到達真空度0.67Paまで真空引きすると
ともに、装置のヒータを使用して素管の温度を50℃に
調整した。
【0158】次いでチャンバ内に、メタンガス(C
4)、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)を、そ
れぞれ下記の流量で供給して真空度を0.47hPaに
調整した。
【0159】メタンガス:100SCCM 窒素ガス:150SCCM 水素ガス:100SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力150Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.10μm/hrの成膜速度で、炭素−窒素
(CN)複合膜からなり、前記厚みを有する表面保護層
を成膜した。 [実施例19〜21、比較例7]単層型感光層の表面
に、前記ケイ素−炭素複合膜に代えて、下記の工程によ
り、非晶質の炭素−ホウ素(CB)複合膜からなる厚み
0.5μmの表面保護層を成膜したこと以外は実施例
2、4、6、比較例2と同様にして、それぞれ実施例1
9〜21、比較例7の電子写真感光体を製造した。 〈表面保護層の形成〉単層型感光層が形成されたアルミ
ニウム素管をプラズマCVD装置のチャンバ内にセット
したのち、到達真空度0.67Paまで真空引きすると
ともに、装置のヒータを使用して素管の温度を50℃に
調整した。
【0160】次いでチャンバ内に、メタンガス(C
4)、ジボランガス(B26)および水素ガス(H2
を、それぞれ下記の流量で供給して真空度を0.47h
Paに調整した。
【0161】メタンガス:100SCCM ジボランガス:200SCCM 水素ガス:100SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力150Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.10μm/hrの成膜速度で、炭素−ホウ
素(CB)複合膜からなり、前記厚みを有する表面保護
層を成膜した。 [実施例22〜24、比較例8]単層型感光層の表面
に、前記ケイ素−炭素複合膜に代えて、下記の工程によ
り、非晶質の炭素−フッ素(CF)複合膜からなる厚み
0.5μmの表面保護層を成膜したこと以外は実施例
2、4、6、比較例2と同様にして、それぞれ実施例2
2〜24、比較例8の電子写真感光体を製造した。 〈表面保護層の形成〉単層型感光層が形成されたアルミ
ニウム素管をプラズマCVD装置のチャンバ内にセット
したのち、到達真空度0.67Paまで真空引きすると
ともに、装置のヒータを使用して素管の温度を50℃に
調整した。
【0162】次いでチャンバ内に、メタンガス(C
4)、四フッ化炭素ガス(CF4)および水素ガス(H
2)を、それぞれ下記の流量で供給して真空度を0.4
7hPaに調整した。
【0163】メタンガス:100SCCM 四フッ化炭素ガス:100SCCM 水素ガス:100SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力150Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.10μm/hrの成膜速度で、炭素−フッ
素(CF)複合膜からなり、前記厚みを有する表面保護
層を成膜した。 [実施例25〜27、比較例9]単層型感光層の表面
に、前記ケイ素−炭素複合膜に代えて、下記の工程によ
り、非晶質のホウ素−窒素(BN)複合膜からなる厚み
0.5μmの表面保護層を成膜したこと以外は実施例
2、4、6、比較例2と同様にして、それぞれ実施例2
5〜27、比較例9の電子写真感光体を製造した。 〈表面保護層の形成〉単層型感光層が形成されたアルミ
ニウム素管をプラズマCVD装置のチャンバ内にセット
したのち、到達真空度0.67Paまで真空引きすると
ともに、装置のヒータを使用して素管の温度を50℃に
調整した。
【0164】次いでチャンバ内に、ジボランガス(B2
6)、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)を、そ
れぞれ下記の流量で供給して真空度を0.47hPaに
調整した。
【0165】ジボランガス:200SCCM 窒素ガス:150SCCM 水素ガス:150SCCM 次にこの状態で、チャンバ内に、周波数13.56MH
z、出力150Wの高周波電界を印加してグロー放電を
発生させて、プラズマCVD法により、単層型感光層の
表面に、0.08μm/hrの成膜速度で、ホウ素−窒
素(BN)複合膜からなり、前記厚みを有する表面保護
層を成膜した。
【0166】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて、前記と同じ感度特性試験(1)、および耐久性
試験(1)を行って、その特性を評価した。結果を表3
に示す。
【0167】
【表3】
【0168】表より、表面保護層の種類をさらに違えて
も、下地である単層型感光層の構成に基づいて、前記と
同じ結果が得られることが確認された。
【0169】すなわちアリールアミン誘導体に代えてト
リス(3−メチルフェニル)アミンを使用した比較例
5、7および8の感光体は連続2万枚の複写後に、比較
例6および9の感光体は連続3万枚複写後に表面保護層
が剥離しているのが確認された。また特に比較例8の感
光体は、連続1万枚の複写後に既に、表面保護層の全体
にクラックが入っているのが確認された。そしてこのこ
とから、上記化合物では、無機の表面保護層の物理的な
安定性を向上する効果が得られないことが判った。
【0170】また各比較例の感光体はいずれも、露光後
の残留電位が高く、かつ半減露光量が大きいことから、
表面保護層を形成した際に大きく感度低下することも判
明した。
【0171】これに対し、実施例13〜27の感光体は
いずれも、連続10万枚の複写後も、表面保護層にクラ
ックや剥離などが全く見られなかった。そしてこのこと
から、アリールアミン誘導体を使用することで、無機の
表面保護層の物理的な安定性を改善して、これまでより
も感光体の耐久性を向上できることが確認された。
【0172】また上記各実施例の感光体はいずれも、露
光後の残留電位が低く、かつ半減露光量が小さいことか
ら、表面保護層を形成した際に大きく感度低下せず、良
好な感度を有することも確認された。
【0173】なお、感光層が実施例1〜27と同様で表
面保護層のない感光体および、実施例1〜27の感光体
について、耐久性試験(1)と同様にして複写試験を行
ない、画像を評価した。その結果、前者では2万枚〜8
万枚で画像濃度が低下して、ベタ黒部のかすれ等が発生
したが、後者では10万枚複写後も画像不良がなく、表
面保護層の形成により感光体の耐久性が向上したことが
確認された。
【0174】感光層が比較例1〜9と同様で表面保護層
のない感光体について、上記と同様の複写試験を行なっ
たところ、比較例1、3では2万枚程度で、その他につ
いては3〜5万枚程度で画像濃度が低下しベタ黒部のか
すれ等が発生した。これらの結果と、それぞれに対応す
る比較例の耐久試験(1)の結果とを比べると、表面保
護層を形成しても耐久性が変わらないか、低下すること
がわかる。
【0175】これらのことより、有機感光層に表面保護
層を形成すれば,一様に感光体の耐久性が向上するわけ
ではなく、正孔輸送剤の選択を誤ると、むしろ耐久性が
低下してしまうのである。単層型感光層に式(1)のア
リールアミンを有する実施例1〜27の感光体は、表面
保護層の形成によりその耐久性を大幅に向上させること
ができた。 [実施例28] 〈積層型感光層の形成〉電荷発生剤としての、前記式
(CG−1)で表されるX型無金属フタロシアニン結晶
2.5重量部と、結着樹脂としてのポリビニルブチラー
ル1重量部とを、テトラヒドロフラン15重量部ととも
にボールミルを用いて混合、分散させて、積層型感光層
のうち電荷発生層用の塗工液を作製した。
【0176】次いでこの塗工液を、導電性基材であるφ
100のアルミニウム素管上に、ディップコート法によ
って塗布し、110℃で30分間、熱風乾燥させて、膜
厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0177】次に、正孔輸送剤としての、前記式(1−
3)で表されるアリールアミン誘導体0.8重量部と、
結着樹脂としてのZ型ポリカーボネート(重量平均分子
量Mw=20000)1重量部とを、テトラヒドロフラ
ン10重量部とともにボールミルを用いて混合、分散さ
せて、積層型感光層のうち電荷輸送層用の塗工液を作製
した。
【0178】そしてこの塗工液を、上記電荷発生層上
に、ディップコート法によって塗布し、110℃で30
分間、熱風乾燥させて、膜厚20μmの電荷輸送層を形
成して、負帯電型の積層型感光層を形成した。 〈表面保護層の形成〉上記のようにして形成した積層型
感光層上に、前記実施例1と同条件で、プラズマCVD
法により、非晶質のケイ素−炭素(SiC)複合膜から
なる厚み0.5μmの表面保護層を成膜して、実施例2
8の電子写真感光体を製造した。 [実施例29〜33]正孔輸送剤として、それぞれ表4
に示す式番号のアリールアミン誘導体1重量部を使用し
たこと以外は実施例28と同様にして、実施例29〜3
3の電子写真感光体を製造した。 [比較例10]正孔輸送剤として、前記式(HT−1)
で表されるジエチルアミノベンズアルデヒドジフェニル
ヒドラゾン0.8重量部を使用したこと以外は実施例2
8と同様にして、比較例10の電子写真感光体を製造し
た。 [比較例11]正孔輸送剤として、前記式(HT−3)
で表されるトリス(3−メチルフェニル)アミン0.8
重量部を使用したこと以外は実施例28と同様にして、
比較例11の電子写真感光体を製造した。 〈感度特性試験(2)〉上記各実施例、比較例の電子写
真感光体について、ジェンテック(GENTEC)社製のドラ
ム感度試験機を用いて各感光体の表面に印加電圧を加
え、グリッド電圧調整することでその表面を−800±
20Vに帯電させた後、表面電位V0(V)を測定し
た。
【0179】次いで試験機の露光光源であるハロゲンラ
ンプの白色光から、バンドパスフィルタを用いて波長7
80nm、半値幅20nmに単色化した光強度10μW
/cm2の単色光を、上記電子写真感光体の表面に1秒
間、照射した際に、上記表面電位V0(V)が1/2に
なるのに要した時間を測定して、半減露光量E1/2(μ
J/cm2)を求めた。また露光開始から0.5秒、経
過した時点での表面電位を、残留電位Vr(V)として
測定した。
【0180】耐久性試験(2) 各実施例、比較例の電子写真感光体を静電式複写機〔京
セラミタ(株)製の商品名Vi7360〕に搭載して連続
10万枚の複写を行い、途中1万枚、2万枚、5万枚の
複写後と、10万枚の複写後にそれぞれ表面保護層を目
視にて観察して、下記の基準で、電子写真感光体の耐久
性を評価した。
【0181】○:表面保護層に、クラックや剥離などは
全く見られず、感光体の耐久性は良好であった。
【0182】△:表面保護層は剥離していなかったが、
その全面にクラックが入っており、感光体の耐久性はや
や不良であった。
【0183】×:表面保護層が剥離しており、感光体の
耐久性は不良であった。
【0184】以上の結果を表3に示す。
【0185】
【表4】
【0186】表より、単層型感光層を積層型感光層に代
えても、その最表面部である電荷輸送層の構成に基づい
て、前記と同じ結果が得られることが確認された。
【0187】すなわちアリールアミン誘導体に代えてジ
エチルアミノベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾンを
使用した比較例10の感光体、およびトリス(3−メチ
ルフェニル)アミンを使用した比較例11の感光体はい
ずれも、連続2万枚の複写後に、表面保護層が剥離して
いるのが確認された。そしてこのことから、これらの化
合物では、無機の表面保護層の物理的な安定性を向上す
る効果が得られないことが判った。
【0188】また両比較例の感光体はいずれも、露光後
の残留電位が高く、かつ半減露光量が大きいことから、
表面保護層を形成した際に大きく感度低下することも判
明した。
【0189】これに対し、実施例28〜33の感光体は
いずれも、連続10万枚の複写後も、表面保護層にクラ
ックや剥離などが全く見られなかった。そしてこのこと
から、アリールアミン誘導体を使用することで、無機の
表面保護層の物理的な安定性を改善して、これまでより
も感光体の耐久性を向上できることが確認された。
【0190】また上記各実施例の感光体はいずれも、露
光後の残留電位が低く、かつ半減露光量が小さいことか
ら、表面保護層を形成した際に大きく感度低下せず、良
好な感度を有することも確認された。 [実施例34〜39、比較例12、13]積層型感光層
の表面に、前記ケイ素−炭素複合膜に代えて、実施例7
〜12、比較例3、4と同じ工程により、非晶質の炭素
(C)からなる厚み0.5μmの表面保護層を成膜した
こと以外は実施例28〜33、比較例10、11と同様
にして、それぞれの電子写真感光体を製造した。
【0191】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて、前記と同じ感度特性試験(2)、および耐久性
試験(2)を行って、その特性を評価した。結果を表5
に示す。
【0192】
【表5】
【0193】表より、表面保護層の種類を違えても、下
地である積層型感光層のうち電荷輸送層の構成に基づい
て、前記と同じ結果が得られることが確認された。
【0194】すなわちアリールアミン誘導体に代えてジ
エチルアミノベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾンを
使用した比較例12の感光体、およびトリス(3−メチ
ルフェニル)アミンを使用した比較例13の感光体はい
ずれも、連続1万枚の複写後に既に、表面保護層の全体
にクラックが入っており、連続2万枚の複写後には表面
保護層が剥離しているのが確認された。そしてこのこと
から、これらの化合物では、無機の表面保護層の物理的
な安定性を向上する効果が得られないことが判った。
【0195】また両比較例の感光体はいずれも、露光後
の残留電位が高く、かつ半減露光量が大きいことから、
表面保護層を形成した際に大きく感度低下することも判
明した。
【0196】これに対し、実施例34〜39の感光体は
いずれも、連続10万枚の複写後も、表面保護層にクラ
ックや剥離などが全く見られなかった。そしてこのこと
から、アリールアミン誘導体を使用することで、無機の
表面保護層の物理的な安定性を改善して、これまでより
も感光体の耐久性を向上できることが確認された。
【0197】また上記各実施例の感光体はいずれも、露
光後の残留電位が低く、かつ半減露光量が小さいことか
ら、表面保護層を形成した際に大きく感度低下せず、良
好な感度を有することも確認された。 [実施例40〜42、比較例14]積層型感光層の表面
に、前記ケイ素−炭素複合膜に代えて、実施例13〜1
5、比較例5と同じ工程により、非晶質のケイ素−窒素
(SiN)複合膜からなる厚み0.5μmの表面保護層
を成膜したこと以外は実施例29、31、33、比較例
11と同様にして、それぞれの電子写真感光体を製造し
た。 [実施例43〜45、比較例15]積層型感光層の表面
に、前記ケイ素−炭素複合膜に代えて、実施例16〜1
8、比較例6と同じ工程により、非晶質の炭素−窒素
(CN)複合膜からなる厚み0.5μmの表面保護層を
成膜したこと以外は実施例29、31、33、比較例1
1と同様にして、それぞれの電子写真感光体を製造し
た。 [実施例46〜48、比較例16]積層型感光層の表面
に、前記ケイ素−炭素複合膜に代えて、実施例19〜2
1、比較例7と同じ工程により、非晶質の炭素−ホウ素
(CB)複合膜からなる厚み0.5μmの表面保護層を
成膜したこと以外は実施例29、31、33、比較例1
1と同様にして、それぞれの電子写真感光体を製造し
た。 [実施例49〜51、比較例17]積層型感光層の表面
に、前記ケイ素−炭素複合膜に代えて、実施例22〜2
4、比較例8と同じ工程により、非晶質の炭素−フッ素
(CF)複合膜からなる厚み0.5μmの表面保護層を
成膜したこと以外は実施例29、31、33、比較例1
1と同様にして、それぞれの電子写真感光体を製造し
た。 [実施例52〜54、比較例18]積層型感光層の表面
に、前記ケイ素−炭素複合膜に代えて、実施例25〜2
7、比較例9と同じ工程により、非晶質のホウ素−窒素
(BN)複合膜からなる厚み0.5μmの表面保護層を
成膜したこと以外は実施例29、31、33、比較例1
1と同様にして、それぞれの電子写真感光体を製造し
た。
【0198】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて、前記と同じ感度特性試験(2)、および耐久性
試験(2)を行って、その特性を評価した。結果を表6
に示す。
【0199】
【表6】
【0200】表より、表面保護層の種類をさらに違えて
も、下地である積層型感光層のうち電荷輸送層の構成に
基づいて、前記と同じ結果が得られることが確認され
た。
【0201】すなわちアリールアミン誘導体に代えてト
リス(3−メチルフェニル)アミンを使用した比較例1
4〜18の感光体はいずれも、連続2万枚の複写後に、
表面保護層が剥離しているのが確認された。また特に比
較例15〜17の感光体は、連続1万枚の複写後に既
に、表面保護層の全体にクラックが入っているのが確認
された。そしてこのことから、上記化合物では、無機の
表面保護層の物理的な安定性を向上する効果が得られな
いことが判った。
【0202】また各比較例の感光体はいずれも、露光後
の残留電位が高く、かつ半減露光量が大きいことから、
表面保護層を形成した際に大きく感度低下することも判
明した。
【0203】これに対し、実施例40〜54の感光体は
いずれも、連続10万枚の複写後も、表面保護層にクラ
ックや剥離などが全く見られなかった。そしてこのこと
から、アリールアミン誘導体を使用することで、無機の
表面保護層の物理的な安定性を改善して、これまでより
も感光体の耐久性を向上できることが確認された。
【0204】また上記各実施例の感光体はいずれも、露
光後の残留電位が低く、かつ半減露光量が小さいことか
ら、表面保護層を形成した際に大きく感度低下せず、良
好な感度を有することも確認された。
【0205】なお、感光層が実施例28〜54と同様で
表面保護層のない感光体および、実施例28〜54の感
光体について、耐久性試験(2)と同様にして複写試験
を行ない、画像を評価した。その結果、前者では2万枚
〜8万枚で画像濃度が低下して、ベタ黒部のかすれ等が
発生したが、後者では10万枚複写後も画像不良がな
く、表面保護層の形成により感光体の耐久性が向上した
ことが確認された。
【0206】感光層が比較例10〜18と同様で表面保
護層のない感光体について、上記と同様の複写試験を行
なったところ、比較例10、12では2万枚程度で、そ
の他については3〜5万枚程度で画像濃度が低下しベタ
黒部のかすれ等が発生した。これらの結果と、それぞれ
に対応する比較例の耐久試験(2)の結果とを比べる
と、表面保護層を形成しても耐久性が変わらないか、低
下することがわかる。
【0207】これらのことより、有機感光層に表面保護
層を形成すれば,一様に感光体の耐久性が向上するわけ
ではなく、正孔輸送剤の選択を誤ると、むしろ耐久性が
低下してしまうのである。積層型感光層に式(1)のア
リールアミンを有する実施例28〜54の感光体は、単
層型感光層の場合と同様に表面保護層の形成によりその
耐久性を大幅に向上させることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福永 秀明 滋賀県八日市市蛇溝町長谷野1166番地の6 京セラ株式会社滋賀工場八日市ブロック 内 Fターム(参考) 2H068 AA02 AA20 AA31 AA37 BA12 BA63 BA64 CA01 CA03 CA05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体上に、有機感光層と、無機の表
    面保護層をこの順に積層した電子写真感光体であって、
    上記有機感光層の、少なくとも表面保護層に接する最表
    面部が、式(1): 【化1】 〔式(1)中、Aは環を構成する原子数7〜16のアリ
    ール基あるいは複素環基、または式(2): 【化2】 (式(2)中、Arはアリール基、複素環基またはアラ
    ルキル基を示す。)で表される基を示し、R1およびR2
    は同一または異なって水素原子、アルキル基またはアル
    コシキ基を示し、mおよびnは1〜5の整数を示す。〕
    で表されるアリールアミン誘導体を含有することを特徴
    とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】表面保護層が、気相成長法によって成膜さ
    れた層であることを特徴とする請求項1記載の電子写真
    感光体。
  3. 【請求項3】表面保護層が、金属元素および炭素からな
    る群より選ばれた少なくとも1種の元素、またはこれら
    の元素を含む無機の化合物からなることを特徴とする請
    求項1または2記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】有機感光層が、結着樹脂中に、電荷発生剤
    と、正孔輸送剤としての式(1)で表されるアリールア
    ミン誘導体とを含有する単層型感光層であることを特徴
    とする請求項1記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】前記結着樹脂中に電子輸送剤を含有するこ
    とを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】有機感光層が、電荷発生剤を含有する電荷
    発生層と、結着樹脂中に、正孔輸送剤としての式(1)
    で表されるアリールアミン誘導体を含有する電荷輸送層
    とをこの順に積層した積層型感光層であることを特徴と
    する請求項1記載の電子写真感光体。
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