JP2002228654A - 組織マッピング方法及び組織マップ分析装置 - Google Patents

組織マッピング方法及び組織マップ分析装置

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JP2002228654A
JP2002228654A JP2001021699A JP2001021699A JP2002228654A JP 2002228654 A JP2002228654 A JP 2002228654A JP 2001021699 A JP2001021699 A JP 2001021699A JP 2001021699 A JP2001021699 A JP 2001021699A JP 2002228654 A JP2002228654 A JP 2002228654A
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memory
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JP2001021699A
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Nobuyoshi Sudo
伝悦 須藤
Yoshiyo Akiyama
佳代 秋山
Kazunori Yabe
一徳 矢部
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Yamato Scientific Co Ltd
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    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/5005Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving human or animal cells
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    • G06V20/69Microscopic objects, e.g. biological cells or cellular parts

Abstract

(57)【要約】 【課題】 脳標本における同一標本上の複数の蛍光免疫
組織化学反応を相関的に細胞レベルで解析し画像化す
る。 【解決手段】 組織試料9を載置したステージ5を2次
元的に移動させながら上記試料9上の多数点の情報をフ
ォトメータ7により測定し、この測定信号を入力しメモ
リ29に蓄積させて上記試料9の2次元情報を得て組織
マップを作成する。このとき、上記試料9に試薬A’を
反応させた後に、2次元方向に走査して上記試薬A’の
反応部の分布状態図を作成し、次に上記の同一試料9に
試薬B’を反応させた後に、2次元方向に走査して上記
試薬B’の反応部の分布状態図を作成し、上記の工程を
必要回数繰り返して上記の同一試料9に対する異なる試
薬の反応部の分布状態図を作成する。同一試料9上の複
数の物質の分布状態の差や比などの値から定量的に分析
し解析することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、組織マッピング方
法及び組織マップ分析装置に関し、特に同一標本上で起
こっている複数の化学反応を同時にしかも相関的に細胞
レベルで解析し画像化する組織マッピング方法及び組織
マップ分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】人間の脳には、数千万以上の神経細胞が
分布しており、それぞれの細胞内で起こっている化学反
応の結果として、喜怒哀楽をはじめあらゆる感情や行動
が支配されている。したがって、脳のどの領域でどのよ
うな化学反応が起こっているかを細胞レベルで調べるこ
とは、脳研究の中心的なテーマである。
【0003】こうした研究のため動物の脳を実験材料と
し、従来においては、脳の同一標本中での複数の物質の
分布を調べるために、各物質をそれぞれ異なる蛍光物質
で標識された抗体(例えば、A物質に対してはフルオレ
セインイソチオシアナート(FITC)を結合した抗
体、B物質に対してはローダミン等を結合した抗体な
ど)でラベルし、その標本を写真撮影するという組織化
学的方法が一般的に行われてきた。
【0004】また、従来においては生化学的方法も行わ
れてきた。これは、標本を生化学的に分析する場合、標
本を各部位ごとにメス等で切り分けるか、細い部位だけ
をパイプによってパンチし、試料を採集し、分析すると
いうものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】脳研究のテーマとして
は、同一標本上で起こっている複数の化学反応を同時に
しかも相関的に細胞レベルで解析することが課題となっ
ている。この課題が解決されることは、多くの神経疾患
を解析し、予防と治療法を開発する上で極めて有効な手
段になると期待されるものである。
【0006】ところが、従来においては、前者のような
組織化学的方法では、例えば写真上でA物質は緑色、B
物質は赤色等で示され、その分布を視覚的に観察するこ
とはできるが、物質の定量性を求めることはできないと
いう問題点があった。また、顕微鏡内のフィルタを交換
することにより、同一標本中の各蛍光物質由来の蛍光を
分離する方法も検討されているが、フィルタによって完
全に蛍光を分離することは不可能であり、その定量性に
問題があった。
【0007】また、後者のような生化学的方法では、標
本を各部位ごとに切り取って採集する操作は複雑で非能
率的であるとともに、極微細領域からの試料の採取は不
可能である。さらに、分析までの煩雑な操作の過程で、
不安定な化学物質の分析には誤差も大きくなるという問
題点があった。
【0008】従って、前者の組織化学的方法並びに後者
の生化学的方法においても、同一標本上の複数の化学反
応を相関的に細胞レベルで解析することは不可能である
という問題点があった。
【0009】また、稀な疾患を有していた患者の組織試
料は貴重なものであり、その試料の量も少ないことか
ら、同一の試料を用いて種々の異なる物質に対して分布
状態を調べることが望まれている。また、これらの試料
は長期間保存され、その疾患に関する新たな知見が得ら
れたとき、再度保存されている試料を用いて検討する必
要も生じる。すなわち、同一の試料標本を用いて複数の
物質に対する存在状態を定量的に評価する方法が求めら
れている。
【0010】本発明は上述の課題を解決するためになさ
れたもので、その目的は、脳標本のような組織試料を測
定すべき物質に特異的な試薬、例えば抗体で蛍光免疫組
織化学的に染色し、標本上に分布する蛍光物質の強度の
分布を光学的に分析し、同一標本上の複数の物質の分布
や複数の化学反応を相関的に細胞レベルで解析し画像化
し得る組織マッピング方法及び組織マップ分析装置を提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1によるこの発明の組織マッピング方法は、組
織試料をステージに載置し、このステージを2次元的に
移動させながら上記試料上の多数点の情報を測定装置に
より測定し、この測定した測定信号を入力しメモリに蓄
積させることにより、上記試料の2次元情報を得て組織
マップを作成する組織マッピング方法において、マップ
を作成すべき組織試料に物質Aに特異的な試薬A’を反
応させた後に、上記試料を2次元方向に走査して上記試
薬A’反応部の分布状態図を作成し、次に上記の同一試
料に物質Bに特異的な試薬B’を反応させた後に、上記
試料を2次元方向に走査して上記試薬B’反応部の分布
状態図を作成し、上記の工程を必要回数繰り返して上記
の同一試料に対する異なる試薬の反応部の分布状態図を
作成することを特徴とするものである。
【0012】したがって、脳標本などの組織試料は試薬
A’にて特異的に染色され、この試料がステージにより
2次元方向に移動されて上記の試料上に分布する試薬
A’の光学特性(反射光、透過光、蛍光など)に基づく
試薬A’のフォトメトリーのシグナル強度の分布状態図
が画像化されて作成される。上記の同一試料は試薬B’
にて同様に特異的に再度染色され、この同一試料が同様
の工程を経て同一試料上に分布する試薬B’のフォトメ
トリーのシグナル強度の分布状態図が作成される。試薬
A’や試薬B’のフォトメトリーのシグナル強度の分布
状態は、脳標本などに存在する物質Aや物質Bの分布状
態に1対1に対応するものであり、同一試料上の複数の
化学物質の分布状態が同一位置における互いのシグナル
値の差や比などの値に計算されて細胞レベルで画像化さ
れ、定量的に解析し分析することができ、脳内で起こっ
ている複数の化学反応を相関的に細胞レベルで解析する
ことが可能となる。
【0013】以上の物質Aに特異的な試薬A’や物質B
に特異的な試薬B’などとしては、抗体や蛍光物質でラ
ベルされた抗体が好ましく、このような抗体を一次抗体
あるいは二次抗体として用いて脳標本などを染色する
と、脳試料は蛍光免疫組織化学的に染色され、この試料
はステージにより2次元方向に移動されて上記の試料上
に分布する物質Aと特異的に結合する抗体にラベルされ
た蛍光物質の強度の分布状態図が画像化されて作成され
る。上記の同一試料は物質Bに特異的抗体あるいは蛍光
物質でラベルされた抗体にて、再度蛍光免疫組織化学的
に染色され、この同一試料が同様の工程を経て同一試料
上に分布する物質Bと特異的に結合する抗体にラベルさ
れた蛍光物質の強度の分布状態図が作成され、このよう
にして同一試料上の複数の化学物質の分布状態が同一位
置にある互いの蛍光強度のシグナル強度の差や比などの
値に計算されて細胞レベルで画像化され、定量的に解析
・分析されるとともに、脳内で起こっている複数の化学
反応を相関的に細胞レベルで解析することが可能とな
る。
【0014】請求項2によるこの発明の組織マップ分析
装置は、組織試料上の一点の情報を測定する測定装置を
設け、上記試料を載置して2次元的に移動するステージ
を設け、このステージを移動させながら前記測定装置か
らの測定信号を入力して上記試料上の多数点からなる2
次元情報を蓄積させるメモリを設け、このメモリ内に、
上記の同一組織試料を各試薬毎に反応せしめて2次元方
向に走査して前記測定装置により得た各試薬反応部の分
布状態の各データをそれぞれ各試薬毎に記憶せしめる複
数の各分割メモリを備え、前記複数の各分割メモリのデ
ータのうちから2つの異なる分割メモリのデータの分析
値を演算する演算装置を設け、前記メモリ内の各分割メ
モリのデータに基づいて各試薬毎の分布状態図を作成す
ると共に前記演算装置により演算された分析値に基づい
て分布状態図を作成する画像処理装置を設けてなること
を特徴とするものである。
【0015】したがって、請求項1記載の作用と同様で
あり、脳標本などの組織試料は物質Aに特異的な試薬
A’にて特異的に染色され、この試料がステージにより
2次元方向に移動されて上記の試料上に分布する試薬
A’のフォトメトリーのシグナル強度の分布状態図が画
像化して作成される。上記の同一試料は物質Bに特異的
な試薬B’にて特異的に染色され、この同一試料が同様
の工程を経て同一試料上に分布する試薬B’のフォトメ
トリーのシグナル強度の分布状態図が作成される。この
ような同一試料上の複数の化学物質の分布状態が、演算
装置により同一位置にある互いのフォトメトリーのシグ
ナル強度の差や比などの値に計算されて細胞レベルで画
像化されるので、容易に且つ確実に定量的に分析し、解
析することができる。
【0016】請求項3によるこの発明の組織マップ分析
装置は、請求項2記載の組織マップ分析装置において、
前記複数の各分割メモリが、物質Aに特異的な試薬A’
を反応させた組織試料を2次元方向に走査して前記測定
装置により得た上記試薬A’反応部の分布状態のデータ
を記憶する第1メモリと、物質Bに特異的な試薬B’を
反応させた同一の上記組織試料を2次元方向に走査して
前記測定装置により得た上記試薬B’反応部の分布状態
のデータを記憶する第2メモリと、物質Cに特異的な試
薬C’を反応させた同一の上記組織試料を2次元方向に
走査して前記測定装置により得た上記試薬C’反応部の
分布状態のデータを記憶する第3メモリと、から構成し
てなることを特徴とするものである。
【0017】したがって、試薬A’を反応させた組織試
料の試薬A’反応部の分布状態のデータは第1メモリに
格納され、試薬B’の場合は第2メモリに格納され、試
薬C’の場合は第3メモリに格納されるので、各試薬
A’、B’、C’に対応する反応部の画像処理や異なる
試薬に対応する反応部のデータ間の差や比などの値の計
算が容易となる。
【0018】請求項4によるこの発明の組織マップ分析
装置は、請求項2又は3記載の組織マップ分析装置にお
いて、前記ステージに、同一組織試料を前記ステージの
所定位置に試料位置決め手段を設けてなることを特徴と
するものである。
【0019】したがって、複数の試薬により反応した同
一組織試料の反応部が確実に重ね合わさって画像化さ
れ、2つの異なる分割メモリのデータの差や比などの値
も確実に画像化され、解析できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0021】図1及び図2を参照するに、本実施の形態
に係わる組織マップ分析装置(MapAnalyzer)1は、落
射型蛍光顕微鏡3を用いて試料の測光データの2次元分
布を求めるものである。顕微鏡3はオートスキャンニン
グステージ5(以下、「スキャンニングステージ」とい
う)、測定装置としての例えばフォトメータ7を有す
る。
【0022】フォトメータ7には、検出器に感度や定量
性の上で最も信頼性のあるフォトマル(光電子増倍管、
Photomultiplier)が用いられており、干渉フィルタと
測光絞りが検出器の受光前面に挿入されている。励起ビ
ームは、視野絞りと開口絞りによって任意に絞ることが
でき(標本9面での最小スポット:100倍の対物レン
ズ使用時0.8μmφ、20倍の対物レンズ使用時6μ
mφ)、目的とする試料としての例えば標本9の微少領
域からの光だけを選択して測光することが可能である。
【0023】図3を参照するに、スキャンニングステー
ジ5には、同一組織試料としての同一標本9をスキャン
ニングステージ5の所定位置に設置するための試料位置
決め手段としての例えば位置決めピン11が少なくとも
2箇所設けられており、標本9を貼り付けたスライドガ
ラス13にも上記の位置決めピン11を挿脱可能な位置
決め穴15が同数設けられている。
【0024】また、試料位置決め手段の他の例として
は、図4に示されているようにスライドガラス13の隣
り合う2側縁を突当てるための突当て部材17がスキャ
ンニングステージ5に設けられており、残りの2側縁に
設けられたスライドガラスおさえ18でスライドガラス
を所定位置に固定する。なお、上記の突当て部材17は
少なくとも3箇所の突当てピンであっても構わない。い
ずれにしても、スライドガラス13をスキャンニングス
テージ5の所定位置に着脱可能であれば特に限定される
ものではない。また、スキャンステージ5上に位置決め
用のマーカを付与せしめて、スライドガラス13をこの
マーカにその都度位置決めするようにしても構わない。
【0025】測光コントローラ19は、上記のスキャン
ニングステージ5をXY方向に移動制御するステージ制
御装置21、フォトメータ7を制御する測光制御装置2
3を有する。
【0026】システムコントローラ25は、ステージ制
御装置21及び測光制御装置23に指令信号を出力する
主制御系MCS27と測光データを記憶するためのメモ
リ29を有する。
【0027】このメモリ29内には複数の分割メモリ3
1が備えられており、複数の各分割メモリ31は、測定
すべき同一組織試料としての同一標本9を各試薬A’、
B’C’、…毎に反応せしめてからスキャンニングステ
ージ5を介してXY方向の2次元方向に走査してフォト
メータ7により測定して得た各試薬反応部の分布状態の
各データ(透過光、反射光、蛍光などの強度データ)を
それぞれ各試薬A’、B’、C’、…毎に記憶せしめる
ものである。
【0028】複数の各分割メモリ31としては、例え
ば、試薬A’を反応させた組織標本9をXY方向に走査
してフォトメータ7により得た上記試薬A’反応部の分
布状態のデータを記憶する第1メモリ31Aと、試薬
B’を反応させた同一の上記組織標本9をXY方向に走
査してフォトメータ7により得た上記試薬B’反応部の
分布状態のデータを記憶する第2メモリ31Bと、試薬
C’を反応させた同一の上記組織標本9をXY方向に走
査してフォトメータ7により得た上記試薬C’反応部の
分布状態のデータを記憶する第3メモリ31Cと、いう
具合に各試薬A’、B’、C’、…毎に設けられる。
【0029】また、システムコントローラ25には、デ
ータや指令を入力するためのキーボードの如き入力装置
33と、CRTの如き表示装置35が設けられている。
さらに、上記の複数の各分割メモリ31A、31B、3
1C、…のデータのうちから2つの異なる分割メモリ3
1のデータ間の差や比などの分析値を演算する演算装置
37が設けられている。また、上記のメモリ29内の各
分割メモリ31A、31B、31C、…毎のデータに基
づいて各試薬A’、B’、C’、…毎の分布状態図(組
織マップ)を作成する画像処理装置39が設けられてい
る。なお、この画像処理装置39は上記の演算装置37
により演算された分析値に基づいて分布状態図(組織マ
ップ)を作成することもできる。
【0030】スキャンニングステージ5は、測光コント
ローラ19からの指令により、X、Y方向に0.25μ
m以上のステップ幅で自由に走査する。走査速度は10
0測光ポイント/秒であり、走査範囲は140×140
mm以内で任意に選択することができる。標本9を一定
の速度で移動させながら、各測光ポイントの透過光、反
射光、蛍光などの強度が測定され、システムコントロー
ラ25に取り込まれる。蛍光を用いる場合であっても、
各ポイントは励起ビームによって0.01秒しか照射さ
れないため、照射による蛍光の退色はほとんどみられな
い。
【0031】より詳しくは、スキャンニングステージ5
上に配置された標本9が発する光は顕微鏡3を介してフ
ォトメータ7によって検出される。検出した測光信号
は、測光制御装置23を介してシステムコントローラ2
5内の主制御系MCS27に出力され、メモリ29内に
蓄積される。システムコントローラ25と測光制御装置
23とは測光データ転送専用回線によって接続されてい
る。
【0032】主制御系MCS27はステージ制御装置2
1に対して指令信号を出力し、スキャンニングステージ
5を任意の測定位置に移動させる。ステージ制御装置2
1からスキャンニングステージ5へ出力されるパルス信
号は、主制御系MCS27にも出力される。主制御系M
CS27はステージ制御装置21からのパルス信号に基
づいてデータの蓄積を繰り返し行うことにより、標本9
の測光の2次元分布が得られる。
【0033】本発明の装置は試料からの反射光あるいは
蛍光または試料を透過する透過光を測定するものであ
る。本装置に用いられる光学系の例を図5に示す。図5
のAは反射光あるいは蛍光を測定する場合であり、図5
のBは透過光を測定する場合の光学系を例示したもので
ある。
【0034】図5のAにおいて、ハロゲンランプ41か
ら出た光は、集光レンズ42、熱遮断フィルタ43、シ
ャッター44、開口絞り45、視野絞り46を介して光
束が絞られ、ダイクロイックミラー47により反射さ
れ、対物レンズ48を介して標本(組織試料)9に集光
される。試料により反射された光、または照射された光
により励起された蛍光は、対物レンズ48を介しダイク
ロイックミラー47を通過し、測定系にはいる。測定系
では、投影レンズ49、シャッター44、赤外線カット
フィルタ50、バンドパスフィルタ(干渉フィルタ)5
1、測光絞り52を介しフォトマル(光電子増倍管)5
3に入り、光量が測定される。なお、参照符号5はスキ
ャンニングステージであり、これはXY方向に移動さ
れ、試料表面が走査される。
【0035】図5のBは透過光で測定する場合であり、
ハロゲンランプ41から出た光は、集光レンズ42、熱
遮断フィルタ43、シャッター44、開口絞り45、視
野絞り46を介して光束が絞られ、バンドパスフィルタ
(干渉フィルタ)51を介しミラー55により反射され
標本(組織試料)9に照射され、試料を透過する透過光
が、Aの場合と同様な測定系(図示せず)に導かれ光量
が測定される。なお、参照符号56は標本9上の測定部
位に光を集めるための集光器である。
【0036】上記の測光操作を蛍光の場合を例に簡単に
まとめると以下のようになる。
【0037】(1)蛍光免疫組織化学染色した標本9の
微小領域(測光ポイント)が、絞りこんだ励起ビームで
照射される。
【0038】(2)この領域で発せられた蛍光は、対物
レンズ48と測光絞り52を通してフォトマル53に集
積され、その強度が測定される。
【0039】(3)標本9がオートスキャンニングステ
ージ5によって次の測光ポイントヘ移動され、蛍光強度
が測定される。
【0040】(4)各微小領域の蛍光強度のデータがシ
ステムコントローラ25のメモリ29に記憶されて蓄積
され、スキャンした全体領域の画像が構築され、カラー
やモノクロの図で表示装置35に表示される。
【0041】次に、本発明の実施の形態の組織マッピン
グ方法について説明する。
【0042】本発明のマッピング法は組織試料内に存在
する物質に特異的な試薬を結合させ、結合した部分に生
ずる光学的な変化あるいは特性を、透過光、反射光ある
いは蛍光などを用いて測光(フォトメトリー)するもの
である。従って、結合する試薬自体が蛍光を発すると
か、特有の吸収波長を有するというような光学的な特徴
あるいは特性を有する場合は、これを光学的マーカーと
して測光することができるばかりか、試薬自体に光学的
マーカーがない場合であっても、試薬が特定の物質と結
合することにより吸収波長が変化するなどの光学的特性
が変化する場合は、これを光学的マーカーとして測光す
ることができる。
【0043】本発明で用いる物質に特異的な試薬とは、
この物質に特異的に結合する物質や特異的に反応する物
質を意味するものである。特定の物質に特異的に結合あ
るいは反応する物質は、すなわち特異的な試薬は測定し
ようとする物質の種類に応じて選択されるが、例えば、
その物質に対する抗体、特定のレセプターに結合するリ
ガンド、特定の酵素に対する基質などが挙げられ、測定
しようとする物質によっては、ビオチン−アビジン系の
ように特定の物質に結合することが知られている物質を
応用することも可能である。
【0044】これらの、抗体やリガンドなどには結合し
た抗体やリガンド自体が蛍光を生じるようにそれら自体
に蛍光物質を結合させて、生じる蛍光を光学的マーカー
として測光することもできるが、抗体の場合は、まず、
測定しようとする物質に特異的な抗体を結合させた後、
この抗体に対する蛍光物質を結合した抗体(蛍光標識抗
−抗体)を用いて染色する、いわゆる二抗体法により蛍
光免疫組織化学染色を施すことができる。
【0045】測定しようとする物質に対する抗体は、公
知の方法に従い、マウス、ウサギ、ヒツジ、ヤギなどの
動物を免疫することにより得られるが、測定しようとす
る物質によってはすでに市販されているものもあり、こ
れらを利用することができる。
【0046】また、蛍光標識抗−抗体としては、蛍光物
質で標識された抗−ウサギIgG抗体(血清)、抗−ヒ
ツジIgG抗体(血清)、抗−マウスIgG抗体(血
清)など多くのものが市販されており、これらのものを
利用することができる。
【0047】従って、測定しようとする物質に対する抗
体自体に蛍光物質を公知の方法に従い結合させ、この抗
体を用いて免疫組織化学染色することはもちろん可能で
あるが、上記のような蛍光物質で標識した抗−抗体が市
販されていることから、これらの蛍光標識抗−抗体(血
清)を用いる二抗体法による免疫組織化学染色が容易で
あり、より汎用性があることから好ましいものである。
【0048】標識する蛍光物質としては、フルオレセイ
ンイソチオシアネート(FITC、励起波長;496n
m、蛍光波長;518nm)、テトラメチロールイソチ
オシアナート(TRITC、励起波長;554nm、蛍
光波長;565nm)、ライサミンローダミンスルホニ
ルクロリド(LRSC、励起波長;572nm、蛍光波
長;590nm)やスルホローダミン101酸クロリド
(テキサスレッド、励起波長;592nm、蛍光波長;
610nm)などのローダミン類など多数のものが知ら
れており、いずれのものも使用できるが、一連のマッピ
ングにおいて使用する蛍光物質としては同一のものであ
ることが定量性の見地から好ましいものである。しかし
ながら、異なる蛍光物質であってもこれらの物質が発す
る蛍光強度と濃度との関係を補正することによって使用
することができる。
【0049】組織標本は、スライドガラス上に固定した
組織試料を測定しようとする物質に特異的に結合する試
薬を用いて処理し、洗浄して未結合の試薬を除去するこ
とにより作製される。また、前記した二抗体法を用いる
場合には、上記の操作に続けて、蛍光物質を結合した抗
−抗体などで標本を処理し、未結合の蛍光標識化抗−抗
体を洗浄除去し、測定しようとする物質が蛍光物質でラ
ベルされた組織標本を得る。そしてこのようにして調製
された組織標本はスキャニングステージ上に載置され、
走査されることにより、それぞれの位置における光量が
測光される。
【0050】この測光に際し、組織試料標本が前もって
蛍光をもつ色素(エオジンやメチルグリーンなど)で染
色されている場合や組織自体が自ら蛍光の発生を有する
ような場合など、組織標本自体が蛍光を有する場合に
は、抗体が結合する前の試料標本を予め測光しておき、
この測定値をもとに、抗体が結合したときの状態を求め
ることもできる。
【0051】測定する物質がレセプターとリガンドとの
場合や酵素と基質などのように、特異的に結合する物質
が知られている場合には、リガンドや基質自体あるい
は、蛍光物質を結合したリガンドや基質の誘導体を上記
の「特異的な試薬」として用いることができる。また、
測定しようとする物質が酵素のようなタンパク質のよう
なもので、このタンパク質に対する抗体産生が可能なも
のであれば、このタンパク質を抗原として、免疫するこ
とにより抗体が容易に得られ、この抗体は上記の「特異
的な試薬」として用いることができる。
【0052】一方、測定する物質が、アミノ酸、ポリペ
プチドや脳内アミンのように低分子であって、そのもの
自体では抗体を産生し得ないものであるときは、以下の
ようにして、蛍光免疫組織化学染色を行い、これらの物
質に対してマッピングを行うことができる(Geffard,
M. ら、Brain Res. 294:161-165; 1984およびGeffard,
M. ら、J. Neurochem. 42:1593-1599; 1984)。
【0053】脳内アミンのマウスの脳におけるマッピン
グの場合を例に挙げて説明する。まず、インビトロで、
脳内アミンとグルタルアルデヒドとを反応させ、脳内ア
ミンにグルタルアルデヒドが縮合した高分子量のアミン
−グルタルアルデヒド縮合体を得、このものを抗原とし
てウサギを免疫し、血清から抗体を得る。
【0054】一方で、マウスを用いて、心臓からグルタ
ルアルデヒドを灌流すると、生体内でも同様の縮合反応
が生じ、マウスの脳内で、脳内アミンと灌流されたグル
タルアルデヒドとが縮合し、アミン−グルタルアルデヒ
ド縮合物が生成し、脳内アミンが存在していた位置で固
定される。次に、この脳をスライスし、スライドガラス
上に固定した標本を得、別途調製したウサギの抗−アミ
ン−グルタルアルデヒド縮合物抗体で処理し、マウス脳
内アミン−グルタルアルデヒド縮合体に、抗−脳内アミ
ン−グルタルアルデヒド縮合体ウサギ抗体を結合させ
る。次いで、蛍光標識した抗−ウサギIgG抗体(血
清)を用いて処理することにより、試料標本が調製され
る。
【0055】以上のように、本発明では、脳内に存在す
るタンパク質のみならず、脳内アミンのような低分子の
物質に対しても蛍光免疫組織化学染色を施すことがで
き、本発明のマップ分析装置(MapAnalyzer)により蛍
光を測光することによりマッピングすることが可能とな
る。
【0056】
【実施例】次に、上述したマップ分析装置(MapAnalyze
r)を用いてラット脳の同一標本における複数の物質に
対する多重マッピング法について、実施例として、タイ
ロシン水酸化酵素、カルモジュリンおよびカルモジュリ
ン依存性プロテインキナーゼIIを例として具体的に説明
する。
【0057】特異的な試薬として、それぞれ、抗−タイ
ロシン水酸化酵素抗体(TH抗体、試薬A’)、抗−カ
ルモジュリン抗体(CaM抗体、試薬B’)、および抗
−カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII抗体(C
aMキナーゼII抗体、試薬C’)を用い、二次抗体とし
て、蛍光物質(FITC)で標識された、これらの抗体
に対する抗−IgG抗体(血清)を用いた二抗体法によ
り蛍光免疫組織化学染色を行った。
【0058】用いた上記の各抗体について詳しく説明す
ると、TH抗体は、Chemicon International, Inc.社か
ら購入したものであり(Catalog No. AB151)、ラット
副腎髄質の腫瘍組織から精製したTHを抗原とし、ウサ
ギから抗体を作製したものである。
【0059】CaM抗体は、Transformation Research,
Inc.社から購入したものであり(Catalog No. 501
6)、牛精巣から精製したCaMを用い、ヒツジから抗
体を作製したものである。
【0060】さらに、CaMキナーゼII抗体は、Chemic
on International, Inc.社から購入したものであり(Ca
talog No. MAB8699)、マウスを精製したCaMキナー
ゼIIで免疫し、脾臓のリンパ球をマウス骨髄腫細胞(N
S1/SP2)と融合して、6G9ハイブリドーマクロ
ーンを作り、抗体を腹水内で作製し、プロテインA分別
で精製されたものである。
【0061】また、FITCで標識化されたFITC標
識化抗−ウサギIgGヤギ血清は、Zymed Lab., Inc.社
から購入したものである(Catalog No. 65-6111)。
【0062】また、FITC標識化抗−ヒツジIgGウ
サギ血清は、Vector Lab., Inc.社から購入したもので
ある(Catalog No. FI-6000)。
【0063】そして、FITC標識化抗−マウスIgG
ヤギ血清は、American Qualex International, Inc.社
から購入したものである(Catalog No. A106FU)。
【0064】組織試料標本を次のようにして調製した。
【0065】まず、ラットをペントバルビタールで麻酔
し、心臓より4%のパラホルムアルデヒドと0.2%の
グルタルアルデヒドとの混合液で灌流固定する。ラット
脳を摘出し、液体窒素あるいはドライアイスで凍結した
後、クリオスタットを用いて20μmの厚さにスライス
し、ゼラチンでコーティングされたスライドガラスに貼
り付け、試料標本を作製した。
【0066】次に、このラット脳の標本に対して、上記
の抗体を用いて蛍光免疫組織化学染色を行うが、まず二
抗体法によるFITCを用いたTHに対する蛍光免疫組
織化学染色を行った。操作手順は以下のとおりである。
【0067】(1)上記の標本をPBS(phosphte-buf
fered saline)で20分間洗浄する。
【0068】(2)正常ヤギ血清で2時間、4℃で前処
理し、抗−ウサギIgGヤギ血清の非特異的結合をブロ
ックする。
【0069】(3)PBSで60分間洗浄する。
【0070】(4)200倍に希釈したTH抗体を標本
にのせ、4℃で12時間反応させる。
【0071】(5)PBSで20分間×3回洗浄する。
【0072】(6)FITC標識化抗−ウサギIgGヤ
ギ血清を100倍に希釈して、標本にのせ、室温で3時
間反応させる。
【0073】(7)PBSで20分間×3回洗浄する。
【0074】(8)10%グリセリンで封入し、直ちに
マップ分析装置(MapAnalyzer)で測定する。
【0075】次に、以上のようにTH分布の測光を行っ
た同一標本に対して、200倍に希釈したCaM抗体と
200倍に希釈したFITC標識化抗−ヒツジIgGウ
サギ血清を用いてTH抗体の場合と同様にして、CaM
の免疫組織化学染色を行い、マップ分析装置(MapAnaly
zer)で測定した。染色に先立ち標本上のグリセリンを
PBSで洗浄し、除去した。
【0076】なお、CaMの免疫組織化学的蛍光強度
は、脳標本の各微小領域におけるCaM染色前後の蛍光
強度の差から求めた。
【0077】次に、以上のようにCaM分布の測定を行
った同一標本に対して、100倍に希釈したCaMキナ
ーゼII抗体と40倍に希釈したFITC標識化抗−マウ
スIgGヤギ血清を用いて、CaM抗体の場合と同様に
してCaMキナーゼIIの蛍光免疫組織化学染色を行い、
マップ分析装置(MapAnalyzer)で測定した。
【0078】なお、CaMキナーゼIIの免疫組織化学的
蛍光強度は、脳標本の各微小領域におけるCaMキナー
ゼII染色前後の蛍光強度の差から求めた。
【0079】次に、以上のようにして得られた同一標本
からの各物質の分布分析(マッピング)方法について説
明する。
【0080】標本の全領域を20μm間隔で測光し、各
標本から約40万点のデータを得た。最初に染色した物
質(TH)の免疫組織化学的蛍光強度の分布は、染色し
た標本を測定することにより直接得られる。なお、必要
に応じ、染色前に試料標本のバックグランドを測定し、
この値を差し引いてTHの免疫組織化学的蛍光強度の分
布を求めることもできる。そして、2番目以降に染色し
た物質(CaMおよびCaMキナーゼII)の免疫組織化
学的蛍光強度分布は、各物質の染色前後の蛍光強度の差
から得られる。
【0081】すなわち、まず脳標本をTH抗体で染色
し、その標本の全領域における蛍光強度を測定する。こ
のデータ(1回目のデータ)は、THの分布を示すもの
であり、得られた蛍光強度を8〜256段階に層別化
し、標本上の各点における蛍光強度を明度差(白黒)も
しくはカラー化して表示すると、図6Aに示すような画
像が得られる。この画像(図面においては白黒表示であ
る)において、より黒い部分がTHの量が多い部分、す
なわちTHが局在する部分である。なお、作製した脳標
本はラットの脳を冠状面でスライスしたものであり、画
像の上方向がラットの頭頂部に相当する。また、図中、
参照符号61は大脳皮質運動野、62は線条体、63は
嗅結節、64は前交連、65は側坐核、66は外側中隔
核、67は対角帯、68は梨状皮質、69は島皮質をそ
れぞれ示し、得られた画像より、THは線条体62、側
坐核65、嗅結節63、大脳皮質運動野61に多く局在
していることがわかる。
【0082】得られたデータ(1回目のデータ)はシス
テムコントローラ25のメモリ29内の第1メモリ31
Aに保存される。
【0083】次に、上記の同一標本をCaM抗体で染色
する。この染色した標本をスキャンニングステージのま
ったく同じ位置にセットし、同一条件下で再び測光す
る。この蛍光強度のデータ(2回目のデータ)はシステ
ムコントローラ25に送られ、システムコントローラ2
5のメモリ29内の第2メモリ31Bに保存される。そ
して、演算装置37により各測光点において、2回目の
値から1回目の値を差し引くことにより、CaMの分布
を示すデータが得られ、このデータを層別化して表示す
ると、図6のBに示すような画像が得られる。
【0084】さらに、上記の同一標本をCaMキナーゼ
II抗体で染色し、同様に測光する。この蛍光強度のデー
タ(3回目のデータ)はシステムコントローラ25に送
られ、システムコントローラ25のメモリ29内の第3
メモリ31Cに保存される。そして、演算装置37によ
り各測光点において、3回目の値から2回目の値を差し
引くことにより、CaMキナーゼIIの分布を示すデータ
が得られ、このデータを層別化して表示すると、図6の
Cに示すような画像が得られる。
【0085】以上のようにして、マップ分析装置(MapA
nalyzer)を用い、TH、CaMやCaMキナーゼIIの
それぞれに対して定量的画像が得られる。なお、これら
の定量的画像、図6のA〜Cとそれらの生データはそれ
ぞれメモリ29に格納される。
【0086】次に、以上のようにして得られた同一標本
からの各物質の分布の比較について説明する。
【0087】以上のようにTH、CaM、CaMキナー
ゼIIの各定量的画像をメモリ29に記憶できるので、マ
ップ分析装置(MapAnalyzer)を用いて、各領域におけ
る物質間の免疫組織化学的蛍光強度を定量的に比較し、
解析することができる。
【0088】例えば、標本の各微小領域における純粋な
CaMキナーゼIIの免疫組織化学的蛍光強度(図6の
C)からCaMの免疫組織化学的蛍光強度(図6のB)
を差し引き、この差を画像化すると、図7のAのような
画像が得られる。この図7のAの画像において黒い部分
はCaMよりもCaMキナーゼIIが多く分布する領域を
示している。
【0089】逆に、図7のBの画像は、CaMの蛍光強
度(図6のB)からCaMキナーゼIIの蛍光強度(図6
のC)を差し引き、この差を画像化したものであり、黒
い部分はCaMキナーゼIIよりもCaMが多く分布する
領域を示している。
【0090】さらに、CaMキナーゼIIの蛍光強度(図
6のC)をCaMの蛍光強度(図6のB)で割り、この
比(CaMキナーゼII/CaM)を画像化すると、図7
のCで示されるような画像を得ることもできる。黒い部
分は、CaMキナーゼIIがCaMに比べ相対的に多い部
分を示している。
【0091】得られた画像より、TH、CaMおよびC
aMキナーゼIIは、線条体62の外側部、側坐核65、
嗅結節63、大脳皮質運動野61で共に高く、これらの
領域が脳内で重要な役割をはたしていることが考えられ
る。さらに、CaMキナーゼIIはCaMよりも外側中隔
核66、線条体62の内側部、大脳皮質の梨状皮質68
と島皮質69で高く、逆にCaMはCaMキナーゼIIよ
りも対角帯67で高く分布することがわかる。
【0092】以上のように、本発明の組織マップ分析装
置(MapAnalyzer)は、視野絞りと開口絞りによって励
起ビームが絞り込まれ、各測光ポイントは励起ビームに
よって0.01秒しか照射されないため、一回の測光で
蛍光の退色はほとんどみられない。ちなみに、実験で
は、50回の分析を繰り返しても同じデータが得られた
ので、実施例のように、染色→測光→染色→測光の繰り
返し操作を行っても、誤差のない値を得ることができ
る。しかも、マップ分析装置(MapAnalyzer)は、検出
器にフォトマル(光電子増倍管)を用いているので、T
Vカメラを用いた画像解析装置と比較して2桁以上、定
量性が優れている。
【0093】なお、この発明は前述した実施の形態に限
定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他
の態様で実施し得るものである。
【0094】本実施形態においては測光コントローラ1
9とシステムコントローラ25とが別々になっている
が、測光コントローラ19がシステムコントローラ25
の内部に組み込まれていても、逆に測光コントローラ1
9の内部に主制御系MCS27とメモリ29とが組み込
まれていても構わない。
【0095】
【発明の効果】以上のごとき発明の実施の形態の説明か
ら理解されるように、請求項1の発明によれば、脳標本
などの組織試料は特異的な試薬A’にて特異的に染色さ
れ(特異的な試薬A’として抗体を用いるときは蛍光免
疫組織化学的に染色され)、この試料をスキャンニング
ステージにより2次元方向に移動してマップ分析装置に
より測光し、上記の試料上に分布する試薬A’の光学的
特性(例えば、蛍光強度など)に基づき試薬A’の分布
状態図を画像化できる。上記の同一試料は特異的な試薬
B’にて蛍光免疫組織化学的に染色され、この同一試料
を同様の工程を経て測光することにより同一試料上に分
布する試薬Bの蛍光物質の強度の分布状態図を画像化で
きる。したがって、同一試料上の複数の化学反応の分布
状態を互いの差や比などの値に計算して相関的に細胞レ
ベルで画像化でき、容易に且つ確実に定量的に分析でき
る。また、本発明の方法は非破壊的であり、しかも測定
前の試料の状態に影響を受けないものであるから、同一
の試料標本に対して異なる物質の分布状態をくり返して
何度でも調べることができる。
【0096】請求項2の発明によれば、請求項1記載の
効果と同様であり、脳標本などの組織試料は試薬A’に
て特異的に(試薬A’として抗体を用いれば蛍光免疫組
織化学的に)染色され、この試料をスキャンニングステ
ージにより2次元方向に移動してマップ分析装置により
測光し、上記の試料上に分布する試薬A’の光学的特性
(例えば、蛍光強度など)に基づき試薬A’の分布状態
図を画像化できる。上記の同一試料は特異的な試薬B’
にて同様に染色され、この同一試料を同様の工程を経て
測光することにより同一試料上に分布する試薬B’の分
布状態図を画像化できる。したがって、同一試料上の複
数の物質の分布状態を互いの差や比などの値に計算し
て、相関的に細胞レベルで画像化でき、容易に且つ確実
に定量的に分析し、解析することができる。
【0097】請求項3の発明によれば、特異的な試薬
A’を反応させた組織試料の試薬A’反応部の分布状態
のデータを第1メモリに格納でき、特異的な試薬B’の
場合は第2メモリに格納でき、特異的な試薬C’の場合
は第3メモリに格納できるので、各試薬A’、B’、
C’に対応する反応部の画像処理や異なる試薬に対応す
る反応部のデータ間の差や比などの分析値の計算を容易
にできる。
【0098】請求項4の発明によれば、複数の試薬によ
り反応した同一組織試料の位置を確実に重ね合わせるこ
とができるので、測定操作が容易となるとともに得られ
る画像の正確性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すもので、組織マップ
分析装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる組織マップ分析装
置の構成ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態のスキャンニングステージ
の部分的な斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態の他のスキャンニングステ
ージの部分的な斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わる組織マップ分析装
置の光学系の一例を示す図である。
【図6】ラットの脳組織における各物質の存在状態を示
すマップ図であり、図中、Aはタイロシン水酸化酵素
(TH)の、Bはカルモジュリン(CaM)の、Cはカ
ルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMキナ
ーゼII)の分布状態をそれぞれ示す画像である
【図7】図6に示す、CaMとCaMキナーゼIIの存在
状態のデータに基づき演算した結果を示すマップ図であ
り、図中、Aは、CaMキナーゼIIのデータ(図6の
C)からCaMのデータ(図6のB)を差し引いたもの
で、CaMキナーゼIIがCaMよりも多く存在する領域
を示し、Bは逆にCaMのデータ(図6のB)からCa
MキナーゼIIのデータ(図6のC)を差し引いたもの
で、CaMがCaMキナーゼIIよりも多く存在する領域
を示し、さらに、CはCaMキナーゼIIとCaMとの比
をとったもので、CaMキナーゼIIがCaMに比べて相
対的に多く存在する領域を示している画像である。
【符号の説明】
1 組織マップ分析装置 3 落射型蛍光顕微鏡 5 スキャンニングステージ(ステージ) 7 フォトメータ(測定装置) 9 標本(組織試料) 11 位置決めピン(試料位置決め手段) 13 スライドガラス 15 位置決め穴 17 突当て部材(試料位置決め手段) 18 スライドガラスおさえ 19 測光コントローラ 21 ステージ制御装置 23 測光制御装置 25 システムコントローラ 27 主制御系MCS 29 メモリ 31A 第1メモリ(分割メモリA) 31B 第2メモリ(分割メモリB) 31C 第3メモリ(分割メモリC) 33 入力装置 35 表示装置 37 演算装置 39 画像処理装置 61 大脳皮質運動野 62 線条体 63 嗅結節 64 前交連 65 側坐核 66 外側中隔核 67 対角帯 68 梨状皮質 69 島皮質
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G045 BA14 BB23 BB24 BB46 CB01 CB26 DA20 FA16 FB03 FB07 FB12 FB16 GC15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組織試料をステージに載置し、このステ
    ージを2次元的に移動させながら上記試料上の多数点の
    情報を測定装置により測定し、この測定した測定信号を
    入力しメモリに蓄積させることにより、上記試料の2次
    元情報を得て組織マップを作成する組織マッピング方法
    において、 マップを作成すべき組織試料に物質Aに特異的な試薬
    A’を反応させた後に、上記試料を2次元方向に走査し
    て上記試薬A’反応部の分布状態図を作成し、次に上記
    の同一試料に物質Bに特異的な試薬B’を反応させた後
    に、上記試料を2次元方向に走査して上記試薬B’反応
    部の分布状態図を作成し、上記の工程を必要回数繰り返
    して上記の同一試料に対する異なる試薬の反応部の分布
    状態図を作成することを特徴とする組織マッピング方
    法。
  2. 【請求項2】 組織試料上の一点の情報を測定する測定
    装置を設け、上記試料を載置して2次元的に移動するス
    テージを設け、このステージを移動させながら前記測定
    装置からの測定信号を入力して上記試料上の多数点から
    なる2次元情報を蓄積させるメモリを設け、 このメモリ内に、上記の同一組織試料を各試薬毎に反応
    せしめて2次元方向に走査して前記測定装置により得た
    各試薬反応部の分布状態の各データをそれぞれ各試薬毎
    に記憶せしめる複数の各分割メモリを備え、 前記複数の各分割メモリのデータのうちから2つの異な
    る分割メモリのデータの分析値を演算する演算装置を設
    け、 前記メモリ内の各分割メモリのデータに基づいて各試薬
    毎の分布状態図を作成すると共に前記演算装置により演
    算された分析値に基づいて分布状態図を作成する画像処
    理装置を設けてなることを特徴とする組織マップ分析装
    置。
  3. 【請求項3】 前記複数の各分割メモリが、物質Aに特
    異的な試薬A’を反応させた組織試料を2次元方向に走
    査して前記測定装置により得た上記試薬A’反応部の分
    布状態のデータを記憶する第1メモリと、物質Bに特異
    的な試薬B’を反応させた同一の上記組織試料を2次元
    方向に走査して前記測定装置により得た上記試薬B’反
    応部の分布状態のデータを記憶する第2メモリと、物質
    Cに特異的な試薬C’を反応させた同一の上記組織試料
    を2次元方向に走査して前記測定装置により得た上記試
    薬C’反応部の分布状態のデータを記憶する第3メモリ
    と、から構成してなることを特徴とする請求項2記載の
    組織マップ分析装置。
  4. 【請求項4】 前記ステージに、同一組織試料を前記ス
    テージの所定位置に試料位置決め手段を設けてなること
    を特徴とする請求項2又は3記載の組織マップ分析装
    置。
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